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試作品 進行順調法 何処に需要があるのかわからない試作品(1/5)

 如何も取り敢えず攘夷党の丸さんがツイッター弁護士の馬鹿野郎のねちっこい責め立てのせいで離党まで追い込まれ、正直あの馬鹿ツイッター野郎には今まで溜まりに溜まった怒りを少し吐き出す自分darkvernuです。
 本当ねえ、自分も言葉遣いは汚いのは自覚する所ですが……あの言葉遣いもろくに出来ない馬鹿ツイッター弁護士には怒りさえ覚えるぞ。折角まともな野党に成る可能性を秘める攘夷党に対してよお。まともな議員を追い出すような真似をするあの野郎の神経がわからん。つーかてめえは国政に携わる国会議員に口出しするな。そうゆうのは代表の松井秀喜(仮)か或は国政の奴等だけに任せてお前は指を咥えて見守るだけにしろ……と大人げないながらに何時も通りの出だしと成りました。

 ライトノベル業界にも引き延ばしは存在する。しかもその引き延ばしが行われているのはかの有名な鈴村モナカの憂慮でお馴染みの今山止。彼はこの作品で様々な試みをやって見せる。それが次の話では全く繋がりのない話を紹介する事。脳電部のメンバーが揃う話をわざわざ揃った後の話よりも後にするという大胆な事。一つの小説に複数の分野に手を出すという正にセカイ系に更なる風を吹き込むその手法で人気を集めた。そして悪名高きエンドレスアハトもその分野の一つであり、作者今山の類稀なる発想が可能とした試み。
「何、オリジナルストーリーだって? 今はエガエガ動画を楽しみたいのー」
『--そこを何とかお願いします、先生。第二期のアニメに於いて八週連続のエンドレスアハトは流石に進行審査会が文句言ってきますよ!』
「無理と言ったら無理だ。お前らが作ると原作をぶち壊される可能性があるし、かと言って俺がオリジナルストーリー作るとかそんな面倒臭い事をさせる理由がわからん!」
『--ですが、進行審査会は五月蠅いのですよ、そうゆう事柄に関しては。なのでどうかお願いしますよ』
「わかった。じゃあこうしたら如何だ?」
 作家今山が行ったのは何なのか? 其れは第五巻目の爆走収録のカットワールドを文字通りカットするという手法だった。しかもアニメ監督の柳瀬勘はエンドレスアハトの合間にカットワールド前篇を挿入し、エンドレスアハトが終わってからすぐにカットワールド後篇を差し込む方針をシリーズ構成やプロデューサーと相談の末に決定し、これは大昔に怒ったエンドレスエイト事件に備えたアニメファンには好評を博した。しかもカットワールドを二つに分ける事によって八週連続エンドレスアハトをやってから第四巻の消去を映画にするという方針を難なく遂行する事に成功……したかに思えた。
「いやあ、流石は先生」
「まあな。俺に掛かればエンドレスエイトの二の舞に成らない方法だって余裕で考えられるさ」
「それで今度の最新刊の件ですが……お出来ですか?」
「それは--」
 突然、今山は立ち上がる。それは椅子に座っていると窓の方で何かが見えた為。自らの見間違いなのかどうかを確かめる為に窓の方に視線を向ける。
「ど、如何しました?」
「奴らが来やがった!」
「な、何だって!」
「朝比奈はじっとしていろ。あの石頭の相手は俺がする」
 今山はかつて経験するのか、其れとも検察官の中に知人が居るのか? その答えは正面扉から出る時に判明する。
「お早う御座います、今山先生」
「お早う、元気にしていたか? 名前は門脇君だったね」
「元気でしたよ。昔は先生には随分と世話に成りましたね」
「まさかと思うが、俺を盗作の疑いで書類送検する気か?」
「いや、これですよ」
 検察官の名前は門脇省吾……今山の大学時代の後輩に当たる。しかも今山の作品の方向性を実は門脇が考案した。ところが今山は雑誌のインタビューでさも自分一人で作ったように語った為に今では二人は対立関係にある。そんな因縁もある二人だが、話は其処ではない。
「何、『カットワールドは一話で収められる』って? ふざけるな、門脇!」
「ふざけておりません。これは進行審査会が独自に尺を調査した結果、明らかに一話分なのにわざわざ二話に分けて放送したのですよ。結果としてそれが功を奏して順風満帆に映画化まで漕ぎ付けはしましたが」
「だったら無視すれば良いだろう!」
「それがそうもいかないのですね。ちゃんと会津アニメーション事務所に極秘捜査しましたよ。そしたらこの案は何と監督やシリーズ構成、それから引き延ばしをしようと企むプロデューサーの発案ではありませんでしたね」
「其れで家宅捜索しに来たのか、ふざけるな!」正面扉に正座して侵入を防ごうと試みる今山。「ここを通りたければ俺を踏み付ければ良い!」
「そうか、冤罪を狙って正座するか。国会で野党議員が扉を封鎖するのと同じ場面じゃないか」
「又、お得意の時事ネタか。わかる奴にしかわからんぞ!」
「流石に捜査妨害を想定して解体作業員三名も用意しました。宜しくお願いします!」
「おや、これはこれは!」
 暴力で訴えられたら足下を掘り起こして綺麗に運ぶ手も打ち出していた門脇検察官。其れには遠慮するのか、今山は正座を止めて直ぐに道を開ける。すると黒服ポマード軍団は三階建ての家に入る入る。彼らは正義漢の為ではなく、手柄を立てて出世する事に誠心誠意燃やすのであった。
「そうやって他人の不幸の飯を食べて嬉しいか?」
「違いますね、先輩。これは法で守られる事ですよ。人のアイデアをパクった癖に暫くは執筆する気力もなく、周りに迷惑を被る人間を少しでも減らすという古き良き人達の願いを背に受けてですよ」
「何て悍ましい考えだ。その結果、どれだけのクリエイターが泣き寝入りしたのかを知らないのか!」
「今はそんな話をする場合じゃありません。では、私も中を捜索しますね」
 家宅捜査しに行く門脇の背中を見て今山はこう吐いた。
「まあ既に完全初期化した後だしな」


 原作者の元ネタはあの作品で有名な彼ですよ。一体何処をほっつき歩いてるのでしょうね……という訳で後半へ続く。

 強制捜査するも証拠が見つからない。受話器の隅々まで洗い出した。パソコンのメールボックスも復元かさせて抽出しようにも出て来るのは只の趣味。卑猥な物もギャグ漫画の不正コピーも更にはとある民謡の一節も全ては管轄外。手柄の欲しい捜査官は直ぐに別件での書類送検を申し込む。
 だが、そっちで検挙するのはライトノベル系検察官門脇省吾の務め。縄張り根性ではない。手柄が欲しくて意地を張るのではない。私怨でもない。あくまで仕事人としての彼がそれを許さない。このまま別件で取り締まると引き延ばしの事実を見付けられない。別件では其方の方が先に来る。その前に引き延ばしの事実を突き止めねば……深夜二時に自らのデスクに座って目を充血させながら門脇は格闘する。其れでも見つからない。思わず右拳を固めて机を叩く。
「イデデ……あの野郎は確かに引き延ばしを指示した筈だ。それは密偵の調査で明らかだ。半年も潜入捜査させてしかも私の所で捜査して裏付けた事実だ。なのに証拠がない。私はサイボーグ総理が真宮寺是清学園に支援した証拠を探している訳でも家計簿学園で理事長と友達だから獣医学部申請を要請したという荒唐無稽な何もない証拠を掴む訳でもない。確固たる事実にも付いて……って誰も居ない部屋で叫んでも空しい!」
 門脇は最後の欠片を見失う。それに気付き、席を立つ。するとそこへ電気を点ける職員が居た。彼の名前は丸佐茂……門脇とは別の担当を務めるベテラン検察官。
「夜中まで働くのは体に悪いぞ。さっさと帰れ、門脇」
「茂か。俺は今山の証拠を掴む為なら早朝だろうと粘って見せる!」
「頑張るのは良いが、体を壊しては元も子もない」
「だが悔しいじゃないか、茂。俺が担当する奴は別件で書類送検されるそうだ」
「そうらしいな。何でも今山はかつてのライトノベル作家森岡と同じく気分が良い時にしか筆を持たない病に掛かったそうだな。そうゆう奴の摘発は難しいぞ」
「其れは許せないと思わないか。幾ら出版社の思惑があろうとも自ら売れているのを良い事に好きな時に執筆して多大なる迷惑を掛けるなんて。其れでもプロか。プロなら何時如何なる時でも執筆の手を止めない物だろう、例えそれが……そうか!」
「何か見付けたのか?」
「俺とした事が奴の雑多な木ばかり囚われて森を見るのを忘れていたぞ!」
 丸佐への思いの丈をぶつけた事が最後の欠片を嵌める手掛かりと成った。それはあるコピーの巧い漫画家のそれに手掛かりがあった!
「有難う、茂。お蔭で不自然だと感じた何かを発見した。直ぐに調べ直すぞ!」
 すれ違うように表口から出る門脇だった。
「そうだ、門脇。お前の勘は正しい。俺もおかしいと思っていた……何故不正コピーの中に往年の問題漫画家手抜き太郎の代表作があったのか!」

 其れから明くる日の朝十時……再び車が集まる。それを見て今山は一昨日と同じように正面扉の前から出て来た。
「検察共の車の中央に見覚えのあるのが……又お前か、門脇!」
「お早う御座います、今山先生」
「お早う、門脇君。朝から総出で何の用ですか? 俺は別件で書類送検されると思い、心臓を昂らせておりましたよ」
「いや、別件を挙げる前に先ずは不正コピーした数々の証拠品から……先輩の指示した後と思われる証拠を見付けました!」
「おや? 其れはどんなご冗談でありますか?」
「それに付いては詳しくは中で、今山先生?」
「まあ、良いぞ。全員分のお茶と菓子を用意する事は出来ませんがね」
 其れから中に入った門脇率いる捜査隊は最低限の御持て成しをされて喜ぶ合間に証拠と成るギャグ漫画奈落甲子園全三巻と更には一見すると証拠とは思えない古代の小説家足塚修初の民謡である足塚拾遺。
「これは?」
「このギャグ漫画はライトノベル担当で全くの素人である私は何度読んでも血反吐吐きそうな位に酷いですね」
「其れで精神を揺さぶっているつもりか? 俺には何のダメージにも--」
「いや、問題なのですよ。このデータだけの全三巻。実は其処に唐突として出て来たプレイングスターション当選の件。これで少しねえ……って書いてあるのですよ」
 それは奈落甲子園の原作者手抜き太郎の自筆かと思われたという数字。そのとは実際に極道高校と呼ばれる凶悪野球チームを率いる高校が甲子園を舞台に対戦校の選手をルールの上で虐殺するシーンをコピーアンドペーストする事で使い回す数のように思われた。ところが門脇はそれを尋ねられ、次のような反論と成った。
「その件を当時の週刊少年跳躍の担当編集と原作者手抜き太郎本人に尋ねた。すると二人揃って何でそんな事打ち合わせるのだよ、バーカと何時聞いても腹の立つ態度でそんな事を口にしたのだから堪った物じゃない!」
「な、何だって……で、でもきっと其れは不正コピーした奴が指示を--」
「其れも確認した。答えはその容疑者は八、何の話と言って覚えがないそうだ」
「ウグ!」
 つまり彼らは身に覚えがない。ではそれは入手して直ぐにペイントソフトで書き足された物だということを裏付ける訳だ。それでも罪を認めないのが今山。其れはかつての後輩に仕返しされたと思い、腸煮え繰り返っていた。
「ウググ……そんな物で俺が支持を送った証拠としては憶測だ。だ、第一それ一つで立件するなど馬鹿々々しい!」
「だろうな。だからこそ古代の小説家の一人である足塚修の初めての民謡とされる足塚拾遺の一節。これは確か著作権物の一つでしたね」
「ああ、其れを勝手に登録する事は禁じられているのについつい--」
「ところが先輩……いえ、今山先生。これ、下手するとこの件に関しては重要文化財落書き法の罪に問われる事に成りますよ」
「な、何を!」
「この写真にね、初期片仮名のがありますよね。一見、他と混じっていてついつい見逃しがちになる所でした。ところがね、これを著作権を扱っている所に確認を取ってみると……ね。書物には一ページ目からと付く片仮名は記していないって関係者が証言しましたよ!」
「な、何イイい!」
 思わず、床に自らの湯飲みを落としてシーツを汚す今山。
「そ、其れってほほんち、本当なのか!」
「ああ、本当の話だ。聞き間違いかを何度も尋ねて先方に迷惑も掛けた。このの部分は植木を切り落とす際の分に使われた。意味する所は即ちなあ……引き延ばしに加担し、挙句に支持を送ったという紛れもない証拠なのだよ!」
「ク、く、クソッタレが……お前は気分良いかも知れない。深だって昇進を約束されるかも知れない。けれどもなあ、門脇いい!」
「ああ、思う存分言え!」
「お前達の存在が日本が誇れるサブカルチャーを崩壊させる、と。折角の映画を楽しもうとした一万人もの鈴村モナカファンの心に大きな溝を残す事を自覚しろおおおおお!」
「……フン、望む所だ!」
 こうしてスランプに陥り、自ら引き延ばしに加担した今山止は十年近く続けた鈴村モナカシリーズに終止符を打たせた。しかも待ち望んでいた鈴村モナカの消去は制作中止に追い込まれた……


 という訳で『進行順調法』を紹介しました。少々前に比べると更に雑で流石にこじつけも良い所な内容に成ったが、検察側が正義でないように今山に代弁したまでだからな。どれだけ大義名分を持とうともやる事は一つのコンテンツを終焉に導かせる愚考んしか過ぎないからね。

 という訳で今回はここまで。水曜はまあ休むぞ。既にやる事はやったし。

一兆年の夜 第八十九話 気球に乗って五日(五)

 十一月五日午前八時零分二秒。
 場所は未定。
 残り一の時掛けて地上を目指す三名。その余りにも余裕のない飛行を前にして再びスズ原とフク山は飛行から二の日より後に始めたあの会話を思い出す。
「じゅ、重要機関で再び思い出すが……良いかな?」
「ああ、良い所で話が終わああああったからな」
「ねえねえ、話って--」
 お前は、お前は周囲の警戒だけに務めろおお--と話がややこしく成るワッシャルだけ参加出来ない。
 スズ原に依ると昨の日の銀河連合との戦いで気付いたのは足りない部分は技と術と経験がモノを言うとの事。技は力が足りないと感じた時にそれを埋める為の知恵、術は技に磨きを掛ける為の行動、そして経験は踏み出す心を養う為の背骨。正に均衡点に近付く為に鷹混合型がやって見せた重心の乱れを補う戦いの歴史。鷹混合型との圧倒的な差を埋める為の弱き者達が見せる心の光と誰かを守る為に自ら率先して何かを捨てる度胸。三名がこうして生きているのは鷹混合型を倒す為に戦闘能力の差を埋める為の燃料を使う事への術と其れに踏み切れる度胸があった事の表れ。何とも偏るのがどれだけ危ういかを実感するか。
「あ、もう無くなりました。ああ、又寒く成るぞ!」
「いいいいや、雲下へ入いいいいいった。そこからは高度を下げええええる毎に高山で生じる様々な病は多少マシに成るぞ!」
 気温だって、気温だってまだましに成るってのう--とスズ原はフク山に乗じるように安心させた!
(問題は、問題は地上の方じゃな。火を、火を起こせなくなったからって空気まで無くなる事はない。け、けれども過剰な空気の調整がわしらには課題と成るのう。さあ、さあ如何する? げ、激突を避ける為に敢えてわしは空中種族だけを連れて行ったのじゃ。いざと、いざという時は飛んで避難が出来るからのう。ほぅ、他の種族では物に頼らないと着地も出来んからのう。ウウ、ううむ……む?)
「おおおおうい、地上に打ち付けられていったんじゃああああないのか?」
 ぎ、ぎ、ぎんぎんじゃなくて、ほら、銀河連合って言いたんだ……言った、言っちゃったああ--噛みながらもワッシャルはわかった。
「あいつ……あいつは両翼に備えていた望遠砲のような物を外して更には機動力を!」
「拙いいいいなあ、もう俺達には炭のおおおおような物もないぞ。あのままあああでは後二の分で--」
 じゃあ、じゃあわしが出てやろうか……そろそろ地上で眠る日も近いからのう--もう直ぐ地上という事もあり、スズ原は命を賭して気球から一気に翼を広げて鷹混合型と対峙してゆく!
「だ、駄目だああああ。あんたではあれに勝てない事は理屈でわかるだろうがあああい!」
「わかても、わかっていてもお前達の為にわしはここで命を賭すのだ!」更にこんな事も付け加える。「もう、もう夢は叶った。じゃあ、じゃあ想念の海でまた会おう!」
 スズ原は飛び出す--自然に自らあの紙を懐に持参している事も気付かずに!
「あ、飛び出すううう前に……あ」フク山は気付くも時既に遅し。「あの老いぼれえええめ、遺言告げる前にそれを俺に渡せよなあああ!」
 スズ原は身を挺して鷹混合型の突進を止めようとするも逆に吹っ飛ばされる!
(イデエエエエ、イデエエエエ……ああ、意識が--)
 誰もがもう限界だ……そう思った時、紙は突然スズ原の懐から飛び出して--何と猿と鯨の両方の特性を持つ成人体型約七十程の巨大な何かに変化を遂げてそれは背びれを青白く光らせると口から高温且青白い何かを真っ直ぐ鷹混合型にぶつけて焼き尽くしてしまうのだった!
(あ、あれは……あ、役目を終えると紙ごと空気の粒と化して……こ、これは夢に決まっている!)
 それからスズ原の意識は途切れる--






 午後三時二分四十秒。
 スズ原は目を覚ますとそこは見慣れた所。飛び出すと目の前に気球がある。気球の周りに二名が居る。
「お、起きましたか。いやあ、激突する瞬間にフク山の爺さんまで飛んで行って無理にでもすれすれで拾い上げなければ--」
「わかった、わかった。有難う、本当に有難う」
 雀訛りでしつこく感謝しいいいいなくとも良いだろう--と赤らめたので顔を逸らすフク山。
「それにしてもあの恐ろしい--」
「言うなあああああ……あれはきっと俺達が見たあああああ本当の幻なんだ!」とフク山もスズ原と同じ考えだった。「空の秘境だけはああああ幻じゃない……まあもう二度おおおおとあそこへ辿り着けないがな」
「だな、だな。わしは人生の最後を迎える前に辿り着いて良かった。いや、いやまだ人生は終わってなどいない」改めてスズ原はこう断定した。「わしらだって、わしらだってまだまだやれるではないか……まだまだ晩節を如何様にも出来るかも知れんぞおお!」
「頼みますよ。それ以上何かやったら俺の立つ瀬が--」
「お前は、お前はわしが現役でいるまでは大人しくわしの助翼して俺っての!」
「はっはっはあああ、こりゃあ長く生きいいいいそうだな。参った参ったああああ!」
 こうして気球に乗って五の日での出来事は幕を閉じた。其れは短くも不思議な冒険である。果たして本当に何も記されていない紙からあのような見るも恐ろしい怪奇存在が姿を現したのか?
 今後も遠過ぎる過去では注目の的だろう……

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十一月五日午後三時十五分十五秒。

 第八十九話 気球に乗って五日 完

 第九十話 一週間地底旅行 に続く……

一兆年の夜 第八十九話 気球に乗って五日(四)

 十一月四日午後十時二分三秒。
 場所は不明。
 この時間帯に三名の中で進展があった--午後六時ちょうどに何かの石を発見し、実際に火を灯すと点いた。
 それから気球を浮かす為に夕食を食べ終えた後に試すと……浮いた!
「やったああ、やったああぞ!」
「其れじゃあああワッシャン、火を消して下ろすのじゃあああ」
「わかりましたぞ。出発は次の日の朝でも良いんですよね、良いのですよね!」
「あ、当り前じゃないか。あ、当り前じゃないか」
「大事な事なので二度口にいいいいしたのか、スズ原ああああ?」
 そ、それが何か--と自覚のないスズ原だった。
(ど、如何成るかと思ったわ。このまま、このまま秘境内で暮らしてしまうのかと思ったら居ても経っても居られんのう。
 彼の、彼の蘇我フク兵衛の一名が行方知らずと成ったと噂される話の信憑性を裏付ける証拠はこれじゃが)
「如何しいいいいたのだ? 俺は遠い親戚の翼掛かりについてはあんまり興味の湧くうううう事じゃないしな」
「結局は、結局はこの紙は何の翼掛かりも掴めなかったな」
「そうううううゆう事だな。じゃあさっさと寝てえええから早急に出発を急ごうぜ……ン?」フク山は何かを捉える。「あ、ここに何かああああ近付く!」
 近付くのは空中種族と三名は思った。そう、何かを発見した当初は。
(むむ、むむうう!)
 だが、其れはあからさまに筋繊維を内臓を剥き出していた。「あれは銀河連合で間違いない!」と思い始めるのに一の分も掛からない!
「うわああああああ、しかもおおお望遠砲のような何かを両翼に取り付けた混合型だああああ!」
 その後にフク山は直ぐに物陰に隠れるように命に叫ぶ。その指示は正しく、実際に鷹混合型は両翼に取り付けてあった望遠砲のような何かから合計五発ほど発射。その威力は地面に人族の手の親指程の穴を穿った!
(折角、折角飛び立てたと思ったら銀河連合がやって来るなんて信じられない。あいつのせいで、あいつのせいで気球の風船に穴でも空いたら二度と地上の土を踏みしめる事なく一生を送ってしまう。せめて、せめて死ぬときは地上の土の上で…・…それがわしの死生観なのにいい!)
 その思い合って長年の夢を叶えた功労者である気球を守らんとスズ原は飛び出した。
「なあああ、スズ原あああよ……止めんかあああい!」
 いいや、いいや止めない……あれはお前だけじゃなくまだ若いワッシャンも地上に送り返す為にわしが作った気球じゃあああ--スズ原は飛び出す。
 彼は翼を広げて果敢に鷹混合型と格闘戦を繰り広げる。だが、老いは決定的な差として出てしまう。何とスズ原は叩き落とされた!
「スズ原アアアア、だから言わんこっちゃなあああい!」
「お祖父さんをやらせはしないって俺の辞書に書かれてあるって誰が言ったか……俺が言ったんだ!」
 地面に叩き付けられたスズ原の勇気に感化された二名は鷹混合型と格闘するも……二名共、鷹混合型の空力に圧されてスズ原同様に地面に叩きのめされた!
(と、当然の話じゃ。二名共、二名共軍者ではなく頭脳労働に力を注ぐ生命じゃ。若い、若くて身体能力に優れたワッシャンでも戦い慣れしておらんのじゃ。だ、だからこそ両の翼の重みがあって少々重心の均衡が少し良くない鷹混合型の元々の戦い慣れした圧倒的な差を埋めるには十分じゃない。な、何という差じゃ。わ、わしらが戦いを知らん為に均衡の良くない相手に格闘戦で圧倒されるなんてのう!)
 スズ原の分析は正しい。事実、鷹混合型は望遠砲のような何かを両翼に備える事で却って空気抵抗の調整に翼間取る。空気抵抗が難しい結果もあって三名は狙い通りに鷹混合型に穿たれる事はない。射撃には重心の安定が何よりも課題であるのだから。ところがそれだけでは三名掛かりであの鷹混合型に打ち勝つ事が出来るかと問われたら……違う。頭脳に特化した生命は戦いの何たるかを頭で判断しがちである。肝心の身体が反応出来ないと机の上での空気みたいな理論でしかない。スズ原は自ら肉体鍛錬者みたいに縦横無尽に動かせる生命ではない事を知っているが為に安易に楽観視した分析が出来ないのである。
 徐々に重心が十分でなくとも外す事のない距離まで近付く鷹混合型。先に死なせるのは真っ先に向かったスズ原。スズ原は死ぬ事は恐くない。けれども地上の土に覆い被さって死ぬのが彼の死生観……故に震え始める。其れは別の恐怖心としてスズ原を震えさせる。それを見て鷹混合型は大笑いする。声を発しない銀河連合ではあるが、大笑いする事は出来る。だが、其処には思いやりなど一つもない。正に空の秘境で眠る神々の一つである全身は伸び切るが最後に真っ白な伸縮自在の人族と成るそれが呑み込んでしまった実本来の意味であるように。其れは遠過ぎる過去に於いて余りにも口にも文字にも出来ないし、聞きたくもない。
 その時、鷹混合型の背中に燃えた炭が飛来--それは鷹混合型の剥き出しの筋繊維に燃え移る!
「ウググ、ウウウ……そ、それは!」
「済まああああない、スズ原」
「お祖父さんを助ける為ならば帰還出来ない事を覚悟の上で投げる投げる投げる火を点ける火を点ける!」
 やがて鷹混合型は秘境の断崖から自ら身を乗り出して落下してゆくのであった--燃え盛る炎と格闘しながら!
 その様子を見て三名は次のように語る。
「た、助かったのか?」
「わ、わからああああんのう。けれええええども、俺達いいいいは」
 ううう、これで帰還のは少し困難になった、成ったんだ、成ったんだ--ワッシャンが嘆き叫んでいる間に二名は計算を始める。
 すると秘境を見付ける一の時より前と同じく浮上し始めも含めて一の時しか残っていなかった!

一兆年の夜 第八十九話 気球に乗って五日(三)

 十一月三日午前七時二十三分三十二秒。
 場所は不明。
 気球は間に合った。けれども次飛ぶ事は出来ない。何よりも三名共空中種族故に無茶な話である。
 そんな訳で辿り着いた秘境にて三名は昼食を摂った後に一の時もの胃の調整を踏まえた小話をする。二名共いい歳であるが故に無理な運動が出来ない為。其れが出来てから調査開始。出て来るのは人族のようで完全でない形をした人族の像の数々、生い茂った雑草や根っこが何とも作り物のようで植物感がない。極め付けはやはり背中に太鼓を担いでしかも頭を白いハチマキのような物で覆った人族が何かを驚愕するような表情をする像。その真ん前に何かを固定させる為にある物で上下左右四点を貼ってある紙が見える。四点の四角い何かを剥がしたスズ原ら三名はその中身を見ようとするも何も描かれておらず。何とも不思議な話だろうか。
 話を戻す。それから深夜に成るまで調査するも結局は成果を得られなかった三名は就寝し、今の時間帯に起床。起きて早々に三名それぞれの作業に取り掛かる。ワッシャンは朝食の用意を、フク山は環境の調査を、そしてスズ原は紙の解読を。
(だ、駄目じゃ。ぜ、全然わからない。只、わかるのはしっかり固定してあの自然じゃない手足と胴体をした人族の像前に貼られてあった事じゃ。な、何の為なのじゃ? に、日光に照らしても見たが)
 雲の上では雨の心配も雪の心配もない。だが、天気の変化を地上よりも感じやすい。しかも朝日が地上ではまだ暗い時間帯に顔を出す為に三名はその早過ぎる時間帯の顔出しに心身の対応が遅れる。
(お、お日様の機嫌を窺う事じゃあ駄目じゃな。ううむ、一体何に反応するのじゃ?)
 スズ原は大いに悩む。この紙には何かある。だが、何も描かれてないようにしか映らない。触覚で調べても窪みを確認出来ない。少々綺麗ではない方法として唾で舐めても滲み出ない。耳を当てても何も音は出ない。匂いに至っては何が何と匂わすのかわかる筈もない。
「そこまで見つめる事じゃないですよ、お祖父さん。今は一杯食べて健康的強者に成るのが一番って……ってところで健康的強者って--」
 し、知るかいな--八つに当たるようにワッシャンに用意されたおにぎりを持つと噛む回数も十分じゃない程の勢いで頬張るスズ原!
 当然、喉を詰まらせて半の時も二名を困らせる事に。
(と、歳を摂ると大食いも出来ない。気道が、気道が細く成るせいで噛む回数が増えて自然と空腹を和らげる傾向にあるからのう。と、というか基本的に大食いは宜しくないのが普通じゃがな。大食いは、大食いは燃費の良くない気球と同じじゃ。か、考えないとのう)
 それから三名は空の秘境から脱出する為に調査を惜しまない。そこには菅原炭に代わるものが見付かると信じているから。その間に様々な神様を発見する三名。
「な、何て黒い神様じゃ。皮膚が、皮膚が異常に伸び切るだけじゃなくて煙を出したり、有り得ない位に、有り得ない程に肉体が巨大化したり、挙句に、挙句に皮膚が黒く成って傾き出したり……最終的には真っ白過ぎる形態かあ。この人族は一体何を目指していたのじゃ?」
「ここに記されてあああああるのは何でも亜心麻鬼の実を極め、更ああああに覇気を極めた結果、融合さああああせて海貝戒王……何イイイイ王だってええ!」
「ところで本当にそう呼ぶのかな? 妙じゃないか? だって字の書き方へんじゃないかって思わない。ほら亜心は亜の真下に心があって麻鬼は麻の中に入り込むように下に鬼が入ってるじゃない? それから貝戒は何か二つともくっつき過ぎる位に--」
 ンな事よおおおうりもこれがもしも本当ならば天同家の目指すべき場所は真っ白なのか--と遠過ぎる過去ではそう考察してしまうフク山達であった!
(ううむ、ううむとこんな感じでこのような恐るべき神々を次々と発見してゆく。こ、これ以外にも次のような神々を発見した)
「こ、これは。赤く、赤く染まったり、更には、更には金色の髪と成って逆立ったり、時には、時には放電を起こしたり、そ、其れから眉毛が全て剃られたかと思うと髪の毛が臀部よりも下まで長く成ったり、挙句に、挙句に体毛が濃くて尻尾を生やしたり、時々、時々赤く髪を染め上げたかと思ったら青く染め上げて、そして、そして……髪を逆立たせたまま仏みたいに聳えたりするか!」
「何々いいいい、これは如何ゆうううう人族じゃ。これも天同が目指す究極なのかああああ!」
「そもそもこれは神々何だから幾ら考察したってご都合良過ぎるよ、二名共。そんな事よりも結局は脱出する為の菅原炭は見付かったの--」
 み、見付からんから神々に驚いて空しく過ごすしかなかったのじゃあ……言うな--今日は成果を得られないまま日を過ごす三名であった!

一兆年の夜 第八十九話 気球に乗って五日(二)

 十一月二日午前十時二分十八秒。
 場所は未定。
 ここに来て三名は危機に立たされる。何と残り燃料が僅か一の時分しかない。
(そ、創作物を読んで五の日は保つと思っていたのが誤りだった。よお、予想以上に消費が激しい物だったなんて。わ、わしとした事が何と浅はかな)
 それでも交代々々で何とか足りない燃料を補給し回る頻度が少なくて済んだのは一重に風の強い僅かな硬度を飛んでいたおかげなのかも知れない。スズ原もフク山もワッシャルも思ったよりも睡眠に悩まされる事はなかった。
 何れにしても燃料が足りない状況は三名にとっては大問題。三名は三の時という状況下で何をすべきなのかを話し合った。
「いや、ワッシャンは会話に参加するとややこしく成るから安全確認だけに集中しろ!」
「ええ、幾ら何でも安全確認する程危険な高度なのか? で、でも--」
 い、良いからさっさと黙ってやらんかい--と鷲族独特の回りくどい訛りに痺れを切らすスズ原であった。
「普通に考えたらそもそも五の日も飛んでいいいいいいられる訳がない。如何して飛んんんんんんでいられると思った?」
「な、何度も実験をした成果じゃ。そお、それにお前さんお遠い親戚が行方知らずの理由に空の秘境が絡んでいると見たからな。そ、其れでわしはそれを込みでやったんじゃ!」
「もっと燃料を積むべえええいきだったのではないか? 例えば二名分を燃料で一杯にいいいして、とおおおか」
「そお、其れだと今度は火事の恐れがあるのじゃ。あ、余りにも多く積み込み過ぎなのも難儀じゃぞ」
「ううむ、重量問題があああう先か」フク山は全ての乗り物に必ずぶつかる消費効率の問題に頭を抱える。「其おおおれとも長く保たせるのが先か……必ずそれにぶつかるのか」
 そ、其れはわしらも同じじゃ--生き物も乗り物に置き換えると見えてくる筋肉と肺活量の問題をスズ原は語り始める。
 その語りは最後の火が消えた時に良い所で唐突に終わる。がその間だけスズ原は何とか語ると次のように成る。それは筋肉も只付けるだけで最大限発揮される訳ではない。其処には筋肉の過剰搭載で生じる皮膚、そして流れる血液量の超過、更には過重搭載された際に生じる骨の限界……骨が問題が生じると幾ら筋肉でも何とか成る物ではない。骨とは船で言う竜骨に相当するように重要機関である。とここで更に畳み掛けようとする前にとうとう火は消えた。
「さああああて、これから俺達はこの寒い所で心身共に凍えて氷漬けさああああれるだろうな」
「や、止めろ。き、気にして来たじゃあ、じゃあないかあ!」
 こ、こうゆう時こそわし訛りが体をあたあっためて身の毛もよだつ上体を、肺への負荷もああ、肺が痛い痛い、そ、それに何か吐き出したくも吐きだくも、ウウウウ--ワッシャンも苦しそうな様子。
(き、気球の良い所は正に暖も務まる所じゃな。じゃ、じゃがあそれが費えると訪れるのは大分低空に成らないと鼓膜に直接生じる違和は中々に辛い。あ、後はやはりこんな高度じゃから急に動悸が激しく成るのじゃな。こ、高山で生じる病もそうゆう点では硬度に届けば届く程……あ、ああ。
 わしは、わしはとうとう幻を覚え始めた。まさか雲の上に桃源郷が見えるなんて……そうか、そうじゃなあ。これが、これ……何!
 ちょ、ちょっと二名を叩き起こすか!)
 スズ原は自らの見える物が幻かどうか確かめる為に眩暈を起こすフク山と血が貧しい症状を起こすワッシャンを右翼で叩いて起こす。
「イデデええウイ……少しマシになれ、ども--」
「な、何なん? 気分がすぐれない、から、ね、寝かせて、くれ、ないと、なあ--」
 あれは見えるか、あれが見えるかと聞いている--大事な事を二回も口にするスズ原。
「あああれは、ああ……俺は幻を見つめラアあれる」
「ああ、きっと死期が近い。まさか雲の上に建物が並び立つという光景を最後の最後に見える事と成ったなんて有り得ないにも程が--」
 ちょっとオオオ待てえええい、幾ら何でも同じ光景を見えるなんて偶然があるかあああい--とフク山はそれが通常と異なる事を叫ぶ!
「えっと其れって何を意味するかって……何イイい、其れは本当だったらまるでまるで……ああ、そうなのか!」
「一旦は、一旦はお喋りは止めてその方向に進ませておかないとな。さ、さあ燃料無しの状態で何処まで流される事が可能か?」
 気球は方向転換が可能だが、其れはあくまで生じた熱を向けての話。火が消えた状態だと手動或は翼動で細かい操作を要求される。其れだけ船とは勝手が異なる。そう考えた三名であった。
(だが、だがお陰で秘境に到着したわしら。そ、其処で何があるのか……)

一兆年の夜 第八十九話 気球に乗って五日(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十一月一日午前六時一分三秒。

 場所は真古天神武プロタゴラス大陸ソフィス地方新タゴラス村西地区。
 かつて真古式神武が喰われると共に長い歴史に幕を閉じた数々の村、町、市、集落……だが、ここへ新たな希望として馳せ参じる生命が居た。彼らはプロタゴラス大陸に生き残った生命に生きる希望を与え、ある組織への編入を促した。その組織の名は解放戦線。
 最初こそ若さ故に経験の足りない部分も多々あって上手くいかなかったこの組織。だが、数を揃える毎にやれる事が増えてゆく。そして自ら新たな国家神武の建国を望むように成った。
 そんな歴史もあってソフィス地方は解放戦線にとっても思い出深い地と成った。それ以上に砂漠という作物が育つのも難しい環境下は逆に銀河連合による穢れを逸早く浄化するのに適する事実はタゴラス村の早期復活に繋がる。
 ではそろそろ本題に入る。西地区で一番小さな藁家に住むのは齢四十にして一の月と十一日目に成るティスノス雀族の老年。彼は解放戦線に所属した下霧したきりスズの遺児であり、父の遺言書に従ってずっとタゴラス村創設に勤めた。しかも集落だったタゴラスの地を何とか生命を集めようと積極的に六虎経済都市に赴くなど署名嘆願も忘れずに。その甲斐あって徐々にタゴラス集落に生命が集まり、去る年を以ってタゴラス村に昇格。徐々に喰われる前に戻しつつある。尚、未だティスノス雀族なのはそれも又父の遺言に従っての事。但し、五名の子供達は既にタゴラス雀族に帰化した模様。其れでも下霧の姓は受け継ぐ。
 とまあこのようにほんの少し紹介した老年……彼の名前は下霧スズはらかつては趣味さえも抑えてタゴラスの為に尽力した生命。だが、それも終わりが近付く。何故なら彼は長年の夢だった秘境探しに向けて準備を進める。
 そろそろ説明し忘れていた事が一つ。彼の家の真ん前に大きな何かが置かれてある。それは火を起こしてそれで上部に設置された風船を膨らましながらその力を使って物を浮かすといういわば気球。別に彼が初めて作ったのではない。だが、初めて開発した生命については説明するのも余裕がないのでこの際省くとしよう。現在、スズ原は何を思うのか?
(や、やっと完成した。こお、これを機にわしは長い年月も夢だった秘境探しに乗り出せる)
 おおう、暇かああい--そこへ齢三十九にして八の月と六日目に成る蘇我梟族の老年が現れた。
「お、お前は蘇我フクやまか。ま、また冷やかしに来たのか?」
「その逆ううううだ。俺も一緒に乗せてくれえええいい」
 ひょっ、ひょっとしてやっとわしの気球を理解出来たな--と涙脆いスズ原は右眼から一滴程涙を流す。
「相変わらず下霧一族は直ぐ泣ああああく癖が治らないな。まああああああ良いさ。じゃあ始めええええようか!」
「だ、大丈夫だぞ。こ、これは熱の力で浮く種類だ。そお、その為の熱燃料もある者に運ばせてある」
「ある者おおおって--」
 何て奴なんだああ、全く祖父さんは物遣いが荒いのもいい加減にしないと流石の俺も起こってしまうって言う--齢二十一にして二日目に成るタゴラス鷲族の下霧ワッシャルは要するに養父であるスズ原に燃料運びさせられた模様。
「こ、これはああああ菅原炭!」フク山はそれが通常の菅原炭ではない事にも気付く。「これは火を起こせば一気に煙が溢れる奴ううううだぞ!」
「ま、まああれだ。そ、その為にここまで巨大化した。何い、一の年も掛けて試験運用したので浮くのに最適な鶏量の計算も済んだ。で、ではそろそろ行こうかのう」
 最大四名まで乗せる事が可能な気球。だが、スズ原にとって長期間飛行する為に一名分は捨てざる負えない。それは長い旅をする為であった。
(さてとお、その為にわしら三名は空中種族だけで構成した。幸いはあ、断られるかと思ったが何と了承してくれて助かる。では、行こうかのう!)
 ワッシャルが風船部分をある程度持ち上げる係を担当。火を灯して徐々に風船部を浮かせる。しかも浮かせる過程で均衡が崩れやすいので必ず四点以上で固定。スズ原の場合はそれだと安心出来ないと感じてその倍の八点固定させる。それから徐々に雲の方角へと持ち上がると均衡点は安定領域へと入る。そこから中に居るスズ原とフク山は固定した鎖を外す。七割以上膨らみ始めると物を浮かす程の力が掛かる。それからワッシャルの役目は終わってスズ原の所まで駆け込む。
 それから三十の分より後……遂には高度成人体型五百を突破--遂に空の旅は始まる!

これで三週連続二回の雑文ですか、別に雑文の量産がしたい訳じゃないのに!

 如何もdarkvernuです。
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 さあ、やるか。

 世の中には存在しなくても良い所がある。それが新羅学校や審議拒否と牛歩ばかりする野党共である。
 新羅学校不要論として重要なのはやはり拉致事件を起こした張本人達である事。それから黙って日本で暮らして行けば良いのに楽して参政権を欲する厚かましさとそれから自分達の権利は声高に主張するのに相手の権利には文句を垂れる筋の通らない点……こんな人達と言われて仕方がないと思わないかい?
 次はやはり存在価値を見出せずに議席にしがみ付く野党共。国の為だとは考えずにさも反逆する「俺かっけー」を血で行くプラカード戦術、女の壁、挙句には牛歩で投票時間が僅かに成るまでやるなどはっきり言って反対という幼稚園児でも出来る事をやる始末。こんなのが議員をやるなんてそれこそ日本の悲劇だと言えよう。奴等が居る限りまともな議論の場は設けられないだろう。早急に議員バッジを外して全員祖国に帰国して残りの余生を平穏の暮らす事を望む。
 それから他にあるのはやはり弁護士、テレビ御用達のコメンテイター、文章力は兎も角としても政治思想は壊滅的な小説家の面々……こちらも要らないな。弁護士はやはりアディーレ事件を見ればわかるとおりに偽善を旨味に活動する守銭奴集団。事実、歴史の中で弁護士は革命野郎と相場が決まる。其れだけに奴らは不要であり、そもそも国選を真面目にやるもの以外は信用しない方が貴方の為に成るでしょう。因みに国選以来とは無償で弁護をする事であり、これに大真面目にやるかやらないかで弁護士の質は決定される。
 次に御用達コメンテイター。彼らは決してプロで構成されている訳ではない。証拠か、其れは去年世間を騒がせたあのホラッチョが良い例だろう。奴のように嘘吐きでもコメンテイターに成れると証明された以上はコメンテイターなんて必要ないでしょう。他の事例で挙げるならあのムロイ。あのババア程信用出来ないコメンテイターは居ない。あの知性の欠片もないコメントは思想云々を超えて視聴者を大いに不快にさせる。いや、コメンテイターが楽な仕事だと認識させるに十分な事例だろう。このようにコメンテイターなんてのは端から信用に値しない。
 最後は政治思想が壊滅的な小説家の存在。これは普段から物書きとして活動する自分は懸念する材料の一つ。別に文章力及び表現力は文句を言わない自分ではある。あるにはあるが、あやはり首を傾げたく成る事が多々ある。それはわざわざ日本古来の表現力を身につけておきながらも日本の事を何一つ大事にしない小説家が多い事だろう。大江もそうだし、村上もはっきり言って反吐が出る。後はたまに芥川賞受賞者や直木賞受賞者の中に幾ら何でも安全保障に無知な奴が出る事。わからなければ口出ししなければ良いのにわざわざ口出しして大恥を晒す始末。そんな奴らの目的はやはり左翼勢力からの圧力もあるだろう。とても小説家のスタンスではない。小説家も又、芸能を扱う者達なら何時如何なる時でも反逆者であれ……それはエリック・アーサー・ブレアのスタンスに反する。彼は共産主義思想を有りたがるサヨクが大の嫌いではあるが、自ら真の社会主義者である事を自認する為に保守勢力からの支援も受けないという真のリベラリズムを体現する。日本の左翼はパヨクであって左翼ではない。左翼を主張するならやはりエリック・アーサー・ブレアの爪の垢を煎じるが良い!
 とまあ二回目の雑文をこのくらいにして終えよう。語るべき事がないのは悲しい話だろう。


 という訳で解説らしい解説もなく、ここで終わる。

 スパロボのロア関連で思う事を幾らでも述べる。ダークブレイン十二幹部の内、ムーンデュエラーズスタート時で生きているのが五人か。と成るとスカル、デブデ、クリドラを除く二人が気に成るな。オバロは違うだろ。リジェスとストラガイアは多分違う。ゴッドノアはロアの半身だから考えられるとしたらフェスティバル大帝、ガルドラス、インフェリオスだろうな。まあ自分の予想では二人の内の一人はフェスティバルだと考える。理由は祭り潰しの為しか興味がない事を考えるととても抱くブレ復活に乗り気じゃないような気がするし。ガルドラスの場合はクリドラの亜種のような気もするしなあ。邪神龍インフェリは先ずゴッドフラッシュ参戦が重要に成るからこれも有り得ない可能性が高い。まあ何が言いたいか……早くOG完結編をカモーン!
 まあ完結編だと先ず想定されるのが魔装機神関連ならサキトとエリシアの参戦だろう。スカ公がダクブレ候補として狙っているのはきっとサキトだろうな。あいつって思念集めやすい一族の出身だしな。
 SRX関連ならやはりガドル・ヴァイクランと叫んだり、我こそはバラン・ドバン、残りの十二氏族オールスター(ゴッツォ、ティクヴァー、カイツ、ドバン、トーラーは勿論の事、恐らくシャムラン、ハガナー、メハベルも入れると後四氏族は何なのか気に成るなあ)、因子が漸く揃った久保さんに新龍虎王の為に復活しそうな孫光龍一派などワクワクするなア。
 Wなら二部構成の要素は如何するのかな? 何気にサピエンティアって巨大オーバーロード第一形態に似てるんだよな。其処も如何するのだろうなあ? そしてカズマを披露のは誰か……自分の予想では修羅勢だと踏むね。何故って、もう一つの天球修羅神の伏線を回収する意味も籠めて!
 後はムゲフロ勢の処遇だろう。きっとダブルG四号機は大邪鬼銃王だと睨むな。何故って……あれで上手くダイレクトモーションシステムにして二人乗りでしかも通常は鈴鹿姫に操縦して変形時は神楽にやって貰わないとな……正に女悪を断つ剣でしょう! 後はヴァリアント帝国空軍将軍との夢の対決も実現して貰わないとな。
 他にはやはりコンパチ勢だろう。ヴァリアント帝国三代将軍の戦闘BGMはグレバト4のあれで良いし、乗機はホークワインドを始めとしてあれらで十分だしな。問題はブラックエックスの方だろう。あいつってライドバトルの度に乗機を変えるからな。これどうするか……えっとデバイスとティーゲルって? あいつらは別に気にしなくて良いだろう。デバイスはそのままで出れば良いし、ティーゲルはガルアーマー登場で行けば十分だしな。後はやはりオーバーロードとの戦いに備えて真の力を解放して貰わないとな。
 最後は不安に成るサイバスターの処遇。ポゼッションできない程度は別に問題ではない。問題なのは動力源をリチュオル・コンバーターにしている事だろう。下手すると暴走を招く恐れがあるし、それは如何成るか……きっと次元烈風シュロウヤが来てくれると信じる自分が居る! え、マサキのパチモンは嫌だって……まあまあ。
 という訳で二回目はここまで。二回も雑文する意義を見出せない。やっぱ雑文は一回で十分かも知れん。

あいつらが文句垂れるばかり、ンなもんはあいつらが政権握る前からわかっていただろ!

 如何もdarkvernuです。
 では今回は題名と多分関係ない話でもしましょうか。

 セル百合子はマジ切れした。しかも恩師の一人である轟盲牌の前で!
「ブルアアアアア、あいつらは何処まで餓鬼なんだよおおおう!」
「まあまあ、百合子ちゃん。俺が総理の時代から奴らの対案を出さない体質には苛々する物があったからねえ。其処は大目に見てバタトルジネオ・ブーメラン党代表に応じたのでしょう?」
「其れはそうだけど、けれども排除を私があ言った途端にマスメディアが一斉に私に逆風を噴かせたのだああおよおう!」
「嫌あ、元々百合子ちゃんもワカサ製薬もモナ男君的にも全員受け入れで進めたかったのでしょう? なのにある記者の質問に答えてしまった為に……いやあ、百合子ちゃんも宇宙人鳩みたいな八方美人じゃあ駄目でしょう」
「そ、そうですよ」突然現れたバートル・バタトルジネオ・ブーメラン党代表。「その結果、ワインセラーを始めとして先月と今で全然発言が違う議員から集中砲火を受けましたよ」
「そんな事お私が知るかああああ!」
「あいつらが一貫性ないのはわかり切った事でしょう。何しろ全員ブーメラン党の頃から築き上げた政局しか目に見えない白アリのような方々ですからね」
「私は避けたかったのですよ、マルクス党と共闘するのを。それを知らないフルアーマー百式改は議席欲しさに勝手にサーヴァ・ブーメラン党何て結党してさも対象を自分達のお蔭である事を風潮しましてね」
「しかああも私が筋の通らないアバズううれと言いおって……通らないのはお互い様ああだろうがあああ!」
「全くだよ。当初は狛枝凪党に全員一緒に合流しようと考えていたくせに……筋を通すならネオ・ブーメラン党のままでバタトルジ君を支えるのが普通でしょうに。新しい政党を作るなんて如何考えたって議席にしがみ付いているとしか言いようがないね。まあ、そんな連中に票を投じた国民は郵政解散の時から全く学んでいないと言えるでしょうねえ」
「全くだ。私が女だからああうなのかああい!」
「其れ関係ないと思いますけど……それから私の事はバートル・バタトルジではなく前--」
 負けた言い訳をするのは何も野党の連中だけではない。狛枝凪党の代表であるセル百合子も同罪。負けた責任を押し付けようと躍起に成る限り、彼らに政権を任せようという気に成らないのは事実。駄目大人党とは言えないが、日本攘夷党みたいにまだ議論をする気のある政党であれば少しはまともな有権者達も野党に任せられる物である……まだまだ国民を愚弄する政党は存在する。仮にマルクス党と呼べる物がなく成らないにしろ、出来れば攘夷党以外の野党と駄目大人党にしがみ付く頭がパーン党が消滅する事を心よりお願い申し上げる。
 そしたら日本は先進諸国と同じように国を良くしようと心掛けてゆくだろうに……


 という訳である。モノローグはあくまで自分の願い。正直、狛枝凪党以上にサーヴァブーメラン党は滅んで欲しい政党。だって……戦う皇族さんもある動画で紹介するようにあいつらのマニフェストの何処にも経済政策ってのがないのだぞ。幾ら何でも頭おかしいだろ(怒)! 労働政策やっても意味ないだろうが。何企業と労働者を対立に導こうとやっきにさせるのだよ。そんなの健全な資本主義の姿じゃねえよ。健全な資本主義ってのは自分が散々『お金様』で主張して来たお金の為でもなければ誰かの為、其れと会社の為にどのようにして会社を良くし、更にはどのように働く意義を持つのか……だろうが。はっきり言って「権力者と戦う俺かっけー」というようなクソみたいな考えは大嫌いなのだよ。そうゆう奴が居るから日本はここまで外国勢力にやられまくっているだろうが。反逆するエネルギーがあるならそれを日本の為に如何するかに使え……会社が腐ってるだとか安月給だとか言ってる暇があるならなぜ今も自分がその腐った会社で安月給を押し付ける会社にしがみ付くのかを考えてみろっつーの、と(怒)。そんな訳でサーヴァブーメラン党なんか益々労働者の中に売国奴を増やす敵対勢力だと考え、一刻も早い解体を求める! 自分は会社の悪口を言う事は即ち日本の悪口と同義でしかない。悪口言う暇があるなら少しは何とか良くしようと頭を捻ろっつーの。所詮はしがみ付くしか能がない癖に!
 と不満をぶち撒けたぜ……大人げないとは思ってるよ。では本題に戻るぞ。取り敢えず文句ばっか垂れるようだけど、こうゆう奴等に限って対局ってのが見えないのだよな。自分達の事しか頭に入らず、しかも負けた責任をトップに押し付けるってのはな。というか負けた責任はお前らみたいに筋を通さずに議席にしがみ付く卑しい精神がいけないのだろうが……そんなの政治屋のする事じゃない。政治に赴く者は一文無しでも挑むのが普通だろうが。それなのにしがみ付きたい為にプラカード掲げていた過去を翻した挙句に踏み絵さえも引っ繰り返すような言動……そうゆう奴は今直ぐ議員バッジを外して全員男塾に入塾しやがれっつーの。江田島平八に腐った性根を鍛え直されるがいい!
 因みにバタトルジさんこと前何とかバートルは白アリと称したマルクス党の議席を削ぎ落した貢献者として褒めよう。貴方とセル百合子の漫才のお蔭でブーメラン党勢を阿呆な奴等と危ない奴等に線引きしてくれた上に邪魔な頭がパーン党の議席数を少し減らす事に貢献してくれた。しかも党員は感謝すべきだぞ……ネオブーメラン党のままではもっと減らしていたであろう議席をバタトルジ前何とかさんのお蔭で全体的に少し微増したじゃないか。何処が負けただ? 結果的に勝ったじゃないか!
 という訳で時事ネタの解説を終える。

 第八十八話の解説としゃれこもうか。今回で三位(読みはさんみ)の章は終了。三位の意味は敢えて言うなら真正神武と古式神武、其れと新天神武が一つに戻ったという意味での三位。しかも日本でも採用される宮家が初めて出来た訳だ。これで天同の血筋はほぼ安泰だ。あ、因みに天皇家だけじゃないぞ。徳川家も秀忠から続く直系が家継の時に絶えた際に尾張徳川と紀伊徳川、後は水戸徳川の中から新たな直系を引き継がせた訳だしな。それで紀伊の吉宗が八代将軍と成って家茂で絶えるまで続いた訳だよ。まあ紀伊徳川の時代は江戸時代の中では混乱の続く時代と言えばそうであったな。
 話を戻すと躯伝は真古天神武建国の際に新たに王政を取り入れたが、いきなり大王なんて物が出て来たけどこれも既に躯伝が建国前に取り付けてあったのだよな……まあ、王と違って何の権限もない。任命権とか言う国事行為は全て王がやるからな。大王がやるのは引退後の健やかな暮らしだけ。まあ臨時があるって……それ摂政でもやれる事だし。だからこそ役職ってのは大変だよな。新選組だと副長よりも総長も方が位が高いのに肝心の総長はあんまり仕事がない。参謀役は既にあるから何の為に置かれてあるかがわからない程に総長の仕事がない為に山南はグレて……其れから切腹の憂き目にあった訳だ。そんな感じだよ、大王というのは。名称からして位が高いけどやる事ないから実質お飾りでしかない。まあだからって退位予定の陛下が上皇に成るからって陛下にやる事がないかって言われたら別だけど。まあそれと一緒にするのは皇室に対して失礼だからな。
 まあ大王に実質的な役目を与え始める話もあるけどな。其れは『ブラムヘイム巻の六』の執筆が終えて直ぐに始まる隠居の章(はい、ここ覚えておこう!)で少しだけ語る。別に長い話じゃないぞ。危機の章程度の長さなので楽な姿勢で臨めるようにする。
 では少し消化不良気味に第八十八話の解説を終える。

 それじゃあ予定表としゃれこもうか

     十月三十日~十一月四日    第八十九話 気球に乗って五日            作成日間
      十一月六日~十一日     第九十話  一週間地底旅行             作成日間
        十三日~十八日     第九十一話 必死の逃亡者達             作成日間
        二十日~二十五日    第九十二話 海底成人体型一万二千          作成日間

 第九十二話のタイトルはあくまでマイルや里の測りがどれくらいなのかわからん状態で単純計算で示した長さ。要はメートルで測るから一とコンマ五倍するとこれくらいはあるだろう……そんな感じだ。
 さて、金曜日までにお金様が完成するかなあ? なかなか大変な作業に成りそうだ。十一月中なのは確かでも実際にやると結構な時間を喰うからな!
 そうゆう訳で今回はここまで。スパロボの新作はまだかあ。自分は飢えて仕方ないんじゃあ!

試作品 進行順調法 何処に需要があるのかわからない試作品(0/5)

 如何も理想を思っても実際とは乖離している事を数度思い知りながら嘆くdarkvernuであります。
 それでもやるべき事はやらないといけないと自分は思うな。ま、世の中お金の時代に於いて何処まで貯金を切り崩せるかはわからないけどね。そんな訳で引き延ばし漫画家は読むべき(押し付けがましいにも程があるぜ!)試作品を如何ぞ!

 漫画家の名前は大隈恵介。彼は週刊少年横綱で大人気連載中のファイターハガネの原作者。これまでファイター刃金は予想の斜めを行く展開を示した初めてのリアル格闘漫画。其れまでは格闘漫画と言えどもリアルさからは少々掛け離れた作品が多い。タイガーボールもそうであるようにプロレス漫画を自称するマッスルマンも暗殺拳を自称する晶の拳も同じ。まあこれらはバトル漫画に陥りやすいムーンサルトの特徴であると言える。その話は本題ではない。
 さて、大隈が進行順調法を知らない節ではない。けれども、昨今の展開に不満を抱く読者が多い。しかも大隈は進行審査会からの指摘を避ける為にファイター刃金を何度も題名を変えて乗り切って来た。最初はファイター刃金、次にハガネ、三番目が初鹿刃金、最近では刃金山。これらは全て進行審査会対策として用いられた事である。
 それじゃあ大隈と担当編集の徳川の会話を御紹介しよう。
「先生、又インタビュアー方式をやるのですか?」
「そうだ。また審査会の連中が勧告して来た。何時まで十兵衛編をやるのだって」
「だからってインタビュアー方式は賭けじゃないですか?」
「其れが好評なのだ。それとアメリカ大統領が変わる度に希次郎に威厳を示す回も奴等を黙らすのに十分だからな」
「流石は先生、天才ですね」
「まあな。本当は色々やりたいけど、お前らの経営が危うい事を受けて仕方なくハガネの連載を再開したのだぞ。それを忘れるなよ」
 成程、彼らは考えたな。展開で文句言われない為の手段として用いられるのがインタビュアー方式に依る第三者の発言。これを挿し込む事は展開引き延ばし等ではなく、新たな展開へと進む事を意味する事だと。それは事実であり、過去に麻雀漫画なのに時獄篇を展開したある作品が存在する。実在の大統領を捩ったキャラの出演に依る露骨な展開妨害等も審査を誤魔化すうえでは重要なの……かも知れない。
 だが、これらの展開が果たして何時までも通じるか。これに掛かる。実は既に進行審査会は検察当局に連絡を入れた後だった。それは先程の会話中に突如として舞い込む。
「何、徳川よ……応答してくれないか?」
「はいはーい、わかりましたよ」
「さて、今後は如何--」
「先生、大変です。黒スーツが十人以上でやって来ましたよ!」
「何!」
 インターホン越しだったので未だ立ち入る気配はない。だが、流石に刑事事件を起こす訳にはゆかないのが社会人としての常識。漫画家大隈は中へ入れる。
「大隈恵介さんですね?」
「はい、何でしょう?」
「恍けないで下さい。最近の刃金山の展開……酷い物ですね」「
「な、何が言いたいのですか?」
捜査令状が下りました……至急強制捜査に入らせていただきます!」
「チョ、ちょっと待ってくれ。俺の許可なしに勝手に……って負い、洗濯物まで調べるんじゃねえぞ!」
「あわわわ、とうとうここまで来ましたか。ど、如何か火島先生みたいに打ち切られる事がないようお願い致しますぅ!」
 過去に週刊少年横綱はある大御所作家の無期限執筆停止処分を受けていた。担当の徳川は大隈の自宅内を粗捜しする検察を見てその不安を募らせる。そんな徳川に寄り添う大隈。まるで自信ありげにずれ落ちそうな眼鏡を右人差し指で元の位置に戻しながらこう慰める。
「大丈夫だ、徳川。俺は打ち切られる心配はない」
「せ、先生」
 まるで摘発される心配がないような発言をする大隈。全て万事解決するかのような雰囲気を醸し出す。一体何処にその自信があるのか? 徳川だけでなく、捜査の指揮を務める丸佐も何やら疑問を浮かべる。
「おや、如何したのですか?」
「その自信がおありなのは何故ですか、大隈さん?」
「さあ、何の話ですか? 兎に角、どんどん調べ回って下さい」
「ああ、そうするぞ」
 捜査は表向きから玩具の中身まで容赦しない検察官達。さて、検察は何を探すのか? それは引き延ばしの決定的な証拠と成る物である。脱税には脱税の証拠と成る貴金属であるように引き延ばしには引き延ばしの証拠と成る決定的な証拠が重要と成る。そんな阿呆な事があるか……と思う読者が居れば説明しよう。
 勝手に物語を進めるプロは居ない。常に展開について担当編集と相談する物である。しかも忘れないようにメモ書きしてしっかり打ち合わせをする。これがプロとしての矜持。それを目も無しで進めるなんてあまりにも人間の脳に過度な期待を寄せる危険な進行である。どれだけ記憶力の良い作者も連載を長く続けると必ずほころびが生じる物。その為の長期連載を続ける為のプロットである。なのでメモ用紙がないという事は必ずしも有り得ない。
 故に検察は引き延ばしの証拠と成るメモ用紙等の捜索に当たる。引き延ばしをしたい作者と編集部はその隠蔽に勤める。果たしてメモは見付かるのか?
 それから深夜……大隈は丸佐に声を掛ける。
「如何でした、何か新しい発見でもありましたか?」
「駄目みたいだ。如何やら貴方が引き延ばしたという証拠は見つかりません」
「それはそうでしょ。何しろ、僕の作品は読者に予想外を提供するのですよ。なのに如何して打ち合わせの紙を用意するのですか?」
「其れで良くやっていけますね!」
「それがプロの漫画家ですので……其れじゃあまだまだネームが仕上がっておりませんので本日はこの辺で!」
「わかりました。その完成したネームとやらをぜひとも拝みたく存じます……ではお疲れ様!」
「ええ、お疲れ様!」
 この勝負、大隈に軍配が上がったか……


 さて、前半戦はここまでにして後半へ続く。

 大隈恵介引き延ばし事件の捜査に当たるのは丸佐茂……ベテラン検察官。これまでにマルサに解決出来ない引き延ばし事件はないと言われる程の敏腕検察官。僅か二十八歳で当時、沖田栄次郎引き延ばし事件を担当。天才的な感性と漫画への深い愛から引き延ばしは有り得ないと言われた沖田。其れに対して彼は新米でありながらも引き延ばしの証拠へと繋がる僅かな言動の変化を逃がさなかった。必死に当時担当の検察官に進言する事で重い腰を上げさせ、それから摘発に成功した。これにより、長年世界中に一億は下らないと言われるファンを持つワンナウトピースを進行順調法違反の罪で執筆停止に追い込み、ここに打ち切りを宣告させるに至った。
 これに依って丸佐は出世して現在三十六歳……今回の指揮に当たる。だが、邸中を捜索しても引き延ばしに繋がる証拠は見付からない。果たして丸佐は大隈事実を突き付けられるのか?
「駄目ですよ、大隈先生は限りなくシロに近いよ!」
「いや、何度も漫画を読んだ。車内に溢れんばかりの単行本と今週号を含めた今回に至るまでの週刊少年横綱だぞ。それに助手席に束と成る審査会の報告書。これらを合わせても奴は必ずクロだ!」
「そんだけ集まれば立派な信者じゃありませんか!」
「馬鹿野郎が、白岩!」
「イデ、暴力反対!」
「ファンであると認めたら俺達は仕事をやってられないんだよ。俺達は泣く子も黙る検察官だぞ。だったら検察は検察らしくアンチを自称しなければいけない。第一最近の展開は何だ。何時まで佐々木小次郎と戦う? 豪さんが殺された上に守護るとか言っていた鞘部が勝ったのに練習試合扱いされて佐々木小次郎編は続投。これを引き延ばしと言わずして何が引き延ばしだ。読者を舐めるのもいい加減にしろ、大隈恵介!」
「辛い仕事ですね、創作系検察官というのも」
 説明が遅れて申し訳がない。実は丸佐達検察官はいわば引き延ばしを行う創作家を摘発する為の創作系検察官。創作系検察官は常に四大週刊誌は勿論の事、時には大人雑誌の朝御飯やライトニングボルトでお馴染みのデカイコミック魂も愛読しなくてはいけない。しかも中にはコンビニに置かれていない雑誌も存在する為に度々入手で苦労する模様。そこで出版社と繋がる者に無理矢理調達させて各漫画家等を監視する役目を担う。
「とはいえ、大隈の奴は一体どうやって打ち合わせるのだ? あいつは絶対に引き延ばしの証拠を握っている。だが、幾ら自宅を探しても見つからない!」
「きっと飽きた書店東京本社内に移しているのですよ--」
「一昨日調べただろう。だが、そこにはなかった。それに幾らあの自衛官上がりの男が強面でも大御所の火島にも劣るランクだぞ。そこまで隠し通せるスペースはない」
「だとしたら何処に隠したというのですか……ああ、今日の展開は一太刀浴びせて終わり。たったこれだけの為に大ゴマ使う理由が見付からないですよ!」
「全くだ。展開の思い付かない作者は必ず頁を埋める為に大ゴマを……そうか!」
「ど、如何したのですか!」
「確かあいつの自宅に何故か全く関係のない場面を描いたネームが置いてあったなあ!」
「そ、それが如何したのですか!」
「戻るぞ、白岩。帰り際で引っ掛かっていた事があった……そうか、あいつはそうゆう手法で引き延ばしを示唆するメモを書いてあったのだな!」

 そして午前六時零分……大隈は突然、自宅の裏門より出て来た。待ち伏せするように丸佐と白岩が目の前に居た。
「な、何なのです?」
「はい、これ」
 丸佐が取り出したのはXXXX年四十三号の週刊少年横綱。これに対して大隈は次のように質問する。
「これが何か意味あります?」
「素晴らしい方法ですね、大隈さん。貴方……やっぱり引き延ばしてらっしゃる!」
「はあ、何の事ですか?」
「これの、事ですよ!」
 丸佐はその号の刃金山を開く。これに対して大隈は白を切る。
「ははあ、アンチも突き詰めれば信者と様変わりするのですね」
「いやいやいや、私はファンでした。ですが、引き延ばしの事実を掴んでしまったら……この作品のアンチに転向しました。いえ、転向せざる負えません!」
「何が言いたいのです? 其れは確か佐々木小次郎が追っ手に対してエア斬撃を仕掛けた後に追っ手がインタビューに応じるシーンですよ!」
「そのシーンですよ。これは次のようなシーンなのです」
 それを紹介しよう。
 --いやあ、たまげました。まさか斬られるとは思ってもみませんでしたよ。あの時は私、首が無くなっていましたよ。このように血が伸び切るようにドアァーっと!?
 え、何がです? そう、ドアァーっと!? そんな訳でちびってしまいましたね……あ、これは内緒だよ。--
 さて、何処が引き延ばしを指示する回答なのか? それは後程。
「そ、それが如何したのですか? 普通のインタビューシーンじゃありませんか」
「確かに一ファンからすればテンプレート通りのインタビューシーンですね。ですが、このインタビュー……明らかにおかしいのです!」
「な、何がおかしいというのですか!」
「白岩、ちゃんと持ってきたよな?」
「はい」
 白岩は当時の雑誌三つとその話を収録した単行本を二冊用意。
 --立ち上がる事すら大いに遠い……最早内臓がどろろと伸び切り、か。
 大きな収穫だ……次に活かせる……--
 --握りの要とはいえ、小指と親指でギッシルとッッ
 鞘部の剛力と張り合っている!?--
 --貴様のその無礼、あれよあれよと極まっとるッ--
 これが当時の週刊誌に掲載された台詞。
 次に紹介するのが単行本収録時の同じシーン。
 --立ち上がる事すら大いに遠い……最早これまで、か。
 大きな収穫だ……次に活かせる……--
 --握りの要とはいえ、小指と親指でッッ
 鞘部の剛力と張り合っている!?--
 --貴様の先程からの無礼、誠に極まっとるッ--
 読者の皆さんはもうおわかりだろう。
「こ、これが如何したのです?」
「嫌、十分に証拠と成るのですよ……大隈さん!」
「ど、何処が証拠に成るというのですか!」
「雑誌では必ずあるというギッシルあれよあれよやそしてどろろ……ところが単行本ではそれがない!」
「別に単行本化の為に台詞を書き換える事なんて誰だってやっている事でしょう!」
「いや、これが証拠に成るのですよ。それら不自然な擬音は即ち、次の言葉と合わせて使えば……引き延ばしの指示語として活用される!」
「な、出鱈目も良い所だろう!」
「本当に出鱈目かな? ねえ、担当の徳川さん?」
 徳川は二人の検察官から這い出るように大隈の前に姿を現す。
「と、徳川君?」
「も、もう止めましょう。この人には既に見破られていますよ!」
「だ、黙れ。だ、第一にその先月号の何処に引き延ばしを示唆する台詞と成っている!」
「それはドアァーっとだ」
「で、でも後ろには何もないし二回目何て何の意味もないじゃないか!」
「いや、あるのだよ。これは敢えて前の言葉に修飾する形で使われた指示語……そうですね、徳川さん?」
「はい、これを見て私共は先生の引き延ばしの要求に応じました!」
「な、何だと!」
 大隈は膝を崩した。と同時に次々と検察当局と思われる車が集まり始める。
「あんたは良くやった。一ファンとして随分夢を見させて貰った。だが、大きなミスを犯した!」
「ク、昨日ネームの事を口にしなければ--」
「違う、ファンに謝れ!
 あんたは心を裏切っただけでなく、多くのキャラクターを台無しにした。引き延ばしならまだしもその腐った根性が引き延ばしの誘惑に踊らされた。読む側を舐め腐った精神は漫画家に値しない!」
「クソオオオオウ!」
 こうして大隈恵介引き延ばし事件は幕を閉じた。彼は二か月先の号にて刃金山の連載終了を宣言し、長きに渡るハガネシリーズに幕を下ろした……


 という訳で『進行順調法』をお送りしました。尚、大隈先生のモデルは彼の格闘ギャグマンガを連載していらっしゃるあの先生ですよ。それから現時点では四つのシーンの内、三つは単行本で調べれば出て来るよ。まあ、少し脚色を入れた状態で紹介したから全て丸写しではない……多分。

 それじゃあ今回はここまで。次回更新は多分、来週の金曜かよくて木曜かもな!

試作品 進行順調法 何処に需要があるのかわからない試作品(書き始め)

 如何もエルカンターレ党が何か訳わからんRPGツクるしてたので試しに視聴したら何となく理解出来るなあ、と思ったら最後に自分達がやると万事解決するような進行していて途中で視聴を止めたdarkvernuです。
 まあ確かに前半は間違ってないし、国防に於いて足を引っ張る味方……いや、味方の振りをした政党が居るのも事実だし駄目大人党は駄目大人党で後手に回り過ぎて全然満足な国防も出来ていないのも事実だぞ。だが、それでもお前らがやって上手くいくならとっくの昔に日本には売国奴が極少数に成ってるだろうが、馬鹿野郎……って言いたいね。という訳で始めましょうか、引き延ばしばっかりする作家への警告(まあこんなブログを訪れないだろうから無理だろうし、仮に訪れても大人の都合で言い訳しそうだしな)のつもりでこれを始めましょうか!

 突如、大御所漫画家の屋敷に検察当局による強制捜査が入った。
 これを見た周辺住民達は会話を始める。
「ねえねえ、如何して沖田栄次郎さんの一軒家に黒スーツが何人も入ってゆくの?」
「まさか脱税しちゃったの?」
「ああ、あれですね。まさか彼も法に引っ掛かりましたか」
「え、やっぱり脱税?」
「いや、沖田さんはお金で動く漫画家じゃありませんな」
「じゃあ何の罪なの?」
「皆さんは業務停止命令を知ってるかな?」
「さあ、法律関係はわからねえべ」
「まあ法律に詳しくない私でも唯一知るのは要するに国に依る一切の業務を停止する命令ですな」
「へえ、国自らの。それが如何関係するのよ」
「ええ、沖田さんは何でも三回も引き延ばしをしたからね」
「え、引き延ばし?」
「そう、十話で終わる展開を三回も通常十一話以上も引き延ばしたのですよ」
「それが如何して検察の強制捜査に繋がるべえ?」
進行順調法では創作物の円滑な展開を促す為に過去数度も行われて来た企業に依る非良心的な引き延ばし或は一方的な打ち切りによる読者の損失を防止する為に本立法は成立したとある……済まん、法律関係は上手く説明出来ないし、今一付け焼刃な知識で申し訳ない」
「気にしなくて良いわ……あたしゃ達も全然わからんべ」
「つまり……沖田さんはその法律に引っ掛かったからああして黒スーツ軍団の捜査を受けてるべ、か?」
「そうですね。でも安心した方が良い。其れで投獄されるような事は全く御座いません」
「誰も手錠の話をしてないべ」
「まるでこれから手錠掛けられそうな事口にしているみたいだべさ」
「何しろ、上手く行けば検察は沖田さんに対して三年間の漫画等に関する執筆の停止を言い渡すだけかも知れないのですから」
「それは大変だねえ」
「違反したらどうなるんけ?」
「その時こそ逮捕状の請求に繋がりますね」
「それはまあ、大変だね。沖田さんは漫画を描くのが好きで漫画家に成った方ですね」
「でも同人誌を描けば良いでしょ。そしたら好きな漫画を続けられるのではないの?」
「いや、同人誌にも適用されます。行政府の断りも無しにコミケで販売する所を通報されたら敢え無く逮捕されますよ」
「何ですって!」
「罰則が厳しいね。それじゃあ漫画家は上がったりよ!」
「いや、漫画家はまだ大丈夫ですね。漫画の方は問題ありません。問題なのはアニメオリジナルを製作するアニメ会社の方ですね」
「如何して?」
「小説より漫画の方が苦、絵を入れる以上は一人では一話を起こすのも十倍は掛かる」
「はい?」
「それと同じように漫画よりもアニメの方が苦……絵を動かす、絵に音を入れる方が絵にするよりも十倍は掛かる。一話を起こすのに漫画家一人当たりのアシスタントの数程度じゃあ終わりませんね」
「それで?」
「依って作画の負担を減らしたいアニメーターは国の定める基準値を満たした一話を起こさないと業務停止命令を受ける事と成りますね」
「そ、それは幾ら何でも大変じゃないの」
「国は何て法を作ったさあ、あたし達の税金を使って!」
「いや、悪いのは過去の漫画家とアシスタントの方ですね。罪に成らないのを良い事に売れる作品をカルピスのように薄める事を連発してたまたま引き延ばしに怒りを覚えた有権者達の草の根の活動に呼び水を与えて……このような更に過酷な法律を定めるきっかけを与えてしまった。しかもこの法律に今更、抗議をしても遅い。既に五十年という長い年月を経て審査員の眼も贔屓目で見られる事はもう……ない。最早何もかもが手遅れですな」
 それから沖田栄次郎の人気作ワンナウトピースは連載中止の告知が為され、事実上打ち切りは決まった……


 先ずは少し健康体操した。これは試作品シリーズに投稿した物とほぼ内容は同じ。次から大きく変わりますよ。

 進行順調法が出来て早半世紀経つ……この法案の目指すべき所は一つ。過去に多発した引き延ばしに依る読者の失望の喪失。ある時は一戦闘に十巻も掛ける漫画家も居れば酷い時には一対局に二十年も連載するという信じられないデータまで存在する。それに依り、漫画不信或はアニメ不信が高まり、更には引き延ばしを助長する編集部の情けない保身と漫画家自身の下らない言い訳は見るに堪えない。金の為なら雑誌の為なら読者を侮辱した態度で臨むその醜悪さには吐気さえ催す。それは総じて王様経営に胡坐を掻く出版社の腐敗を物語る。
 そんな悪夢を打破する為に一人の漫画読者が立ち上がった。彼は漫画の引き延ばしを助長する社会に一計を投じる為に引き延ばし反対運動を展開。それは普段から特定アジアの味方をするマスメディアにも取り上げられ、社会現象と化した。たかが漫画されど漫画。健全な漫画とアニメの為に読者は起ったのである。しかも運動の立役者は只デモをするだけでは飽き足らず、何と各国会議員と地方議員に嘆願書を提出する程の行動力を見せた。これは十年掛けて浸透。やがて国会でも取り上げられ、法案締結に向けた動きへと加速。
 それから運動家が起ち上って二十五年……第一次進行順調法が成立。第一次進行順調法成立から二年後にそれに対応した刑法及び野党議員の指摘を踏まえて第一次進行順調法改正法が成立。これには引き延ばしを行えば初めて罰則が規定された法案。だが、ここで問題と成るのが憲法違反の指摘だ。幾ら引き延ばしと言えどもそれは表現の自由に照らし合わせれば問題と成る。その為、憲法審査会の指摘を受ければ直ぐに廃案に成りやすい。
 そこで新たな憲法改正草案が出される。それは初めて自衛戦争を認めた憲法改正から僅か五年足らずで行われた改正。それと同時に更なる罰則規定を設けた進行順調法案が提出され、全会一致で成立。それは正に漫画家及び連載小説家にとって悪夢も同然の第二次進行順調法の成立。その法案では進行審査会が起ち上げられ、数々のアニメや漫画を審査してそこに引き延ばしがないかを調べ上げる物。しかも憲法改正もあって、憲法違反の指摘を受ける事がない。これに依り、連載小説家及び漫画家の悪夢の大掃除が始まる。
 そして第一次進行順調法から二十五年……進行審査会の怠慢を糺し、引き延ばしに有利な裏道を封じた第三次進行順調法が成立。こちらはアニメ及び映画にも適用され、アニメ業界は悲鳴を上げる事に。
 更に十年後……進行審査会に高性能なロボットを審査員とした人間に依る概念を排除した第四次進行順調法が成立。裏道は完全封鎖される形と成った。
 それから十五年の年月が経った……


 という訳で『進行順調法』の出だしをお届けしました。まあ前にも説明しましたが、これは悪法。成立したら忽ちの内に漫画家やアニメーターは別の分野に流れるのが目に見える。それくらいに恐ろしい法案だからな。どれくらい悍ましいかはこれから紹介してゆくけどな。

 それじゃあ今回はここまで。仮にこれが適用されたらジョジョの荒木だって困るだろうな。何しろスタンドバトルの都合上、かなり展開が遅めだしな。さて、如何成るか!

試作品 老人学校

 如何も団塊という日本復興の足枷でしかない世代にはこれしかないと感じつつある自分darkvernuです。
 早速ですが、高齢者対策としてこんな物を提案してみました。

 学校とは小さな子供から大きな子供まで勉強と絆と社会の成り立ちを経験する為の施設。ポケットマネーから出した私立学校もあれば政府がお金を出して運営する公立学校もある。
 さて、大きなお友達にとっては高校以上或は中学以上から性的な目で見られがちな学校。だが、勘違いしてはいけない。学校はあくまで学ぶ為の場であってセックスする為に用意された場ではない。なので屋上や校舎裏、それから体育倉庫や誰も居ない教室で生臭い物を噴出するのは止めましょう……後はトイレの中や保健室内でも。
 では学校……実は最近では老人ホームの職員のストレスが何時まで経とうとも解消しない或は施設内暴力の蔓延地と化す。勿論、職員の暴力も断罪されるべき物だろう。だが、それ以上に劣化の一途をたどる老人の方にも問題がある。特に学生運動参加者や暴力革命思想に感化されるような人格の持ち主何か居たらどれだけ職員のストレスと成るか、想像出来ますか? 出来ないでしょう。何故なら老人ホームで働いた事がないからなのですよ。無論、語る私も経験はない。その職員達の願いを受けて近年政府は老人ホームへ行く為に通う老人学校を新設しました。勿論、老人全員は学生服を嗜むのですぞ。何、見栄えが悪いって? それは貴方が若いからです。老人間では制服を着るだけで若々しい感触に恵まれるのですぞ。
 そこでは最低六年通うと卒業が約束され、晴れて老人ホームへの入居が可能と成る。だが、時には素行の問題があって留年する最近の老人も居る事を知らなければいけませんね。因みに老人達は皆、自宅通いなんて甘ったれた事をさせません。全員校舎内にある老人寮で協力して暮らして貰いますよ。勿論、職員は寮長只一人ですので風呂洗い等はやりますがそれ以外は自分で仕上げるように。部屋の中で小便や便をしたのなら自己責任という事で。
 そんな老人学校を卒業する為にはやはり各学期に二回……つまり最大五回のテストで各教科が及第点以上を取らないと進級出来ない事も忘れずに。勿論、提出物も大事ですが基本は試験で良い成績を取る事が何よりも重要ですよ。でないと念願の老人ホームに入居なんて夢のまた夢ですので。
 それじゃあ少しだけ本編を紹介しよう。ここは大阪府H市にある老人学校。廃校になった小学校を改築し、更には近辺に老人寮を建てて城塞都市のように仕上げた府が運営する公立学校。其処へ何も知らない性欲だけは溌溂な高校生三人が侵入を果たす。
「ゲヘヘヘヘ、自分の高校では問題に成るけど……他所なら女の子襲っても構わないよなあ」
「兄貴わかってるじゃないか」
「気を付けろよ、警備の奴に見付かったら俺達の退学は免れねえ!」
 奴らは金髪で眉毛も薄く、しかもピアスまで付ける典型的な雑魚不良。少し強い人間に出くわせば直ぐに土下座するようなチンピラの三人は何も知らずに頑張って侵入に成功。それから警備の目を掻い潜って校舎内へと侵入した……そこで三人は何かおかしい事を感じ始める。
「トイレの中から生徒の様子を確認したけど」
「教師は普通なのに……何でここにはジジイとババアしか居ねえんだ?」
「特にババアなんて良い歳してセーラー服とスカート着込むなんて脳髄が焼けてしまう!」
「ひょっとしてここは俺達の学校以上に馬鹿しか居ない学校じゃねえか?」
「それなら俺達みたいなのは一人や二人居ても良い筈だろうが!」
「うわ、臍出しルックでしかもスカートの丈が長いババアまで居るぞ!」
「ウゲエ、想像するだけで吐きたく成る。今時スケバンなんてするババアは頭おかしいんじゃないか!」
「ま、まあ兎に角だ。ここはたまたまジジイとババアが居ただけだ。他の場所も見て行こう」
「ああ、きっとおっぱいプルルンな可愛い子が居る筈だよ!」
 三人は女子更衣室にオアシスを求めて空き教室から空き教室へと隠れつつ侵入を果たす……あ、言い忘れましたが一応監視カメラも設置されていますね。まあ、三人は気付かない。でも気付かなくても大丈夫ですね。
 さあ、念願の女子更衣室に侵入を果たした三人。彼らの求める物はやはり芳醇な香り沸き立つ下着の数々なのは説明するまでもありません。ですが、ロッカーを物色する内に彼らの甘い期待は徐々に冷えた不安へと様変わるのに時間は掛かりません。
「オイオイ、これって女子高生が着用する下着か?」
「どれも俺らのお袋世代が着用しそうな物ばかりだぞ!」
「おむつなんて高校生どころか大学生だって履かねえぞ!」
「嫌な予感がするなあ、これ?」
「いや、たまたまだ。この学校の女子高生はババ臭い趣味が流行るだけだ」
「あ、誰か来るぞ……隠れるぞ!」
 天井裏に隠れた三人。そこで彼らの不安は現実の物と成った!
「うえええええ、最後まで期待しても全員ババアだ!」
「誰が好んでババアの着衣する場面を覗くのだよ……それなら人妻や若い女教師の着替えする所覗く方が!」
「止めろよ、空しく成るだけだぞ!」
 更に三人の心を抉る事が起こる。会話話である。
「ねえねえ、最近は双葉の奴ムカツクよねえ」
「ああ、少し喋っただけで直ぐ怒鳴ったりするんだよ」
「ああ、後はねえ……英語教諭の山原もよお」
「あの腹の煮えくり返りそうな反応は気分悪くさせるわよ。何なのよ、あいつって!」
「それに校長の二見もよお。ちょっとスマートホン弄っていたらすぐ取り上げて来るんですからあ!」
「やだあ、麻衣ちゃんの可愛さの余りついつい彼氏が誰なのかを確認してたのよお!」
 女子高生の会話ならまだわかる。それを良い歳した老人が同質の会話をする物だから三人は堪忍の余り、気を失った。それから失う中で彼らは天井裏より転げ落ちた!
「何……キャアアアアアア!」
 三人の雑魚不良は敢え無くお縄と成り、母校から退学処分を受けた事は説明するまでもない。彼らは一つのミスをしていた。それは彼らが侵入した学校が老人ホームへの入居を目指す老人の為の学校である事を!


 という訳で『老人学校(仮)』をお届けしました。取り敢えずこれを発案した背景としてはやはり朝生に出て来る老害司会者を始めとした若者の足を引っ張る不良老人を如何するか、という問題。老人ホームに放り込む……否、それでは職員の負担も大きい上に虐待だって起こる。では如何するべきか……そこで発案したのが老人の為の学校を建てて再び学んで貰うのだよ。しかも留年ありで退学は一切ない清く正しい老人を育てる為の現代の姥捨て山をね。え、姥捨て山は表現が誤りだって? いやいや、姥捨て山ってのはやはり良い悪い含めて若者の足を引っ張る老人の排除に適した立派なシステムだと自分は残酷な言い回しながら肯定するぞ。確かに血も涙もないが、はっきり言って若者ばかり糾弾するのは浅はかと言える。寧ろ最近なんて若者どころか老人だって酷い物でしょう。七十以上にも成って車の運転をして事故起こすようなのが溢れていたら一体何の為の高齢化社会なのか若い人達は現実が嫌に成る物でしょう。そこで自分はこんな話を書き殴ったまでさ。朝生の司会者や都知事選に出馬した鳥頭を含めた老人、後はまあ宇宙人鳩を隔離する上でも老人学校は必要かもな。あの野郎は総理の座から退いても日本に迷惑ばかり掛けるからな。老人ホームに入れたって何の解決にも成りはしないぞ。という訳で高齢者対策として政府の皆さんも是非老人学校設立を希望して貰いたい……あ、何処から捻出するかって? そりゃあ勿論、御自由に!

 という訳で今回はここまで。認知症患った老人は卒業難しそうだな。まあ、そこら辺の問題はミクロな話だからな。本格的に執筆を決意した時にあれこれ案も出してみようかな……まあ、実現するかは別だけど。

試作品 お金様 再び書くだけ書く試作品(10/5)

 如何も次、次とか言ってくるボケ老人は相変わらずな傍若無人ぶりを思い出してみるdarkvernuです。
 というかあのジジイや序に鳥頭はさっさとスクリーンや紙面から姿を消すか或は老人島か何かに隔離して残りの余生を誰の目にも触れない所でやってくれってつくづく自分は思うのだよな。
 そんな不満を漏らしながら始めてゆこう、お金様。

 俺達の前に現れたのは『ビットマスタークラウン』の面々。代表を務める巨漢の√と俺の元上司であったG、それと知らない顔が幾つか……あれ、一人見た事あるぞ!
「一番後ろに居る髭面のおっさんはどっかで見たような?」
「誰が髭面だ!」
「ええ、C´さんの知り合いですか?」
「いや、知り合いじゃなくて……あ、一番右端の小太りのおっさんは知ってる顔だぞ。だが、何処で見た?」
「あ、Nさんではないですか!」
「Lさん……如何して貴方がそこに居るのですか?」
「お喋り……をしに来た訳じゃないのね」
「あの中央で屈んでいる人って前に会った事あるよ!」
「今日は幹部総出で挨拶ですか、√?」
「相変わらず飄々としてますなあ、SS会長」
「元会長ですよ」
「オイ、A。内のボスが大きな器でお前みたいなカス共にここまでやって来たのだ。有難く思えよ!」
「うわあ、口振りからして嫌な野郎だな!」
「相手にするな、C´。Gのおっさんは初めて会った時からずっとはらわた煮えくりかえるような良い性格をしているからな。説明しなくてもそれで十分だ」
「それにしてもlog君。余りにも駄作を作り過ぎて失業したのですか?」
「駄作駄作言うな。確かにあいつは嫌な奴だけど、其処だけは温情だぞ!」
「駄作……あ、思い出した!」
「ええ、C´さんも気付きましたね。まさか現代のエド・ウッドと称されるあのlog監督ですね!」
「え、エド・ウッド?」
「そうゆう話はもう止めましょう。其れよりも貴方方は挨拶だけ死に無断で来た訳……じゃないよね?」
 挨拶だけ来るのだったら顔を見るのも嫌なGを始めとした連中を連れてくる意味がない。この出る作品を間違えたような体型のおっさんが来る理由は一つだけ。それは俺の思った通りなら良いけど。
「それはね、商売の話をしに来たのだよ……スーパーデーの社長」
「商売だと--」
「お前は黙れ、A!」
 今度は肉達磨の腰巾着か、G--昔はQ総括課長の腰巾着だった癖に!
 其れよりも話だな。√達ビットマスタークラウンの狙いは言わば脅迫。従えば見逃して貰い、逆らえば全力で叩き潰すという意味だろう。出なきゃわざわざアポイントメントを無視するなんて至極失礼な行為に及ばない。意味する所なんて何時だってそうだ。こうゆう連中が俺達に有利な条件を付ける訳がない。コンビニ業界で言うならファイヤーマートに買収された午前午後とサークルザンバー状態だろう。最初は自社製品を送り付けてこちらのオリジナル商品政策を止めると今度は徐々に自分流に染め上げてやがては「俺に成るか」其れとも「このまま畳むか」の二者択一に追い込んで最後は空中分解へと至る。これは国際情勢にも適用され、今の日本がある。奴等がやるのはマネーバスターズの買収。しかも最初は「戦わずして勝ち取る」方と「逆らった者に容赦しない」という二択を迫る。正しくM&Aに見られる状況だな。
「残念だけど、答えは……総力を挙げて御宅を潰すわ!」
「何だと、あんたはマネーバスターズの代表でしょうが。我々ビットマスタークラウンに逆らって無事で済むと思わないで欲しいね!」
「無事で、思わないで……そうか、お前は広告代理店のYで見た面だな!」
「代表が話している時に口を挟むとは無礼な!」
「ああ、お前だって--」
「コラ、喧嘩を買わないの」
 如何やらあの小太りはC自殺の関係企業に勤めていたのだな。それでC´は顔見知りであったのか。其れよりも話の続きだな。
「オホン、兎に角……よ。あの国みたいな二国一制度で自由を認めているふりをしないでくれる? やる事はファイアーマートが昔存在した午前午後と現在も内側から食い荒らされるサークルザンバーと同じやり方ね。けれども、私はハンニバルが起ち上がる前に徹底抗戦を宣言するわ!」
「徹底抗戦って……つまり我々に反旗を翻す事ですね。如何成るか知りませんよ」
「……」
「ハンニバルか。奴が余計な事をしなければカルタゴの大地に塩を蒔かれる事も一族皆奴隷と成る事もなかった」
「何という歴史認識なの。さもハンニバルのせいにしてローマ側を正当化するなんてね!」
「事実を言ったまでだ。それにハンニバルを愚か者といった狙いは何なのかDさんは御存知かな?」
「……代わりにAが言って!」
「え、俺!」
「オイ、お前がふにゃふにゃだからあのお嬢さんが呆れてるのだろうが!」
「あんたも少しは黙ってくれ。えっとそうだな」俺は感じるように答える。「俺に逆らうと路頭に迷うだけじゃすまない……じゃないの?」
「わかっているじゃないか。それが俺達ビットマスタークラウンの日本銀行無効化計画の一部よ」
 そうして最初は弱小企業からクラウンコインで染め上げてゆくのか。それにしても日本銀行が黙っていないぞ。其れと戦う為の資金力は何処から捻出するのだ? もしや全世界の一パーセントの富を持つという……いや、オカルト過ぎるな。何にしてもこいつらを無視する訳にはゆかないな。奴等の計画が成功したら益々日本人がお金様の奴隷と成る。俺達は阻止する義務がある!
「確かに野望としては実に男らしいな、おっさん」
「余計な一言は敢えて無視しよう。如何だ、A? 其れでも答えは変わらないか?」
「当り前だ。あんたやG、其れにそこの小太りみたいな人間の屑が自分達だけのお金で支配者気取りするなんてあっては成らない!」
「私をデブと言ったね。私はこう見えて--」
「静かにしろ、O。易い挑発に乗る謎実に器の小さい男だ。軽く流すのが大人の務めだろう!」
「な、何が大人ですか。さっきから黙って聞いていたら悪の帝王みたいな野望を口にして。やっぱりムキムキのおじさん達は悪い大人ですね!」
「ああ……ツルペタの分際で俺達を評価すんなよ、ボケエ!」
「少し可愛いからって許されると思わないで欲しいですね!」
「オイオイ、お前ら落ち着けって!」
「そうですよ。でないとlog君の最新映画『ばーりのトド』をお見舞いしてしまいますよ!」
「其れは確かに死にそうだ」
「流石にlog監督の映画は少し、ねえ」
「俺の映画は呪いのビデオじゃないぞ!」
 まあ色々ツッコミたいが……タイトルの時点でゴミ映画の臭いがするのだから凄いよな。
「はあ、そんな事よりも話の続きだけど……貴方達が私達を潰そうと決め込むようだけど、其れは私達だけじゃないのよね?」
「気付いたか」
「ええ、既に連絡を入れてくれたわ」
「まさかと思うが、我々が来る事を想定して天下三分の計を取ろうというつもりかな?」
「言っておくが魏に成るのは私達よ。貴方達はせいぜい蜀の国に成りなさい!」
「フン、手を組むのは蜀と呉だ。魏は誰とも組まない」
「言っておくが俺達はお前らを潰す。ビットコインが基本通貨の時代なんてそれこそユーロの現状を見れば丸わかりだ。ユーロの惨劇を日本に持ち込むのは何としても阻止するぞ!」
「そうだそうだ!」
「あんた達なんかコテンパンのケチョンケチョンですよ!」
「自らの手で未来を築いていきます。例えそれが無謀だとわかった戦いでも!」
「私とてホームレスを楽しもうと思っていた矢先ですよ。これくらいの逆境に屈する程若くはないのですよ」
「そうゆう訳なので……じゃあ御退場を!」
 既に係員が案内という退場を促すようだな。その為、最後に面々は一言だけ吐く。
「覚えていろよ、A。お前は選択を誤ったぞ!」
「折角の温情を台無しにした事を後悔しなさい!」
「綺麗事だけでは……何も救えない!」
「まあ、精々頑張れよ」
「さて、俺達は更なる増員をしてまた会おうか!」
 特に√の不気味な発言には寒気を感じたな。これから俺達は無事で済むのか?


 という訳でブログの方はここまで。中篇を読みたい方は十一月発売予定(するかは知らないが)市丸代の『お金様 中篇』にて。そこで誤字脱字や「これそんな呼び方してないだろ」って所を書き直して発売するぞ。乞う期待しないで待て!

 そうゆう訳で今回はここまで。明日は試作品を少し出してから十二月に発売予定のあれを連載するぞ……まあ予告編みたいな形式でな。

試作品 お金様 再び書くだけ書く試作品(9/5)

 如何も漸く時事ネタが解禁出来て嬉しさの余り、議員やりたいだけの馬鹿共に思わず毒を吐いてしまったdarkvernuです。
 さあ、お金様の中篇をキリの良い所までやるとしますか……出来るかな、この尻切れ蜻蛉な物語を切りの良い所まで進めるのって?

 それからゲー社だけでなく、エルゥ社、ぺー社、アルゥ社……と徐々に実績を積み上げてゆく俺達マネーバスターズ。ライバルであるチームタスクフォースだって実績を積み上げてゆく事くらいは肌で感じ取る事は出来る。奴等だって生き残るのに必死さ。俺達も普通とは程遠いと言えども一企業だ。生き残りをかけた戦略はまるでつい最近の野党ごたごたを引き起こす結果と成った衆院選における戦略の取り方さながら……悪名高い小選挙区制度や比例代表制度を例にとりながら説明すると次の通り。
 先ず死票が多い小選挙区制度を基にした戦略では最初に地図を広げる。次に各地域の意識調査を行う。まあ地図には東西南北計十二ヶ所あると設定。先ず俺達マネーバスターズは北と東に強く、計五カ所で支持を集める。一方のマネーバスターズは南と西に強くこちらは計六ヶ所支持を集める。ここで気付くのが後一カ所どっちつかずな地域がある事。これに対して俺達と奴らは如何するのか? 相手のパイを奪い取るのか、それとも空き地域を先に取るのか……答えは後者。相手のパイを取るのは戦術上の問題。ここで説明するのは戦略の話。何としても空き地域を奪わないと確実に負ける。なので空き地域に狙いを集中するのが選挙戦略上正しい。其れさえとれば支持地域の数で互角と成る。勝つ事は固くとも負ける可能性が高まる危険性を避けられる。それが出来てから俺達マネーバスターズは相手のパイを奪いに掛かる或は自分のパイを守りに入るかのどちらかである。これが小選挙区制を基にした企業戦略。
 次に取り上げるのが比例代表制と呼ばれる落選した上位議員を救済するゾンビ量産制度。これは少し詳しくないので知ったかぶりな知識を披露する事御容赦を。では説明するぞ。ここでは先ずただもの株式会社から五人マネーバスターズの生徒が欲しいとする。ところが五人の内、二人は会社としても即戦力且必要な人材。抜けたら困るので何と引き抜き下位に持って来る。ところが俺達は何としても五人欲しい。だが、企業としてはその日何が起こるかわかった物じゃない。ひょっとしたらスーパーの安売りセールのせいで引き抜くのを止められるかも知れない。そこでマネーバスターズがやるのは会社への協力。足りない人材はこちらから派遣して何とか五人を確保する方向に持って来る。うーん、比例制度を例えるのは難しいな……懲りずに続けよう。そして運命の日がやって来た。幸い、企業にとって懸念される特売セールで出荷される量は思ったよりも少なくて済んだので上位四人はマネーバスターズに引き抜かれ、もう一人欲しいのは残念ながら無理に成る。ところが事前に約束した派遣のお蔭で上位三名の内の一名は無償で獲得し、残った一名も無事に引き抜く事に成功した訳だ。うーん、説明をわかり易くするのって難しいな。学校の先生が難儀するのも良くわかる。
 といった感じでマネーバスターズとチームタスクフォースはつい最近やった衆院選の各政党と同じような戦略でやってゆく訳だ。戦術? 戦術ってのはチョコレートにはチョコレート作って販売する会社や一繋ぎならそれを連載している週刊誌と販売する会社が良く知っている。つまり蛇の道を説明するのは蛇だけだ。とまあ俺達が戦法を間違わなければ押し込まれる事はない。内にはないが……ここで問題が発生した訳だ。
 その問題とはつい最近やった選挙の後に……午前九時に召集掛けられた時だったな。第三回も終わってまだまだ課題が残る中で例の連中が急激な勢いで勢力を伸ばしている事が判明した。その勢力の名が『ビットマスタークラウン』。俺達は何時も通りスーパーデーの地下にあるアーカム基地に集合。それをDに帰化された時は驚きを隠せなかったな。
「全国でビットマスタークラウンの支持者が急増して今やパソコン或はスマホ弄って買い物する始末だって!」
「ええ、そうなのよ。その『クラウンビットコイン』の値が急上昇しているのよ。それを有りたがるユーザーが売りオペ担当のスタッフを通じて大儲けしている訳ね」
「オイオイ、十二年以上前のイザナミ景気の時代じゃあるまいし。そんな美味い話があるかよ!」
「成程ね。相当あくどい商売をしてますねえ。良く特捜が動きませんねえ?」
「え、それ何なの……お爺さん?」
「御免、僕も詳しくはわからないのだよ」
「東京地検特捜部の話は無関係よ。今は√率いる『ビットマスタークラウン』が日本銀行券の排除に乗り出したわ。これでは十二年以上前のホリベモン或はショージファンド事件がまた起こるわ。彼らのお金こそ全てとする歪んだ思想を一層広めるきっかけに成ってしまうわ!」
「ああ、そうだろうな。こんな通貨レートを利用したあくどい商売を広めるなんて結局はお金様の奴隷に成って下さいって言ってるような物じゃないか!」
「誰かは知らないが、今直ぐぶちのめしてやる--」
「いいえ、暴力はいけませんね。やったらマネーバスターズは即解散ですよ」
「クウ、体罰も出来ないこんな世の中じゃあ!」
「今、その人は刑事ドラマの新相棒をやってるわよ!」
「あのドラマですか……正直問題起こした彼のやってた役が最後にあんな事をしなければ--」
「特命係の話は休憩時間にやってよ、全く!」
 相当荒れているな、Dは。まあ、あいつらに依って折角事業拡大に乗り出せると思ったのに……そんな風に考えているのだろうな。
「オホン……そう成るとそろそろ言うべきかしら、A?」
「え、俺? 何を?」
「まさかお前らで来ていたのか!」
「キャー、意外ですね!」
「違う、こんな女なんか興味ねえ!」
「全く君はこうゆう場合に限って初心ね」この女、揶揄ってやがる。「全くさっさと初体験を済ませないから女の扱いに奥手と成るわよ」
「気持ちは察します、Aさん」
「こら、Lさん。それは余計な一言だって--」
「成程、最近の選挙の話を引き摺るのも何ですが」あ、SSが本題に戻してくれた。「野党共闘、という訳ですね」
「正直、アカアカした政党と手を組もうと考えるあの素人集団はどっち向いて--」
「政治の話ではなく、ビットマスタークラウン対策の話ですよ、Dさん」
「あ、そうそう」
「何だと、あの人間の屑が所属するのと協力しろ……だとおおおお!」
「嫌です。Kさんと手を取り合うなんて死んでも御免です!」
「まあ、Mさんから色々と助けられましたからね。出来たらあの方に少しは恩返ししたい気持ちですね」
 二人は猛反対の様子……わかるぞ、その気持ち。俺だって正直、Bさんに向かって辞職届を叩き付けた身だ。今更元の鞘に収まるに等しい事は筋が通らない話のようにも感じるからな。
「成程、中々に厳しい課題ね。それなら--」
「其れなら……何だ?」ノックもせずに奴らはやって来た。「何て低い天井なのだ、ここは!」
「こんな時に!」
 直後にDが取った行動は係りの者に連絡して怠慢を叱責する事。だよな、ここまで来させるにもアポイントメント位果たさないと社員として始末書物だしな。
 さて、ビットマスタークラウンの連中は総出でやって来たな……


 という訳で『お金様』をお届けしました。正直、選挙の話を自分なりに応用して基本戦略について説明したけど……やはりわからない物はわからない。
 まあ小選挙区と比例代表制を少し補足するぞ。小選挙区制は一人しか当選しない区では死票が多く、尚且つ人気政党のみが大量当選するという弊害がある。その為、民主主義の悪い部分が大きく出てしまって日本の国柄に合わないのだよな。というかそもそも小選挙区制自体が直接民主制と呼ばれる独裁政治に結び付きやすいシステムの一面を持つのに二十四年位前の元祖クルクルパー政権は何オザーリンの意見を取り入れてるんだよ。そのせいで八年前の悪夢の政権交代と三年間の地獄を味わったのだろうが。いい加減に小選挙区制はなくして元の中選挙区制に戻して欲しい物だ。首相指名を始めとして内閣を間接民主制で決める日本としてはそっちの方が合うのだよ。
 後はまあ比例代表制……これはゴミ箱に放り込んで構わないよ。何故って……ゾンビ当選の何処に意義がある? そのせいで落とすべき議員が多くの政党票の数か何か知らないが上位から安心して当選するという訳のわからない事が起こるのだぞ。取り敢えず比例でないと当選しない議員の方々……悪いけど、この制度はどっち道ゴミ箱に放り込むのが一番だと自分は考えるね。だってどれだけそいつがその選挙区で惨敗しても比例上位なら確実に当選するというゾンビ当選をするのだぞ。それなら日本の為にも廃案にしないとな!

 という訳で今回はここまで。こうゆう時しか自分の思っている事をぶちまけられないからな。まあそれが好きじゃない読者にとっては自分の書き殴りは邪魔でしかないのだけどな……うん、そうだね。

一兆年の夜 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る(終)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月九十一日午後零時五分七秒。

 場所は真古天神武アリスティッポス大陸中心点。
 七の地と呼ばれた場所にて齢七十三にして七の月と二十五日目に成る神武人族の老年は最後の話を終えた時、静かに眠り始める。それは全ての話を終えるかのように安らかな表情でしかも苦しみの一切さえないかのように。誰もが齢七十を超える老年が死ぬのを間近で見つめる。誰一名として心肺蘇生をしようと考えない。いや心肺蘇生してももう遅い。既に死んでもおかしくない程長く生きた。これ以上のせいに何の意味があるのか? その老年が考えそうなことを推測する三名は……いや、三名以外にも集まる。病院の関係者が老年を探しにここまで駆け付けるのか? いや、他にも居る。何故老年が死ぬその一歩前にここまで生命がこのような極冠の地に集まるのか? ガンジャーが……いや、ガンジャーではない。バレイバーが……いや、バレイバーは他者と戯れるような性格ではない。この青年が……いや、青年は騒ぎになるような動きを極力行わない。では誰が……それは老年が起こした奇跡と言えるのかも知れない。
 ずっと老年は忍んでこの場所で暮らして来た。その暮らしは今までみたいに誰かが食事を作ってくれる事もないし、帳簿だって自ら行わないと満足な生活さえも望めない。それを敢えて自らやった。しかも自分の名前を出せば協力が絶えないのにそれさえ断って自らの力でこの過酷とも呼べる生活様式を貫いた。だが、そんな老年の生活を気にしない生命は居ない。やがて老年の元に度々訪れる生命が発生。それはガンジャーとバレイバーを合わせて百に上る。当然、誰かが情報を流すのも無理はない。やがて老年が病院に担ぎ出されると百名しか知らない事が千、いや万にまで広がる。
 それから今に至った。集まった者達は凍える身に耐えながらも涙を流す。凍り付くと承知しながらも彼らは涙を流し続けた。そう、涙を流す訳は……老年天同躯伝が波乱万丈とも呼べる一生を終えた事を意味していた……
 だが、躯伝は死なない。魂はやがてこの場に居る青年の元に飛んで来る!
(父さん……しかと受け止めたぞ。僕はもう迷わない。例え何度挫けようとも父さん達が作り上げたこの真古天神武を守り抜くよ。それが後の世代で如何しようもない明日が来ようとも父さん達が築き上げてきた真古天神武の……天同の飽くなき魂は朽ち果てたりはしない!
 僕の代で更に盤石な物とする。そのせいで後の代が怠ける事があっても僕は一切手を抜いたりはしない。僕は絶対にやり遂げる。その為に父さんは真古天神武を建国したのでしょう。だったら大叔父が提示する幾つかの無茶もやってやるさ。例え僕の代で無理でも構わない。全てをやり遂げる覚悟で臨めば一つくらいは果たせる!
 僕は……として王道を進む!
 それから青年天同蒼天は進んでゆく……躯伝が敷いた道を静かに!

 最後に蛇族の足を紹介しよう。天同蒼天は第一子蒼穹そうきゅうと第二子紅蓮ぐれんを儲けた。しかもこの双子の兄弟は後に大きな物語の主役を務めてゆく事に。
 さて、蒼天は三代目に襲名するまでに望遠砲の軽量及び量産化を遂げた。しかも戦闘に於ける知識と技術面に於ける重荷の解消を熟して。更には真古式神武の全領土の奪還を果たした。だが、完全浄化の日を待たずして蒼天は六十七年もの人生に幕を下ろした。
 それは又、機会があれば……

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月九十一日午後一時零分零秒。

 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る 完

 第八十九話 気球に乗って五日 に続く……

一兆年の夜 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る(八)

 十月二十八日午前九時零分二秒。
 場所は真古天神武六虎府経済都市中央地区。
 六虎府は大きく二つに分けられる。一つが旧タイガーフェスティを中心とした工業団地が並ぶ工業都市。もう一つがここ旧六影を中心に活気溢れる街並みを実現した経済都市。ここでは経済都市のみを紹介する。
 二つに分類する事に依る利点は一つ。それは経済都市は銀河連合に依る侵攻を大きな塀で防ぐ事ともう一つは者から者への侵入を防ぐ為に商品として出される物に入念な検査を行う。それは即ち、物だけでなくそれを扱う者自身にも適用される。しかも検査員は全員軍者出身者でほぼ隙が無い。それに依り、安心安全を保障される。保障されるという事は即ち気軽に商品を買う者達が増え、更には其処へ移住しようと思う生命も増加して活気溢れる経済都市と成る。尚、工業都市の利点については暇さえあれば後程紹介する。
 その経済都市中央地区にある六影官邸……即ち、経済都市を扱う府庁にて躯伝と正心は立ち寄る。尚、蒼天を守る付き者はカン次に一任された。
「ああ、ちい叔父様が無事で居るか心配ですわ」力は認める物の幼い頃より面倒を見て来た正心は少し離れただけで震え出す始末。「力は心配じゃないですわ。ですけど、何かあったら責任は私に掛かるのですわ!」
「落ち着くのじゃ、正心。暫くの間じゃろうに。全く気高く止まってもその点だけは年相応よのう!」
「はい、兎に角急ぎましょう……お祖父様」
 正心は親類という事もあって手続きなしで最低限の検査を以って通された--そこでも最低限の検査が必要なのは銀河連合対策以外にも安心安全な経済都市という観点が比重を占める。
 それから躯伝と正心は三階知事室に招かれた。尚、知事とは六虎府の経済都市および工業都市のどちらか一方に必ず知事と呼ばれる官職が最高責任者として置かれる。市長や府長、其れから町長や村長、更に酋長との異なる点は新天神武における選挙を取り入れる事。しかもそれは直接制ではなく、間接制を取る。経済都市或は工業都市の官僚が候補者の中からお気に入りを選んで最多得票を得た候補者がその都市の知事と成る。その為、他とは異なり実力派が長に成りやすい。或は官僚好みで国民から余り人気のない生命が知事に成りやすい為に少々民主主義が反映されにくい。
 さて、現在の経済都市の知事は二代目。初代知事は工業都市の知事も兼任したという藤原カエ道彦。だが、余りにも多忙だった為に新たな役職の必要に迫られた。そこでいっそ知事職を経済都市と工業都市の二つで分けようと提案したのが……二代目知事を務める齢三十七にして四の月と十一日目に成るテレス熊族の中年が椅子に座ったままで迎えた。
「ヤア、来たのおう」
「何の……って祖父さんを連れて来たのか、心!」齢十八にして七の月と十一日目に成る神武人族の少年地同正斗は驚きを隠せない。「キュー明さんからの連絡で俺をここまで呼ぶ理由は何なのかを期待したらそれなのか……全く何か俺はやったのか?」
「やあ……相変わらず父親に似ないのう、正斗」
「其れは褒めているのか落胆しているのか、どっちでしょうか?」
「お兄様、少しは前向きに成ったら如何ですか?」
 お前みたいに何でも出来たら苦労しないよ--と正心の多種多様さに悩みを抱える正斗だった。
「まあまあ正斗様。目指すのデェしょう、正伝様みたいに新たな国家神武を建国スウルという理想を!」
「まあそうだけど……祖父さんはそれ以外に用があって来たのだろう?」
「ああ、そうじゃ。という訳でここで話し合って良いか、ベア九斗?」
「勿論ジャア。躯伝様はわしら元解放戦線の面々に取っテエ、命の恩者じゃからナア」
「其れは褒め過ぎじゃ、ベア九斗」躯伝は決して己の功績を自慢したりしない。「わしは真古式神武が借りたまま返さない物を取り返しに来たまでじゃ……褒められるような事をした覚えは更々ないのう!」
「そう言わない辺り、祖父さんには届かないさ……俺達は!」
「そんな話は良いじゃろう。そろそろ本題に入るぞ。わしが王として出来る最後の仕事じゃからのう!」
 まさか……襲名させたのですか、蒼天に--と正斗は直ぐ察した。
「ええ、そうですわ。ですので今の御祖父様は水の惑星で初の大王を務めておりますわ」
 と言えども何の仕事もない只のお飾りじゃがのう--そう言うと躯伝は早速、正斗に対して次のような事を要求した。
 それは宮家の創設。躯伝はバレルバーとの話で出て来た直系以外で余りにも連続した家系が少ない事を指摘されての事だった。その為、躯伝は早急に受け皿としての役割として宮家の創設を構想に入れて来た。それから正伝が子を儲け、しかも目の前に居る正斗が次世代の天同の受け皿に成ると確信に至った。
「俺が、地同家が天同家の跡取りの為に男系を受け継いでゆくというのですか?」
「ああ、そうじゃ。お前さんはちょうど父親を辿ったら立派に新国家神武初代最高官参花さんかへと至る。じゃからお願いじゃ、正斗」
「で、でも天同家でも出来るのではないだろうか?」
「其れが難しいのじゃ。何しろ、宮家の一員になる筈だった烈正はメイリスを連れて何処に居るともわからない場所へ旅立ってしもうた。天豪と天明は襲名自体の証として天同の姓を捨てて一切関わりないようにしてのう。豪伝と豪天は婿養子に付いたはいいがどれも娘しか産まれなくて既に諦めの境地じゃ。史正に至っては烈正と同じく行方知れずじゃ。なのでお願いじゃ、正斗」
「で、でも俺みたいに親父のように戦いの際に秀でてる訳でもない俺が--」
「そんなのは関係ない。要は血を保持する為にじゃ。その為にはお主の一族の助力を世が必要とするのじゃ!」
「其れでも俺は正心みたいに--」
「お主の曾祖父優央もそれで随分悩んだのじゃ。悩みの一つや二つ抱えた所で何と言えよう。要はやるかやらないか……それだけじゃ!」
 ……わかったよ、祖父さん--一瞬だけ俯いたのち、決意の表情のまま顔を上げる正斗だった!
「如何ヤラア、迷いを振り切ったナア」
「ああ、親父は進んだ道を後悔しなかった。俺も進んだ道を後悔する訳にはゆかない。でもな、祖父さん」正斗は自らの望みも口にする。「俺は何時か親父の夢見た新たな新国家神武建国に邁進する。宮家を引き受けたのはその足掛かりだ……例え何代掛かっても俺達は必ずや建国して見せるよ、誇り高い地同家としてな!」
「何か今日のお兄様は格好良いですわ!」
「違う、少し格好付けただけだ……気が緩めば何時もと変わらんっての!」
 ハハッハア、其れはわしも同じじゃあ--と躯伝は大笑いした!
(それから四の年じゃったかな。宮家を創設する法案は通り、わしは最後の王としての仕事を務め上げた。それが宮家創設を始めとした新法の公布、次期国王蒼天の戴冠式の開催と宮家創設会の催し……それから漸くわしは大王として自由に動いて貰ったよ。それがアリスティッポス大陸への移住と七の地で新天神武建国者である七と同じく引退生活を送り続ける事。それがわしの引退……後の事は若い衆に任せる。
 そして……現在に至る訳じゃよ!)

一兆年の夜 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る(七)

 ICイマジナリーセンチュリー二百二十六年十月二十六日午後十一時五十八分五十三秒。

 場所は不明。
(見極めんとのう。わしは徐々に衰えるとはいえ……いや、衰えは技と術さえも低下させうる。昔は出来た事も今では難しく成るのと同様に。其れでもわしはこの子に託したい。この子の技を見たい!)
 齢五十七にして五の月と二十一日目に成る天同躯伝は木の刃を構える。
「僕に何を託すのだ、父さん?」齢十三にして九の月と二日目に成る神武人族の少年にして躯伝の第十一子に当たる蒼天は疑問を口にする。「僕よりも烈希姉さんの方がふさわしいと思うよ」
「姉さんは最高官に成る事しか興味ないから仕方ないでしょ、蒼天君?」齢十八にして八の月と十日目に成る神武人族の少女天同躯佐は窘める。「それに君はあたし達にない能力を持つと誰もが口にするのよ」
「何の能力だよ。僕にはそこまで世の中を変える力は持ってないよ」
「偉ク自覚ガナイですね」齢三十二にして五日目に成る菅原カンガルー族の中年菅原カン次は何事も才能が有り余る蒼天に困り顔で居る。「何でも熟セテモソノ本者ガ一番ソノ気ジャナイノハ何トモ言えませんなあ」
「それがちい叔父様の」齢十三にして十の月と一日目に成る神武人族の少女地同正心は敢えて褒める。「良い所ですわ」
「幾ら血縁上とはいえ、その呼び方は正しいの……正心?」
「そうカン次さんに教わりました」
「正心さんはそうゆう方だからね。僕と同じくあんまり実感を湧かせない性格だからね」
「お互いに同じ技術を持ってしまったのじゃ。競い合えば能力抜きで拮抗したまま伸びるのは仕方のない話じゃ」
「同じ段階だとそう成るね。でも、何時までも同じ段階で居られないのも世の常よ」
「ええ、ちい叔父様はきっと私の想像を超えて真古天神武を導いてくれると思いますわ」
 じゃが、優秀過ぎると後の物に重荷として圧し掛かる……それを忘れない事じゃ--経験則から躯伝はそう断言する。
(さて、何故こんな深夜にこのような事をやるのか? まあその前にわしが如何ゆう立場であるかも説明せんとな)
 躯伝は立ち合い十の分までに今までを振り返る。真古天神武では初代最高官として真古式神武で首都を務めた六影及びタイガーフェスティ奪還の立役者であるヤマビコノシドウシンが初代最高官として選ばれて一期まで務め上げた。以降は新天神武と同じように選挙で多数当選された政党の党首が最高官に成るという仕組み。但し、異なるのは任命権の方。新天神武当時は前最高官或は前国会委員長が最高官を任命するという制度だった。ところがそれでは納得のゆかない国民は必ず存在する。そこで真古天神武では新たに王政を敷く。その初代国王に躯伝は就任。任期は王自らが決め、普段は任命権など積極的に政治に関わらない物とされた。その為、国王が任命すれば国民の誰もが納得して最高官の権力を認める事と成る。つまり国家神武にあった権威と権力の分担を復古したのである。但し、古式神武の頃よりその傾向はあったが真古天神武では異なる。それは新天神武の選挙制度を取り入れたまま国王のみ世襲制を取り入れた訳だ。
 それから現在。躯伝は近々蒼天に継がせようと心に決める。その理由は蒼天自身の頭脳明晰と全盛期の躯伝に匹敵する身体能力、そして祖父優央の優しい性根と何よりも以前は躯伝も身に付けていたという新仙者の能力……特に新仙者の能力は生後間もなく発動し、それから政権が変わる毎に行われて来た真古式神武跡の奪還戦に蒼天が自ら参加した際に十の年に満たない状態で百獣型を倒してしまうという快挙を達成。百名以上の目撃談もあって彼が次の最高官に成ると誰もが噂する程にまで成った。
 それは決して長子相続を無視した形ではない。世襲候補者に選ばれる躯伝の息子達第一子正伝は早く死に、烈正は新天地目指して行方を晦まし、更には天豪と天明は自ら辞退、豪伝と豪天はそれぞれ北と南に婿養子として嫁いだ為に外れ、史正に至っては秘境探しの為に烈正同様行方を晦ました。その為、残ったのは蒼天のみ。余程の事がなければ雌の世襲は認められない国家神武のしきたり上、烈希と烈天、それに躯佐は跡を継げない。依って蒼天が次期国王筆頭候補と成った。
「そろそろ時間デスヨ。では構エテ」カン次は右前足を叩く挙げる。「制限時間ハ三ノ分……一回デ決めて下さいね!」
 そして振り下ろす時、始まる試し合い。互いの木の刃が打ち合う。寸止めに依る決まり手ではあるが、寸止めにも決まりがある。それがおでこと首と鳩尾に止めればそこで試し合いは終わる。故に身体能力や技術では難しい。おまけに能力だって使ってはいけない。能力を使わずに蒼天は躯伝から一本を取らなくては成らない。
 最初は躯伝の経験則から来る反撃に依る一撃が繰り出される。蒼天は反応に頼って寸止めを回避。何とか一本取られないように心掛ける。
 だが、事態が動くのは一の分より後……反撃狙いからの相手の間合いを崩した状態から鳩尾目掛けて月野寸止めを決めようとした時--鳩尾付近よりも早く蒼天の横薙ぎが躯伝の首に寸止めされた!
「ハアハアハア、父さんは相変わらず無茶をするよ」
「全く涼しい顔をしてわしの遥か先を言ったな……全盛期でもわしはお前を超えられんのう!」
「やあったああ、蒼天君の勝ちだあ!」
「良かったですね、ちい叔父様!」
「これはもう逆立チシタッテ敵イマセンネ、躯伝様」
「ああ、わしの後を継ぐのは蒼天……お主じゃ」
「そうでしょうか。僕にはそこまで自信がありません」
「其れはわしの父優央も同じような事を言った。自らの才の無さを嘆きながらも最後は多くの国民を助けたのじゃ」
「でも僕がお祖父さんみたいに上手く出来る自信がありません」
「自信がないなんて別に悔しい物じゃない。寧ろ、まだまだやれるって事を意味するじゃないかのう!」
「でも僕には迷いが--」
 迷いが何だ、そんな物は生きている内は誰だって抱える物じゃろうが--と吠える躯伝!
「父さん……そこまで」蒼天は躯伝の覚悟を確認し、それから背を向けながらこう言い放つ。「わかった……成るよ、王に!」
「そうでなくちゃわしの息子じゃないな。蒼天よ、今からお前は第二代真古天神武の王じゃ!」
 こうして国家神武で最初の襲名は完了した。けれども躯伝が真古天神武でするべき仕事が終わった訳ではない。
(こうしてわしは晴れて最初の大王か。まあこれは飾りであって何の仕事もない役職じゃ。じゃがなあ、任命権もその他全てがなくとも大王だってやれる事はあるぞ!)
 それから躯伝は真古天神武を盤石な物にする為に正心に駆け寄る。
「何でしょう、御祖父様?」
「ちょいとお前の父さんの遺した物を果たそうかと思うのじゃ。今日の昼から彼女の所まで案内してくれるか?」

一兆年の夜 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る(六)

 ICイマジナリーセンチュリー二百二十三年九月四十五日午前十時二分三十八秒。

 場所は新天神武首都六影府中央地区中央官邸。三階第一執務室。
(後一の年で任期を終える。その前にわしは自らの権威を背景に様々な施策を推し進めて来た。じゃが、其れも後一の年経てば権力は後世に譲る。今のわしがやれる事はこの為にある。わしはギガントルとの約束を果たす為に--)
 齢四十五にして二の月と十二日目に成る躯伝はすっかり一名称も年相応に変化した。それは自然の流れなのか、其れとも。そんな職務遂行中の第一執務室を叩く音が響く。躯伝は扉を叩いた者に名乗りを上げさせる。何故なのかは後程説明する。
 名乗るのは齢十九にして八の月と二十六日目に成る菅原カンガルー族の少年が尋ねる。彼の名前は菅原カン次……ミリットに命を救われた当時の子供。その彼が躯伝に尋ねに来る訳とは何か?
「名前を聞いてもしや、と思ったが……君とはのう」
「はい、菅原カンガルー族ノ菅原カン次デス。躯伝様、如何カ僕ヲ養育係ニ勤務サセテ下サイ!」
「ああ、良いぞ。ちょうど付き者が足りなくてな。特に最後の子供である蒼天は是非共育てないといけないと思ってた!」
「ほ、本当デスカ!」
「ああ、只知……もう一名養育して欲しい生命が居るのじゃ!」躯伝は間髪入れずこう言う。「わしの孫に当たる正心をな」
「正心?」
「ああ、あいつには蒼天の付き者として将来育てたい……が」
「何カ問題デモアルノでしょうか?」
「わしの経験上……正心はきっと蒼天に対して並々成る思いを抱くだろう」
「其れは良イジャナイデスカ。何れは躯伝様の……ア、そう言エバ孫ト言ッテおりましたね、その方」
「ああ、流石に今は亡き息子の娘と最後の息子を結ばせるのは遺伝学上……拙いだろう」
「其レハ確カニ問題ありますね。何デモ近親間ノ結ビ付キニツイテ余り良い話を聞きませんね。ではドノヨウニ教育スルノガ一番でしょうか?」
「一番かあ……そうじゃのう、まあ多分正心は結婚しないじゃろう。だからこそその思いに報いる形で……あいつを蒼天の半身として育て上げるのじゃ!」
 半身、デスカ--即ち、如何せ意思を誰も止められないならせめて生き様に道を示せ……躯伝が辿り着いた結論にカン次は反応に困る。
「とはいえあくまで道を示すだけじゃあ。その先はあの子が決める事じゃあ。祖父もそうじゃが親もそうじゃ。子供に進んで欲しい道を決定付かせる事は如何にも出来ない。ならばせめて道をそのように舗装するくらいはしないとのう!」
「成程、其レハ大変ナ責務デスネ……わかりました。おじさんから貰ッタ僅カナ恩ヲ必ズ何倍ニモ返ス為ニココマデ何百回断られてもやって来た己です!」
「お前か、前々からしつこい生命が官邸にやって来ると烈希が呆れていたのは!」
「そして今日、ソレガ実現スルノデス。その為ニ僕ハおじさんガ最後ニ見セタアノ打撃ヲ研鑽シ続けました!」
「そうか、其れは有難いな。じゃあ頼んだぞ、菅原カン次。早速、案内するから今しばらくは隣にある第二執務室にて寛いでくれたまえ!」
 躯伝は秘書で齢二十歳にして十の月と二十二日目に成るボルティーニ栗鼠族の女性リリーナル・リッサールに頼んで漢字を第二執務室まで案内させてその手の仕事について順序を教え、実行するように三回も反復して説明した--その意味するところ即ち、この年に成ろうともリリーナルは手の焼く生命だった!
(まあ良からぬことを想定して何回も繰り返した。これでも出来ないなら更に増やすだけだ……ハアア、あいつが居るだけでわしは寿命が縮む気がするわい。全くリリンジも大変な子育てをしてくれたな……まあ年を取ってからの子供なのは仕方がない。けれどもせめて出来るように育ててくれないとなあ、こっちの身が保たんわい!
 さて……お、この叩き方は烈希じゃな!)
 名乗り上げて華麗な礼儀作法をするのは齢二十五にして八の月と十四日目に成る神武人族の女性天同烈希その者。短髪ではあるが、七三分けも華麗で尚且つ気品と美しさに満ちた素顔を持つ。身長は成人体型にして一とコンマ二もある長身。そんな彼女がここへ来るのには訳がある。
「漸くだね、パパ」
「だからその呼び方は止めんかい」
「別に良いじゃないの。全く最近は名乗り上げないといけない週間まで付いちゃったねえ」
「銀河連合への対策じゃ。そうしないと襲撃されて命を落としてしまうからな」
「怒ってからじゃあ遅いのに、何時も後手に回りやすいのだから!」
「あのなあ、烈希。いい加減に--」
「この際、置いといて」自らの調子を崩さない十一名兄弟の中で正伝の次に変わり者である烈希は話を続ける。「新天神武については全議員が全会一致で賛同するわ、パパ!」
「そうか……でも一名くらいは妥協を好まない議員も居るだろう?」
「ああ、其れも裏を取ったわ。でも彼が反対するのは時期国家神武に移行する際に捨てられる物についての話よ。それは何とか私が約束したわ。中々に骨が折れたのよ」
「そうか、漸くじゃな」
「ところでパパ?」
「まだ何か言い足りないのか、烈希?」
「あのカンガルーの提案を呑んだの?」
「其れが如何したのじゃ?」
 全く困ったパパだね--と何か飲んでは成らないような困りが尾をする烈希。
「あのなあ、烈希。お前は色々と口を出すようじゃが、次の国家神武の最高官はお前じゃない。全会一致である者に決定した!」
「あああ、勝手に決めないでよ。折角、最高官に成って色々やりたかったのにいい!」とれっきは悔しそうに語り始める。「全く何が民主主義なの。優秀な生命が仕事が出来る生命が上に立つ物でしょう。なのに人気が高い生命ばっかり議員先生に成って何が偉いのさあ!」
「其れはのう、烈希。優秀だけじゃあ却って出来ない者達の思いを理解出来ないのじゃぞ!」
「わかってはいるのよ。それでも私は納得いかないのよ!」
 烈希はこの後二の時も語る。それを聞きながら政務に励むしかない躯伝。公者であるならその場で烈希を元の仕事場に戻すだろう。だが、今の躯伝は私者。私者なら最後まで聞くしかない。何とも辛い役割である。
(そうじゃのう、辛いわ。でもなあ、わしはこれから辛い役割を担ってゆく。それは果てしなく続く公務。本来であるなら一生時期国家神武の為に尽くさないといけない。それが愛する国民と痛みを共にする天同の宿命じゃ。
 さて、法案は全会一致で可決して新国家神武草案は可決された。施行日は初日の出と共に。その前にこれだけは紹介しないとのう)

 ICイマジナリーセンチュリー二百二十三年九月百一日午前九時零分零秒。

 場所は新天神武廃都タイガーフェスティ。
 タイガーフェスティは六影と合併し、新たな府庁と成る。名前を六虎ろくことする。
 政府は六虎を経済都市として発展させる方針。それだけでなく、タイガーフェスティに因んで科学と評論が集まる都市にもすると全会一致で決まる程。それだけ期待が籠められる。
 そんな新府にある天同八理やつりの墓標上にて躯伝は登壇する。それは次の宣言をする為に!
「ええ、わしは新天神武最後の最高官として新天神武の終焉を宣言する天同躯伝と申す。此度は大晦日まで一の月掛けて公共放送を聞いた方々が安心出来ずに年を過ごしたと思われます。勿論、既に周知した者達だってこの場に居るでしょう。ですが、そうゆう事は最高責任者であるわし自身の口から伝えないと納得がいかないのが初の国家神武を起こした天同生子の時からの風習。そろそろ発表したいと思います!
 それは翼の年の初日の出にて真古天神武の建国をここに宣言します!
 そう、新天神武は完全に終わるのではないのです。新国家神武最後の最高官七の時代に国家神武は三つに分かれました。一つは天同星央ほしおの一族が統治する真正神武。首都六影を中心に北を統治する古き良き物を取り入れた国家神武。
 一つは天同八弥やつみの一族が統治する古式神武。首都はここタイガーフェスティ。其処を中心に西を統治する古き物と新しき物を上手く取り入れた均衡の国家神武。
 最後が御存知新天神武。初代最高官七以来、国民の支持を得た党が政権を担う誰でも最高官に成れる可能性がある新しい国家神武。
 やがて三つの内の一つは銀河連合に喰われ、生き残ったその天同家最後の一名は其処の国家神武を統治する天同と結ばれて新たな国家神武の建国に至った。それがここを首都にした真古式神武。そう、わしの先祖に当たる天同斬弥きるみ七弓なゆみが共同で建国した両方の特性を上手く融合した国家神武。そんな国家神武も長くは続かず、わしの祖父に当たる烈闘れっとうに依る大陸藤原奪還が失敗に終わってから起こったタイガーフェスティを呑み込む流れ星の群れ。父優央と大叔父である躯央は生き残る為に尽力し、タイガーフェスティに代わる首都として前々から建設を進めていた六影を知新都にして再始動。それでも銀河連合に依る猛攻は止まらずに大叔父は道半ばにして倒れ、父優央は辛く心苦しんだ。それでもせめて自らの国民が助かる道を模索し、新天神武に借り入れる際に真古式神武の国民を全て受け入れるという条件を付けて返せないとわかっていながらも借款の約束を実現した。そう、父優央は決して力がなかった訳ではない。誰よりも国民の為に、全生命体の希望としての使命を果たす為に命を擦り減らして来た!
 それは真古式神武が完全に喰われてもそれでも真古式神武で今も必死に抗い続ける生命の逞しさに表れる。そう、ここが新たに変わるのはその逞しさに応える為、ずっと助ける事が出来ずに手を拱いていた我々新天神武の至らない部分に贖罪の意味を籠めての事でもあるのだ!
 だからこそわしはこの場で六十の年以上も取り残した事をここに謝罪する。そして我々は新天神武では果たせなかった借款の全額返還を果たす為に新たに真古天神武として再始動するのである!
 只名前を変えただけの国家神武ではない。七が予言した三つが一つに成るという意味を籠めて真正神武の伝統を重んじる精神と古式神武の柔軟性と合理的な対応を、そして我々新天神武の常に最新を心掛ける部分を重ね合わせてここに宣言いたしました!
 フウ、そうゆう訳で後一の年は新天神武国民として忘れられぬ一の年を作ってゆこうじゃないかああ!」
 躯伝は最初こそこんな整理整頓も出来ない演説は嘲笑されるか或は怒りの講義を齎す物だと思っていた。だが、そんな感情を国民の誰もが持たない。寧ろ、この日を待っていたかのように三国統一を心より受け入れた--全てを紹介するには少々億劫ではあるが、国民の誰もが心の底で統一を夢見ていたのだった!
(わしは何という思い違いを。そうじゃ、国民も同じなのじゃ。わし自身の考えで国民を判断していたのはわしの方じゃった。国民はわしら公の者達が思っている以上に賢明なのじゃ。わしはそれをこの活気の中で思い出したぞ。そうじゃ、わしが忘れていた物がここで芽吹いたのじゃ!)

一兆年の夜 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る(五)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月九十一日午前八時七分三十一秒。

 躯伝が語る中でガンジャーとバレイバーは七の地に集結する。二名は青年を見て驚く。
「あ、こんな所までわざわざ出向いてくれて有難う御座います。で、です牙公務端大丈夫那乃でしょう科?」
「僕の事は心配ない。躯佐姉さんが後押ししてくれたよ」
「相変わらず弟夢中は治らないな、躯佐様は」
 コラ、礼於失します環……バレイバー弥--と注意をするガンジャー。
「まあまあ」
「全くお前達の目に見えぬ範囲でここまで来たというのに」
「躯伝様。そんなに病院の寝床で一生を終えるのが好きじゃないのですか!」
「心配した乃です代。突然居なくなる物です科羅!」
 それは済まない事をしたのう--と謝罪する躯伝。
「ではそろそろ続きをお願いするよ、お父さん」
「有無、痛みが感じなくなる頃合だし……喉も肺も何時止まるかわからんからのう」
 躯伝は最後の仕上げを始めた。
(フウウ、呼吸するのがこれ程辛いとはのう。じゃがこれが最後じゃ。正伝亡き後のわしはもう戦う意欲さえ無くしてしまった。最早息子一名すら救えないわしが戦場に居る事自体がおかしな話じゃったのう。後の事は……全て任せた後じゃったな。俺はこの戦いを機に神武包丁を奉納した。最早戦う意味はない。戦いは若い者たちに任せる番だと思ってのう--)


 ICイマジナリーセンチュリー二百二十三年三月五十一日午後十時二分七秒。

 場所は旧都六影中央地区廃神武聖堂表門前。
 躯伝はソリス十九世に正伝の遺品と成った刃が既に拳ほどしかない長さの雄略包丁を渡した。渡されたソリス十九世は泣き崩れ、次のように言った。
「うううう、最後まで正伝さんは勝手な生命よ。折角、今度の子供を正伝さんに名付けさせようと思っていたのにイイイ!」
「……」躯伝は少し呼吸して次のように呟く。「いや、正伝はまだ生きている!」
「其れは……私を笑わす為に言ったのですか?」
 そうゆう訳ではないぞう--正伝のお蔭でポルナ助やベア九斗と共に命を落とす所だったマモナビロは次のように代弁する。
「正伝様は……正伝様の魂は二つに分かれたぞう。一つはソリス様のお腹にぜおう、もう一つは……ソーラ様のお腹にぜおう。だ、だから、だからぜおう!」
 泣くのかあああい、だったら俺やベア九斗と一緒に酒を飲み交わそうかああい--とポルナ助はマモナビロを誘った。
「正伝さん、正伝さん……ウウウウ!」
「フエエエン、私が力が足りなかったせいで--」
「メイリスのせいじゃない。俺だって--」
「静かにしろ、お前達!」と烈正斗メイリスを沈黙させる躯伝。「今はソリスが思いの丈をぶつけるのが筋じゃ!」
「うううう、正伝さん……そうですわ。正伝さんはお腹の中で、正の心でこの子を守っているのだわ!」
 そう、ソリス十九世は自然と第三子の名前を決める。彼女の名前は正心せいしん……躯伝最後の子である蒼天そうてんよりも一の月早く生まれて彼の付き者として最後まで見守った文武両道の雌。
(その名前を付ける際に誰もが雄の子だと思っていた正伝の三名目の子供。雌の子だと判明して慌てふためいたが……ソリスにとってはその名前はどちらでも取れると思って迷いなく付けたそうだな。まあそれは後の話じゃな。
 今は俺が後の事をシドウシンに任せようとした際の話じゃったな。ところがシドウシン自身もとあるレンラクガカリからの報告を受けて現場に居られなくなった。軍務大臣である以上は大臣室に埋め尽くさん程の紙があれば事務次官一名に任せるのは流石に心許ないからのう。それでシドウシンも一緒に帰還する事と成った。まあ、それでも引継ぎを任されたコブ又兵衛が広い視野の持ち主であり、変化する情勢の中で柔軟に対応出来る感性の持ち主じゃったから後の時代にタイガーフェスティから六影までを繋ぐ安全圏を確保出来たといえるじゃろうのう。
 さて、首都に帰宅した際にソーラを連れて昔住んでいた豪邸で話をしたのう。正直、恐かったのう。実の息子が親より先に死んだ事を告げるのが。じゃがなあ)

 三月五十三日午後九時零分七秒。
 場所は新天神武首都六影府中央地区ヤマビコノシドウシン邸三階空き部屋。
 躯伝はそこまで齢四十一にして八の月と四日目に成るソーラ六代を入れた。躯伝は何処から切り出してゆこうか迷っていた。だが、ソーラ六代は直ぐに口を開く。それは躯伝にとって意外な言葉から始まった。
「ええ、あの子がこの家の前にやって来たのはちょうど一の月より前程だったわ」
「ああ、その話は聞いたな。全く正伝の奴は俺への犯行をする前に家族への迷い惑わしを考えなかったのかと思うのう!」
「いえ、その話には続きがあるのよ」
「続き、とは?」
「あの子が来た時からつわりが始まったの。その時、私は何となく直感してしまったの。お腹の中の子はきっと正伝の魂を受け継ぐのではないかって!」
 何と--ソリス十九世の話をしていないのにソーラ六代は既に正伝の運命を知るかのような口ぶりで話すのに驚かずにはいられない躯伝だった!
「そこまで驚く事ないわよ、躯伝。私は貴方とどれくらい一緒だと思っているの? 少しはメランよりも長く付き合うつもりでいるのよ!」
「まだ言うのか。じゃがのう--」
 わかってるわ、メランは今も躯伝の中で生き続けている事は--とソーラ六代は雌の勘で言いそうな事を先読みしていた!
「参ったな。何もかも御見通しじゃという訳か!」
「ええ、貴方がここへ来る理由だってね」それからソーラ六代は涙を堪え始める。「私をここまで連れて来てまで話したい事って烈正以外の子供の耳には知らせたくない事でしょ?」
「ああ、そろそろ俺に言わせてくれ」躯伝はそれでも前置きを止めない。「本当は如何切り出して良いか迷っていた……悩んでも居たのじゃ!」
「ええ言って。私の魂はずっと貴方と一蓮托生なのよ!」
「わかった、言おう」
 それから躯伝は正伝の死を語った。そしてともに堪えた分だけ号泣し続け、母体に重荷がないように抱き締めた!
(その後、ソーラは出産予定日に最後の子供を産んでから二の日より後……想念の海へと旅立ってしまった。言ったよなあ、ソーラ。メランよりも長く付き合うのだって……なのに先に行くなんて如何かしてるだろうが!
 俺は悔しかった。正伝の事を語った際に如何してソーラが死にたがっているのかに気付けなかったのかてな。それは俺だけじゃなく、あの体力自慢の烈正にまで影響を及ぼした。烈正はその後、メイリスを連れて新天地を目指してしまった……辛かったんだろうな、烈正も!
 母との思い出や兄との思い出を抱えたまま生き続ける事。いやそれ以上に新天神武内で思い出されてゆくたびに悲しみを思い出すのが辛かったのだろうな。だからこそあいつは旅に出た。でも旅に出る際にメイリスはあの子の後を追ったのじゃ。一名だけで活かせないと……それを受け入れる烈正。あの二名は惹かれ合っていたのだな。以降、俺は二度と烈正斗見える事は永遠になくなった。そこで早死にしたのか、それとも俺より長く生きたのか……永遠にわかりはしないのじゃからな!
 そして俺から……わしに成る頃、わしはある決断をする。下地は十分作った。後は稔だけ。早いのう、ギガントル。お前の想定した年月よりも早く理想は実現してしまうのじゃからのう!)

一兆年の夜 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る(四)

 午後零時一分一秒。
 場所は拠点型第二区画。
 躯伝、烈正、メイリス、そして齢二十五にして二十五日目に成るエピクロ象族の青年にして救出五個中隊第四中隊長のマモリナスビロ・アダルネス(以下マモナビロ)と齢三十二にして二日目に成るエウク馬族の中年にして第二中隊長の真島ポルナ助は獅子型と虎型が集まる区画に入った。
「何て数だぞう。象式包丁でも難しく成って来たぜおう」
「寧ろここまで四足歩行式包丁だけで何とおおうかして見せた俺達の方が奇跡だあああん」
「気を付けて下さいよ、皆さん。銀河連合の動きはまるで私達の心を読むように感じられます!」
「まあ良くわからんけど、メイリスが言うのなら間違いない。けれども思うことあるんだよなあ」と烈正は次のように呟く。「メイリスは何で戦う時はちゃんと喋ること出来るの?」
「そんな事言ってる場合じゃありません、烈正様。先ずは動きが読まれないように各個撃破するかどうか考えなさい!」
 質問に答えくれよお--と戦いに集中し過ぎるメイリスに困った様子の烈正。
「まあ確かにメイリスの言う通りじゃ。銀河連合は俺達の動きを逐一見て頭の中で描いておるのう」
「では躯伝様、ここは各個撃破--」
「いや、ここは正面突破じゃ。読まれるのなら先に行かせて貰うのが少数精鋭に於ける常道じゃ!」
「ええ、こいつら相手に何で弱気に--」
 強がっていたら余計な死者が増えるだけだとわかるのじゃ--と有無も言わせない躯伝!
「ですぜおう。幾ら僕でも二十八体を相手にやると怪我がまた増えるぞう」
「だああが、どのように突破すうううんるのですかああい?」ポルナ助は疑問を口にする。「何しろ第三区画へと通じる道を獅子型が十一体も居るのですよおおう。これ難しいのではないでしょうかああい」
「その場合は……俺が行こう」躯伝は剛胆の舞・季で素早く一番前の獅子型の間合いに入ると……「このようにして」鞘から神武包丁を抜くと同時に剛胆の舞・美に切り替えて静か成る動きで最小限の回避と攻撃で頸動脈を断裂させる斬撃を繰り出すと……「最初は緩やかに、それから」一気に加速して真っ直ぐ五体全ての頸動脈を断裂させる程の激しさを見せる。「勢いを付けて道を作るのじゃあ!」
 余りの完成度に呆気にとられる烈正以外の三名。その為、烈正が……「何をしてるんだ。親父が作った道を意味なき物にしないでくれよ!」と言われるまで足が動かなかった程--幸い、周りの銀河連合も能力が使えない筈の躯伝が余りにも完成度の高い組み合わせた動きをする為に三名同様に動きを止めたお陰で突破を果たす事が出来た!

 午後零時十分二十七秒。
 場所は第三区画。
 第二区画の倍もある八十八体が五名を出迎える。
(流石に今回ばかりは俺一名だけでは難しいのう)
 躯伝が冷や汗を二つ分ほど垂れ流す程の数と質。質とは象型が十二体、犬型が三十五体、蛇型が四十一体も居るという円、線、螺旋の動きが可能な布陣。それだけに躯伝は経験則からそう考えた。
「さっきの躯伝様の動きいいいを真似る事は出来ないがああい、俺達は躯伝様一命に無理をさせに来たのではありませええん!」
「そうだぞう。僕達だってこれでも身体能力は人族よりも高いのだからぜおう!」
「そうです。躯伝様にばかり頼る暇があるのならどのように突破するのかを考えて下さい!」
「俺に考えることは無茶だぞ、メイリス。まあ俺だって……そうだなあ、やってやるぞおう!」
「気合は良いようじゃのう。では行くぞおおう!」
 五名は決死の覚悟で包囲網の突破を図り、二の分と十八の秒を以って一名も怪我をする事なく第四区画への侵入に成功する!
(じゃが、第五、第六、そして第七区画は予想以上の激戦じゃったな。その際にマモナビロが怪我をしてまで庇ってくれた。そのせいであいつと--)

 午後一時二分十八秒。
 場所は第八区画。
 待ち受けるのは約千体もの百獣型。そして目前に倒れるのはベア九斗。
「あれはベア九斗!」
「ウググゥ」躯伝に抱えられるように置き始めるベア九斗。既に出血が酷く、左前脚は最早動かない。「せ、正伝様達ハア?」
「心配ない。俺が、俺達が責任以って助けるぞ」
 そ、そうです、か、ぁ--それを聞いてベア九斗は目を閉じた……決してまだ死ぬ訳ではない!
「ベア九斗さんが、こんなにも!」
「大丈夫だ。いびきだ、いびきしてる時ってまだ大丈夫だって!」
「だがぜおう、ここは僕が引き受けるしかないぞう!」
「何いいん、マモナビロ……まさああああうか死ぬ気か!」
「いえぜおう、死にはしませんぞう。ここは僕に任せてぜおう、躯伝様達は如何か……正伝様達の救出をぜおう!」
「マモナビロ……約束した以上は絶対に、死ぬなよ!」
 ええぜおう--血だらけでありながらもその表情は菩薩像と呼ばれた物に等しい神々しさが籠められていた!
「では……お前達はこのマモリナスビロ・アダルネスが相手をするぞおおおう!」
 マモナビロはベア九斗を死守する為の戦いに臨む。一方でマモナビロに構っている間に躯伝達四名は第九区画を目指す。だが、百獣型の全てが素直にマモナビロに集中する訳ではない。その五十八体は真っ直ぐ四名に向かって突っ込む!
「やはりマモナビロだけでは無理があるか……ならばあああい!」左脇腹を突き刺されながらも上手く内臓を避けるように受けたポルナ助は三名を行かす為に残った。「申し訳ありまあああいせん。不肖ながらにこの真島ポルナ助は真島の心に従あああうい、残らせていただきマアアうす!」
「クウ……済まない、ポルナ助!」
「死んだら承知しないぞ、ポルナ助!」
「死なないで下さい、真島さん!」
 ああ、そう簡単に死なないようにするぜええウイ--そうしながらポルナ助は馬族秘伝の暴れ回りと呼ばれる動きで百獣型に隊を吹っ飛ばしながら四足歩行雄略包丁を振り回してゆく!
「全くお前までぜおう!」
「仕方なあああいだろう。、銀河連合は真っ当じゃなああいからさあ」
「じゃあ付き合おうかぞう、命尽きるまでぜおう!」
「命は……尽ううううくさんぞおおおおう!」
(済まない、二名共。俺達は必ず、果たしてやるぞおおう!)

 午後二時五分八秒。
 心臓型が居る区画。
 正伝は既にもう一本の腕を失い、今にも死にそうな状態だった。この中で生き残っていた第三部隊の隊長であるヤマビコノアリーゲルドスは何処か失った部分はないものの既に大量の血を流して限界を超えていた。それでも機敏に動いて正伝の前に両後ろ足だけで直立してまで止めるのには訳があった!
「退くのだ、アリーゲルダス。俺は、もう、助からん」
「退かないっがん。ここは、俺が、行くのですっぜん!」
「お前は限界こそ近くても……俺みたいな状態、じゃない。後少しなんだ。ここは俺が、俺が何とか--」
 やっと辿り着いたぞ……この腰砕け息子ガアアアア--躯伝、烈正、そしてメイリスら三名は血だらけの状態で正伝達二名の所まで辿り着いた!
「親父、か……御覧の通りだ」正伝は自分の指揮が近い事を示唆しながらも次のようにも言ってみせる。「でも後悔はしない……俺はこの道を、後悔は、しない!」
「逆だろうが、逆、だろうがああ!」躯伝は駆け込み、正伝を抱き締める。「如何して『後悔する』と言わないかああ!」
「俺は最後まであんたに反抗して見せる。そんな事言ったら……なあ!」躯伝の首に噛み付いてから一瞬の隙間から右足でお腹を蹴って飛ばした正伝。「はあっはあ、退いてくれ……なあ!」
「ウグ……正伝様っが!」
「あ、兄貴いい!」
「お前も来るなああ!」上手く左回し蹴りで烈正を突き飛ばした正伝。「はあはあ、俺の肉は消えても……魂までは消えない!」
「クソウ、ソリスや彼女のお腹の子供、それに正斗やソリア、そして」躯伝はこうも言った。「ソーラを悲しませるぞおおう!」
「そんな事は覚悟の上で俺はアアアア……なああ」それから正伝は心臓型に向かって助走を付けながら一気に飛んだ。「この道を選んだアアアア!」
 正伝の勢いで突き破られた心臓型--そして正伝の肉体は尚も耐え抜く心臓型の鋭い血液に依って原形も留めない程、滅裂にされた!
「ああああ、正伝様が!」
「兄貴……クソオオオウ!」
「……今から俺がお前のやりたい事を果たす!」
 躯伝は包丁を抜くと一気に疾風の舞・恵を以って心臓型に接近すると更に中心部に向かって縦一文字に斬り込む--その斬撃と共に拠点型内部で巨大な揺れと同時にこの場に居る全てのモノが光に包み込まれる!


(こうしてわしは十五森を支配する拠点型を討ち取った。まさか親より先に死ぬ子供が出て来るとはのう。全く世の中が好きじゃなくなる物じゃわい。少しは親が先に死ぬような世に成らないといけないじゃろうにのう!)

一兆年の夜 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る(三)

 四十九日午後十一時五十三分十八秒。
 場所は旧都六影中央地区神武聖堂跡。
 天同優央の間にて躯伝は座禅を組む。一兆年の神々と対話をする為なのか? 其れも正しい。だが、躯伝が座禅を組むのは他にもある。睡眠を摂る為? いや、睡眠を摂れる程の余裕が躯伝にはない。ならば何か? それは--
「クデンサマアアアアア!」躯伝の元に飛んで来るのは齢二十七にして六の月と三十日目に成るアデス九官族の青年臨兵キュー明。「マッタクネカセテクダサイヨウ、ミガモチマセン!」
「その前に何かを報告する為に命懸けで飛んで来たのだろう……キュー明?」
「ア、ソウデシタ。トソノマエニカルイショクジヲサセテクダサイ。オナカガヘッテシカタアリマセン」そう言いながら右足に括っていた髪を躯伝に渡すとキュー明は食事のある場所を尋ねる。「エットタベルバショハドコニアルノデショウカ?」
 躯伝はそれを軽く知らせると折り畳んであった手紙を広げる。それから食事する場所へと飛んで行ったキュー明。
(成程な。烈希れっきの奴は官僚に成るだけでは飽き足らずに不在中にガン造から様々な事を口に出して来るか。あいつめ、そこまで己の頭脳を過信するかのう。
 ンンと、続きがある。何、烈希は躯央くおうから出された現時点で難しい提示を全て叶える方法を思い付いた、と。それを記すには紙が大きく成り過ぎて、それ以降はキュー明から直接伝えて欲しい……とガン造とリリーエルは紙に伝えるのか。だがなあ、あいつでもここまでにどれだけ頭に入れてあるか。それと纏められるのか? 正直安心出来ない思いがあるなあ)
 それでもキュー明の伝達能力を信じる躯伝は最低限の食事を済ませたキュー明からそれ以降の事について聞く。すると信じた通りにキュー明は全てではないが、伝えたい事を全て躯伝に話した。話した内容は全て紹介しないが鍵と成る言葉だけをここに述べる。
 最初は首都の地下建設。これはもしも銀河連合が再び現時点での戦力では対応出来ない空から大量に降ってきた場合に備えてほぼ全国民を地下に避難して籠城又は別の場所に避難するという提示。これは現時点だろうと百の年より後であろうとも予算の関係性と環境の面も踏まえて実現は難しい。仮に理論で可能だと試算しても実際は無理な話というのは何処にでもあるのである。この話もその内の一つ。
 次は望遠砲の小型化して量産するという物。これは望遠砲の小型化に依り、今後の銀河連合との戦いを優位に進める上で重要な鍵と成る。現時点では北雄略のある職者が小型化あるいは連射化に成功。但し、連射化に関しては細かい作業を踏まえて値が大きく付きやすく尚且つ量産体制へと至らない。その為、連射式の量産はまだ先と成る。だが、それ以外ならば量産体制を整える工場の建設次第で後十の年より後には実現が果たせるとされる。
 三つ目が迷宮の洞窟の秘密基地化。これは提示する中でもどうしてそれを思い付いたのかが謎とされる物。確かに迷宮の洞窟は神々の中では秘境に近しい洞窟。其処を徹底調査して全ての解明が完了すると秘密基地化へと踏み出せる。だが、藤原バッ戸の日記にもあるように突然予想も出来ない現象が起こりやすい。幾ら日記に記された通り方角を示す案内札が立っていたとしてもそれだけで秘密基地化に成功したとは言えない。依ってこの提示は多くの学者や評論家の間では危険過ぎると判断される。
 最後がやはり全建物の要塞化。これだけは超広範囲の流れ星の群れが来る日までには絶対に間に合わない。理論上でもそう判断される以上は如何しようもない事実。
 これら四つの提示について烈希は類稀なる頭脳を以って理論上可能だと断言してゆく。だが、聞いた躯伝は流石に無理だとキュー明に伝えた。勿論、キュー明もこれは流石に難しいのではないかと烈希に口走った程。
「取り敢えずだ。キュー明よ、早速だが……その前に紙を用意しないとな」
「イエ、ジカニオネガイシマス!」
「いや、やっぱり言葉だけでは伝わり辛い事もあるのじゃ。お前を信じる俺でも時には誤って伝わると困るからのう。じゃから俺は念には念を入れるのじゃ!」
 ワカリマシタ--キュー明は紙を取りに飛んでゆく。
 その後ろ姿を見て躯伝は次のように思った。
(果たして俺はこれからも伝えたい事を伝えられるのかのう。年を摂ると段々物覚えも安心出来なくなる。俺は俺のままに話す事が出来るのか? 俺は安心出来なくて困るのう。
 んん--)
 た、た、大変ですぅううう--キュー明と入れ替わるようにしてメイリスは駆け込むなり、鋭棒を話して躯伝の呼吸音を高めてしまう!
「危ない雌の子じゃあ。心臓が止まるかと思ったぞう!」
「も、申し訳ありませエえん。ど、如何か許して下さああい!」
「ゆ、許すも何も、な、何があったのじゃ!」
「えっとですねえ。そ、そのですねえ、あああわああな事がああってえええ!」
「ま、まあ少し、落ち着いて、話を整理してから伝えるのじゃ!」
「ふううええん、御免なさああい。あ、あんまりにもあんまりなのでええ、わ、わ、忘れてしまい--」
「メイリス……慌てるなって!」彼女が心配で後からやってくる烈正。「あ、親父。実はなあ、俺から伝えるよう」
「ああ、頼む」
「兄貴が……一個中隊を連れて、えっと十五とご森と呼ばれる銀河連合の拠点がある森に向かったんだよ!」
「……何だと!」思わず、立ち上がる躯伝。「あの馬か鹿かわからんような息子め。如何せあいつは死んでいった仲間達の為だとか思って……全くあいつは!」
「わ、わ、私達は、必至、で、必死で、止めたの、ですぅ。で、でもおう!」
「兄貴は一度言い出したらこっそり抜けて行くからなあ……あの時だってそうだよ。如何して俺達に相談もせずに--」
「起こってしまっては仕方がない。取り敢えず、シドウシンを叩き起こすぞ!」
 躯伝は熟睡には程遠いシドウシンを大声を張り上げて叩き起こすと直ぐに緊急会議を開かせた。その会議時間は僅か一の時どころか半の時も掛からなかった。その理由は次のような回想で済まされる。
(既にシドウシンは祖父譲りの拠点制圧作戦を五つも考案したばかりだった。その中で穢れ払い走りの道の終着点である奇跡の彫像前までを含めた奪還作戦を二つも考案していた。流石に正伝が勝手に兵を挙げる所までは想定しなかったが、その内の十五森をどのように制圧するかの案を少し変えるだけで済んだ。後は正伝達腰砕け百名を救出する部隊は誰に指名するかだろうな。これについては……既に決まった事だ。
 問題なのはこの半の時で決まった事でも少し遅過ぎるという点だろう。それでも俺は家族を以って独立した後のあいつでもたった一名の大事な息子でもあった。どれだけ遅かろうとやらない訳にはゆかない。それが情という物じゃ。例えそれが間に合わない事であろうともなあ!)

 三月五十日午前十一時二分四十七秒。
 場所は十五森。
 拠点型外にて躯伝達五個中隊は到達した。其処で待つのは外で右腕一本に成ってまで戦い続けるイタトシロウの姿。
「イタトシロウウウウ!」躯伝が駆け付けなかったらイタトシロウは助からなかった。「間一髪だったのう!」
「ウググ……正伝様牙、中似、突入しました!」
「ふえええん、そんなああ!」
「兄貴は何名掛かりで拠点型内部に入ったんだ!」
「一分隊程……だ」
 尚、百名いた正伝の部隊は拠点型に突入した者達を除いて半分近くの四十名。幸い隊長格は全て無事だった。
「クウ、正伝様にもっと進言されておられるるば--」
「いや、カエ道彦よ。正伝はお前がどれだけ口煩かろうとも止まらなかっただろう」
「ウググ……ハアハア」左ひじから先がなくなり、切断面から漏れ出る血が滲み出ない程包帯を巻かれたイタトシロウも語る。「如何やら俺様端ここまでだ。後乃事端、頼みます……ウウウウ!」
「悔しいだろうが、恥じる事はない。無茶を見極めて誰かに頼むのも一流の軍者という者じゃ。そうゆう意味ではお前はまだまだ強く成れるぞ!」
「ははああ、有難きお言葉於」思わず男泣きするイタトシロウ。「うううう、心身似染み渡り、ます!」
「では……烈正よ。ここを頼んだぞ」
「いや、それはいけないな」烈正は首を横に振る。「俺は兄貴をぶん殴りに行く!」
「はあ、全くもう少し頭が良かったらのう……お前は何処までも難しい事を理解する頭脳を持たないなあ」
「其処は姉貴の務めだっての」
「わかった。だが、わしより先に行く事を……許さんぞ!」
「はいよう、わかった--」
「待って下さい!」
「ほう、烈正も罪な雄じゃのう」
「おいおい、お前まで行くのか? 何の為だ?」
「烈正様だけに抜け駆けは……許しま、せんから!」
 ……お前は俺と一蓮托生を決めたな、良し--と烈正はメイリスの同行を許した!
 こうして躯伝を始めとした救出班五名は拠点型へと突入!

一兆年の夜 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る(二)

 午後六時七分十一秒。
 場所は旧都六影中央地区中央官邸跡。
 神武聖堂の包囲網を突破した躯伝と正伝達百五名は避難させたと思われる中央官邸跡に向かい、辿り着いた。其処はかつて拠点型銀河連合だった建物。正伝がここへ来た当時では既に何者かの尽力で倒され、既に建物跡として残るばかり。再度拠点型として復活してもおかしくない状況で何が起こったのか? それは正伝よりも長く喰われた大地の中で生きて来た者達でも判明しない謎。そんな場所まで百五名は全員無事に到着した。
「親父、ここに俺の妻と二名の子供や……第四部隊の隊長と第五部隊の隊長の双方がずっと守っている」
「解放戦線が千名以上だったころは全部で何部隊あった?」
「偵察部隊等を除けば十二まであった。だが、親父たちが来る頃には既に六から十二まで全滅。今じゃあ百名も下る」
「辛かったのだな、わかるぞ!」
 そんな事言うな--と正伝は拒む。
「オイオイ、兄貴。親父は兄貴の為を思って言ったんだぞ!」
「其れでも聞きたくなかった。お袋の話でもすでに親父が孤立無援の状況で苦しんでいた事は知っていた……居ても言って欲しくなかった!」
「泣き言はまだ早いぞ、正伝。今はお前の家族と生き残った部下達の無事を確認するまで堪えろ!」
 全く大人ぶりやがって--と正伝は親に顔を向けない!
(反抗した時期があったかな? 親父とお袋が遅くに産んだから俺にはその時期さえなかったのかも知れない……かのう)
 そう躯伝が思いながら全員中へと入ってゆく。
 尚、建物は喰われた事があるとはいえ最大三階まである。実質三階は屋上と何ら変わりがない。剥き出しの状態であり、雨が降った際にはそこから二階へと雨水が流れ込む。その為、災害が発生した場合は三階に避難しないといけない。それだけ修繕が必要な建物である。
 その二階生活大臣執務室にて正伝の言う避難者が居た。だが、正伝の主張する柔名には程遠い。既に半数がやられていて、何時全滅するかわからない状況にあった。
「貴方、お帰り……えっと隣に居る御方はもしや」そこへお腹を膨らました齢二十一にして十一の月に成ったばかりの雄略人族の女性が二名の子供を抱きかかえて正伝の所へ駆け込む。「それが正伝のお父様なのですね?」
「ええ、じゃあ僕たちのおじいちゃん?」右手に抱えられるのが正伝の第一子で齢四にして三の月と八日目に成る神武人族の男児である正斗まさと。「わーい、おじいちゃんだあ」
「ふうん、ねえねえおじいちゃんって」少々頭の良くなさそうなのが正伝の第二子で齢二にして五の月に成ったばかりの神武人族の女児であるソリア八代。「おとうさんとなにがちがうの?」
「まあ、そうだな。お父さんのお父さんをお祖父ちゃんって呼ぶんだぞ……ソリア」
「どれどれ?」躯伝は自己紹介する前に正伝の妻ソリス十九世を始めとした五名の身体検査を行う。「おい、お前達も確かめるのじゃ!」
 その結果、五名全員に銀河連合が忍び込んだという形跡がない事がわかった。それから躯伝は自己紹介する。
「手荒な事をして申し訳ない。俺が新天神武第八十七代最高官を務める天同躯伝と申します。遥々解放戦線を救出する為に奪還軍を率いて足を踏み入れたのであります!」
「貴方が躯伝様……良かったわ、お陰で正伝さんが助かって」
「まさか……勝手な事を!」
「勝手と言わないで!」子供達を降ろしてから右平手打ちで正伝の左頬を引っ叩くソリス十九世。「意地を張るのはこれで最後にしなさい!」
「……言う通りだ。ここは感謝の言葉を述べないとな……有難う!」
「ウウウ、良かったわ……本当に良かったわ!」
 ソリス十九世は抱き締める。正伝もそれに微笑みで応じるように抱き締める。
「有難う、ソリス。お前は本当に最高の妻だ!」
 躯伝達が久方ぶりに家族談義を楽しむ中でイタトシロウ達は何をしているのか? それは奪還軍の者達が彼ら二名に挨拶をしていた。
「無事で良かった」齢二十五にして五日目に成る武内蜘蛛族の巨漢は第四部隊の隊長を務める。「私? 私は解放戦線第四部隊の隊長を務め、ソリス十九世の付き者を担当するナキアス」
「あたしはねえい、あたしはねえい」第五部隊の隊長を務めるのは齢二十六にして十一の月と二日目に成る武内山羊族の女性。「あたしは第五部隊の隊長を務めるエリフェラエルでえい」
「よろしくな。俺は天同烈正って言うんだ!」
「凄いですう、烈正様!」
「何だよ、メイリス!」
「如何してそんなに気軽に出来るのですか!」
「他者と話すのに何恐がるんだよ」
「ううう、烈正様が羨ましいですう!」
「と、突然泣き出すなよ!」
 烈正がメイリスを慰める間、カエ道彦とイタトシロウ、其れとビーダ七世は会話する。
「それにしてもかなりきついなッス。まだここは誰かがやってくれた分だけ空気は少し正常とはいえッテ」
「外乃生命似端喰われた土地端適応難しいよう妥那」
「それよりも拠点に置く筈の旧都六影がここまでやられてしまわれようとは……兎に角、カエ若彦は如何成られた?」
「申し訳ありません。彼は喰われました
 行方知らずの方がまだ良かろうに--と口にした後、涙を流すカエ道彦。
「如何やらブトン模チュウ八兵衛模ウシ蔵模雄作模死んでしまった那、この様子蛇亜」
 そう成るでえい--とエリフェラエルは認める。
 斯くして後少し救出が遅かったら助からなかった解放戦線の面々。だが、ソリス十九世が夫や子供達、そして仲間達の為にカエ道彦とイタトシロウ、そしてメイリスを送った事で躯伝がそれに応じて奪還軍を以って率いる事で漸く希望が叶った。
 それから三の時と十八の分より後に奪還軍本隊が到着して彼らは組み込まれてゆく。
(ここからが正念場だ。奴等にとって六影は一番の拠点でもある。それを奪還されたとあっては是が是でも喰い返しに掛かるだろう。そうすると現時点の九万二千程度では奴らの猛攻を止められない。ここは欲張りを諦めて暫くは防災として立て直しに掛からないとな。俺とシドウシン達新天神武奪還軍首脳部は全会一致でそう判断した。
 だが、正伝はこうゆう場合でも若気の盛りだ。この方針に強く反発した。わからなくはない。わからなくはない……けれどもそのせいで!)

一兆年の夜 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る(一)

 三月四十七日午前一時五分七秒。
 場所は旧都六影第一南地区。
 強行突破策は第一大隊と第三大隊が前面の銀河連合一個師団を相手に各個撃破を続ける中で話し合われる。そんな中で前線司令官シドウシンが異を唱える。
「あの数於御覧似成って下さい、躯伝様!」シドウシンが右手に持つ金棒を寝かせた状態で示す方角には一個師団の銀河連合が存在する。「しかもほぼ全て牙空中型出占められている状態出強行突破策端余り似模作戦成功率牙低い乃です!」
「じゃが、解放戦線の最高指導者である地同正伝を救うには余りこの数を減らす訳にはゆかない」
「そうじゃありません。この作戦出異於唱える本当乃理由似……躯伝様牙自ら出過ぎる事似ある乃です!」
 そうか……だが、このまま擦れ違っている訳にもゆかない--と梃子でも譲らない決意である躯伝。
「最高官出ある貴方様牙死ね芭ギガントル・ダッジャール乃理想端更似遠退く乃です代!」
「その時は正伝に意地でも継がせる。あいつはここで戦い続けた実績で十分なのだからな!」
「躯伝様、其れ出模--」
「止めておきましょう、前線司令官殿」とシドウシンの左肩に右手を乗せて諦観するよう呼び掛けるのは齢二十歳にして十日目に成る神武鬼族の青年であるカゲヤマノイタトシロウ。「やはり正伝様斗同じよう似意地出模強行突破中隊乃一員斗して前似出るよう妥那」
「若造が、お前も如何やら戦いが好きのようじゃのう」
「其れ端そうだろう。その為似俺様端正伝様乃誘い似乗った乃妥代……戦い乃申し子斗して生於受けるカゲヤマノ家乃一員斗して那亜!」
 全く本家本元端分断されよう斗模気性於改まる事端……永遠似ない那亜--と呆れるシドウシンだった。
「そうゆう訳で、シドウシン。お前にはここを任せる。俺達百名で正伝の救出に向かう!」
「わかりました……斗言いたい所です牙、躯伝様」
 ここでシドウシンは挫ける代わりに躯伝以外の九十九名を自ら選出する事にする。それは今闘う第一大隊と第三大隊、それから後を控える第二大隊と第四大隊以外から選出するという物。その選出にはシドウシンの右腕を務める齢三十六にして二の月と九日目に成るタゴラス駱駝族の中年林原コブ又兵衛の意見もふんだんに盛り込まれる。何故ならシドウシンが軍務大臣として仕事を果たす間は奪還軍の陣頭指揮は全てコブ又兵衛が行う。故にシドウシンよりも軍者を見る目がある。
 それから強行突破中隊は結成された。中隊全体を統括するのは躯伝。だが、二小隊を指揮するのはそれぞれの小隊長が務める。先ずは風穴を開ける小隊の指揮を執るのはカゲヤマノイタトシロウ。解放戦線第二小隊の小隊長を務め、更には正伝の左腕も務める実力者。この推薦はシドウシンとコブ又兵衛の全会一致で決まった。
 次に後方支援を担当する小隊の小隊長を務めるのは齢三十一にして一日目に成る雄略蜂族の中年にしてビーダ六世の甥に当たるビーダ七世。彼を推薦したのはコブ又兵衛。細かい視野と広い範囲での指揮を可能とする意思伝達能力を買われての事であった。
 尚、この中隊に入る者には齢二十九にして十四日目に成る藤原燕族の青年藤原カエ道彦や齢二十歳にして十二日目に成る武内人族の女性メイリスの他に躯伝の後を付いて来た齢十九にして七の月と十三日目に成る躯伝の第三子烈正も居る。烈正以外の二名に共通する所はやはり解放戦線の偵察部隊の隊長と第一部隊所属の傭兵である点だろう。解放戦線出身者である以上は何としても正伝の元に向かわないといけない。他にもそれだけじゃないと考えるのは躯伝。
(他にはイタトシロウも含めて部下の身を案じたり、部隊が如何成っているのかも心配だろう。たかが鮮明と言えどもされど大事な千名。思い出すなあ、南雄略で頼りを期待せずに戦い続けた日々を。ゴリン兄弟には借りがある。その借りを我が至らぬ息子の正伝に返さないといけない。あいつもきっと援軍を頼らずに自分達の力で逆らう境に抗うと俺は思うのじゃ。
 今こそ返す時じゃ!)

 四十八日午前五時二分一秒。
 場所は旧都六影。中央地区廃神武聖堂。天同優央の間にて。
 解放戦線の五名は取り囲まれた。千名居た兵力は日を追う毎に減少傾向にある。中心に立つのは解放戦線の総司令である齢二十四にして八の月と十五日目に成る地同正伝と名乗る左眼と右腕を失った青年。彼の家族は既に至る場所に避難させていて問題はない。問題なのは左手に持つ雄略包丁は既に刃毀れを起こしており、一回では銀河連合を倒す事が出来なくなる。
「正伝様、囲まれましたナア」正伝の右手側に立つのは齢二十二にして十一の月と三十日目に成るテレス熊族の青年にして解放戦線第一部隊の隊長を務める右腕の真鍋ベア九斗くと。「イタトシロウと別れたのが判断の誤りでアルゥと考えますナア」
「五月蠅いでスス、文句の多いベア九斗ヨヨ!」ベア九斗の隣に居るのは第一部隊の副隊長を務めており、齢二十四にして二十四日目に成る大陸藤原猪族の女性藤原イノ世。「全くあんたみたいなのが隊長務めるのが間違ってるヨヨ!」
「又イノ世カア。何時も何時も俺に何か言いやがっテエ--」
 待てっぜ、お前達は少し静かにしないっがん--そう宥めるのは躯伝の左手側にて四本足でしっかり立つ第三舞台の隊長を務める齢三十三にして二の月と八日目に成る応神鰐族の中年ヤマビコノアリーゲルドス。
「アリーゲルドスの言う通りッツ、二名共大人気ありませんッツ」相槌立てるのは第三部隊の副隊長を務める齢十九に成ったばかりのエピクロ鹿族の少年シカッド・ムーシ。「だからこんな目にッツ!」
「お前ら静かにしろ。俺がここで終わる訳がない。俺達新生国家神武が道半ばで果てる筈がない!」
「チッツ、近付いてきたッツ!」
「如何して援軍を呼ばなかったのですカア。そしたらこんな状況に成らずに済んダアノに!」
「誰が呼ぶかよ。読んだら……結局俺は親父に頼らなきゃ何も出来ないと証明してしまうだろうが!」
 正伝はまだ意地を張る。例え左眼、右腕を失おうとも最後まで父親とは違う道を貫こうと覚悟を決めていた。
「全く救われませんでっがん」
「まあッツ、其れが正伝様の貫きたい意地でしょうねッツ」
「ああ、こう成ればもう停められないんダナア」
「まあ意見が揃っタタ。其れじゃああの世まで一直線ですネネ!」
 あの世……勘を違えるなよ--正伝は諦めずに鼓舞する!
「いいかい、意地でも死ぬのではない。俺達は後悔する為にこの道を選択したのではない。後悔するなら初めからこの道何か捨てるのが筋という物!」正伝は誰よりも先に踏み出す。「一度決めたら最後まで筋を通せええええい!」
 正伝は足技も駆使した独自の舞と得意とする疾風の舞・弥に依る攻撃重視の戦法で刃毀れを起こそうとも刃が何回欠けようとも兎型、羊型、犬型、そして猫型の計四体を他四名が動き出す前に仕留める。
 だが、流石に隻腕から来る予想しやすい動きのせいか……逆に熊型に後ろ足で左足を引っ掻けられて前右足の爪に依る突き攻撃を繰り出される--
 とその時、隈型の右前足に深々と物部刃が刺さったと思ったら次の瞬間には隈型の首は天井に突き刺さる勢いで刎ね飛んでいた!
「な、俺達の中に望遠刀を扱う生命は居なかった……まさか!」
「いや、首於刎ね飛ばすだけ乃」正伝を庇うように鬼族の青年が金棒を振り回してその場に居た銀河連合を叩き飛ばした。「斬撃能力於備える生命端正伝様以外出居ません那!」
 正伝はその斬撃を繰り出した生命の髭を見て……「何しにここまで、来たのだよ!」良くない態度を吐く!
「助けられておいてその口振りはないだろう……正伝」
 十一の年ぶりの再会を果たした素直じゃない親子であった……
(これはまだ甘い最下位だった……これから待つ悲しみに比べたら、な!)

一兆年の夜 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る(序)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月九十日午後十一時四十分三十二秒。

 天同躯伝くでんは密かに七の地に戻る。彼の中でこんな事が浮かばれる。
(今日は体が軽いのじゃ。だからこそわしは体が軽い内にここへ戻り、それから一生を終えるのじゃ。まあその前に先客が来ているみたいじゃのう)
 先客とは齢二十九にして十一の月と五日目に成る神武人族の青年。彼は青き眼を輝かせて躯伝が来るのを待っていた。
「やあ、父さん。こっそりここまで来たよ」
「血は争えんのう。わしの良くない所まで似て更には一番上の兄正伝せいでんのそうゆう勝手な所まで似たのう」
「まあ何となく一兆年の神々が御知らせしてくれたのです。父さんはもう直ぐ……本当は言われた通りに様々な行事を熟す予定だったけど、ね」
「又、躯佐くさが愚痴を零しているのう」
 いえ、躯佐姉さんに背中を押されたのもあります--と正直に話す青年。
「まあ良いじゃろう。さて、放すのは日を改めてからにしたい」
「いや、今からお願いします。でないと父さんは直ぐに想念の海に旅立ちそうなので」
「早合点したい年頃かえ?」
「頼みます。そろそろ体が重く圧し掛かる頃合だと思います。そうすると間に合いません。なので如何かお願いします」
 わかったわかった--青年の意外な押しの強さに圧倒され、躯伝は語り始めた。
 躯伝が語るのはガンジャーに初めて語ったソーラ六代との出会いから正伝達解放戦線の一部が助けを求めてそれに応じて前々から結成していた奪還軍を始めて動かした時までを。そこまでは時間がないのか、僅か一の時と十一の分で済ませる。
「ここまでが最高官に成るまでの経緯ですね」
「そして次からは……ゲホゲホ!」右手で口を抑えて席をした躯伝は掌に……「クウ、そろそろか?」付着した大量の吐血を見て覚悟を決めてゆく。「ここから先は用意した棺にわしを入れながら聞く、のじゃ!」
 いえ、それは聞き終えた後に時間を掛けてやらせて戴きます--と青年はそれを断った!
「相変わらずじゃのう。するとララバイは大変苦労しているじゃろうなあ」
「妻の話は止めて下さい。今は自分の話に精力を傾けてくれますか、お父さん!」
「全く真面目な奴じゃのう。それじゃあ可愛い息子の為に傾けるとしようか」
 それから躯伝は語り始める。
(段々痛みも感じなく成るのう。これが……親父が死ぬ直前まで味わった死の痛みか? だとするなら俺は如何すれば良いのじゃ--)


 ICイマジナリーセンチュリー二百二十三年三月四十七日午前一時二分十一秒。

 場所は旧都六影。かつては第一南地区と呼ばれた地。
 新天神武奪還軍は群を動かして一の週もの間、間断なき戦いに身を投じて兵力の約五分を失う程の被害を受けながらも遂にかつての真古式神武の新都に足を踏み入れた。
(ここまでに五分に等しい軍者を死なせてしまった。やっと正伝が籠城すると思われる新都に辿り着いた。だが……到着して早々にこちらの戦力の凡そ一割にも満たない数が迎えるようだな。しかも内容が全て空中型ばかり。少々、陸上種族には荷が重いな。まあ……ここは俺とイタトシロウ、それにこっそり付いて来た烈正れっせいを始めとした凄腕共で強行突破する。俺が居ない間の指揮はシドウシンに任せる。その為にあいつが居る。あいつは祖父と同じく意外と柔軟に対応する物じゃな。違いは普段は大人しいのがシドウシンじゃが、荒々しいのが祖父のシレンデンじゃ。
 そうゆう訳でやるぞ!)
 齢四十三にして二の月と八日目に成る躯伝は自分達計百名規模の中台で正面突破を図る事を告げる。これに異を唱えたのが齢四十にして九の月と十八日目に成る神武鬼族の老年にして現軍務大臣兼前線司令官のヤマビコノシドウシン。
 彼は至極真っ当な意見を述べる。それは--

時事ネタが出来ないので悪法だと思われる物だけを挙げよう

 如何も最近二回は雑文を投稿する癖が付いたdarkvernuです。
 始める前に『格付けの旅』が更新されましたので読まれたい方はカテゴリ欄の<格付けの旅>又は<赤魔法の章>をクリック。
 早速始めましょうか、悪法と思える物だけを。

 外国人参政権、人権救済法案、ヘイトスピーチ法案、そして皇室典範改正法……これらは全会一致で悪法。何故かはこれから説明する。先ずは如何もアンチジャーナリストの竹田鉄也です。読み方は確かにそう聞こえますが、漢字を見ればわかる通り戦う皇族さんと金八先生を足して二で割った名前ですが……無関係ですぞ。
 さて、先に挙げておくが四つとも成立すらしていない物。なのになぜ悪法なのかを説明しよう。外国人参政権は……要するに見ず知らずの他人が勝手に家に入り込んでその家の方針に一々口を出すような物だぞ。これが罷り通ったら如何成る? 瞬く間にその家は勝手に入り込んだ他人の物と化してしまう。それを考えるとこんな法案を通しては成らない。
 人権救済法は……何を以って人権を傷付けられたと定めるのか? 例えば日本語で声を掛けただけで人権を侵害されたとされたら如何成る? これは幾ら何でも有り得ないだろうと思われるだろう……だが、思い出して欲しい。龍が如く極2の記者発表で木下丈一郎があの発言をした際に一斉にそれに関連した連中が差別発言だと騒いだ事を。あの発言はあくまでミサイルを撃って来る国に対して彼らの為にもどうか打たないで欲しいと言っただけだ。ところがこれに過剰反応してさも差別発言するのが在日である。そう考えるとこんな法案が通ればいちゃもんだって通じ、国中が混乱の渦に巻き込まれるのは目に見える。絶対に通しては成らない。
 次にヘイトスピーチ法案だが、これは既に一部施行された法案。但し、その内容は実に不公平である。何故なら一部の外国人には適用されるのに日本人がヘイトを受けた場合は何も適用されない。こんな事が罷り通ってはいけない。これこそ形を掛けた差別だと言えよう。これがもしも本格的な法案に成ると如何成るか? 益々日本人差別は加速するだろう。只でさえ日本人差別の酷い連中を保護した法案だ。本格化すると最早ネットでの書き込みだって不当に摘発されるだろう。そうゆう訳でヘイトスピーチ法案は一旦廃案にして今度は公平に差別したら罰せられる法案にすべきでしょう。それが本当に正しいヘイトスピーチ法案でしょう。
 最後はやはり皇室典範改正法案。これはあくまで女系天皇を通そうとする事を盛り込んだ場合の話。これが成立すると愛子様が仮によしふすたーりんの息子と結婚した場合……よしふすたーりんが上皇として君臨するという悪魔の家系図が成立してしまう。これは流石に止めないと駄目でしょう。それと同じように原田左之助(仮)の息子が愛子様と結婚すると陛下に向かって勝手に手紙を出したあの阿呆が上皇と成る事態に陥る。これは阻止しないといけない。事実、足利義満はそれを狙って将軍よりも更には天皇よりも上の位である上皇を狙おうとした。だが、天罰が下って義光の野望は夢半ばで倒れた。前々から対立していた義持は義満の良い所だけを取り入れ、上皇に成ろうとした天皇家への取入れを完全に阻止しただけでなく弟を抹殺までしたからな。逆に藤原氏はあくまで朝廷内の地位を盤石にするのであって本気で天皇よりも上の位に成ろうという野望までは至らない。まあ、道長は晩年娘達の相次ぐ死を目の当たりにして頭を丸めて最後は念仏唱えたまま死んだという哀れな末路を送ったが。まあそうゆう訳で皇室典範改正法案は絶対に通しては成らない。通せば男系の連続性は愛子さまに依って途絶える事と成る。こんな家系に成れば国民の誰もが天皇家に取り入れようと躍起に成って崇拝するという伝統は影も形もなく成って日本は自然消滅するだろう。事実、小林よしのりを始めとしたパヨパヨチーンの狙いは其処であるのだから!
 さて、冒頭の奴はここまでにしよう。次にやるのは悪法に成りそうな法案について作者は次々と上げてみようというコーナー。先ずはやはり試作品でも紹介した賭博抹殺法と引き延ばし法、それから最近紹介した完全投票法。
 賭博抹殺法はまあ後々語るとして引き延ばし法は所謂創作の自由を侵害する訳だな。これやると何が起こるか……そりゃあやっぱこち亀スタイルの漫画ばかりが蔓延する。だってワンピースみたいな作品は下手に展開出来なくなる。はじめの一歩だって即打ち切られる。こんなの通ったら一体どれだけの漫画やアニメが法案に違反したとして打ち切られるか……これも賭博抹殺法含めて後で試作品やらでやると思うので待て。
 完全投票法というのは投票率の低いのを解消する為に成立したというシミュレーションで考案した物だ。これの何処が悪法かって……社会主義だろ、これ。北新羅じゃあるまいし、成立したら選挙に行かないだけで逮捕されるのだぞ。これは流石にやり過ぎだろう。別に寝たきりだったり、インターネットでの投票も出来ない程だったら無理して行かせる必要もない。今日の大阪府みたいな天気だってそうだ。期日前を忘れて荒れ狂う天候の中で投票しに行くなんて流石に勧めない。命よりも選挙が大事だなんて狂気は勧めない。選挙だって投票の自由はある。それは保障しないといけない。そうゆう訳で完全投票法も結局は悪法にしか過ぎないのだ。
 まあ他にも考えられそうな悪法は……仇討法、禁煙法、昔アメリカでやった禁酒法、銀英伝でお馴染みの優性種法、マスメディア統制法、禁書法……これくらいだな。
 仇討法は世にも奇妙な物語でもあるように下手に遺族に仇を討たせる事が危険かを知らしめた法案だ。これでは死刑制度の意味がない。死刑はあくまで遺族の願いを、これ以上の殺人を食い止める為の意味を籠めた刑であって仇を討つ事を有難がる物ではない。もしも仇討法が成立したら大半の遺族は報われるか? 否、逆に修羅道に走るぞ。こんな法案じゃあ死刑制度の代わりに何てならない。逆に殺人衝動が芽生えて第二第三の事件を誘発する事に成る。なので死刑制度の意味も踏まえて成立してはいけない法案だ。
 禁煙法は……禁酒法同様にマフィアを勢い付かせる危険な法案だ。煙草だって吸わないに越した事はないとはいえ、それを吸わないと己を維持出来ない物だって居るし、それしか楽しみがない者だって居るのだぞ。それを何でも禁じたらそれこそ本末転倒だ。マフィアが思うように我が物顔で闊歩する暗黒時代の到来だよ。それだけは防ぎたい為に禁煙法と禁酒法は悪法だ。
 えっと優性種法とマスメディア統制法は……幾ら憎かろうと流石にギレンやルドルフみたいな事やったら暗黒時代と変わらなんだろう。オーベルシュタインみたいな人間を招くぞ。
 禁書法はあれだ。それこそ言論の自由を封鎖しているような物だ。自由の為にもこれは通してはいけない。読みたい物を読めずして学問の発展は有り得ない。
 そうゆう訳で悪法とは何かを紹介して来た。まだまだ悪法に成りそうなやつはここに挙げていない以外にもあるかも知れないが、私が出来る事はここまでだ!


 という訳だ。もう一つ補足すると表現規制法やらポルノ法も悪法だぞ。表現とやらは流石に美味しんぼや小学八年生みたいな悪辣な物は首を傾げるが……だからって何でも表現を規制すれば良い物じゃない。表現とは解放してなんぼだ。あんまり規制すると新規参入が益々難しく成って似たような凡庸物ばかりに成るぞ。
 後はポルノ法だな。エロいのが何がいけない。エロは生命エネルギーだぞ。エロのない人生はそれこそ皮と骨だけのつまらない人生。実際にエロなしだと平均寿命は大きく下がるぞ。それから逆にエロを規制すると確実に性犯罪は爆増するぞ。事実、ポルノ法が厳しい国々の性犯罪率の高さときたら……そう考えるとエロこそが性犯罪を減らしていると思い、感謝しないと!
 という訳で悪法の解説をここで終える。

 にしても天気が悪すぎる日に投票に行くのは危険過ぎるな。事前の期日前投票促しは正しいと言えるな。だって投票しに行って死んだら溜まった物じゃないだろう。行く末を見届けるのも有権者の使命でもあるというのに。
 という訳で今回はここまで。ドラマでの仇討はあくまでドラマの話。実際にやって心が明日に向かうかは……修羅道に陥る確率の方が高いので如何かやらずに法の裁きを静かに願おう!

自分は関係ないとどっかのキャラみたいにほざく奴が国を亡ぼす

 如何もdarkvernuです。
 早速グレーゾーンから攻めていきましょう。

 俺の名前はノンポリ。しがない無政府主義社さ。今回の選挙がサイボーグの何たら解散なのかどうかなんてこの際どうでもいい。俺にとって誰が成ろうとも生活は変わらない。そう思っている。大体選挙なんか行かないし、何で選挙に行かなきゃいけない? あんな偉そうに演説している連中に期待した所で何も変わらない。何も変わらない。
 それから俺はどんなに国政が酷い物に成ろうともどんなに生活が苦しい目に遭おうとも無関係で居た。選挙だって行かないようにした。興味ないし、只これだけは筋を通した。政治に関しては一切口にしない。政治に興味ない以上は如何でも良いし、投票する気なんて少しもない……ところが!
「貴方、確か十五年連続無投票ですよね?」
「え、この手錠って何?」
「無投票罪で貴方を逮捕します」
「いや、投票は個人の自由だろ?」
「其れがそうもいかなくなりました。詳しい話は署まで同行を!」
 気が付けば俺は悪法の片棒を担ぎ、自ら足下を掬われる事と成った。そうなのだ。俺達は無投票を格好良いと勘違いして政府に対して完全投票法を施行させてしまった。そういえば最近頻繁に憲法改正が為されている事に全然気づかなかった。あれは俺達みたいな投票もしない人間を罰する為の下地を作る為だったのだな。憲法違反だと指摘を受ける事を阻止する為だったのだな。何と愚かな事をしてしまったのだ!
 良いか、みんな。政治に興味がないなんて言うな。無投票を貫く事が良いとか思うな。それは即ち俺達を罰する悪法を作る温床にも成るのだ。確か彼の一万円札のおっさんは言ったな……国民が馬鹿だと政府は規制を強化する……という事を。そうだ、俺達は無投票という名の馬鹿な行為をしてしまったんだ!
 如何か選挙に行かない者達よ、悪性の蔓延を止める為に如何か選挙に行こう!


 という訳で選挙の重要性を表したショートストーリーをお届けしました。これはあくまでどの政権が獲ろうとも何時までも低投票状況が続けばこのような法律が作られるかも知れないぞ。だから馬鹿野郎共は自分達の生活の為にも選挙に行け……後、補足すると白紙投票は駄目だぞ。これははっきり言って国を脅かす勢力を喜ばせる行いだからな。本当に自分達の生活の為にも何処何投票するように。ああ、因みにどこに投票しろって言うのは……選挙期間中の為、紹介しないぞ。但し、これだけは言おう。今の日本に必要なのはどの政党なのかを真剣に考えろ。票とは確かに塵の一つだが、努力マン曰く塵も積もれば山となる。オオタコウイチロウ曰く一つ一つは火でも二人そろえば炎と成る。要するに一票とはその為の布石だ。それを忘れないように!
 以上でショートストーリーの解説を終えます。

 第八十七話の解説を始めようか。と言っても直ぐに思い付けないのだよな。まあ少しずつ思い出してゆくと躯伝は旅の途中でメランコリーナが死んだわけだ。その悲しみを抑える為に能力を失う事と成った。それからメランコリーナの代わりとしてミリットが来たわけだが、パオのが死んだ時の戦いで銀河連合が体内に入って死亡フラグを立てる。そして迷宮の洞窟にて見事にフラグを回収してしまう訳だ。ここまでが前半。
 後半は最高官と成ってまあだらだらと時間が流れるかと思ったら長男坊が一時帰宅する御知らせに依って救出作戦に身を乗り出した所でこの話はおしまい。うーん我ながらに陳腐だな。後はまあ、住居は普通の豪邸から代々の天同家が良く暮らす神社仏閣のような建物に移ってゆく訳だ。やっぱなあ、神聖な存在はそこを住まいにしないとな。え、何でって? それが父方を辿れば必ず初代仙者に到達する天同の雄だぞ。ジョジョの家系でもないのだからその神聖さを保つ為にもそうゆう所で暮らすのが普通だぞ……って説明に成ってないか。
 とまあ今回も解説らしい解説に成らずに第八十七話の解説を終える。

 ではでは恒例の奴を如何ぞ。

     十月二十三日~二十八日    第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る      作成日間
       三十日~十一月四日    第八十九話 気球に乗って五日            作成日間
      十一月六日~十一日     第九十話  一週間地底旅行             作成日間
        十三日~十八日     第九十一話 必死の逃亡者達             作成日間

 十一月は緩やかな速度でやるぞ。だからそこまで必死に成る必要もないのだよなあ。だって一日に発売する日本初(多分、勘違いかも知れないが)のオンラインを舞台にしたRPGセカンドシーズンのVOL4が出るのだからな。ジョジョゲーやら何やらやSAOの台頭ですっかり影が薄くなったあのサイバーコネクトツーが出世した作品だからな。ぴろしも只でさえうざいのにこれで舞い上がり過ぎたからこそジョジョ格ゲーで盛大にやらかしてしまったのだなあ。サイバーコネクトツーのワンマンぶりも少しは改善して欲しい物だ。ワンマン社長は幾ら上が優秀だろうと結局は部下がまともに育たなく成る温床だからな。まあその点、レベルファイブはまだ、日野自身……うーん、あっちも同じかもな。
 という訳で今回はここまで。これも含めて幾ら政治系ブログが必死に投票呼び掛けても行かない奴は行かないだろうな。全く、ショートストーリー通りに投票を強要する悪法が出てきたら如何するんだよ。それを招いたのは結局投票しない連中のせいだろうが!

試作品 お金様 再び書くだけ書く試作品(8/5)

 如何も泥酔状態のdarkvernuです。
 これが更新病か……えっと『格付けの旅』が土曜日に更新されましたので読まれたい方はカテゴリ欄の<格付けの旅>又は<赤魔法の章>をクリック。
 さて、出来るだけやってみよう。

 50番と呼ばれる男のお蔭で俺達は第三回目が始まるまで日に一社は訪れる事が出来た。恐らくあの交渉者の人外いや神外な戦力に恐れ戦いて了承したのだと思う。ほら、外交の絶対条件の一つに力ってのが。力は持てば持つほど相手を戦かせる力を持つのだから。
 そうゆう訳で俺達はその内の一つであるY市にあるゲーY支部に訪れる事が出来た。支部長の名前はP。社長と面と向かって話をするのは……俺だった。俺はSSに指名されて代表を任された。
「君が代表かね。てっきりあの伝説のSSさんが代表をするのかと思いました」
「俺もそう思いました」こうして正直に言ってしまうのが俺の良くない所ではある。「あ、そっちではありませんでしたね」
「まあまあ、若い内は幾らでも困難が待っている物ですよ。ところでAさん」真剣なまなざしで俺を見つめるゲーY支部長のP。「君は如何ゆう意志でそのマネーバスターズに入ったのですか、お聞かせ願います!」
 この圧力……これが支部を任される物の圧するエネルギーか。そうか、そこまで必死なのか。俺はずっと逃げていたのかも知れない。
 段落を変えて俺の心情を少し語ろう。俺はずっと逃げていたのかも知れない。支部長の発するエネルギーを肌で感じ取るまで。俺にとってお金様に囚われるのは如何しようもなく大昔の学生時代を思い出される。先生に反抗する事が、学校に反抗する事が正しいと勘違いする野郎共への苛立ち、時たまお金の話を持ち込む卑しい教師の姿に対して。俺はお金の話をする事も先生の悪口も学校の悪口も如何しようもなく許せなかった。奴等には誇りも欠片もない。学校は遊ぶ所じゃない。勉強する所だと何故気付かないのかってな。それだけに会社員に成ってもずっと我慢して来た。反逆する事が格好良いと勘違いする連中に。不良根性が格好良いと勘違いする連中に。お金の為に動く物だと勘違いする馬鹿野郎共に。しかも欠点の論いも酷い。一生懸命やる事に査定を付けろだと、こんな事しても金に成らないだって……働く事に何故対価を求める。俺はそんな事の為に人は生きているのではない。対価を求めるくらいならお前ら全員原始時代に飛ばされてみろってな!
 少し段落を変える。俺は許せない。お金の為に人の心を無視する連中を。その癖、しがみ付く根性だけは上出来で餓鬼みたいに欠点を論う事だけは出来る……そんなの幼稚園児でも出来る事だ。しがみ付く位なら少しは粉骨砕身の精神で会社に対案の一つや二つを大声で言ってみろっての。出来ない癖に会社の……いや、所属する組織の悪口だけは一丁前に語れるよな。其れなのに弱者に対しては平然と叩く事が出来るのは何故だ? お前らが弱者だと思われたくない臆病者だからだろう。舐められる事を怖がる臆病者だからだろう。俺は違う。違うからこそ辞職届を突き付ける事が出来た。お金様にj反逆する意志を貫く事が出来た!
 おっと如何如何。俺とした事がつい熱く成ってしまった。如何も幼少の頃のトラウマが鬱憤が前に出てしまった。反省しないと。えっと今は……「成程、随分溜め込んでいたのですね!」いけね、口にしてしまった!
「いやあ、あれですよ。まあまあ、これは何、その、俺個人の--」
「いや、本音を隠して溜め込むのは却って健康に悪いでしょう。君はお金の為に生きる事を許せない考えであるのが良くわかりました」
「いや、ま、まあ、その」
「何を勘違いしているのですか。いや、感心しております。如何して君みたいに純粋に対価関係なしに行動できる人間が少ないかという現実を」
 そうか、支部長さんも溜め込んでいるのだな。まあ聞いとくか。
「別に私はカウンセラーではありませんので君も部下と同じように他人事でしか見る事は出来ません。ですが、君の存在が私に希望を齎した事は事実でしょう」
「希望? それはどんな所に希望を見出したのですか?」
「その名誉もお金も何もかも人の為に尽くす精神ですよ。日本人が忘れてしまった尽力の精神……君は持っています」
「ああ、そうか。でも追い込まれたらお金に頼る事だってありますよ」
「其れでも君はお金にありつく人間よりも真っ当に生きているように思える。君のような人間はこの世の中、いや……日本中探しても見つからない。日本人は忘れていたのだ。本当の日本人ならお金などという世俗的な物に頼らず、己のやりたいように真っ直ぐ生きるという事を!」
「支部長殿!」
「良いだろう。君達マネーバスターズに三人送ろう。彼らはまだ右も左もわからぬ若者達。どれも独り暮らしでお金が喉から手が出るほど欲しいと思って居る者達だ。その者達に教えてくれ……本当に必要な心構えとは何なのかを!」
 交渉は思った以上に呆気ない。これで良いのか……と俺は思った。だが、それが支部長が欲して已まない日本人の自己犠牲と忠義を尽くす弛みのない精神というのであれば俺は、この御都合主義を喜んで引き受けよう!
 こうして思わぬ感謝に依り、ゲー社Y支部を始めとした五社の内、僅か二社から計五人の教育を任された。それがお金様打倒の為だったら俺達はやるしかない!
 だけど俺達は気付かない。『ビットマスタークラウン』はこうしている間にも破竹の勢いで勢力を伸ばしている事を……


 という訳で『お金様』をお送りしました。後二回か或は一回でブログ版は幕引きと成りましょう。次回からは

 引き延ばし法

 をお届けします。まあまだ先だから気長に待っていいぞ。

 という訳で今回はここまで。酔うと作業は進まない。作業する場合は正常な状態でやらないとな。

試作品 お金様 再び書くだけ書く試作品(7/5)

 如何もポップミュージックでも一般大衆が聞き慣れる物よりもアニソンやゲーソンが大好きなdarkvernuです。
 何故一般大衆向けは好きじゃないのかって言うとやはり……如何でも良いから。
 そうゆう訳でお金様を始めまーす。

 午前九時……点呼が始まる。それに依るとDは何とか新人を六名程確保して彼らに向けて一時間後に講義を始める。講義は二回に分けられるがどれも俺達が出る幕はない。全部Dが行うそうだ。そうゆう話をしている中でLが質問をする。
 Lが質問するのは「一回当たりの講義時間」の事。するとDは答える……「五十分」と。
 まだ質問は終わらない。今度はSSが質問をする。SSが質問するのは「十分休憩の有無」について。これに対してDは答える……「一回目と二回目の間に挟んだ」と。
 つまり合計二回と一回の休憩を合わせて正午前に講義は終わる予定。それについてC´はこう質問する。「それで意識は変わるのか?」と。これにはDも気まずい様子でこう答える……「本当は大学の講義並にしたかったけど、予算が足りないのよ」と。
 予算の問題か。確かにセミナーだけでは俺達の財政状況は改善出来ない。俺達にも給与は支払われている。ブラック企業みたいに組合費等でピン撥ねする訳にもゆかない。それは実に厳しい。これが資本主義なのか……新規参入組が何とかしないといけないのはやはりお金か。俺は改めてお金様を呪った。
 さて、質問コーナーが終わった。俺は代表としてDにK府のY市まで遠足する旨を伝える。するとDは了承してくれた。了承した理由は懐が大きいのではなく、「だって君達は碌に募集も出来ない。少しは遠足の一つや二つくらいやらないと名声を得られないわ!」との事。
 そしてDは抗議会場へと向かう為にアーカム基地を出た。残された俺達は負け犬の如く愚痴を言い合う。
「あの女は本当に許せないな。自分は出来るからって何時も何時も俺達を見下しやがって!」
「空しいぞ、C´。事実、Dの言う通りだ。結局俺達は狭い場所で活動しているだけで何の成果もあげられないじゃないか……だよな、SSさん!」
「まあ、そうでしょうね。やはりサラリーマンと言えば成果を上げる為に狭い道を辿るの……ではなく、広い道で活動するのです。そう言った意味でLさんは大した物ですな」
「は、ははあ」
「畜生が、絶対にあのメメメ顔のDには」メメメとは忍者のYOMI及び勝手にしんどばっとの冒険に出て来るセレン何とかの声優を務める美人の事を指す。「絶対に目に物見せてやるぞ!」
「ところでメメメさんとは誰です?」
「ああ、C´は前にも説明した通りサブカルチャーに詳しいのだよ。だから余り深く入らなくても良いぞ」
「まあ最近の声優はアイドルみたいな活動をしてますねえ。まあ私の世代の声優もそうですけど、あの情けない男で有名なアフランシの声優は元々俳優でしたので--」
「いや、SS。そこまで求めていないから!」
 C´とSSが組み合わさると一般人が立ち入るのが難しい領域へと入る。だからこそ一応一般人の俺と新聞とテレビをこよなく頼るLがストッパーとして機能してゆく訳だ。
 そうゆう訳でいざK府Y市に行くぞ!


 さて、少し休憩を取ろう。謝罪する事がある。πとSS(エスチェット)を間違えた。催眠術の方がπで別名の方がSSだ。今更ブログに出してしまったものは仕方ない。商業用で前篇やFC2小説版と読み比べながら修正を加えますので如何かお許しを。
 では一応謝罪を済ませた所で後半へ続く。

 K府Y市とはK府で有名な工業団地。家具団地から直接工業団地に入る事だって可能だし、或は……おっとこれ以上の紹介は必要ないな。
 そうゆう訳で俺達は国道に入る。しかも全員自転車でやって来るというアグレッシブな活動をして。
「爺さんもよく保つなあ」
「何、長年の会社通勤は必ず自転車でやっていた物だよ。最近は少し目が霞んで寒さ防止のゴーグルをつける余裕もないがね」
「いや、ゴーグルはそうゆう時に使う物じゃないだろ!」
「いや、指摘する所は其処じゃありません。如何してSSさんは速いのですか!」
「確かに思ったな。幾ら年を摂り、通勤は自転車でも俺が息を荒くするなんてさあ」
「何、私はこう見えてかつては危うく『爆煌雷』と別名が付けられそうに成りましたね。失礼にも程があるな」
「え、自転車乗りにそんなキャラが居たの? てっきり俺は『御堂筋翔』かと思ったな」
「あれですか……あんな気持ち悪いポーズと表情をした一年生と一緒にしないでくれますかね?」
「正直俺には競輪漫画は良く知らない」
 只知っているのは『爆煌雷』ってプレイノアに成る前のあの会社が作った格ゲーの主人公じゃなかったか? 正直、どんなキャラクターだったのかを忘れてしまった。てっきりあの黒曜石の事かと思って……って自転車に乗ってないな。
 ってそんな無駄話をしにY市を訪れたのではない。俺達は組織の安寧を図る為に少しでも仲間を探しにここまでやって来た。そうだ、その為に自転車に乗ってここまで来た。俺とした事が又しても無駄話を挿入してしまった。ってな訳で次からはY市活動の一部を紹介しよう。
 先ずは不審者と思われないように人が集中する箇所を避けて人気の少ない箇所を徹底的に絞る。例えば繁盛しない喫茶店やレストラン、それに八百屋等……結果は散々!
 次に始めるのは張り紙の張られていない一軒家を全て回り、ポスティング。勿論、ポスティングを極度に嫌う地域はちゃんと調べる。やれば必ず通報し、お巡りさんに尋問を受けるからな。それも……ある一軒家の人間がポストの中から俺達の分だけを丸めて家の中には居るのを目撃し、断念!
 最後はやはり工業団地の一つ一つの企業に売り込む。だが、これにはあるルールが存在する。売り込みを事前に行わないと締め出しを受ける事に成る。企業も又、法を守るからな。そんな訳で俺達は弱小しか尋ねる事が出来なかった。どれも俺達みたいな如何にも怪しい奴らが尋ねて来る物だからカルト宗教か何かだと思って対応する訳だ……当り前だよな。マネーバスターズだなんて普通の弱小企業は恐くて相手をしたくはないからな。少しでも能天気な弱小企業があるかと期待した……が、時既に午後九時五十二分。こんな時間帯まで働く企業なんて早々ないだろう。という訳で失意の内に俺達は帰路に向けてペダルを漕ぐ。
 その時、俺達と同様に失意の表情で漕ぐ一団を発見。その名も『チームタスクフォース』。
「やあ、A。お前達も敗走中か?」
「あ、Bさん。並列は道交法違反だから後ろに付けるように」
「何だ、てめえも自転車漕げたのか!」
「折角の車を妻に取られて残ったのはママチャリだけだ……畜生!」
「おやおや、私の前を走りますか」
「私には『行列の出来る催眠術』に依って貴方方を後ろに回らせましたぞ」
「これはこれは如何も」
「あんたらも不審者扱いされて成果なしか……如何するのだよ、これから!」
 とまあ心臓破りの坂道にて夜の並木を眺めて俺達は敗走する。時には並列に成らないように、更には自転車マークに気を付けて運行。それから家具団地へと突入。信号に気を配りながら俺達負け犬共は帰路に向かう……そんな時、誰かが声を掛ける。πやSSを始めとした先頭集団は幻聴かと思い、ペダルを漕ぐが……後方のLとMは大声を張り上げる。それに気付いた中韓を走る俺とB、C´とEは先頭の二人にも聞こえるよう声を張り上げる。そうして俺達は声を掛ける何かに前輪を向ける。
「声を掛けたのは俺だ。何でも工場で働く老人が頼んで来た。其れでわざわざ俺を呼びつけに来たな」
「君は確か……50番かね」
 50番……確か国が認めるという交渉者。数々の伝説を物にして来たというあの50番が協力してくれるのか!


 という訳で『お金様』は困った時にあの男を出してしまいました。本当に済まない。50番とはあいつだ。お金様は余程の事がない限りは実名を出さないという方針なので気に成る方は掌編集或は短編集のどれかを読むと良い。50番は7番と同じく皆勤賞を受賞する出番の多さだからな(後書き集収録の奴には載ってないので気を付けるように)。

 という訳で今回はここまで。そろそろ迫って来たな。だが、何時までも成果が出ないのもそれはそれで困るのであいつを出したのだけどな。

試作品 お金様 再び書くだけ書く試作品(6/5)

 如何も便利な言い訳の一つに「忙しいから」に憤りを感じるdarkvernuです。
 実に便利だな。「忙しい」を言い訳にするのは結局、時間もろくに管理出来ていない証拠ではないかって思えるのだ。どんな理由であっても「忙しい」で済ますな。それは大人に成ろうとも老人に成ろうとも同じだからな。
 という訳で愚痴はこのくらいにしてそろそろ始めますか。

 午後三時十二分……C´等とH公園にて合流する俺。今回も中々集まらず、苦戦する模様。
「それよりも観衆の眼が憐れみを見つめるようだ!」
「あああ、仕事するのがこんなにも恥ずかしく思うなんて!」
「駄目ですよ、みんな。このままではチームタスクフォースに負けてしまいます。何としても私達に共感する人を探しましょう!」
「とはいえ、H市だけではもう限界でしょう。隣のK市、N市或はK府にあるY市にフィールドワークを広げるのも良いかも知れませんね」
「あ、Y市については僕は良く知っております!」
「それは有難いな。ひょっとして前は住んでいたんじゃないのか?」
「はい、妻と一緒に暮らして居りました」
「そうか。只あそこは……いや、何でもない」
 C´は何か言おうとしたな。だが、何か拙い事があると思って止めたか。何だろうな。
「世の中には知らなくても良い事情はあるのか」
「だろうな。まあ兎に角、明日からK府に入ろうか」
「あ、御免為さい」
「あ、そうか。Jは女子高生だからな。何時までも活動の手伝い出来る訳じゃないのだよね」
「違うのです。補習受けないと行けなくて」
「赤点か」
「阿呆とテストとサモナーか」
「メインヒロインの癖に最後の方に成ると主人公と知能レベルが変わらない描写は何とか成りませんかね?」
「いや、ライトノベル読まないから詳しくはわからないな」
「Aは寂しいなあ。ライトノベル読めないとか」
 何かC´に言われると腹が立つような……あ、Lさんが何か言いたそうだな。という訳で俺は尋ねてみた。するとこんな事を言ったな。
「Dさんの許可は如何為さいますか?」
「俺が話を付けに来る。なので心配するな」
 こんな感じで答えたかな。そんな訳で今日はここまで--
「これはこれは……きょう模型機が良くないですなあ、マネーバスターズの諸君」
「うわあ、あの野郎……右手一本で砂袋八つ運んでる」
 流石にパレスフラット並みに怪力を見せ付ける二メートル超の男には周囲も逃げ惑うようだな。俺だって目の前のスーツ着た巨漢には震えが止まらない。特にその砂袋の束を一つも崩さずに下す力技を見せ付けられると思わず尻餅したくも成るってのが人間だろう。
「うわわわ、南無三!」
「うわあ、ジャンボ濃田さんもびっくりの巨漢だあ!」
「君かね、√」
「又会ったな、老いぼれ!」
 何、πと知り合い……という事はかつて働いた所の社員。こんな格闘技イベントに参加しそうな大男が元部下だというのか!
「爺さん、知ってるのか!」
「ああ、パワハラを働いていたのを耳に入れて即解雇し……更にはブラックリストに登録して二度と出戻り出来ないようにもしましたしね」
「そ、そこまで素行の悪い方だったのですか!」
「俺が悪いとでも? 俺はあの会社で実績を積んできた。誰よりも優秀だった。なのにこの老いぼれは俺を出世コースから外した。許せる道理があるか」
「そうなのか、爺さん?」
「まあ事実ですね」
「どんな理由であっても依怙贔屓はいけませんよ!」
「依怙贔屓はしてないね。只、彼には正社員として決定的に行けない部分があるのです……それがその奢り多き性根。自分は誰よりも優秀だから出世して当然……私はね、そうゆう人間は上に立つ器ではないと判断して君には査定を厳しくしたのですよ」
「た、確かに……肉体は凄いが、内面はとても良い人間のそれではないな」
「口だけなら何とでも言えるなあ、π。だがな、もう貴様の天下は訪れない。俺達『ビットマスタークラウン』が」下したばかりの砂袋の束を再び持ち上げる√と呼ばれる巨漢。「この国を掌握する!」
「はあ?」
「え、嘘でしょ?」
「確かにそう聞こえましたが……聞き間違いでしょうか?」
「お前もGの仲間か!」
「ほう、Gを知ってるのか、そこの優男」
「ああ、一応前の会社の元上司だ。正直、仕事ぶりしか評価出来ない野郎だってのはわかる」
「仕事だけって……相当嫌な人間だったのだな」
「まあ会社には自分の好きな人間ばかり所属する訳ではありません。時には顔すらも更には放す事さえしたくない人間とだって付き合うのが社会の無常という物ですよ」
「だが、貴様は一方的な理由で俺を排除した。だからこそ俺は起ったのだ!」
「そんな理由で貴方の世界征服を看過する訳には--」
「黙れ小娘!」
 何て圧力だ。あの肉体だから発せられるのか……それとも奴自身が積み上げた者が一部漏れ出したのか? 何れにしてもこいつは只物じゃないのは理解出来る!
「ほう、そこまで苦労を知っておりますか。良くぞ研鑽しましたね」
「貴様に褒められても有り難くはない。寧ろ俺は貴様を地獄のどん底に叩き落とす事も目指して今まで地獄を見て来たのだ。そして機は熟した!」
「凄い事言えるなあ。まるで日本で有名なRPG第一作目のラストボスみたいだぜ!」
「あ、其れ僕も御存知です!」
「ドラゴンキングの話をしている場合か、お前ら。あいつは……いやあいつも含めて三つ目の秘密結社は動いたって宣言したのだぞ。これが何を意味するか、理解しろよ!」
「ほう、そこまで餓鬼ではないな。少しは頭も良いようだな、Aとやら」
「俺の名前も把握していたのか!」
「Aだけではない。既にマネーバスターズとチームタスクフォースのメンバーは全員承知だ。お前達が我が覇業の邪魔と成る事もな!」
 それにしても膝が震えて後ろに倒れそうだ。このおっさんの放つ圧力にハッタリが一つもない。こいつは厄介な敵かも知れない。 この時、俺は次のように考えていた。
 Dがチームタスクフォースと手を組もうと考える本当の理由を。それはこのおっさんの存在がある事だろう。圧倒される力はそれだけに説得される。Gが示した仮想通貨ビットコインに依る日本銀行券無効化作戦。それが実現すると一体何が起こるのか? 俺はその恐るべき目的に戦慄すら覚える。絶対にこいつの野望を達成しては成らない。寸前で止めないと日本は、日本人は一生お金の奴隷として働かされる事と成る!
 すると俺の中でおっさんの圧力に耐えうる精神力が湧き出るぞ!
「小僧、膝の笑いが止まっただと!」
「お前らの野望は俺達マネーバスターズが阻止する。それから子分のGに伝えろ……目に物見せてやるってな!」
「貴様もBと同じか。面白いぞ、小僧。だが、この場で貴様を砂袋の下敷きにする事も容易い!」
「何、殺す気か!」
 あの砂袋……落されたら死ぬな。そう思うと爪先から恐怖という名の冷気が広がってゆく。
「ほう、今度は冷え性を起こしたか?」
「や、やらせませんよ!」
 俺を庇うようにLが前に出た。
「貴様は妻に逃げられたLだな。貴様如きでは巻き添えを喰らうだけだぞ」
「そ、それでも少しはAさんを守る事が、守る事が出来ます!」
「良く言ったぞ、Lさん」今度はC´も前に出る。「俺は絶対に後退しない。お前みたいな人間の心を忘れた筋肉達磨に屈しない!」
「そうです」そしてJも前に出た。「筋肉馬鹿り付けて肝心の心の筋肉がまだの、よ、ようですね……そこのおじさん!」
「震えてるぞ、小娘!」
「震えている? 君の事じゃありませんか?」
「何を……な!」
 肉体こそ問題はない。だが、肝心の砂袋の束は均衡を崩し始める。それに気付いた√は背を向けて次のような捨て台詞を吐く。
「如何やら決死の覚悟を見せられて俺の心が揺れたな。負けを認めよう。だが、本当の戦いはこれからだ……では首をたっぷり洗っておけよ」
 それから馬鹿笑い……もとい高笑いを挙げて去ってゆく。
「ハアア、恐かったあ……あの筋肉は反則だろ!」
「フエエエン、殺されるかと思いましたあ!」
「ヒイイ、日本には、あのような、ま、益荒男に、が、実、実在、してますのです、ね!」
「呂律が回ってないな……お、俺も、も、言えないが」
「全くあの坊やには苦労しますね」
「本当にあんなのを雇っていたのか」
「寧ろ格闘技イベントに参加していたのではないか?」
「いえ、彼は私が会長を務めていた会社の元社員ですよ。少々悪戯好きでしたのでこちらの権限を使って辞めて貰いましたがね」
「それが正しかったのか、間違っていたのか……今の気持ちを教えてくれないか、爺さん」
「解雇通知を送ったのは私ですが、その道を選択したのは彼ですよ。どんな理由であれ、その意気込みは……評価に値しますがね」
「本当にお爺さんは懐が大きいね」
「いえいえ褒める所は違いますねえ、お嬢ちゃん」
 はあ、あの巨漢が去ると……H公園は活気を取り戻した。全く出るべき場所を絶対間違ってるぞ。まあ、どっち道俺達マネーバスターズは奴等の妨害も想定しないといけないのだよな。
 という訳で今度こそ今日はここまで……


 そんな訳で『お金様』をお届けしました。普通、こうゆうタイプのお話には嫌味な悪代官風なキャラが悪役を務める物だな。だが、お金様は一味違う。何と出る作品を間違うように堤城平並みの怪力で登場する。余りにも場違いな設定での登場なのだから呆気にとられるのも無理はない。

 という訳で今回はここまで。課長島耕作にピーター・アーツみたいなキャラクターなんて出て来るのかな? 読んだ事ないのでわからないや。

試作品 お金様 再び書くだけ書く試作品(5/5)

 如何も最新のスパロボの情報がなくて気がGUデルマで飢餓状態の自分darkvernuです。
 さて、今回は一週間空けてブランクが激しいが、お金様でもやりますか。

 これまでの粗筋でもしよう。また粗筋に成る事をここに謝罪する。だが、これは俺だけの物語ではない。俺以外も物語を紡ぎあげる以上は仕方のない話だ。ってこれじゃあ夏目漱石のデビュー作に出て来る猫の語り口だな。まああれを読破するのは少々骨の折れる話ではあるが。
 兎に角、俺達は第一階の反省をし終えてから第二回目の論戦が始まるまで『マネーバスターズ』独自の方針である新規参入企業或は中小以上の企業から新人を引き抜いて一種の研修を行うという物を始めた。だが、最初の内は僅か三社しか応じない。当然ではあるよな、普通の企業の考えならば。それでも俺達はやるべきだとほぼ全会一致で決まった。
 それから直ぐにBさんが所属する『チームタスクフォース』も独自の方針を掲げたそうだ。それが新規参入企業に資金援助するという物だ。これは俺達に比べて現実的で何よりも企業にとってお金とは活動資金だからな……喉から手が出る物さ。だから俺達に比べて援助の手を差し伸べる企業が多い訳だ。
 流石にそれでは拙いと見たのか、或は予定調和なのか……直ぐに第二回セミナーが予定された。そのセミナーが開催される前でもお客様用トイレで再び顔を合わせる俺とBさん。全く互いの物語の主だからってデウス・エクス・マキナはそこまで俺達を鉢合わせたいか!
 と第二回が始まると互いの活動の意味、そして……あ、俺達のあの不気味なマスコットは後で紹介するから待ってな。今回も三題あってどれも良い点を挙げれば反論だって存在する。奴等の方針である新規参入企業への資金提供にも穴があれば奴等だって俺達の方針である新人に講義を受けさせる事に大きな穴がある事も指摘した訳だ。それぞれが互いの欠点を指摘する事で今まで視えなかった部分に光が差し込み……前回同様引き分けで幕を下ろしたな。
 さて、反省会はこの際省こう。ここで気に成るのは後日、Jを呼んで……あ、そうだ。Jがデザインしたという『まねーば・すたぁ様』について紹介しよう。このマスコットはかの声優に赤ペンを渡したら狂気の絵が完成するのと同様にJに黒ペンと赤ペンを渡してしまったために起こった悲劇。しかもDはこれまた絵画扇子が壊滅的だったことも受けて何と本当に作ってしまったという。何でもDが昔お世話に成ったというある工場主に頼んだという。ところがそこで更に悲劇が起こった。CPU担当が何でもとある迷探偵も絡んでいる事もあってキョウキな発言までするように成った。こいつの参加にどれだけ俺達は冷や汗を流したか……まだ向こうはデザインが良いだけましだと思うぞ。こっちなんか全ての面でとてもマスコットを務めて欲しくないと思うばかりだ。
 それじゃあ本題に戻る。後日、俺達全員である会議が始まる。それはこれまでの欠点を是正する為にお金様打倒のみならず愛社精神を忘れない為の講義をする事。まあ愛社精神自体俺は難しいと思うからな。精神の中に売国精神が絡めば大変な問題に成るからな。そこで俺達でどのように抗議させれば良いかを議論し合った。
 だが……結論は見付からず。意外とこの手の話はロータリーエンジン並みにきめ細やかで押し過ぎればあれに成るし、弾き過ぎれば逆にこれと成る。ここと呼べる部分……即ち孔子の説く中庸は中々見出せない。そうしている内に時間が来ては帰宅する羽目に。
 次の日も同じように結論付かず。その次の日も更に次の日も……そうする内にDは勝手に第三回セミナーを今回の日より一週間後に設定しやがった。本当に勝手な女だ。俺とC´は抗議したな。すると俺だけ残らせて他の者には新たな仲間集めに行かせたな。その狙いは何でも俺にしか話せない事があるのが一つ。もう一つが仲間をもっと増やす事。それから俺とDを除いた四人で打開策を編み出す事……これしかない。
 そして始まるDとの密室会議……


 さて、まだまだやるぞ。

 会議は如何ゆう訳か大手スーパーデーにあるラーメン屋で行われた。あ、時間にして現時刻は午後零時二分……彼女に奢られる形で始まった秘密の会談。そこ、全然秘密じゃないって言わないの。
「何、最終的にあいつらと手を組むだと!」
「ええ、幾ら後塵を拝す仲とは言えどもFとはそこまで険悪じゃないのよ」
「いや、理由がわからない。俺達はお金様の打倒を目指すレジスタンス組織だぞ。一方であいつらはお金様を信奉する体制組織だぞ。お互いに噛み合う訳ないだろう」
「いえ、手を組む時期は近付くのよ……『あいつら』が動き出したのだから」
 『あいつら』か……俺達以外にもお金様に対して何か始めようとする組織があるとでもいうのか? でも誰なのだ?
「よお、A?」その時、頭の上に冷たい物が掛かるのを感じた。「仕事先も見つけずに何ダラダラしてるのだ、ああ?」
「ちょっと、貴方。冷水を浴びせるなんて……失礼じゃないの?」
「おやおや、これは『マネーバスターズ』のDさんではありませんか!」
「って何でこの時間にあんたはここに居るんだよ、G!」
「G課長と呼べ、ヘタレ!」
「てめえ--」
「待ちなさい、売られた喧嘩を拳で買わないの!」
「誰が拳で買うかよ。まさかあんたが季節外れの水浴びをしてくれるなんて……感謝し過ぎて思わず手を出しそうに成ったぞ!」
「言うように成ったな、A。だがなあ、A。お前が何を活動しようとも俺達の前では潰されるのだよ!」
「潰される?」
「さっきから気に成るけど……何故知ってるの?」
「俺は他に気に成る事がある。あんたはこの時間帯にここに居ちゃあいけないだろう。何かの視察をしにここへ来たのか!」
「おう、知らんようだな。えっとなあ」
 Gの奴は何か取り出す。スマートホンか。其れであいつは何を……あ、操作し終わった。それからあいつは画面を見せた。
「これから俺達が天下を取るのじゃ!」
「これ……ビットコイン!」
「ビットコインって……確かつい最近、ヨウツバーの閃光のフラッシュとラファエドと他のνジェネレーション組がやらかしたというので有名なあれか!」
「其処知らないのね。まあビットコインってのは仮想通貨でやり取りするビジネスよ。閃光のフラッシュ達の事件でビットコインについて少し学んだのならその意味する所を知る事が出来ると思ったけれどもね」
「いや、機構についてあんまり知らないのだよ」
「フン、所詮は三流大学卒業のカスの脳みそだな」
「相変わらず良い性格をしているよなあ、Gさんよお。あんたに至っては高卒だろうが。一々大学の格を口にする資格はないぞ!」
「黙れよ、会社を途中で辞めた腰抜けの癖によ」
「あんたは如何なのだよ。それを出すという事は即ち、俺は何となく察したぞ。辞めたのか、次期社長を自称していたあんたが!」
「Hのクソ野郎に辞めさせられたのだよ。あの野郎は--」
「ねえ、話をそらさないでくれる? さっさと椅子に腰かけて要件言いなさいよね」
「流石はここの社長の娘だけあって気高いねえ。如何だ、俺とやらないか?」
「早速ナンパかよ。嫁さん居るのに良くやれるよなあ」
「結構よ、男の風上にも置けない人間から寝技されるくらいならエロ本読んでバナナ食べる方が健康的よ」
 とまあ以降一分間は罵倒合戦を繰り広げた訳だな。バナナを食べるというのもこれは下ネタだから気を付けるように。そんで本題に入った訳だ。
「成程ね、貴方達の目的は日本銀行に代わる金融システムの確立なのね」
「この国のカス共に目に物見せるのだよ。日本銀行券は地に堕ちた。これからは俺達『ビットマスタークラウン』の掲げる最強のビットコイン『クラウン』が全世界を席巻する、とな!」
「はあ、其れの何処が良いってのだよ。まんま悪党の世界征服じゃねえか。そこまで良い性格をしているなんて思わなかったぞ、G!」
「さんと付けろよ、カスが!」
「誰が呼ぶか。お前を昔から許せないと思っていたのだよ。散々俺の身の回りの社員を目の前で徹底的に扱き下ろし、しかも胃痛に悩ませた挙句に何人精神やられたか……何人心を抉られたのか知ってるのか!」
「知らんなあ、そもそも無能がいけないのだよ!」
「ほざけよ。Bさんに対してもそうだ。俺は何度お前のこじつけたような悪口を掻く社員に言い触らしたか知ってるぞ。自分に都合の悪い相手の場合だったらそいつが居ない所で欠点を論っている事もな。許せないのだよ、俺は。お前みたいな奴がお金でしか生きられない人生を押し付け、働いている人間に人の心を捨てさせて外道を押し付けるのだよ。お前みたいな人間こそ日本を駄目にするのだよ!」
「良くも口が回るなあ。会社で働いている時はそんな事も言えなかったヘタレの癖に!」
「あのなあ、G。俺はなあ、革命野郎じゃねえのだよ。不良みたいな事が大嫌いだよ。反抗するのが格好良いとか頭のおかしい連中が居るから何時まで経とうとも虐めはなくならないと思っているのだ」
「知るかよ、虐められる方が悪いのだよ」
「いいえ、虐める方が悪いわよ」
 あ、堪え切れずに話に割り込んだな。
「何故? 虐められる方は舐められるからいけないのだろう?」
「舐められる? 臆病なのね、Gさんって!」
「なっ!」
「別に舐められる事は悪い事ばかりじゃないのよ。逆に相手を油断させてから驚天動地の如く叩きのめす為の布石に繋がるのよ。舐めた事が死ぬ程恥ずかしいと思わせる程の、ね。でもそれを如何していけないのかしら?」
「ああ、この女め。俺に向かって--」
「おっとGさん。女の人相手に怒りを露にするのは……不良用語じゃあ『シャバイ』って言うじゃないか、なあ?」
「ク、誰が女に向かってだあ。俺はお前に向かってムカついてるんだよ」
「おいおい、Gさん。話を逸らしたな。そりゃあ恥ずかしいぞ……そう言えばこれって俺に舐められる事を意味するのじゃないか!」
「てめえ」
 ここでGは一旦、怒りを鎮めてからこう捨て台詞を吐いて席を立った。
「成長したじゃないか、A。だがなあ、その余裕も何時までも保てるかはわからないぞ。俺達『ビットマスタークラウン』に刃向かうという事がどれだけ無謀である事を、これから思い知らせてやるからなああ!」
 流石に外だけあって物にこそ当たらないものの、足音やぶつかりそうな人間に対して一言怒鳴って退かせて去ってゆく姿には見ていて気持ちの良い物を感じる。そうゆう心を持つ時点で俺も大分悪に染まっていると反省しないといけないな。
「やるじゃないの、Aさんも」
「いや、正直……冷めてゆくと少し我を忘れる自分に反省する」
「でも格好良かったわ」
「グ!」
 これだから女に褒められるのは……あ、気が付けば男女で相席か。恥ずかしさの余り、俺も席を立ったな。
「あ、済まない。一足先に人集めに乗り出すわ」
「ちょっと待って。まだラーメン食べ終わってないわよ」
「そ、そうだったな」
 ラーメンを食べ終えてから俺はアーカム本部に戻った……


 という訳で『お金様』をお送りしました。筆を入れる前は如何しても気が進まないのだが、いざ進めてゆくと色々と浮かぶのだよな。やっぱ物語は損得勘定で動く物じゃない。楽しいから動く物だ。物語は読者だけじゃなく作者も楽しんでやらないと意味がない……そんなお金様である。
 さて、少しだけ解説すると相手に舐められる事についてはこれは自分の思想がふんだんに込められてある。正直言って舐められる事を如何して恐れる? 舐められたくない……それは即ち臆病であると認めているような物だ。だがなあ、この世で舐められない人間は存在しない。誰しもそれ以上の存在には結局舐められる物だよ。じゃあ如何するべきか……舐められないようにするのが正しいか? 正解は敢えて舐めさせてからギャフンと言わせるだけの事をすれば良いだけ。ところがこれをしようとしない連中が多い。特に不良上がりだとか先生に反抗するのが正しいと勘違いする馬鹿野郎共(済まん、暴言だったな)は相手に舐められる事を極度に恐れる。だが、国同士もそうだけどこの世で舐められずに済む人間なんて居ない。だったら思う存分舐めて貰った方が良い……後で痛い目見させれば良いだけだからな。悔しい方法ではあるが、これが相手を精神的にも追い詰める方法だぞ。
 まあ、最も舐められないようにする事は否定はしない。でもな、極度に舐められる事を一方的に断罪するのは即ち「お前結構臆病だったんだな」と言われる事に成るぞ。だからこそ恐怖心と同じく舐められる事も武器にするのだ。そしたら人間は大きく成長するぞ……といっても心の成長はそう簡単ではない事もここに明記しておく。

 それじゃあ今回はここまで。自らの格を認めるのは難しいからな……こればかりは自分自身もまだまだ自分を知らない。

試作品 誰が望んだ流行語大賞

 如何もある法則の一つとして「これはベストマッチに成る」と言った戦いは必ずそう成らないらしい……第一発見者が自分であると信じたいdarkvernuです。
 そうゆう訳で今回はそれに近い試作品を出して明日からお金様に取り掛かろうと決めました……はい、申し訳ありません。

 今年の流行語大賞が決まる。それは誰もが「このハゲー」や「二人はモリカケ」、更には「台風もサイボーグのせい」と言ったようにネット上で流行る物から「こんな人達」「自分ファースト」「訳すと尿垂れ出し」「更々ない」と言ったようなネットに無縁に人達にも透き通る物が通るかと誰もが思っていた。
 ところが今年の流行語大賞は違っていた。選定する会社は去年の会社ではなかった。去年の会社はあれを流行語大賞に選んだせいで総バッシングを受けて排除された。其処で流行語大賞を選ぶ会社は発表された。その名も『コンパチブル株式会社』。そして発表される流行語ベスト10は……マニアでも首を傾げる物だった!
 第十位……
 『止まるんじゃねえぞ』byオルガ・イツカ
 鉄血第二期の不満を持った者達の中で何時の間にか流行語大賞として選ばれた鉄火団団長の最後の言葉。世の中何が流行るか予想外だよね。
 第九位……
 『やあ、僕フルタマン』byフルタマン
 プリキュアア・ラ・モードのコマーシャルに超新星の如く現れた製菓会社フルタのマスコットキャラクター。佐村河内W聴き耳で良い子のみんなの声を尋ねる不気味さと常人には難易度が高いフル体操といい……今年もフルタは通常運転の模様だね!
 第八位……
 『身勝手の極意』by破壊神ビルス
 ドラゴンボール超の特番で悟空が覚醒し、あのジレンと互角に近い戦いを繰り広げた姿を見て発した一言。うーん、GTに繋がるのか?
 第七位……
 『筋肉エヴォリューション』by?
 あれ、誰の台詞だ。コラ、コンパチブル。お前らちゃんと選定しろ。え、昨日連載再開したばかりの漫画……あったか、そんなの?
 第六位……
 『しまった、ゲップが』by妙子の父
 前回の胸糞過ぎる展開からの余りにも酷い落差を表す彼岸島恒例のシリアスなギャグ。シリアスのつもりで描くには流石にあんまりな死に方だろ。ゲップ一つで邪鬼に見付かり、喰われてしまうなんて!
 それではベスト5の発表でーす。ここから先はコンパチブルの連中にとって流行っていると思い込む選りすぐりの流行語だあ!
 第五位……
 『忖度』by松井秀喜(仮)
 正確には昔からあるどう考えてもおかしいだろう、というような人物を過度に批判せずによいしょする行い。擁護との違いはやはりマスゴミの行いに相応しい意味を込めてそう成る……済まん、もう少し勉強するよ。
 第四位……
 『フェイクニュース』by?
 当時は向こうの大統領ドナルドさんは偽情報を利用して大統領に成ったとされた事から世界中に流行。真実は大きく違っており、逆にドナルドさんがフェイクニュースに依って要らぬ被害を受けていた事が明らかに。さて、この言葉が流れるまで当の連中はずっとフェイクニュース流してましたっけ? さあ誰でしょう?
 それでは栄えあるベスト3の発表と行こうじゃありませんか。
 第三位……

 『何で図書室なんかに行ったんすか?』by天海蘭太郎

 これ勘違いしているようだが、売り上げ総数は十万ちょっとでしかありません。なのにこれを流行語トップ3に入れるコンパチブルには疑問を呈して仕方ありません。え、説明すると本編では一切そんな台詞を言ってません。PVのみ彼はその台詞を呟いている訳だ……お察し下さい!
 第二位……

 『実は俺って安保賛成派だったんだよね』byとある野党に所属予定の某立候補者

 え、プラカードは? これを聞いた一部の賢い君はこう思うだろう……「お前らなんか一生政治に関わるんじゃねえよ!」
 では栄えある流行語大賞を発表したいと思います。
 第一位……

 『本部と武蔵の試合は必ずベストマッチに成るぞ』by板垣恵介先生

 えっとこれ去年でも良くね? 兎に角、読者の期待を裏切り続ける最近の刃牙。それでもデンジマンの片方は先生に単独インタビューをして烈さんの死と本部と武蔵のベストマッチ説を聞き出す事に成功。ところが実際に後者が出た時、果たして読者の誰もがこれをベストマッチだと思ったのだろうか? 否、何と武蔵は練習試合と切り捨てった……オイ、板垣!
 以上で流行語大賞の発表はここで終わる。今回も押し付けられた流行語が発表されたね。だから言わんこっちゃない……


 という訳で『誰が望んだ流行語大賞(仮)』をお届けしました。多分、期間限定過ぎてやりにくいと感じて連載にも短編集にも載らないと思うな。だってどれも今年の事だしな。
 但し、最初の三つはほぼ真面目に思った流行語だぞ。オルガの最後の台詞は印象的だったし、フルタマンは正に狂気を感じるし、後は子供心に燃えた新形態だろう。異論反論は受け付けるぞ、こうゆう事に関しては。
 だが、七位以降は個人的にヒットした物だけを選んだ。七位の奴は最近連載再開して早々に最初の敵だった筋肉マンが放った一言。なんJと共に作品を沸かせる男の言う事は違うぜ。六位はあの有名なホラー丸太アクション漫画彼岸島の今週話に於ける酷い死に方の一つ。ゲップはねえよ、それを考案してしまう松本先生ェは畏れ入るよ!
 五位と四位は一種の時事ネタ。あ、グレーゾーンだぞ。グレーゾーンを責めたぞ。
 三位、二位、そして一位は完全な独り善がりだぞ。二位も一応グレーゾーンだからな。三位はダンガンロンパネタキャラ選手権で噛ませメガネや塩と言った強豪達と激しい首位争いを繰り広げそうなイケメンキャラの台詞……いや、実際そんな事一言も本編では出ないけどね。そして一位は……作者が言っても仕方ないだろう。いや、本当にベストマッチというのは読者が決める事であって主催者側が言ってもそう成らない可能性が高いのだよ。だったら何だ? こっちはあれか? 今からベストマッチを宣言するぞ。それはな……ただものとおかもとの喧嘩が最大のベストマッチに成ると思うぞ!

 という訳で今回はここまで。確かに主人公が人気ないのは理解するよ……でもね、主人公というのはそうゆう物だぞ。主人公補正を無くしたらそれこそ南新羅のドラマみたいに成るぞ。お前ら読者も読む側なのだから主人公補正で云々言ってる暇があるなら少しは自分こそ主人公であると自覚してみろっつーの……うん、問題発言だね。でも斜線引かんぞ。
プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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