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一兆年の夜 第八十四話 大久保は何故殺されなければ成らなかった(序)

 ICイマジナリーセンチュリー二百二十年十月六十九日午前九時四十二分十四秒。

 とある生命の命が尽きようとしていた。彼は選挙法に照らし合わせれば後二の年で選挙に立候補する年齢に達しようとしていた。だが、腕に絶対の自信があろうとも最後に己を死なせるのは遥か格下の銀河連合。液状型の姑息な戦法に倒れたのか……否。策謀型に翻弄されたのか……否。ふとした心の緩みが彼の良く見える図太い頸動脈に犬型の鋭い噛み付きを許してしまった。
 それでも彼を救助しようとたまたま通り掛かった一名の鬼族の少女が必死に流れ出る血を抑えようと断裂した頸動脈を塞ぐものの……彼はそれを拒む。理由は次の通り。
(医者乃一族似生まれた俺だからこそわかる。これだけ頸動脈於引き千切られ、尚且つ溢れんばかり乃血於流した。仮似三分乃一似達しなく斗模生命活動端やがて、止まるだろう。俺端死ぬ乃科、やっとカモミチ先生乃所把、逝ける乃科。だが、やり残した事牙多過ぎる。俺端後二乃年出立候補して十乃年掛けて先生乃目指した国しよう斗、思って、居た乃似!
 そ、そうだ。死ぬ前、似、思い出そう。そうだ、あれ端、あれ端--)























「……トル?」
(聞こえる。俺於呼ぶ声牙聞こえる。それ似、体牙重く、ない?)
「ギガントル・ダジャール。起きろ、朝だ」
(この声端……そうだ、俺端今日やらなけれ芭成らない事牙あった!)
 齢二十三にして十一の月と五日目に成るテネス鬼族の青年は目覚める。齢三十二にして十の月に成ったばかりの神武人族の中年が彼を起こした。
「また貴方です科。何時模思います化戸、他乃者似頼んで下さい」
「そうはいかない、ギガントル。まだまだ中堅の議員だぞ、俺は。何でも真古式神武とは違って俺を認める奴らは少なくてな。だからこそこうして雑用成り何なりをして何れは……いや、齢四十の年以内に最高官の座に上り詰めるつもりだよ」
「そうです科。相変わらず乃謙虚さ斗それ似見合う恐るべき自信乃持ち主です袮」
 青年の名前はギガントル・ダジャール……二回生議員でもあり、新古式神武最高官だった天同優央やさおの遺児である天同躯伝くでんの秘書を務める。
「です牙、早め似帰って下さい。奥方端何時模心配しておられます余」
「心配要らん。俺はここで死ぬような生命ではない」
 そしてこれは後に向かえる躯伝の物語の序章。その序章としての青年ギガントルの物語である。

 ICイマジナリーセンチュリー二百二十年十月五十九日午前五時十一分二十七秒のほんの些細な早朝であった……

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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