FC2ブログ

一兆年の夜 第八十三話 松陰は何故、功罪を遺したか(二)

 十月六十六日午前九時零分五十四秒。
 場所は迷宮の洞窟前。
 そこで異変が起こった。それは迷宮の洞窟より突然現れた猿型と犬型。その対処に塾長であるカモミチと熟成にして最年長であるギガントルがそれぞれの獲物を以って挑む。それぞれ十八の秒と一の分にして二十七の秒を以って終わらせる。
「物部棒を使った戦いを以ってね、最小で犬型を仕留めたね」
「こちら端猿出模速度弥力模犬型乃方牙上那乃似如何して先生乃方牙早く倒せる? 力模獲物模俺乃方牙上那乃似!」
「確かに力や速度では大きいモノ程速くも大胆さも上ね。でもね、技だけじゃなくて心も経験も大きく上回れば多少の若さくらいなら軽くあしらえるね」
「だいなみずむな事じつだね」そう驚くのは齢十にして四の月と八日目に成る武内バンディクート族の子供であるバンディロス。「あぐれっしぶにどうしたら先生みたいに強くなれる?」
「それは銀河連合の死体を片付けてから教えましょうね」

 午前十時三十分一秒。
 二体の死体は只埋めるだけでは埋めた場所を中心に穢れが進行する。その為、埋める前に死体を墨で覆い、それから塩を入念に撒いて包み込む。最後に菅原紙で全身を包んだ後に掘った穴に放り込んでから土を被さる。それから一の分掛けて黙祷する。こうして黙祷を終えた塾長含む三十九名は月曜の授業を始める。
「今日の授業は満ち潮についてだね。如何して月の日に限って潮が影響を受けるのかね」
 遠過ぎる過去に於いては未だ重力の成り立ちについて彼らは得手しない。それだけ天体に関する情報収集がまだ不十分であるが為に。故にカモミチはそれについては自分の知る段階でしか答えない。
「月に依りね、成人体型一に満たない浜辺も何故か二或は三まで迫るね。これにはある事が関係するね」
「きっとお月ー様が降りてー来て水面ーを高くしーたんだ」
「だからこれで四回目ね、ワン兵衛君ね。早とちりは良くないって言ってるのに百回も二百回も注意するのは大変だね」
「ごめんーなさーい、先生ー」
「わかれば良いのですね。僕は君の出来が良くないから注意するのではないね。可愛いから注意するね。教え子を持つ先生は教え子を可愛いが余りに出来る限り良い大人に成って貰いたくて注意するのですね。可愛くなければ今頃は注意しないね」
「わかりましたー。こーれからも--」
 だかrってね、何度も同じ事を注意し続けられるほど僕も懐の広い生命ではない事を念入りに……ね--釘を刺すカモミチ。
「ううーう」
「ではでは話の続きと行きましょう……っと言ってもね、満ち潮についてはまだまだ知り得ない情報も多いから憶測でしか説明出来ない事をここに詫びるね。ではでは前座はこのくらいにして如何して月の影響で満ち潮が起こるのかね?
 それは引力が働くからね。何でも月に近付けば近づく程に海は月の方に引っ張られ、自然と成人体型一にも満たない潮がそうゆう時に限って二或は三以上も到達する訳ね。引力は有り得ないって言いたいね?
 引力は林檎を枝から切り離す際に地面に落下する理由を踏まえればわかる通りに星に住む僕達が空中種族以外が飛べない理由にも関係しているね。それだけじゃないね。僕みたいな空中種族が風を受けて空を飛べる理由にも関係するね。確かに体重が軽くね、少しの空気を翼に浴びるだけで飛べるけどそれは星の内部で行き来する空気が受ける引力次第ね。もしも引力が働かなければ僕は上手く風を受け流せないね。引力のない世界とは即ちね、力の流れがない世界……自分自身がばたつかせるだけであっち行ったりこっち行ったりして危ないでしょうね。だからこそ引力はこの星に於いてもね、我々生命にとっても大事な要素ね。
 そんな引力を月も持ってるね。だからこそその月が放つ引力で満ち潮が発生するね。これを覚えておくと便利ね」
「でも疑問がありーます」挙足するのは三十八名の中で最も勤勉な齢十二にして九の月と二十一日目に成るボルティーニ鳶族の少年畑トビ男。「風まで引力に左右さーれる事でーす」
「良い所に気付いたね。確かにその通りね。何故引力に左右されるのかね? そもそも星の内部で発生する風というのは元々空気の塊を押しのけた際に受ける物ね。ほら団扇で仰ぐ事がそうだろうね。あれって力一杯空気の塊を押し退けるから発生するね。
 但しね、引力と風の関係については明日始める予定の……ウウウね!」
 突然、左手羽先で胸を抑えるカモミチ。心配で駆け付ける三十八名の塾生。どうやらカモミチには持病を抱える模様。それについては後程語られるだろう。
(今回はね、ここまでね。四の年より前に生き残りはした物の……代償として僕は長く生きられない体に成ってしまったね。でもね、それでもね。僕はこの命尽き果てる前に可愛い教え子達にね、僕の全てをね、教えねばね、成らないね!)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR