FC2ブログ

一兆年の夜 第八十二話 こうして大塩は英雄として祀り立てられた(六)

 午後一時二十一分七秒。
 場所は第一の霧。
 悲鳴を上げたのはカナ袮。それは四の月と二日目に成る息子カナ道がカナ袮の乳首を突き刺して、そのまま内臓を抉り始めた--そう、既にカナ道は銀河連合と化していた!
「ギッ、ギアアアアアア、カナ道ちゃんや、っだ。クル、クル、シジッジ、ッジ--」
 そのカナ道型銀河連合はそのままカナ袮から心臓を始めとした内臓を外に抉り出した!
「あわ、わーわ!」行為を終えて睡眠を摂ろうとしたワン打は突然の悲鳴に眠気が覚めて様子を確認した。「カネ袮親ー子がー、親ー子が……うえーえ、内臓をー食べてどんどん大ーきく成ーってるうう!」
「馬か鹿かしてるー場合じゃなーい、ワン打ちゃん。さっさとーあの銀ー河連合ーを倒さないと、って--」
 ところがカナ道型銀河連合はカナ袮の内蔵の一部を飛ばしてワンビートナの両眼を封じると素早く飛翔し、ワンビートナの喉から先に風穴を開けた!
「わ、ワンビートナアーアアーア!」さっきまで種の儀式を行った相手が一瞬にして肉会と化した事を受けて悲鳴の後に怒号を叫ぶ。「おのオオオオれえーえええーえい、よーくも僕ーのワンビートナあああーを!」
 だが、種の儀式には膨大な体力を使う為に立ち上がる際によろけ……そこを見逃さずにカナ道型はワンビートナの右目玉をワン打の口目掛けて放り投げた。当然、ワン打は生命の反射としてそれを両前足で掴もうとした。そんな僅かな一瞬がワン打の右眼にカナ道型の長く鋭い嘴の一撃が来て、絶命を促してしまうとは!
「貴様あああ、カナ袮親子だけじゃなくワン打とワンビートナまでやってくれて如何成るか、ってまだ話してる段階だろ、この、この俺を相手にやりやがるじゃねえかって!」
 ワシ兵衛はカナ道型と渡り合う……そう、カナ道型は藤原カナ道でありながらも小柄云々を越えてワシ十兵衛と空中戦を渡り合う程までの力を有する。それだけではない。ワシ兵衛の技術を盗み、今度はワシ兵衛を防戦一方にさせた!
「ウガアア、右翼があああ。俺の技術を盗むだけじゃなく、何か肉体が肥大化してね……って、まさかこれは学習型とか、まさかそれとも適応型? まさにどちらとも……ってうわああああ--」
 カナ道型はワシ兵衛が大地に下りて右手羽先を機にする素振りを見逃さず、そのままワン打と同様の方法で長い嘴で脳みそごと左眼を貫こうとした--その時、レオ田蔵が前右足で剛脚且器用に掴んでへし折った!
「れ、レオ田蔵が来てくれて、助かって助かるって--」
「少しい少しい黙っておきいなさいって、ワシ兵衛ってって」
 レオ田蔵がへし折り、シシーがカナ道型の首元に前左足の鋭利な爪で突く--これで四名を死なせた全く新しい銀河連合は絶命した!
「まさか休憩している間にもこんな事が起ころうだなんて」
「えっとヒイっとり、フウっとり、みいっとり、よん……これであたい達は残り十名っとり」
「うっとり、うっとり、うわああああっとり!」
 コウノリは抑え込んでいた恐怖が一気に解放され、新清麻呂の森を出て行こうと翼を広げる。無断で行動する事をレオ田蔵は許す筈がなく、彼を覆うとした時……コウノリは流れ刃を喉に撃ち込まれて大地に落下すると同時に血を流して絶命!
「うわああっとり、コウノリ君があああっとり!」
「あわわね、これはもういけないね。そそね、そうでしょね……ワシ兵衛さんね?」とさっきまで影が濃くないカモミチはワシ兵衛を尋ねるが。「あれね、返事してますかね?」
 その時、ワシ兵衛はカモミチに襲い掛かる。カモミチを庇うようにアゲラとチョウメイが小柄な体でワシ兵衛だった肉体の首元に突撃して力一杯噛み付きを咥える。その結果、カモミチは本来右眼を貫く一撃を僅かに掠めて命拾いした。代わりにアゲラとチョウメイは力一杯振り払われ、頭部を尖った石の角にそれぞれぶつけて命を落とした!
「うわああね、アゲラさんにチョウメイさんねええ!」
「ここは私達が共に行きましょう!」
「子を頼まれたぞ、シュルーナ!」
 既に死ぬのは自分と決めてシュルーナが引き付け、カエ浩三がそれぞれの嘴で互いの急所を突いて……見事に命を懸けてワシ兵衛型を仕留めたカエ浩三--シュルーナは夫の勇敢なる最後を言われた時から既に覚悟を決めていたのか、戦闘中も涙を流していた!
「貴方……絶対にこの子は--」
 ところが今回の銀河連合は一味違った。宿主が息絶えても宿を失った銀河連合は命を落とさない。寧ろ、これを機にカエ浩三を通じてシュルーナを乗っ取った!
 残り四名。シシー、カモミチ、コウノ尋、そしてレオ田蔵。特にレオ田蔵は銀河連合の真の狙いについて既に読み切っていた。
(新種の新種の実験もそうだろうが、真の狙いは最初にわざと少なく展開しいてからカナ道君の肉体にい侵入しいてこちらがここまで退却しいた頃合を図って……結局はどっちにい転んでも俺達は、俺達はは!)
「お気をお気を落とさないで、レオ田蔵よよ。過ぎいた過ぎいた事を気にしいていたら今までの先者達にい申しい訳ないわわ」
「ああ、シシーの言う通りいだだ。ここはこ、っぽ、は?」レオ田蔵は胸に違和を感じ、右前足で確認すると確かにシシーの鋭く太いに触れる。「何、何を、しいたんだだ?」
 既にシシーは居ない。シシーはコウノリを貫いた物部刃に触れた為にそれを経由して液状型に乗っ取られた。銀河連合は物量で何とか出来るのにそれでもレオ田蔵達を完膚なきまでに追い込む。まるで自分達の無力さを思い知らせる為に!
「ウワアアアね、レオ田蔵さんがね!」
「にに、二名共、命を、命を懸けて、にい、逃げろおおおおおお逃げろおおおお!」
「命をっとり……わかっとり!」コウノ尋が周囲を警戒して無事な空域を発見すると空かさず飛ぶ……「命を掛けてそれをっとり……はえっとり?」ところが外ばかりに目をやり内部のシュルーナ型の長く鋭い嘴に目を向けない為にコウノ尋は胴体を貫かれた。「あっとり、あれっとり……」
 皮肉なのか、コウノ尋のお蔭でカモミチは無事に森から脱出する事に成功してしまう--コウノ尋が飛び立つ途中で呆気なく幕を引いた事を知らずに!
 そして残ったレオ田蔵は最後の仕事に踏み切る。それは最愛のシシーを自らの足で共に想念の海に旅立つという仕事を!
「ではでは……往こうか、シシーよよ」
 死に際にレオ田蔵は次のように思いを述べる。
(ヘヘ、俺は結局何も残さずにい果てるる。それそれもありいかも知れないい。それそれでも……俺は無駄にい命を使った訳じゃ、ないい。だよだよな、シシー……やや!)

 ICイマジナリーセンチュリー二百十七年十月五十六日午後二時零分零秒。

 第八十二話 こうして大塩は英雄として祀り立てられた 完

 第八十三話 松陰は何故、功罪を遺したのか に続く……

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR