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試作品 ドリーマーズアゲインよ、永遠に 手探りでお届けする駄作 (24/5)

 如何もdarkvernuです。
 早朝から早速やって行きましょう。

 宴がカズマとの最後の勝負に臨む前……アドヴァンスドヒューマン最後の一人にしてリーダーである西園寺私望は宴に向かって啖呵を切る。
「お前が齎した破壊はこの星の人間の価値観を壊した。その罪はお前自身を破壊しても足りない!」
「……だから?」
「この私が直々にお前を破壊する……土の能力を全て使ってな!」
「はあ、今の僕は技を仕掛けるほど余裕がないのだよね。だからさあ」
 余裕のない宴の初動は私望に攻撃する隙すら与えず……「一瞬だよ、全く」既に通り過ぎた後。
 余裕がない理由は直ぐに判明。宴は右掌を見てこう独り言を呟く。
「この宇宙に関する作業を終えたら僕は急がなくてはいけない。ガインがあいつに接触する日も近い。だからこの宇宙で楽しむ時間もこれが最後さ。その為にも僕は急がせて貰うからね」
 かつての宿敵との決着を付ける為。それが余裕のない本当の理由。だが、その割にはカズマに猶予を与える。その理由は次の独り言で明かされる。
「初めてだよ。ガイン以外でも僕を楽しませた存在を。只の非力漢だと侮ったが、土壇場で僕の破壊を逃れるなんて中々だったな……だから一瞬で下関を破壊しないのさ。僕はギリギリまで楽しませて貰うからね」
 それが快楽。余りにも油断の大きい快楽。宴はカズマに対してもフェアプレーを心掛ける。その余裕が宴に付着する植物の存在を過少にさせる。


 さ、敵サイドを書き終えて次は現在と行きましょう。

 現在……カズマは絶体絶命の状況に追い込まれる。宴が目の前で破壊を仕掛ける気でいる。そう成ると『パラレルワール』の発動前に事は終わる。最後のパスワードが思い付かない状況で最悪のタイミング。カズマにとって走馬灯が流れるよりも絶体絶命の状況は恐怖を更に高める。上下の歯を打ち付け続けるのはまだ心地良い。体が震えるのもまだ良い。恐怖の余り吐気催すのも失禁するのもまだまともな反応。酷いのはそれらが起こらない事。恐怖の克服……否、恐怖の過剰が齎す反応の鈍化。カズマは其処に行き着く。最早パスワードを打ち込んでもそれより速く破壊は実行される。宴の速度はあの田淵と同じく光速では遅過ぎる領域。絶対に間に合わない。奇跡でも起こらない限りは絶対に間に合わない。だからこそカズマはあらゆる危機反応が起こらない!
「な、この植物は!」
 その時、宴は一瞬だけ付着した成長促進植物に気を取られる。これにはカズマも一瞬だけ震え出す。危機反応が正常に作動し、徐々に元の判断を下せる状態に戻りつつある。それでもまだ安心は出来ない。七文字の片仮名入力のパスワードについてだ。カズマはそれに該当する文字を知らない。否……ここは思い出せないという表現が正しい。その理由については後述する。その前にカズマは正常に反応したせいで幻を見始める。その幻は次々とカズマに語り掛ける。
『ねえ、カズマ? 人間って素晴らしいのよ』
 その幻の正体は今までの思い出が作り上げた折笠睦海。カズマはそんな睦海の幻との会話に応じる。
「そうかなあ。今もこうして人類は間違った価値観の共有をして自ら滅びに向かうさ。何処が素晴らしいのか」
『あのね、カズマ。愛国心って何だと思う?』
「それは国を愛する心の事さ。郷土を愛する心やら隣人を愛する心やらと様々な解釈が為される曖昧な表現さ」
『そうじゃないの。これは人間を愛する心なの。常に売国奴ってのは人間を愛する事も出来ない人間が成る者なの。終末思想を信じる人ってのは人間不信の塊なの。人間を愚かだと断じて人間一人を愛する事も出来ないのよ。それでどうして愛国心が芽生えると思うの?』
「だろうね。でもそれで人間が素晴らしいって証明に成らないさ」
『いいえ、証明に成るの。大体ね、カズマ。最も恐ろしい動物は人間っていう表現は間違いなの。本当はね、それを伝えた人って人間社会しか見てないからそう言えるの。でもそれって視野が狭いと思わない? だって人間社会だけ見て人間が一番恐ろしいと断じるなんて性急過ぎないと思わない? ひょっとしたら犬族の社会が酷いかも知れないし、蝸牛族社会の方が醜悪な可能性だってあるじゃないの。何も人間だけが最も恐ろしいだなんて証明は出来ないのよ。そうでしょ』
「言えるね。でもわからないな。今にも死にそうな状況下で君みたいな幻想が俺に語り掛けるなんて。それで愛国心ってのは君が言いたい人間を愛する心が育むって事なの?」
『そうね。人間は確かに人間社会だけが見た人からすれば最も愚かな動物なのよ……少なくとも人間社会だけを見た場合で考えたらね』
「それウィンストン・チャーチルの民主主義最悪論に変換出来るのじゃないか?」
『でしょうね。でもそんな物でしょう、人間も民主主義も。そんな人間を愛する精神をここ日本には蔓延するの。それと同じようにここ日本には民主主義を愛する土壌が育まれるの。そう、民主主義を愛する心こそ愛国心を育むと同時に売国奴の土壌にも成る人間不信にさえ陥らせる……あれ、これってマザーテレサの有名な台詞にも応用出来るよね。きっとそうよ。日本を憎む気持ちを上手く愛する気持ちに変える事が出来たら私達日本人は蘇るのよ。きっとそうよ』
「もう言ってる事が滅茶苦茶だね、睦海。これじゃあ俺が日本人を目指したのは夢幻かも知れないね……待てよ!」
『やっと気付いたのね、カズマ。私からの最後のメッセージ。私という幻を作る過程で思い出してみてよ。そこにこそ私が忌避したかったあれを起動させる鍵が隠されてるの』
「じゃあ何故俺にしか起動しないように設定した、睦海イイ!」
『それは幻でしかない私に答える資格はないの。だからもう一度会いましょう。そうもう一度私と--』
 折笠睦海の幻は消え、カズマは現実に立ち返る。現実とは宴が目の前に迫り、一瞬にして破壊を実行しようと試みる一歩手前。
「やるぞ、睦海。奴の破壊が先か、俺の破壊が先か……答えは『ユメノオカエシ』で!」
「ク、あの土使いはやってくれたが……もう遅い!」
 破壊が発動する時、既にパスワードは撃ち込まれた後……そして二人は互いの破壊と向かい合いながら最後の舌戦を演じる!
「これは……カズマ・エターニティ。君は打ち込んだのか!」
「デ・ランデ・ストラ……いや破壊の宴。お前の人類を裁く資格はない。裁くのは俺達人間だけだ。お前には俺と睦海……いや、この道に至るまでにお前に破壊された仲間達が暮れた渾身の一撃を以て永遠に消えるが良い!」
「僕はまだ最上の楽しみすら待ってるのだよ。ガインは僕を待ち焦がれる!」
「俺達にはもっと楽しむ権利がある。お前のような存在に蹂躙される為に存在しない。何時までも子供染みた考えでこれ以上の破壊を行われて堪るか!」
「子供染みただとか余計だよ、カズマ。僕が産まれた意味は破壊する為にある。破壊こそが僕の生き甲斐であり、僕の最高の愛情だったのだよ!」
「ふざけるな、宴。そんな押しづけがましい愛情があって堪るか!」
「じゃあどうしろと言うか。このまま欲望を抑え、世界各地の観光を楽しみ、技の習い事だけに終始しろと説教するのか……そんなの不可能だな、カズマ。ニートも引退したての老人も結局は働く以外の道がないようにあらゆる存在は拒否した筈の欲求に従い、真理に追い込まれる定めにある!」
「自分で自分に止めを刺したな、破壊の宴。そうだ、その通りさ。俺が何処まで日本人のカズマ・エターニティを目指そうとも根本はアメリカ人のカズマ・エターニティに還るしかない。それでも俺達は成りたかったものに成る為の努力を諦めるのは人生最後を迎える時だろう……如何してそこまで努力しようとしないか!」
「フ、圧倒的な力を持った存在は孤独だよ。確かにこの力を以ってしても敵わぬ存在は居るには居る。でもカズマ……それを探すのがどれだけ大変なのかお前には想像すら出来ない」
「ああ、そうだろうな。俺はお前らみたいな敵わない存在しか会わなかったからそんな事が言えるのかも知れない。それでもな、俺みたいにお前らの存在に圧倒されても努力だけは怠らなかった。お前がもっとそれに気付いてくれたら例え努力した物が必ずしも体制出来ないという現実があろうとも少しは窮鼠猫を噛むように猫に噛み付く位の事は……出来るのにな」
「窮鼠猫を噛むと言う表現はそんな応用が出来たんだ……勉強に成るねえ、諺って。そろそろ時間だな。パラレルワールの力で僕は完全消滅するのか確かかも知れない。けれどもこれだけは覚えておいてくれ。破壊は簡単……なんて言葉はまやかしだ。何故なら僕から見たら再生する方が簡単な作業のように、思える、よ、ね、、ぇ……」
「俺は、死ぬ、のか? でもこれが、死、なの、か? 本当、に、そう、なの、かな、ぁ、ぁ、ぁ……」
 カズマは自意識が完全に消える前にこう願った。
 --もう一度、会いたいな、睦海……--

 EPISODE 4 完!


 これにてブログ版『ドリーマーズアゲインよ、永遠に』を終了させて頂きます。ラストシーンを読まれたい方は市丸代著書の商業用でじっくりとお願しますね。

 では今回はここまで。さあ、土曜なので休むぞ!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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