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一兆年の夜 第八十三話 松陰は何故、功罪を遺したか(五)

 午後零時一分十一秒。
 体調が穏やかだと判断したカモミチは最後の講義を始める。
「もう無理しーないで下ーさい!」
「後ーは僕ー達だけでこの塾を続けますかーらもう先生は休んーで下さーい!」
「休んだ所で残り寿命が長く成るだけね。其れならこの日に最高の授業をして人生に幕を下ろさせて貰うね」
「で、でも--」
 好き似させろ、お前達--ギガントルは年長者の面子を以って三十七名の口を止める。
「有難うね、ギガントルね」
「最高乃授業じゃなかった羅無理矢理起こします曾、先生」
「わかったね。最後の授業は何と言っても神様についてね」
「神様?」
「神様といーうのはこの一帯全ての事じゃーないか?」
「いいやね、神様はね。そもそも定義づけが曖昧な物ね。それ以前に僕達は神様について余りに無知な所があるね。大体神様というのは一般に言う万物に神が宿るという考えを基にして物を大切にするという考えを育む為にあるね。そもそも物を大切にする生命を育てるにはやはり神様は何時も見ているね、と子供の頃から教えないと育まれないからね。その為に黒板ね、石灰筆ね、後はその木で作った机なんかもそうね。神様とは即ち物である……誰もがそう思うね。
 けれどもその考えだと何かしら説明のつかない事もあるね」
「くらっしゅな説明のつかない事? だいなみっくにそれは一体?」
「それが一兆年の神々の事ね」
「わんだふううるな話だあああ!」
「それで授業盛り上げようつもりなのか、バンディロス君?」
「まあまあね。今は神の話を進めるのが先ね。如何して神様の定義として物だけじゃなくね、歴代仙者が行う特殊な予報の中に登場する一兆年の神々まで出て来るのかね。其れだと物が神であるという定義に揺らぎが生じるね。何故かね? 物はあくまで目に見える触ったり動かしたり出来る概念の事を指すね。なのに想像だけじゃあ絵に描いた餅の可能性が高いね。全然合理的じゃないね。合理的じゃない物を黒板を始めとした物と同一に扱うのは自然じゃないね。
 そうゆう訳で神とは何かね? 振出しに戻る訳ね。これを突き詰める学問の事を神学と呼ぶね」
「神学は僕の目指す分野じゃあーりません。でーすが、先生の最後の授業……避ーけて通ーるなど致しーません!」
「余り気合を入れるなね、最後くらいは羽を伸ばすね」
「洒落でーすか?」
「ああね、洒落ですね」
 それが最後の洒落と成った。さて、講義はまだまだ続く。それは僅かな時間の間に神学の歴史についてカモミチが少しだけ冗長に話す。先ず歴史の起こりは銀河連合が来る凡そ千の年より前とも語られる。或は生命誕生の時代から新街区は始まったと主張する学者が居る等、今も意見が対立して纏まりが付かない。そんな神学は銀河連合が降ってくるまで議論らしい議論も起こらずさらに発展らしい発展もせずに一つの結論を持って進められてきた。その一つの結論こそ次で話される。
「それが神は唯一無二ではない事ね。唯一無二ではない理由を古代種達が結論付けた理由は様々だがね、やはり彼らは何処かで髪は安っぽい存在であるが故に平気で生命は神の名を口にする事を挙げると主張する説もあればね、或は神は全ての生命の内側に居てずっと見守り続けるとする内的神論を基にして結論付けたとする説もあるね。どちらにせよね、確固たる結論付けとはいかないね。
 そんな結論を揺るがしたのがやはり銀河連合の存在ね。銀河連合が次々と先祖達を喰らい始めてから神学は議論を再開したね。皮の肉なのかね、一つの結論以降から全く進まない……下足へそくすると神学その物が一旦終わってもおかしくない程一つの結論で停滞した神学ね。それを銀河連合が再開させたのだから困った話ね。銀河連合とはやはり……グブウウウブウウ!」
「「「「「先生イイイイイイ!」」」」」
 そしてカモミチはその場に倒れ、三十八名の塾生に見守られる中で最後を迎えようとしていた……
(まだね、まだね、授業は終わってね、ないね、ないね……でもね、でもね、もうね、時間がね。神様の話ね、をね、したくね、成ったのはね、夢でね、一兆年の神々のお告げがね、だからね、だからね、やりたかったね……最後にね。最後にね、みんなの意見をね、みんなの……ああね、御免ね、レオ田蔵さんね、そしてね、みんなね・……でもね、幸せだね。こうしてね、塾生達にね、囲まれたね、状態でね、し、ね、ぇ……)

 ICイマジナリーセンチュリー二百十八年十月六十九日午後一時零分零秒。

 第八十三話 松陰は何故、功罪を遺したのか 完

 第八十四話 大久保は何故殺されなければ成らなかった に続く……

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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