FC2ブログ

一兆年の夜 第八十二話 こうして大塩は英雄として祀り立てられた(五)

 午後一時零分一秒。
 場所は第二の霧。且ては貪食の霧と呼ばれた空間。そこで活動する生命は食欲の異常分泌により、食べても食べても満たされなくなる。胃がはち切れ様とも食欲が際限なく分泌される。
 だが、今では食欲を異常分泌する物質は存在しない。既に喰われ、新清麻呂の森として変容した以上は内部構造と同じく生命を貪欲にさせる物質は放出されないのだから。
 そんな場所にてレオ田蔵は苦戦を強いられる。というのも当初は数三十七体との情報でその周辺には合流するには二の時も掛かるとされていた。ところがそれは巧妙に擬態する事で逆に十五名を誘き寄せる為の銀河連合の戦略だと知るのは今しがた……レオ田蔵は一時退却を命じるしかなかった。しかし--
「た、大変でーありますー!」
「如何如何しいた、ワン打……くぐぐ!」右後ろ脚に物部刃のような何かを撃ち込まれ、やや喘ぐも耳を傾けるレオ田蔵。「まさかまさかの挟みい撃ちかか?」
「そうではありーません。ワンビートナがー、ワンビートナがー!」
 わわ、ワンビートナって……取りい囲まれたのかか--直ぐ様、駆け付けたシシーに依って迅速な処置が施されながらも周囲を見渡してそれを発見するレオ田蔵!
「傷は傷はそんなにい抉りい込んでないけど……でもワンビートナが危ないわ、私が行って来るわわ!」
「いやいや単独では良くないい。数が数が目算で十三も居るぞ……ここは傍にい居るイノ三十五郎と一緒に助けにい行け行け!」
「いヤヤ、わしは右前足を深く抉られたアア」ところが肝心のイノ三十五郎は四足歩行種族にとって大事な四本足の一本が使い物に成らない程の重傷を受けた。「仮に助けられたとしても最低でも一名は置いて行く決断に迫られるゾゾ!」
 そそ、そんなな--余りにも重大且如何しようもない状況だと知ったレオ田蔵は涙目と成る!
(ここはここは俺が行かなければいけないのかか。誰かが誰かが死ぬくらいなら俺が死ぬ方がまだ再起が望めるる!)
 そう考え、イノ三十五郎に陣頭指揮を任せようとしたレオ田蔵。しかし--
「ワシは面倒見るのが好きじゃなイイ。だからここはわしとシシーであの小娘を助けに行くウウ!」
「でで、でもその足じゃあ--」
 若い者は年寄りの言う事を聞けええ--その一言で諦観するレオ田蔵。
 その理由はレオ田蔵が長年の経験より培ってきた死んでゆく者達の覚悟の瞳に等しかった。そう、イノ三十五郎は命を懸けて若い世代に道を譲ろうと心に決めた。先に死んでいった者達への無念が彼にはあり、二度と先へ行かせない為に……イノ三十五郎はシシーと共にワンビートナの救出に向かった!
 そして大群との戦いで傷を負いつつも無事なワンビートナを二名は救出させる事に成功。だが、イノ三十五郎は救出の際に前足のもう一本を使い物に成らなくし、均衡不十分でその場に足を留める事に。差し伸べるワンビートナやシシーの足を自慢の角で振り払い、彼らに行くよう促し……十四名の明日を案じて第二の霧で運命を共にした!

 午後一時零分十二秒。
 場所は第一の霧。
 ワン打はワンビートナが助かった事を聞いて犬族の抱擁を交わした。それは激しく、そして互いを励まし合うかのように!
「ハッ、こんな時でも者目を気にして物陰でやって、っさ!」今の状況でも従来通りに礼儀作法を重んじる二名に小言を二言呟く子持ちのカナ袮。「ヘッ、まあそうして生命は誕生するんだろうけど、っさ」
「何なら俺が親父代わりに成る。いや、金糸雀族の息子を持った鷲だなんて其処はちょっとおかしいだろうけど、で、でも母一筋でやるのも--」
「カッ、子供が泣いてるじゃないか、っぜ。ヘッ、だから鷲族の生命は好かんのよ、って!」
 却って気分を良からぬ方向にさせたワシ兵衛。そんな彼らの様子も見ながらレオ田蔵はシシーの前両足を回されながらも思考する。そんなシシーは意外にもレオ田蔵が相談するまで彼に考えさせる。
(ウウ、イノ三十五郎……俺は道が正しいくなかったかなな? 俺は俺はちゃんと計画通りにい作戦を考えなかったのかなな? 自分達の自分達の力を過ぎい足る物と考えてはいなかった筈だだ。なのなのにい俺達は最初の勝利にい心躍って遂にい……こう成ったらら!)
 それからシシーと抱擁を交わしながら相談し始める。
「あらあら、坊や……言っとくけど私も始めてよよ」
「いやいや、今は余計な体力の費やしいを考えてはいないい。只抱かせてくれくれ」
「種の種の保存じゃなく、普通に抱くだけってって。それはそれは雌にいとって非常にい気分良く無くさせる言葉よよ」
「そうそうだったかか。まま、もっと勉強するよよ」
「それそれよりいもどんな事を話しいたいのの?」
「俺達は俺達は拙速過ぎいたかか?」
「そのその判断は後の学者達が論じるべき事柄よよ。私からは私からは言えるのはそれだけねね」
「はあはあ、君自身の意見は言わない訳かか。全く全く雌心を理解しいろと言って来る雌は少しいは雄心を理解しいて貰いたいねね」
「へえへえ、雄はそうゆう返答にいて気分が良くなく成るのの。大変にい大変にい勉強に成るわわ」
「全く全く君は自由だねね」
「幾らでも幾らでも好きにい成った雄を振りい回しいたけど、これでもワン打とワンビートナのような激しい事はまだ未体験なのの。ねえねえ、早くしいてくれないい? これこれ結構気持ちいが良いって当時角新古式神武内にい暮らしいていた同輩の雌から聞かされたんだけどけど」
「それはそれは体力の費やしいだとも聞くが……ま、気分転換にい成るならやってみるのも一興か--」
 その時、悲鳴が二名の儀式を妨げた!

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR