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一兆年の夜 第八十二話 こうして大塩は英雄として祀り立てられた(三)

 午前六時五十八分四十三秒。
 レオ田蔵、ワシ兵衛、そしてイノ三十五郎は昨の夜までに議論し合い、新清麻呂の森にこそ生鮮な食糧と正常な水が採れると知った。しかも新清麻呂の森がそうである根拠を調べ上げたのはコウノル・リリアス。彼は頭こそ冴えないが命令された事は忠実に果たす為に偵察員として獅子族の如き働きぶりを見せる。故にコウノルが今ある場所を離れて新清麻呂の森に攻め込むという話を聞いて誰よりも驚いたのは無理からぬ事。自らの探索がレオ田蔵のある決断を早めたと聞いて。
 それだけじゃない。レオ田蔵は愛する者の為にも今回の侵攻を少しでも成功させる為にコウノル以外の要員に銀河連合の戦力分析を依頼。依頼されたのはカエ造シュルーナ夫妻。二名は旋回しながら度々、様々な銀河連合を仕留めたり、或は仕留めきれない場合があっても大方の戦力を把握する眼力を持つ。そしてレオ田蔵と同じ獅子族のシシーは雌とは思えない身体能力を以って各地の銀河連合と渡り合い、戦況報告をする事で緻密な資料形成に務めた。そう、気が付かぬ内に相思相愛関係にあるレオ田蔵とシシーの絆が生んだ作戦。
 さて、彼らだけじゃない。カナ袮カナ道親子も尽力。常に手軽に使える竹槍の整備及び品質の管理も怠らない。その結果は足軽或は羽軽に使える武器が足下に広がる。親子だけじゃない。これには細かな棚卸をするアゲラとチョウメイの活躍もあった。二名は蝶族の小柄な肉体を駆使して鱗粉を少し掛けて少しでも色に変化があるかどうかを確かめる事を怠らなかった。蝶族の二名と金糸雀族の親子の尽力も今日の作戦に繋がる。
 それから残りの紹介されていない彼らはこの日の、いやこれからの為に訓練を怠らない。食糧と水が足りない状況下でも何時でも戦えるように備えていた。そして作戦を聞いた彼らは大いに自らの力が振る舞えると信じて諸足を挙げた!
「わかってわかってると思うが、作戦は僅か一の日中に全てを懸けるる。時間を時間を掛ければ掛ける程にい俺達は弱まるる。気合で気合で何とか出来る時代はもう終わった終わった。だからだからこそ最初にい気合を入れてから徐々にい力を入れ、更には技を仕掛けて最後にいは運を引きい寄せるる!
 彼の彼の武道の心得を俺なりにい改良しいて作戦案としいて組み込んだよよ。良い良いか、お前らら。最初が肝心だだ。最初最初で一気阿世すれば後はもう奴らの流れはないいぞぞ!」
「そりゃあそうだけどっとり、具体的に如何すりゃ良いっとり?」
「具体案は具体案はその場で模索すれば良いい!」
「何だ、結局は行き合ったりばったりかよ。それじゃあ結局は、いや計画通りいかない気持ちもわからなくもないけど少しは計画案を考案して--」
 お前は黙ってロロ--とワシ兵衛の回りくどい訛りに怒鳴り声を上げるイノ三十五郎。
「確かに確かにワシ兵衛の言う事は正しいい。そのその場鎬で作戦を立てる事を前提とするのは勝てない者のする事だだ。けれどもけれどもこれ以上の案が思い浮かばないい。何度何度だって想定したした。しかしかし、もうこれ以上の素晴らしい案が浮かばないない。浮かんで浮かんでくる気配が起きないい。余りい余りにいも情けないない。数が数が如何とか言う話じゃないない。地形地形条件の程もそうだが、それそれ以上にいその場にい行かないと発想が浮かばないない。俺が俺がもっと頭が柔らかい生命だったらお前達に気苦労させずにい済んだのに……済まないい!」
 台から降りて深々と頭を下げるレオ田蔵。そんなレオ田蔵に近寄るのは惹かれ合う者同士のシシー。
「頭を頭を下げてる場合じゃないのよ、坊やねね。世の世の中には如何しようもない事柄は数々あるのの。それそれは星の数を数えるくらいにいくらいにい。でもでも君はまだましいよよ。他の他の生命はもっと良い案が思い浮かばなくて苦労が絶えないのの。そうそう諦める事はきっと……他の生命にい比べてまだ利口な証拠よよ。何故何故って……意地は頭を硬直させるって先者達は言ってたのよのよ」
「ああっとり、歴代仙者が--」
「字、違うわよっとり」
「まさか仙者の方じゃなくっとり、先の方っとり?」
 ご名答っとり--とコウノリの正答を褒める年配者のコウノ尋。
「其処う其処う、私語は慎めめ!」
「ねえねえ元気にい成った成った?」
 まま、まあなな--と頭を上げるレオ田蔵。
(そうそうだ、俺は頭を下にいする場合じゃないない。このこの日の為にい俺は今まで準備しいて来ただろうがが。ここでここで俺が頭を下にしいていたらみんなが下を向いてしいまうじゃないかじゃないか。それそれじゃあ最初の躓きに繋がってしいまうう。それそれで生活の為だと……笑われるなな!
 俺は俺はやるんだだ。そのその為にい今日まで準備しいて来ただろうがが。そうだ、そうだ、やるぞおおおうおおう!)
 雲天に向かって雄叫びを上げるレオ田蔵。それは移動の合図として十五名を運命の忘れられない一日へと真っ逆さまへと叩き落としてゆくとは……この時、誰も予想出来ない。

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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