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一兆年の夜 第八十四話 大久保は何故殺されなければ成らなかった(終)

 九月六十八日午後一時十二分七秒。
 場所はエピクロ県第二西地区エピクロ港。鬼ヶ島又は蘇我港と結ぶ国内第三位の港にてギガントルは躯伝親子とメランコリーナに別れを告げようとしていた。
「成程、如何やらお前はこの島で骨を埋めるつもりか」
「はい。二乃年まで似この島出自ら乃名於上げて己乃やりたい事於果たし似参ります」
「といってもいきなり国政は無理だろう。力道党も自由党も俺みたいな奴は例外として他の生命は先ず地方で実績を上げてから国政に参加する物だ。だが、地方は更に国政よりも議員の数が少ないからそう簡単じゃないぞ」
「それ出模俺那羅やれます。何、パオ乃似支援して貰うつもりです」
 適当だなあ、まあ俺も者の事言えないが--と己の劣った部分が似てしまった事を反省する躯伝。
 それ以降は近所話で終始し、建設的な会話をしない二名。ところが最後のやり取りだけは後に躯伝を大きく動かすきっかけと成る。
「成程、今度は全ての卵が孵化したか。それは良かった」
「はい、全て乃卵牙孵化する為似模俺端二乃年より後似代議士辺斗成ります。しか模将来新天神武於旧国家神武乃理念似沿って必ず弥躯伝様於新たな新天神武乃統治者似返り咲かせて見せます。俺端カモミチ先生似依って歴史於学び、今乃時代似必要那乃端不変不撓乃存在斗全生命乃心於理解する力ある指導者、そして俺達力なき者達乃連携しかありません!」
「又俺を持ち上げて……何度も言うが、もう天同は親父の代で終わったんだ。次会う時はそんな事口にしたら殴るぞ!」
 いえ、俺端本気です--真っ直ぐ宣言したギガントルを見て躯伝は諦めた。
 そして共に過ごした二名の雄は二度と相見える事はもうない。

 --これ端俺? まだ俺乃魂余、想念乃海似向かう乃ではない。まだ俺端最後似助けた少女似ついてはっきりしていない。死ぬ日似初めて出会った乃出端ない。それ端--

 午後四時十一分二十七秒。
 場所はエピクロ市中央地区エピクロスの会エピクロ支部表門前。
 エピクロス島を中心に活動を続ける地方政党。勿論、この党から国政に進出する代議士も居る。但し、その場合は除名処分と共に無所属或は政党に紹介する形で国政に進出する。何故なら理念は『エピクロスの大空を羽ばたけ』という言葉を忠実に守る為。
 その意味はエピクロス島から一歩も出る事なく骨を埋めろ。もしも外に出るなら除名するぐらいの勢いで羽ばたけという意味である。尚、この理念を作ったのがエピクロ県で有名なハヤブス・ハルトマンの子孫であるハヤブラス・ハルトマン。偉大な先祖に因んで結党時にこの言葉を送ったとの事……勿論、彼は代議士に成らずに地方軍者としてエピクロス島を飛び回ったと伝わる。
 さて、その地方政党の支部を背にして立ち去るのはギガントル・ダジャール。面倒臭い部分まで躯伝から受け継がれた彼はエピクロ支部にて党員として募集を終えたばかり。後は手続きの試験を受けて合格するだけ。
(意外斗早く、明日乃十乃時まで似行け芭試験会場似間似合う。意外斗暇妥那、エピクロス乃会乃党員模)
 勿論、試験を受ける事は二度とない。其処は重要ではない。最後の回想で重要なのは三番目に小さな建物前で泣く齢六にして一日目に成るエピクロ鬼族の幼女が座る。ギガントルは声を掛ける。
「如何した、君? 怪我於した乃科?」
「ちがうよおう。ううう、おとうさん斗おかあさん牙、おとうさん斗おかあさん牙」
「まさか迷子似成った乃科?」
「ちがうよおおう、ちがうよおおう」
 それから宥めつつも事情を聴くギガントル。すると判明したのがその少女の両親は今日の昼頃に剥き出した何かに両親が襲われ、食べられる所を目撃。幸い、少女は母親の必死の救助もあって助かった。だが、心は大きく傷付く。目の前で両親がその銀河連合に食べられた事を受けてギガントルの心が怒りで満たされた。それからその銀河連合の行方について少女から聞こうとするが……少女はそれ以上の事を話さない。
 そこでギガントルは予約した旅館に少女を連れて行き、お金を払って子供料金も払った。しかも部屋さえも変えて者が入りたがらないルケラオス山が良く見えたあの五号室に部屋を変え、しかも変更料金まで支払う形で。
 それが済むとその部屋で早速少女を脱がして精密検査を始める。そして判明したのが既に--
(……仕方ない。ダジャール家乃宿命似従い、命懸け出少女於助ける曾!)
 少女に「痛い思い於させる」と告げてから口に痛み防止用の食い縛り紙を咥えさせる。それからよく消毒してから手術を始め、見事に少女の体内にある液状型を摘出させる事に成功。素早い方業をした後に少し時間を於いてから少女に謝罪するギガントル。これに対して少女の言葉は意外な物だった。
「え、なんであやまる乃? おじさん端ぜんぜんいたいおもいさせなかった乃似」
 痛くない乃科--不思議な事にギガントルの腕は既に患者に痛みさえ与えない域にまで到達していた。
(おかしい那。普段乃俺端何時模相手於痛がらせて来た……那乃似今回端違った。俺乃身体似何牙起こった?)
 それは末期の病で苦しみ、死ぬ寸前の生命とは違った意味での死の前兆。普段とは思えない神々しい状態にギガントルは驚きを隠せない……己の最後が迫るとも知らずに!
(まあ良い。後は摘出した銀河連合を何処かに埋葬する為に朝早くに少女の再適化をする形で試験に間に合う直前までに液状型を埋葬する場所へと向かう予定を立ててから試験に出る箇所を重点的に復習及び復唱。時間こそ限られるが、既に試験で合格する為の頭脳訓練は十分だった。
(フウ、寝る前乃準備端完了した。これ出俺端……斗その前似)
 今の時刻は午後八時五十八分二十三秒。少女を寝かせる為にギガントルは子守唄を始める。ところが十ノ分経っても少女は眠らない。何故なら少女の興味はギガントルだった。ギガントルについて好奇心旺盛だった。
「仕方ない那。俺牙目指す物於特別似聞かせよう。これ端俺斗君乃共有する秘密だから袮」
「うん。ぜったいないしょ似する余」
 ギガントルは自分が代議士に成るのはある夢を現実にする為だった。それが躯伝に散々伝えた『三つの十の年計画』。最初の十の年は種を蒔く十の年であり、それは嵐に襲われて中々芽吹かない。
 だが、その十の年を堪える事が出来れば蒔かれた種が実り出す十の年が始まる。そこで自分は全てとはいかないまでも望み通りの事が実現出来る。
 その十の年までに自分の育てた弟子達が自分の理想や自分達の望みたい方向に国家を良くさせる十の年が始まる。それを伝えた時、少女は既に眠りに入る。
 少女をあやすのに疲れ切ったギガントル。世の中を変えるだの何だの言いながらも結局は一名の無垢なる少女さえも納得させられない自分を悔しがる。だが、それが生命。生命とは他者を思うがままに出来ない。出来ないからこそ他者と分かり合おうと必死に成る。まだ己が一般生命であると自覚出来たギガントルは少女の寝床よりだいぶ離れた椅子に凭れて少女が安らかに眠る姿を拝めながら静かに瞼を閉じてゆく……

 --そうだ。それ科羅一乃日似俺端液状型似気於取られる内似犬型似襲われ……それ科羅少女牙必死似俺於助ける。意識牙遠退く頃似他乃一般生命牙近付いたっけ、那、ァ……--

 ICイマジナリーセンチュリー二百二十年十月六十九日午前九時四十五分零秒。

 第八十四話 大久保は何故殺されなければ成らなかった 完

 第八十五話 躯伝の空 躯伝、雄略大陸に着く に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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