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一兆年の夜 第八十四話 大久保は何故殺されなければ成らなかった(五)

 十月六十四日午後三時十三分十二秒。
 場所はルケラオス県中央地区ルケラオス会館。数々の神を保管する博物館的な役割とここの生命が狭い場所で研究しやすいように個室が用意されるなど研究機関としての役割もある会館。その為にどっちつかずな部分が一般生命の需要を集めるには十分ではない為に近々閉館する予定。
 さて、そんな閉館予定の建物内に入るのは躯伝とギガントル。それは目当ての生命と議員過少論について話し合う為。その生命は会館一階にある第一準備室にてずっと収集した本を読破するのに忙しい者。部屋に入ると唯でさえその生命の図体のせいで狭いのに元々恵体だった二名に依って更に密度が増す。
「何だぜお、ギガントル先輩ぞう」齢二十一にして五の月と五日目に成るルケラオス象族の青年端山パオ乃。「何やら神々しい人族の生命を連れて来てぜおう」
「紹介しよう。俺牙秘書於務める国会議員乃天同躯伝さ」
 な、な、なああああんだぞうううう--名前を聞いて思わず天井を広くしかねない勢いだったパオ乃。
「驚くなよ。今じゃあ国家観もない只の生命だよ」
「どちらでも良いぜおう、色紙がぞう、色紙がぜおう……ないぞう!」
「その図体で探すのは難しいだろう。俺が探してやるから大人しくしていろよ」
 いえいえいえいえぜおう--と煩わせるのは例に失すると考えてパオ乃は自らの鼻で無地の紙を一枚拾い、躯伝に渡した。
「まあ記したらそろそろ」躯伝は話が進まない事を好まない生命なのか、拙速を促す。「議員過少論についてわからない点を質問したいのだが」
「まさかその為に先輩は躯伝様を連れて来たのですかぜおう」
「ああ、そうだ牙?」
 任せろぜおう、其れなら他の事も一遍に話したっていいぜおう--と張り切るパオ乃。
 パオ乃に依ると議員過少論とは労働動員過剰論と対峙するべく築き上げられた理論であるとの事。先ずは議員過少論が築き上げられる根本的な原因としての労働動員過剰論について紹介しよう。この説を唱えたのは新天神武第三十五代最高官を務める板垣ツル恵介。彼は現在の生命人口が八千億を越え、やがては全ての職業で労働過剰が発生する事を主張した生命。その為に更なる仕事の発見を熱心に訴えた模様。詰まる所はやる事がなくて掃除や穴掘り穴埋めの簡単で何の価値も生み出さない労働者に価値ある仕事をさせる為に更なる新規の産業を主張した為。確かにそれは一読すると理に適う理論。だが、これについてパオ乃は次のように反論。
「つまり如何ゆう事だ?」
「僕達生命って一名一名が異なるじゃないぞう。鼻の長い生命も居たら歯の尖がった生命も居るぜおう。人族みたいに戦闘能力よりも想像力の方に偏った生命も居たら小柄で細かい作業が出来る蝶族や蟻族だって居るぞう。それなのに時の最高官だった板垣ツル恵介はそれらを見ずに単純に数だけで論じたぜおう。数だけ見たのでは労働力の過剰なんて証明出来る訳ないぜおう。出来ない仕事を持つ生命の事を理解せずして労働過剰なんて証明出来ないぜおう。だからこそ僕は議員過少論を主張したぜおう」
「そもそもどうして議員なんだ?」
「それは今から説明するぞう」
 議員過少論とは実はパオ乃の父で現在も元気に地方議員を務める齢四十二にして七の月と七日目に成る端山パオげんの苦労話から着床した理論だった。それに依ると国会議員の数は躯伝を始めとした国会内の仕事すらない議員が居る程過剰な中で地方議員はそれに比べて数が適正な議会がある所もあれば逆に問題が氾濫してそれに対応出来る議員が少ない議会もある。故に地方では総合して議員の数が足りない。だが、それ以上に労働力が足りない状態が続く。ところがパオ乃は提唱する前に国会議員を半数にして半分を足りない地方議会に送れば良いのではないか、と父親に薦めた。返って来た答えは余りにもパオ乃の鼻息を荒くする物だった。というのも半分にしても議員も代議士である以前に一般生命。自分達象族のように図体の大きい生命も居れば蟷螂族のように手が鋭利である為に苦労する生命も居る。故に議員は自らの身体を基に有権者に向かって明確な方向性を示す。その方向でしか有権者に訴えられないので細かい作業、力に大きく依存した作業、更には土の栄養を整える作業という幅広い観点から方向性を示す代議士が居る筈もない。そんな状態で国会議員を半分にすれば忽ちの内に国会は何度も空白状態が生み出される可能性が高い。勧めるべき政策が進まなくなる可能性が高くなる。故に過剰労働の心配よりも各生命の種類を考慮して正しい観点を生み出さないと後々の足枷と化してしまう。それが議員過少論の本質。
「そうか、あの親父さん乃意見於参考似して議員過少論於提唱した訳科」
「そうだぞう。一般生命の特に会社経営者はどうしても下々に考えが行き渡らないぜおう。それも見て来た…・…だが、下々だって何もわかってないぞう。だからこそ国会議員を半分にする事は即ち、極一部の有効な見方が出来る生命すらも地方に流す極めて危険な提案だぞう。考えてみてくれぞう、一企業で喩えてぜおう」
「確かにそうだな。俺も子供の頃に親父に何度も質問した事あったな。どんな質問をしたのかを全部が全部覚えていない。けれどもどの質問も親父は俺を優しくあしらう答えだったな。今思えば親父も俺の為に如何したら傷付けずに納得して貰えるのかで苦労していたのだな」
「優央様牙そこまで苦悩為さっていた斗端」
「そうだぞう。だからこそ安易な削減案は危険だぞう。其れこそ……ムムぜおう!」
 パオ乃だけじゃない。躯伝やギガントルも滅多に生命が来ない会館内で何かが侵入するのを捉えた!
「パオ乃、お前端戦える科?」
「もともと僕も先輩も肉体労働に特化した肉体の構造だぞう……半端な銀河連合位は僕でも倒せるぞう!」
「じゃあ加勢して貰うぞ、端山パオ乃!」
「勿論だぞう」
「やれやれ……俺達牙もし模鳩族、蝶族、兎族だった羅侵入した銀河連合於相手似自ら乃肉体似自信牙持てません那。何しろ、奴ら端元々戦闘牙得手じゃない乃です科羅那」
 ああ、だからこそ持って生まれた力は大切にするのだな--そう言って躯伝は二名に合図を送った。
(躯伝様似依る斗数端七体科……容易い!)
 運命の日まで後四の日……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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