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一兆年の夜 第八十三話 松陰は何故、功罪を遺したか(四)

 十月六十八日午後三時零分二秒。
 場所は迷宮の洞窟前。
 水曜の授業が終わり、これから六の時までカモミチは個別で二十五の分掛けて疑問に思う事、主張したい考えなどを抱く塾生達と相談する。しかもカモミチ一名だけで最大で六名と個別の勉強会を開くのだから労力は甚大。特に余命二の日を切ったカモミチにとっては六名を相手にするのも難しい話だろう。しかも二十五の分ちょうどに終わらないと後が閊える以上は。
 ところが今日に限り、ギガントルがトビ男と共に相談役を務めるように成る。年長者ながらにわかり易くする心掛けが上手いギガントルと塾生一の勤勉家のトビ男。二名はカモミチの為に足りない塾生の相談を手伝い、彼を助けた。これを見てカモミチは六の時に二名を残らせた。
「まさかお叱りすーるのでーすか?」
「いやその反対に有難うね。お前達さえいればこの塾は存続するね」
「それ端異なりましょう、先生。先生牙居て来楚塾端誕生しました。身寄り乃ない子供達弥一縷乃希望於託して預けた親乃願いあって築いていきました。それ於先生無し出続けるなん照言わない出下さい!」
「そうでーす。先生無ーしでこの鴨下政治塾があーりません!」
「だから如何科先生端何時まで模長生きして下さい。俺端親父似連絡して先生似有効那治療法於得よう斗試みております。それだけ俺……俺達端先生乃知識於もっと知りたい乃です!」
 君達ね--カモミチは二名の熱意に圧倒される。、
 結局、カモミチは二名を説得する事が出来なかった。その為、半までに帰すつもりが午後七の時まで熱意を聞く羽目に成った。

 十月六十九日午前八時五十二分十八秒。
 カモミチは珍しく遅れる。その為、無理を押して両翼に身の丈に余る量の風を取り込んで飛行。上手く行けば時間通りに到着する……筈だった--
 なね、何だね--カモミチの空路を妨げるモノが一体!
 鳶型銀河連合は上昇する速度に於いては空中型の中で上位に位置する。そんな鳶だからこそ遅刻で心身共に焦っていたカモミチは少し体調が良かったら串刺しに成っていただろう。それくらいに突然の発作で螺旋を発生させ、僅かな間合いで鳶型の一撃を躱せた己の幸運に感謝しながら吐血してゆく!
 吐血も又、己の肉体をまま成らない状態にするのなら中途半端に冒される事も命を危険に晒す。既に曖昧な境界線を選ぶしか生き残る道がないカモミチ。通常の己ならば実戦経験を持って鳶型を倒せる。だが、今のカモミチは満足に翼も動かせない。木に吊るされながらも周囲を確認するカモミチ。このまま鳶型を無視して迷宮の洞窟前まで飛ぶべきなのか? それとも今後の憂いを断ち切るべきなのか?
 カモミチは悩まずに選ぶ……後者を。彼は授業に間に合うよりもかわいい教え子を守る為に今後の憂いと成る鳶型に挑む。
「この選択が如何であってもね、僕は後悔しないね。レオ田蔵さんが己の選択を公開しなかったように僕もこの選択を決して後悔しないね。だから僕は只では死なないね!」
 高度成人体型五百にてカモミチと鳶型が交差する時……そのまま加速する何かと落下する何かが決定された!

 午後零時一分八秒。
 場所は迷宮の洞窟前。
 塾長の突然の遅刻に心配する三十八名。その内の二名はカモミチに代わって教鞭を振るい、午前十一時に成るまで勉強に励んだ。そして昼食休憩の終わる午後零時に入り、その二名は三十六名に休憩終了の合図を知らせに行く。
 その二名とはギガントルとトビ男。二名はカモミチに代わって授業を進めた。始めこそ身持ちが難く、談話を始めたり、欠伸を出す他の塾生を注意する際に研かが始まって満足に進まない試み。だが、十の時と半に入ってようやく三十八名の心が一つに集約し、一つの課題に向かって議論が開始された。それは僅か二十八の分もの間ではあったが、濃厚な内容と成った。
 その内容とは『真古式神武旧領に残った生命の適応力』について。そこで活動を続ける生命は穢れに満ちた世界で何ゆえに生き残る事が果たせたのか? 更には食糧はどうやって確保したのか? 子供ながらに三十八名は議論した。時には良い考えだと思うと一斉に騒音に近い程に互いが互いに譲らない。譲らなく成る時、ようやく時間が来た。本来勤勉家で冷静な筈のトビ男が時間を気にしない程夢中に成るその恐るべき議題……唯一、冷静に時間を報せたのはせっかちなワン兵衛。せっかちな彼の性格が他三十七名に時間を報せた!
 そして休憩時間が終わり、授業再開という時にマイ世は発見した--左翼だけで迷宮の洞窟前まで飛んで来るカモミチの姿を!
「あああ、先生であれええい!」
「何……本当似先生だ!」
「片方だけで飛ばーれ為ーさって!」
「みーんなああああ、先ー生の所まーで駆け付けるーぞおおおう!」
 三十八名は走る飛ぶ、そして近付く。自分達の求めていた先生の元まで!
(そろそろね、ここで翼を止めてもね、あの子達はね、拾うさね。それからね、僕はね、最後のね、最後の授業に臨まないといけないね、ンだね)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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