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一兆年の夜 第百三十二話 終わりの始まり エリオットの記憶は流れ星の中に(劇)

 九月八十日午前十一時一分零秒。
 場所は牽引船二階大広間。
 かつては食事会を開く等、旧時代では盛んに豪華食事会の為に使用された大広間。そんな大広間は今では大きな戦場として使用される。
「コウモ助さん、補充を頼むぞ」
「はいや、全く六本目じゃないこ? もう少し大切ね扱えや!」
「やってるよ。だが、銀河連合は……危ない、コウモ助ええ!」
 ライデンは飛来する望遠弾のようなモノを鞘で上方に弾き飛ばし、硝子照明の支えに偶然寸断するように命中--其れは落下し、ライデン達は避難するように後方に下がってゆく!
「危ないな、如何やら狙撃する銀河連合がどっかに控えて--」
 お前な方かさ危なああい--落下した後の硝子照明の砕け散った中におかしな軌道を描いて向かって来るのに気付いたコウモ助は大胆にもライデンの首元を庇うように飛翔!
「何……コウモ助、さん?」
 コウモ助の腹部から背中に掛けて貫通し、飛行能力云々を超えて彼の生命活動を止める一撃と成った--ライデン達が駆け付けた頃には既に何を揺さぶっても二度と反応しない姿と化した!
「コウモ助のおっさんが……マジで死んでしまったのか?」ライデンは信じる事が出来ない……「何時も一言多い上に何かしら行って来るあのおっさんだぞ!」致死量とも呼べる出血をして白目を剥くコウモ助の死を受け入れるのに冷静ではいられない。「此れで平常心? 少しは幻想だと認識してくれ、頼む!」
 だが、銀河連合はコウモ助の死を受け止めない時間が欲しいライデンの気持ちを理解しない--背後から雄略包丁のようなモノで振り下ろし、受け止めただけでなく却って彼に革仙者の能力を使わせた!
「隊長の瞳が、赤く輝たああ!」
「少しは幻想物語に浸る俺の気持ちを汲み取ってくれよ、銀河連合さん……よおおおおお!」
 ライデンは信じられない怪力で人型を天井に突き刺さる程高く持ち上げると次に襲い掛かる犬型よりも先に踏み出して真っ二つに両断したかと思ったら--既に次の場所に移動し、人鳥型の首を高さ成人体型十も刎ね飛ばして見せた!
「凄い……じゃなあああくて俺達も隊長に続うううくんぞ!」
「コウモ助さんの仇討ちぶうう、それだけじゃないぶ!」
「僕達の仲間や上官達を何名も悔い死なて来た銀河連合は絶対に容赦なんてしないかな!」
「怒りで我を忘れるな……怒りを制御して銀河連合と相対しろと何度も言ってるようにる!」
「其れでも僕達は怒りを制御する気なんてないっからな!」
 ライデンの怒涛の活躍に刺激されるように生き残った軍者達は命の続く限り銀河連合に向けて退く事もしない戦いを演じる。決して死者が出ない戦いでもなければ余裕とも呼べない戦い。けれども感情が初めて戦況を左右したとライデンが捉える程に牽引船での戦いは三の時より後に辛くも勝利--気が付けば四分の三が死に、ライデン達生き残った者達も全身血塗れで安静な状態は一名も居ない状況であると気付く。
(意識はあった。けれども怒りで痛みさえも感じない。革仙者の能力とかそんな問題じゃない。後から来るなあ、此れは!
 痛みに気付いたのが辛いんじゃない。全身の至る所が動かす毎に重く圧し掛かるのが辛いんだよ。能力とて呑み込まれるとこうして俺の今後を左右するからな。所詮、銀河連合を克服出来ないんだろうな。そう思うなあ、俺としては。そう思うから俺は常にコウモ助から言われ続けるからな。
 コウモ助を思い出すと……別に死んだって悲しく成るかって思うような生命だったのに、なのに。涙が止まらない。周りが涙を流しているから泣くんじゃない。死んでしまったらもうあいつの事を思い出すしか会えないとわかると辛いんだよ。サイ団さんの時と同じように悲しみで胸が裂けそうだ。何で親父や祖父さんの時もそうだったように俺には生命一名死ぬ度にこんなにも心が悲しむんだよ。特に良く知る生命程、好きな生命や好きじゃない生命関係なしに悲しみが膨れるんだよ。いけないな、こんなのらしくない!)
 ライデンは密かに甲板に出る、気分を逸らす為に。其処で彼はある光景を目にした!

(其れが今回の話の最後を締め括る真古天神武首都ボルティーニの姿。海の上からでも明白にわかるあの姿は眼を疑うとかそうゆう以前の問題だった。まさかあそこ迄ボルティーニを震え上がらせるなんて!
 如何ゆう状態だったのかを此れから紹介しよう--)

一兆年の夜 第百三十二話 終わりの始まり エリオットの記憶は流れ星の中に(悲)

 午後三時一分一秒。
 場所は調理室内。
 均衡は突如として崩れる--とある縞馬族の少年が頭部に物部刃のようなモノを貫通した事で雪崩れるように銀河連合が押し寄せる!
(そんな方法で俺達の雛共の築き上げた経験を全て無にしようとする気かあ、銀河連合ウウウ!)
 銀河連合は他者の気持ちを汲み取らない。常に全生命体とは反対の理念に基づいて行動する。其の方法が他の銀河連合を乗せた何かを撃ち込んで縞馬族の少年が頭部を撃ち抜かれてよろけて居る間に死体を中継基地にして傍に居た少年軍者数名の肉体に液状型を派遣--瞬く間に懐に入り、調理室に居る生命を一掃してゆく!
「隊長殿、みんなを媒介にしてあいつらは迫って来す!」
「クソウ、距離が離れている間に俺達は全速力で此処から出て奴等の射程圏の届かない所迄避難するぞ!」
「結局、四な時以上せこ保たなかっとの」
 半数の七名は調理室の脱出に成功。残り半分は銀河連合に喰われた。

 午後八時十八分一秒。
 場所は脱出艇。其れは護幕と呼ばれる弾力性のある素材で出来た船。水の上に浮く上に多数の者を同時に乗せるには十分過ぎる程に頑丈な素材。但し、進むには特殊な動力を外付けするか或は筏を使わないと成人体型六十七どころか十さえもまともに進むのは難しい。尚、一隻当たり最大人族の数で八名を乗せる事が可能。
(見た感じ何とか五隻分は脱出出来た。チョー磨さんやウサールは先頭で指揮を執っているな……如何やら船長は戦死してしまったとみて間違いない。いや、船長は昔から船と共にあるとされるから誰よりも速く脱出するのは船長として相応しくないというのが海の常識だったな。
 そんな事よりも重要なのが船が沈む。最初の方はあれだけ優勢だった俺達が呆気なく船を銀河連合に提供する羽目に成るなんて!)
 弱気ね成るの、ライデン--沈んでいるライデンを励ますコウモ助。
「有難う、コウモ助」
「コウモ助さんの言通り、ライデンさんは寧ろよくやったと思ます」
「其れでも結果が伴わないと俺達は責任を取るしかないんだよ、悔しいが!」
「悔しい事がありまあああうすか、こおおうれで」齢十七にして十七日目に成る仁徳馬族の少年ホーサー・ホルストルは意見を述べる。「如何して隊長殿が責められなければ成らないのですかああい!」
「其れが結果だよ、ホーサー。俺達指揮官は部下の命を、そして勝利の為に任務に当たらないといけない。一見すると両立しない事柄を熟す使命があるから……責任重大なんだよ!」
「其れが悔しいと言うのでぶ!」齢十六にして十の月に成ったばかりの仁徳豚族の少年豚島ブ助も意見を述べる。「ライデン隊長は僕達には出来ない活躍をしぶのに……結果だけで何よりも劣っていぶと評価されぶのは我慢出来ないでぶ!」
「此れ以上は言うな。其れに悔しかったら勝てば良い……生きる事というのは死ぬ事に比べたら幾らでも挽回する機会に恵まれている事を意味もするんだよ!」
 そうゆう事だからお前達ほ少し大人しくしろ……護幕船ご揺れち居心地ご良く無くて船酔いご新興したろ如何するんどや--コウモ助は此れ以上の意見を許さないように念を押した。
 其の五隻は銀河連合に依る襲撃に巻き込まれながらも更には天候の荒れに翻弄されながらも奇跡的に何とか全船無事に応神海を抜けて行く。そして、鯨族の老年が牽引する旧式の船に乗り込む事に成功する。

(未だ未だ海は荒れている。そして、銀河連合の襲撃は旧式の牽引船でも衰える事無く激しく襲い掛かる。其のせいで明くる日の朝方迄に船は戦闘力を失い、白兵戦を余儀なくされた。其の戦いは蒸気船依りも更に激しく俺達の魂を揺さぶってゆく。特に俺達は朝五時から戦いを強いられ、昼の十一時迄は何とか誰一名も死なせずに戦う事に成功した……が、其れも最初迄だ。俺の五本目の雄略包丁の刃が箱物用に迄短く成った時に悲劇は再び訪れる。又雛共が死んだって? 違うな--)

一兆年の夜 第百三十二話 終わりの始まり エリオットの記憶は流れ星の中に(行)

 午前九時二十九分八秒。
 場所は船の甲板。
 猪村イノック栖は此処で息を引き取る。死因は左米神に受けた物部刃の様なモノが時間を置いて抉り込み、脳に到達したのが原因。
「イノック栖さんがアア、ウワアアンン!」
「そんな……あんなに元気だったイノック栖君が呆気なく死ぬなて!」
 此れご戦いど……軽傷た思われと傷ぢま時間わ置いち効果わ発揮するころの--とコウモ助は年齢を問わずに戦場の恐さを端的に述べた。
「悲しみに浸っている時間はない」ライデンは指揮官として現実は情が非ずである事を告げて行く。「銀河連合は知っての通りこうゆう所で攻勢を掛けて来るさ!」
「本当じゃないのカカ、さっきよりも数が倍イイ!」
「僕達はイノック栖君の分まで頑る!」
「頑張るじゃなえ」コウモ助は蝙蝠族独特の音波を出してから計二十七体の銀河連合の巣に飛翔してゆく。「仕上げち行きいい!」
 四名だけで二十七体と戦う事に。其の途中でライデンの持つ雄略包丁はたった一体斬撃するだけで刃毀れを起こす。其れでもライデンは切れ味の良くない其れを駆使して何と二十体も倒すという天下無双ぶりを発揮--勿論、刃はもう頸動脈を裂けないと倒せない程に欠けた後だった。
(愛刃は別に良い。又、研ぐか新しい物を何とかすれば良い。問題は此の戦いで--)
 ライデンにとって相棒よりも寧ろ瀕死の部下の方が優先事項--イノ匠は計十一度も噛み付き、斬撃、突撃を受けて既に致死量の段階迄血を流していた!
「コウモ助さんよお、イノ匠は助かるの--」
 良くないね決まっている……今ころ医者な所ね行く迄どれだけ掛かるんどや--既に翼遅れな段階である事をコウモ助は告げた。
「アッグ……ああ、イ、ノッ、ク栖さ、んが、ガ、ガ」そして後押しするようにイノ匠は死んだ者の幻を見ていた。「ああ、行く、ヨ、ヨ。今、直ぐ、ニニ」
「其れは幻よ、イノ匠君。ね、イノ匠ううん!」
「……イノ匠はイノック栖の横に寝かしてやろう」
 イノ匠は死んだ……幾らライデンが誰よりも働いても助からない命は助からない。其れが戦い……其れが戦の争い--個者戦ならば自ら犠牲に成れば済む……しかし、戦の争いは集団で戦う為にどれだけ個者が力強くても必ず誰か一名は死ぬ!
(俺を含めて後三名。だが、あいつらは休みを与えない。此れ以上は此処で戦っても意味がない。悔しいだろうが、俺は指揮官として適切な判断を取るしかない!)
「何でよ、イノック栖君弥猪三君の仇が取れないじゃなか!」
「出来る物ではない。俺は既に包丁が此処迄欠けている。ハイラ道は傷こそ大した物がないけど、既に望遠刀の弦が伸び切ってまともに射撃も出来ないじゃないか。コウモ助に至っては予備の物部刃が空っぽだと明白。こんな状態で戦え、と? 二名はその為に死んでいったのではない……二名の為にも此処は退くんだ!」
 ライデンな言う通り……此れほ逃げるんじゃのえ、再攻勢する為な布石ど--コウモ助はライデンの意図を読んでそう説明した。
「わかりまた。僕は貴方の命じるが侭に退きす……では、二名共又後で!」
 弔いたい二名、だが……更に増えた銀河連合の数は二名を奴等の食糧にする事を許すしかない--全員悔しそうに歯を食いしばりながら退散してゆく!

(銀河連合の数は恐ろしい物さ。幾ら武器保管庫から補給しても奴等はいけ好かないが如く数を増やして襲い掛かる。其れでも俺は甲板を捨ててでも内部で何とかするしかないと決めた。というよりも午後三の時迄はずっとそんな所で奴等に挑み、切り抜けて来た。何とかハイラ道やコウモ助の命を助けながら他の部隊の新米軍者達十五名を集めて防戦を敷いて行く。其の際に死んでいった生命は居なかった。実際、怪我の状態が良くない場合には必ず後方に下がって検査するように命じた。一応、液状型に依る乗っ取りも想定しないといけないからな。
 そんな風にして雛共は立派に成長してゆく。困難にぶつかりながらも俺の知らない所で成長してゆく。其れは俺にとってもコウモ助にとっても喜ばしい場面である。だが--)

一兆年の夜 第百三十二話 終わりの始まり エリオットの記憶は流れ星の中に(進)

 午前九時二分一秒。
 場所は旧仁徳島跡。仁徳島は銀河連合と化し、原子望遠弾に依って海に沈んだ。今では其処にあるのは仁徳島の一部だった岩礁のみ。そんな海域にて船は危機に立たされる。
(弾薬が尽きた。そして海豚型、海豹型、鮫型、梶木鮪型……と季節外れから何から何迄、船に襲い掛かる。最早此れ迄か!
 ならば俺が出るしかない!)
 甲板を出て直接戦闘態勢に入るライデン。彼の後方にはコウモ助だけではない。齢十五にして二の月と二十七日目に成る仁徳猪族の少年猪村イノック栖と齢十四にして十一の月と三十日目に成る仁徳猪族の少年にして同僚の猪田イノぞう、齢十六にして七の月と十二日目に成る仁徳岩狸族の少年であるかつては両親が菅原岩狸族の経歴を持つ菅原ハイラ道の少年軍者三名の姿があった。
「お前等若いから後方で--」
「何で俺達が五武将の後方で怯えていないといけないんだアア!」
「そうですウウ、私も銀河連合を倒せるだけの筋肉瘤を持っておりますウウ!」
「僕達だて、戦う事で誰か一名でも多くの生命を救える事が出来る……なのに後方でライデンさん達を支援するなんてあんまりす!」
「俺達な戦いほ子供達わ死なせない為ねある。多くな若い世代ご俺達やれ先ね死んぢほ如何責任わ取れた言うんど!」
「コウモ助の言う通りお前達は何時でも脱出出来るように出来る限り安全な場所で--」
 そんな命令は聞きせん、死んだって其れは僕達が齢だけす--岩狸訛りがより決意を強固な物とする為に此れを聞いた二名は其れ以上の説得は念を断つしかないと思った瞬間であった。
「はあ、如何成っても知らん。俺は一般生命に比べて依り銀河連合らしいから遅れた奴は問答無用で置いて行くぞ!」
「何ニニ、老いて行かれる程脚は遅くなイイ!」
「私達は更に旋回も慣れた猪ですヨヨ!」
「のろぼ戦場ぢ大人達ね示しち見せら、鶏族な雛な様の軍者達み!」
 ライデンを始めとした五名は甲板に降り立つ数多の種類の銀河連合計十八体と対峙。旧世代の雄略包丁ならば刃毀れして当然の数。勿論ライデンを始めとした五名は名者級の使い手ではない。だが、時代は刃毀れが生じる段階の血飛沫を何度も耐えられる程に革新へと至る。品種改良された雄略包丁を始めとした武器は五回銀河連合を血に染めても耐えられる程に硬度を高めていた。勿論、硬度が高いと切れ味は旧世代に比べて遥かに増すのは当然。何よりも切れ味とは角度だけではない。切った際に極僅かに鋼は欠け続ける事は承知の通り。其の意味は着る物に比べて硬度の差が縮まっている証拠でもある。そして、切られる側の硬度が切る側を大きく上回れば鋼は寸断される。其れ位に硬度は重要な要素。
 但し、段落を変えて説明を続けると硬度にも高ければ良いという話ではない。硬度がある方が良い……だが、包丁に必要なのは柔軟性。此れが少しでも低いと上手く刃は通らない。柔軟性とは手が下回れば軟に等しい。けれどもどの世界でも良く聞く柳の木のように柔軟且つ軟ではない硬度だと如何成るか? 最初に此の極致に至ったのが代々の天同家が所有する雄略包丁よりも切れ味が優れた神武包丁。だからと言って何回切っても刃毀れしないという理想には至っていない。けれども、時代が遡る度に神武包丁も発展を遂げ、今では雄略包丁同様に硬度と柔軟性を両立したある程度銀河連合を断ち切っても刃毀れを起こさない段階に至った。
「此れで十八体目……お前等生きているかああ!」
「俺ほ大丈夫ど……少々危ないご」
「私も大丈夫でスス」
「僕もす」
「俺なんか--」
 悲劇は一瞬で訪れる--イノック栖の両眼は飛び出かねない量の血が溢れ、其の勢いと同時に耳、鼻、口から出血を起こして絶命!
(何だよ、何で……だから言ったじゃないかあああ、出来る限り安全な所で戦えってよおお!)

一兆年の夜 第百三十二話 終わりの始まり エリオットの記憶は流れ星の中に(旅)

 九月七十九日午前六時二十一分。
 場所は海洋藤原。
 成人体型縦六十、横二十、高さ十の電動蒸気船。其の動力は蒸気機関ではなく、原子望遠弾に使用される天王子或は冥王子。其れ等を核分裂させる事で爆発的な動力を獲得するに至る。残念なのは此れを使用する電動蒸気船が少なく、現時点では十隻を下回る勢い。そんな船に乗るライデンとコウモ助は喜びに満ちる。
(此れなら間に合う。明くる日まで掛かりそうだけど、何事も無ければ朝方には到着するんじゃないか?)
 だが、幾ら核分裂に依る莫大な動力を得てもやはり定期的に港へ停泊する必要がある。だからこそライデンは其れを踏まえて早計さん……勿論、そんな都合良く進むとは限らない。
「ライデンな坊主、わかっているた思うきだ」
「わかってるよ、そん位は。如何せ銀河連合が来るに決まっているのはわかり切る」
「おお、逆さまね確認するた……本当ね来た。じょお俺ほ寝るじ!」
 待て、こんな緊急時に寝るんじゃねえ--蝙蝠族の夜行性に叫ぶしかない。
 コウモ助が夜目で遠視したのは……何と全長成人体型四十の鯨型。ライデンにしてみればルドールやキッシェルと逸れるきっかけと成ったあの鯨型を想像する。だが、同時に次のような事も想像する。
(確か此の船は軍事船だったよな。ならば巨大な水棲銀河連合を相手に何処迄戦えるかも確認しないといけない。観測班に依ると幸いなく此処に強力な生命が泳いでいない。鯨族だって泳いでいない。当然だろう、船旅の時にうろつく何て交通事故の始まりだからな。其れを回避する為に船は報せを届ける。幾つもの会話術を使ってでも報せるからな。
 とそうじゃなくて俺は万が一にも雄略包丁を持参して構える。果たして軍事船の実力は如何か?)
 ライデンは直ぐ様、中へと入ってゆく。そして五武将だからこそ入室が認められるある場所に入る。

 午前六時三十分十八秒。
 其処は砲撃室。砲撃者三名に整備者一名、そして総指揮者一名の体制。
「此の様に……始まったるな」齢三十一にして一日目に成る仁徳蝶族の中年にして砲撃総指揮者を務める葛西チョー磨はライデンに説明していると直ぐに切り替えて指揮を担当する。「良いかいなる。鯨型に絶対近付けるんじゃないぞる!」
「わかっていぶ」
「僕達は此の日の為に訓練しちゅ来たよ」
「恐い……でも恐くて当たり前」
 其々豚族、鼠族、蜘蛛族ではあるが砲撃に関しては三名共特性も相まって間隔良く撃ち込んでゆく。特に繊細な動きをする蜘蛛族は力こそは他の二名に比べて低い。けれども其れを補って余りある正確に狙いを定める技術は他の二名を凌駕する素質を持つ。
「三名は良くやっるさ。でも僕の動きは三名とチョー磨さんの足下にも及っばない!」齢十九にして十八日目に成る鬼ヶ島兎族の少年にして者員足りずから砲撃室に於ける主任整備士に任命されたウサール・ドウワンは自らの能力の足りなさを嘆く。「もっと早く捌けたっら、捌っけたら!」
「己を強気にしろる。今は真古天神武のあらゆる場所で洪水が起こり、水没した市町村だってある状態だる。寧ろ二名いや三名必要な砲撃室で二発分を補充出来る働きぶりに感謝するる!」
 ハハ、お褒めを感謝しまっす--ウサールはチョー磨に感謝する。
「俺も手伝おうか、ウサール?」
「え、良いのでっすか?」
「見ているだけでは意味がない。俺も整備を手伝ってやるさ」
「気持ちだけでも受け取っておく……が、如何やらそう成りましたるね」
 本当だ……血の渦潮を噴き出して鯨型が沈んでゆく--ライデンの出番は未だ此処ではない。

(此処を含めて最初の二戦は俺の出番はない。俺は見てるだけで何もしない。いや、出来ない。何しろ、俺が出来るのは俺の大きさでも何とかしないといけない銀河連合だけで巨大だと物に頼るしかない。然も物はたったの一名だけでは何とか出来ない。二名以上が協力して動かしてゆくからこそ其れは縦横無尽に動く。だよな、俺はそうゆう大切な事を忘れていた。俺がこうして強く成れるのも首都ボルティーニに向かえるのも全ては誰かの助けがあったからさ。サイ団の死も他の五武将や相武様を思う事も全ては恩返しの為さ。
 そうだ、俺の出番があるとすれば三戦目……如何しようも出来なくなった時に俺は--)

一兆年の夜 第百三十二話 終わりの始まり エリオットの記憶は流れ星の中に(序)

 未明。
 謎の青年は自己紹介と共に此の秘境の事をこう呼んだ--勇者の成功物語--と。其の秘境の特徴や更には如何してそうゆう作りなのかを青年成りに考察し、そう結論付けた。
「--成程、君は今迄ずっとそんな激しい戦の世界で駆け抜けて来たんだ」
「そうゆうあんたこそ此処で良く生活出来るよなあ。俺には耐えられないぞ、こんな世界は!」
「僕だって最初は耐えられなかったさ。でも自らが既に此の世に居ず、魂だけが此処に漂着しているとわかれば魂があるべき姿に戻る前に如何してもやらねばいけないと感じてね」
「そうか、ならば俺の方こそもう少し話をしよう」
「未だあるのか、菅原ライデン君の話したい事は」
「ああ、次は首都ボルティーニが陥落する話をしよう。其れは--」
 そして本編へと移る……

ICイマジナリーセンチュリー三百十三年九月七十八日午後九時四十二分十八秒。

 場所は真古天神武大陸藤原大中臣地方迷宮の洞窟前仮設民家群。
 サイ団の通夜は無事終わり、簡素な葬式への準備に差し掛かる所にライデン達の元にとある情報が飛び込んで来た!
「ボルティーニに……隕石が!」齢二十歳にして十の月と二十八日目に成る菅原ライデンは齢三十七にして二の月と十日目に成るエウク蝙蝠族の中年逆崎さかざきコウモ助から届けられた情報に驚きを見せる。「こうしてはいられないじゃないか、通夜だけでサイ団さんの死を悼むしかないのか!」
「そう成るんどご、さっき届いた情報な伝達速度ころしてもう首都ボルティーニご無事ぢほ済まない筈ど。諦めてお前達ほ此処わ首都な代わりたして機能させる事ね目わ向けるべきどざ」
 向かっているのだよね、相武様を含めた四名は--齢十四にして四の月と五日目に成る神武人族の少年であるレット・テンタウは彼等の事を心配する。
「そんなね心配のなこ……わかる気ごする」
「お前にわかるのかよ、サイ団さんの通夜にさえも出席出来ない相武様やシシドの爺さん、其れにリリザースさんやサンショウ丈さんを思うレットの気持ちが!」
「わかるざ、特ねシシドさんほ風な便りね依るた背中ね銀河連合な狙撃わ受けて万全たほいかない状態ぢある事わ」
「なのにシシドは戦う事を諦めないんだ……何故戦う事を諦めようとしないんだよ!」
 其れはな……恐らく金の将としての見本を誰かの口から口に届けようとする為だ--金の将の候補に選ばれたライデンは其れが戦いと密接に繋がる事を理解し始めていた。
「たするたあれこ……最後なカゲヤマノ家なザルノスケご築き上げた金の将な見本わ如何してま守り通したい爺さんどの。そうするた他な五武将な苦労ほ絶えないざ」
「俺はあんたに苦労しているぞ、コウモ助さんよお」
 生意気だな、若造め--コウモ助は情報伝達者に良く見られる大きな態度で以て喋る為に情報を聞かされる者達から常に苛立ちの目線で見られるのだった。
「止めよう、ライデン。コウモ助に満足出来ない事をぶつけるのは俺様達が未だ未だ熟せていない証拠じゃないか」
「だな。俺達の任務は此処の留守を任される事……だったな。だが、其の留守は……お前がやれ、レット!」
 ……何--レットだけが驚かない事ではない!
「何わ考えているんど!」勿論、コウモ助だって蝙蝠族の低音が地面に向かわずに上昇気流に乗って重く圧し掛かる程である。「お前みたいの若造迄首都ボルティーニね向かったろ誰ご次世代な五武将な牽引役わ務められるんどおお!」
 大丈夫……留守は死んだサイ団さんが務めている--其れは魂に依頼するような行為に等しいライデンの理屈。
(死んだサイ団さんが留守を任される……か。死んだ生命が留守何て出来る訳がない。俺も如何しようもなく断りの屈し方が鈍ったな。此れじゃあ屁からの断りの屈し方だ。此れで根拠があるのかよ!)
 ライデンの思う通り、二名には其れが屁から出た理屈にしか聞こえない。根拠も何もない。だが--
「わかった、其処迄意地を張るなら……ライデン、此の先に数多の悲劇を目撃しようとも絶対に悔いたりしないでくれ!」
「付き合ってやるそ……如何し後三な年ますれぼ祖父さんな仲間入りど。けれどまのお……死んだりしとっち俺ほお前ころな苦情ほ一切受け付けんころな!」
 有難う、おっさんが居れば少しは寂しく無く成りそうだ--理由はわからないがライデンの眼から涙が流れる。

(其の涙は明くる日に対して流していたのかも知れない。此れから待つのはレットの言う通り数多の悲劇の始まりだった。首都ボルティーニ……エリオット・ボルティーニの魂を刻み込むように名付けられた新天神武から続く首都名。前期ボルティーニ最後の雄であるエリオットは前期ボルティーニ家の雄らしく真似事が得意な生命。そんな雄がまさか真似られる事に成るとは思わないな……其の衰亡へと至る悲劇迄もが--)

一兆年の夜 第百三十二話 終わりの始まり エリオットの記憶は流れ星の中に(初)

(拙いなあ、真古天神武首都ボルティーニの崩壊を語りたいのに其れを如何やら夢宇宙は認めないようだ。俺の意識が、俺の意識が……吸い込まれてゆく--)

 未明。
(此処は何処だ? まるで此処は秘境……いや、実際の秘境を見た試しがない。じゃあ何処なんだ、此処は?)
 ライデンが居る場所は数多の神々が忙しく動き回る世界。いや、神々はまるで決められた動きしか見せない。一体此れの何処が血の通った動きなのか? 時々跳躍する神々も居れば時には耳に痛みが走る様な音を出して動作を見せる神も居る。そして神々が住まう一軒家は何と--
(中に入れない? まるで見えない壁が俺を遮るような……なのに--)
 そして、ライデンが進行方向に立つとある神は全く動かなくなる。其処で声を掛けるライデン。
「此処はナリギーマの村」
「ナリギーマの村?」
「此処はナリギーマの村」
「いや、だから具体的に教えてくれないか?」
「此処はナリギーマの村」
 ライデンは其処でルドールやキッシェルと漂流していた時にある話を聞いた事を思い出す。
『--そう言えばからくり人形と呼ばれる物があるだろう?』
『其れが如何したっせ?』
『あそこに音を出す機械を組み込んで螺旋を回すだけで特定の台詞を言えるんだ』
『特定の台詞って何だ?』
『例えば--コンニチワ--とか--ハレトキドキブタゾク--とかさ。九官族のように片言なもんだけど、結構面白かったぜ』
『其れは是非共見掛けたら買って試してみようかし』
 機械仕掛けの台詞……脳裏に其れが浮かぶライデン。そして次のようにも感じる。
(神様には言葉を発する存在と特定の動きしかしない存在、其れから生のような動きを見せる神様も居る。演劇の世界では良くある作り話の世界だ。だが、神様とはそんな存在だ……此処は間違いなく、秘境
 ならば俺が此処に流れ着いた本当の意味が何処かにある筈だ。未だ未だ語りたい事はたくさんある。探そう、俺の話を聞いてくれる存在を!)
 ライデンは神々の住まう作りモノの世界を縦横無尽に駆け回る。出て行けば広がる世界。一定の歩数に一回は必ず出る銀河連合とは何かが異なる襲撃する存在。ライデンは素手で其れを一撃で仕留めて行く。何故か入る経験の蓄え……だが、ライデンは既に此の世界にとって頂点の位置に居た。そして物騒な建物にて頂上の玉座と呼ばれる神の居所で物騒な格好をした神様と対峙。
「良くぞ此処迄来たな、勇者よ!」
「神様に聞きたい、俺の此れ迄の軌跡を!」
「ほう、世界を救いたいと? ならば我に力を貸せ……摩れば世界の半分を譲ろう」
「力を……いや、世界は自分達だけで切り開く、で良いか?」
「何という選択を……成らば此処で雌雄を決する!」
「雌雄? 何故雄と雌を……ウワッ!」
 そして素手だけで異形の人族の格好をした神様を殴り倒すライデン。
「やるな、勇者よ。ならば我も全身全霊を懸けて主を葬る!」
「未だ……埋葬には早い!」
「見るが良い、我の真の姿を!」
 今度は人族の姿をしない異形の姿と化した神様。其れに対してライデンは殴って倒した。
「ウオオオオオ、体が崩れるウウウウうぅう!」
 そして神様は倒れ、此処に夜明けが見える。
「ハアハア、倒したんだよなあ? でも何か呆気ない。其れに罪と思えないのは何でだろう?」
「ハッハッハ、中々やるじゃないか」其処へ謎の人族の青年がライデンの背後に姿を現す。「まさか僕以外にも此処に彷徨う生命が居たなんてね」
「誰だ、あんたは?」
 青年の名前は未だ語るべき時期ではない--

今回ネタ思い付かないのでスパロボネタでもやろうか

 如何もネタはあるけど、あんまりちゃんと理解していないdarkvernuであります。
 始める前に『格付けの旅』が更新しましたので読まれたい方はカテゴリ欄の<格付けの旅>又は<青魔法の章>をクリック。
 まさかスマホゲートは言え、デビルマンかよ……クロスΩでゴジラ参戦出来たからって其れは何か違うだろ(鉄血絡みとは言えども、よお!)

 無駄な時間を過ごす会では何時もスパロボの話題には熱を入れる。今回は六人の識者にスパロボについて語って貰う。
「ツクールMVトリがKOTY入賞……バグゲーを入賞する事が果たしてKOTYの基準なのか!」
 最初の識者はKOTYサイトの常連にして彼等の弛まぬ努力を称賛するたけしの挑戦状大学エコール学部所属のデスクリムゾン学科の准教授を務めるヒバゴン甘生氏。
「待て、KOTY関連は如何でも良いだろうが。俺達はスパロボで集まったんだろうが!」
 二人目はストVシーズン4にダンとまことと前にある漫画とコラボやった関係からある髭親父がダウンロードキャラとして参戦するんじゃないかって期待するウメハラ大学の修羅の門学部の無拍子学科所属の学院生である宮沢十兵衛氏。
「だが、俺も含めて此処に居る全員はスパロボが専門じゃない奴等ばっかだぞ。大丈夫かよ!」
 三人目はゲッター線の存在を信じるケン・イシカワ大学の虚無学部所属のウルトラマンタロウ学科所属の三回生である来留間将造氏。
「KOTYは純粋にピンボールゲームが大賞受賞するだろうが。バグゲーではなく純粋に遊べてクソな方こそ意味があるってKOTY大賞受賞作品を見て気付かないのか!」
 四人目は一人目と同じ大学だが、レベルファイブ学部のタカラトミー学科所属の教授であるグリモ愛参氏。
「だからKOTYの話は他所でしろ。KOTYのスレ住人に失礼だぞ。そうゆうのではなく純粋にスパロボの話をしないか!」
 五人目は二人目と同じ大学だがドラゴンボールファイターズ学部所属のアークシステムワークス学科所属の一回生である結城仁氏。
「何言ってるのかわっかりませええん!」
 最後は偶然居たので声を掛けて議論に参加させたひったくり逃亡犯のグイード・ジョバーナ氏。
 此の六人で今回のスパロボ参戦作品について議論して貰う。
「まさかビバップやハーロックが参戦するとは思わなかったぞ!」
「KOTYだとテイルズオブゼスティリアやFF15がKOTY入りするようなもんだろ!」
「だからKOTYの話を絡めるな……ややこしい!」
「何言ってるのかわかりませえん。帰って良いですか?」
「駄目だ。其れよりも黒木……じゃなくて今回はDDを除いた新規スパロボの話についてなのか?」
「いや、DDも含めたスパロボの議論だ……鉄拳7セカンドシーズンだったらやっぱアーマーキングさんは如何なんだよ!」
「格ゲーの話は止めんか。其れよりもスパロボが専門じゃない俺達は議論をする訳だけど、Tから始めるとダブル勇者を参戦作品にする訳だよなあ。檜山の声が五月蠅くて堪らんな」
「確かにマイトガインの主役は檜山氏だし、ガオガイガーの主役も檜山氏……嵐を呼ぶ御曹司と勇者王の心を持った鋼のサイボーグ同士では彼の喉の酷使を心配するなア」
「喉の酷使……そうだ。今年亡くなった石塚氏が減る役に出ていたマジンガーインフィニティは如何成るんだ。鉄拳ではもう平八の声優二人目が亡くなって代役探しも難しい状況なのに!」
「鉄拳の話は他所でしないか。兎に角王馬さんは無理としても……じゃなくて前にコードギアスの玉城役の声優だった故・田中氏と同様に既に収録完了しているとみるのが正しいんじゃないか?」
「其れはあるなあ。そうすると故・辻谷氏の収録も既に完了して居て間違いないだろう……最も今回も機体だけ参戦のクロボンに過度な期待は寄せないが」
「ええ、辻谷ってあの弥勒役の辻谷い? 嘘でしょおお、未だ若いじゃん!」
「今頃気付いたのか……俺達はとっくの昔に彼の死に衝撃を受けた後だぞ!」
「そうだぞ、王馬さんよりも衝撃が……じゃなくて今でも嘘だと言って欲しいぜ、だって辻谷さんなんだぜ!」
「まあまあ辻谷さんの事は其の辺にしようか。キメラを創造するガンブレみたいにスパロボでは如何考えても人間同士のアクション劇が売りのビバップとハーロック参戦だ……きっとアウトロースターやロストユニバース参戦だって有り得る!」
「KOTYに搦めるの止めようぜ。其れは先程も言ったようにKOTYスレ住人共が議論する事であって門外漢は黙っておけ。確かに其れだと昔アリオン役で収録した渋谷氏にもチャンスがあるな。或はレイアース絡みでコードギアスが再び参戦するとか?」
「いや、レイアース参戦よりも重要なのが何故三度マイトガインを参戦させたのか? 或は楽園追放の参戦は何を意味するのか?」
「正にスト4コラボで……じゃなくて楽園追放はきっとアニゴジ参戦の布石かも知れない。マイトガインに関しては新幹線絡みでシンカリオン参戦の布石じゃないか? 大体布石を作って参戦を容易にさせるのがスパロボ新規参戦の狙いだからな」
「とするとデビルマン参戦でメカ居るからってドラゴンボール勢の参戦も有り得そうだ!」
「いやいや其れだけは有り得ない。何でデビルマンでそんな飛躍が生まれるんだよ!」
「アイアンリーガーやイクサー1参戦出来たのだぞ。SDガンダムだって三国伝が参戦出来たからナイトガンダム参戦出来たんだぞ!」
「まあ可能性としてはアウトロースターとかグリッドマンだな。ダリフラ……は惜しいかな、参戦は難しいなあ。ドライブヘッドは難しいけど、シンカリオンは有り得る……杉田と緑川は参戦して下さいと言わんばかりの配役だ。他にはムゲフロ以外でゼノサーガ参戦という大サプライズや此れ又大サプライズのZ.O.Eだろう。出来れば正統派的な意味でヴァンドレッド参戦してくれよ!」
「俺もそう思った。何で参戦出来ないんだよ!」
「地球が敵という設定とアニメの方が完結前に終わった事だろう。サードシーズンを希望したくても何か、なあ」
「じゃあボトムズ絡みでダグラムかガサラキは?」
「ダグラムの声優は殆ど死んでいるんだぞ……デスタン役は何時死ぬかもわかんねえ爺さんだしよお。ガサラキの場合は余りにも現実世界に即したロボット性能過ぎて仮に参戦出来たとしても機体性能が弱過ぎるだろ!」
「メタルウルフカオスは?」
「あれなあ……翻訳入り参戦させる気か?」
「だって大統領魂で機体性能差を埋められるじゃないか」
「マスコミのヘリが嫌らしい第三軍なのは正直、バンナムとしても難しいんじゃないか?」
「ううむ、そうだな。マスコミ敵に回したくないしなあ」
「トランスフォーマーは如何だ?」
「アアアアア、良いねえ……ンでどのトランスフォーマーを参戦させる気だ?」
「此処で作者のトランスフォーマーへの無知が響くなあ」
「あ、あのう」
「何だ、其処の通行人?」
「ギガンティックフォーミュラとジンキは如何だい?」
「ギガフォーはわかるけど、ジンキは正直言って参戦して欲しくないな。だってエロ漫画と化して最早期待値零だ!」
「ああ、レイプをマジで楽しむとか最早綱島は終わったも同然だな。其れならバルドシリーズの方が参戦して欲しいだろうが」
「バルドシリーズかあ、此れもデモンベインシリーズ同様に作者は余り詳しくないんだよ」
「マブラヴのコンシューマ参戦して欲しいけどなあ」
「トータルイクリプスしかアニメでやってないからなあ」
「エロゲ関連の話に成ってないか?」
「まあデモンベインがエロゲ作品で初めて参戦したからな……デモンベインの後を続くようにバルドとかマブラヴ参戦しても良いだろう?」
「えい、其れはストVに黒木が参戦して欲しいって願っているようなもんだ。願望を話している場合じゃない。現実的に今後スパロボ参戦出来そうなロボットアニメの話をしようぜ!」
「ガンダムならイグルーとサンダーボルト、其れとユニコーンの続編にあたるNTや劇場版Gレコに……未だ未だ弾丸はあるなあ」
「不足気味なのがマジンガーとゲッターだ。特にゲッターは真ばっか参戦で真VSネオや新の参戦が疎かに成り過ぎだろうが!」
「御三家の中で活発なのはガンダムだけかあ……うーん、スパロボの未来とは果たして?」
「あのう、ワタシの未来は如何成るんですかあ?」
 と結局無駄な時間だけが流れる。其れだけスパロボへの熱が火傷しそうな温度という証拠と捉えても良いだろう……


 という訳だ。其れにしてもTの新規参戦作品にビバップやハーロックが参戦するなんて思いもしなかったな。特にビバップ何て殆ど人間同士のアクションパートばっかだった記憶がある。メカ同士の戦いなんて脇役でしかないと思っていたのになあ。レイアース参戦はあんまり驚きもしないなあ。昔は出来ない出来ない言ってたような記憶があったけど、今じゃあ其れが薄れて気が付けば参戦しても「あ、ふーん」程度でしかないのは悲しいなあ。
 段落を変えてDDの顔ぶれを見ると一際目立つのが……デビルマン。いやいや、強いよ……でも悪魔じゃん。ロボットちゃうだろう! テッカマンブレードやアイアンリーガー、其れにSDガンダムのトンデモ参戦枠を超越したトンデモ参戦に如何アクション取れば良いかわかんねえよ。此れ認めたら今後の参戦枠にドラゴンボールとかキン肉マンとかウルトラマンとかドラえもんやアンパンマンだってやりかねないぞ……其処は慣例として「これは如何足掻いても無理です」っていう枠を設けようぜ。でないと何でも参戦して『スーパーロボット大戦』じゃなく成るぜ!
 そうゆう訳で如何してこんなスパロボネタに成ったか? 単純に思い付くネタがなかったからやっただけだ、以上。ミスタービーンのそっくりさんの話題は殆どマスゴミ情報とかで十分だしさあ。台湾の総統が変わるかも知れないって話は確かにショッキングではあるけど其れもなあ……あんまりピンと来ないんだよなあ。
 ンな訳で下らん議論の解説を終える。

 第百三十一話の解説をしましょう。今回は南極の氷が全部溶けたら如何成るかっていう現実の話があるじゃないか。其れを敢えてやったんだ。まあ、どんな影響を及ぼしているかを文章で描写するには不足気味なのは謝罪するがな。だが、此れにて真古天神武崩壊は早まり、水の惑星篇の半分が終わりへと急発進してゆく訳だよな。
 とは言っても行方知らずとなったルドールとキッシェルの行方に関しては如何にも成らんな。其処は覚えていたら何処かで語るとする。他には大中臣地方以外では水没は如何成ったかなんてあんまり描写されてないからな。其れについては今後紹介してゆくつもりだ。今はライデンの周囲しか語られない出来事さ。そうして終わりに向かって加速してゆくのを描いて行くだけだよ。
 以上でやはり解説にすら成らん解説を終える。

 さあ、予定表を如何ぞ!

 十一月二十六日~十二月一日  第百三十二話 終わりの始まり エリオットの記憶は流れ星の中に    作成日間
 十二月三日~八日       第百三十三話 終わりの始まり たった一人だけの五武将        作成日間
    十日~十五日      第百三十四話 終わりの始まり 魅羅と生きる水の惑星         作成日間
   十七日~二十二日     第百三十五話 終わりの始まり 最後の一名に成っても         作成日間

 第百三十五話で五武将としてのライデンの話は完結し、次の話で希望を籠めた話へと舵を切る訳だ……別にライデンが主役を降りる訳じゃないぞ!
 今はツクールMVの奴を如何にかするのが先だが……如何も制作者ってのは計画性がなく、制作の途中で在る事を思い付いて其れを採用しようとするんだよなあ。まあ其れは未収録という形で気が向けば作る予定として出さんがね……ヘヘヘ。因みにMVトリの最新アップデート後すぐに例のカラテカ風の奴の製作再開するかは未定だ。やる事が沢山あるしな……データ破損バグが恐いとかそうゆうのは一回ツクール4で体験した事だしな(いや実話だぞ、マジで!)。
 以上で今回は此処迄。トライタワーは予想以上に膨大なデータに成ったな。他の長時間推奨の其れ等に比べれば一ルート当たり平均プレイ時間は短い方、だけどなあ。

雑文特別編 ハヤトは死なず 第弐拾捌話 戦後一、二を争うトップスリー同士の極限の一戦が此処に開幕! 池田勇人VS吉田茂 後篇

 如何もdarkvernuです。
 では後篇を始めましょう。

 其れでは試合再開を如何ぞ、主審の伊吹文明氏。
「では……再開イイいい!」
 オオットオオ、池田選手がいきなりミラージュドリルで先制攻撃をしたあ。其れに対して吉田選手は受け止めつつもカウンターの幻突が--あああああ、互いに摺り抜けたああ!
「何か解説席に座っていると死んだ筈の先生方が宇宙空間を平然と過ごしながら格闘家顔負けの戦いを演じてますなあ」
「全くだじょー、こんな戦い出来たら俺達も苦労しないんだけどなじょー」
 大阪府知事と大阪市長は前篇で出演しましたので急遽大阪都絡みで中京都構想を掲げる減税日本出身の愛知県知事のタコこと大村秀章氏と名古屋市長にして政治屋随一のコスプレイヤーである河村たかし氏を御招きしました。
「オイ、俺のキャラ付けが酷いじょー。其れに俺は減税日本じゃなくて日本一愛知の会出身だじょー」
「コスプレイヤー……まあ、認めるけど」
 河村氏は兎も角として作者は大村氏を酷く毛嫌いしている為に敢えて失礼なキャラ付けをしただけですな。訴えるなら作者に訴えて下さい!
「そしたらこんな悪ふざけの祭典は即刻打ち切られるじょー、良いのかじょー?」
 別にブログ始める前から……つまりゲーム出したい為にHP起ち上げた時から作者は四方八方から訴えられる事を覚悟で始めております。今迄無事だったのが不思議な程です……なので如何ぞ如何ぞ。
「ある意味俺達と同じだな。ひょっとしたら政治屋向きじゃないか?」
 嫌な言葉を聞き続けるのが堪えられる器じゃないので恐らく政治屋は遠慮すると思います。あくまで作者の代理としてはそう回答しておきます。其れでは試合の方を見て行きましょう。最初と同じく摺り抜け合いのオンパレードだあ。だが、徐々に互いの皮の皮膚が捲れていき……セレス付近にて吉田選手は左肩にチェーンアタックがヒット--其処から追撃の右ドリルミサイルを仕掛ける池田選手!
「見切った……ぬおおおおお!」インパクト寸前で摺り抜けてからの人越拳神真っ青な右捻じり手刀が炸裂したあ。「な……出血!」
 オオ、池田選手の腹部は無事--という事は……左ドリルアームで吉田選手の四指を捻じり破壊したのかあ!
「甘いですよ、吉田さん。あんたが本気を出す事は俺も本気を出す事ですな!」
 右蹴りでセレスに叩き付ける池田選手。そして追撃の左ドリルテンペストで遠距離から捻じ伏せに罹ったあ!
「いや、風の中央に立ったぞ。吉田先生は既にテンペストを回避する箇所を見抜いているじゃないか!」
「あんな易々と風の中央に立てるのかあじょお!」
 如何やら前回の解説二人に比べて驚き役な解説しかしません。なので観客席から直接聞く事にしましょう。
「流石は吉田さんだ。既に勇人の攻撃を全て見切っているぞ。勇人はああして遠距離から近付けないようにするしかない。ヒットアンドアウェイに徹して勝機を見付けるしかねえみたいだ」
 流石は佐藤栄作……実に的確な解説を如何も有難う。さあ、其の池田選手はセレスの周囲を回るだけで中々隙が見付からない。逆に動きが遅くなる瞬間を吉田選手は待ち望んでいるかのように思える。
「本当にそうだな。一体動き回って勝利を掴めるのかよ?」
「もっと攻めれば良いのにじょー。そしたら間違いなく勝利を掴める筈だじょー!」
 と格闘技大会ではよく見かける自称プロ評論家みたいな解説では意味がありませんよ。言うだけなら簡単ですが、実際は理論通りに事が運ばないから当事者達は苦労するのですよ。其処を理解するべきだろう。
「……いや、あのタコの言う通りだ。勇人は……翌日の午前二時四十七分に攻めに転じるぞ」
 と相変わらず時間設定が無茶苦茶ですが、本当に翌日の午前二時四十一分……ほぼ正確な時間帯から池田選手がターボを懸けて来たああ!
「フン」何と摺り抜けた……かと思ったら既に池田選手の頭上より一キロも高く跳躍してからの第四の剛脚から繰り出す左モンスターシュートが池田選手を直撃。「フ……今のは決めるつもりだったが」
 何故あの一撃で倒れない--と思ったら背中に飛ばした筈の右ドリルミサイルをわざと受ける事でダメージを拡散させたああ……此れは有り得ない誤算だああ!
「吉田さん……もはやここまでか!」
 佐藤氏の解説通り、着地した吉田選手に向かって池田選手が繰り出す零距離からのドリルハリケーンが炸裂--吉田選手は真っ直ぐ太陽に直撃したああ!
「勝負あり!
 コオオオオオ……勝者、池田勇人!」
 如何やら吉田茂は準々決勝で姿を消しましたアア!
「ハアハア……今のはギリギリだった。あの一撃を受けていたら今頃は俺が負けていた。間違いなくタイミングの速度も技の華麗さも吉田さんの政治力も躱す事さえも馬鹿らしい程に凄い一撃だった。まさか俺が飛ばしたドリルミサイルがあんなタイミングで飛来するとは思わなかった!」
「祖父さん、まさか負けるとは思いもしませんでしたね」
「何、わざと負けたのじゃ。真の結果ではわしの勝ちだ……だが、審判が判断した以上は其れに従うしかない。わしも未だ未だ修行が足りんなあ」
 前後篇を懸けて行われた準々決勝Dブロックの試合……漸く白黒が付きました!
「愈々準決勝。相手は……叔父さんか」
「オウ、晋三……生きている奴の中でお前だけが勝ち上がったな。だが、悪いけど勝利は俺の物だ!」
「いいえ、全勝宣言した以上は越えて見せますよ……叔父さんが築いた戦後最長記録と共に!」
「上等よ……其れでこそ兄貴の孫だ!」
 さあ、残す試合は三位決定戦を除けば後三試合……果たして戦後最強の総理大臣は誰に成るのか!
 勝者池田勇人。試合時間九年九ヶ月二十八日五時間三十一秒。決まり手……ドリルハリケーン!


 第弐拾捌話後篇に登場した政治屋は池田勇人、吉田茂、河村たかし、大村秀章、伊吹文明、佐藤栄作、安倍晋三、麻生太郎。
 第弐拾窮話『戦後最長を懸けた甥と叔父の新旧世代間抗争勃発! 安倍晋三VS佐藤栄作』に続く……

 二人共も出るらしいモデルは居ないので要注意。主人公を勝ち上がらせたとしたら其れは誤解だ。ドリルミサイルの行方が判明しない状態で試合を終わらせるのは納得いかないのでああして回収したんだ……其れが偶然にもあのように発動し、ああ成っては最早吉田茂に勝ち目はないだろう、そう思った瞬間でもあるのさ。

 という訳で今回は此れ迄。次回も前後編に分かれないように気を付けないとなあ。

雑文特別編 ハヤトは死なず 第弐拾捌話 戦後一、二を争うトップスリー同士の極限の一戦が此処に開幕! 池田勇人VS吉田茂 前篇

 如何も続けてやるdarkvernuであります。
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 そんじゃあダブル悪ふざけを如何ぞ!

 東京五輪に続いて大阪万博の二度目も決まった。だが、東京五輪運営同様に大阪万博にも厄は憑き物。其れでも安倍政権の戦後歴代最高の功績への道は止まらない。勿論、悪い面は存在する。移民を巡る問題、生前退位に於ける今後の問題、そしてゴーンに見られる王様気分の経営者を野放しにして来た経団連の意向を忠実に守る問題等々……自民党政権でも決して日本の為に成らない事は成らない物。だが、其れ以外に政権を任せられる政党が存在しないのも事実。此れが正に見えない戦後レジームの正体。初めての社会党政権だった片山政権が齎した民法改悪もそうだし、初めて自民党が他党と連立組む事と成った細川政権から村山政権迄の社会党を中心とした自連立政権は自虐史観外交の本格始動の宴であり、河野村山談話というダブル談話を決定付かせる。そして悪夢の民主党政権の三年間は語る迄もない。普天間基地移設問題は鳩山政権下で確立し、原発問題は菅政権が確立し、消費税増税路線の確定は野田政権で確立する等、彼等は目先だけにしか目もくれずに第二時以降の安倍自民政権に余計な災いを遺してゆく。
 其れでも我々は進まないといけない。ライジングサンの為にも、進むしかない。でないと故中川昭一を始めとした国士の死が無駄に成ってしまう。彼等の為にも少しずつではあるが前に進む以外に道はない……という訳で唐突ながら準々決勝最終試合を始めよう。今回は大阪万博という事もあって解説には此のお二方を裏永田町に御招き致しました。
「やあ、如何も……松井秀喜、じゃない松井一郎だ。少々、黒っぽいファッションで登場しました」
 何故か松井繋がりで久我重明をインストールしてしまった松井一郎。幾らダウンタウンの浜田がツッコミしてるからって此れはない。本人知ったら間違いなく訴えられるぞ、作者アア!
「如何も吉村博文と申します」
 此方は敢えて弄る事なく登場しておりますね。如何やらインストールしたいキャラが思い付かなかったので普通に登場しましたか。
「其れはそうと我々に何を求める?」
「そうですね。普通に解説する方が良いでしょう、松井知事」
 如何も久我重明に詳しくない作者とお二方を余り詳しく知ろうとしない所もあって噛み合う会話が思い付かないとみて間違いないでしょう。まあそうゆう時は多々あるので作者は何も気にしませんがね。さあ、愈々此の一戦がやって参りました。両選手入場!
「さあ、やろうか」御存知、此のふざけた宴の主人公を務めるあの池田勇人がオールバックに特徴ある眼鏡を着用しての入場だあ。「所得倍増計画が正しい事を証明する為にもですね……はあ」
「勇人の野郎、更に仕上げたな!」
「池田さんを私は越えられるのでしょうか?」
「弱気に為さんな、総理。其の前に佐藤栄作越えが先でしょう」
「ホオ、俺を超えるだと……未だ後一ヶ月もある時に啖呵を切るか!」
「やってみなければわからないでしょう、叔父さん!」
 さあ、外野で政治力が溢れますが主役は試合の方ですよ、お二方。さあ、最後に入場するのはやはり此の男……吉田茂ウウウウ!
「勇人や、お前がわしを超えるなんて百年早い事を思い知らせる!」
「此の物語の主役は俺だ。勝つのは俺と決まっている!」
「其れは如何かな?」
 主役が負ける展開……実はあるにはある。渺茫がポット出のジョンス・リーに負ける展開が訪れたようにアギトが黒木に敗れたように主役だからって必ずしも勝てるとは限らない展開があるのは格闘漫画の世界では度々見られる。漫画だけではない。格闘技の小説でもまさかの主人公が脱糞敗北という前代未聞の展開を見せる事だってあるのです!
「其れは何かね、実況の方?」
「吉村君、恐らくは餓狼伝の事でしょう。とある決勝戦で丹波はあるキャラとの一戦に敗北。私が説明出来るのは此処迄。其れ以上は説明しかねるがね」
 無理矢理板垣版餓狼伝に登場した重明の名言の改変を言う必要はないのですよ、松井氏!
「と言ってるぞ、勇人よ」
「其れは如何かな?」
 さあ、Dブロックの主審である伊吹文明氏……準備は宜しいですか?
「ああ、何時でも出来るぞ」そして主審は静かに右手を挙げて静かに振り下ろしてゆく。「コオオオオオ、では……始めえええい!」
 さあ始まりました、最終試合……おおッとお、まるで黒木アギト戦で見せた両者全く動かない侭に開始したあ--お互いに構えているにも拘らず……此れは一体何が起こったのでしょう?
「松井知事……恐らく読み合いでしょう?」
「ああ、互いの技撃軌道線が寸での所で体に触れる事さえしない。フフフ、此れは観客虐めの一種だな」
 松井氏曰く脳内で戦いが展開しているのでしょう。そうすると膠着状態は何時迄続くのか--一ヶ月経とうとも動く気配さえない!
「松井知事……既に脳内の読み合いは終わりましたね」
「ああ、必要な読み合いは終わったという訳だ。此れ以上の脳内の技撃軌道線の繰り広げは無意味という訳か」
 三十二日目にして漸く……池田選手がドリルハリケーンに依る突進--だが、吉田選手にヒットせずに摺り抜けたああ!
「ムムっ!」朧の代名詞である左掌底が池田選手の肝臓付近に当たる事なく摺り抜けたあ。「やるな……良し!」
 そして互いに突きの連打。池田選手はダブルドリルアームに依る貫通攻撃の連打。一方の吉田選手は掌底と正拳交互に依る連打--互いに摺り抜けるように回避しながら何と……八年六カ月目が経過アア!
「足は使用出来まい。足を使えば却って強烈なカウンターを受けて負けが確定するか或は間一髪で継戦出来ても不可逆的な不利は避けられぬ」
「ですが、摺り抜け合いは何時迄も続きませんよ……ホラ、池田選手の右頬の皮が一枚、二枚と裂けて行くのが見えます」
 一方がやたら濃いキャラがインストールされ、もう一方がキャラ改変されないにも拘らずに政治屋同士がガチバトルしている事に一切ツッコまない解説席に座る二方。そんな二方の有難い解説のお陰で摺り抜け合いから八年七ヶ月目にして池田選手が既に掠り傷を何発も受けているのが見えました。そして--額左側に吉田選手の右正拳が直撃して怯んだアア!
「いや、あの怯みは……勇人の奴め!」
 おおっとおお、吉田選手が追撃の左幻突を摺り抜け様の零距離左プラズマドリルハリケーンが腹部に炸裂したああ!
「ウグ……やるな、勇人!」吉田選手は体中電流が流されつつも後方僅か二ミクロン下がるだけの踏ん張りを見せながら追撃の右ドリルハリケーンを左片手白刃取りで掴んだ。「ウヌッ、掴んでしまったわ!」
 おおっとお、此処で池田選手はドリルアームに切り替えて吉田選手を月迄放り投げたあ--そして、追撃の左ドリルハリケーンで風穴を開けるつもりだああ!
「池田選手……まんまと誘われましたね」
「有無、あれは恐らく吉田選手に依る絶好の機会--」
 と思ったら池田選手が吹っ飛ばされて地球の裏側を超えてハレー彗星に背中を激突したああ--幻突が炸裂……無構の幻突が直撃したのだああ!
「あのジジイめ、勇人をまんまと……いや、待てよ!」
 おや? ハレー彗星が真っ二つに裂けたと思ったら池田選手の姿が消えました--何処に行った、池田勇人は!
「真・マッハスペシャル……だが!」背後からの右ドリルハリケーンを回避したかと思ったら鉄山靠が炸裂して池田選手は何と……「悪手だぞ、勇人……マッハスペシャルは無駄な動きを要するのだ」海王星が真っ二つに成る位激突しながらも再度真・マッハスペシャルでダメージを軽減しつつも吉田選手に果敢に挑む、が回避回し蹴り、回避肘打ちと全く掠りもしないいいい。「そして無駄な動きは却って単調を生むのだ!」
「まさか此処迄さがあるとは思いもしませんでした」
「ほう、流石の所得倍増計画でお馴染みの池田勇人も戦後復興の立役者である吉田茂が相手では子ども扱いされるのが限度か?」
「いや……勇人がそんなタマかよ、ああ!」
 外野の佐藤選手曰く……「此処に隙を……見付けたぞおおお!」左ドリルアームで吉田選手の右太腿を強く掴んでからのゲッターライガーばりの右チェーンアタックに依る叩き付けだあ--と思ったら麻生選手に止めを刺したカウンターの右打ち上げが池田選手の顎に直撃イイイイ!
「チイ、感触がない……脱力で回避したな!」
 オオット、直撃したかに思われた池田選手は何と直撃したとは思えない大回転で冥王星からエリスと衝撃緩和を行いながら天王星に着地して無事を確認--両者互いに読み合いは継続中だあ!
「僅かに池田選手が不利だ。此の侭だと吉田選手は余力を残した侭、決着を付けそうだ」
「ええ、吉田茂……底が知れませんね」
 其の解説だと未だ未だ吉田茂は全力を見せないというのか。何という力の差か……此れがサンフランシスコ講和条約を成し遂げた戦後偉大なる総理大臣の底知れぬ政治力だというのか!
「へ、此処迄は予想通り。吉田さんが此の程度で倒れない事位はわかってましたよ」
「フッ、全力を出していないのはお前も一緒か……勇人よ」
 何だと……池田勇人迄全力を出していないというのかああ!
「当たり前じゃねえか。勇人がそうゆうタマだったら技撃軌道線を展開する時点で敗れているだろうが!」
 此の戦い……やはり主役とラスボスだからか、全然終わる気配がない。此れがトップスリー同士の激しい戦いという事か!
「そろそろ退席しても宜しいでしょうか?」
「万博も決まりましたし、何時迄もこんな悪ふざけに付き合う我々ではない。解説席に座り続けるのは此処迄だ。此れ以上は付き合うつもりもない」
 大変な事が起こりましたああ。準々決勝最終試合は……此処で中断する事が決定しましたあ。解説席に一人も居ない状態では最早如何する事も出来ません!
「此処で試合中断!
 コオオオオ……後程、試合の再開を始める!」
 勝負……延期。試合時間九年五ヶ月六日八時間三十九分八秒。


 第弐拾捌話前篇に登場した政治屋は池田勇人、吉田茂、松井一郎、吉村洋文、伊吹文明、佐藤栄作。
 後篇に続く……

 松井一郎は久我重明、吉村洋文は……モデルなし。何故試合延期したか……長く成り過ぎたんだよ。そうゆう訳だから時間を置いてから後半に行きたいと思う。

 其れじゃあ今回は此処迄。他に理由があるとすれば……どっちに勝たせれば良いか迷っているんだよなあ。

雑文特別編 ハヤトは死なず 第弐拾漆話 妖と魔が集う究極の戦い! 大平正芳VS岸信介

 如何も未だに商業用の小説を中々進めようとしない怠惰野郎のdarkvernuです。
 さて、始めるか。

 マスメディアがほぼ一切報じない連帯ユニオン関西生コン関係者の相次ぐ逮捕……其の裏にはやはり辻元清美、福島みずほ等といった錚々たる反日を活動の一環とする売国政治屋の影あり。だが、彼等の闇はやがてマスメディアの分厚い忖度の壁であろうとも隠し切れなく成る日は近い。何故ならカルロス・ゴーンの逮捕から見る日産自動車の闇が十九年越しに明るみに出るように驕れる者も久しからず……古来より続く日本に伝わりし諺通りに我が世の春を満喫する者達が訪れるのは過酷なる冬の時代の到来である。売国を生業とする政治屋の一斉検挙の日は近い。其れは南新羅に依る信じられない徴用工判決にも見られるように国と国との約束は個人が変わった位で翻せる筈もない。不可逆的文言を記しているにも拘らず南新羅では個人同士の感覚で国際条約を交わす。信じられない対応である。当然、日本政府としては最早彼等を甘やかすには仏を超えた寛容さすらも通じないと感じ始める。今こそ断交は……いや、既に始まっているのかも知れない。そんな今は亡き彼等にとっては嘆かわしい日韓関係……成ればこそ思う存分、ふざけ合おうではないか!
 では準々決勝第三試合を始める。解説は何故か追及される舛添要一の元嫁の現内閣の女性活躍担当大臣の片山さつき氏と此方も其処迄追及される理由が理解に苦しむという現内閣の東京五輪大臣の桜田義孝氏を御招き致しました!
「フッ、私は片山さつきと申します。生憎、此方の私は菩薩掌を使う事が出来まいが」
「はあ、何で俺はこんな目に遭うんだよ……一応、どっかのメインヒロインに噛み付かれていない筈の桜田義孝と申します」
 作者は無理矢理キャラ付けし過ぎだろうが。片山さつきは普通にミス日本という事もあって他に候補居ただろうに片山というだけでとある空手家をインストールしてもう一方は上条さんがインストールしてしまったついてない男桜田氏。では早速、選手入場であります。因みにCブロックの主審は日韓議員連盟に所属のラッキーマン額賀福志郎で御座います。
「あーうーあーうー」
 オオットオオ、作者のスパロボ好きが度を過ぎるからっていきなり大平正芳インフィニティでの入場なんて信じられないぞお!
「頼んだぞお、大平あ!」
「大平さんなら、やれる」
「ウィッシュ!」
 角栄派の総理大臣が次々と大平正芳の応援団として駆け付けておりますね。余程、支那とのパイプが欲しいのでしょうか?
「其れは私に対する当て付けか、フッ!」
 おっと、川原先生作品のキャラに良く見られる舌出しをしましたね。益々、ファンタジー空手家其の者に見えますよ。
「幾ら大平さんが強くても相手はあの岸さんですよ。勝てるのかよ」
 何か無理矢理上条さんの口癖をしようと必死過ぎますね、作者は。さあ、忘れては成らないのがやはり此の男……永田町の帝王として昭和の終盤迄君臨した妖怪。其の男は何と……ノーマル状態での入場です!
「待っていたぞ、此の瞬間を!」
 右手の気の炎を放出して闘気が全開である事を我々に示すではないか。やはり岸信介から滲み出る政治力は侮れない!
「兄貴の野郎め、相変わらず人間辞めてやがるなあ」
「叔父さん、池田さんと吉田さんは何処に行かれたのですか?」
「準備中だ。次の試合はあの二人だからな」
「成程、そうですか」
「総理、万博が大阪に決まったぞい」
「有難う、麻生さん!」
 如何やら今回の試合の時間帯は丁度万博が何処に決まるかの真っ最中でしたか。何処迄リアル時間に忠実なんだ……まあ良い。
「じゅ、じゅ、準備は良いな?」
「あーうー」
「さっさと始めろ、額賀」
「で、で、では……開始線に就いてえ。
 は、は、始めえええい!」
 では始まりました、Cブロック準々決勝。Cブロックの覇者は果たして誰に成るのか……おおっと、大平正芳が繰り出すのは開幕ブレストふぁいあああだああああ!
「最初から全力とは……いや、何かあるな」
「俺が最初から真っ直ぐ突撃してイマジンブレイカーを繰り出すようなもんだろうな」
 だが、大気圏外に飛翔して何とダブル疾風拳で完全回避した岸信介え……恐るべし!
「あーうー」
 オオット、ブレストファイアーは未だ止まらない。疾風拳回避した岸に向けて角度を変えて行く。さあ、其れに対して脱兎のごとく逃げるか?
「逃げれば勝ち目はない。私ならば……真っ直ぐ向かいますね」
「俺なら右手で受け止めるだろうな」
 だが、岸選手……木星圏迄、距離を離れる。やはり真っ向勝負をする事も受け止める事も避けましたか--ってオオット、ブレストファイアーの僅かな死角を見付けるといきなり邪影拳で間合いを詰めてからの間髪入れず来光回し蹴りに続いて同じく特殊技である不動活殺裏拳で反撃する隙も与えない!
「幾らブレストファイアーとて兄貴からあれだけ間合いを詰め寄られたら流石の大平でも……いや、未だあったな」
 おっと、いきなり真マジンガー出力の光子力ビームで岸選手を土星のタイタン迄吹っ飛ばした大平選手。如何やらやろうと思えば何時でも他の形態に依る攻撃も繰り出せるのかあ。
「岸さんは選択ミスをしたなあ」
「はい、今の大平さんを相手にするにはナイトメア状態の方が良かったかも知れませんね」
「だが、敢えて流儀を以って通常状態で挑んだ……岸さんらしくない選択だ」
 と大平選手の応援に回る親支派三人は一斉に岸選手の選択ミスの指摘と何とインフィニティ劇中で見られた世界中の全てのエネルギーを光子力にする方法で大平選手の勝利を盤石な物にしようと心掛けております。
「私が解説席に居なければ今頃は……あ、一応安倍内閣の閣僚ですので其れは絶対に有り得ないな」
 だから川原舌を出して迄キャラ付けしなくて良いですよ、片山氏。
「俺だってそんな事は絶対にしねえぞ」
 こっちも全然上条さんのキャラ掴み切れていないような気がしますが、まあ気にしないでおきますよ桜田氏。
「拙いなあ、角栄の野郎は完全に全世界の支那派からの支援を募って大平の勝利に貢献しようとしてやがる」
「其れは断じて阻止しておきますよ、安倍内閣としましては」
「だなあ、此処は映画の真逆をやらなくちゃあいけないんだよああ……悪いけど」
 おおっと、日産とルノーに対する制裁をするかのように安倍氏を始めとした外野は日米同盟と日英関係を重視するかのように対支那包囲網を繰り出している。此の戦い、選手同士の戦いでは収まらない様相ですね。
「TPPと憲法改正を逸早く推し進める安倍内閣の以降ですかね……あ、私は解説者なので今はそんな事はしませんが」
 だから川原舌を出さないで下さいよ、片山氏。
「俺も今は部外者扱いって事にしてくれよ」
 そうは言われましてもねえ、桜田氏。さあ、そろそろ試合の方に集中しましょう。全世界の政治力の光子力エネルギーが大平選手に集約。そして繰り出されるは何とZEROに依るインフィニティ版ファイナルブレストノヴァアアア--岸選手に次から次へと光子力の灼熱地獄……反撃する余地すらも当て身投げする隙さえも与えずに岸選手を焼き尽くしてゆく、タイタンどころか土星の輪っかすらも呑み込んで!
「あーううううううう、あああああうー」
「ふう、レイジング……ストオオオオム!」
 何と岸選手の代名詞であるレイジングストームに依る離脱……何、此れは上半身半裸に成っていきなり烈風拳の嵐。そうか、敢えてナイトメアでの入場をしなかった本当の理由--全ては……おおと、キャンセルからのデッドリーレイブに繋げたあ!
「如何したんだあ、お前達。光子力が足りんぞお!」
「駄目だ、アメリカによる経済制裁で支那からの金が集まらないですよ……角さん」
「ウィッシュ……安倍君にやられましたなあ。此処迄やりますか、勝つ為に」
 如何やら外野合戦は安倍内閣側に軍配が上がりました。
「間に合った……祖父馬鹿ながら勝手な支援をさせて貰いましたよ、御祖父さん」
「仕方ないさ、向こうさんがズルしようとしなさるからさあ」
「フッ、悪いなあ……角栄。俺達はフェアプレー精神で行きたいんでなあ。ズルにはズルで対抗して貰ったぜ!」
 さて、外野合戦は此処迄にして試合内容は如何成るか。更にキャンセルしてからのコンボですか。ナイトメア状態にしない侭から邪影拳に繋げて止めのサンダーブレイクへと繋げ--
「アーウー!」
 おっと、大平選手の反撃大車輪ロケットパンチインフィニティが岸選手の顔面に炸裂したではないかああ--いや、何だ此れは!
「フッ、お前ならそうすると……思った!」何と其のインフィニティ状態の大車輪ロケットパンチを顔面で受け止めてからの右掌打から顔面を掴んで勢い良く空間に叩き付けて太陽系を重力崩壊へと追いやってゆく。「秘儀……鬼煩悶!」
 そして大平選手に籠められた無限の光子力を自らの物としながら追い打ちのレイジングストームでブラックホールにまで拡大させるかあああ!
「勝負あ、ありイイイ!
 しょ、勝者……岸信介!」
 外野に迄広がった究極の一戦を征したのは……岸信介だあああ!
「大平め……済まないなあ。わし等の援護が、間に合わなかったあ」
「仕方ありませんよ、角さん。其れだけ岸さんが強かったのですよ」
「根回し、政治的駆け引き……あらゆる全てを懸けた戦いの勝者は、岸先生の物に成ったな」
 角栄サイドは既にお通夜状態であります。普通ならば圧倒的な応援は勝ちフラグであるにも…拘らず。
「此れで良いのです。我々は公平中立である為に敢えて駆け引きに出ました」
「しっかしこんな勝ち方で良かったのかあ?」
「今更かよ、麻生。良いんだよ、細かい事はよお!」
 一方で政治的駆け引きに勝利した安倍内閣側は勝利ムードで溢れる。
「私も嬉しい限りですよ、解説の役割を放棄したい位にですね」
「良かった良かった……あ、済みません。解説らしい解説が出来なくてな」
 此れが政治屋同士の戦い。時には卑怯な手段が介入するという拳願試合の如き内容……其れでも試合の勝利は闘技者同士が決める--其れだけは拳願試合と同様ではありますがね。
 勝者岸信介。試合時間二十三時間五十九分五十八秒。決まり手……鬼煩悶レイジングストーム!


 第弐拾漆話に登場した政治屋は大平正芳、岸信介、片山さつき、桜田義孝、田中角栄、竹下登、橋本龍太郎、佐藤栄作、安倍晋三、麻生太郎、額賀福志郎。
 第弐拾捌話『戦後一、二を争うトップスリー同士の極限の一戦が此処に開幕! 池田勇人VS吉田茂』に続く……

 片山さつきは修羅の門に出て来る片山右京、桜田義孝は上条当麻。大平正芳が勝ってもおかしくなかったけど……最近の世界情勢を踏まえて今年は特に米に依る支那に対する経済制裁の効果が凄く甚大だし、世界中で支那への風当たりが強い事も受けて今回の結果に成りました。米民主党政権下だったら恐らく大平は勝利していたのかも知れん。

 さあ、今回は此処迄。格付けの旅を更新した後に再び此れをやるから待て!

一兆年の夜 第百三十一話 終わりの始まり 急激な氷解は惑星の水位を押し上げる(終)

 午前十一時五十八分零秒。
 ライデンはサイ団が首元に望遠弾のようなモノを突き刺さる事を見て最早手遅れであると本能が確信する!
 だが--
「うおおおおおい、此の藤原サイ団がああああい。此の程度の攻撃でええええやい!」サイ団はそんな状態でも戦う事を諦めない。「此の位が丁度良いんだようやい!」
 サイ団は尻尾型蛇腹蘇我鋭棒を縦横無尽に繰り出して何と通気口に上手く入り込ませて中に潜伏する銀河連合を射程圏外に脱出する前に貫いた!
(血が流れる。此れが五武将……此れが火の将藤原サイ団!
 あんな動きは出血量を大きく増大させる……其れを承知であんな巧みな芸当を瀕死の状態でやって見せるかああ!)
 ライデンは驚愕しつつも次々と襲い来る銀河連合に目を逸らすような真似をしない。彼は彼でサイ団を心配しつつも自らの役目を絶対に怠らないように熟してゆく。其れは時として体勢が崩れて余分な力を籠めるような状態であってもサイ団の命懸けを思ってライデンは手を抜かない。いや、抜けない--レットはシシドと共に誰の介入もない場所に避難して今では二名だけの状態であり、其のような時に休んでいたり観戦気分で居るのは二名に対しても頭を挙げっぱなしで居られない事態でもある!
 そして戦いは一の分だけでは終わらない。ライデンが革仙者の力を駆使しようと躊躇う程に長期戦を展開。何故革仙者の力が使えないのか? 其の理由は次の通り。
(前に漂流した時に其れを駆使したら通常よりも体力の消耗が激しかった。だから使用すると全身の疲労が大きく増すのを如何して使えるか……其れにサイ団さんは最早限界を押して迄戦っている。まるで相武様の言葉に従うかのように火ではなく、炎として命を萌え挙げようとしている!
 ……じゃあ俺も力を出し惜しみしている場合じゃないな。だが、此処が使い処ではない。どんな能力でも使うべき場所は……ある!)
 ライデンにとって革仙者とはあくまで自分を必ず助ける能力ではない。元々銀河連合を体内に宿していたが為に使用する度に自らの寿命を削る物だとして忌避していたような物--故に使用を其処迄好まないのである……物心付く前から使用を躊躇わないレットと異なり!
 此れが先天的に持った者と後天的に持った者の考えの違いだろう。そんなライデンと瀕死のサイ団は激しい銀河連合の襲撃を受けながらも何と全員無事で迷宮の洞窟の外に避難させる事に成功させる--二名の傷は最早無事では済まない満身創痍の状態……特にサイ団は誰が見ても最早助かる見込みがない!
「サイ団……お前はそんなに成って迄!」
「わしよりいもわしよりいも……全く真面目なお前さんだだ!」
「何て傷だ……こんなの如何しろって言うんだ?」
 サイ団……言葉を鵜呑みにしおって--相武にはサイ団が如何して全身傷だらけに成りながらも此処迄理無き事に専念出来たのかを察した!
「ガッフ……今、更あい。僕、は、使命、を、果たし、た、の、でやい。ハアハア……眩暈か、い?」サイ団は既に視力も聴力も既に限界が訪れていた。「はは、い。ああ、い。父上、母う、え、の声やい? 聞こえ、聞こえ、る、あい?」
「相武様、サイ団は……もうん--」
 知っている……だが、私は、私は--相武にとって己の長い人生とはやはり無視出来ない別れが必ずある事の証……涙が既に流れるのは長生きし過ぎる自らが悔しいと感じる事の示し!
「泣かれるな、泣かれるな、わし等迄……クソウ、何で涙が、涙なああ!」
「サイ団、死ぬなああ?」
「そうだ、サイ団さん!」ライデンはサイ団の顔に近付ける。「俺の眼を見て正直に語ってくれ……未だ大丈夫、だろ?」
「あ、当たり前だ、い。ガッフ……今のは咳き込んだい、だけっがふ……ゲホゲヒッ、ハアハアい」既に余裕すらないサイ団ではあったが期待を裏で切る事をしたくないのか、やはり限界を超える事を諦めない。「未だ、未だ、僕、は、死に、死なない。何故って……ハアハア、五武将は、誰が、誰が、火の将をするん、だい!」
「そうだよ、サイ丼しか居ないよ。でも、もう……精神だけで肉体は、動かせない!」
「やってみ、なけれ、ば、わから、ない、じゃない、かぃ……」
 だが、レットの言う通り精神だけで肉体を動かすには肉体は余りにも現実に即し過ぎた--要するにサイ団は息を引き取った!
 彼の死と同時に周囲に水が雪崩れ込んでゆくのは氷塊が産んだ水位の押上げが既に迷宮の洞窟付近まで迫っている証拠なのか? 或は夢宇宙がサイ団の死を悼む為なのか? ライデンは次のように考える。
(今はそうゆう事を考察している暇がない。サイ団さんは言ってるじゃないか、妄想を口にする前にやるべき事を先にやれ……そうだ、志乃を弔った時と同じように俺達がやるべきなのはサイ団の魂を静かに寝かせる作業だよ!)
 其れはライデンだけじゃない。此の場で集まるサイ団を良く知る者達の総意。そして六名の意志を外から見つめる五十七名の避難民と様子を見守る軍者十九名も同じ思いだった。そしてサイ団の弔いは始まり、僅か二の時も掛けずに其れは完了した!

(サイ団は死んだ。サイ団の死は免れない。そしてサイ団があの時、命を懸けなければ普段以上の働きもしないだろうし、五十七名が奇跡的に助かる事もないだろう。サイ団は相武様の言われた通り炎の将と成った。死ぬ寸前で炎と化すなんてなんて真理だ……如何して命を懸ける場面でしか生命は想像以上の力を発揮出来ないのか!
 其の答えを知るのは後にしよう。こうしてテオディダクトスの氷が一斉に解けて世界中に津波が押し寄せる話は此処で終わりだ。最後の方に成るとほぼ五武将を中心とした話に集約されるのは余り宜しくないが、仕方がない。ちゃんと思いを伝えるには俺の表現力は未だ未だって事さ。
 次は首都ボルティーニが陥落する話さ。此れはサイ団の死からいきなり始まる。たった二の日だけなのに其の内容は大分濃い。ボルティーニがあのように成るのは思い出すだけでも悲し過ぎて逆に語るべきなのか迷いそうではあるが--)

 ICイマジナリーセンチュリー三百十三年九月七十七日午後二時零分零秒。

 第百三十一話 終わりの始まり 急激な氷解は惑星の水位を押し上げる 完

 第百三十二話 終わりの始まり エリオットの記憶は流れ星の中に に続く……

一兆年の夜 第百三十一話 終わりの始まり 急激な氷解は惑星の水位を押し上げる(激)

 午前十一時三十五分四十三秒。
 場所は黄金部屋。其処でライデン、レット、そしてサイ団は生存者を発見する。
「やはり神の住まう場所では生命は生きている物だい!」
「そうだけど、感心している場合じゃない。本当に一般生命か如何かを確認する」
「疑ぶなよ」
「あたし達が銀河連合である証拠がある?」
「そうだそうだ。こんなに喋るのに銀河連合呼ばわりだよだ!」
 数にして五十七名。大小合わせても其の部屋に入っても息苦しくない数が避難していた。三名は五十七名を安全に確保する為に先頭にレット、中央にライデン、そして後方にサイ団という配置で移動を開始。
(銀河連合の盾代わりに成る為の配置だ。出来れば上側に配置出来れば良かったが、生憎俺達の中に空を飛べる軍者が居ない者でな。だからこうゆう事に成った。其れに前方のレットは信頼出来るし、後方のサイ団さん何て言われなくともわかる軍者だ。俺はもっとも安全に思える中央で混み合わないかを確認する訳だ。混み合えば其れだけで移動効率が下がる訳だからな。だから成るべく俺は間隔を開けるように指示を出す。理由は簡単で幾らでも避難が出来るようにしないと銀河連合の……思っている間に出やがったな!)
「待て待て、わしだだ!」
「何だ……シシドさんか。脅かさないで下さい」
「サンショウ丈とリリザースが相武様を護衛しているのか?」
「そうそうだ、あいつらが居れば……危ないい!」
 シシドはレットに乗っかるように匿う--するとシシドの背中に物部刃のようなモノが突き刺さる--其れは突っ掛けから突然現れたモノだった!
「ウグウグウウ……銀河連合、メエめえ!」
「シシドオオオオ、まさか突っ掛けは……あああ!」
 させるかああ--ライデンは革仙者と成って素早く雄略包丁を抜くと同時に飛来する物部刃のようなモノ三つを同時切りするように捌いて行き、避難民に被弾するのを防いだ!
「やるない、こっちも其れなりに……うおおおおやい!」ライデンだけでなく、サイ団も飛び上がって自慢の角と尻尾に装備した蛇腹式蘇我鋭棒にて縦横無尽に振るって四発もの何かを全て落としていった。「ヘイ、どんなもんだい」
「やるじゃないか、サイ団さんも……って」ライデンは喜んでいる場合ではない事を理解する生命。「シシドさんが撃ち込まれた……レット、至急シシドさんと一緒に先に行ってくれるか?」
「ライデンとサイ団でみんなを守るのか?」
 ああ、シシドさんが突然銀河連合に成ったら誰が相手出来る--ライデンにとってシシド・ミリエムの強さを十分認識した一言であった。
「……わかった。責任以てシシドの面倒を看るよ!」
「済まない済まないなな。わしが、わしが、こんな体たらくでなければば!」
 何、俺様でもあれは予測出来なかった……貴方は寧ろ褒められるべきだ--レットはシシドが居なければ間違いなく自分が死んでいたのではないか……そう思って感謝の言葉を述べる。
 一足早くレットとシシドは迷宮の洞窟の外へと向かってゆく--二名だけで何とかするという妥当且つ最善策を以って!
「ライデン、わかっているない?」
「ああ、此れも銀河連合のやり口だ……其れでも俺達は全員を外に出すべく誘導して行くぞ!」
 ああ、僕達ならば絶対に……絶対に出来るぞい--サイ団の号令と共に前方はライデン、後方はサイ団で先程と比べて円滑とは言えないが其の配置で五十七名の避難を再開する。
(突っ掛けだけじゃねえ……俺達が読めないと思ったか、銀河連合!)
 ライデンは蝋燭の火の中に銀河連合と思われる自然ではない感覚で立っている何かを見付けると縦一文字にして斬り伏せた!
「らああい、はあい」サイ団は尻尾型蛇腹蘇我鋭棒で斜め右一文字に斬り伏せた。「蛇腹は複数取り付けるだけで取り回しが難しく成る代わりに斬撃の切れ味は増すそうだい。だがい、そんな事よりも銀河連合が蝋燭にすら成れるとは初めて知ったぞい!」
「今のは未だわかりやすい前方と後方だったから良い。だが、中間で其れに気付いていたら俺達は……そんな事は後にしようか」
 わかってるじゃないかい、成長したな……ライデンやい--喜びの笑みを浮かべてサイ団は持ち場に戻ってゆく……そんな時、サイ団の前方に煙が通り過ぎる!
「煙……いや、拙いぞ!」ライデンは其の煙の出処が有り得ない空気穴から出ている事に気付いてサイ団にこう叫ぶ。「サイ団さあん、深く前に出たらああ--」
 だが……サイ団の首元に其れは命中!

(藤原サイ団は既に死は決まっていた。其れは決して早いとか遅いとかそんな物ではない。けれども、こんなに早く運命が訪れる事に成るなんて……如何して夢宇宙はもっとサイ団の寿命を延ばす事が出来なかったんだ!
 だが、サイ団の寿命を延ばす事は……後で思い知る事に成る。サイ団がこうして首元に望遠弾のようなモノを受ける事に成った本当の意味を--)

一兆年の夜 第百三十一話 終わりの始まり 急激な氷解は惑星の水位を押し上げる(道)

 午前九時三分四秒。
 相武は五武将に向かって語り始める。
「先ずは火の将、藤原サイ団よ」
「は、何でしょうかい?」
「お前は全生命体の為に道を切り開く炎と成るのだ!」
 ……言われる迄もなくそうしますよい、相武様やい--サイ団にとって当たり前過ぎる言葉でしかない。
「いや、何度でも語るぞ。未だ未だ水没が本格化しない状況にあってもお前だけにしか出来ない事だ。だから忘れず炎の将と成るのだ!」
「繰り返し同じ事を……聞き飽きる事を僕に命じるのですねやい」
 ああ、お前にしか出来ない役目だ--相武は笑みを浮かべてサイ団の角を右掌で摩る。
(サイ団さんが炎と成る? 其れはつまり、サイ団さんに付き者を送る気なのか? だが、そんな者的資源が俺達にあるか?)
 ライデンは此れを合理的に解釈した--だが、結果として其れは大きな勘の違えに成ると此の後知る事に成ってゆく。
「次に水の将、山一サンショウ丈!」
「何でしょう?」
「お前は常に流れる水のように全生命を導くのだ!」
 そうゆう言葉は難しくてわかりませんと何度も言いますのに--サンショウ丈は言われる事が余り好まない生命だった。
「まあまあ、お前さん達山一一族は言葉よりも行動する方が良いという性分なのは既に知っている。だが、其れでも私は君にはそうゆう性分の侭に堰き止められぬ水の流れを描いて貰いたいから言うのだ!」
「今、水没しようとしているのに?」
「其処が君の良くない所だ。余り言いたい事を先に言葉として出すべきじゃない。考えてから出す方が良いだろう。或は--」
「いや、十分です? 僕には何度も口にするように言葉は用意する必要はありません? 言われなくとも相武様や真古天神武、そして全生命体の希望へと至る道を行動で示します?」
「次に木の将、リリザース・リッサール」
「はい、何なりと御命令を!」
「君には何も言う事はない。だが、一つあるとすれば……無理はするな」
 わかりました--リリザースは特に何も言う事がない。
「そして次は……一つ飛ばして金の将、シシド・ミリエム」
「何だい何だい?」
「お前は相変わらずだな。だが、こうして長年終期五武将金の将の御勤め御苦労」
「未だ未だ引退は早い早い。其れに若しいもわしが何かあっても菅原ライデンが新たな金の将を務めてくれるだろうささ!」
 ちょっと待て、俺はそんな話は聞いてない--其れは初耳だった。
「其処で、だ。土の将、菅原ライデン。君は後方支援向きの土の将としては余りにも支援を疎かにし過ぎた。此れからは金の将に内定しようと考える」
「ちょっと待ってくれないか? 其れは確か力自慢が成れる将じゃなかったのか? 俺よりもサイ団さんの方が適任だと--」
「僕は火の将の方が心地良いので頼まれても辞退させて貰いますやい」
「僕は絶対に成りたくない?」
 いや、サンショウ丈……お前に頼むんには心細い将だぞ、金の将というんのは--勿論、元々作戦参謀に相応しい木の将のリリザースも辞退するだろう。
「其れで俺なのか?」
「満足出来ないのか?」
「鬼族のように力強くもないんだぞ、人族って」
「其れでも土の将としては余りにも支援を疎かにし過ぎる。其れに二名の付き者も悉く君を支援に向ける事も出来なかった」
「あの二名は元々其の為に俺の所に寄越された物だったのですか!」
「いや、実は金の将として成長を促す為だった。そう成らなくとも少しは支援向きに成長するかと期待も込めたが……上手くは如何物だ」
 其れが世の中ですね--と覗き込むレットが扉の前に立つ。
「如何した、レット?」
「実は……迷宮の洞窟に、銀河連合が現れた!」
「……では出陣するぞ、皆の者よ!」
 相武の合図と共に彼とレットを含めた七名は迷宮の洞窟へと窓から飛び込むように進入してゆく!

(此れが最後の皆揃っての五武将の出陣だった。何故なら--)

一兆年の夜 第百三十一話 終わりの始まり 急激な氷解は惑星の水位を押し上げる(要)

 九月七十日午前七時四分一秒。
 場所は大陸藤原大中臣地方迷宮の洞窟前。
 其処は迷宮の洞窟以外ほぼ全てが水没寸前迄水位が上がっていた。此の侭進めば迷宮の洞窟入り口に水が入るのも時間の問題であった。そんな場所には数多の仮設民家が建てられており、其の中で迷宮の洞窟付近には最大で八つも二階建て仮設民家が建てられてある。
 其の中の老朽化した素材を使用して建てられた二階建て仮設民家の二階で目覚めるのはライデン。彼は二の日より前にサイ団とサンショウ丈に救出されて以降は暫く指令が下る迄は迷宮の洞窟付近で待機するよう命じられた。其れは首都ボルティーニの一部機能が完全じゃない事だけじゃない。
(六虎府の経済都市がやられてしまった。幾ら工業で何とか出来ても金を回す為の都市が水没してしまっては如何しようもない。幸い工業都市は半分機能している。暫く経済都市代わりを担うなあ……情報を聞いて驚いたが、其れだけじゃないだろうなあ。
 正直、俺が長い間漂流していたから全て聞き取るには体力も儘成らない。おまけに視力も宜しくない。とある鶴族が開発したツルドルト環の巨大な物は何とか口は見えるけど、其れ以下だと両眼でも見えやしない。そんな状態を含めて昨の日の俺は安静を優先されたしな。だが……今日は視力以外だと完全と言えなくとも聞き取りに関しては問題はない。戦いの場に復帰するのは又今度としても……だ!)
 ライデンは仕事に復帰したくて屈伸を何度もする。そんな彼の様子を眺める生命が一名。齢十四にして三の月と二十七日目に成る神武人族の少年レット・テンタウ。
「何だ、心配か?」
「ああ、此れから真古天神武は如何成るんだ?」
「こう成る事は既に予言された通りだ。俺達は其の予言した日に備えてずっと先者達が準備して来ただろう。今更弱音か?」
「弱い事は良くない事か?」
「強い方が全てを助けられるだろうが!」
 だが、俺様には其の答えを理解出来ない時が多々ある--レットは此の歳頃に良くある安定しない悩みに陥る。
「レット、お前も其の時期が来たんだな。実力では常に上を行くお前が如何して悩みを持つか」
「あんまりわかる辛い事を言うな。俺様は水の惑星がどんどん生命が住めない世界に成ってゆくのがとても憂う」
 大丈夫だ、レット……そうゆう嵐は俺達が堰き止めて行くからお前は其の先に在る希望を掴み取れ--ライデンはレットに思わない言葉を告げる。
「ライデン、お前は如何したいんだよ」
「さあ、な。親父や祖父さんみたいに考える事があったんだ。そんな経験をして俺は漸く道が切り開けた気がする」
「切り開いた先に在るのは何だろう?」
 さあ、な--ライデンはそう言いつつ、窓の近くに移動するライデンの隣に立つ。
(此の光景が何時迄続くかはわからない。迷宮の洞窟に水が流れ込んだらもう此処は無事では済まない。そう成れば俺達は--)

 九月七十七日午前九時零分一秒。
 場所は迷宮の洞窟。
 其処で五武将は全員集結する。其処には齢七十六にして十一の月と六日目に成る神武人族の老年天同相武も居た。
(久し振りなのに……随分年を摂られたな。こんなにも痛ましい姿に成って迄、相武様は其処迄戦い続ける宿命なのか!)
「わしのわしの事も心配するんだだ」齢五十にして十一の月と六日目に成るルケラオス獅子族のシシド・ミリエムは構って欲しい様子。「最近は最近は腰が痛くて目が霞んで……もう余命幾許もないなな」
「そう言ってるん内は大丈夫ですんな、シシド殿よ」齢三十五にして六の月と八日目に成るキュプロ栗鼠族の中年リリザース・リッサールは白髪が増えた己の方に注目を集めようとする。「白髪は活力が消え始めた証拠だと昔から言われるんそうんだが……本当か?」
「わからないですよ? 僕はそうゆうのあんまり詳しくない?」
「だが、寿命が短く成る証拠として死んだ父上が良く白髪を生やしていたそうだない」
「とはいえ、五武将全員無事で良かった」
「いや、真古天神武は最早国の体を為さなくなりつつある。支援物資も、各地に送る軍者の数も、そして継戦能力を維持する為の物資も……何もかも!」
「相武様……其れは自ら口にする事ではありません!」
 其れでも私は……希望を捨てない--相武の眼は未だ活力が溢れていた!

一兆年の夜 第百三十一話 終わりの始まり 急激な氷解は惑星の水位を押し上げる(主)

 九月六十五日午前六時一分七秒。
 場所は不明。
(此処は……海に流されて、其れから俺だけが? 俺だけ? ルドールやキッシェルの爺さんは如何した?)
 ライデンは心だけでなく、声に出して二名を呼ぶ。返事がしない。そして二名の姿も確認されず。当然、彼等を表すような物も浮んでこない。其処でライデンは一旦、海水を目に浴びる覚悟で潜る。其れも空腹を訴え始める一の時と四の分の後迄潜る--勿論息継ぎの回数は十の分に一回或は三十の分に一回の間隔で。
(クソウ、腹が減っては意味がない。其れに……居ねえじゃねえか、俺の探し方が良くないのか!
 如何してこんなにも悲しいんだよ、あいつらの事が。どっちも話するだけで苛立ちを募らせるような頭脳労働専門且つ才能型の禄でもない性格だ。常に上から目線で尚且つ鬱陶しい……なのに居なく成るとこんなに悲しいなんて!)
 其れは遠過ぎる過去だけの話ではない。好きではないが何故か付き合いの長い者達が突然居なく成ると如何しても物悲しさを齎す。銀河連合みたいに感謝の気持ちで一杯な性格ならば幾分か救えた気持ちに成るだろう。だが、全生命は情に厚い故に居なく成ると急に悲しさと寂しさが襲い来る。ライデンにとっては此れが如何してなのかを納得出来る説明が出来ない……いや、納得出来ない事が歯痒い気持ちとして襲い来る物だ。
(……二名の無事だろうが死んでいようとも関係ない。今は俺の無事を何とかするのが正解だろうが。他の五武将が心配だろうし、レットだって俺が行方知らずで在る事を我慢出来ない筈だしな。そうしないとあの二名も何処かで見ていようとも俺が死んでしまえば納得する筈がないと思っている筈だ……絶対に何処かに陸があるから其処へ辿り着くべく泳ぐぞ!)
 ライデンはこうゆう時に短期間ながらに革仙者の力を使って自らの手足へと落とし込み具合を確認しながら泳いでゆく。
(如何な、幾らこうゆう能力を持っても……使う方が逆に疲労度が増すじゃないか。所詮、こうゆう奴は万能じゃねえ。万能じゃないからこそ過信を避けつつも自らの基本を極めて行くしかないんだな。
 にしても、休める所……あった!)
 ライデンは革仙者を使った反動で僅か成人体型三百泳いだだけで息切れを起こし、今にも沈みそうな状態。長い事海に浸かる事で発する皮膚荒れも油を断ってられない。そんな中で見つけた謎の筏。誰も居らず、そして彼は其れに乗っかると仰向けに倒れる。少しでも息切れ気味な状態を緩和する為に。
(皮膚が如何も脆い。ずっと海の生活ばっかりで状態が良くないな。おまけに……腹が減った。若芽あるだろうけど、一々取るのも難しい。何で懐中種族が一名も居ないんだよ、此処に……居ない!)
 懐中種族の存在がない事を疑問に思ったライデン。だが、其の前に息切れ気味な状態を何とかするのが先決だった。
(考えるのは陸に上がってからにしようか。にしても熱いなあ、ひょっとすると南雄略か武内大陸辺りに漂着するかも知れない。ま、水位の上昇で生じた影響については陸に上がってから改めて考えるとしよう)
 ライデンは何も喰わずの状態であったが自らの衣服に海水を溜め込んで海に浮かぶある代物を使った状態で独自に飲み水を獲得しながら少しずつではあるが喉を潤してゆく。気休め程度であるとはいえ、ルドールとキッシェルから教わった豆のような知識がこうゆう場面で役に立つ事を感謝して……三の日が過ぎて行く。

 九月六十八日午前四時十二分三十四秒。
 場所は不明。
(既にもう限界が訪れようとしている。此の筏でどれだけ漕いでゆこうとも陸は見えない。やっぱアリスティッポスの氷が解けた影響が強過ぎるのか? こんなに迷ってばかりで俺はちゃんと目的地に辿り着けるのか? ひょっとすると俺は--)
 おおおい--其の時、ライデンの耳にそんな音が聞こえる。
(今、誰かが呼んでいたような? 起き上がりたくないな。だが、上ばかり見るのも余り宜しくない場合もある。例えばこんな感じで誰かが呼ぶ幻の聴こえを感じ取るような事に成るからな。誰だろう、俺を呼ぶ声は?)
 ライデンは起き上がり、朦朧とする視界で何とか周囲を見渡す。だが、見の眼は筏しか明白に見えない程に遠目では確認も出来ない状態に成っていた。其れでも見の眼の代わりに観の眼にて周囲を見渡し、僅かに動く何かを捉える!
 オオオイ、オオオイ--そしてライデンは徐々に聞こえて来る山椒魚訛りを聞き取り、其れがサンショウ丈の声であると確信する!
「此処だああ、此処ダアア……サンショウ丈さあああん!」
 生きていたかああい、菅原ライデエエンやい--そして藤原サイ団の声もライデンは聞き取った!

一兆年の夜 第百三十一話 終わりの始まり 急激な氷解は惑星の水位を押し上げる(導)

 未明。
 第一の関門が巨大な鯨型の空気の出し入れたる両肺の中央部を通る難関。其処には菌型銀河連合が数え切れない数だけ襲撃。其れを嵐で培った技術で何とか突破した三名の筏。だが、次に襲い来るのは胃酸の関門。其れは溶けるだけでは済まない代物であると三名に知らしめる。
(何て暑さだ。動きが少しでも力めば一気に全身大火傷だ。昔、祖父さんが湯気風呂と呼ばれる浸かる事がない高温の風呂があると言ってたそうだな。若しかすると此れの事かも知れない。けれども、此処はそんな段階の話じゃない。此の空間は銀河連合の体内だからな。おまけに筏の下は今も俺達を溶かしに迫る……あヂぢ!)
「濡らした布でも一気に乾いて気が付けば……焦げているじゃないか。こりゃあさっさと渡らないと最早火傷じゃあ済まねえ!」
「じゃがし。じゃがこんな熱気の中で速度を上げたら……アヂヂヂ、何でわしは死ぬのがこんなに恐がるんだっさし!」
「速度を上げたら今度はキッシェルの爺さんでさえも内部での火傷が避けられない程の殻の温度に成るんだったっけ? 俺達なんかさっきから肌が赤みを帯びて、ハアハア……息苦しい!」
 そして鯨型は巨大……此れだけ揃った状態で苦しまない筈もない。三名は筏の木が三名の足を溶かしに入るのが先か三名が窒息死するのが先か熱で全身大火傷の内に衝撃死が先か或は--

(朦朧とする中で俺達は胃酸の恐るべき空間を突破した。其の次に待つのが第三の関門。鯨型の体内も俺達と同じならば次は曲がり角が豊富な小腸区域の筈……なのに--)

 未明。
 三名の筏は胃酸に溶かされる事なく、胃の区域を突破。其の少し暖かな気温は三名の肌には少し涼しさというよりも寒さを感じる……「ヘックション……おかしいなあ、腸は大きさに比例して胃の内部の次に高温の筈だったが」くしゃみが出る程に胃との温度差がある。
「未だにわしの殻が筋繊維を焼き付ける。変に動く事が侭ならないぜせ」
「甲殻種族は意外にもそうゆう悩みがあるんだな」
「お前達人族を寧ろ人族以外が羨ましがるのと同じだと思うなっし!」
「だな……ところで此処は本当に曲がりくねった小腸の中か?」ルドールがそう疑ってもおかしくない程に其れは広い。「其れに大腸にしてもこんな広々とはしない……というか自分の視力で確認した所だと如何して丸みじゃないんだ?」
「丸み……あ、本当だ」ライデンも丸みを帯びない区域が果たして腸内なのかと疑い始める。「どんな腸でも端は楕円でないと説明付かない筈なのに!」
「若しや……此れが逸話にあるしとされる銀河連合内に顕然と存在する秘境?」
 秘境……何で銀河連合が神を宿すのだよ--ライデンが抗議するのも納得するキッシェルの仮説。
「結論は未だ早い。もう少し先に進もう。其れに少し此の温風で籠った熱を少しでもマシにさせないとな」
 三名の乗る筏は先に進んでゆく。其れは三の時も何もない状態で進んでゆくように。

(三の時も何も起こらない。三の時も話が進まない状態で俺達は進んでゆくのだぞ。少し頬を引っ張っても見たしな。だが、現地涌は現実だ。やはり此の現実の前では俺達はそろそろ考えるのを止めたくなる気分だよ。大昔、祖父さんと一緒にやった百度参りの様な気分其の物だよ。あんな物の為に最早何を考えれば良いのかわからない位に長い時間だった。たった三の時とは言えども空腹感にも襲われなければ苛立ちとやらも起こらない。百度参りは精神の疲労を促進し、最早何もかも一切を解脱したいと本能が命じるように俺達は何の発展もなく時間だけが過ぎだ。
 そして--)

 未明。
 三の時が過ぎてから事は起こった。そう、第三の関門の本意気とは即ち百度参りで経験する解脱の心……ではない。本当は突然訪れる急激な濁流--三名は余りにも発展しない事柄に気を取られて思わず筏から引っ繰り返ってしまった!
(畜生、何だよ此の急激な波の流れは……単調な事が三の時も流れた後にいきなり此れでは如何しようもないじゃないか。俺みたいな戦いに従事した生命がこんな油を断った術にやられるなんて!
 クソ、水が口の中に、いし、意識が、ぁ、ぁ--)
 そしてライデンは暗闇の中へと引き摺り込まれてゆく……

一兆年の夜 第百三十一話 終わりの始まり 急激な氷解は惑星の水位を押し上げる(微)

 九月六十三日午前三時七分四秒。
 場所は未明。其処は周り全て海だらけ。ライデンとルドール、其れにキッシェルは筏に乗って遭難していた!
「こんな物で本当に陸に着くだろうなあ、ルドール!」既に呼び捨てのライデン。「まさか船が津波一回で船底に穴が開いただけでは済まずに脱出用の樹脂船がまさかの穴……仕方なく最寄りの材木が沢山こびり付いた氷にしがみ付いて急場凌ぎで此奴を作ったのは良いけど……よお!」
「こっちも必死なんだよし!」キッシェルは幾ら蠍族の鋏があっても弾き飛ばされるかわからない状態であった。「ウオオオ、何時爆弾が弾けるかわからん程の緊張感だっせ!」
「楽しんでいる場合じゃないよ、爺さん。此れは……うおおおあああ、揺らされるぞ揺らされるぞ!」ルドールは予め空けて於いた木と木の隙間に左手を挟ませながら何とか持ち堪える。「此の隙間であっても何れは侵食の影響下は避けられないな!」
「後は俺達が此処三の週も睡眠が足りないんだよ」
「わしは二の週は睡眠摂れない日が……うおおアア、兎に角必死に眠け覚ましの術を考え付けせさ!」
 出来たら……ウオあ、苦労してねえなあ--肉体労働が主体のライデンでさえも其の術を自力で思い付けない!
 其れからライデンは眠気と激しい暴風雨、そして揺れる波に苦しめられながらもある物を見付ける。其れは……銀河連合--全長成人体型二十五を優に超える鯨型!
「ぎ、ぎ、銀河連合……こんな時に如何してわし等はこうも力無きかせ!」
「いや、此処は銀河連合に運んで貰おうか。なあ、ライデン君!」
「ああ、そうだ。少し無茶苦茶ではある……が、此処でみんな一緒に深海で眠るよりかは銀河連合の体内で何とか嵐を乗り切ってやれば可能性があるぞ!」
 其れはかつて銀河連合に呑まれた生命が生還を果たしたという逸話を信じて出る賭け。だが、三名にとって荒波に流されて死ぬ確率の方が遥かに高い。ならば鯨型の防護壁を利用して生き延びるという遥か昔の一般生命が羨む共存の方法を以って生を掴む以外になかった--そして、三名の乗る筏は予定通りに鯨型の巨大な口に一口!

 未明。
 三名は鯨型の喉を通ってゆく。予想は出来たが、喉元でも銀河連合は押し寄せる。其れを何とか躱しつつも流れて行く三名の筏。
「何という事じゃせ。此処の方が嵐よりも安全だとはせ!」
「とはいえ、完全に安全とは言えないのが俺達に向かって来る菌型の連中と何でも溶かす胃酸だな。胃に入ったら間違いなく……ウワアアア、もう一つあった!」
 此れは……肺--三名の乗る筏を呑み込む大きさである以上は息継ぎの際の空気量は尋常ではない物と成る。
「外の嵐とは違った体内の嵐が其処にある訳だな……一階でも吹っ飛ばされたら追撃する菌型無数にとって絶好の食料として飛来する訳、か!」
「俺達は餌に成るつもりは生まれた時から一度だって無い!」生命は銀河連合の餌に成る為に生まれたのではない……「なのに奴等はずっと俺達を食べる為にあらゆる事をして来たからな」其れは遺伝子に刻まれた確固たる思いである。「時には奴等は信じられない行動を起こして此方の神経を逆さに撫でて来やがるとな!」
「怒りで我を忘れたら喰われるぞせ、若造ぞち」
「まあそう成るわな。兎に角、自分達は何とか抜け切って第二の難関である胃に到達しないといけない」
「溶けたら溶けたで飛び移る為の何かが浮かんであるんじゃないか?」
「飛び移る……ライデン君、勘を違えていないか?」
 ルドールが説明しようとした時、其れは真っ直ぐ二名に思い知らせる--胃酸は熱無くして発するとは限らない!
(何て熱気だ……ルドールが言いたかったのは此の事か。一気に灼熱の世界へと降り立ったぞ!)
「わ、わしは最近迄凍結の世界に暮らしていたから……堪えるぞす、此の暑さぜ!」
 此処からが……本番だ、自分達の--果たして無事に三名は銀河連合の嵐を乗り越えられるか?

一兆年の夜 第百三十一話 終わりの始まり 急激な氷解は惑星の水位を押し上げる(期)

 午前五時九分二秒。
 ライデン達が見たのは数にして数千にも上る流れ星。其の圧倒的な数の前では最早アリスティッポス大陸が無事では済まない!
(あれを如何しろって言うんだよ。俺達が守るのは俺達だけでも出来る限り守る事が出来るから守るんだよ。だが、守る許容の範囲を超えた事柄を俺達は未だに守る術を見付けてはいない。如何して真古天神武にはこんな重過ぎる課題の数々が押し寄せるんだよ。如何して相武様に此れ程の重荷を課すんだよ。如何して今の俺達は将来の生命に禄でもない課題を与えて行くんだよ!
 幾ら此処で天同躯央くおうが生きていたとしても……絶対にお手上げだぞ、こんなの!)
 だが、ライデン達に休みはない。少しずつ氷の大地に亀裂が走っても軍者の仕事は減るどころか増すのが現状。五武将とて変わらない。然も朝食を摂る暇もなく活動を始めるのだから三名にとっては溜まった物ではない!
「どっち道、僕達は出来る限り此の七の地から大陸の端迄脱出させるよう誘導するぞい!」
「飯は未だか?」
 サンショウ丈さん、そんな暇はないだろう--此れは普段から呑気なサンショウ丈の口癖であっても余裕なく注意するライデンだった!
「自分達もさっさとこっから脱出だ!」
「じゃが、ICイマジナリーセンチュリーに必要な各資料の回収が--」
「此れだけあれば十分だ……又、引き直せば良いだろう!」ルドールは資料よりも今は大事な命を優先する。「死んだら誰がICイマジナリーセンチュリーを引き継ぐんだ……幾ら老い先短くても春風さんから貰った命を大事にしろよ!」
「……あの小娘の名前を出されたら、たまらんなっせ!」キッシェルは自分自身のかまくらが既に志乃の墓標と成っている事を知りながら、頭を下げて次のような事を述べる。「済まない、僅か一の日の墓であったが……此処で本当のお別れだせ!」
「俺からも言わせて貰うぞ、志乃。此の凍える海で騒々しくもしっかり睡眠を摂るんだぞ!」其れからライデンは背を向けて大量の流れ星で動く気配がない七の地の住民に喝を入れた。「フウウ……何をしてるんだああああ、さっさと此処から逃げやがれえええ!」
「そ、そうだったる!」
「アリスティッポス大陸はもう維持出来なっかう!」
「そうだそうだアア、僕達だけでも口伝から口伝でも良いからアリスティッポス大陸の歴史を受け継ぐ使命があるんだアア!」
 等と計百五十七名と数えたらキリがない少数の住民達の心に火が点き、やがて彼等は一つの使命を果たす為にライデン等軍者達の避難誘導に従って七の地を脱出してゆく。其れは無事では済まない脱出劇でもあった。

(俺達三名を含めた二十五名の軍者とルドールさんを含めた七の地の住民計百五十八名の脱出劇は当然、銀河連合が指を咥えて見ている訳がない。七の地の亀裂は状況に依っては間隔良く此方を落としに掛かったからな。後は直接の襲撃もあった。人鳥型に依る襲撃は勿論の事、海豹型といった様々な種類の銀河連合を投入して迄奴等は俺達を喰らいに来る。戦いは二の週も掛かった。食事だって碌に取れない状況で、だぞ。おまけに寒ささえも忘れてはいけない。そんな状況下で俺達五名を含めた軍者と住民合わせて計三十九名が何とか港迄生きて到着したのが奇跡としか思えないさ。そして船に乗った俺達は更に困難は待つ。其れが忘れては成らない氷が解ける事の意味さ!)

 九月五十九日午後十一時二十八分四秒。
 場所はアリスティッポス大陸南エウヘメロス地方新へメロ港。
 天同八弥やつみ及び七がアリスティッポス大陸奪還船の為に乗り込んだ港は七の治世時に新たに建て直され、真古天神武に至る迄大陸発展の為に貢献して来た。だが、そんな港も終わりを告げる。
(船は出る。俺達は凍傷と格闘しながらも何とか此の凍り付く大地とお別れをする。だが、間に合うか? 俺は其処迄詳しくないとしてもアリスティッポス大陸の氷が他と比べて分厚い事位はわかるさ。だから--)
 やはり心配か、氷が解ける事に--ルドールはライデンの右隣に立つ。
「危ないから中に入れよ、ルドールさんよお」
「そうもいかない。自分は君に話しをしたいからこんな……ハックション!」
「だから寒さも含めて中に入れって俺は言ったんだよ」
「ハフウウ、寒いねえ」其れでも意地でも語り始めるルドール。「良いか、此れから惑星中で激しい水没が始まる。其れは君も知っている通り、此の星に大地が存在するかもわからない位に激しさを増すからな!」
「んな事は言われなくてもわかるさ。詳しくない俺でも其れがどれだけ激しいか位は--」
「話は最後迄聞いてから答えるんだ」意地でも話を聞かせるルドール。「特に此の水没は各地の砂漠地帯の気温を大きく下げる事に成る。砂漠地帯ならばこんな寒さ程深刻じゃなくとも草木が生えるかさえも怪しい環境へと変わる。仙人掌は最早生えないな。そして砂漠地帯以外の地域だったら各地は最早雪の世界へと様変わりしてゆくだろう。何しろ、此処の寒さは異常だ……其れが一気に崩れて世界中に流れるとしたら気温が高い侭では済まないぞ!」
 ちょっと待てよ……じゃあ、世界中みんな寒冷地帯と化すのか--ライデンは此処の氷が解ける事の深刻さは思った以上に強烈である事を改めて知ってゆく!
「ああ、そうだ。幾ら地域差が如何のこうのでも気圧差というのもあるんだよ。其れに問題なのは各地がほぼ低気圧化してゆく訳だ。此奴がとんでもないもんだ。台風被害やらは此処の氷が解けた際に発生する津波被害よりも長く続くぞ!」
「ルドールさん……話の途中で良くないが」
「何だ……って徐々に波が高く成って行くぞ!」
 二名は中に避難して其処の船長の指示を仰ぐ事と成る。

一兆年の夜 第百三十一話 終わりの始まり 急激な氷解は惑星の水位を押し上げる(初)

(話を始める時、如何しても前置きが長過ぎるのが俺のいけない所だろう。劣っている部分を治そうと俺は何度も工夫を重ねる。だが、治せば治す程其の劣った部分が依り先鋭化する。結果、俺は生涯其れと向き合うように成る。だが、ルドール曰く其れは別に劣っていると言える物ではないらしい。要するに俺の中にあった銀河連合を体内で上手く付き合ってゆくように劣った部分を無理に治そうとするのは出来の良くない奴がやりやすい過ちだ。かと言って無視して付き合うのは折角貰った物を粗に扱う末路と化す。ならば如何すれば良いかって? 簡単な話だ、手足にすれば良い。要するに俺達は散々言ったように貰った物を体の一部として振舞って強力な武器にする訳だよ。そうして技術は発展していったのが水の惑星の歴史。
 あ、思い出したけど水の惑星の歴史は一つの終わりを迎えようとしていた。完全に終わったと誰もが口を揃えて言うだろうが心配はない。俺達には新天地と呼ばれる希望が其処にある。若しも水位の押上げであっても無事だったらきっと生き残ったあいつらならば無事に銀河連合への反撃を開始出来る。時間は掛かっても良い……俺達死んでいった者達の念の無き状況を少しでも晴らす為には生き残った者達が少しずつ狼煙を上げる準備をしてくれれば心残りはもう無い!
 そんな訳で--)


 ICイマジナリーセンチュリー三百十三年九月四十五日午前五時七分四十七秒。

 場所は真古天神武アリスティッポス大陸七の地キッシェル・キシェールのかまくら。
 齢二十歳にして九の月と二十六日目に成る菅原人族の成年菅原ライデンは突然の轟音に目覚める!
(何だ……此の音は、氷の塊が破裂したにしては鼓膜が破れそうな勢いだぞ!)
「め、目覚めたかい!」齢三十三にして十一の月と十二日目に成るエピクロ犀族の中年藤原サイ団はライデンよりも先に目が覚めて隣で寝る彼に声を掛ける。「直ぐに他の連中を叩き起こして外に出るぞやい!」
「ふにゃふにゃ?」齢二十三にして二の月と十八日目に成るラエルティオ山椒魚族の成年山一サンショウ丈は既に目覚めていた。「何か凄い事が起こっているかも知れない?」
「気の抜けた発言をするなし!」齢四十一にして七の月と一日目に成るメデス蠍族の老年キッシェル・キシェールはサンショウ丈に注意をする。「もう少し訛りでもわかりやすいような言葉にしろとし!」
「まあまあ、爺さん」齢二十六にして七の月と三十日目に成る仁徳人族の成年ルドール・バルケミンは宥める。「サンショウ丈君は其の中でも更に間の抜けた生命なんだ。大目に見てくれや」
「そんな事は良いからい、さっさとここを出るぞやい!」
 サイ団の号令と共に彼を含む五名は鎌倉の外に出た--勿論、キッシェルとルドールは本能である資料を持った侭かまくらの外に出るという非難行動としては余り宜しくない行動を採る。
(此れは……爆発地点が問題じゃない。既に……氷の大陸に対する攻撃は、始まっている!)

思考法で気を付けないといけないのが誰もが必ずしも正しいとは限らない!

 如何も正義については何時も考える事があるdarkvernuであります。
 始める前に『格付けの旅』が土日迄に赤魔法の章05を完成し、青魔法の章05の一ページ目に入りました。読まれたい方はカテゴリ欄の<格付けの旅>又は<赤魔法の章>或は<青魔法の章>をクリック。
 信者だけじゃないんだよな、思考停止に陥るのは。種シリーズを始めとしたガンダムシリーズで経験した事だがアンチも又、マイナスという名の思考停止に陥るからな。此れを知らんと何時の間にかドツボに嵌って堕ちて行くからな……そうゆう訳で信者の思考が如何に恐いかを付け焼刃ながら紹介しよう。

 僕はO府H市に住むMという者だ。歳は恥ずかしながら三十代初頭。此れと言って迷いを断ち切れた訳でもなく、かといって他の人間のように割り切れるような大人ではない。常に道に悩み続ける。そんな僕でも確実に真理と言える事が確かにある。
「やっぱ今回も荒れているなあ。ただもの信者とおかもと信者の争いは醜くて仕方ないよ」
 斯く言う僕は闇の圧力者の信者。だから闇の圧力者の事を悪く言うレビューを見る度に「此奴何もわかってないな」「此奴無知なんちゃうか?」「闇の圧力者は他とは一線を画す」等々、傍から見れば下らない脳内言い訳或は合理化をして自己正当化を図っている訳だよ。だからこそ今回のただもの信者とおかもと信者に依る恥ずかしいにも程がある自己弁護には辟易とする訳だよ。例えば次の通り。此処では敢えておかもとに関する賛否両論は載せない物とする。
 賛成派は次の通り。
「ただものは簡素でシンプルで最高傑作に相応しい造形だ」
「ただものの苦悩はな。簡素でシンプル故に如何すればみんなを分かり合えるか悩ましい可愛い所にあるんだよ」
「ただものだけ批判される理由が意味不明。他の奴だって自己矛盾の塊じゃないか!」
 こんな感じだ。一方で反対派の主張はこう成る。
「ただものは簡素ではなく、手抜き。あんなの赤ちゃんだって描ける!」
「あんな丸書いて三角描いただけの奴の何処が最高傑作だよ。如何見ても手抜きじゃねえか!」
「信者乙!」
 とまあこんな感じだ。どっちも理に適っているように読めるだろう。だが、外野の僕から言わせれば何方も自己弁護で必死だよ。信者の場合は悪い所を指摘されると直ぐに無理矢理納得させるか或は個人攻撃に走る。醜くて仕方がない。其れと同じようにアンチも無理矢理粗捜しをしているように思えるし、或は個人攻撃。取っ払えば目の糞と鼻の糞の違い位に大した事がない。低レベルの争い程醜い描写が無いという例えのようだ。
 とまあただもの信者とおかもと信者の争いをただもの側の視点から紹介した。おかもと視点でも同様の事が言えるし、ただもの或はおかもと以外のあるジャンルでも信者とアンチの争いは醜い。僕が信者に成った闇の圧力者内での争いだってそうだ。まともに評価している者なんて精々限られる。そして規模が大きくなれば成程、其の争いに収拾が付かない。
 全くサブカルに於けるこういった争いの当事者達は自分達が恥の上塗りをしている事に気付かないのかなあ? いや、気付けないだろうな。僕だってそうだ。闇の圧力者の悪口には敏感で冷静を取り繕っているように思えて実は感情を暴走させているからな。だからこそ僕は正義について常に断言する訳にはゆかないように気を付けないといけない。
 そうして僕は年を摂り、正常な判断能力を衰えさせて死ぬ迄矛盾した心理に悩み続けるだろう……


 という訳だ。まあ、概念的でわかり辛い事を此処に謝罪しておく。何しろ、古今東西に於ける信者とアンチの戦いは言わば古くから起こる宗教戦争……ではなく、手話族と言葉族の争いと何ら変わりはしない。要するに「最近の若いもんはうんたらかんたら成ってないな」だよ……だからこそ外野からすれば「何でそんな下らない事で争ってんの?」としか見られないんだよな。
 えっと此れをやる理由は勿論、話題にしたくないあいつらの事だよ。何とか青年団だったっけ? 本当にねえ、あいつらは身の程を弁えない以前の問題だ。そしてYESのお陰であいつらはユダ公を敵に回した訳だ……Mステ出演禁止処分にされて当然でもあるし、調子に乗り過ぎだっつーの。そしてあいつらが如何してああ成ったのかを理解出来ない信者共も救い難い。然も少し粗が出た位で信者共は鬼の首を取ったかのように突撃して各地で炎上する訳だ。当然そうゆうのは別に何とか壮年団興味ない自分みたいなノンポリだってアンチへと変えてしまう炎上芸だからな……だが、信者というのは思考停止の証なので如何して批判されるのかを全く理解出来なくて更なる炎上芸を投入してゆく訳だ。まあ、理解する利口な思考さえも働かないだろうから如何して炎上の螺旋階段を描くのかを奴等が気付ける筈もないがな。因みにオーバーロード幼年団の正式名称をわざと間違えているのは性格が悪くてへそ曲がりな自分が密かにそうゆうアンチが実際に突撃してくれる事を願ってそうして記載している訳だよ。何しろ、三島一八は別に話題にしようと思っていない(ちゃんと動画見てないから断言は出来ないけど)のに何故かオーバーマインド老年団の信者共が三島一八のツブヤイターに突撃して来るもんだから傍から見れば笑っちまう光景だなあと遠目で思ったからな。ま、こうゆう普段からコメントの少ない(いや、コメントすらないという表現が正しいかな?)ブログに奴等が突撃してくれるかは謎だけど(悲)。
 という訳で時事ネタを付け焼刃ながらの解説を終える。

 第百三十話の解説と行こう。第百二十九話に続き、土曜迄縺れ込んで申し訳ない。次の話こそ……でも余裕があり過ぎる時に限ってやる気を出さないんだからな、基本的に人ってのは(辛)。
 兎に角、今回は一兆年の夜の根幹の一つであるICに関するお話であった。少しと言うか大分矛盾している点とすればルドールは前の話でIC大事にしていたのに今回の話で何故か批判側に立っているという小林よしのりみたいな支離滅裂を演じさせてしまった……猿先生並に設定忘れて本当に申し訳ない。次こそはHP版の辞典作業を勧められるように自分自身でお灸を据えようと思います。兎に角、今回でライデンは体内にある銀河連合を取り込んで革仙者に覚醒した訳だ……但し、代償と言うかヒロインと思われていた志乃を殺す羽目に成ったがな。如何も描いてゆくと「何か不自然だな」って思ってついついキャラを自由に動かして結果として死なせるつもりのなかったキャラを死なせる事をやらかすんだよなあ。一兆年の夜以外だと二魂でライゼル殺す筈がパイエア殺したり、アズナー神計画だったらチャン・ギンソン殺すつもりないのに殺したりってな。だから殺す予定だったキッシェルについては次の話で処遇を決めようと思う。
 段落を変えて解説を続けるとアリスティッポス大陸に舞台を移したのは次の話では其処を主舞台にして如何にして氷の大地の崩壊が水の惑星に齎す影響が甚大化を描こうかって考える。そうしてからさらに次の話の舞台を整えようと考える。
 以上で第百三十話の解説を終える。

 赤魔法の章05の解説と行くと今回は波旬を中心にした話にしようと思ってあの題名にした……なのに実際の波旬はたったの数十行の出演かよ。黒魔法同様に題名負けした話じゃねえか。本当に情けないよ、物書きとして自分は。如何も題名負けした話が多いんだよ。白魔法では進撃の巨人を模した話がテーマだったのに気付けばアカギだったり、急に興味がわいた彼岸島とタフさんだったり。黒魔法だったら大体話を描き始めた時事ネタが中心テーマだったりするんだよ。本当に如何すりゃ良いんだよって思う今日此の頃。
 序に今回で第二期シリーズに於ける外野の全生命体の敵は六十に成った。いやあ、良く思い付くよなあ……たった六十とはいえ思い付くとはなあ。但し、神才や本命の全生命体の敵と違って自分の世界観でのみしか力を振るえないし更には加護も受けないから其の点では不遇なんだよなあ。其れでも扱いやすいという点と無尽蔵に湧くという点で神才や本命の其れに比べたら数段は扱いやすいんだよなあ。あ、言っておくが全生命体の敵とは自分が作り上げたオリジナルの彼等だけを定めた名称ではない。他の作家達が作り上げた所謂悪役も全生命体の敵と呼べる。だが、勘違いして貰っては困るけど絶対悪と簡単に決め付けるのはさっきの時事ネタの解説でも説明したけど思考停止の産物に過ぎないのでそうゆうのを俯瞰的に眺めながら考察しないといけないぞ。
 以上で赤魔法の章05の解説を終える。

 さあ、予定表だ予定表!

 十一月十九日~二十四日  第百三十一話 終わりの始まり 急激な氷解は惑星の水位を押し上げる  作成日間
  二十六日~十二月一日  第百三十二話 終わりの始まり エリオットの記憶は流れ星の中に    作成日間
 十二月三日~八日     第百三十三話 終わりの始まり たった一人だけの五武将        作成日間
    十日~十五日    第百三十四話 終わりの始まり 魅羅と生きる水の惑星         作成日間

 オルフェンズの涙とフリージアが流れそうな展開に成って来たけど、基本的に今回の長編はそうゆう流れだ。ほぼ全部をグレートリセットした後で長期休載の末に再開する予定の中篇では明るくなる話にしようと思っているからな。暗い話ばっかりだと如何しても読者だけじゃなく作者だって滅入るからな……とはいえ、急に話を変えるけど鉄血の続編はやってくれるべきか悩ましい。何せやったらアトラ死ぬし、アトラ生かしても今度は闇堕ちしたライドの末路がハサウェイさんみたいに悲惨な事に成りそうだしなあ(自分はアンチが言うようにオルフェンズをコテンパンに批判するつもりもない……鉄華団も三日月もオルガもスタート時点でどの道ああゆう運命に成るしかなかったからな。救いがあった筈の通常のブレーキ役兼参謀のビスケット、最大のブレーキ役兼理解者の名瀬の兄貴がああ成った以上は如何しようもない。ラフタ銃殺は更なる破滅の後押しではあるが)。
 自分を擁護するつもりもない前提で語るけど、ガンダムシリーズの中で最も嫌悪感を抱くのは今でも種シリーズだ(アストレイシリーズとかスタゲ、其れに今は亡きシリーズ構成の十倍出来の良い高山を始めとしたコミカライズ師や小説家の其れを除く)。ガンダムファンが毛嫌いする路線変更のきっかけでもあるGガンや日野の商業主義丸出しのアゲやお禿様老害全開且つ未だに映画の情報が出ないGレコや第二期の終盤の出来だけを注目してアンチが執拗に叩く鉄血よりもずっと……だ! 何故か……福田も今は亡き嫁も仕事を舐め切っているからだよ。先ほど挙げたアンチが熱を上げて批判する作品群は何だかんだ言ってスタッフ全員最低限は仕事しているし、幾ら贔屓とか問題発言が多少あっても……だ! でなきゃ今川はジャイアントロボだろうと真マジンガーだろうと仕事出来なきゃ監督任せられる事もないだろ! 日野だってグギャーやアゲで大コケしてもイナズマイレブンやレイトン、妖怪ウォッチで成果を上げないと今頃は社長の椅子から転げ落ちるか或は会社畳んでいたぞ……仕事出来なきゃな! お禿様なんてパヤオに匹敵或は其れを超えるかも知れない問題発言と老害力全開でありながらも右からトリトンアニメ版、左は今じゃあ再評価の激しいVガンとやはり功績は無視出来ない訳だよ……仕事出来てこそだ、ぞ! 鉄血何か長井やマリーは人格面で確かに問題あるのは事実だぞ。でも長井何かインデックスを始めとした物で何だかんだ言って仕事貰われる程の実績ある奴だぞ。マリーに至っては踏み台とかピンキリ激しいとか言われながらもあの花やとらドラで無視出来ない実績を上げて来た名脚本家様だぞ……二人共最低限の仕事を果たしているから今でも仕事のオファーが来るんだよ! 其れに比べて福田や今は亡き其の嫁は何だ……特に種の映画を事実上白紙にした責任はあの二人が仕事をしないから悪いんだ! 仕事ってのはな……何があっても舐めてはいけない物だぞ。仕事しない奴が仕事貰えると思うな……そうゆうのを甘ったれだというんだよ。だからこそ自分は種シリーズを最も嫌悪感露にしてるんだよ!
 とまあ今回は此処迄。うーん、例の奴等は十二月にもつれ込むなあ。福田や今は亡き嫁を批判する自分も仕事位ちゃんとしろよなって言いたいぜ……此れが批判する側は批判される側に立たされる事も覚悟しておけって話だな!

格付けの旅 デュアン、格付けの旅は此処から始まる 破壊された月にて

 月……其れは兎が餅を衝いたり、フェミニズムに満ちた神アルテミスが支配したり或は冷戦の時代にワシントンの国とレーニンの国が宇宙競争の度に話題と成ったり色々忙しい身。一方でアマテラスの国では太陽と月と海の神の中で最も影が薄い月の神。駄目姉属性の太陽と問題児の海は何時も神話の主要存在として振舞う中でたった一柱の月は一切登場しない程に影が薄いにも程がある。
 と改めて俺がしっかり破壊してやった月を見て俺は思う。こんなにも破壊したと成れば少しは残骸がディー圏外に飛んで行ってもおかしくない。だが、如何ゆう訳かエーテルが支配する俺達が住む此の宇宙は其れでも重力の存在を以って残骸さえも圏内に留めようとする。常に宇宙塵は人の反応速度では捉え切れない速さで周回するのに如何ゆう訳か未だに残骸を含めてディーは支配従っているように思える。やはりアイスマンを仕留めるだけじゃあ駄目かな?
 そう思っていると月に先客が居た。そいつは何と盲目の預言者である事!
「あら、未だディーの引力に縛られている訳?」
「此処は無重力だぞ。如何して俺に声が届くんだよ!」
「そうゆう貴方も私にとやかく言える筋かしら?」
 俺はデュアンロールで音を拾っているんだよ--一応、当時の俺はデュアンロール無しでは無重力内を動き回るのも臆する質さ。
「其れよりもデュアン。貴方は知りたいと思わない?」
「俺か? 俺の人種はデイズ人だろ?」
「其処」
 其処……如何ゆう事だ--ノイズンが其れに着目する理由が如何も怪しい!
「警戒は正しい行動だけど、時として本能が後ろに下がらせるわよ」
「良いから早く言え!」
「一つずつ片付けるわ。『第三次魔導戦争』は御存知よね?」
「ああ、説明してやろうか?」
「質問しているのは私の方よ。貴方は答える側に成りなさい」
「へい、よっと」俺は次のように答えた。「あの戦争で惑星ディーは魔導学園を中心とした魔法絶対主義の星と化してしまった……そうだろ?」
「ええ、あの戦争で価値を得たガガーブ・アイスマンは魔導学園に依る独裁政治を形成して其れに反発したグルービィ・マクスウェルは反旗を翻した訳よ。そして貴方というイレギュラーに依ってアイスマンの野望は絶たれ、魔導学園の完全独裁の野望は挫かれたわ」
「実際はあの星に存在する賢者『ディー』が裏で糸を引いていた……と言いたいのか?」
「未だ核心に至っていない事実はあまり口にするべきじゃないわよ、デュアン・マイッダー」
「はいはい。そんで話は終わりか?」
「いいえ、話は未だ終わっていないわ。寧ろ如何してあの戦争を契機にデイズ人が迫害されるように成ったのかを貴方は未だ知らない」
「いや、知ってるさ……天才科学者にして千年に一人の逸材であるデイズ人『マーラ・ストームブリード』の仕業という事をな」
 相変わらず情報を入手するのが早いわね--褒めたって何も出ないのに……全く!
 俺が『マーラ』の存在を知ったのは学園内での資料を読み漁っている時だ。彼女は天才科学者にしてあらゆる分野では悪魔のような才能を発揮。彼女も俺の心を救ったあの男と同類ではないかって一時期思っていた。だが、さらに調べてゆく内に其れは幻想だとわかって来た。彼女は生まれた時から悪魔に魂を売った少女だってな。其れから年を摂り、やがては魔導砲の開発を着手。其の理由は戦争に勝つ為だとか今後の世界の秩序作りだとかそんな物ではない。単純に世界を戦乱の渦に巻き込まんが為に其れを開発した。そう、彼女は世界を他化自在天にする事を夢見ていた……つまり何か、『第六天魔王』だよ。彼女は究極の天を惑星ディーに具現化しようとしていた。だが、其の試みは失敗に終わる。『第三次魔導戦争』の終盤に起きた『ラグナロク』に依ってな。
「何か考え事?」
「ああ、ところで尋ねたい事がある」
「何かしら? 予言の関係する事なら幾らでも答えられるわよ」
「じゃあ『ラグナロク』は答えらえるか?」
 やはり其れについて興味津々の模様ね……残念だけど『ラグナロク』は今回の予言と無関係よ--ノイズンめ、こうゆう時に口を噤みやがって!
 結局、『ラグナロク』に関係する話を聞き出す事が出来なかった俺。代わりにノイズンは今夏の預言を俺に報せた--『波旬』は近々、貴方の所に来るわ--と。だったら猶更に『ラグナロク』を俺に伝えるべきじゃないのか?
 そんな訳で俺はノイズンが去った後も破壊された月を調査する。其処にかつての先輩の遺体があるのではないかって期待もする。だが、無重力の世界はどの世界だろうが共通する事だろうけど、真空でおまけに空気が逃げて行く。其の際に極冠とほぼ変わらないのに沸騰したような状態に成り、最終的には空気袋の状態で息絶えるそうだ。そして死体は永遠に星の衛星の一部と化して周回するそうだ--然も宇宙塵並の速度でな。
 少し話を変えるけど、宇宙空間内では幾ら速度を上げても肉体に圧し掛かる『G』は感知されないそうだ。お陰で俺は益々宇宙を気に入って星の中に入る事を躊躇いそうな位だ。
 G……其れは重力度指数を表す単位。大体1Gが一般的なディー型惑星の重力指数だそうだ。但し、惑星ディーだからって全てが1Gという訳ではない。赤道の北か南かに依って1.1Gだったり0.9Gだったりと安定しない場合もある。要するに1Gとは平均Gの事を指す。少し変わるけど、俺の体重は60だ。此れは1Gを基に算出された体重だ。だが、2Gだと俺は其の倍はある120に成る。如何ゆう意味か……此れが他の惑星では測った体重に大きな誤差がある証拠なのだ。其れを参考にして惑星ディー内で高速移動すればする程全身に圧し掛かるGがどれ程の物かをほんの少しだけ検証するととあるマナバードの操縦士は普段から平均7から8G程の重みが掛かるそうだ。そして俺以外だったら9G迄が限界。此れはあくまで鍛え上げた操縦士の限界を表す物だ。だが、6Gから心身に影響を及ぼすそうで7Gから少しでも気を抜くと『ブラックアウト』現象に成るそうだ。まあそうゆう話は別枠で紹介する。其れよりも平均7から8だとすれば操縦士の体重が俺よりも10重いと仮定すれば大体560の重みが掛かるそうだな。そりゃあ意識を失うな……考えてみろよ、『カビゴン』に圧し掛かられる事を。そう考えればマナバードの操縦士達には感謝で一杯だ……水から実験体に成る事で無能共にGの恐ろしさを知らしめるのだからな。
 俺は彼女の死体を二日掛けて探した。だが、其れらしい物は惑星ディーの重力圏内や月の重力圏内には見付からない。如何やら重力圏を振り切って『マーズ』に迄、吹っ飛ばしてしまったか……俺のリフレクトブレイカーで?
「其処で何をしている?」『マーズ』へ向かおうとする俺に声を掛ける影が一つ。「余が折角帰還している時に宇宙空間を平然とする下等生物が居たとはな!」
「誰だ、てめえは? 下等生物……って人間様の事か?」
「如何にも。余は他化自在天の主……『第六天魔王波旬』よ!」
 ノイズンの予言通り、奴と鉢合わせする俺。
「もう少し時間を置いてから鉢合わせると思ったけどな。案外早い出会いかよ、『波旬』さん!」
「何、デイズ人と呼ばれた者達同士は惹かれ合う関係にあると民族史は伝えるがな」
「其れは初めて聞いた……魔導大戦の時に書物が焼かれたか?」
「『マナ書物』に保管された記録だがな」
 マナ書物……其れは石板媒体或は紙媒体と違ってデータの中でのみ記される物。抑々マナ書物とは何なのかはマナネットワーク世代ならば良く耳にする言葉だ。其れは--
 独り言か……寂しい者だ、お主は--背後を取られた……説明してる場合か!
 何とかデュアンロールで月から『ハーレ』の表側に転送を入力する事で強力な一撃を避けられた俺--だが、デュアンロールから出る事が如何に自殺行為かを味わう!
 其れは……空気だ。こうして冷静に状況を説明するのは滑稽だが、説明しよう。俺は生まれて初めて宇宙の恐ろしさを味わう。苦しい、呼吸するのも大変な奴だ。宇宙飛行士共が着ている服を拝借するべきだったか? そうすれば酸素生成魔法何かでオキシジェンを確保しつつも真空の世界を如何にか出来たんだけどな。
 と説明していると野郎が追って来たぞ。何で此処に居るとわかるんだよ。デュアンロールから手掛かりを掴んだというのか!
「情けない姿を晒しておるな、同胞」
「ぐが、があっが」本当は音さえも出ないから俺にしか聞こえない声で苦しみを表現する。「あう、あぅ、こぉおがゅ」
「そうか、宇宙空間の適応は未だだったか。其の程度で宇宙を適応出来ると勘違いする愚か者め……良かったな」
 背を向けた? 如何ゆうつもりだ、『波旬』!
「余が直接手を下す迄もない……宇宙が汝を絞め殺してくれるわ!」
 『波旬』は去った。残った俺は呼吸も儘成らず、然も俺の体が膨張する。あらゆる物が沸騰していやがるぞ、此奴!
 デュアンロールも呼び出せない。俺は何とかして此の状況を打破しようとあらゆる方法を模索。無重力に抗う方法を模索。そしてある方法を思い付く--心臓の鼓動を使った『鼓動詠唱』!
 鼓動詠唱……其れは『肺呼吸詠唱』及び『しゃっくり詠唱』を経て身に付ける心臓の鼓動音だけで呼び出したい魔法を唱える詠唱法。人間業ではない為に俺みたいな奴に相応しい詠唱術とも取れる。
 肺呼吸詠唱……其れは肺呼吸に依って行われる詠唱法。普段は口、喉、肺、或は腹部を使った連動詠唱が魔法詠唱の基本中の基本。ところが其れを経ずに肺呼吸のみで行う詠唱法も存在する。此れを用いれば喉をやられても肺呼吸一つで魔法詠唱を可能とする。此れが可能に成ると横隔膜を広げるしゃっくりと呼ばれる症状を用いた『しゃっくり詠唱』も実現する。
 しゃっくり詠唱……其れはしゃっくりを利用した独自の詠唱法。俺はしゃっくりの現象を上手く詠唱法に用いる事で陰陽結全ての属性の魔法を極める事に成功したと此処で述懐する。
 こうして俺は心臓詠唱でデュアンロールを呼び出し、中で安静にする事に成功する。とはいえ、俺が宇宙に適応出来ないとは情けない。類稀な魔術回路とは一体何だ。宇宙一つすらも抗えなくして如何して神殺しが出来るというか。そう俺は自らの弱さを恥じる。如何して俺はこんなに弱い。如何して俺は宇宙を克服出来ない。俺はそんな苦悩を何と一光年もの間、考え続ける--デュアンロールの中で!
 正確には一年十三日間も半永久的に魔力を供給するデュアンロールの中で宇宙を克服する術を探し求める。そうして見付けたのが俺固有の魔法である『アートオブマギ』!
 アートオブマギ……今の所、全容を語るには少し余白が足りない。そして未だ俺も掴み切れない魔法の極致。けれども俺はリフレクトブレイカーを突き詰めた結果、此奴に辿り着いた。無重力には逆に考えて対処すれば良い。来るなら返せば良い。そう思って俺は此奴を得た。
 とはいえ、未だ付け焼刃の固有魔法故に此奴を得た所で第六天魔王波旬と戦っても勝ち目がない。幸い、一年以上も奴が来なかったのが良かったのか良くなかったのか。兎に角、太陽系を出て半年が過ぎる今日此の頃。俺は光よりも速く動くには未だ未だ遅い。もっと光速に近付かないといけないな。だが、そう成ると俺だけが歳を摂らなく成って移動した時間だけは正確に成ってしまうなあ。確かある小説では亜光速の船に密航して自分だけ歳を摂らずに往復で八十年の時を経て帰還を果たしたってな。やはり何処迄行ったって人類は距離に抗えないという訳か? 距離に抗う為には『ワープ』を得るしかないのか?
 いや、『アートオブマギ』を得た俺にはわかった。光に抗えない人類が唯一距離に抗う方法を。『時空線』を俺は見付けた。其れに乗っかれば仮に亜光速でも予約設定の如く乗っかって辿り着けば実質上の『ワープ』は可能。
 という訳で考察する俺はディー以外の惑星に到着。さて、何が待っているかな?


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一兆年の夜 第百三十話 終わりの始まり キシェール最後の雄(終)

 午後一時二十二分一秒。
 視点を志乃の方に移す。志乃は戦闘に於いて才を伸ばす雌。そして勤勉且つ悲観的な思考を熟す故に戦いに成ると其れが存分に活かされる。だが、志乃も又全てに優れている訳ではない。其れが彼女が既に説明したように雌として生まれたせいなのか体力の面で最終的に雄に後れを取る運命にある。故に僅かな時間での戦闘で疲労困憊で息が荒い。其れに気付いたルドールは危機感を募らせてキッシェルに次のような事を述べる。
「幾らあの子が戦闘で才能を伸ばし続けられても体力が伴わなければ何れは押し切られてしまう!」
「所詮雌は後の世代に引き継ぐ事と子を思う強い心しかわし等雄よりも勝るものはないかせ!」
「其れでも……自分達は加勢すべきか?」
 いや、加勢するよりも先にキッシェル家が千の年以上も連綿と受け継いで更新し続けて来たあの……あれだけは命を懸けても守り通し--キッシェルは氷の土を巻き上げながら其れが仕舞ってある温暖式の引き出しへと走ってゆく!
「待て、用意なしに動くのは死を早める--」
 あ、キッシェルさんが……あの者をやらせませええん--志乃は参謀型の放つ酸がキッシェルに向かって飛んで来るのを見て限界を超えて彼の元に走った!
「止めろおおお、其れだけはああ!」
 ルドールが見ている中で悲劇は起こった--

 午後一時三十一分三秒。
 五名は集まる。既に眼の光が無くなった生命が五名が囲んだ先に居る。其れは予想外の出来事でもある。運命とは如何して先に逝かせるべき生命を順序良く決められないのか? 五名は次のように死んだ生命を悼む。
「そんな? 未だ、未だ?」
「僕よりも先に……幾ら僕でも未だ、こんな結末を何で認められないかい!」
「なあ、ライデン君。何故順序通りじゃないんだろう?」
「俺にもわからない。だが、死んでしまったら何を言っても伝わらないじゃないか!」
「わしが先に死ぬ筈だった……わしのせいで、わしのせいでし!」
 死んだのは……春風志乃--酸を浴びて皮膚の七割も火傷を受ければ生物学上の死は免れない!
「わしがあの時にあれさえ取りに行かなければ……彼女がわしの跡を継いで、くれると、信じてし!」
「だが、取りに行かせる行動は何処から来るのか?」ルドールは次のような仮説を大胆にも提示する。「若しもICイマジナリーセンチュリーが説明のしようがない代物だったら爺さんは取りにいかなかっただろう……答えは如何だ?」
「そうじゃ、正解じゃし!」
 だとしたら……認めるしかない、ICイマジナリーセンチュリーを--ルドールは此処でキッシェルの両鋏を強く握る!
「まさか……意味する所は?」
「言っておくが受け継ぐ理由が彼女の志が理由とか言うんじゃないだろうない!」
「そうじゃない。そうして迄行動させた事の意味だよ。自分は思い知ったぞ、ICイマジナリーセンチュリーの持つ恐るべき神秘性を。其の神秘性を因果律だの何だのと断言しないし、する訳にもゆかない。だが、其の神秘が……命よりも先に向かわせた所を証明さえすれば自分は、自分は只一名の代え難いバルケミンと成るだろう!」
 ルドールさん……あんた--ライデンはICイマジナリーセンチュリーがそう迄ルドールに決意させた神秘に次のような驚きを見せる。
(春風志乃は死んだ……だが、志乃が受け継ぐ為に守ったモノはルドール・バルケミンが命を懸けて守り抜くだろう。奴は此の後に婚約して子供を儲けるかも知れない。何かを遺すには必ず雌との交わりを必要とするからな……恐らくルドールは彼女の死を通じて初めて雌を認めるしかないと感じたのだろう!
 此れが天同家と同様に全生命体を魅了するICイマジナリーセンチュリーの神秘が為せる業なのか……だとすれば俺の革新を齎す能力はちっぽけじゃないか。そんな能力をもう少しで掴めたらもっと凄い事が出来る……何て思う事はどれだけ意味を為さないのか。俺はそう思って此奴を--)
「考え事か?」
「あ、済まない。俺らしくない。そろそろ眠らせてあげないとな……春風さんを、な」
「だない。レットと交代してからずっと彼女は君を支えて来た雌だい。そして俺達五武将の三名は彼女を弔う使命があるやい!」
「うん? どんどん冷たくなっていくのは此の環境のせいじゃない? 彼女が未だ眠れないから冷たいんだ?」
「そ、そうだった。自分とした事が又、春風さんに説教を受けるなあ」
 そうだなし、そろそろわし等で眠らせてあげよう--其れからキッシェルを含んだ五名はキシェール家最後の家を丸ごと彼女の墓標にしてゆく……日が過ぎても!

(こうしてキッシェル・キシェールと呼ばれるICイマジナリーセンチュリーを研究するキシェール家最後の雄についてと彼の研究が後継者に受け継がれる話は幕を閉じた。申し訳ない、キッシェルが死ぬという展開を予想した何処かの誰かよ……あれは別だ。真の事実はキッシェルを庇って受け継ぐ筈だった志乃が代わりに死んでしまった。何時も死んでもおかしくない生命が生き残って死ぬ筈のない生命が死ぬという現実が其処にある。どの世界だろうとそうだし、平時では辞める筈のない者が辞め、辞めたいと思った者は中々辞めない其れと同じだ。如何ゆう訳か比例の反対側の作用が起こるのだよ。
 とはいえ、次はテオディダクトスの氷が一斉に解けて世界中に津波が押し寄せる話さ。此の話も今回の話と同じく大概長い。其のせいで余計に待たせてしまうかも知れない事を此処に御容赦を。
 じゃあ俺は又眠ろう……意識の起伏が如何も激しい。一体何時に成ったら俺は想念の海に溶けるんだ? ひょっとすると先程説明したように死にたくても死なない生命と同じく俺の自我は何時迄も溶け込まないとか断定するんじゃないだろうなあ--)

 ICイマジナリーセンチュリー三百十三年九月四十四日午前一時一分一秒。

 第百三十話 終わりの始まり キシェール最後の雄 完

 第百三十一話 終わりの始まり 急激な氷解は惑星の水位を押し上げる に続く……

一兆年の夜 第百三十話 終わりの始まり キシェール最後の雄(動)

 午後一時十五分二十二秒。
 四名は其々を相手にしながら次のような行動を採る。サイ団は蚯蚓型と蚯蚓型が出て来た穴からやって来る大群に向かって両肩に乗せた望遠砲を抱えながら咥えた引き金で器用に動かしながら前方射撃しつつ前進。射撃はあくまで牽制であり、当たれば一攫千金でしかない。本命は犀族の重量級の突進と自慢の角に依る抉り込み……わかりやすいという銀河連合への意思表示と此れ以外の戦術は思い付かないが其れでも其の道に於いて誰よりも優れた戦績を持つというサイ団の信念を凡そ十一体もの銀河連合に物理的な贈り物を届けて行く。
 サンショウ丈は土竜型と其れが開けた穴から出て来る蟻型数十体余りと交戦。此方は山椒魚族特有の肌触りと柔軟性を持って格闘戦に臨み、時には雄略拳包丁と呼ばれる人族の成者の雄の平均的な拳の大きさ程しかない位柄が短い包丁であって小道具程度にしか活用する道がない包丁に依る代物も駆使しつつ関節技で次々と内臓に迄浸透する絞め技を繰り出してゆく。時には掴まれる事もあろう。だが、そうゆう時は山椒魚族自慢の肌で鰻族の如く滑らかに回避したり或は鮫族のように自然と擦り傷を与えて少しの反応を基に脱出。其れでも難しい時に先程説明した雄略拳包丁で切り付けて脱出を試みる。サンショウ丈はそうゆう点でも水の将に相応しい掴むのが難しい踏ん張りが利く軍者である!
 志乃はキッシェルとルドールを守る様に周囲を回りながら反撃で次々と迫り来る銀河連合を振り払う。知識を重点的に鍛え始めた生命とは思えない程に蛇腹式の蘇我鋭棒を難なく振るって見せる努力の雌志乃。彼女は知識を蓄えるのと同時に普段の鍛練も怠らない悲観的な思考を持つ。準備に於いて悲観的思考は真価を発揮する。故に戦いが始まると其れが却って妨げに成る事もある……悲観も又、使い処は難しい観方と捉えよう!
 そしてライデンは如何なのか? 鼠型と其れが開いた穴より出でし蟻型の大群と激闘を繰り広げる。だが--
(経験の熟し切れなさよりも先に……此処の穴の蟻型だけは他の穴の蟻型と異なって連携力が大違いだろ!
 未だに三体しか倒せていねえ……然も一体倒される毎に距離を離して間合いの取り方を調整しやがる。此奴等……俺にとってやり辛い連中じゃないか。こうゆうのをサイ団さんに任せるべきだったな。サイ団さんの様な突貫能力だったら風穴を開けられる。だが、俺みたいな奴にとってはこんな連携の取れた連中は……時間を割いてしまう--)
 一瞬、ライデンは己の中にある銀河連合に取り込まれ掛ける。だが、蟻型が目の前に移ると直ぐに意識を戻して左肘横薙ぎで後方に躱させる。
(如何如何、こうゆう時に俺の中の奴が蠢く。如何やら俺は初めから銀河連合にとって欲しい素材だったのかも知れない。そう考えれば俺の所だけ妙に連携が取れるのも説明が付く!)
 其れからライデンは敢えてサイ丼が得意とする突貫戦法に切り替えて指揮官と思われる蟻型に向かって走り出す。其処へ凡そ八体もの蟻型がライデンの体にしがみ付く。そして--
「蟻型の癖に重たい……だから」ライデンの瞳は一瞬だけ赤く発光……「如何したあああ!」そして八体の蟻型を同時に平均成人体型十迄吹っ飛ばす。「俺はそんな風に華奢に鍛えていないぞおお!」
 そして、指揮官と判断した蟻型を縦一文字に伏せる--すると背後で吹っ飛ばした筈の八体が一斉に密集するのを影の形でライデンは捉える!
(何で動きを制限するような……何!)
 ライデンには信じられない光景が飛び込む--其れは蟻型が液状化して何と指揮官型に姿を変えるではないか!
「馬か鹿かよ……そんな簡単に指揮官型が出来るかよ!」
 ライデンだけが驚くとは限らない。各地で転戦する三名も密集した蟻型が突然百獣型、医者型、そして参謀型に姿を変えた事に驚きを隠せない。だが、ライデンは三名の所に意識を向けられない。何故ならライデンが先にやるべきは目の前に出現した指揮官型を倒す事以外にない。例え力が本物だろうとそうとは限らないだろうと使命を果たすのが五武将--特に二の年以上もレットに代理を任せたライデンは責任以て土の将として未だ未だやれる事を示さないと名が形しか伴ってないと批判されて仕方がない!
(やるしかないな。だが、出来るか? こうやって俺に踏み出す足を後ろに下がらせるのが目の前の奴の狙いでもある。仮に後ろに下がらなくとも相手の出方を窺って動きが止まる。戦い慣れない者或は経験の少ない者は何時だって悲観に成りがちだ。だからこそ其処を衝かれて死んでゆく。だったらよお、『勝つ』と心の中で思いながら進むしかないだろうが!
 『死ぬかも知れない』と初めから思って戦う奴は心が如何も臆した病に罹って肝心の『勝つ』という思考へと至れないんだよ……其れは思考から行動に移って初めて運命は決まる!)
 ライデンは後の事は考えずに前に出る。すると指揮官型の姿をした密集型は既にライデンが踏み出したい二歩目を占拠して左膝蹴りを繰り出す--其れを右膝蹴りを交差させる事で外にずらして密集型を下がらせたライデン!
(何て奴だ。速度に関しては指揮官型を模倣してやがる。だが、強さに関しては指揮官型に遠く及ばない。及ぶなら俺の後手気味な膝蹴りで軌道を外に逸らされる事なんて絶対に有り得ないからな!
 未だ熟せない模倣なら……生き残れる!)
 そしてライデンの瞳は赤く輝き、密集型の予測を遥かに超える速度で密集型が踏み出したい箇所を先に踏んで斜め上の右切りで斬撃--惜しくも真っ二つとはいかずに胴体に切れ目を入れる程度でしかない!
(止まるな……流れるように踏み出せ、俺の肉体よ!
 奴が完全に止まる迄、俺は止まらないからな!)
 極められないなら決まる迄、斬撃を繰り出す。熟練した銀河連合ならば一撃で決めるつもりである無数の斬撃の隙を衝く事も容易い。だが、密集型は所詮模倣でしかない。隙を見付けるだけの動体視力を備えていない。此の侭ではやられる……そう考えるのか、八体の蟻型に分離した--其処を逃さずにライデンは一体又一体と流れるように斬撃して分離して僅か五十八秒で全て仕留めた!
「はあはあはあ」ライデンの瞳は元の状態に戻る。「何だ、普段よりも体が重く圧し掛かるじゃねえか!」
 ライデンは己が如何して此処迄疲労するかに気付かない。だが、焦らずに歩くだけの体力があれば平常通りに歩けるまで回復するのに時間を要さないと思考したのか……他の様子を確かめる。
(サイ団さんは心配ないな。あんな事言っておきながら……心配させやがって。一方でサンショウ丈さんは少し怪我が多いなあ。そして……あれは!)
 戦いは犠牲無くして勝利すればどれ程心の安息に成るか。だが、犠牲無くして勝利は届かない--

一兆年の夜 第百三十話 終わりの始まり キシェール最後の雄(始)

 四十三日午後一時七分四十八秒。
 場所はアリスティッポス大陸七の地。
(どんだけ掛かる所に暮らしているんだよ。中心地とか代々の大王と法王が暮らす所じゃないか。こう思ってもいざと成ったら此処まで面倒な所だと思うと心苦しいぜ!)
 此処で言う心苦しいとは好まない苦しさを表す。さて、言葉の意味は兎も角としてもライデンは志乃とルドールを合わせて三名で来る訳ではない。五名で来るのである。齢二十三にして二の月と十六日目に成るラエルティオ山椒魚の山一サンショウ丈と齢三十三にして十一の月と十日目に成るエピクロ犀族の藤原サイ団も居る。現五武将の三将と志乃とルドールだけで齢四十一にして六の月と三十日目に成るメデス蠍族のキッシェル・キシェールが暮らす区画へと向かうのであるから何が起こるかわかった物ではない。
(銀河連合の事は考えるな。そうゆうのは頭では考えられない生命が担当するべき直感の物事だろう。俺がやるべきは志乃の後押しをする事だ。志乃が無事に後継者としての姿を……若しも此処迄生き延びているとわかれば無事にICイマジナリーセンチュリーは引き継がれるんだよ!
 俺達は万が一の為に志乃を守るんだよ!)
 ライデンの心配に対してサイ団は次のように言う。
「ライデン、余り考え過ぎるない」
「サイ団さん、如何ゆう事ですか?」
「いやい、僕が言うのも何だい。此れから生きているのか死んでいるのかもわからない其の有名な暦研究家の所に向かうんだい。何て言うかい、其の……あれだい!」
「何が言いたいんだよ、サイ団さん!」
 何があっても菅原ライデンは僕達と共にあるやい--サイ団はまるで先を見通すような事を告げるのであった!
(何を思うんだよ、サイ団さんらしくない一言だな。未だサイ丼さんでも現役を続けるシシドさんや参謀のリリザースさんに比べたら若手……若手でも良いな。俺やサンショウ丈さんはもっと若手だ。そんな未だ未だ若手のサイ団さんが如何していきなりこんな事を口にするのか俺には理解出来ないな!)
 そんな心配をしながらもライデンは一の分より後には話題をキッシェルの方に移す。サイ団の心配をする位なら何時死んでもおかしくないキッシェルの方が心配の種で溢れるのだから。
 そうしてライデンを含めた五名はキッシェルが暮らしているというかまくらに到着。其処で見たのは二の年より前と何ら変わりがしないが白殻を更に染め上げるキッシェルだった。
「来たかっち、既に鋏紙は読んだぞし!」
「又論破しに来たぜ、爺さんよお」
「碌に説明出来ない事を論破出来なし若造が……おや、其処の一名が例の--」
 はい、春風志乃と申します……早速ですが、キッシェルさんのICイマジナリーセンチュリーは私が引き継ぎます--目的を直ぐに告げる志乃。
「雌だなせ、余り受け継ぐ者としては相応しくない性別だせ」
「性別で判断するのは良くないよ?」
「いいえ、正しいのですよ……山一さん。私は勉強して雌雄の特徴について猛勉強もしました。たった一の年如きですが其れでわかった事もあります!」志乃は説明よりも先に結論を述べる。「何時も遺産を受け継ぐのは雄の務め、雌がやるのは生産……決して雌は工場ではありません。雌は知識の種を後の世代に渡す為にあるのです!」
「知識の種を後の世代に渡すとは何じゃし?」
「はい、雌は如何やっても雄のように強くも成れないし屈強であり続ける事も出来ません……ですが、子を思う心と帰るべき場所を整える強さと更には後の世代に渡す能力は雄より遥かに勝るのです。でないと子宮の存在もお腹を膨らませる意味も雄の悩ましい男性器がない理由も説明が付きません!」
「随分と心を耐える強さを持つなせ。通常、性別というのは意地が妨げる物だっさ。なのに其の意地と格闘しながら良くぞ心理を述べたっせ……弟子にはしないが、下らない知識を一つや二つ与える興味は抱いたじ!」
 オイオイ、死に掛けなのに意地貼って如何するんだよ--キッシェルのつまらない大人気なさに呆れるライデン。
「……ライデンにサンショウ丈だい」小声で二名に伝えるサイ団。「気配を感じなかったかい?」
 ……感じるね、無茶苦茶多そうな気配が--サンショウ丈は曖昧にしか答えられない。
 無論、サンショウ丈だけじゃない。ライデンも明白に其の殺気がどれ程の規模か正確な数を把握し切れないのか……「氷型か? 其れとも例の水型なのか? どっち道、銀河連合の手段は無数にあって断言を避けるぜ」と少々強気を崩して答えるしかなかった。
 五武将の三名だけじゃない。学問の道を歩んでいるとはいえ、かつては武芸者であった志乃が気付かないモノではない。彼女もキッシェルと話しながらも目線は左右に忙しく動かし回る。なので--
「オイ、わしの話が先か銀河連合の方が先か択一させるし!」
 そうですね……今の私は未だ菅原ライデンの付き者である春風志乃なのです--三つに分けて持ち運んでいた蛇腹式の蘇我鋭棒を組み立てて構える志乃!
 当然、志乃が構えを始めていれば他の三名だって既に構えをしている。何故構えるのかに気付かないルドールは尋ねる。
「ひょっとして銀河連合は既に接近しているのか? 自分は如何すれば良いのだ?」
「其処で大人しく--」
 来たぞやい、三名共やい--サイ団の声と同時に氷の大地から顔を出す土竜型と蚯蚓型と鼠型!
 いや、三体だけじゃない。何と蟻型が三体が顔を出した場所から一斉に飛び出して四名に向かって進軍を開始!
(道理で正確な数を測れない訳か……だが、此奴等は未だ今後の戦いの序でしかないかも知れない!
 だから素早く終わらせに……行く!)

一兆年の夜 第百三十話 終わりの始まり キシェール最後の雄(捗)

 九月三十四日午後八時四十二分三十一秒。
 場所はアリスティッポス海。
 齢二十歳にして九の月と十五日目に成るライデンは齢十九にして二十七日目に成る志乃と甲板の上で語り合う--互いに厚着の侭で!
「--つまり其の為にあらゆる暦の勉強をして来た訳か」
「はい、そうです。私にはやっと生きる道が見えました。其れがICイマジナリーセンチュリーを受け継ぐ事です。其の為に私は彼の弟子に成って暦に関するあらゆる技法を身に付けるつもりです!」
 其の割にはもう俺達に見せているじゃないか--ライデンは既に望遠鏡で観測しながら正確な時間を割り出そうとする志乃の姿を目撃する。
「はい、色々と手続きがあって此処迄遅れた事は却って私に自習させる時の間を与えました。だから私はキッシェルさんに断られないように一杯一杯暦に関する勉強をします」
「とは言っても暦には正確には数の学問に於ける演算の技法も身に付けないといけないそうだ。俺もまあ必要な時に其れ等を使っている……とはいえ、完全に身に付けるには程遠く学者連中に何時も後れを取る己を見て困っているんだよ!」
 そう思うならそう思えよ--二名の前に肘から先を出すような薄着の青年は齢二十六にして七の月と十九日目に成るルドール・バルケミンだった。
「寒くないのかよ、そんな軽装備で?」
「何、心頭滅却すれば……へっくしょん!」鼻水を垂らして鼻呼吸さえも出来ない状態に成るルドール。「ウウウ……口呼吸は舌に直接息を吹き込むから余計な思考をさせるんだよ!」
「へえ、普段は口呼吸ばかりしてるのですか?」
「鼻が詰まると一般生命は口呼吸をして余分な思考をして結果として学習能力の低下を招くんだよ。此れはどの世界に行こうとも変わらない真理だ。というか普段から鼻呼吸する奴は此れに気付こうとしないから其れが当たり前の行為だと思っちまう傾向にある」
「だから何が言いたいんだよ、ルドール?」
「ああ、つまり何かを発見する生命は何時だって当たり前の事が出来ない或は当たり前の事をさも大発見のように喜ぶ訳だ……そしてこうゆう事を真剣に成れる奴が後世迄あらゆる事を残すんだよ」
「其の言い方は良くありません、ルドールさん」
 何だ、いきなり何をそんなに恐い表情で見つめるのは--ルドールは志乃が如何して注意するのかを理解出来ない。
「私が言いたいのは当たり前の事を如何して伝えようとしない者達の事を貴方は批判してるのです。遠回しでも私には良くわかりますよ!」
「ああ、此れか……バルケミン家は何時だって勉学に励まない連中を批判する一族なんだよ。如何ゆう訳か自分も又、そうゆう性格に成っちまうんだ……此れも又伝統なのか?」
「言い訳しないで下さい、ルドールさん。貴方だってそうして批判される事に更には言い訳して上手くはぐらかされる事を苛立つ筈ですよ!」
 ヘイヘい……暦の勉強は時として数学的な論理批判を生命に与えるもんだな--と志乃が二の年より前と比べて言い返す能力が向上している事に嬉しさと寂しさを露にするルドールである。
(誰だって己の事を全知全能だと思い込むのはどの世界へ行こうとも変わらない。けれども其れはあくまで井の中に居る蛙族の頂点的な感覚に過ぎない。世界はもっと広いし、本当は誰もがちっぽけさ。だが、其れで良い。ちっぽけだとわかれば未だ未だ一般生命は強く成れる……決して縦方向に強く成れとは言ってない。横方向に伸ばせ、とも偉そうに言えない。心と同じなんだよ、心と同じく中央部分をどれだけ維持出来るかに懸る。出来ないとすれば既に精神の平衡は崩れている証拠なのかも知れない。そうすると成長への意志は失われるだろう。
 と考えている間に俺達は例の大陸へと足を踏み入れる時が来た!)
 ライデンはキッシェルと出会う事を胸に躍らせながら今か今かと憂いの考えを取り払ってゆく。

(だが、此処が巨大な戦場と化して更には此れをきっかけに真古天神武は更に崩壊へ向かって加速してゆくとは誰も思うまい。俺だって如何して此処が大きな戦場に成るのかを降り立つ迄全然わからなかった。そして死んでゆく仲間の事だって考えられない程に!
 そうだよな、此処で死ぬのはキシェール家最後の雄だけじゃない--)

一兆年の夜 第百三十話 終わりの始まり キシェール最後の雄(進)

 六月三十七日午前五時一分一秒。
 場所は真古天神武六虎府工業都市第三西地区菅原ライデン邸ライデンの自室。
 其処に齢三十六にして二十五日目に成るエウク蝙蝠族の中年逆崎さかざきコウモ助が開いている窓から入る。そして齢十九にして九の月と十五日目に成るライデンを叩き起こす!
「イデエ……何するんだ、コウモ助!」
「何っち、報せね叩き起こしたんど!」
「ど、如何しましたの!」齢十八にして二十七日目に成るプラトー人族の少女春風志乃が何事かと思ってライデンの寝室に入って来た。「ってえっとお名前は何と呼びますか?」
「逆崎コウモ助ど。エウク蝙蝠族ぢ普段ほこんの時間帯ね働いているんど」
「だからこそ俺達とは時間帯が合わないんだよ、夜行性だけに!」
 其れほ密かの悩みど--夜行性の種族は何時だって夜が主役に成って欲しいと願う……コウモ助も例外ではない。
「お前の事情は良くわかった……其れで何を報せに来たんだ?」
「お前宛ね其な……主な女性ご『翼紙』わ出しち来たんど」
 其処は俺達に気を使って『手紙』と呼べよ--足は在っても翼で器用に物を扱う空中種族でもある蝙蝠族のコウモ助に呼び方に関して注意しながらもライデンは左足に括ってある手紙を外して其れを広げて行く。
「宛は……飛遊翼さんか。どれどれ?」
 ライデンは読み上げる。
『元気ですか、菅原ライデンさん? 私は元気ではありません。というのも家の縛りで
困っているのではありません。両親が、両親が亡くなりました。其の悲しみに私はもう
如何して生きるのかを見失いました。
 何故生きるのを見失うのか? 実は婚約者だった彼は銀河連合との戦いで命を
落としました。私が嫁がなかった為に彼は私を振り向かせようと更なる謀り無き事に
染めて行きました。相手先の家も私の家の誰もが其れを止めようと必死に成った。
でも必死に成れば成程彼は戦いの道を歩むのです。そして三の年より前に、要するに
私が家に戻る頃には既に婚約者は居ませんでした。何故なのかを尋ねると両親は衝撃
の事実を告げました。其の衝撃のせいで今迄貴方に伝える事が出来ませんでした。
 私は罪深いのです。自らの勝手な行動のせいで彼を死なせ、そして年を追う毎に
相次いで母、そして父を死なせました。病の為とか其れも此れも全て私が勝手な行動を
採らなければ引き起こされる事もなかったのです。同時に私は心の底で家の事を愛して
いた。飛遊美兎と同じように家を、そして両親の事を其処迄愛を持っていた。
 其れだけではないのです、ライデンさん。実は貴方の事もずっと前から、いえ過ぎた事
は忘れましょう。こうして貴方が手紙を読んでいる頃には既に私は此の世に居ないの
かも知れません。言え、少し異なりますね。途中で思い留まって別の道を模索しているの
かも知れません。何故なら私は貴方を恐れて家に戻るように逃げてしまいました。其れを
償う迄は命を大事にしようと思っているのかも知れません。
 でも其れを記すには此の手紙の余白は少な過ぎます。如何か私の事は忘れて探して
下さい、貴方に相応しい人生を共にする最愛の付き者を!
                                 飛遊 翼より』
 其れを読み終えたライデンと志乃。二名は其々の反応をする。先ずは志乃の反応は次の通り。
「此の飛遊翼という女性は……私に似ております」志乃は依り籠めていた思いを吐き出す事を隠さずにいられない。「如何やら私も結団する時かも……いえ、少し熟慮する時間が欲しいです」
 一方のライデンは如何なのか? 志乃の独り言を聞く余裕もない程に思考する。
(飛遊さんは俺の事から逃げたのを悔いているのか。其れとも……いや、其処が問題じゃない。彼女の此の手紙は事実上の遺書じゃないか。どっちにしろ、もう二度と俺の前に姿を出さない事を宣言しているような物だ。
 だが……此の眼で確認する迄、飛遊翼と会えば良いのか? だが生きている保証もない。死に目を見るのは沢山だ・……俺には彼女と顔を合わせる資格がない。後悔しているのは彼女ではなく俺の方じゃないのか? 俺が銀河連合を宿している事を初めから気付いていたらこんな事には成らなかったのに!
 遅かれ早かれこんな事には……こんな、こんな--)
「……らさん? 菅原さん!」ライデンの我が戻る様に高くより高く声を張り上げる志乃。「菅原ライデンさああああん!」
「ウワアア……あ、呼んでいたんだな。済まない、我を忘れて」
「ところぢ如何するんど?」
「菅原さん、其の飛遊翼さんの所に向かいますか?」
「……いや、止めよう。今の俺はこんな状態だ。謹慎中の身故に此れからも--」
「其れがさあ? 今からさあ?」其処に齢二十二にして二の月と七日目に成るラエルティオ山椒魚族の青年山一サンショウ丈がある事を伝える。「ライデンの謹慎を……解くってさあ?」
「サンショウ丈か……朝から早いなあ。何……如何やら俺は外に出られるみたいだな」
「実はさあ? 一時じゃないのよ?」
「一時じゃないって……じゃあ完全解除なのか!」
「うん? まあそうね? 其れと……経済都市のあちこちで銀河連合が噴出してるんだよ?」
「何……如何ゆう事だ、コウモ助のおっさん!」
「おお、そんの事まあったのお--」
 呑気な場合ですの、逆崎さあん--志乃がそう叫ぶのも無理からぬ事である!
「そうだとわかったら事態の収拾に向けて俺は久方振りの実戦の場に出ようか!」
「はい……の前に」
「おや? 朝食抜き? 大丈夫? 朝食なら現地でも--」
 いいえ、今回の事態が終わったら私……キッシェルさんの所に行きます--突如として宣言した志乃!

(普通の空想話だったらこうゆう話を持ち出す事は死が近い事を意味するだろう。だがな、ちゃんと生き残っているのだよ。だから心配は無用だ。問題なのが此の後に志乃の為に俺がキッシェルのおっさんの所に向かう羽目に成ったんだよな。奴は何とあの寒そうな場所に移住しやがるからな。其処へ行く迄に色々と準備も必要で何と一の年も掛かったんだぜ……そう、代々の大王及び法王が最後に暮らすというあのアリスティッポス大陸になあ--)

一兆年の夜 第百三十話 終わりの始まり キシェール最後の雄(想)

 午後八時四十一分一秒。
 キシェールとルドールに依る議論は始まる。
「はっきり言ってICイマジナリーセンチュリーが一兆年まで続くという明確な根拠は一つもない……そう言っておこう!」
「其れを決めるのはストルム・ササーキーと初代キシェールと呼べるキッシャ・キシェールのみだっぢん。一兆年は続くという根拠ならあるっぞ!」
「其れは聞きたいな。太陽暦を四倍と閏日を足した暦は八百年迄で其れからは太陰暦の設定にした上で然も通常の暦の日数を何と無理矢理元通りに調整して……此れが如何も『肝過ぎるんだ』」尚、鉤括弧の部分は現代の世界で良い意味に成らない言葉として使われるのではなく、重要機関としての意味として遠過ぎる過去に於いては使用される。「果たして八百年の時点で如何やって通常の暦の日数を無理矢理ICイマジナリーセンチュリーの日数と合わせるのは如何やってるのだ?」
「其れについては時点のずれを調整する為に我が一族では用いられているっぜ!」
 其れが如何して八百年の時点なのかってのが肝過ぎるんだよ--余りに重大故にルドールとしては其の時期に誤差修正を仕掛ける理由に納得がいかない様子。
(何か良くわからんけど、ICイマジナリーセンチュリー八百一年からいきなり違う計算方法に成る事がルドールさんにとっては納得がいかないみたいだな。俺には納得のいかない気持ちとやらを如何も理解する気が起こらん。
 そして--)
 此処で話しの脱線は始まる。其れは何の脈絡もない事である。
「大体なあ、ICイマジナリーセンチュリーとかいう確かとも思えない曖昧な尺度を如何して守り抜く必要があるというんだよ。あんたが死んだら後継者は誰も居ずに此の暦は自然消滅するだろうが。如何してこんな物の為なんかに一族を懸けて守り抜くんだ!」
「何だとせん。じゃあ天同家を守り抜く意味は何なんだッと。そう言ったざる。其れはルドールの若造よっし、秘境神武が既に水の惑星から姿を消した事への言及に成るっど。其れは看過出来ない言い分だし!」
「天同家は消えてしまったらそうも如何。命脈が断ってしまったら其処で自分達全生命体は銀河連合に喰われる運命にある。ならばこそ天同家の命脈は続いて貰わないと困るのだ……だが、ICイマジナリーセンチュリーは別だ。あれは受け継ぐ者達が居なくなったとしても何ら問題はない。大体、余りに複雑に組み込んだ暦何て今の宇宙と惑星の周回軌道そして自転の段階でも余りにも突拍子が過ぎるじゃないか!」
「其れでも此の終わりが近付く世界に少しでも後世に受け継ぐべき遺産はあるだろっざ!」
「だったらICイマジナリーセンチュリーは除外されるだろう。美味しい料理とか名物の踊り、其れに名作版画に名作石板集なんかを後世に残す中で何故ICイマジナリーセンチュリーなんだ!」
「何故なら……其処に全生命体の希望が託されているからだっさ!」
 其れを断言するキッシェル。何故断言出来るのかをライデンもルドールもわからない。だが、志乃は徐々にキッシェルの思想に染まってゆく。其れを一瞬で気付くのは只一名。
(如何せICイマジナリーセンチュリーは最後迄関係性を齎さないかも知れない脇役かも知れないのだぞ。特にICイマジナリーセンチュリーは俺が感じた思いとしては説明が出来ない信仰対象のように何となく進行するような暦としか思えないんだぞ。なのに如何してキシェール家を始めとする生命や春風さんみたいに目を輝き出す生命が出るのか今一理解が出来ない。
 其れを理解出来るのは神様だけ? ああ、教えられ得るなら教えてくれよなあ……俺にも夢宇宙と対話出来る術が持てるなら、さ!)
 ライデンだけではない。此れにはルドールも流石に彼の代弁をするかのように次のように語った。
「あのなあ、偶像崇拝もそうだけど信仰の為だったらそんな物は残す必要性はない。ICイマジナリーセンチュリーに何か惹かれるような物でもあれば説明出来るように俺に言ってみろよ!」
「世の中には説明も出来ない数々の事だってあるっしか。例えば不完全性定理何かはそうだっそ」
「科学は未だ限界に達していない!」
「一般生命が全てを見通すには……我々は矮小なのっぞ!」
 其れじゃあ議論とは何なのか……ICイマジナリーセンチュリーの意義を問うている内に信仰話に移っているじゃないか--漸く脱線に気付くルドールが居た。
ICイマジナリーセンチュリーは歴代のキシェールが革を改めようとしても実現出来ない守り保つに相応しい暦だっど。此れに反論するならばもっとICイマジナリーセンチュリーにとって代わる暦を取り出すべきっそ!」
 クソウ、対案なのか……其れを言われたら俺に勝ち目がないな--対案ないと議論とは一方通行に成るのが筋である。
「そろそろ終わりか? もう十分だし、あんた達はさっさと帰れ……夜は遅いぞ!」
 ライデンは議論し疲れた二名を帰路へと向かわせた……

ICイマジナリーセンチュリーに関しては結局、必要なのか如何かを問われて対案を出すか出さないかを持ち出す事でキッシェルが勝ち逃げしたように思える。しかし、説明出来ない点は大きいぞ。ICイマジナリーセンチュリーは説明出来ない為に後世に迄守り通すには説得力が少な過ぎる。キッシェルは議論に勝ちはしたが、余りにも際どい勝利は勝てなかったルドールに分がある様に思える程だろう。
 だが、ICイマジナリーセンチュリーは結果として志乃の心に引き継ぐ思いを強める事と成る。其れがきっかけで彼女はとんでもない提案をして来る。信仰の為にあの提案をしたとしたら今なら明白に理解出来る。だが、あの議論から一の歳も過ぎた後に成ってだからな。中々あの時は志乃の提案の意味を理解するのも難しかった。余りにも唐突過ぎて俺には理由を尋ねるしかなかったからな--)

一兆年の夜 第百三十話 終わりの始まり キシェール最後の雄(回)

 三月四十日午後八時二十八分四十三秒。
 場所は六虎府工業都市第三西地区菅原ライデン邸。
 ライデンの謹慎はあれで完全に解除された訳ではない。真古天神武はライデンの体内に潜む銀河連合が安全だと判断出来る迄万が一以外は謹慎を解除しない方針。引き続きレット・テンタウの五武将土の将代理を継続。其の事についてライデンは一切の文句は告げない。心の中でも同じ。
(今は復帰出来るように春風と何度も組み手をする。にしても春風は普段は自信無さ気なのに戦いに成るとまるで別の者みたいに雰囲気が百八十度変わるなあ……丁度半円を描くように)
 尚、半円を描くのは性格だけではない。攻撃方法も半円を描くように軌道が予測出来ない志乃の戦闘様式。ライデンは其れに依り、午後七の時から始めた組み手五回中何と四回も志乃に先手を取られていた。
「如何ですか、え、えっと」
「見事だ。其の調子でお願い--」
「やってるなあって」其処へキッシェルが尋ねて来る。「玄関が開いてあったのでやって来って」
「あのなあ、其処の蠍族のおっさん。此れは危ないから巻き込まれても命の責任は取れるか保障出来んぞ!」
「そ、そうですよ。其れに政府の体内検査は--」
 ああ、既に済ませた後だって……銀河連合の方は心配は無用だっぢ--其の言い回しから二名はキッシェルが既に寿命が尽き掛けている事に気付いた。
(如何ゆう事だよ、そりゃあ。何で其の言い回しなんだ……まさか膵臓癌に罹ってもう余命いくばくもないとか言うんじゃないだろうなあ?)
 余命が短いのは膵臓癌……ではない。キッシェルは脳に腫瘍が見付かっていて何時死んでもおかしくない状態だった。其れでも医者の執刀を好まないキッシェルは癌が発見されても摘出せずに其の侭、迎える事を臨んでいた--何故ならキシェール家は彼の代で最後に成らざる負えない宿命があった。
「何だって……精子が出ない?」
「ああって、私は如何も一名子で尚且つ幼い頃に精巣を摘出して以来……医者というのを非常に遠ざける正確に成ってしまっと!」
「そ、そんな事が……で、でも命に係わる事だったから摘出されたのでしょ?」
「一の歳の話だから親から聞いただけで覚えていなっさ。其れにこうして生きて来たのも何だし、ICイマジナリーセンチュリーについての基本的な事を知らせようと思ってで!」
「基本的な事とは?」
「気に成りますね、其れは」
 ICイマジナリーセンチュリーは通常の太陽暦を四回も足した暦とは限らない。閏日も含めて四の年を一年に統一する奇妙な暦でありながらも途中で計算方法が切り替わる様に設定される。其の切り替わりの目安がキシェール家の統一見解として八百年からとされる。だが、如何して其処から切り替わるのかを明確に答えられるキシェール家は此れ迄登場した事がない。皆、教えを忠実に守るだけで其処から更なる発展はしない。キッシェルも同じだった……だが、彼は忠実に守るだけで済まないキシェール家の雄に成った--其れがICイマジナリーセンチュリーを受け継ぐ誰かに託す事を強いられる運命にある。
「其れで俺に聞かせるのか……生憎俺もあんたと--」
「いや、お前さんは如何も引き継がんような気がするって」
「何だよ、じゃあ何しに此処に来たんだよ!」
「其処のお嬢ちゃんに用があるんだ……なあっし!」
 え、私……とても私にはそんな話は荷が重過ぎますよ--志乃は自分の様な生命には相応しくないと左手を左右に揺らして断りの表現をする。
(俺も同じだ。春風さんも如何やら難解な暦の話を引き受けられないそうだな。後は……あいつが居たな。でもあいつの名前を出すのは好かんしなあ。其れにあいつはそうゆうのを引き受けるようないい性格をするのか--)
 よお、空いていたので入らせて貰うぞ--噂をすれば齢二十四にして七の月と十九日目に成る仁徳人族の青年ルドール・バルケミンが勝手に入って来る。
「出たな、如何して噂をしたら出て来るんだよ!」
「挨拶が先だろうが、菅原ライデン。自分はルドール・バルケミンって……オオ、あんたはあのキッシェルじゃないか!」
「出たなっそ、今度は議論に打ち勝ってやるぞっそ!」
 ああ、此処で議論をしようじゃないか--二名が見えないようにルドールとキッシェルは勝手に議論を始めるのだった!

(奴等の議論についても少し紹介する。此れがICイマジナリーセンチュリーに絞った話かと思ったら何と今後の全生命体が辿る道についても二名は暑く議論した……あの頃は良かったな。今と成っては此れが俺達の生活の中で最も幸せだった時代じゃないかな? 此の議論を機に真古天神武は最早国としての希望は何処吹く風へと向かってゆく。
 では早速だが、其の議論について紹介しよう。確か出だしは--)

一兆年の夜 第百三十話 終わりの始まり キシェール最後の雄(会)

 三月二十六日午前二時四十二分十三秒。
 場所は六虎府経済都市第三無者地区。
 其れは生命の数が零に成って事実上、無者状態の地区をそう呼ぶ。然も今の時期は水の惑星中、銀河連合の流れ星に依って年間三十万近くが生命増加の速度よりも上回って既に水の惑星の全生命体は少子高齢化の時代へと突入した。其れは何も銀河連合に依って齎される物ではない。既に行き過ぎた福祉政策は此れ以上の幸せを一般生命に求める事も飽き、かと言って福祉を削れば昨の日に比べて満たされない思いが沸き起こる。そして福祉は削られる所か日々上昇してゆく--軍事費と共に!
 そんな場所に齢三十一にして十の月と十七日目に成るエピクロ犀族の中年藤原サイ団と共に駆け付けるライデンと志乃。
(春風の方は蘇我鋭棒、か。然も斬撃に重きを置いた仕様だな。何よりも取っ手の部分が大変に巻に巻いているから打撃だけでも恐らくは殴り倒す事も可能じゃないか? まあ俺の見立てでしかないがな。其れよりも此処に集合する一般生命達の動きが気に成る。調査班に依ると其の中心地に銀河連合らしき剥き出しを目撃したとの事。現地の軍者を派遣したい所だが、やはり者手不足が原因で俺達三名が派遣される事と成った。出来るならシシドさんを入れて欲しかった……が、相武様の護衛が少ないと便が良くない事もあってあの爺さんは此処に派遣されなかった。
 さて、話は変わるかな?)
「二名共、万全の態勢かい?」サイ団は確認を取った後に中心部に居る猿型に聞こえる声で号令を掛ける。「では……駆け抜けるぞい!」
「ああ、狙いは其処の猿型ああ!」
「え、えっと……ご、御免為さいね!」
 三名は誰の目にもわかる様な距離迄近付く。猿型が自らの身を守る為に傍に居た猪族の熟女の首に両後ろ足で回しながら両前足で叩いて足を止めに入る。
「出たない、如何ゆう狙いなのかは大方見当がつく……がい!」
「ゆ、許してくレレ。あたし達イイ、体中ガガ、体中ガガ」
「僕達はもういけないんだる」
「何故にこんな事に成られようかあ!」
 計十八名は体内の水分に気持ちの良く無さを感じ、更には近付いて来た銀河連合に依って益々動かされる状態に陥る。即ち、反した行動を採れば死は免れない。一般生命が死を覚悟出来ない事を逆手に取った銀河連合の何とも腹立たしいやり方と捉えよう。三名はそんな銀河連合が楽して一般生命を食べる為なら何をしても構わない精神に怒りが湧いても何も出来ない己をもっと腹立たしくも感じる。一般生命に命を捨てるように促す事は勝手が過ぎる……ならば救出に最善を尽くすのが軍者の務めであろう。戦士は何とも得をしない役割を担うか……だが!
「悲しむのは未だ早いぞ。銀河連合に自ら如何しようもない状態なのは何もお前達だけじゃない。俺だって同じだ」ライデンは何と蠍族の青年の尻尾が急所に届く距離迄近付いた。「ほら、如何せ自ら如何しようもないと思うなら俺を如何にかしてみろ!」
「ヒイ、い、いけなっさ。そんな自ら死のうとする精神は良くなさっげ!」
「す、菅原さん!」
「大丈夫だ、えっと春風さんで良いか?」
「え、えっと……あ、菅原さん!」
「え……来やがったな、って!」既に猿型の動脈は人差し指の長さ迄、斬り込まれて結果として……「オイ、何で動いたんだ!」猿型は血飛沫を上げて仰向けに倒れた事を確認するライデン。「用意しない行動は結果として多くを死に追いやるのだぞ!」
「申し、訳ないです」やったのは志乃。「で、でもえっと、菅原、さんを、放っておけ、なくて!」
「速いぞい、今の動きはい。如何やら前任者のレットに近い技の巧みさで更に前任者の飛遊翼に迫る勢いじゃないかい!」
 そ、そんなに言われたら……あわわ--恥ずかしがり屋の志乃は泡を出して気を失った。
「全く助けて貰って有難うっさ……と伝えるべきッと?」蠍族の青年の所に近付き、更には彼の視線の先に体を向けるのは齢三十九にして六の月と七日目に成るメ既に殻は白みを帯び出したメデス蠍族の中年。「だな、坊やっち?」
「俺のお陰じゃないし、今のは殆ど賭けに近かったんだぞ。助かるか如何かなんて曖昧な所なのに……其れに礼をするのは其処で伸びている奴にするべきだろうが!」
「あんたは……まさか彼の暦学者一族最後の雄であるキシェール博士なのかい!」
「え、キシェールってまさか--」
 気付かれてしまって、そうだ……間抜けな私こそが一応キシェール最後の雄だ--後にメデス蠍族のキッシェル・キシェールとの出会いは余りにも鮮烈極まる物であった。

(キッシェル・キシェールは最初の内は只の苦労者にして先祖の七光りに苦しむおっさんだと思っていた。だが、家に招いて話をする内にそいつがルドールと似るように苛立ちだけが募る程に頭が良くて皮と肉を幾らでも口にする大変腹立たしいおっさんである事が判明した。然も其のおっさんと志乃は後に意気投合してしまうのだから世の中わからない事だらけだな。
 話の続きだが、あの出会いから二の週より後だったかな? キッシェルを家に招いてしまい、悔いが残る俺は--)
プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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