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試作品 ドリーマーズアゲインよ、永遠に 手探りでお届けする駄作 (5/5)

 どうも改めて過去の作品を一日で読めると侮った。意外と長い上に今でようやく一巻目を読み終え、後三巻分残すのみと成ったdarkevernuで御座います。
 さあ早速夢人達の序章をお送りしていこうか。

 運命の日より一ヶ月前……ジュネーブで日本、アメリカ、ロシア、ブリテン、ドイツ、そしてインドに依る六か国会談が開かれた。議題はやはり『破壊の宴』。
「五か月前……北海道は灰塵と化した。避難を出す事すらままならず、そこに住む全員が仏と成った」
「只のテロではない。これは自然災害のそれだ……ロシアとしましても特別チームを築いて奴を掃討する為の作戦に全力を尽くす」
「全力? 奴が築いた秘密結社を守るロシアが何を口にするようだか?」
「そうゆうアメリカも何時まで未確認飛行物体を隠し続けるのかな?」
「そ、それを言うならブリテン……君は北アイルランドを始めとした各国の独立を恐れてまだひた隠しを続けるか?」
「それならドイツだって怪しいぜ。何時までヒトラーの遺体を隠し通す--」
「止めんか、各国同士の舐め合いなんぞ!」
 アメリカ、ロシア、ブリテン、ドイツに依る罵り合いは将来の経済大国であるインドが止める。日本は子供の競り合いを傍観するだけの羊と化してしまったのか。
「はあ、『破壊の宴』に依る数々のテロは世界を確実に死へと近付けてゆく訳だ。だからこそ各国の協力を求めてこのように代表される我々が手を取り合うべきだったのに……どうやらエゴは一度リセットしないと消えませんね」
「ウェスタンが発祥の私達が今更それを認めるなんて出来ないな」
「バイキングに始まり、バイキングに終わる事が宿命付けられたこのブリテンに今更過去の反省をして如何するか」
「カーストに於ける闇を払う事は即ちインドに死を与える訳ですな」
「フン、下らない贖罪だ。そんな贖罪意識で繋ぎ合わせるなんて死んでも御免だと私達ロシアの総意は主張する」
「だが、我々が手を取り合う事を世界に示さないと何れ『破壊の宴』は一年以内に人類を滅ぼすぞ!
 それは貴方達の国益に反する事でしょう!」
「たった一つの為に将来の国益をかなぐり捨てろと言いたいのか、イエローモンキー!」
「二兎追う物は一兎も得ず……欲張りは身を滅ぼします!」
「それなら『破壊の宴』を倒した証として列島から沖縄まで全てこちらに寄越せ!」
「足下見たな、ロシア。そうして売国奴として私達政権を潰す魂胆だな!」
「嫌と言うならこちらで勝手に行動する」
「妥協しよう」
「待て、日本よ。ロシアが日本列島と沖縄を我が物にしたなら即刻我々インドは諸外国と連携を取ってロシアの攻撃を始める」
「ほう、約束事の破棄に他国の手を借りたな……情けない日本よ」
「インドよ、其方がその気ならブリテンは再びインドを植民地にする」
「全くお前達が居なければインドはもっとマシな国に変わるのに」
「ブリテンよ、ヨーロッパ連合の離脱のみならず再びインドを征服しようという魂胆ならば我々は総力を挙げて潰すのみ」
「吠えるなよ、ヒトラーの息子達よ!」
「言ったな、ナチスの罪を我々も同伴するのは筋が合わない相談だな」
 如何やら人類は一つに結び付く事は叶わない。幾ら話し合っても彼らは屁理屈を捏ねて交渉を決裂へと縺れ込む。バベルの塔の建設阻止を図る神の罪は大変重い物だと言えよう。
「仕方ない。『ドリーマーズ・アゲン』の起動を進めよう」
 時の総理は世界に絶望し、起動する事を決意……


 まだまだ続くよ。今度は敵サイドから見て行こう。

 秘密結社は確かにロシアにあるスターリン廟の地下に拠点を置く。彼らは既に人の形を取らない。常に人類滅亡を心より望む。さて、数は人の数え方を採用するなら三人。三人共秘密結社のボスではない。ボスは一体何者なのか? それは彼らの口から語られる。
「予想通り、世界各国は足並みを崩してくれた。これで一年以内にこの世界の消滅は待ったなし」
「日本で起きた真理教のテロも我々が仕組んだ事。結果は大失敗に終わったが、お陰で同時多発テロと呼ばれる予備演習に繋がった」
「貧しい者達を洗脳し、各地でテロを起こしたのも全ては我々の計画の根幹たる人類抹殺へ向けた伏線。フッフッフ、お陰で第三次世界大戦に向けた予行演習が開始される」
「日本にある万世一系の根絶か。一体誰を仕向けた?」
「勿論我らの大将自らが実行に移す。そうすれば瑪瑙エタン小鮒日本は地上烏あたを消して本当の意味でカタストロフィは訪れる」
「その為に我ら三人は『破壊の宴』の思想に共鳴し、永遠なる無を目指して来た。人類の滅亡は人類が夢見た……否、我々が夢見た人類進化の為の手段。人類の存続でどれだけの可能性を邪魔された事か!」
「その急先鋒は何時も東洋の島国日本。日本は奇跡的な環境と度重なる自然災害に依り鍛えられし危機管理能力、そして不滅の万世一系」
「だが、奇跡的な環境は既に近代化した今と成っては不要の産物。自然災害も今ではそれが可能な程にまで技術は発展。そして万世一系を潰せば日本は地上から消滅し、人類の滅亡が果たされる」
「私は自由のフリーズ……この世界に自由という名の無秩序を広める使命に燃える」
「我は平等なるイーク……全てが等しくそして激しく」
「俺は友愛のフレイラ……愛で全てを焼き尽くす!」
 青きフリーズは伝統を破壊する凍てつく息を齎し、白きイークは礼儀作法の全てを消し飛ばす程の暴れる風を起こし、最後に赤きフレイラは家族の絆を焦土と化す炎を滾らせる。
「そして我らの主である偉大なる『破壊の宴』よ、恵みを与えよ!」
 ヨシフ・スターリン廟の地下深くで彼らは部下を巧みに扱い、世界各国を混沌へと導いてゆく。そして……


 まだまだ続くよ。ここから先は第一期後書き集に収録したあらすじをなぞるように描いてゆくよ。

 カズマが冷凍睡眠装置『ドリーマーズ・アゲン』に眠ってから凡そ一年後に最後の天皇として初の女性宮家の天皇が即位。即ち、男系を維持する皇位継承者の根絶を物語る。これにより緩やかに日本は滅亡に向けて急加速を始める。最初が初の外国人参政権で総理と成った外国人総理大臣。次が初の外国人神主。その次が……挙げればキリがない。こうしてカズマが愛した日本は死を迎えてゆく。諦め切れない者達はまだ居た。
 折笠睦海を中心とした救国組織は地下で活動を開始。真っ先に取り組んだのがカズマを始めとした百五十七人もの冷凍睡眠者の確保。だが、その作戦は外国人勢力の妨害もあって結局半分の七十九基しか確保出来なかった!
 これには睦海だけでなく、オットーこと灰原乙史も苦い顔を見せる。二人はカズマの確保するだけでも前進したと密室の中で交わし合う。
「それでも状況は良くないわ、乙史」
「カズマこそ人類の、いや日本の希望に変わりはない。それだけでも私は嬉しい限りだ」
「そうね。カズマさえいれば……待って!」
「どうした、睦海?」
「直ぐに『ドリーマーズ・アゲン』を確認するわ!」
「私も見て来る!」
 睦海は『ドリーマーズ・アゲン』七十九基が保管される生産部屋に入る。そこには赤い目をした少女がアダモミ製のバットで素振りをする。睦海は早速その少女に声を掛ける。
「協力してくれない、昨夜!」
「あら、睦海じゃないの。どうしたの?」
「大問題が発生したの」
「大問題?」」
「それは作業する過程で教えるわ」
 彼女の名前は夢叶昨夜(ゆめかのう さくや)……『ドリーマーズ・アゲン』の制作者の一人。故に睦海は彼女なしでは作業を始めるのも躊躇う程。それでも二人だけでは作業は始まらない。当然、乙史は十名以上の作業員を連れて来る。
「これだけで足りる?」
「昨夜も居るのよ、直ぐに取り掛かるわ!」
 その作業は何時外国人政権に発見されるかわからない程に時間を掛けた……一ヶ月も!
「何という事なの」
「わかったの、睦海?」
「ええ、既にスパイに依ってこの装置は完全なる破壊のエネルギーと化したのよ!」
「化したのって?」
「それは--」
 その時、アラームが鳴る。と同時に秘密基地は瞬く間に総攻撃を受ける事に。
「御免、睦海。どうやら作業に専念出来ないね」
「有難う、昨夜。君が居て良かった。後は……カズマやみんなを救う為に頑張る!」
「検討を、祈る」
 昨夜は右手から鞘付きの刀を発現し、それを握って一瞬にして姿を消した。それを見届けた睦海はこう言った。
「絶対にカズマの未来は守るの。私達の、全ての、未来を、犠牲に、してでも!」
 この後は僅か一週間の内に陥落。睦海、乙史、そして昨夜とカズマが眠る一基を除いた全てが外国人政権の支配下に置かれる事に。
 それから翌年……泥沼のような第三次世界大戦が勃発して僅か一年の内に主要六か国を除いて全ての国に角の雨が降り注ぐ。
 更に十年後……人類最後の文明は幕を閉じた!
 日本が緩やかな死を訪れる事に依り、人類は急激な速度で滅亡の一途を辿る。カズマが愛した日本の存在の有無に依って。睦海が愛そうとした日本の存在の有無に左右されるが如く!
「まだ終われない。人類の滅亡を機に、あいつらは、あいつらは動き出す。今度こそ灰塵と、化す前に、私達最後の人類は、『ドリーマーズ・アゲン』で全てを退化した原罪として、未来永劫、報い、を、受けるの、よ!」
 それから数十万年の時が遡る……

 EPISODE 1 完!


 と言う訳で起承転結の起は幕を閉じた。次回から承の部分が始まるよ。一転して大変終わった世界が中心の章のお話。を期待しないで待ってて下さいね。
 それじゃあ今回はここまで。明日から巻の五を始めるとするか。

試作品 ドリーマーズアゲインよ、永遠に 手探りでお届けする駄作 (4/5)

 どうもdarkvernuです。
 早速夢人達の物語を再開したいと思いますぜ。

 運命の日より半年前……睦海は和真を案内した研究所にてある男と会話を交わす。その男の名前は折笠宗光(おりがさ むねみつ)。睦海と同じく赤い髪をし、エメラルドグリーンに近い色をした瞳を宿す。彼は十歳も年の離れた睦海を前にして何か顔中にまで神経を見せ付けるかのような表情を見せる。それは怒りの表情なのか、或は昨今の時代に精神病として認められた火病を患うが為なのか、それとも闘争心が昂る性格故に? その答えは次の通り。
「兄さん、落ち着いて。貴方は実験体として失敗作なのよ」
「落ち着いていられるか、睦海!
 俺はあの惨劇を起こした『破壊の宴』を倒すまで止まる訳にはゆかない。お前の為だけじゃない。死んでいった仲間達、そして目の前で死んでいった無知成る人達の魂を救済する為に俺はお前の望む理想の兄として力を求め続けた。その結果、明日が如何成ろうとも構わない。悪鬼羅刹に魂を貶めようとも構わない。俺はこの愛する日本を救う為に自ら修羅道に堕ち、自ら大虐殺に身を染めようともここに辞さん!」
「だからこそ私達プロジェクトチームは冷凍睡眠とは別に『パラレルワール』プロジェクトを進行してるの。来たるべき『破壊の宴』との戦いで人類が勝利する為に世界各国の協力が不可欠なの。でもニュルンベルク史観は……『ソロモンの悪夢』は自分達の事しか考えずに地球を世界を破滅へと追いやってゆくわ」
「だからこそ日本以外の世界と協力なんて無駄な事だ。グレートブリテンが永遠にフランスといがみ合う様に日本とあの半島の国々と手を取り合う事なんて不可能な話だ。隣国と手を取り合えないのに世界中と仲良くして世界市民などと……お花畑が過ぎるではないか!」
「それでもよ、兄さん。それでも人間は手を取り合っていかないといけないの。分かり合えない、同じ人間ではないとわかっていても……例え牛と闘牛が元は同じウシ科でないと知っても牛と馬と闘牛は目下の敵と戦う為に手を取り合わないといけないの。馬と鹿が馬鹿同士で種族ごと滅ぼす存在を打倒する為に協力を惜しまないように……世界は一つに集約するのも悪くない話なのよ!」
「だが、神は自分達の邪魔をせんとバベルの塔を阻止する。バベルの塔がそう名付けられる背景には神の都合、神のエリート思想が見え隠れする。その言葉の乱れは時を経るとともに人間同士を修復不可能なまでに追いやり、結果として悪魔の洞窟に暮らす新羅人を産み出した!」
「悪魔に失礼よ、兄さん。悪魔ってのは契約に忠実で尚且つ嘘を嫌うのよ。平気で約束事を守らない彼らの事を人は悪魔の失敗作と称するわ」
「ほら、見ろ。それが人間同じという証明に繋がらない。世界が一つに成れない証拠よ!」
「そんな私も悪魔の失敗作と手を繋がなくちゃいけない時があるの。時間がない。時間がない事こそ私達の忌むべき問題なの。大好きに成りたい日本の為、大嫌いな世界中の為、そして愛するカズマの為に私は明日を救いたいの!」
「だったら俺に猶予を与えろ。俺にもう一度チャンスを与えよ!」
「ええ、わかったわ」
 睦海は従兄弟の宗光に利き腕側に注射の針を挿入。その間に研究室に立ち入る気配が三つ、六つ、そして九つ。
「う、睦海……何、を、した、ァ?」そう呟いて俯せに倒れ込む宗光。
「良くやった折笠博士」
「博士は余計だと言ってるじゃないですか、内閣官房長官殿」
「防衛省から軍司省への名称変更の際はどうか御協力を……博士」
「防衛大臣殿もですね……私はまだその域に達しないのに。これは貴方の仕業でしょうか、ドクターゲドル?」
「フエッヘッヘッヘ、わしはこのように拘束される程の大罪人じゃな」
「人間の形をした別物なのに」
 セキュリティポリスを両脇に抱えてやって来るのは二人と一体。中央に立つのは時の内閣官房長官。官房長官組より右後ろに立つのは時の防衛大臣。反対側で全身拘束具車で鼻の上からおでこまで素肌を晒すような如何にも人殺しに躊躇しない何かは天才科学者の異名を持つ大罪者ガリアス・ゲドル。彼らは睦海の計画を後押しする存在。睦海は彼らの命に従い、従兄弟の宗光を機能停止させる注射を打った。
「兄さんをどのように扱うの? もしかして実験に使うの?」
「フエッヘッヘッヘ、わしですら倒す自信のないあの『破壊の宴』を倒す切り札として何度も人体実験しないといけないのじゃ」
「倒す自信がないって結局立ち向かう事も出来ない臆病者だって自分で言ってるのに気付かないのですか、ゲドル博士!」
「まあ起こるな、折笠博士……いや折笠君。博士は世界中の軍事力を結集しても敵わない存在。それが負けを認める程の存在だ。だからこそ博士は本来非協力的な所を科学面で協力してくれるんだぞ。もしも協力しないのであれば既に我々は博士の胃袋の中に収まっているだろう」
「冷凍睡眠計画の推進材としての『ドリーマーズ・アゲン』は折笠博士……否、折笠さんの人脈の広さと類稀な才能を持ちまして後少しで試験段階に入ったのです。だが、それを妨害する事も想定されるが為に我々日本は独自に『パラレルワール』プロジェクトを推進し、それに相応しい若者を彼も含めて『七人』集める事に成功した。全員純潔の日本人であり、心技体ともに相応しい。博士が単独で『破壊の宴』の撃破が難しいと主張するように彼らだけでは真っ向勝負した所で結果は見えるでしょうな。けれどもそれに相応しい程に食い下がるでしょうな」
「でも『パラレルワール』に人類の明日は含まれないのよ。終わった頃にはこの宇宙の未来はなくなるの。だから私はそれに賛同しないの。未来がなくなる計画の何処に正義があるの!」
「何、未来がなくなればまた作れば良いじゃないか」
「簡単に言ってくれるから文民は嫌いなの。文章書きはそうして実践した人間の気持ちなんて一切考えないのよ!」
「やれやれ、困りましたね……官房長官殿」
「それが女性の素晴らしさだろう、気に入ったぞ」
「そろそろ時間が迫るぞ、お前達」
「サイコシリアルが我々に指図をするとはな……ではくれぐれも我々を裏切らない事だな、折笠博士」
「承知しました!」
 敬礼したまま宗光を運んでゆく三組を見送る睦海。その胸中は痛いほど苦しい。そして彼らが姿を消した頃にこう呟く……「果たして私達のする事は人類の明日を切り開くの? ねえ、教えてよカズマ!」と!


 まだまだ続きますよ。

 カズマには睦海以外にも交流がある。それはカズマに入れ替わりで合格させようとした帰化人のドイツ人のオットー・ハイドリット。彼はカズマより五つも年が離れる。だが、その心は既に日本に染まる。髪は黒、普段着は侍、冬であろうとも足袋を欠かさない。こうした日本被れは日本への愛が引き起こした物と言えよう。しかも彼は帰化名として灰原乙史(はいばら おとし)という名前をずっと神名だと言って聞かない。真ではない。神である。既にキリストの神と子と精霊への忠誠心は薄れ、今では天照大御神に忠誠を誓う始末。但し、男系主義者である事を忘れずに。
 そんな男を連れて豊日神社に足を運ぶカズマ。二人は鳥居を慎重に潜る。神社のルールを忠実に守り、お賽銭時に於ける神の起こし方も一つ一つ注意を払いながら。けれどもある行為に不満を漏らしたオットーこと帰化名乙史は衆目の前で腹を切ろうとした。
「死ぬね、日本では恥ずかしき行為は腹切りあるね!」
「止めな、おっとー!」
「オットーじゃなくて灰原乙史と呼ぶね!」
「そうじゃなくて切腹は今の日本に存在しない。勝手に命を絶つなんてするんじゃない!」
「いや切腹ね。私日本の為なら命を絶つのも厭わないね。これぞ新渡戸稲造スピリッツ!」
「新渡戸稲造の武士道研究はそんな浅はかじゃない!」
「恥の精神は罪の精神以上に尊ぶ。カズマもそれに気付くべきね!」
「クソウ、中々オットーを止めるのが難しいぞ!」
 オットーは時代錯誤な帰化人。故に幾ら近代の常識を説いても聞く耳は持たない。おまけにカズマよりも身体能力が高い為に直ぐ突き飛ばされ、何度も顔中に砂がこびりつく始末。そんな彼の前に細目でやや赤毛の青年がリュックサックを背負って現れた。彼は切腹を試みようとするオットーの前に近付いては一瞬にして右肩の関節を極める。
「ウググ……一瞬で!」
「す、凄い……って日本人じゃないな」
「これは失礼しました。僕は南アイルランドから遥々世界一周旅行の為に日本を訪れるデ・ランデ・ストラと申します」
「変わった苗字……それよりも方が外れそうです」
「これは失礼」
 その青年はデランと呼ぶよう二人に言う。それについて二人は何故あって直ぐになじむような事を口にするのかを尋ねる。するとデランは次のように語った。
「実はね、僕は……宴なんだ」
「は?」
「ファット?」
「冗談ですよ。何、僕には見えるんですよ。人には知らない事が時々……じゃあまた。僕は日本ばかり訪れる暇もありませんので」
 謎の青年デランはお辞儀をして背を向けて去ってゆく。そんな青年に対して二人はすっかり我に戻る。
「何者だろうか、彼は?」
「何者でも良い。彼は私達に道を示してくれた。まだまだああゆう技を使う人間が世界に居る事を再確認させられたな」
「アイルランドにも合気道はあるのか?」
「いや、軍隊格闘術のそれでしょうな。彼は軍隊に入って格闘術を学んだだろう……それにしても実に見事な関節技だよ」
「それ以前にもう死ぬ真似はしないでくれ」
「済まない、私の心の友よ」
 二人は互いの右手を握り合い、友情を深める。この先、どのような事があろうとも二人の友情は引き裂かれない……そう思って!


 という訳でお送りしたぞ。一応、『ドリーマーズアゲインよ、永遠に』は前に出した二作よりも長く、そして壮大にお届けする物語。その為、起承転結の起は今後の伏線に成るような事柄を幾つも仕込んでいるのだよ。なので後付けとは言わせませんぜ。
 それじゃあ今回はここまで。マユユは三年前の覇者の一人であるエシディシと並ぶ程の逸材。エシディシデビュー年にもやらかしていたなんてなあ……園遊会に母親連れて来るなよ!

一兆年の夜 第七十五話 最高官のお仕事(終)

 未明。
 地面に叩き付けられたのか、或は噛み付かれた箇所からの出血量の多さから意識を保つ為に必要な血液が回らなかったのか……烏丸カラッ佐の意識はまだ見ぬ桃色の空間に飛ばしていた。
『国庫は何処だ? なっ何故俺がこんな所に居るんだ?』
 カラッ佐は必死に体を動かそうと思考する。けれどもその空間では手羽先どころか足一つ、そして声を発する方法さえわからない。それ以前にカラッ佐は言葉すら知らない状態に居る。自ら言葉を紡げるのに体の一部一部を知らないとは。
『かっ烏丸カラッ佐は、しっ死んだ?』
『心配は要らん、カラッ佐の坊主』
 カラッ佐にとって誰よりも師だと仰ぐ生命の声を聞く。彼はまだ魂の形を変質しない模様。そんな彼が何かを伝える。
『娘達を悲しませたくんない。だからわしは命に代えてもリリーエを救ってみせるん!』
『ちょっちょっと何を言い出すんですか、えっとリリーゼさん!』
『そうゆう訳だからお前さんは命を投げ出すん必要はない。罪はこのわしが全て受け持つん。このわしが銀河連合と共に果てて魂ごと燃やし尽くすんぞうん!』
『待ってくれ、リリーゼさあああああん!』
 それから光がカラッ佐を覆い尽くし--



























 午後二時五十分四十三秒。
 場所は新天神武首都ボルティーニ中央地区。中央官邸表門出入り口とは反対側に八の年より前に新設された病院。
 そこにある一階最奥にある重要患者専用の病室の空中種族専用の寝具にてカラッ佐の瞼が開く。
(あっれ? こっこは何処? さっきまで……さっきまで何処に居たんだろう?)
 カラッ佐はさっきまでどんな目に遭ったのかを思い出してゆく。それと同時に桃色の世界に跳ばされた時の記憶を失いつつある。
(そっそうだ。俺は命を賭してリリーエを喰らった銀河連合と共に執務室の窓から落下して……じゃあ何で俺は生きてるんだ?)
「目覚めましたね、最高官」背後から声がする。「大丈夫ですん、みんな助かりました」
 振り返るとそこにはリリーナルや包帯で巻かれた状態のイタドウヨだけじゃない。向こう側にリリーエも寝具で寝てるのが見える。
「リリーエ?」
「ええ、奇跡が起こったのですん。助かるん見込みがないと言われていたリリーエが銀河連合から切り離され……懐かしい生命が私達を助けました」
「まさか前乃最高官だったあの方牙突然降臨してリリーエ於助ける何て那」
「そのリリーエは大丈夫なのか?」
「壊さず検査の結果は何処にも銀河連合と思しき存在の確認はされなかったわ。でも油は断たないの。暫く感染源の可能性を考慮して私達はここで入院するん事に成ったの」
 隔離か、引継ぎ乃為似来た乃似こんな扱い於受ける何て那--とイタドウヨは二の年より前に成立し、去りし年に施行した隔離法に対して少し文句を口にした。
「どっ如何だ。おっ俺も少しは役に立っただろ?」
「ああ、格好良かったな。だがそれだけじゃあ国民乃信頼乃回復似端繋がらん」
 ウッウググ--と歯を食い縛るカラッ佐だった。
(でっも良かった。りっリリーゼさんのお蔭で俺達はこうして生きてる。ひっ一つの悲劇は食い止められた。どっ如何ですか、りっリリーゼさん? おっ俺だって立派に最高官の仕事を果たしたと思いますよ!)
 今回だけは奇跡が起こった。けれども奇跡は二度三度と起きない。その為にカラッ佐は引継ぎの際にはより厳重に銀河連合対策をするようイタドウヨに申し入れた。今回みたいな事がまた起これば確実に体を奪われた生命は助からない。その為、生命が助かる方法として未然に防ぐ為の対策として雨漏り対策、井戸水の対策など液体型銀河連合に依る体内への侵入経路をより厳重に心掛けないといけない。これだけでも全ての銀河連合を未然に防げる保証はない。けれども悲劇を減らす事に繋がる。死んでいった者達の無念を少しでも晴らす事に繋がる。そう、カラッ佐は自身が最高官として最後の役目を全うするべく必死に話し合った。
(おっ俺がやれるのはここまでかも知れない。ふっ古き者達がやれる事はここまでかも知れない。そっれでもやれる事はやって手綱を羽渡ししないといけない。そっれが活かされる俺達のするべき事だ!)
 悔いる事に足を止める暇があるならそれを糧に前進するように助かった命に価値を持たせるべく全力で前進する事。そうしてほんの僅かではあるが全生命は運命の日が来るまで前に進む……

 ICイマジナリーセンチュリー二百十七年一月三日午後三時零分零秒。

 第七十五話 最高官のお仕事 完

 第七十六話 道真は藤原氏に復讐する に続く……

一兆年の夜 第七十五話 最高官のお仕事(中)

 午後零時三十分十一秒。
 場所は最高官第一執務室。
 カラッ佐とリリーナルは動けない。けれどもイタドウヨは筋肉を膨張させて相討ちを図る。
(死っぬ気だ。そっそれは最高官として止めないと!
 でっも体が、きょっ恐怖が、恐っ怖がああ!)
 カラッ佐は引継ぎの為にやって来たイタドウヨが自ら命を捨てて自分達を守ろうとしてる事を強く止めようと考える。けれどもカラッ佐は恐怖で体が動けない。恐怖で手羽先を動かせない。それが何よりも悔しくて悔しくてリリーエを喰われてゆく悲しみで心身共に昨日の全てを動かせないリリーナルと同じ状態に追い込まれる。彼女と一緒にイタドウヨの戦いぶりを見るしかなかった。だが--
(あっあのイタドウヨが力で圧倒されてるって? りっ栗鼠族の柔軟性が鬼族の力を鎧袖一触するのか? ウッウワアア……あっわわわ、勝ってない。こっのままじゃあみんな銀河連合の腹の中に収まるぞ!
 なっ何とか出来ないのかああああ!)
 カラッ佐の思考通りそれは只の獅子型ではない。栗鼠族の柔軟性を活かして尻尾で力を流して小さな四本足で体勢を崩したイタドウヨの身体を掴んで第一執務室中に投げ込んでゆく。獅子型とはいえ、鬼族とほぼ同じ身体能力を有するが為に消耗が激しいのは一目同然。イタドウヨは相討ちする事も出来ずに自分が一方的にやられる事に今までの自信を失いつつある。
「この鶴翼党乃党首牙、次期最高官だった俺牙獅子型似……一般生命乃身体於乗っ取るよう那銀河連合似真っ向科羅やられるなんてあってたまる科亜亜!」
 とうとう用意もなしに突進を図るイタドウヨ--こう成ったら最早一方的に喰われて死ぬしかない!
(クッソウ、声っが……声?)
 身体は動けなくとも声は出るとわかったカラッ佐。すると彼は張り裂けん程の音量で次のように叫んでみせる!
「俺っは最高官、そっれなのに何時も何時も俺のやり方に文句ばっかりつけやがって!
 どっどいつもこいつも俺を選んだ事も忘れて良くない所ばっかり捲し立ててええ!
 俺っはあの方に憧れて最高官を目指してそれから偉大なる恩師に極意を教わって後継者として立候補して選挙で必死に飛び回りながら両手羽先が一時上らなく成る程握羽して対抗に勝って念願の……ハッアハア!」カラッ佐の息継ぎが十分じゃない叫びはイタドウヨだけじゃなくて今にも止めを刺そうとする銀河連合の動きを止めた。「どっいつもこいつもみんな俺の苦労をわかってくれない。おっ俺がどれだけ金集めに苦労して更には大臣選びにも気を使い、そっして大臣の余計な事に対してどれ程意を痛めたかあああ!」
 ここ来て銀河連合は果敢に立ち向かうイタドウヨから口煩いカラッ佐に目標を切り替えた。これには秘書官を務めるリリーナルもようやく私情よりも使命を優先し始める--尻尾で無理矢理自分の身体を立たせてみせる。
「最高官をやら、せません。こ、こです、リリーエ!」まだ震えが残るも自らの妹への思いを原動力に自ら引き寄せようと大声を上げる。「全生命体にあるん声を、言葉を発、するん力は誰かを、誰かを守、るん時にあるんですん!」
 ところがやっとの思いで立たせたリリーナルよりもカラッ佐の方に獅子型は突進--瞬く間に彼の胴体に噛み付くのだった!
「あっぐあああああああ!」と悲鳴を上げながらカラッ佐は伊丹で身体機能の一部を取り戻したと瞬時に判断して精一杯翼をばたつかせて宙に浮くと。「うっぐぐうう、こっの烏丸カラッ佐最後の」偶然にも獅子型の力の流れを理解するかのように窓の方に向かわせて一緒に跳んでゆく。「オっオ花火を挙げてやるからなアアアアがああああ!」
「カラッ佐アアアア!」
「最高官んんんん!」
 カラッ佐と獅子型は窓ガラスで全身のあちこちを刺されながら地上まで落下してゆく!
(結っ局俺は誇れる最高官に成れません、でっした……りりーぜ最高官殿、ぉ--)

一兆年の夜 第七十五話 最高官のお仕事(始)

 午後零時二十三分四十八秒。
 今の年で後六十八の日の後に鶴翼党の党首である齢三十六にして三十日目に成る神武鬼族の老年カゲヤマノイタドウヨに政権を移行させる。その為、カラッ佐は引継ぎを完了しないといけない。だが--
「入るぞ」そこへ戸を叩かずにやって来る身長成人体型一とコンマ五程もあるイタドウヨが首を曲げて入って来た。「全く先祖代々科羅もう少し天井高く改修工事しろ斗言って来た乃似那!」
「こっこら、イッタドウヨよ。戸っを叩いてからは入れとあれほど言われてるだろうが!」
「五月蠅い、人気なし乃烏乃分際出!」
 なっ何て事を言うんだあああ--実際は有権者のほぼ六割程が『反対或はどちらかと言えば反対』の烙印を押されただけに泣き出すカラッ佐。
 実際には冒頭でカラッ佐がようやくいう事を聞き始めた頃合いとは即ち最高官が一期限りだと決定して誰もが最後に花を持たせようとカラッ佐に協力しただけである。なのでカラッ佐自身に全面的に強力な部下は殆ど居ない。勿論、庶務を務めるリリーナル及びリリーエ姉妹もそうである。それだけにカラッ佐の者望は薄い。
「まあまあ、最高官。で、でもようんやく政策の是非を理解してくれて職場で働く正装組もおりますんので最後くらいは成層圏を突破するん勢いで政務及び引継ぎを行いましょうんね……はい、これ!」
 目っの前に百枚束のみならず石板まで……リリーナルは冷たいですなあ--とカラッ佐は最近目立ち始めた白髪を左手羽先で擦りながら右手羽先で器用に筆を握りながら記してゆく。
「オイオイ、最高官乃仕事って乃端判子だけじゃなく直筆模あるんかい?」
「おっお前も手伝え!」
 へいよ、仕事似慣れねえ斗那--そこはどんな競い相手でも政務では共に働く仲間だという認識。
(クッソウ、あっあの図体で手際良いなああ!
 もっもう自棄だあ。こっう成れば仕事終わらせる為に政務とは何たるかを手羽先なり翼なりで示してやらあですなあ!)
 最高官はあくまで施政方針演説で方向を示す。示すのは構わない。実際、選挙戦で訴えた事と施政方針で語った事に寸分の狂いもないかも示さないといけない。遠すぎる過去ではこれが重要であり、選挙戦での示す事と施政方針演説のそれが違えば国民の信頼を得られない。当然、次の最高官選挙の際の信認問題にも繋がるのだから。そこがかつてあった真正神武、古式神武、そしてそれらを合わせた真古式神武との大きな違いである。それでも任期途中で不測の事態が発生した場合は一々選挙或は施政方針にはない事を遂行しないのは神々に申し訳が立たない。故に最高官は常に国民の民意に左右されやすい。仮に本音が口に出来なくとも最高官は本音にない事を遂行する義務を負う。それでも国民の意見ばかりに左右され過ぎるのは却って方向が定まらないとして個性なしと断言される。故に最高官たるものは方向を示す。選挙で民意に訴える時も、それから最高官に就任した際に施政方針演説を以ってまでして個を!
 次に最高官は方向を示すは良いが任命する大臣も慎重に執り行う。大臣がもしも不足な心掛けをしたり、態を失う事がある場合は任命責任は最高官に帰結する。だからと言って無難な大臣ばかり任命するのは自分のしたい事を本当の意味でやってくれるとは限らない。どの道、大臣とは自らの方向を忠実に果たす為の存在であって安易な道具ではない。彼らも生身の生命である以上はどんな態を失う事が起ころうとも最高官は全責任を負う覚悟で任命しないといけない。それ故に最高官は大臣の任命を慎重に執り行う。
 最後に最高官は毅然としなくてはいけない。確かに誰も反対出来ないような強過ぎる最高官は却って国民の信を得られない。けれども頼りない最高官を部下は望まない。国民だって望まない。最高官が弱々しいと誰も従いたいと願わない。故に最高官は毅然とした生命でないと務まらない。
 三つの観点からカラッ佐は任期中に度重なる問題を起こした。にも拘らず彼は全く省みなかった。これが剛力党の支持率を大きく低下させて鶴翼党の再台頭を許した。
「お前こんな乃判子押してどうするんだよ!」
「喧っしいわい、口っ煩く成ら子供でも出来るのですぞ!」
「まあまあ喧嘩は止めて……戸を叩く音がするんわ」
 リリーナルの言葉を聞いた二名は一旦手と手羽先を止めて扉の方に耳を傾ける。すると齢二十一にして後の月と十八日目に成るリリーナルの妹のリリーエが姉と異なり……「お食事が出来ましたわ」と可愛らしい声色で報せる。
 どっどうぞ--と返事するカラッ佐。
「失礼しますん」と可愛らしい尻尾を振るいながらリリーエは扉を開ける。「ではそろそろ食卓の方に向かいましょうん」
「そっんじゃあそろそろ--」
 待て、カラッ佐……その子似近付く那亜--と何かに反応してカラッ佐の襟首を右人差し指と中指で強く抓む!
 するとカラッ佐が飛ぶべき方角に向けて液体のような物が飛び出す--と同時にリリーエが獅子型に様変わりした!
「リ、リリーエえええ!」
「な、ぎっ銀河連合が……あわ、あわ、あっわ!」
「如何やら……俺牙最高官似就任する日端永遠似訪れない那」
 一名は恐怖の余り、もう一名はたった一名の妹を銀河連合にされた衝撃で痙攣を起こす中……次期最高官のイタドウヨは覚悟を決めて全身の筋肉を膨張させてゆく!

一兆年の夜 第七十五話 最高官のお仕事(史)

 午前十一時二十九分十四秒。
 場所は中央官邸最高官第一執務室。
 カラッ佐はテオディーが来るまで改めて歴代最高官達について振り返ってゆく。
(ばっバレルバーの後を継いで第四十三代最高官に就任したのがタゴラス駱駝族だったが十の年より前にボルティーニ駱駝族に帰化した林原コブ八平はちへいで彼は二期目の二の年目でで重度の病に依って辞職。引っ継ぎを任されたのが第四十四代最高官にしてコブ八平の妻であるコブ光代みつよで初めてのメス最高官だったが、彼女はそれ故に共和青空党との一騎打ちに敗れた。きよっ共和青空党にしてボルティーニ蝶族のバタフレイ・メロウリで彼は五十一歳という恒例の中で第四十五代最高官として任期満了まで政務を務め、つっ次に第四十六代最高官に成ったのが史上二名目の雌最高官に就任するアリスト牛族の北条ブルで彼女は二期まで務めるも雌ゆえの問題点が彼女の代で問題と成ってその後は自由党に政権が戻る事に。そっして第四十七代最高官に就任したのがアリスト馬族のロデルデ・ヴェロウドで彼は最高官に臨時以外での雌の就任を禁止する法案を通した物の僅か一期務めるだけで新興政党である海洋連合会で海洋種族である党首にしてエピクロ鯨族のワルシェード・ホエンラドンに敗れて下野する事と成った。こっこまででICイマジナリーセンチュリー百五十三年からICイマジナリーセンチュリー百五十九年。
 だっ第四十八代最高官に就任したのは海洋連合会の副党首であるエピクロ百足族のムカンダ・笹原で地形の都合上はワルシェードは党本部の党首として活動しないといけないらしいですな。そっれでもムカンダは国民からの支持が高い程に者柄が良かった事もあって二期までしっかり政務を熟した。だっ第四十九代最高官に就任するのはルケラオス象族で剛力党の二十二代目党首マモリモルナル・アダルネスの先祖であるマモリモラヒムで彼は共和連合でストテレス鬼族という新興鬼族のギガントル・ダッジェルドとの一騎打ちに敗れてしまった。だっ第五十代最高官に就任するギガントルは共和連合の結党理念とは反対に力による平和を掲げた事もあって強硬な姿勢で政務に励んで巨大な財政赤字を抱えてしまう物のそれでも二期まで務める程だった。ぎっギガントルの跡を継いで第五十一代最高官に就任したエウク鳩族で柊家から独立した問題児である鳩山ポざんは逆さまに平和路線への回帰を目指すも財政赤字の解消が十分じゃないままに自由党で神武鬼族のカゲヤマノイタジンドウとの一騎打ちに敗れて下野。こっこから先は長いカゲヤマノ一族による交代及び独立政党に依る支配が始まる。こっこまででICイマジナリーセンチュリー百五十九年からICイマジナリーセンチュリー百六十五年。
 だっ第五十二代最高官のイタジンドウは任期中に共和青空党及び海洋連合会を合併させて更には自身の政党から数名程離党させて新たに鶴翼党を結党して二期目が掛かる選挙で自由党及び開発党の代表と激しい選挙戦の末にこれを撃破して二期目まで務める。だっ第五十三代最高官に就任したのはイタジンドウの弟であるイタドノオで彼は世襲制度を認める法案を通してこれを圧倒的な数の力で可決させていっては二期まで務める。そっれから第五十四代最高官でイタドノオの第二子であるイタドノカで二期、だっ第五十五代最高官にしてイタドノカの第一子イタゼンドウで二期、だっ第五十六代最高官にしてイタゼンドウの弟のイタゼルドで二期、最っ後のカゲヤマノの最高官にして第五十七代最高官でイタゼルドの第五子で弱弱しい印象のイタロウトは一期まで務めるも選挙戦略を大きく変えた自由党の候補に敗れてカゲヤマノ一家による支配の時代は幕を閉じた。こっのようにカゲヤマノ家に依る一族支配が可能だった背景には真正神武が喰われて古式神武も真正神武最後の最高官だった七弓なゆみ様を斬弥きるみが迎え入れる事で古式神武は変革を始めた訳だ。そっうなると何時までも頭の入れ替えをしてるだけでは纏まらないという安心出来ない思いが国民に共有されて行き、そっこに行き着いた訳ですな。こっこまででICイマジナリーセンチュリー百六十五年からICイマジナリーセンチュリー百七十六年。
 こっこから先は剛力党が出来るまでの間に自由党の第二黄金期が始まったと言っても過言じゃないだろう。何っ故なら自由党以外のほとんどの政党が既に政党としての体力もそれに代わる有力な政治団体も出来なかった時代だ。さって第五十八代最高官に就任したのはゼノン人族で飛遊家から独立した足尾未踏あしお みとうで二期も続いた。だっ第五十九代最高官に就任したのも足尾家で未踏の双子の弟である未到みとうで彼は二期務めながらカゲヤマノ家の支配を思って世襲制度を廃案に導いた。だっ第六十代最高官に就任したのはゼノン人族の飛遊三刀弥ひゆう みとうやで彼は人族の一極集中を嘆いて一期務めを果たした後は辞任する。そっれから投票なしに近い形で他を圧倒して第六十一代最高官を勝ち取ったのがゼノン百足族の紐梨ムカ蔵で彼は無事に二期まで務めた。だっ第六十二代最高官はメデス蟹族の蟹江カニ六で一期までしか務めないがここから先はずっとそんな感じで一期しか務めない最高官が後を絶たない。そっの理由はムカ蔵が再選制度を廃止したからだそうだ。さって、てっテオディーが着くまでに一期ずつ務めた最高官達を簡単に説明しようか。だっ第六十三代最高官はメデス闘牛族のバッファゼ・松岡、だっ第六十四代最高官はゼノン猿族の猿丸ウキまさ、だっ第六十五代最高官はエウク燕族の沖田スラ九十九つくも、だっ第六十六代最高官はエウク蜥蜴族の小林トカ郎、だっ第六十七代最高官は武内鼠族のネズマサ、だっ第六十八代最高官は雄略河馬族のカバカズ十九代、そっして再選制度を復活させる立役者の一名である第六十九代最高官でボルティーニ栗鼠族のリリオ・リッサール、もっう一名の立役者で法案を施行させたのが第七十代最高官でボルティーニ鹿族の木下シカッ造で彼は二期まで務めたな。こっこまででICイマジナリーセンチュリー百七十六年からICイマジナリーセンチュリー百九十五年。
 お、そっろそろ来たな)

 午前十一時四十三分一秒。
 齢二十三にして二日目に成るボルティーニ栗鼠族にして第六十九代最高官リリオの子孫である女性リリーナル・リッサールは戸を三回叩いて尋ねる。カラッ佐は返事をして彼女を入れさせる。するとカラッ佐の鼻に届くテオディーの香ばしい匂いはお腹の虫の活動を活発化させてゆく。
「あら、最高官ともあろうん御方が空腹にまで苦しめられるんなんて」
「まっだ昼まで早いだろ?」
「心配は要りませんよ。既に妹のリリーエにお願いしてあるんだから」とリリーナルは用意が良い模様。「それで歴史について調べていましたの?」
「そっそうだ。なっ何なら続きを口にしようか?」
 ええ、是非とも--とリリーナルは育ちの良さを示すように品質の良い肌と神のような微笑みでカラッ佐に下心を誘発させる所だった。
(いっけないな、こっれだからリリーナルはとんでもない雌だな。さって続きだ続き!)
 そこから先はカラッ佐自身の口から語られる。第七十一代最高官を務めるのは自由党でカラッ佐の曾祖父である烏丸カラッひこで彼が務めたのは僅か一期まで。第七十二代最高官も同じく自由党でネズマサの孫である武内鼠族のネズゾウリで彼は二期まで務める。第七十三代最高官はゼノン雁族のデッザイヤ・ダリッキャで彼は二期まで務める。ここまでICイマジナリーセンチュリー百九十五年からICイマジナリーセンチュリー二百年。
 この時代より力道党及び力道会の流れを汲んだ剛力党が結党される。当初は弱小政党の一つとして数の年で消える物だと誰もが思われたが真古式神武がいよいよ大変な時期に入ると一気に勢力を拡大。自由党一党独裁体制に終止符を打つ事に成ろうとは誰が思ったか、とカラッ佐が熱弁する程。
 先ずは力道党政権に成るまでの七代を紹介すると次の通り。先ずは第七十四代最高官であるルケラオス熊族のクレッセルト・グリーズで二期、第七十五代最高官であるアンモ蜊蛄族のザーラレス・ガニーダで二期、第七十六代最高官である同じくアンモ蛙族のケロルト・ジネンダで二期、第七十七代最高官はエピクロ熊猫族の日暮パン世琉ぜるで二期、第七十八代最高官はゼノン雁族のデッゾウ・ダリッキャで一期、第七十九代最高官はアリスト猫族の猫目にゃんまるで二期、最後の自由党の最高官は第八十代で蘇我獅子族の蘇我シシ蔵で二期務めた。ここまででICイマジナリーセンチュリー二百年からICイマジナリーセンチュリー二百十三年。
「--そっれから剛力党のマモリモルナル・アダルネスが党首で初めて最高官を務めた訳だ。しっかも二期まで。次っに就任したのは俺の恩師でありますボルティーニ栗鼠族のリリーゼ・リッサール……君達姉妹の父親ですなあ。そっして第八十三代最高官を務めるのはこの俺、カッ烏丸カラッ佐様ですな」
 でも選挙に敗れてもう直離れるんでしょうん--実は既に任期満了で二期を務めない模様……最高官とは何時までも慣れる職業ではない。

一兆年の夜 第七十五話 最高官のお仕事(歴)

(あ、初っめまして。俺っはエピクロ烏族の烏丸カラッ佐です。剛っ力党の党首にして新天神武の最高官を務めるんだ。げっ現在はまだ一期目を務めていて、みっんな俺の言う事を聞き始めた頃合いなのだ。そ、そっうだ。さっ最高官の任期は四の年だというのは知ってるだろ? 知っらないなら再び言う。最っ高官の任期は四の年。さっ再選は一回まで。そっの為に同じ最高官は八の年より先も人気を続けられない事。おっ俺はそれが何とも厳しいと感じてね。特っに壮大な計画を推進する為にはやはりずっと続ける方が良いんじゃないかって思うんだ。僕っとしての考えはですね。まっあ初代最高官だった天同ななが二期までしか勤めなかったから決まりましてな。いっ以降、そっの慣例を守るのが置き手に成ってしまいましてだな。
 そっそうだ。なっ七様以降の最高官を順に紹介していこう。二っ代目以降は多くの議席数を確保した政党の党首が選ばれていったな。二代目は力道党の初代党首を務める神武鬼族のカゲヤマノスサナミキ。彼っは初代と同じく二期務めたな。イっICイマジナリーセンチュリーにすればキシェール家の小僧の年号で百九年からICイマジナリーセンチュリー百十一年まで。
 つっ次に成ったのも力道党の二代目党首で蘇我パタ吉郎。彼は一期までで次の最高官を決める時には自由党四代目党首でルケラオス鼠族のチュンサ・カテリウォットにICイマジナリーセンチュリー百十二年に敗れて力道党は初めて下野したな。
 よっ四代目最高官であるちゅんさだったが、力道党の様に政権運営する骨を知らなかった為に僅か一期務めただけでICイマジナリーセンチュリー百十三年に力道党三代目党首にしてエピクロ牛族のウシルド・ゴルンガルンに敗れて下野した。
 ごっ五代目最高官のウシルドは力道党の政党理念である『力なき国に未来はない』を体現した生命らしく次々と軍備拡大を推進。にっ二期も務め、更っには三期目まで務める法案を成立させようとするも一極集中を好まない傾向と晩年のウシルドの覇気の無さが幸いしてそれは果たせなかった。いっICイマジナリーセンチュリーにすれば百十五年も務めたな、史っ上三名目の。
 ろっ六代目は同じく力道党にしてウシルドに全く似なかった弟子でテレス熊族の真鍋ベア十五。熊族にしては気性が大人しく、そっそれでいながら前任者に比べて弱弱しい印象があったせいで最高官を決める選挙で大敗。いっICイマジナリーセンチュリー百十六年に自由党党首で元力道党の政調会長を務めたストテレス栗鼠族の保坂リこうに譲り渡す事と成った。
 なっ七代目は自由党党首の保坂リ甲で彼は運営能力を学んでいた為に二期まで務める事と成った。いっICイマジナリーセンチュリー百十八年まで務めて更には軍事路線から経済路線へと自然なる転換は後に同じく自由党にして八代目最高官のボルティーニ鳩族の春加山ポポ助に引き継がれていかれました。
 はっ八代目は春加山ポポ助で彼はICイマジナリーセンチュリー百十九年に力道党でベア十五の第四子ベア天恍てんこうに敗れましたな。政っ策は良かったのに力道党の選挙戦略に敵わなかった。こっれ以降は力道党と自由党の最高官争いが演じられる。初っの共和党への政権交代するまでひたすらそれらの党の党首だけが最高官に成っていったな。
 きゅっ九代目最高官は力道党の真鍋ベア天恍、じゅっ十代目最高官は自由党で物部犬族の物部ラビリンぞう、じゅっ十一代目は力道党で物部猫族の物部ネッこん、じゅっ十二代目は自由党で蘇我馬族の蘇我ポニ太郎、じゅっ十三代目は第一期三の年の目で急死した力道党で鬼ヶ島兎族のウサミチ・ドウワン、引っ継ぎで第十四代最高官に成ったのは当時副最高官だった鬼ヶ島亀族のスポイト・スポデューン、そっして第十五代最高官は共和党の党首でヘラクレイトス羊族の小野寺メイ造が奪取した訳ですね。こっこまででICイマジナリーセンチュリー百十九年からICイマジナリーセンチュリー百ニ十四年。こっれ以降は力道党の勢力が弱まってゆく。
 だっ第十五代最高官の小野寺メイ造は二期を務めるも政権を担うには余りにも今後の課題を残していった三代続く共和党。第十六代最高官にしてメイ造の第二子メイ字は一期務めただけで次の選挙に出ずに代わりに第十七代最高官に成ったのは副最高官だったヘラクレイトス豚族の小島ブ郎。彼っは政権交代を主張する自由党で物部犬族の物部ラビリン助に敗れて僅か一期務めただけで下野する事に成った。ここまででICイマジナリーセンチュリー百ニ十四年からICイマジナリーセンチュリー百ニ十八年。こっれら四の年もの間の共和党政治は新天神武の勢いを大きく削ぐ結果を産んだ。
 だっ第十八代最高官は物部ラビリン助で彼以降は自由党黄金期と呼ばれる長期政権の樹立である。二期務めたラビリン助、第十九代最高官であるエウク猪族の猪田イノッ科は二期務め、だっ第二十代最高官であるストテレス鷹族の高梨ホウじまも二期、だっ第二十一代最高官であるエピクロ猿族のサルマル・ジローニは一期務め、だっ第二十二代最高官にしてボルティーニ人族で初代以来久方ぶりの人族の大梨洋三は二期務め、だっ第二十三代最高官にしてボルティーニ蟻族の大河内アリ介も二期務め、だっ第二十四代最高官にしてテレス鰐族のアリゲル・アリストラーダも二期務め、だっ第二十五代最高官にしてクレイトス蠍族のサソウ・リリカーナという雌みたいな名前をした雄が一期まで務め、だっ第二十六代最高官にして物部縞馬族の物部シマ彦で彼も一期まで務め、だっ第二十七代最高官にして黄金期最後の締役を務めたのがボルティーニ燕族の土方スライ素戸すとで青空党の党首で雄略鷲族のワーテル六世に敗れて僅か一期のみだったけどね。こっこまででICイマジナリーセンチュリー百ニ十八年からICイマジナリーセンチュリー百四十四年と半世紀近くは自由党が政権を担ったんだな。
 だっ第二十八代最高官のワーテル六世は僅か一期しか続かずに共和党でクレイトス羊族の小野寺メイ造に政権を明け渡しましたか、そっこから先は色んな政党に政権が譲られて一期しか続かない時代ね。次っに政権与党と成ったのは自由党でこちらは初めて政治団体の支援を受けて政権奪取した第二十九代最高官にしてテレス豚族のソウバル・ブルホルで以降は政治団体の力を借りて政権奪取が為されてゆき、だっ第三十代最高官は青空党でストテレス蟻族のアリオンズ・アリムッタ、だっ第三十一代最高官は共和党でクレイトス蟻族の色巻アリ太郎、だっ第三十二代最高官は自由党でエピクロ人族のスライ・ヘレーベル、だっ第三十三代最高官は共和党で俺の先祖であるエピクロ烏族の烏丸カラッ一郎、だっ第三十四代最高官は自由党でテレス熊族の真鍋ベアごん、だっ第三十五代最高官は抜け道を提唱した事で後に問題を残す事と成った初めて政権与党を務める開発党でアリスト鶴族の板垣ツル恵介けいすけで新天神武で初めてと成る合併政党共和青空党の党首にしてクレイトス鼬族のイタルバ・ボランロウディに政権奪取されるまでICイマジナリーセンチュリー百四十四年からICイマジナリーセンチュリー百五十二年まで実に八回も政権交代が為された。これ以降は共和青空党に依る三代三期内引継ぎ一代に亘る政権が続く。
 だっ第三十六代最高官はイタルバで彼は抜け道を利用して三期まで務め、だっ第三十七代最高官にして武内蟻族のアリッタも同じく三期まで務め、だっ第三十八代最高官にして三期一の年目で急死したエウク猿族のサンドロ・サルスケ、さっサンドロの引継ぎを務めた当時の副最高官であり第三十九代最高官のサンドロの弟のサンヂュは自由党に政権奪還されるまで実に三の年も役目を果たした。こっこまでICイマジナリーセンチュリー百五十二年からICイマジナリーセンチュリー百六十一年。
 だっ第四十代最高官にして任期途中の二の年に初めて銀河連合に喰われてしまったルケラオス蜂族のビー・バリー、だっ第四十一代最高官に成ったエピクロ羊族のシーペ・シピーズは引継ぎ二の年の目に急死、第四十二代最高官に成ったボルティーニ家の問題児である仁徳人族のバレルバー・ボルティーニが引き継ぎを担当してあらゆる方法で選挙対策をして見事政権の維持を達成して更には再々選の抜け道を法律で塞いで自分自身も二期までしか務めないようにして後塵に明け渡す事と成った。こっこまでICイマジナリーセンチュリー百五十二年からICイマジナリーセンチュリー百五十三年。
 そっろそろティータイムに入ろう)

 ICイマジナリーセンチュリーニ百十七年一月三日午前十一時二十三分。

 場所は新天神武首都ボルティーニ中央地区新中央官邸最高官第一執務室。
 今回の物語の主人公を務める齢三十五にして四の月と四日目に成るエピクロ烏族の中年烏丸カラッ佐は今までの最高官を振り返っていた。なのでまだまだ彼の短くも箸休みな物語は始まらない。

これで五週連続二雑文……自分ルールに縛られて日曜は不自由なんだよ

 どうも再び雑文のdarkvernuです。
 二つ目は何にしようかなあ……これにしよう。

 どうもアンチジャーナリストの三浦水脈よ。水と油のような二人を足して二で割ってるけどきっと関係ないわよ。
 今回はあるボクシング沖縄基地マッチの実況をする事に成ったわ。そのボクシングは何でも基地の是非を巡る戦いのようだけど、その戦いは……失礼、作者が無知なせいで回りくどくて御免ね。
 アカコーナー……御存知基地反対の急先鋒にして基地を追い出す為なら法を犯しても構わないと主張するネットサヨクのマウンテンパレス!
「ダイダイダイ、ヘイトヘイトヘイト!」
 青コーナー……沖縄のマスメディアの異常性を必死に訴える純沖縄人のガーナハ!
「皆さま、如何か騙されてはいけません。彼らの大半は外から来てます!」
 さあ共に沖縄を思う心……国連の場にて始まりましたわね。早速マウンテンパレス選手は保釈の許可が下りたと同時にガーナハ選手に突進。そして盛大にクロスカウンターを受けてノックダウン!
 テンカウント……試合終了しましたわ。勝ったのは先に講演をしてマウンテンパレス陣営のありのままをお送りしたガーナハ選手でありましたわ!


 済まないな、アンチジャーナリストは良いんだけど……両選手とも詳しく知らないのでほぼ付け焼刃な状態でキャラ付けして申し訳ない。次からはちゃんと人物を理解した上でキャラを動かしたいと思います。
 さて、今回のは今更これを出すのも何だけど沖縄ってのはキチガイ二紙にキチガイ活動家連中のせいでいらん風評被害に遭うんだよな。というか新聞社二つ自体が何処をどう違うのかわからん位に論調が一緒。あのKY新聞でさえ沖縄に立ち寄れん程にあそこの寡占化は酷い。そんな思い空気に何と八重山日報が参戦。更には本当の沖縄発信の為にガーナハという方も出て来て暗い未来しかない沖縄に一筋の光明が見えて来た訳だよ。というか反対派の旗に中に支那漢字或はハングルって何? 如何して沖縄人だけの筈の反対集会に外国人が参加してるんだよ。その余りにも酷い参加者の実態にマウンテンパレスを始めとしたテロリストその物な犯罪的な行動……そりゃあ八重山が報じないとこれはな。というかそれを問題視しないパヨパヨ新聞社二社にあの支那の手先のような知事……本当に如何かしてるだろう。しかも機動隊も人数不足でわざわざ県外から派遣される人まで……だからこそ大阪府知事の松井秀喜(仮)はあんな発言をしたんだぞ。全くここから松井秀喜(仮)の覚醒が始まった或は攘夷党の覚醒が始まったと言って良いだろうな。
 と本当はもっと語るべき事あるけど今回はここまでにする。

 タイムスと琉球の違いとは名前だけだと自分は思ってる。なので八重山日報の登場はユーザーに選択の幅を広げたと言って過言じゃない。つーか論調が全く同じような新聞社しかない状況下で如何すれば良いんだ、と賢い人達は沖縄住んで新聞取る時苦労したんだろうなあ。
 という訳で今回はここまで。出来れば広告代理店の選択の幅を広げて欲しいなあ。電通なんかもうコリゴリだ。

別に駄目大人党シンパじゃないからこいつを大いに馬鹿にしても問題ないよね?

 どうもdarkvernuです。
 始める前に『格付けの旅』が土曜日に更新されましたので読まれたい方はカテゴリ欄の<格付けの旅>又は<白魔法の章>をクリック。
 さて、工作員チェックも出来ずにヒステリッたあの話題の人でも馬鹿にして見ますか。

 全国騒音おばさん対決が始まるぞ!
「引越ししなさい、引っ越ししなさああい!」
 先ずは実況を務めるのは頭がパーンした老夫婦の数限りない嫌がらせに耐え兼ねて暴発し、一方的にマスゴミに依って加害者にされた殿堂入り騒音おばさんミヨコ。
 解説はとても精神科医とは思えない異常者染みた行為をする事で話題のリカちゃん。今回も試合の度に中指立てて解説してくれるぞ。
 では作者の知力不足もあって参加するのは四人。最初はやはり与党出身だったあの人から行きましょう。
「このハゲええええええ、違うだろう、違うだろオオオウ!」
 工作員疑惑浮上の元秘書に依ってヒステリックな一面を全国に知らしめた駄目大人党魔の二回生でもあるマユユ。決して小林よしのりの好きなアキバのマユユじゃないよ!
「日本は必ず大暴落を起こすんだから!」
 紫ヘアーと如何にも地獄から来てそうな面構えの大学教授紫ババア。今年も日本経済大破綻本を出してくれる事をファンは願って已まない!
「あの眼鏡禿げにレイプされたんだよ。もうね、どれだけ夜も眠れなかったかわかるウウウ?」
 とベトナムでのライタイハンについて載せようとしてツインバードストライクに事実上解雇されてしまった眼鏡を潰す為に送り込まれたアバズ……失礼シオリ=サン。
「悩み無用、あたしの歌きっと売れて来るうう!」
 御存知芸能界の御意見番を自称するエラ具合が良く、。そして何時もヒステリーな事を撒き散らす和田アキオ。
 本当ならネオ・ブーメラン党のレン4やバイブ、そしてオザー党のユウコリンも出したかったけど、そこは忖度する事にしました。だって今回の主役はマユユなのでこいつらが出てしまってはマユユよりも目立ってしまうじゃないか。そうゆう訳で早速ですが第一試合であるマユユVS紫ババアの一騎打ちをどうぞ!


 永遠に続きは描かれないバキ風トーナメント出場実況のパロをお届けしました。何かなあ、刃牙道は武蔵つえー描写がうざ過ぎていい加減終われって思うんだよな。やっぱグラップラー時代の雰囲気に戻して欲しいよ。そしたら面白さを戻すしさあ。
 と板垣への文句はここまでにして今回やった理由はあの有名な暴言テープ。頭が良いんだけど、それ以外は頭が悪い人間に見られる兆候……何てレベルじゃねえ。幾ら秘書が工作員か何か知らないけど、あれは駄目だろう。その録音テープ聴いて思わず噴いたな。間違いなくこのババアは頭いかれてるって。何だよ、ミュージカル風罵倒って……どうしてそんな所に頭を使うんだよ(嘆)! 全く駄目大人党もあれだよなあ、あんな問題児を採用しちゃって……まあ最も党の人間なんて手駒を少しでも入れたいからなあ、だからこそ魔の二回生だのなんだのが出て来るんだよなあ。特に酷いのは酒の嫁さん。流石にあの行為はあの世で酒が泣いてるぜ。
 とはいえ、党のせいにするのは構わないがだからといってこいつらみたいなのを理由にこの党に入れないっていう安直な考えで票を投じるのは止めよう。基本的に票を投じるのは一番良いのを入れるのではなく、一番マシな所に入れる事。自分も出来れば駄目大人党以外に入れるべきだと思うんだけど……日本第一党或は維新政党新風が枚方の選挙区に立候補してくれないかなあ? そしたら左が支配する事で話題の大阪も少しは頭がパーンな奴等の支配から脱却されてマシに成るんだけどなあ。
 因みに時事ネタの人選が如何してああ成ったのか? 騒音おばさんは殿堂入りなのであれだしな。そしてリカちゃんは話題に成る度に医者の不養生を見せてくれる訳だし、こいつらはやっぱり実況と解説に向くだろう。出したら即優勝してしまうからな。マユユは説明の通りだし、紫ババアは本のタイトルもあれだし、このババアもアレだからこそ出場する意味はある。シオリ=サンは最近話題だったのを受けて急遽捻じ込んだ。サイボーグ叩きの為にわざわざ御用記者を貶めるってのは流石にねえ。最後の和田アキオはまあ……思い付くのが居なかった事もあったんだよ。だってマユユ以外の国会議員は流石にインパクト強過ぎて駄目じゃねえか。なのでアキオを出した。
 そうゆう訳で時事ネタの解説を終わらせる。

 第七十四話の解説でもしましょうか。五回も続いた天同優央のお話は幕を閉じた。息子の躯伝の話はもう暫く待て。何しろ奴は新天神武を大きく変えてしまうからな。だからこの後の話はずっと短編で行く。つーか人族以外の話をしたいからさあ。
 えっと本編ではほとんど戦いばっかりのお話に終始した。後はシレンデン以外の真正なる五式を描きたかったって言うのもある。あるにはあるけど、やっぱりシレンデン以外はあんまりキャラ立ちしなかったなあ。強さを一応示した事は示したんだけど……なあ。他には滅んでゆく状況よりも如何にして脱出してゆくかってのを描くばかりでしかも蓋を開けてみれば都合よく地下通路あって……ねえ。そこが書き終わってみてからの反省だったな。バッドエンドこそないとは言ってもこんな終わり方って言うのは正直自分としては失敗したなあと今でも思う限りだ。一体何時に成ったらうまい物が描けるのか、自分は本当にもの解として三流だよ。まあ本編でさんざん言ってるように悔いる暇があるならそれを糧に前に進むしかない。自分にはそれしか道はない。
 という訳でこれからも一兆年の夜はブログの主旨に従い、精進してゆく所存さ。そうゆう事なので第七十四話の解説を終えるぞ。

 さあ、お約束の予定表だぞん。マユユ風のキチガイ口調をリスペクトスル~形~デ~。

 予定日六月二十六日~七月一日 第七十五話 最高官のお仕事           作成日間
     八月予定       第七十六話 道真は藤原氏に復讐する       作成日間
                第七十七話 赤松は何故足利に反旗を翻せたか   作成日間
                第七十八話 利休の闇を見て秀吉は手を下す    作成日間

 因みに第七十八話のタイトルだけど、一説に依ると信長謀殺に千利休が絡んでるんじゃないかって逸話もある。それを知った秀吉があの利休を斬首したんじゃないかってな。あくまで逸話だ。どの道、それで秀吉を良いように褒めるのも短絡だと自分は思う。まあ秀吉支持者の自分ではあるけど。
 それじゃあ今回はここまで。海老蔵の嫁さんの訃報を楽しそうに街頭インタビューしようとする記者の倫理観は一体!

試作品 真実村

 どうも普段はHPの方を先にやるけど、今週に限ってブログの方から先にやらせて頂きますdarkvernuであります。
 さあ今回は自分がほぼ真実に目覚めた(正しい事は常に変わるので不変という訳にもゆかない)あの連中に関する事を揶揄したあの物語を記そうかと思うぜ。

「真実村に一度立ち寄る際には注意が必要だ。あいつらの言う村の歴史は信用成らない」

 ある学者は俺にそう言った。そんなの嘘だろう、そう考える。第一に村の歴史は村自身が収めるんだろう。外が知るなんて有り得ない有り得ない。
 そう思って俺は故郷から数キロ離れた山奥にある真実村に最初は電車でそれからバスで計一時間向かった後にそれ以降はガイドに案内される形で辿り着いた。そこは地理局が足を運ぶのも面倒な所にある。というかガイドは途中で目隠ししてそれを外した時には背中側にトンネルのような物があった目の前にあるという始末。つまりガイドにしかわからない所に真実村がある。因みにバスを降りてここまで来るのに僅か三時間十二分で済む距離なそうだ。
 ガイドに依ると真実村は日本政府に依る度重なる統治に依って人心共に蹂躙を受けたそうな。おまけに性奴隷を大量に使って多くの被害者を産むそうだ。何よりも酷いのは彼らが自分達の名前すら認めずに勝手に決めていったそうだな。それは嫌な話だったな。ここにも日本の闇は根付く訳だ。まああんまり興味ないので適当に聞き流したな。
 それじゃあ真実村に立ち寄り、俺は俺の仕事に取り掛かるか……え、俺? 俺は萩本夏美(はぎもと なつみ)ってんんだ。父方の祖父は戦前はあの半島に暮らしていた非日本人。食う為に日本にやって来て最後まで帰化する事なく日本で一生を終えた在日なんだ。因みに祖母は純粋な日本人で俺と父は祖母の萩原姓を使ってる。何でも父曰く祖父の姓では帰化申請が面倒だから祖母の姓の方が楽だって。
 序に俺は二十四歳で農業に興味があって未開拓と思われるこの真実村にやって来た。それまで高卒で就職していた会社を辞めてここで一発逆転を狙おうかと野心を昂らせるんだな。そう思うと鞄の中に収めていた祖父の代より続く秀吉様が齎した萩原家直伝のキムチを食べたく成って来たニダ……いけね、最近は嫌ハンリュウを呼んでついつい口真似しちゃうんだ。まあ本気で読んじゃあいないのであれだけど。
 それじゃあ村を回った印象は次の会話で参考にしてくれ。
「如何だい、それも中々の漬物だけどこのアカムゴも良いぞ」
「へえ、試食してみるよ……うう、唐辛子を塗した林檎?」
「最初はそんな顔をするけど、やがては癖に成って来るぞ」
「うーん、キムチが大好物な俺としましては……二度目はイケルじゃん!」
「ホッホッホ、誉めてくれて助かりますなあ」
 アカムゴは何でも真実村の名産品。真実村の土壌だからこそ可能にした辛く甘い果物。村人が工夫して作り上げたらしいな。残念ながらその製法は巧妙にはぐらかされたな。いや……何かこのアカムゴって辛い匂いの他に何となくかび臭いような。気のせいかな。
 気を取り直して次々と名産物を紹介しよう。
「これは真実村が開発した焼き果物です」
「林檎やパイナップルはわかるけど、葡萄やオレンジまで」
「こうして焼く事で美味さを引き立たせるのです」
「フウン」
 まあ焼いた林檎やパイナップルも美味いけどね。但し、焼く意味を理解出来ないが。
「え、その原料って?」
「我が真実村では百足やヤスデを磨り潰した美容液を開発しております」
「塗りたく、ないかな?」
 まあ世界中探せば類似した部族の美容液もあるかも知れないな。
「これは茶道?」
「いえ、真実村発祥の格闘術トルンドの礼儀作法であります」
「茶道に似てるような……気のせいか」
「あれがトルンドの一つであります拳撃で御座います」
「格闘技は知らないけど、一々裏拳する意味ある? しかも--」
「嫌なら見なくても良いんですよ」
「ご、御免なさい。気を悪くしたのなら次から言葉を選ぶから」
「……」
 何か悪い事したな。もう少し言葉は選ばないとな。
「これが真実村一の画家妻代一三(つまよ いちみ)の代表作『アサガオ』で御座います」
「何かゴッホの向日葵みたい」
「ゴッホは真実村に立ち寄り、この『アサガオ』を元に名作『ひまわり』を描いた」
「あ、そうなのか?」
 正直、今のは嘘臭いと感じた俺。
「成程成程、真実村は弥生時代からずっと続いてたんだ」
「はい、発祥は邪馬台国の女王卑弥呼がここで生誕しましてね。ここでアニミズムの極意を得て数年後に邪馬台国を築いた。そう、邪馬台国はここのお蔭で誕生しました」
「へえ、でも……いや、何でもない」
「如何かされましたか?」
「何て言うか、ここの歴史書って何だか……ちょっとトイレ借りて良いですか?」
「如何ぞ」
「え、なんで広間にトイレがあるんだ。外でやるよ」
 俺はそう言って路地裏に隠れた。何というか……思わず笑ってしまうような内容に。興味なさげに読んでみるとそれが笑えて来て如何しようもない。何が笑えるかは次の通り。
 先ず、飛鳥時代の挿絵なのに江戸時代の画家が描いたような絵が載る事。大体あんな絵画技術はその時代にある筈がないのに。
 次に平安時代の挿絵に記される村人の生活の様子。明らかに十字架が飾られた社とか有り得ない。その時代にキリスト教は伝来してない事くらい歴史授業を習った人間なら直ぐわかるから。
 それと明治時代の挿絵にスペシウム光線のポーズをする子供の姿とか。一体何を辿ればそんなポーズをした子供が出て来るんだ? それは戦後の昭和でないと無理がある。
 最後は大正時代の挿絵に映る『カモメのジョナサン』を読む青年。カモメのジョナサンはほぼ三十年前の作品だよ。俺はそれを子供の頃に読んだ事あるけど、大正時代のそれじゃない。お袋が学生時代に買ったものを子供の頃に俺が読まされたんだ。
 でも笑った後に残るのはこの村の何とも言えない不気味さ。一体何だろうか? 俺は今にでもここから出ないと大変な事が起こる気がする。大変な、何かの予兆が……


 という訳で『真実村(仮)』の一部エピソードをお届けしました。このエピソードは自分が嫌韓流を読んだ2005年代に設定。その時代より三年前の日韓共催のワールドカップで積み重なった韓流ブームとそれと比例するように高まった嫌韓の感情。それはやがて嫌韓流という本に依って一気に解放され、隣国とその人間の異常な姿が浮き彫りと成った。自分もかつては奴らが被害者で自分達は加害者だと思い込んでいた人間。だが、それは全くの逆でこうして自分なりに考える事であらゆる事柄を総合した結果はまあ今更語るまでもないだろう。
 それでも根幹は変わる事がないのでネット右翼やら軍国主義やら差別主義とかレッテルを貼られ続ける連中と同じかと言われればはっきり違うと言っておこう。自分は敢えて断言すると平和を獲得する手段として地球不要論が根底にある。保守主義も革新主義も根は地球一星主義が招いた物であり、あらゆる問題を除去する手段として彼らのマインドの根幹である地球を滅ぼせば全て解決するという考えを今も持つ。けれどもそれはあくまで理想であり、現実は所謂日本を守る手段として保守も革新も最終的には日本から追放して日本を本当の意味で救う為に日本を中心とした世界作りこそ現実の課題だと考える。あれ、現実も理想論に近くない? いや、特亜を含めて日本を本当の意味で救う為にはあの民族の支配を打破する事。あの民族とはエラの張った民族じゃあないぞ。まあそれを果たす為に必要なのは日本に寄生するエラ人間共を一掃する事が喫緊の課題と成る。そいつらさえ抹殺出来れば後は第二次世界大戦と呼ばれるもう一つの戦後レジームの脱却を図る為にニュルンベルク史観の一掃も図る。何、日本とは関係ないって? これ言う人間も最終的に信じるなよ。どっちみち日本をこんな目に遭わせたのはアメリカだ。そしてそれを推進したあの民族に支配され切ったアメリカ民主党。アメリカと同盟を組むのは構わないが、その場合は最終的にアメリカを見下ろすくらい……いや傲慢さを除けばアメリカと対等の関係に持ち込まないと本当の意味であの民族の一掃を図れない。それだけに日本人はニュルンベルク史観にも着目しないといけない。イスラエル問題の根幹はそこにあるんだから。とまあ今の状況下でしかもあらゆる奇跡でも起こらん限りは自分の唱える現実路線は難しいだろうな。
 話を戻すと真実村ではエピソードの度に時代や主人公が切り替わる感じにしておるよ。なので在日三世の萩本が他のエピソードで主人公を務める訳じゃないので気を付けるように。因みに主人公を在日三世にしたのは日本人にすると客観性を見出せないと思って敢えて在日にしたんだよ。その方が自分自身の不用意な感情移入と化せずに済むと思うしな。
 という訳で試作品の解説を終える。

 大半の人は戦争論で目覚めたそうだな。まあ確かにあの本は当時の小林よしのりとしては客観性もあってよかったな、戦争論までは。その後は天皇論に至るまであいつは今と殆ど変わらないような感情的な一面を曝け出し、更には天皇論で余計な事を口に出し、そして今に至る訳だよ。全くどうしてあいつはああ成ってしまったと嘆く貴方……あいつは昔からそうだから。つーか最初のゴーマニズム宣言を読んだら大体は予想出来る。それにあいつは天皇論を書く前だろうと後だろうと皇室を敬う感情も配慮する感情もない。何しろあいつの根幹は共産主義者なのだから。というかあいつは結局学生運動に参加したんだろう、間接的にもさあ。そんな奴を変節しただ何だとか保守論客として信じていた奴らは結局見る目がないと証明してるんだよ。まあゲルや小池、それから轟盲牌を見抜けん自分が言うのも何だがな(悔)。
 という訳で今回はここまで。ドリアゲは今週やらんだろうな。そうゆう気分じゃないからな、実際。

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(終)

 ICイマジナリーセンチュリー二百十五年十月一日午後九時零分零秒。

 場所は国境。天道星央道。そのほぼ中央にて優央は史烈の亡骸を抱いたまま正座を止めない。それを好機と見た周囲に展開する銀河連合は一斉に物部刃のような何かを発車しようとした時、突如として新天神武側より各仮設民家に狙撃を受ける。
「親父、それにお袋……う、そんな!」新天神武が狙撃を始めた理由の一つとしてちょうど二名の所に駆け付けた全身切り傷だらけjの躯伝が救出された事も関係する。「お袋なのか、それは!」
「ああ、泣いて良いんだぞ。史烈はお前については何も言わなかったが……泣いても良いんだぞ!」既に涙を流す優央は促す。「泣く事は心の中の苦しみや辛い事を洗い流す為にあるんだ!」
「死に目も遺言に立ち会う事も出来なかった僕に」背中を見せて泣く姿を見せまいとする躯伝。「そんな死角はないんだよ、絶対に僕は泣いたりする物か!」
 いいえ、泣いても良インダヨ……躯伝様--既に父や史烈の事で胸が張り裂けそうな己を我慢出来ずに号泣するメランコリーナは促す!
「僕は、僕は、僕は……なあ、親父。僕が進むべき道は何処なんだ? 真古式神武はもう何処にもないんだよ」背中越しに優央に尋ねる躯伝。「お袋が愛した新古式神武はもう何処にもない。親父の愛した真古式神武ももうない。じゃあ僕はこれから何を指標に生きて行けば良いんだよ!」
「指標ならあるじゃないか、今だけ僕の刺す方角を見よ」優央は徐々に近付く新天神武救出隊に向けて指差す。「僕の物語はこの後終わるだろう……だが、天同躯伝の物語はまだ始まってすらないんだから!」
「親父の物語は終わり、これからは僕の、僕の物語?」
 ここから先は優央自身の後書きで詳細に説明されよう。それは次のように記されてゆく。
『--こうして真古式神武は終焉を迎えた。けれどもそれは納得のいかない終わりだとは
限らない。このように僕が残り寿命に掛けてこれまでの記憶を辿って記してゆくのだから
な。この後についても少しだけ記述しよう。
 先に脱出を図った真古式神武首脳陣の内の最後の最高官を務めたストラ戸はその後、
一の週もまるで魂が抜けたように過ごした後に想念の海に旅立った。享年四十一歳。
 副最高官のドレイズは今も生きており、たまに新天神武の政治状況を報告しに来る
ものだから困るよ。僕はもう隠居の身なのにね。
 カモ八郎はその後、剛力党の党員と成って近々立候補するとの事。まだまだ現役の身
だな、カモ八郎は。
 チュウ十五朗は出家して残りの余生は山で過ごすらしいな。僕とほぼ同じ考え
なんだろうな。
 ハヤブルスは無事生き残り、新天神武でも配達員として空を飛び回るとの事。たまに彼
がここへ来る場合もある。それだけに彼に対しては親近感が湧く。
 序に鳩山ポッしょうについても紹介すると彼は後にハヤブルスの上司と成ったそうな。故に
ハヤブルスは日毎に彼の頼りなさに困ってるとの事だ。
 そう言えば忘れていたが記し忘れていたが、キューかるは如何成ったかだろう。今も僕の
連絡係として勤める。時々、彼には躯伝の元へ行くよう再三に亘って勧めるも首を横に
振るだけで言う事を聞いてくれないな。僕は後少しの寿命なのに彼は最後まで見届ける
つもりだな。困った坊やだ。
 他の者達についても記したいが、既に日記は後少しの頁だ。なので必要な分だけ記して
幕を下りるとしようか。真古式神武は確かに銀河連合に喰われて広大だった領地は一瞬
にして奴らの支配地と成った。けれども生命の国は真古式神武だけじゃない。新天神武は
早速借款を全て取り返す為に進軍を開始。僕達の関係者の知恵もあって少しずつでは
あるが、担保確保しつつある。それが僕と最高官との取り決めだ。借りた物を返す方法
として契約した事を果たすのが大人達のする事だ。後は左右されやすい民意を何処まで
納得させるかだ。ここが新天神武の硬直性。
 もう良いか、隠居した僕が記す事じゃないな。後は躯伝自身が描く物語の為にも僕は
緞帳を下ろそうじゃないか。ここまで読んでくれて感謝する。天同優央の軌跡を記した
真実と幻想を織り交ぜた物語は幕を閉じよう。この先は君達に任せる。おいぼれの、いや
僕達老者は黙って次の世代に席を譲らないとな
                              真古式神武の終焉 完

 まだ頁を残すようだな。ちょうど躯伝が帰宅した頃だな。確か--』

 未明。
 とある民家に齢十八に成る天同躯伝がある老者の所に尋ねて来た。
「何じゃ、ゴホゴホ……手短に済ませろよ」
「別れの言葉を告げに来た」
「そうか……とうとう始まるのか」
「いや、まだ俺の物語は始まらんさ……親父」
「じゃあ何しにここまで来た?」
「それは二の年より前かな? 紹介するよ」
 躯伝は建物の内側に入り、それから横に移動。すると躯伝が立っていた方角に躯伝よりも二の年も若い金色の髪を持つ少女がお腹を少しふくらましながら挨拶をする……「初めまして、私は雄略人族のソーラ六代と申します」
「ソーラ……と言ったら滅多に一般生命の前に姿を現さないという少数部族の者か?」
「御存知でしたね、流石は躯伝さんのお父上ですね」
「別に僕はそこまで褒められる生命ではない。それにしても豪い綺麗な雌に何て事をしてくれたんだ、躯伝!」
「ちゃんと婚約の上で……すまん、秘密にしてたよ」
「別に構わない。もう僕は……ウググ!」
「や、優央様!」躯伝及びソーラの付き者とを務める齢十七に成るメランコリーナは二名に続いて駆け付ける。「至急薬ヲ……薬を、薬ガ!」
「まさか親父……注文しなかったな」
「フ、間隔が短くなる病だぞ。い、今更、苦しんでまで、長生き、して、やら、ないな」
「命を、命を高潔にするおつもりですの!」
 優央と呼ばれる物の周りに生命は複数集まる。中でも医者を務めるテネス鬼族で齢三十九にも成るギロウドロウト・ダッジャールは賢明な治療をして何とか優央は一命を取り留めるも……「どうやら後一乃日乃余命だな」と宣告--優央は納得の微笑みを見せる。
「親父……俺達は結局お袋を失った時の胸の痛みを一生抱えないといけないのか!」躯伝は再度、尋ねる。「如何して生きてる内に悲しみは亡くならないんだよ、教えろよ!」
「それが命の輝きだよ。それが他者を思う心さ。躯伝よ、お前は素晴らしい力を秘める。その力を正直僕やお前の祖父は羨ましがってる。そこへ至ったのは全てお前が他者を思う心を持ち続け、そして僕達天同が培ってきた連続性のお蔭だ。それを誇りにお前はお前の物語を紡げ!」
「ああ、紡いでやるよ。俺はその為にここへ来た。その為にソーラを連れて来た。その為にここに居るみんなという宝を持つんだ!」
 そうして優央は自らの席を躯伝に譲り渡した。
「親父たちの無念、いや願いは俺の代で全て完遂する。例え孫の代にまで掛かろうとも俺は……天同躯伝は全生命体の希望として次の世代の遺産を残さない事をここに誓うぞおおおう!」
 そして天同躯伝の物語は始まる……その前に日記の後書きを紹介しよう。
『--天同優央は日記を記した後、僅かな世話者だけに看取られながら四十八年の人生
に幕を閉じた。

                               優央の記憶 完』

 ICイマジナリーセンチュリー二百十七年一月一日午後一時零分零秒。

 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉 完

 第七十五話 最高官のお仕事 に続く……

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(八)

 ICイマジナリーセンチュリー二百七年十月一日午後二時十五分四十八秒。

 場所は真古式神武旧都タイガーフェスティ中央地区。
 齢十二にして七の月と三十日目に成る神武人族の少年は密かに公務を抜け出してとある建物の中に隠れる。彼が何故真ん中より五番目に小さな建物の二階第三空き部屋にある寝具の下に隠れるのか?
(叔父さんは何時もそうだ。僕に出来ない事を押し付けて困るよ。叔父さんに出来る事が僕も同じように出来るか。勉強なんてこりごりだよ。特に図形の勉強なんて一々解き方を覚える程容量ないし)
 子供は遊ぶのが好きであって勉強が好きではない。その為に少年は人生で初めて責務から逃げ出した。そう、彼は一般生命とは異なる。自らの役割が一般の生命と異なり、重たい。重たいが故に何時も己を強く持てない。己が強くないとこうして逃げ出す可能性だってある……いや、既にこうして逃げ出すのだから彼にはその役割は荷が重すぎると見て相違はない。
(どうせ僕が居なくとも叔父さんが居れば国は持つんだ。そうとも新古式神武は何も僕が居なくとも動く。使命だとか勉強だとかそうゆうのをどうして僕がしなくちゃいけないんだよ。僕が好きに生きて何が良くないんだ。僕は僕のままに生きれば良いんだ。そしたら父さんや母さんだって納得する筈……筈だよ)
 だが、心根が優しい故に途中で抜け出した事を罪深く感じ始める。今にもここから逃げ出そうと考え始める少年。そんな少年が隠れる空き部屋に誰かが扉を開ける。
「そこに居るのは何方様かな?」齢十四にして七の月と五日目に成るプラトー人族の少女は寝具の下に誰か居る事を察知。「寝具の下は隠れる所じゃないのよ」
(あれは人族? でも知らない雌の生命だ。誰だろうか?)
 少年は体を晒した。その顔を見て少女は突然、抱き締めて口付けをする!
 わわ、あにをしるんだ--突然の事に少年の下は呂律が回らない!
「何って……そりゃあ僕達は愛の誓いをしたんだよ」
「初対面だよ。僕達は……って僕?」
「うん、僕だよ」
「胸が少し膨らんでるよ」
「それが僕が僕を示す一名称だよ」
「一名称?」
「君は少し頭が良くないんだね--」
 君は何が言いたいんだよ--幼い少年に取って己の気にする所を言われて怒らない筈がない!
「まだまだ青い。君は自分の本質を言われる事に我慢出来ないんだねえ、そうだねえ」
「それが愛とか言った君の態度か、僕を誰だと思ってるんだ!」
 今度は隠していた己の役割を口にしちゃってえ……面白いんだね、君は--と少女は少年を翻弄。
「ウググ、言わせておけば!」少年は思わず少女に右拳を振るうが。「わわ、わあああ!」
 あらら--体勢の良くない拳打を繰り出した為に右足を滑らせて前のめりに倒れる少年……それを見て呆れる少女。
「ウウウ、雌に格好良くない所を見せてしまったよ!」
「どうやら僕の読み通りに君は頭だけじゃなく、体もまだまだみたいだね」
「君は本当に成んなんだよ、僕をそんなに揶揄って楽しいか!」
「うん、楽しいよ」正直に答える少女。「君は飽きないって」
「生命は見世物じゃないよ」
「わかってるよ……だからこそ僕は信じてるんだ」
「いきなり何両手広げるんだよ!」
「うん、君のような生命だったら僕は幾らでも可能性を見出せる……そんな気がする!」
 それから少女は少年を抱き締める……「だから僕と結婚して、君」突然の求婚宣言--それには口付けされる以上に頬を赤らめる少年!
「君は僕が誰なのかわかってるのか!」
「天同優央。そんなの顔見た事ない僕でも直ぐに理解したよ!」
「僕がどうしてそうだと理解したんだ!」
「何となく君の中に壮大なる系譜を見たからよ!」
「言ってる意味わかってるの?」
「そうゆうのが説明出来ない事柄なの。何でも説明出来たらそれこそ面白くないでしょ。説明出来ない事にこそ僕は可能性を信じるの」
「君は言う事が危ない!」
「へえ、君は古きしきたりを信じるんだ……だったら余計に君は僕と結婚するべきだと」
「意見がぶつかるような生命と釣り合わないだろう」
「それは安直だよ、優央様。意見が同じ場合だと結局上手く行かない物。生命が生命足り得るのはそして雌雄が愛し合う条件は互いにない所を埋め合わせてこそ……優央様には僕にない部分が合わさるの」
「君みたいな何でも出来そうな雌が僕みたいな何も出来ない天同家の落ちぶれに!」
「優央様の良くない所はそうして誰かと比較して自らの評価を上げようとしない所なの。優央様は別に他社と比較しなくて良いんだよ。優央様には僕にはないその心根があれば良いんだからね!」
「僕の心根? そんな物でみんなを引っ張れる筈がないよ!」
「そう、たったのそれだけで十分なの。何も強い力を持つ必要もないの。何も優れた頭脳を持つ必要はないの。たったそれだけで周りは君の為に、君の為に真っ直ぐ進めるの!」
「それだけで……さっきから言おうと思ったけど」
「そこも優央様の良くない所よ。先ずは目の前の事を終わらせてから次の事に移りなさい。君の良い所を聞かれたらどうこたえるの、次の話に移る場合はそこを済ませてからでしょ!」
「僕の強さ……でも結局強い指導者こそ国を動かすんだよ。僕みたいな何も持たない生命に真古式神武を動かせないよ!」
「今はまだそう答えるんだ。でもね、この答えは合ってないよ。待ってるわね、優央様。君が正しい答えを僕に伝えるのを」
「そうか、君はそうやって話を逸らすんだ。もう良いだろう、君の名前は何だ?」
「僕? 僕は春風史烈。史実の史に烈風の烈と記して史烈のれあと呼ぶの」
「の、れ、あ、な。そう呼ぶのに史烈と記すんだね。君も大概変わってるね」
 優央様、ここに居る事はわかりましたよ--空き部屋の外から尻尾で自身の体を止めるのは齢十三にして七の月と八日目に成るルギアスカンガルー族の少年が優央を連れ戻しにやって来た!
「そろそろ行くよ、史烈」
「うん、また会いましょう」
 そうして優央と史烈は約束を交わし、空いた時間があれば内緒で会うように成ってゆく……

 それから三十一の年より後のあの日にて二名はあの時の質問の答えを精神世界の中で語り合う!
『ねえ、優央。そろそろ答え合わせしましょう』
『答え合わせ? 何の事だ?』
『思い出してよ、初めて会った時の事を』
『始めて……ああ、突然口付けしたり求婚宣言した時の事だね。当時の僕は勉強が好きじゃなく、更には重責に押し潰されかけていたね』
『僕も当時はパパに反発したもんね。お互い様だよ』
『それで質問の答えだろ……決めたよ、確かに史烈の言う通りだ。僕はこの心根があったからこそみんなを導く事が出来た。何も持たないからこそ僕は誰よりも誰かに頼り、そして頼り切る事で自らを覆っていた迷いの羽衣を振り払ってきた……だが、迷ったからこそ僕はこうして答えを見つける事が出来た。何も迷わない事が全てじゃない。僕は弱いんじゃない。僕は僕だけの強さがあるからマンメリーもシレンデンもビーダもサルタビトもイタトロウもギャスー太も雄三もキンヅロウもサーバもエリフィルズも叔父さんもタイガードライバーも……他にも数え切れない生命は僕にここへ至るまでの答え合わせを示してくれたんだ!』
『やっとですね。やっとよね。全く優央は回り道ばっかりね』
『その回り道があるから僕は幾らでも選択出来、幾らでも迷い、そして幾らでも悩み抜く事が出来たんだ。今思えば新古式神武の象徴としての僕の使命とはこのためにあるんだな。これから僕はどう生きて行けば良いんだ?』
『初めて会った時に注意しなかった? 現在進行形の話が終わるまで次の話をしちゃいけないって』
『そうだね。結局僕はここに至るまでそれを直す事無く、君とのお別れを告げるんだね』
『泣くなとは言わない。泣いても良いんだよ、優央。だって君の強さはあの天同真緒まおと同じく君の涙は他者だけの為にないのだからね』
『情けは生命の為にあらず、己の為にも……わかった、だからもう現実に還ろう!』
 それから優央の精神は現実へと戻ってゆく……

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(七)

 午後八時三十二分零秒。
 ちょうど月がマンメリーと液状鬼型を照らす時、大地を蹴り割る音が周囲半径成人体型八十まで響き渡る!
 ん、アレ--メランコリーナは余りの轟音に再び目を覚ます。
(戦いは始まった。やはり力の勝負ではマンメリーはあらゆる型で猛攻を食い止める以外の手は、いや足はない。何故ならシレンデン自体の身体能力は死して尚も指揮官型を葬る程の執念を見せる。その執念に応える以上は自然と死後硬直と同じような動きを披露して見せる。それを想定して銀河連合は、或は予想外の事態であっても結局は銀河連合はシレンデンの肉体を乗っ取って更なる戦闘力を身に付けるに至ったか。最早圧倒的過ぎる力の前では小足先の技なんて意味がない。だからこそああゆう風にマンメリーは防戦一方だよ。本当にあそこから勝機があるのか、マンメリー?)
 優央の思う通りマンメリーも戦う前から既に力の差を理解する。実際にそれを両前足で感じ取り、そして全身にその痺れが伝ってゆくのを感じ取る。それだけじゃない、マンメリーにとって苦戦する理由とは--そう、体のあちこちから液体のような何かが飛び出すのを誰の眼にも飛び込む。
「ああ、パパあああ!」メランコリーナはマンメリーを思って尻尾を道路に突き刺し、無理矢理上体を起こす。「ウウウ、待ッテテ。今から私ガパパヲ--」
 ウグ……思わず尻尾を突き刺して踏ん張ってしまったじゃねえか--マンメリーはとうとう顔面に右拳打を浴びる!
 花、両眼、そして口から赤い液体を噴き出しながらマンメリーが採るのはカンガルー拳法一の絶対反撃の型である三点立ち。それは尻尾を突き刺し、更に両後ろ足を道路に根を張るようしっかり踏みしめながら胴体を晒し、両前足は膝を曲げて脛を見せるように構え、最後に首を絶対に見せないよう顎で覆い隠す。
 それを見たメランコリーナは足を止め、父の勇姿を見届ける。
「やっと理解……ブフウウ!」それでも液状鬼型の打撃は一撃一撃は通常の生命にとっては気絶してしまいたい程に重たい。「ハアハア、ハグ……何テ重さだ!」
(マンメリーは打つべき所を見据えた。父としての維持もあるんだろうが、それ以上に彼が武芸者だからこそ次で全霊を懸けて打ち込むんだろう!)
 このように優央は断定。外せば待つのは死……ではなく、内部に潜む銀河連合に全身を乗っ取られる。それだけにマンメリーの心の中に雑念も浮かぶ。けれどもその雑念以上に父親としての維持が彼を突き動かす!
「済まない、済マナイ。父親らしい事ヲ四ノ年もせずに、申し訳ナイ」一発打たれるたびに流す涙が血の色であってもマンメリーは謝罪の言葉を述べ続ける。「ずっとお前ノ育児ヲエリフェレス達に譲った事を、亡きサーバ十二世ニ譲ッタ事ヲ心より謝罪するよ……メラン!」
 最後の一撃となる鋭く長い爪を延ばした右人差し指と中指がマンメリーの両瞼が大きく晴れた両眼に向けて突き出される。受ければ目潰しどころかその奥にある脳にまで達するほど鋭く長い爪……それが目を潰した瞬間、マンメリーの右前足から繰り出される正足突きが液状鬼型の緩んだ鳩尾に向けて真っ直ぐそして鋭く貫いた!
「決まった……決まったが」優央は目撃する……液状鬼型を巻き込んでマンメリーに向かう物部刃のようなモノが数百も来る事を。「最後は僕が……僕が命に代えても果たして見せるからなあああ!」
 優央は神武包丁を抜く--胸の痛みが又しても優央を襲っても彼は動きを止める事なく、今……全生命体の希望と成って突っ走り、乗っ取られそうなマンメリーごと二体の液状型を真っ二つに斬った!
 優央は斬り放つ時--アリガトウ--という言葉を耳にする!
(有難う……だと、それは僕の台詞だよ。ここまで僕を守ってくれて感謝で一杯だ。お前が居なかったら僕は、僕はずっと迷いの中に居ただろう。そして僕は、僕はこの時までずっと生き続ける事が出来た。共を切った以上はもう僕に遺された道は……その刃のような何かを代わって浴びる以外に道はな--)
 いいえ、優央は……そんな事をしなくて--だが、運命とは誠に酷い事を遺すのか!
『--済まないが、この話を紹介する前に如何して彼女がそこに居たのかを説明しない
とな。僕達は先に新天神武に避難してる筈の史烈、躯伝達が銀河連合に囚われてるの
ではないかと踏んでシドウシンを始めとしたたった五名だけの救出班を結成させて
銀河連合の眼が届かない道を見付けて彼らを先行させた。
 確かその時間帯はこの時が来るちょうど二十の分より前だったな。一応、生還した躯伝、
サルタビロウ、そしてイタトラノから聞いた話だ。だからどこまで聞いていたのかは定か
じゃない。なのでそこから先は躯伝に記させる。
 それはな--』

 ニ十分前。時間にして八時二十二分四十三秒。
 場所は仮設民家。
 最初に探る仮設民家で運良く史烈を発見したシドウシン達。そこで行われるのは最早鬼族も畜生もない所業。銀河連合の数は二体。首を鉄縄のようなモノで縛る史烈の残り時間が少ないと奴らは知ってか知らずか、既に両腕を切断した状態まで彼女を追い詰める。その所業に五名が怒りのまま突撃し、あっという間に仕留めたのは語るまでもない。シドウシン自体の身体能力もあるだろうが、数の有利が働いたのも事実。さて、銀河連合に体を地で染めた後に冷ややかな感情に戻りつつあった五名は直ぐ様史烈を縛る鉄縄のようなモノを外してそれから自らの衣服を破いて切断面を何とか止血する。
 けれども……「もう、僕は……フウウ」既に病と流れた血もあって自他共に助からない事に気付かされる--特に自分の事を知る史烈としては十分に痛感する!
 その前に、えっと鬼族、の坊、や--とシドウシンを指名する史烈。
「その体出何於するんです科、史烈様!」
「決まってるわ。優央を助けるの。それに高々このくらいの出血じゃあ簡単に死なないの、生命って。ウップ……ハアハア」既に風前の灯火の史烈は躯tから出る赤い液体を見下ろした後、見上げてこう言った。「我が子であり、新仙者である、躯伝に、見せられ、ないけど、僕だって、僕、だって、革仙者を、名乗って、も、良いの!」
「良くわかりません。何於言って--」
 連れて、行きなさい……優央の所、に--シドウシンに思わず従わせる程の圧を掛けた史烈。

 そうして今の時間帯にして優央は自らを守らんと両腕がない史烈が刃のような数百ものそれを全身に浴びて!
「の、の、れ、あ、の、れ、あ?」
「見て、や、さ、お、ぼ、く、は--」
 優央は虫の息である彼女の両眼が赤く輝くのを瞳の奥に収めてゆく……

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(六)

 午後六時五十八分三十四秒。
 場所は国境。真古式神武検問所。
 ビーダを失った事は今の新古式神武軍にとって大きな痛手として残る。実際に彼らは一部を除いて自分自身を信じるかどうかの迷いを患う。其れに拍車を掛けるようにサルタビトの死を知らせる墓を目の当たりにすれば一体如何して前を向けるのか? シレンデンが必死に鼓舞しようとも既に彼らは度重なる真古式神武の危機に依って持ち前の自己犠牲精神が失われようとしている。優央はこの時、次のように考える。
(検問所で戦いが起こったんだろう。そして墓の存在が益々自分達には辿り着くべき理想郷はないと思わせる。今は僕もあいつらの無事を祈るしか道はないからそうゆう事を考えたくはないのだが、僕は史烈と躯伝が無事でいる事を信じたい。いや、無事だろう。僕がそう思えても周りの彼らはかつての僕を見るように迷いの羽衣を纏う以上は難しい。何時までも僕が立ち上がらせるなんて事は既に……だから僕が口にするべきは他の事だ。
 それはこれを糧に……前進あるのみ!)
 優央はシレンデンの鼓舞を止め、自ら背中を見せる。一歩間違えれば潜伏する銀河連合に貫かれかねない体勢。そんな状態で優央は静かに……「もう直ぐだ、もう直ぐ僕達の向かうべき場所へ辿り着ける」と言って真っ直ぐ歩き出す。その姿には後ろ姿ではわからないように見えて実は誰もが胸の痛みを必死に堪えて進んでる事を察した。特にマンメリーには既に気付かれており、咄嗟に優央の元へ向かうとする素振りさえ見せる。だが、次の事でマンメリーは--
「何故、お前端優央様乃所把行かない?」
「銀河連合ガ襲イ掛カッタラ如何する?」
 そう科--シレンデンは其れが己自身に潜伏する何かだと察した!
(マンメリーは僕に近寄らない。そこまでして僕に……やっぱりお前は最高の親友だよ!)
 優央は背中を向けて涙を見せない--マンメリーの自己犠牲精神に改めて感謝!
『--この後二の分より後に僕は倒れた。マンメリーはやはり僕を案じてシレンデン達に
向かわせた。ずっと食糧を喉に通さなかった事もあって胸の発作が起こる感覚は短縮し
続ける。そこでシレンデンの孫であるシドウシンはなけなしのテレスプリを渡して僕に
服用出来るようにした。最も服用と言っても前飲まなかったから次飲む際は倍にして
服用するという事ではない
ちゃんと用法容量を守って更には浄化された綺麗な水を喉に
注ぎ込んでね。それで発作が直ぐに収まるという訳ではないがお陰で幾分か楽に成った
な。
 それから銀河連合の雲が一部晴れて月が姿を現す時間帯だったかな。そこで--』

 午後八時零分十一秒。
 場所は天同星央ほしお道。そう名付けられるこの道が着工し始めたのは新天神武との借款の約束が交わされた年から翌の年。ICイマジナリーセンチュリーにすれば二百十一年十二月一日。完成したのは更に翌の年のICイマジナリーセンチュリー二百十二年三月十二日。
 星央道には両国双方から計百名程が配備され、そして望遠砲が各所で設置される。その為、一層強固な道路と化す……だが、それが却って喰われた場合は二小隊しか存在しない真古式神武軍にとっては最後の障壁として立ちはだかる!
「望遠砲が厄介だ。特に銀河連合はそれを良からぬ方へ用いる!」
「ええ、優央様。如何やらイタトロウが率イル小隊ガ書き残した手紙通りでしたね。そのお蔭デ最初ノ一小隊だけで……いや、一小隊ダケデモ十分ニ痛手ではあるが!」
 言うな、それ以上の悔いはもう後でしろ--と優央はマンメリーに言った……もう直ぐ優央は迷いの衣を全て払いのける日が来た!
(望遠砲は便利な分、一度銀河連合に渡れば……だからこそ僕達は矛を手にする事を考え直さねば成らない!)
『--一旦、己の筆で蛇の足の如く書き加える。生命が戦いを望むように成ったのは
凡そ七百六十の年より前。それ以来、生命は守る為に銀河連合の命を取る事を選択。
その選択は功を奏する部分が多い。実際に僕達は救える命を多く救った。銀河連合の命
を取る選択をする事で。
 けれども、代償として銀河連合に喰う名分を与えてしまった。一方的に命を取って来た
のは奴らなのに逆さの怒りでこちらへの攻撃を強めてしまった。正直、そこにも僕達生命
の心の痛みがある。もしも戦う選択肢を選ばずに対話の道を突き進んでいたなら如何成る
だろうか、と。
 それだけでなく、戦う道で欠かせないのは手に取る武器は年々強力な物へと様変わり。
それが銀河連合に渡ればあのように僕達を守る為の矛のような盾は僕達の命を取る矛と
化す。
 全く良くない流れだな。さて、蛇の足を書き記した。次は僕が懸念する--』

 午後八時十分五十一秒。
 戦いは優勢に流れ込む。シレンデンの圧倒的な戦闘力にあった。例え望遠砲でもシレンデンにしてみれば対応がわかれば直ぐに攻略が可能だと!
「如何した如何したアアアア、こんな物出俺達似挑んで来た乃科あああ!」
 五十まで後少しというのに最新兵装すら全く意味を為さないような暴れっぷりを見せ付けるシレンデン。望遠砲から放たれる弾丸すら直接両手で掴むその様は正に鬼族を鬼族足らしめんとする!
「あいつ一名居ルダケデ大丈夫そうだな」
「いや、大丈夫じゃないぞ」当然、優央は個の力だけで全てが解決できない事を知っての言葉。「史烈、躯伝、それからメランコリーナは無事だろうな?」
「わかってるヨ、優央様。その為にシレンデンの孫のシドウシンを始メトシタ救出班ヲ向かわせたんだろう?」
 シレンデンが暴れ回ってちょうど午後八時三十分に差し掛かった時……一体の指揮官型が気絶して目を瞑るメランコリーナを前に突き出してシレンデンの所に向かって来るではないか!
「な、お嬢ちゃん端マンメリー乃娘だな」
 良くもメランヲオオオオ--親心が先走り、マンメリーは指揮官型に突進!
「止めろ、マンメリー!」周囲半径成人体型八十まで響き渡る大声でマンメリーを静止して見せたシレンデン。「巻き添えは……御免だぞ、マンメリー」
「クウ、メリーナやマリエラと同ジク助ケラレナイノカ……よ!」後ろ両足の膝を崩すマンメリー。「こんなに成ってまで俺はサーバの時ミタイニ過チヲ犯すのか!」
 全ては指揮官型の思う通り。指揮官型は六本の腕で金棒を放すよう指示。その指示に従い、シレンデンは放した--直後、シレンデンに向けて数百もの物部刃のような何かが飛んで来て内六割がその老体の全身に深々と突き刺さる!
(叫びたい……けれども僕には叫べない!)
 優央はその時、又しても胸の発作が起こったが為に叫ぶ事もまま成らなかった。代わりに……「ミチナカノシレンデエエエエエン!」マンメリーが叫んだ!
「大丈夫じゃ、大丈夫じゃ」シレンデンは頭部にまで深く刺さる物部刃のような何かを受けながらも尚、全身の機能を駆使して指揮官型に近付く。「一撃於受けたんだ……今度端お前、牙一撃、於受ける、番じゃああ!」
 そんな言葉を聞く程、銀河連合は礼儀正しい存在ではない。寧ろ、再度一斉斉射の合図を送り……シレンデンに止めを与えた!
 だが、シレンデンが前進したのは指揮官型を一発で仕留める為じゃない。マンメリーに静かな合図を送り、一斉斉射と同時に指揮官型の懐に接近して顎に一撃咥えると同時にメランコリーナを救出する事にあった!
 それが功を奏し、指揮官型はメランコリーナを掴む第一隠し腕の手を緩め、見事奪還された!
「うう、あ、あ、パパ?」
「済まない、これ以上はパパの顔を見せられない」マンメリーは我が娘を思って気絶し直した。「サヨナラダ、もう二度ト会エナイト知っても!」
 マンメリーが気絶してる間に当の指揮官型は死んだ筈のシレンデンの右正拳突きを顔面に受けて首を吹っ飛ばされた!
『--シレンデンは最後まで驚かせた。死して尚も真正なる五式最強の名を不動の物に
したまま想念の海に旅立ってまで指揮官型を打倒するなんて。あいつには最後まで
驚かされた。
 だが、そんな彼の誇りを銀河連合は次のように踏み躙るなんて。許せる訳がない。奴ら
がやった事とは--』

 午後八時三十一分十七秒。
 突如としてシレンデンの亡骸は赤黒い液体に包み込まれ、やがては液状鬼型として再誕!
「やっぱりそう成ルト思ッタカラコソ俺は……ウグググ、俺も後少シデ銀河連合ニ成ってしまうな。良イ機会だ。ここでお前を倒してミチナカノシレンデンよりも強イ事ヲ証明してやろうかああああ!」
 優央に止める術はない。マンメリーが如何頑張ろうとも真正なる五式の誰一名にも届かない事を痛感する。ならば如何してそう宣言するのか? 実は自らの命を使って液状鬼型を倒す事で優央を始めとした生命に同胞倒しをしないようにする為であった。
 こうしてマンメリー・レヴィルビー最後の戦いが幕を開ける!

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(五)

 午後四時二分一秒。
 場所は第九地下通路。
 タイガーフェスティに今も銀河連合は降り注ぐ。その雨はより完成が遠い通路に成れば成る程に数十回の衝撃を受けただけで崩壊する。
 故に優央、マンメリーは急いで第九通路を抜け出そうと走る!
(クウウウウ、ここに来て胸の痛みが襲って来るかああ。思わず、膝が、膝が!)
 優央様ア--マンメリーは優央の両脇に右前足を通して静かに立たせる。
「有難う、ウウウウ、ハアハアハアハア」表情が今にも死と直面するような優央。「薬はまだ飲めない。食事を摂るまで薬は使わん!」
「何於してる……崩落牙急いでる時似喋ってる場合など出端ない!」
 済まないな--と優央は会話を止めてマンメリーに助けられるように走ってゆく。
『--この時は死ぬかと思った。その理由は何かって? それは余りにも急な発作と手助け
してるとはいえ、その走りが何とも硬い物でね。僕のせいでマンメリーが巻き添えに成る
かと思った。けれども助かった。どうやら僕は益々みんなに感謝するように成ったな。僕
の為に己の命さえ投げ出す彼らの意気込みとそして僕自身の無力さを。
 だが、そんな彼らにも別れは訪れる。別れが訪れる最初の生命は--』

 午後四時十二分十秒。
 場所は第十通路南南北側出入り口。
 銀河連合の雨がビーダ目掛けて降って来た--それはどれだけ動きが遅いビーダでも体感速度を以ってすれば安全圏に移動する事は容易い。
 躱す事に成功するも階段は崩れ落ち、第十通路への侵入は困難を極める。寧ろ恐ろしいのは会談に落下し、更には上下にはねながらも転がり落ちる銀河連合がそれから一の分より後に翼を広げて目の前に姿を披露するではないか!
「狙いはおらだけじゃないって?」
「ここ端俺似任せろ、ビーダ。お前端引き続き液状型牙体内似侵入する科如何科乃確認於知ろ!」
 全く爺さんは者使いが荒いのだからッテ--と文句を言いつつも部下への指示、そして己自身に厳しいビーダに抜かりはない!
「うわっつ……ビーダさん端俺っち乃所まで気於使っちゃって」齢十一にして一日目に成る神武鬼族の少年にしてシレンデンの孫シドウシンは感謝しながら祖父譲りの反応と怪力を披露。「トウ、タア……何時科俺っち端躯伝様乃付き者似成るぞおおう!」
 指導神の言葉を聞いて少し長文で考える優央。
一兆年の神々がもしも躯伝の明日を教えてくれるのならきっとシドウシンだけじゃないだろう。彼と共に新天神武を変革させようとするのは。まあ変革は史烈の望みであり、銀河連合に依って齎される望み絶たれる未来を打破する為の一つではある。まあ躯伝や何処で何をしてるかわからない名の知らぬ弟はきっと……いや、今は第十通路を潰された状況をどうやって打破するか、だな)
「危ナイ、優央様!」マンメリーは突然、優央に向けて襲い掛かった蝙蝠型の顔面を右前脚の一撃で仕留める。「フウ、今ノハ少シ危うかった」
「まさかマンメリー、お前--」
「何、心配ハ無用でありますよ」マンメリーは右前足を隠すように振り向く。「今はビーダ率イル班ノ報告が先でしょうな」
(もしや……いや、その時は僕の手であいつを楽にしてやりたい!)
 優央は自らの手でマンメリーを楽にさせようと決意。既に迷いの霧は大分晴れ、そして己の弱さが何の為にあるのかを理解し出す優央。だが、まだそれを断言するまで時間を要する。
 さて、ビーダの報告では既に液状型に依る奇襲は対処したとの事。そしてシレンデンは蝙蝠型を瞬殺。後は第十通路以外の道を進むべきか如何かである。優央の決断は……「例え階段が崩れようともどちらが依り安全にタイガーフェスティを抜け出せるか……それ以外を模索する時間は残されてない!」例え足場の問題があろうとも突き進むのみ--最早優央は以前とは違うのである!
(とはいえ、ビーダが最後まで奇襲があるかどうかを見張ってて良かった。お蔭で僕達は安全に降りる事が出来た。出来たのは良いが、ビーダはそこで自身よりも巨大な百獣型の襲撃を受けてしまった!
 僕達は階下より成人体型二十の高さがあるとはいえ、必死にビーダに呼び掛けた。だが、ビーダは利がないとわかっていながらもその小柄な体躯で百獣型に挑んだ。自分には蠍族と同じように毒を持ち、それを血液に注入すれば百獣型を倒せると信じて!
 幾ら百獣型も血液を動力にしても小柄が巨体に勝てるのは空想話だけだ。現実は……だからこそ僕達は悔しかった!)

 午後四時三十分零秒。
 場所は第十通路。
 度々、通路は揺れる。銀河連合の小雨は衝撃が大きい。雨水がもしも自分達のような質量で降り注げばそれは通常の雹とは比べ物に成らない。雨水一粒一粒の質量に改めて感謝の意を表す優央達。神々は雲に出来る限り雨で生命が押し潰さんよう計算した事を心から祈る。
 と同時に背後よりビーダが姿を現す。
「ヘヘヘッチ、遂に、倒しましたッテ」そして砂利の多い床に落下するビーダ。「アレッテ? 何か感覚が--」
 ビーダ--優央はビーダの姿を見て唖然とする……と言うのも左羽一枚だけでここまで来たなんて生命としては有り得ない光景なのだから!
 ビーダの亡骸の先に百獣型が来る。既に百獣型はビーダの毒が回って右前足が上手く動かない状態まで追い詰められる。
「ここ端--」
「俺が出ル、ビーダノ仇ハ俺が討つ」
 マンメリーが名乗り出る。そして、シレンデン以外には目にも止まらぬ速度で百獣型の顎に一撃、そして眉間に一撃浴びせて仕留めて見せた!
「フウ、マダ戦える」
「まさか……いや、今端抑えてるな」
 百獣型を倒してもビーダの魂は返らない。わかっていても仇討ちを止めないのは魂の救済がそこにあると優央なりに考える。
『--僕の場合は仇討とは死んでいった生命の魂を救済する事にある。あるにはある
けど、自分自身でそれを決断した場合は如何成るか?
 ビーダの死から二の時より後、僕達は遂にタイガーフェスティを抜けて残すは国境
を越えて新天神武へと辿り着くだけ。その道のりでは様々に困難を極める。僕も主な原因
でもある。そして--』

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(四)

 午後三時零分五十八秒。
 場所は国境。真古式神武と新天神武を繋ぐ道路。
 躯伝、史烈、メランコリーナは齢四十五にして四の月と十八日目に成る雄略猿族の老年サルタビト十八代率いる小隊に守られる形で僅か五の分程で真古式神武軍所有の検問所到着。そこて待ち構えるのは検問兵に化けた銀河連合。だが、銀河連合の弱点は言葉を発しない事--故にサルタビト等小隊員は直ぐ様、看破……相手の攻撃が来ると同時に抜き放つ事でこれを打倒!
 全て打倒するも残ったのは自分達のみ。この腹立たしい状況下で躯伝は次のように述懐。
『--躯伝に依ると仇を討った所で取り戻せるのは死んでいった魂のみ。残された者達は
何も残らない。怒りから取り払われる先には何の生き甲斐もない。その通りよ、と僕は
躯伝に伝えた。
 それでも生命は如何して仇討ちを止められないのか? そう尋ねられた僕はある事を
あの子に伝えた。それは躯伝が見つけてる筈のあの事よ。--』
「これで全部っち」そうサルタビトに言うのは齢十八にして四日目に成る応神鼬族の少年にしてイタトロウの遠い甥にあたるタケナカノイタトラナ。「誰がどの骨なのかわからないけどっち、検問所で働く軍者の数は五名と聞いたんで数えてみたら……四名分しか残ってないっち」
「銀河連合は何を考えってそこまで喰らったのか?」
「きっとあいつらは国内でやって見せたような足を使うっち」
 足かっね--と若干生命に依って言い回しが異なる点について何か考えるサルタビト。
「如何っだ、親父」そこへやって来たのは齢二十一にして三日目に成るサルタビトの第三子サルタビロウ五代は躯伝とメランコリーナを連れて来た。「躯伝様もお連れっしたけど、良いっかな?」
 コラ、サルタビロウの馬か鹿な息子め--これは叱りの言葉ではなく、誉めの言葉である。
 それを知らない躯伝はサルタビトに何かを言う。けれどもその後にメランコリーナとサルタビロウの二の分足らずの説明で一応納得した躯伝--思わず、赤面する……赤い恥を掻くように!
 それからサルタビトは第三子サルタビロウ、彼が連れて来た躯伝とメランコリーナに向けて先程の話を伝える。そこで先程に加えて銀河連合が検問所の生存者を使って新天神武に攻め込もうという魂胆まで知らせた。
「そんあ。じゃあ銀河連合はもう新天神武側の検問所を通過してる可能性もあるって言うの?」
「あくまで可能性っです、躯伝様」
「可能性でも隊長っち、大変良くない可能性ですっち」
「骨ごと銀河連合が食べったというのは如何っだ?」
 それは歴史の上でもっと巨大な銀河連合の仕業だっろう……あの大きっさじゃあ難しい--とサルタビロウの考えを一蹴りで飛ばすサルタビト。
 躯伝はこう考える--親父が胸の苦痛を味わうまでけずり切って、更にはお袋がどうしようもない現実を前にして吐血するまで弱り切ってる中で僕は!
 僕はどうして早く生まれなかったんだろう。早く生まれていれば僕は仇討の案件を溜め込む事をせずに二名の為にがんばれたのに……なのに僕は若過ぎるよ--と!
『--当時の躯伝がそんな風に考えていたのかを僕は知らない。けれども、躯伝にとって
仇討ちをしてしまう答えとはこのように仇討の案件を増やしてしまった事を処理し、身を
粉にして少しでも仇討のない世界を実現する為の理由であると。
 そんな理由でも躯伝は納得しないだろう。あの子はこれからを担うこれからを。そんな
躯伝達の前に--』
 あ、隊長に躯伝様っだ--そこへ齢二十一にして十の月と二十一日目に成る鬼ヶ島兎族の青年イソルッタ・ドウワンが飛び跳ねるように走って来た。
「何だっち、さっきも言うようにイソルッタは--」
「如っ何、イソルッタに近付っくなあああ!」
 サルタビトの言葉が間に合わず、イタトラノはイソルッタの口から放たれた包丁のような何かに左眼を真っ二つにされた--悲鳴と共にサルタビトと青い目を輝かせる躯伝以外は恐怖で身動きが取れなくなる!
「ウワアアア、マリチャンガマリチャンガマリちゃんが」メランコリーナは十二の年より前に実の母と姉が死んだあの光景を思い出すように同じような事しか叫ばない。「マリチャンガマリちゃんが、ウワアア、ママガアママがあ!」
「イソルッタ……の中っに、指揮官っ型? 如何しろって?」
「眼がああ眼があああっち!」
「指揮官型……恐怖で逃げ出したい。でも」躯伝はその目を輝かせて液状指揮官型に向かって利き足で床を強く蹴った。「僕が逃げたら誰が戦うんだあああああ!」
 何も持たない躯伝では液状指揮官型の間合いに近付けない。繰り出す斬撃を躯伝は神懸った何かで予知し、躱すので精一杯。おまけに指揮官型は当時は最も強力な銀河連合故にどんなに不思議な力を有する躯伝でも成長が十分じゃない身体と若さ故の経験値の浅さもあって次第に追い詰められ、遂に壁際に追い詰められる。躯伝は--ここまでかよ--と思い、何も出来ない己の弱さを悔やんだ。そして--
「屈んっで下さっい、躯伝様!」
 な--その言葉に反応して躯伝は屈む……すると躯伝の首とへその上を刎ねようとした指揮官型の中段左手首と上段右手首が宙に浮く!
「サ、サルタビト!」
「親父、まっさか!」
「ここはわしに任せてお前達は他に銀河連合が潜伏してないかを見回れえええい!」
 サルタビトの熟練者だけにしか発せられる圧倒的な気の塊はメランコリーナを始めとした恐怖に屈する生命達に手足を動かす呼び水と成った--躯伝以外の三名は直ぐ様に己の為すべき役割を思い出し、迅速かつ速やかに行動を再開!
「親父……死っぬなよ!」
「クウっち、俺がもっと強かったらっち、強かったらっち」
 激しい斬撃の嵐は三名をそれ以外に集中させるのに的確。サルタビトと液状指揮官型の戦いはサルタビロウと左眼を失ったイタトラナを避難させる。だが、メランコリーナは躯伝を連れてイタトラノ達の所へ向かおうとした時……「僕だけは見届けたい!」と言って躯伝はメランコリーナの背中を断った!
「死ぬかも知レナイヨ、躯伝様」
「僕達はここで死なない……それは確かな真理だ!」
 躯伝の瞳は今も青く輝く。如何して青いのかを幼い二名は知らない。知るのは更に明日まで進まないとわからない。
 今はサルタビトと液状指揮官型の激しい斬撃に集中。一名と一体の斬撃は正反対。左右対称。液状指揮官型は力と速さのままにサルタビトを仕留めようと試みる。故にそこには素晴らしさはなく、只効率良く相手を斬り捨てるような何物も生めない何か。
 一方のサルタビトは効率こそ指揮官型に比べてそれ程じゃない。けれどもその斬撃は指揮官型の攻撃を次々と払いのけ、まるで空気すら斬り割こうせん程の華麗で美しく、そして儚い--何よりも躯伝とメランコリーナの目に飛び込むのは壁際に追い詰められて後少しという所までくるではないか!
 止めの一撃がサルタビトの頭部に突き刺さると彼は確実に死は確定。だが、液状型も又……「見テ下サイ……液状型銀河連合ノ身体がばらけられてるよ!」言葉通り、サルタビトが繰り出した空気すら斬り割かんとする斬撃は消える事なく指揮官型を完膚なきまでに裂いて見せた!
 見届けた……やっぱ凄いぞ--躯伝は既に号泣するメランコリーナに続く!
『--それがサルタビト十八代の最後。信じられない話だが、あいつは死に際に斬撃を
残すという極意に至った。包丁使いが血糊を付けずに銀河連合を仕留める事は出来ても
一度空を切った斬撃をそのまま残すなんて摩訶不思議をあいつは実践して見せた。こんな
事はどんなに僕が真面目に一生懸けても無理な話だ。正にあいつのような達者だから
実現に至った。
 次は--』

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(三)

 午後一時零分四十八秒。
 場所は真古式神武首都六影府第三南東地区。
 そこにある第一新地下通路。全部で十七もある地下通路。距離はそれ程ではない。だが、銀河連合の雨を凌ぐには十分過ぎる程の深さは確保。そして何よりもこれこそが三十の年より前に亡くなったルケラオス虎族の佐々木家最後の虎タイガードライバーを称えて開通する予定だった避難壕。勿論、銀河連合の嵐を凌ぐ為だけが目的ではない。この地下通路に眠る穢れを纏わない土を回収してそれを穢れの多い土をある程度掘り進めてから被せる事で大地の浄化を推進するという力業が可能と成る。正に国家神武が誕生する前の凡そ七百の年より前から始まった穢れた大地をどうすれば浄化する事が出来るかという課題の解決に向けて一歩前進する……最も真古式神武が喰われる日と成ってはそれは更に明日の課題と成ってしまったが!
 ここを通ッテユクノデスネ、優央様--とマンメリーは未完の地下通路を通る事に些か賭け事をするかのように警戒。
「仕方がない、マンメリー。僕達は最早安全な選択肢がない。常に時間が僕達に決断を迫り、そして焦りが冷ややかな静けさを熱する。まあ頭の良さそうな言い回しを試みて頭の良くない言い回しに成ったけど」
「確カニソウデスネ、ハハ」苦笑いするしかないマンメリー。「歳ヲ考えましょう、もう良い大人ナノデスカラ」
 優央も釣られて苦笑いしてる中で、突然笑いは消えた--大地を震わす雨が未完成で耐震性も十分じゃない第一地下通路を揺らした!
 その勢いは二名の中で恐怖を与え続ける。地下通路の至る所に罅割れが加速。砂の弱々しい雨が二名の服を通過して肌にまで浸透。益々、二名の心を揺さぶる。
(安心も自信もなくすなあ。まあ何時もの事だな。でも僕はここで死ぬとは思えない。なんだか最近は恐怖こそ感じても死を感じなく成って来た。たまに来る胸の痛みのせいか? だろうな……それにしても腹が減ったなあ。おお、そろそろ昼食の時間かな。さあ逃げ切るまで僕達は空腹のまま過ごせるかな?)
 そして、揺れが止む時……二名は一安心。但し、マンメリーは付き者として一の秒の後に構える--一瞬のスキが命取りを理解しての行動だった!
「有難う、マンメリー」
「アア、俺はサーバ十二世ノ死ヲキッカケニ鍛え直したさ。でも話の続きハ安心出来ル所ニ着くまでお預かりですな」
 だよね、お喋りする程に僕達は若くない--口を動かすよりも体を動かせ……誰が最初か存知ないがそれを忠実に守って二名は先を急ぐ。
(その後は大変だったな。第一通路を抜けだした時に突如として胸の痛みが起こったな。薬を服用しようかと考えたが……僕達は僕達だけで完結する為に意見を述べる者が一名も居なかった。一錠口に入れる前に医者の言葉を思い出したんだ。実は服用する場合は食事を摂ることを前提にしないといけないという事を。胃の虫が鳴く状態で薬を飲むと却って気管を痛める場合が起こる。咳込みやすくなる。なので服用する時は食べ物を胃の中に放り込み、消化が十分な時に一錠ずつ丁寧に喉を通すしかないんだな。
 さて、薬の話はそこまでにして説明する事は即ち第二通路には銀河連合が五体も潜んでいた。幸いな事にどれも飛蝗型、蝶型、蚊型、蠅型、兎型とそれ程の強さじゃない為にマンメリーは少し力を抜いて仕留める事が出来た。にしてもマンメリーは鍛え直した事だけあって五体全て一撃で仕留めおって。全く羨ましいな、僕では一生懸けても掴めない極意をあいつは……いや悔いても仕方がない。マンメリーのお蔭で第二通路に入れた僕達はそこを十七の分掛けて通過。通過した先で待ち受けるのは--)

 午後二時一分零秒。
 場所は第二通路北側出口。
「やっぱりここ似居た科」そこへカゲヤマノシレンデンが二小隊を引き連れて優央とマンメリーを出迎える。「どうぞ、安心して俺達似頼りなさい那!」
 気遣い感謝する、シレンデン--と利き手でシレンデンの巨大な右手を強く握る優央。
「オヤ?」
「何か気似成る乃科、マンメリー?」
「ギャスー太トイタトロウ、それにサルタビト十八代ハ?」
「逸れてしまった。大丈夫だろう牙、命まで端保障出来ない那」
 命までは……優央にとって真古式神武が喰われる事は無事に生き残れる保証はどんな軍者でも難しい事を改めて認識させる。
(ギャスー太の跳ね技は正に馬族の背中は簡単に乗りこなせない事を証明する程の高い完成度を誇るまでに至るが……それでも物量の前には圧し切られる。
 イタトロウの理の業は確かに肉体の疲労を最小限まで抑えられるけど、精神はどんなに頑張っても皆平等。肉体と違ってそこに上とか下はない。少しでも揺れ過ぎればあっという間に終わる。
 サルタビトの斬撃は正に神様の如き物。かつては僕の先祖の一名でもある天同八弥やつみも刃毀れを起こさずに斬撃する技を持っていたが、サルタビトのそれは更に上を行く。何と何を持っても斬撃が可能な程に刃を極めた雄だよ、あいつは。けれどもあいつはどれ程に強くとも都合には逆らえない。世界観補正の前ではサルタビトの斬撃は突如として一般生命並みに落ちるだろう。
 シレンデンの言う事はそれで説き得て妙だろう)
 最後の一文は流石に思い付いて直ぐに周りから顔を背けるほど恥ずかしがる優央。さて、そんな恥ずかしがる優央を見て近付く軍者が一名。齢三十三にして四の月と二十三日目に成る雄略蜂族の中年ビーダ五世。彼は何かを呟く。
「大丈夫ですッス。おらを含めてここに居る全ての軍者に液状型は居りませんッテ」
「そうか、それは良かった」
「鶏量が小柄なビーダノ坊ヤダカラ出来る芸当だな、有難ウナ」
 坊や言うなッテ--とマンメリーの頭上を飛び回りながら子供扱いするマンメリーに当たり散らすビーダ。
(ビーダみたいに小柄な分だけ細かい点まで見られる生命は寧ろ有り難い。僕達は戦いに於いてどうしても力ある者ばかりを求めやすい。その点、ビーダみたいに僅かな点まで覗き込める軍者はこの状況を生き延びる為にも重要だろうな。もしも彼が死んだら僕は……いや、僕が最優先に心配するのは先に行かせた史烈、そして躯伝。あの二名は無事だろうか……無事じゃないなら僕は--)
 肩の力を抜いて下さい、優央様--とマンメリーは心情を察して優央の右肩に左前足を乗せる。
「でもマンメリー。親が妻や子を--」
「それは俺モ同じだよ……あいつが俺ヨリモ死んだりしてないか、あいつが亡きメリーナや姉であるマリエルの下ニ向カウヨウナ無茶をしてないか? そしてレヴィルビーのカンガルーとして責務ヲ全うしてるか……山程アルンダヨ、心配事が!」
 済まない、お前の心を乱して--と謝罪する優央。
「まあまあ、今ハ前ヲ向きましょう……今は亡キ躯央様ノ御言葉ですよ」
 叔父さんはそんな事を……ま、いっか--と口よりも体を動かす事を優先する優央。
(第三通路、そして第四通路は僅か三十の分で突破。これと言って困難な事態は発生しなかったな。前方或は地面より銀河連合が現れるもシレンデンらによって鍛え抜かれた二小隊は一名も死者を出さずにこれを討伐。それとビーダを始めとした小柄な軍者の見回りに依って液状型の付け入る隙も与えない。
 ここまでは上手く行く。だが、銀河連合も何時までも同じやり方をするとは思えないな。今までの経緯を踏まえれば僕じゃなくともある程度は想像も付く。そうゆう想像はな……)
『--そろそろここから先は僕自身の事よりも躯伝の話を中心に持って行こう。彼は
その後、サルタビト十八代が率いる小隊と合流する。サルタビト十八代は装備こそ
それぞれ後一本使えばもう素手素足素羽で銀河連合を仕留める寸前。それでも躯伝の話
に依るとサルタビトの雄略包丁は一切血糊が付着してないと聞く。流石だな、サルタビト
は。

 躯伝の話を更に続ける。度々、激しい雨が降り注ぐ。それに対してサルタビトは無茶な
行動をせずに耐久性の高そうな建物に潜伏させて何とか犠牲者を零に留めたそうな。その
方法は今回も功を奏して何とか乗り切る事に成功。
 実はこの案はサルタビトの案ではない。既に戦死した参謀で勝手に
タイガーフェスティ蝙蝠族を名乗る水原コウモ郎の発案らしい。それに付いて納得の
ゆかない僕が居たが、
息子の懸命な訴えもあって彼の発案を高く評価したがな。
 コウモ郎のお陰で自らの力量を過信せずに済んだサルタビトは戦う士族としても既に
高い領域に踏み込んでると言えよう。しかし--』

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(二)

 午前十時五分十一秒。
 場所は古都タイガーフェスティ中央地区。
 そこには旧拠点型の住処が今も残る。そこで躯伝と史烈、そしてメランコリーナはシレンデンの部下にして分隊長を務める齢四十一にして四の月と十一日目に成るエウク馬族の老年真島ギャスー太と副分隊長を務める齢三十一にして三日目に成るエウク鹿族のシカルット・ムラサメルに案内される。
「ここなら比較的安心ッツ」
「だああが、度々降って来る銀河連合の塊には気を付けえええい」
 わかってるよ--と意地を張るのは流石はこの母親にしてこの子ありな躯伝。
「躯伝様、無理シナイデ」
「メランの言う通りよ、躯伝」
「わかってても親父やあいつらが無理してるのにどうして無理せずにいられるかよ」
「まあまあああ、躯伝様。今はここおおおえで--」
 爺さんッツ、来たぞッツ--そこで会話は終わり、真島分隊は最後の戦いに赴く。
「大丈夫だろうか、僕が行かなくて良いのか?」
「躯伝様、力量を認メルノモ現実ニ立ち向かう糧となるよ」
「ゴホゴホ……今は彼らを信じて、僕達も、僕達で、生き残る術を、見つけ、ましょう」
 お袋……クソウ--躯伝は歯を食い縛って心の痛みに耐え抜くしかない。
 躯伝は後に優央に語るのは以下の事。
 銀河連合の雨は中央地区に降り注ぐ頻度は十五の分に一回。たまに一の時と十の分に一回は雷時の大雨に相当する銀河連合が降り注ぐ。その場合は天に、そして神に任せる以外に生きる道はない。
 それから真島分隊は全部で八名程の精鋭。対する銀河連合の数はその百の倍。とても釣り合う戦力ではない。にも拘らず、彼らはその百名程を半分の犠牲のみで二の時掛けて済ませた。しかも犠牲者の内の三名は球に降り注ぐ大雨のような銀河連合に押し潰されての事。躯伝達三名はその中でもギャスー太の体術に驚かされる。四足雄略包丁の切れ味が落ち往く中でも特に跳ね技が他の馬族生命と異なって最早芸術の域に達する。相手を如何にして背中に乗せてそれから投げ飛ばすか……銀河連合は改めてギャスー太の跳ね技が既に背中に乗る事は即ち攻略ではなく相手を仕留める合図まで完成度を高める事を知らしめた!
「凄い、凄いぞ!」
「ゴホゴホ、でも戦えるのはもうギャスー太だけね」
 何--だが、無敵話などこの世に存在しないように高い実力者が何時までも相手を倒すのが簡単である話なんて存在しないのだ……更に倍の三百四十四体がギャスー太達四名を取り囲んだ!
 これにはほぼ無傷のギャスー太のみならず、両後ろ足が全く動かなくなったシカルットも望み絶たれる余り表情が笑みで一杯の様子!
「どうやらここまでですッツ」
「……」ギャスー太は三名に合図するように高く跳躍し、それから強く着地。「フウウウン」
 それを二名は知らない。けれども史烈は「さあ、急いでここから離れましょう……躯伝にメラン!」ギャスー太の合図を素早く読み取り、病み上がりな肉体を酷く使って二名を持ち上げるとその場から走り去った!
 残った四名は彼らが逃げ去ってゆくのを最後まで確認すると……直ぐに雄叫びを上げて四方へと散る!
「では想念の海で合流しましょうッツ、爺さんッツ!」
「ウオオオオオオオウ、これが真島の心を受け継いだギャスー太の真骨頂だああああぞ!」
 四名中三名は一体と対峙して直ぐ力負け。ギャスー太は背中から体当たりした後、後ろ右足、前右足、前左足、それから背中に乗せたまま旋回跳ね飛ばし、そして最後は獅子型の首筋に思いっ切り噛みついて頸動脈を引き裂く程の暴れっぷりを見せ付けた!
「ウオオオオオオオオオオオオオウ、まだわしハアアアアアあたたぁ--」

 午後零時十五分四十三秒。
 場所は旧都タイガーフェスティ東地区。
 そこまで走った所で史烈は前のめりに倒れた。彼女が倒れた事を受けて躯伝とメランコリーナは容態を確かめる。
「どうして無茶ばっかりしてえ!」
「そりゃあ、ハアハア、息子、だもの」
「徐々ニ体ガ、冷える」
「こんな時に……逃げ切れてないなんて」銀河連合は三名を取り囲む。「しかも指で数えなくとも十体以上いる事は丸わかりだ!」
「ここは私ガ前ニ出て--」
 いやっち、そこはわしらに任せるっち--そこへ齢四十四にして三の月と四日目に成る応神鼬族のタケナカノイタトロウが杖を突いたまま一名だけで駆け付ける。
 流石に幾ら強くとも多勢に無勢だとわかる躯伝とメランコリーナは一斉に反論する。だが、イタトロウは有無も言わせずにこう断言する……「鎌鼬流があれば百体でも千体でも問題ないっち」と--余りにも根拠がない一言だが、自信満々に言ってのけるイタトロウだから妙に貫禄があって何も反論出来ない二名!
 そして二名は史烈を運びながらイタトロウの示した方角に向かって走り出す。逃避行はまだまだ続く。だが、その逃避行を銀河連合が見逃す筈もない。地上に居る十名以上? 空から今も降り続ける銀河連合の雨? いや、地中から二名の踏み出そうとする足を掴む--人型銀河連合一体が両手を使って!
「ウワアアア、点がもう目だった!」
「地面ノ中ニ潜んでたの?」
 その二名は引き剥がせない程成長が遠い訳ではない。特にカンガルー族は雌程雄よりも体の成長が速く、そして簡単に二本共引き剥がして見せた!
「メラン……今のは高速で突っ走るチーター型へのふせきだよ!」
 ほ、本当ダ--その速度は体の成長も経験値がまだ浅い二名には対応出来ない程……故にこのまま喰われてしまうのか!
 その時、チーター型は突然跳躍して三名の背後から成人体型十の所に後頭部から着地!
「……あれ?」
「フウウウ、如何やら、鎌鼬流、まだまだ衰えはないのね」
 史烈の言う通り、チーター型が変な受け身をして痙攣を起こす原因はタケナカノイタトロウの神業にあり!
「これが極めし者の極意っち」
「凄い、学んでみようかな?」
「止めときなさいっち、これは……集中力を切らさない為に会話はここまでっち」
 それが遺言に成ろうとは--彼の鎌鼬流の為に史烈はまた肉体を酷く使って立ち上がった!
「良くないよ、お袋!」
「ソウデス、ココハ私達に--」
「じゃあさっさと連れて行って!」
 口を動かす前に先ずは体を動かせ--無言実行こそ全生命体に課せられる条件……故に躯伝とメランコリーナは史烈に肩車しながらイタトロウに任せて去ってゆく!
 その後、イタトロウは如何成ったかを誰も知らない。何しろ、イタトロウの勇姿を目撃した生命は数少ない。それだけに彼がどれほど、鬼族と神々のように並み居る銀河連合を投げ飛ばしたかどれ程彼の魂が報われるかわからない。けれども優央は次のように記す。
『--イタトロウは達者故に名声を要らぬ。真の武芸者は名声よりも先に命尽き果てる
まで鍛錬あるのみ。何とも難しい話だろうな。これだけ素晴らしい物を身に付けるという
のにそれを披露する場を作れば鍛錬の怠りにも繋がるのだからな。
 さて、僕だよね。僕達は--』

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百十五年十月一日午前六時十一分二十三秒。

 場所は真古式神武首都六影府中央地区神武聖堂。
 そこから百羽以上もの様々な空中種族が飛び立つ。彼らは全国に未だ残る国民に向けて命懸けの避難命令を発信しに行く。それは今にも銀河連合が降り注ごうとする中で一名でも多くの生命を助ける為。情報の速やかな発信は最重要課題。真古式神武の首脳陣がこの日が来るまでに訓練して来ただけに飛行速度は中々の代物。肉体鍛錬も重要だが、鍛錬するには先ず意気込みが重要。その意気込みは既に命懸けであり、抜かりはない。そして鍛錬した先にある技術もその為にある。故に速く飛べる。
 そんな彼らを心配そうに見つめるのは齢四十三にして七の月と三十日目に成る神武人族の老年にして剃り残しが目立つ仙者天同優央やさおは齢四十四にして七の月と八日目に成るルギアスカンガルー族の老年マンメリー・レヴィルビーと次のような会話を手短且やや長く話す。
「この地下道の深さと耐震力では直ぐに崩れる」
「実は俺モソウ思ってました」
「だからこそ躯伝とメランコリーナ達にはある経路を行かせた。無論、そこを読んで内部に潜伏する銀河連合達は先手を打つだろう」
「その為ニシレンデンだな。相変ワラズデスネ、優央様。謙遜しなければもっと凄イ事ヲ果たせたはずだが?」
「僕の力じゃない。死んでいった者達の残していった者がようやく実りを産んだんだ。その話は」優央は既に雲の上より何かが通過してる事を確認する。「この生きてる心地がしなくなるだろうこの六影を中心とした大地を無事抜け出した後で良いな!」
 オウサ--とマンメリーは優央を背中に乗せて神武聖堂を十の秒も掛けずして脱出!
 それから一の分より後……凡そ二十の年もの間、自らの住処としていた神武聖堂は銀河連合という名の質量の雨に依り、呆気なく崩壊した!

 午前七時零分十一秒。
 場所は古都タイガーフェスティ第三南西地区。その手前まで既に彼らは避難を完了する。
「ハアハア、遂に六影が」齢十三にして四の月と二十六日目に成る優央と史烈の息子躯伝くでんは後ろを振り向く。「何だよ、何だよあの黒く激しい雨は!」
「クウウ、これが……何て勢イナノ!」躯伝の付き者をするのは齢十二にして四の月と十六日目に成るマンメリーの第二子メランコリーナはその行き過ぎた質量が雨として降った時に発生する勢いを肌で感じ取りながら驚愕する。「体が、浮イテ、シマウ!」
 メランコリーナの口にした通り、行き過ぎた質量の落下に依って大地を揺らす事で躯伝達を大きく浮かせながら更には同時に発生した風に依り彼らをタイガーフェスティに運んでゆくように吹っ飛ばす--それは打ち所が良くないと命を落とす程……果たして躯伝達は無事で済むのか?

 午前九時零分十八秒。
 場所は六影府未定。
 マンメリーの声を聞きながら優央の意識は起き始める。
(この声……マンメリー、イデデ。流石の仙者も、寄る年波には、屈する、な)
 瞼を開けるも、その時に侵入した頭部から出た血が流れ落ちて、左眼だけがまともに開かない状態。そうして右眼だけでマンメリーの老いた素顔を見つめる優央。彼は自分の事を気にせずに状況を聞き出す。
「降ッテ来タ銀河連合ニ押し潰され、戦力ノ半分ヲ失った!」
「戦力……では、逃げ遅れた生命は?」
「優央様……その生命ハ如何カ諦めて下さい--」
 今、何て言ったんだ--マンメリーの服の襟を掴む優央の感情は激しい様子!
「捜索ニ力ヲ注ぐ国力を、今ノ、いや、最早俺達ニ、残サレテ、居ますか?」
 それは聞きたくもない言葉。力を緩め、マンメリーを放す優央。放されたマンメリーは咳き込みながらも優しげな眼で見つめる。それには優央も揺さぶられた激しい感情を一旦最天井まで押し上げつつも次のように考えて自分を落ち着かせる。
(ここで起こるのは銀河連合の思う壺だ。頭の良くない僕でもこれだけはわかる。下手な感情の使い道こそ銀河連合の思う壺だってな。そうだ……今は少しでも生き残りを作る為にも僕はやらねば……グうう!)
 優央を長い年月掛けて苦しめる胸の激痛はこんな場合でも彼に襲い掛かる。幸い、朝の分はまだ服用していない。量は医者から勧められた一の日に三回と一回当たり七錠。優央は胸の痛みで手元が狂うのと格闘しながらも七錠出して余分な薬を袋の中に仕舞い、そして口に放り込む。それから高齢だけにいっぺんに喉に通す事はまま成らない。その為、一錠ずつ喉に通してゆく。少しでも通らない場合は用意された水で少しずつ食堂に引っ掛かる薬を流し込んで。
(下痢の時の方がまだこの苦しみは楽だ。病の苦しみは何時自分に来るかわからないという恐怖を僕に迫る。生きるのがこんなに苦しいと僕は……いや、収まったのなら何時までも『油を断つな』と訴えてる場合じゃないよな)
 優央は何をすべきかを知ってる。故に彼は次のように決断を下す!
「命懸けで逃げろ!」
 実に単純且つ的確な命令か。方角を聞かれればそれは「蛇族に聞け、風に聞け、そして逃げが上手い生命に聞け」と!
(まだまだ銀河連合の雨は続く。その雨は既に大陸藤原には既に降り注いだ後だろう。伝達部隊には事前にその報告を聞いた後だ。だから僕達が行くべきなのは……タイガーフェスティだ!)
 自然とそこへと行き着く。しかし--
「優央様。タイガーフェスティには恐ラク伏兵ガ多く潜んでいるでしょう。そこを目指スノハ少々安直ではないでしょうか?」
 伏兵か--それに気付かない程優央は卑して下に見るような生命ではない。
「目指すなら船に乗って遠回リデ以ッテ新天神武ニ行くのが一番かと自分は思いますが」
「プロタゴラス大陸か……確かにかの林原コブよしはそこから目指して武内大陸も制覇したと記してあったよな?」
 まあ検問所制度ニ怒リヲ露にしてね--と頭から血を流しながらもマンメリーは半笑いでコブ吉の動機を語った。
「じゃあお前の意見に従い、向かうぞ……プロタゴラス大陸を--」
 その時、齢二十八にして十一の月と十九日目に成るエピクロ隼族のハヤブルス・ハルトマンが優央達の前に近付く。彼は右足に一枚の紙を括りつけて!
「何々、確認すると……どうやらマンメリーの案は無理みたいだ」
 そんな事ハ……クウ、範囲ガ広過ぎるだろうが--その手紙は一枚でしかも百字程度……だが、その百字程度の手紙で納得するしかない!
「真実でい。最早赤黒い雲が真古式神武全土を覆い被さってれい!」
 カモツが発見した法則は何も来る時期だけを示してはいない。来る時期が遅ければ遅い程にその範囲は広大であり、逃げ場所を大きく制限。気が付けば真古式神武に今も残る生命はタイガーフェスティを目指す以外に道はない。しかし、その道は銀河連合を知らない筈がない。
「ああもう時間ねえ。優央様やマンメリーの爺さんはちゃんと無事でいろい!」
 そう言ってハヤブルスはと飛び立つ--少しでも多くの生命を救う為に伝達部隊の使命を全うする為に!
「クソウ、僕達は既に奴らに喰われる為の蜘蛛の糸に絡め取られているんだな」
「こんな時ニ躯央様ガ居てくれたら……あ、イケマセン!」直ぐ様、頭を下げるマンメリー。「優央様の心に用意じゃない傷を抉ルヨウナ発言ヲシテ申し訳ありません。申シ訳--」
 叔父さん……そうだ、思い出したぞ--優央はマンメリーの言葉から何かを閃く!
「優央様?」
「有難う、やっぱお前は僕にとって掛け替えのない付き者だ!」
「何か閃イタノデスカ?」
「タイガードライバー……彼の魂の導く先にこそ僕達今も残る真古式神武の生きる術が残されてある!」
「タイガードライバー・佐々木ダッテ?」
「ああ、彼の魂の眠る場所……そこで僕達は奪還した際に何かやったじゃないか」
 ああ、アレデスネ--マンメリーは何かを思い出した!
 それは今だ明かされない事。但し、優央は次のように心の中で説明する。
(銀河連合に依って一度喰われた大地は元の状態に戻るまで十の年以上もの長い年月を掛ける。その原因は土壌の穢れにもある。幾ら表面だけ浄化をしてもその根っこが穢れていたのなら意味がない。一本の木を抜く為に上辺だけだと考えるのと同じだ。木は大きく成る為に根を張る。その根は常に大地に血管のように張り巡らせて抜けないようにする。そうして僕達は新天神武から派遣された地質学者達と共に穢れを払う為に様々な方法を模索した結果……発見したんだ。実は遥か先まで掘ると……穢れてない土壌がある事も。そしてそこから掘れる水は……清浄である事も)
 と考えながらも優央はマンメリーと共にタイガードライバーが眠るとされる始まりの地下道へと向かってゆく……

 午前十時零分二秒。
 場所は古都タイガーフェスティ未定。
 そこで躯伝は目覚める。瞼を開けた先に見えるのは齢四十五にして七の月と五日目に成る神武人族の天同史烈のれあ。弱り果てようとも彼女は我が子を見つめる表情は気高く、そして暖かい。
「お袋……か、イデデ」
「無理しないで、躯伝ちゃん」
「お袋に言われたくねえさ。僕は……ウグ」左二の腕に痛みが走り、それが何なのかを次のように言い当てる躯伝。「まさか罅入ったんじゃないだろうねえ」
「躯伝様は少シ自分ヲ見つめて下さい」
 言われてるわね、躯伝ちゃん--と茶々を入れる事を忘れない史烈。
「五月蠅いな。これくらいは戦場じゃあ当たり前だろう?」
「まあ躯伝様の所ナラ何処ヘダッテ行くのが私の務めですから……ネエ、史烈様?」
「ええ、そう……ゴホゴホ!」史烈は右手で口を押える。「ハアハアアア」
「無理するなよ、お袋。生命にしたら既に平均年齢を超えた段階だから……さあ、と!」
 躯伝だけではなく、メランコリーナも背中越しに殺気を感じ取れる史烈も気付く。既に取り囲まれてるという事実を!
「僕が--」
 いや、その役割端俺似任せんかあああい--金棒を直角に投げて三体纏めて始末するは齢四十八にして七の月と三日目に成る神武鬼族の老年ミチナカノシレンデン!
「凄イ、シカモ」メランコリーナが説明するようにその金棒を拾い上げる序に素手で犀型の首を捻り落とすという離れ業までやってのけた。「犀の首をあんな簡単に……怪力も半端じゃない!」
「シレンデンだけじゃない……彼が率いる十小隊が一斉に駆け付けてるぞ!」
 躯伝が目撃する通り彼らは駆け付けてから直ぐに戦闘を開始し、一名も欠ける事なくその場を沈黙させた!
「よっしゃああああ、それじゃあ最後乃戦い似赴くぞおおおう!」
 ミチナカノシレンデンと彼に付き従う部隊最後の戦いがここに勃発……そこで躯伝は何を見るのか?

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(序)

『天同優央の記憶 最終話 真古式神武の終焉

                               天同優央

 さて、これから語るのは真古式神武最後の日に僕達がどのように戦い、どのようにして
ああゆう結末に至ったか。それらを語る前にこれまでの出来事を大まかに説明すると次の
通り。
 先ずは終わりへと至る序章か。キンデヅの唯一の子息と成ったキンヅロウ・キシェール
が示した年号でICイマジナリーセンチュリー二百八年頃の第三期、いや第四期の夏頃。第一の予言通りに
銀河連合はやって来た。叔父さんこと天同躯央くおうの当初の予想通りに。それは終わりへと
至るまでの序章
であり、これは銀河連合に依る良からぬ賢さの前兆に過ぎない。
 兎にも角にもこれに依って真古式神武旧都タイガーフェスティは十六という年の間、
銀河連合に依って穢れを纏っていった。それでもタイガーフェスティが喰われても
叔父さん達が事前に用意した最新兵装のお蔭で銀河連合の進行を何とか食い止める事に
成功。タイガーフェスティ一つを奪われながらも僕達は領土を守り通した。そう、運命の
日まで後三十の年も残した状態
で。
 次が叔父さんが死ぬ前に幾つかを提示したお話。叔父さんは僕のように一兆年の神々
との交信
は出来ない。だが、叔父さんはその頭脳を以って伯母さんと同様に生まれ持って
の差を埋め合わせた。伯母さんの話はこの瞬間でも僕は叔父さんをずっと尊敬に値する。
そんな彼は伯母さんや父さんのような激しい最後は迎えなかった。只呆気なく、そして
遺言らしい遺言も残す事無く果てた。それも又、あの二名と同じく叔父さんの個性を示す
最後だと僕は今でも思う。だからこそ僕は叔父さんよりも題材に成るような死に方を
しないだろう。それが悔しいと思う気持ちがある。
 それよりも叔父さんが何を提示したのかを改めて記そう。それは五つあり、一つ目が
この話の最後に簡潔に説明した迷宮の洞窟を早期奪還へと導いた。緩急を付けて奪還
するという物だ。これは見事に果たされた。問題は二つ目以降は全て果たす事がない
提示。
 二つ目が地下施設の建設。首都を中心に今回みたいな事で簡単に奪われない為に用意
された穴熊戦略。熊族の生命には申し訳がないけど、そう喩える事にした。只、これを
細かな指摘をすると穴熊は逃げ道あって成立するのであって今思えば根本的な解決策
には成り得ないな。まあ叔父さんが生きていたらもう少し改めて良くしてただろうけど。
 三つ目が望遠砲の軽量化及び大量生産化。こちらは利に適ってある。但し、今の予算
では実現困難な話ではある。如何しても叔父さんの
 四つ目が迷宮の洞窟の地下道を広げて地下前線基地にするという物。こちらも予算の
都合もあるだろうけど
は迷宮の洞窟の調査が十分じゃない事もあって例え予算の都合が
解決されても実現は果たせないだろう。何せ知は大切でも裏付けされない知は過信に
繋がるからね。
 最後が国中の建物を全て要塞化するというこれまた無茶な提示。これは流石に実現
出来ないとして誰の頭にも残ってないだろう。けれども僕は記憶に留めるという意味で
今回の話にも記す記述。
 以上の五つのうち、二つ目以降は実現せずに終わった。真古式神武は大変な保障の
数々で財政は逼迫し、一回戦いに赴く度に国民にお金を借りる状況。それが三つ目の
日記である銀河連合に依る恐るべき展開の数々を描いたお話。そこではれは鼬ごっこを
演じるお話。銀河連合に奪われては手薄な個所を奪還するという得の数が減ってゆく
お話。そこでは僕達真古式神武は継戦能力を維持する為に新天神武にお金を借りる訳だ。
当然彼らは返還する当てもない僕達に貸し付けるのは却って国を傾けさせる事に繋がる
かねない。僕だって新天神武のだからこそ僕は真古式神武全国民を担保にして交渉を
成立させた。それは大変な賭けであった。彼らにまこれに寄り、序に次期政権を担うで
あろう剛力党とも交渉をして円滑な引継ぎが出来るようにもした。引継ぎとはその為に
あるからな。

 その帰りに史烈と再会し、結婚に至るまでのきっかけ話にも成った。そこから先はまあ
恥ずかしいので多くは語らないけど。さて、この後に真正なる五式最強の軍者であり最後
の軍務大臣を務めるミチナカノシレンデンが見つけた旧都タイガーフェスティの薄い幕。
奴の勘は見事に的中し、僕達は薄い氷の上での勝利を手にした。
 だが、銀河連合が仕掛けて来た鼬ごっこの本当の狙いは戦力を削る為に小出しに
しながら領土を奪う事ではない。実はそれら全てが囮であり、真の狙いは内部から
真古式神武を早急に喰らう事だった。まあそれは
 そんな中で僕と史烈は交わり、躯伝が誕生。あいつこそがこれから其方で頭角を現すで
あろう事は既に
一時の幸せの為に益々僕達は尽力してゆく。
 そして、取り返しのつかない悲劇の数々が目の前で起こる話。銀河連合にはつくづく
怒りを覚えるが、今回だけは僕だって心の像が破裂しそうな程の怒りだったさ。
もしかしたらこれが今も僕を苦しめる胸の痛みの発端かな?
 さて、この話ではマンメリーの妻メリーナや二名の間に産まれた第一子マリエラ、
そしてキュー草がメリーナの体内に寄生した液状型に呑み込まれた。三名の命を安らげる
為に史烈の付き者だったエリフィルズが相討ちと成った。これで暫くはマンメリーも
酒浸りの生活を送る羽目に成ったな。
 それからは彼の代わりとして雄略サーバル族のサーバ十二世が四の年もの間尽力。
僕が会議中に胸の激痛に襲われて六影病院の最高峰の病室に一の月もの間眠りに就く
事と成った。その間にあいつはマンメリーを励まし続けた。そしてやっとようやくあいつ
が僕の所に顔を合わせた時にサーバは液状型に喰われ、自我のある内に自らの力で取り
込んだ銀河連合ごと果てた。そのお蔭で僕とマンメリーは生き延びた。もしもその前に
自我を奪われていたのなら僕かマンメリーが相討ちして果てていただろう。
 それから様々な出来事もあった。キンデヅが最愛の息子と死別した事で一時期
マンメリーと同じような状況だったと聞き、それから彼は死の直前に成って閃き、そして
僕宛てにICイマジナリーセンチュリーに関する新事実を記した手紙を記して想念の海に旅立った。その
内容は既に前の話で承知かと。
 それから叔父さんが亡くなってからずっと摂政として真古式神武の為に尽くした雄三が
意見の食い違いから新天神武に移住し、そこで安らかな眠りに就いたという話も御存知
かと。彼は最後まで真古式神武の一名当たりの保障の高さを指摘し、それの削減を
訴えてきた。けれども生命本来の者助けの精神故にそれは果たせなかった。雄三自身も
それに真っ向からぶつかる己の心と葛藤しながらも自らそれを訴えないと変えられない事
に苛立ちながらも。辛かったのさ、あいつも。
 後は史烈の命が残り少ない事を受けて僕達は病室からこっそり史烈を連れてゆこう
とした。理由はもう直ぐ運命の時が来ると夢の中で一兆年の神々からのお告げがあった
為に。
 長らくお待たせした。これから真古式神武の終焉を迎えるお話を始めよう。
 先ずは--』

これで四週連続二雑文……ネタと言ったら小出の下半身ユルユル野郎の真実か?

 どうもこれで四週連続二雑文を更新してしまったdarkvernuで御座います。
 早速だが、やっていこうか。

 どうもアンチジャーナリストのウェンツ恵介。まあたまに居るんだよな、俺みたいなギリギリアウトなアンチジャーナリストが。
 さて、今回やるのは芸能ネタ。特にかの有名な小出の淫行問題。普通なら小出のせいで済む話だろう。だが、如何もこの問題は闇が深い。というのも被害者女性とそのバックに居る胡散臭さには首を傾げざる負えない。被害者ならば如何してあれらなのか?
 何がアレなのかを説明すると先ず被害に遭ったはずの女子高生が既に人間として終わってる事。次にその母親がまた酷いババアで……失礼、少しはっちゃけた熟女で何と自分のブログに歳を考えずにケツだし写真を乗せてるという事。そして何よりも……生活保護を受けているというこれまた首を傾げたくなる事実。別に生活保護で差別する気はない。けれども、生活保護受けてる中で娘を小出と抱き合わせる親が何処に居る? 流石にそれは引いてしまうレベルじゃねえの? だって生活保護ってのは最低限の生活をする為のお金だろう。それをセックスに使うなんて正気のレベルじゃない。他にはそれが在日特権だと判明。何故なら親子そろって在日であり、名前は帰化名だとか。だとすると一層怪しくなる。
 他にはやはりその親子を使って小出を填めたと言われるエテ公顔の男。その男の顔は余りにも芸術的で恐らく、先程の嵌め方も兼ねて常人のような生き方をしてない可能性がない。もしもネット環境がここまで整う時代ではなかったのならエテ公とその在日親子の完全勝利は約束されていただろう。
 しかし、今の時代では彼らは最早勝利は程遠い。小出を嵌めただけでは依頼主の要望通りに事は済まない。さあ、小出事件は一体どういった決着を見せるのか。特にネット環境が整った今の時代では最早彼らの完全勝利など有り得ない。無敗神話の土壌は既に無くなるのだからな。
 それだけを綴って今回は終わりにしよう。何時までもハニートラップが通用する時代は終わった。これからは日本人が芸の言う会を牛耳る番だ。何時までもエラ民族の覇権は続かないのだよ……


 という訳で小出事件の話を今までの情報を掻い摘んで紹介。只、はっきりしないのはやはり小出を陥れる理由だろうな。如何して小出を陥れようとするんだ? 自分はどうしても引っ掛かるんだよな。彼が奴らにとって不利な情報を貰ったという噂があれば追い落とす意味はあるだろう。だが、そうゆう情報を聞いた事がない。それが腑に落ちないんだよな。つるのやえなりならわかる。彼らはあの国には厳しい芸能人なのだから。でも小出はわからん。嵌める理由が見つからん。wikiを調べてもネットに散在する情報を拾い上げてもそのような話を聞いた事がない。うーん、謎だ。あのセラミックモンキー共の目的は一体何だろうな?
 という訳で雑文の解説を終える。

 原田左之助(仮)と森のババアは良くもまあガサ入れという名の不法侵入をやらかしたな。テロ等準備罪の採決の時に原田左之助(仮)は言ったよなあ……恥を知るべきはお前だよ。全く政治屋なんか辞めてとっとと芸能人に戻っとけよ。お前は役者だけしとけばいいんだよ……政治において大原則のあれこれを知らんからそんな事が平然と出来るんだよ!
 という訳で今度こそここまで。今日は二回連続でハニートラップ特集だな。ハニートラップに何かしら興味あるのかな、自分は?

 追記
 第七十三話を書き始めたばかりなのにこんな予定を乗せる自分もどうかと思うけど、これ自分なりのルールなんだよな。

 予定日六月十九日~二十四日  第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉    作成日間
     二十六日~七月一日  第七十五話 最高官のお仕事           作成日間
     八月予定       第七十六話 道真は藤原氏に復讐する       作成日間
                第七十七話 赤松は何故足利に反旗を翻せたか   作成日間

 よく調べると一週間前の二連続雑文の頃からやってない事に気付いた。どうやらそこまで呆けていたんだな、自分は!
 それじゃあ。

ネタがないので(あるんだけど、イマイチつかめない為)ノックの悲劇について考察してみようかと

 どうも昨日はツクールでサボってたdarkvernuです。だって自分でRPG作るのは完成度以前に楽しいからな。
 ちょっとした考察を始める前に『格付けの旅』が土曜日に更新されましたので読まれたい方はカテゴリ欄の<格付けの旅>又は<白魔法の章>をクリック。
 そんじゃあ中学生或は高校生の頃からイマイチ納得がいかないあのノック事件について色々気に成る点について考察しようかと思う次第だ。どうぞ。

 どうも僕はアンチジャーナリストの西川やすしと申します。やすきよを足して二で割った名前の僕が今回扱うのはどうにも腑に落ちない『横山ノック事件』です。彼は二度目の大阪府知事選で女性にセクハラを働いたとして当選後執拗なマスコミに依る報道合戦と謎の市民運動に依る講義などが相次いで辞職。そして猥褻の容疑で逮捕され全てを失った。それは別に身から出た錆としてノックを批判するのは悪い事ではありません。ですが、このノックの事件には何とも腑に落ちない点が幾つかあるのです。
 先ずはやはり被害者女性の弁護をしていたあの人間。名前は実名を敢えて表さないが、何でも伸介の事件でも被害者の弁護士を務めたそうだから一読すると人道彼の雰囲気を醸し出すだろう。だが実は彼女の正体はフェミニストでしかも日弁連出身。あの日弁連だからな。それだけでは根拠が薄いって? もう一つ、あのヒューマンライツ・ナウ出身。この事からもこの弁護士の胡散臭さは増す。
 次に挙げるのはやはりマスゴミだろう。先程マスコミと紹介しましたが、正確にはマスコミュニケーションではなく、マスのゴミ。そんな彼らが正義の為にノックを糾弾……それは有り得ないでしょう。確か松本サリン事件の時もそうでしたね。彼らは無実の人間であったKさんを執拗に集中砲火して挙句に謝罪の一つもせずに彼らに深い傷跡を残した事を。本当に正義カナルならあそこまで弱者を痛め付けたりはしないでしょうね。それは今も変わらず、弱い物を見つけては執拗に嫌がらせをする。それがマスゴミ。要するにノックに集中砲火したのは正義の為ではなく、弱い者虐めをする為……そう考えると合点が行く。
 次に挙げるのは連日のように抗議活動をする女性市民団体。あれも今までの流れを知れば胡散臭い物だと感じられる。それが本当に女性被害者の為に、或は義侠心の為に行動していたのか? 否、違うな。最初に挙げた弁護士の所属がフェミニズムで溢れるなら扇動してるのは彼らの可能性が否定出来ない。女性の為、下心のある男性撲滅の為? 否、男性差別で溢れるフェミニスト共は昔から義侠心など持ち合わせていない。すると導き出される答えはノックをより一層悪者にする為の布石に過ぎない。
 最後がやはりその後の知事がツイッター徹や松井秀喜(仮)に大変な仕事を残した事で有名なあの女性知事だろう。彼女の図々しさと相撲に対する数々の非礼、そして彼女を支援したのは同和団体、総連等々……そうそうたる反日オールスター。二期に亘って大阪を滅茶苦茶にした実績は正直ノックのたった一回のセクハラで破滅に導かれる事よりも何十倍も重いと見て間違いない。にも拘らずこのクソババアはマスゴミや市民団体に叩かれない……理不尽としか思えないだろう。
 おっと感情的に成ったな。兎に角、ノックの事件には腑に落ちない点が数多くあって如何しても彼はたった一回のセクハラで全てを地に落とす位ならあのクソババアやツイッター徹(但し、こちらの愛国実績は評価する)の方がそれ相応に断罪を受けて然るべきだろう。ツイッター徹はまだ分別が付き、これでも大阪の為に尽力して来たのに対してあのクソババアは地方級否国賊級の罰を受けて然るべき。彼女を擁護する者は努々彼女と同じように国賊と同類と見て良いだろう。
 いけないいけない、僕とした事が。最後に横山ノックの実績についてある程度長く説明してから終りにしよう。まあノックが大阪にもたらした負の遺産は調べれば直ぐにわかるだろう。だが、マズゴミに批判される政治屋は反対に高い評価を受けやすいという反比例がある事から悪く評価するような人物ではない。なので実績を挙げるとすればオール野党の状況下で府の借金を寸止めする所ややはり高速道路の防音防止案や新幹線男性用トイレやAPEC首脳会議の成功など彼が如何に優秀であるかわかる。それに人望は後の知事に成る三人よりも優れており、それらを踏まえても二期目の知事選で百万票以上も獲得して当選したのだからどれだけ彼が府民から支持を受けてるかわかる筈だ。そんな彼がたった一回のセクハラ事件で失墜……今のネット状況が良ければノックの再評価は進んでいただろうに。
 何はともあれ僕は横山ノックのような大阪府知事の再到来を願う。そうすればノックの魂はそこでようやく浄化されるだろう……


 悪いな、自分はあの事件に対して何処までも何処までだって横山ノックを評価する。セクハラ……確かにあのおっさんの下半身の緩さは大問題だろう。でもなあ……その後の二人は如何だ。クソババアは内実共に醜く、ツイッター徹なんか性欲溢れすぎて不倫までやらかしてるじゃねえか。そいつらがあの程度で済んでノックだけあそこまで滅多打ちにされなきゃならんのだよ。本当にこの事件には中学生時代から自分は何かしら腑に落ちない点があって度々、思い出しては少しだけネットで調べて追っかけると……やっぱ嵌められたんだなあ、って結論に至ったね。しかも今日に限って又、調べたら案外ノックって……良い知事じゃね? 確かに悪い部分は調べれば多く出るだろう。でも第一期目でオール野党状態であれだけの事が出来たんだからどれだけ凄いか考えてみろよ。普通、自分以外周りは反対ばかりの状態で政策を勧められるか? トナルドだって無理だぞ。そう考えるとノックは凄いよな、流石はやすしの師匠さんだぜ。それからマスゴミの執拗な批判を受けた事ややはり胡散臭い市民団体の抗議デモの連日取り上げ、ノックの悪い面ばかりクローズアップされる偏向報道……今のような環境があの時代に整っていたらノックは再起出来ただろう。だが、彼は死んだ。その結果、大阪は今も冬の時代が続く。ノックを抹殺したマスゴミや被害者女性の弁護士を務めたあのフェミババアとその団体に依って……だからこそ自分は許せない。人間的にも能力的にも優れた人間をたった一回のセクハラであそこまでやっときながらその後知事に成った奴らが軽傷で済むという理不尽に怒りすら覚える事を。
 以上で思い出した事への解説を終える。

 第七十三話の解説でもするか。今回で若干トミノイズムに掛かっており、少しやり過ぎたと反省する自分。まあ一兆年の夜は第一期シリーズで傲慢ながら自分の世界観は他の宗教の世界観と同じく自分以外の世界は自分の中にあるという前提の下で今後の伏線を残していく。しかも歴史物なので何時終わるかもわからず、更には何時伏線が回収されるかもわからない。そしてバッドエンディングへ向けて……いや、この物語の場合は広義で言うバッドエンドじゃない。一応は主人公の生存は確認されてるので案外悪くない終わり方を迎えるかな? ううむ、色々辛い所は描くからな。厳しいかな?
 という訳で今週も解説らしい解説も出来ずに第七十三話の解説を終える。

 吉田清二(字合ってるかな?)の息子が親父の尻拭いを果たして言ってるのに大阪は未だノック事件の尻拭いをせずに今も破滅に向かいつつある。今だからこそあの事件を掘り返し、ノックを填めた連中全てに謝罪と賠償を……賠償は要らないか(笑)。兎に角、自分は大阪府民としてノックを潰した連中に天罰が来る事……それはオカルト過ぎるか(苦)。兎に角、ノックの魂を安らげる為に新たな神社の造営を。その名もノックは無用神社を。神主は上岡龍太郎で……引退後の再就職にぴったりだろうよ、あのおっさんは(笑)。
 という訳で今回はここまで。慰安婦捏造はノック事件よりも巨大だぞ。ノック事件の再調査を取り上げたらどれだけ大阪の未来が明るく成るか。でもやらないだろうな、松井秀喜(仮)と維新の会もノックを悪者にして大阪を運営するからな。

試作品 ドリーマーズアゲインよ、永遠に 手探りでお届けする駄作 (3/5)

 どうも時々自分の中で何かの真理を見つけた気でいるのはdarkvernuであります。
 発見した事とはあらゆる仕事の中で非人道的な事に手を染める場合、一瞬だけ迷いを見せる人間も上司の命令だからだとか会社にとって利益に成るだとかという名分を得ると平気でそれを実行出来てしまう所だろう……これに対する反論があるならどしどしコメントしてくれ。まあコメントはないだろうが(笑)。
 とそんな戯言はそこまでにしてエルガイムの第一話と最終話のタイトルと被った名前の物語に又、数ページ記すとしようか。

 デートの約束は正午に豊日神社鳥居前。一人で鳥居は絶対に潜らない事こそ待ち合わせをする者の務め。カズマと睦海はそう約束して前日までにそう決めた。
 そんなカズマの恋路を邪魔する者達は三人。それぞれが日本を苦しめる国々の人間。彼らもカズマと同じく帰化申請を受ける者達。だが、三人は決して日本人の心を知らない。日本を愛する心が欠ける。その理由は次に示そう。
 彼らはカズマを人気のない路地裏まで誘導。そこで自己紹介してゆく。
「ウリリリ、ウリは在日南新羅人にして総連のエージェントを務めるカラ・ガンスさ」
「私人民解放軍にて訓練を受けた立派な工作員あるね」
「自分は元ソ連のスパイ養成所で……それは親父殿の経歴でしょうな」
「俺はカズマ・エターニティだ。お前達は何の為に帰化試験を受ける?」
 自己紹介の後にカズマは尋ねる。すると三人はそれぞれの理由を語り始める。
「決まってんだろ。もしもやばい時はチョッパリのせいにしてやるニダ」
「私日本で楽したいね。日本人を一杯苦しめたいね」
「決まってるだろう。今後ロシアの国益を鑑みて日本のない情を調査する為」
 それを聞いたカズマは構える……「じゃあお前達は日本から出て行かないといけない」日本を愛するアメリカ人として!
「わからないか。チョッパリは俺達を強制連行したニダ。従軍慰安婦問題を金で解決した酷い奴等ニダ。お前に真実の歴史を教授させてやるニダ」
「私人壊すの大好きね」
「先ずはお手並み拝見と行こうか」
 南新羅人のガンスと支那人の名無しはそれぞれ構えてカズマに挑む。一方のロシア人の名無しは傍観する模様。
「止めておくんだ、ここで喧嘩すれば帰化試験を永遠に受けられなくなる」あくまで帰化を望むカズマは警告を続ける。「折角のキャリアをこんな所で無駄にしない為にも手を引け」
「それ出来ないニダ。全く歴史を知らない愚かなアメリカ人は日本の悪行を叩き込むしかないニダ」
「二対一ね。君勝てる可能性ないアルヨ」
「どうやら戦いは避けられない、ぞ……そこのアメリカ人」
 ガンスと支那人名無しは同時に動く。二人は先制攻撃を仕掛ける。
 それに対し、カズマは間合いを詰められるまで一歩も動かない。カズマは防御に専念。
「攻撃と防御……やはり勝ったのは!」
 勝ったのは……防御--右手にガンスの左回し蹴りを、左手に支那人名無しの左崩拳を絡め取り、円を描きながら流れるように彼らの顔面に手をやりながら……後頭部を固い地面に叩き付ける!
「如何か死なない事を祈る」
 防衛を終え、静かにロシア人名無しの方に顔を向けるカズマ。するとロシア人名無しは腕組を解き、背を見せる。
「如何した、ロシア人?」
「ロシアには古来からこうゆう法則がある。『弱い物だけを相手にする』と。自分は形勢不利を決めれば其方との喧嘩を買わない」
「賢明な事だな……だが、帰化は止めろ。お前もこの二人と同じで日本を心から愛してない!」
「それが気に成るな」
「何が目的だ?」
「質問に答えろ、カズマ・エターニティ。何故帰化条件は国を愛する事だ?」
「帰化する事は即ちその国に骨を埋める気で愛を覚えねば成らない!」
「それは無理だろう。幾ら心まで国に溶け込もうとも背骨が外国人なら如何だ?」
「背骨が外国人なら……ば!」
「答えられない。それがお前が日本を何処かで憎む気持ち。それが日本を愛する? 日本に骨を埋める? 笑える話をどうも有難う」
「……」
 何も言えないカズマ。初めて彼は己のルーツを恨む。
「おっと名乗ろう。自分はイワノフ・セギノルフ……システマ使いだ。先程見せた柔術いや合気道は自分に使わぬ事だ……ではまたの機会を」
 セギノルフは静かに去る。何時か会えると確信するかのように。
「……何も反論出来ない」
 カズマは自らのルーツが既に日本人から遠い事を憎んだ。折角、日本に来て真の日本人に成る事を目指した少年にとってセギノルフの言葉は突き刺さる。
 --幾ら心まで国に溶け込もうとも背骨が外国人なら如何だ--
 これに対する答えに行き詰まる以上、如何しようもない。如何して父、母は自分を日本人にしてくれなかった、と--涙が流れるまで時間は掛からない。


 一旦休憩を挟んで後半行きましょう。

 午後零時十五分……約束の鳥居で一人、足踏みする睦海。彼女は苛立ちを隠せない。約束の時間を十五分以上も遅れるカズマに対して!
 そして、カズマはやっと来た……「遅いわよ、十五分も待たせて……って」頭の良い睦海は遠目で見るカズマの様子がおかしい事を逸早く察知。
 駆け付けてみるとその表情で直ぐに……「教えて、カズマ。如何してそんなに悲しそうなのか?」何かあったのかを探り当てる。
 だが、カズマはそんな気遣いをされて彼女を押し倒してしまう。何もかも読まれ、尚且つ誰よりも日本人である彼女をこの時ほど恨んだ事か。時としてその気遣いはカズマに殺意すら齎す。そう、それは次のように胸に打ち込まれる!
 --ココデコロセバオレハハレテナレル--
 だが、何処かに己を持つカズマは少しだけ冷静に見つめる。そして、己がした事を悔やむ。悔やみ出すと次に出るのは……「お、お、お、俺はやってない!」現実逃避するようにその場から走り去る!
「カ、カズマあああ!」
 睦海は混乱の渦中にあるカズマを追った!

 睦海を突き飛ばした--その事実が彼を目的無き逃避行へと走らせる!
 彼は逃げ続けた。何から逃げるのか彼は思い出せない。先程の喧嘩で死なせたかもしれない南新羅人と支那人? 否!
 己の背骨を指摘したロシア人イワノフ・セギノルフから? 否!
 突き飛ばした睦海を一度でも殺そうと考えた自分? 否!
 答えは日本人に成り済まそうとするカズマ・エターニティに対して!
 理由はカズマ自身が求めて已まない日本人。祖父は偉大なる日本人、その祖父から日本の心を受け継いだ父への憧憬、そして……「御免、睦海。俺はお前が望む日本人に成れなかった!」睦海の愛を叶える為。だが、それら全てが崩れ去る時こそカズマは日本人に成り済まそうとした事に気付いてしまった!
 俺は日本人に成り済まして日本人全てを欺こうとした。親の代から受け継がれる日本への愛は全て俺が利用したんだ。全ては睦海に愛される為に--そんな風に考えてカズマは目的無き逃避行を二時間十五分も続ける。

 そして雨……やがて雷が周囲に恐怖の鐘を鳴らす。カズマは雨こそ嫌いはしない。だが、雷は酷く嫌った。そのせいで彼は未だ肺活量が残る中で足を止めてしまう。
「雷は子供の頃から打たれたら死ぬって教わる……から!」とうとう、両膝を水溜まりに浸けて両手をその中に潜らせた。「震える。雷は恐い、恐い、ホラーホラーホラー」
 雷雲は鳴り響く。何時、カズマの元へその裁きを始めるかを窺う--そう表現しながらカズマは処刑台に立たされる気持ちを少しでも理解し始める。
 何れ己はその雷の前に一生を終える。雷は一瞬で全てを終わらせる。今までの人生が一瞬で済まされる理不尽にカズマは歯痒い気持ちで一杯に成る。雷は最愛の人を殺そうとした自分を裁く為に雲の中でうねり声という名の準備運動を続ける。カズマは筆記試験こそ今でも苦手だが、少しでももったいぶった表現をしてる気持ちにも成る。普段の彼ならこれを糧に前向きに立ち直る。だが、今の彼は己の背骨を指摘されて何も浮かばない。何も前向きに成れない。そこには彼を慰める人間は一人も居ない。そう、今では世界で唯一人。
 もう終わりだ、もう俺の人生は雷が落ちて緞帳は急加速するように落ちる--彼は自らの人生という名の物語が幕を閉じようとするのを黙って待つ。
 その時……「雷は落ちません!」そう耳の穴にまで届けられる温かい言葉!
 誰かの幻聴か? いや、幻聴なんて都合の良い話だ。死ぬ間際に届けられる温かくも残酷な悪魔の囁きだ--カズマはそう考える!
「いいえ、これは真実です」
 また聞こえた……「もう良い、幻聴でも何でも良いんだ。俺にはもう日本人に成れる資格なんてないさ!」カズマは死ぬ事を前提にそれを静かに聞こうと決心。
「君がどんなに帰化した所で日本人に成れない。そうでしょうね、きっとそれが皆様にとっての真実なのでしょう。でもね、カズマ。だからって今まで君が努力して来た事が無駄に成らないの。今まで日本人に成ろうと励んで来た事は無駄に成らないの。どんなに君の遺伝子が日本人と程遠いと断言されても、どんなに君がカズマ・エターニティというアメリカ人であっても君は、いえ君の心は日本人なの。それがどれだけ私の為に尽くされようとも、それがどれだけ私の為だけに日本人という名目を利用しようとも私は君自身を、君自身を永遠に見つめるの。だって、君は苦しかったんですよね。去年試験を落とした事で裏技を駆使するという腹立たしい事をしないと愛する日本に縋り付けない程追い詰められたんでしょう。既にわかってるのよ。滑り止めは君自身の過ちである事にも、そしてそれを自ら辞退した君の良心にも。でもね、でもそれくらいで君が培ってきた愛は崩れない。それと同じように雷如きで君の存在を消したり出来ない。
 何故なら私が君に代わって雷に打たれてあげるから!」
 睦海が後ろから優しく抱きしめる時、雷は何処へと落下--どうやら二人の仲を取り持つ為に雷はうねり声を上げたか……カズマはそう考える。
「睦海、睦海、睦海イイイイイ!」
 それから彼女の手を振り解くとカズマは睦海を正面から見、そして強く抱擁!
「御免よ、御免よ、ソーリーソーリーソーリイイイイ!」
「私の方こそ今まで黙ってて御免なさい。今まで上から目線で君に言い続けた事を御免なさい」
「良いんだ、睦海。これから俺達は対等の立場に立ったんだ。これが本当の対等関係だったんだ!」
 こうして二人の距離はより縮まり、やがては……
 距離の縮まる二人が永遠の別れを告げるまで後一年……


 という訳で『ドリーマーズアゲインよ、永遠に』をお届けしました。どうやら筆が乗る気分こそこの作品と一体化する証拠だろうな。まあその気分に成るまで筆を書き進めないといけないのが辛い所だがな。
 それじゃあ今回はここまで。こちらはやや長編で商業化する予定。記せなかったエピソードを何個か仕込んで出すのでお楽しみを!

試作品 ドリーマーズアゲインよ、永遠に 手探りでお届けする駄作 (2/5)

 どうも普段は無茶な考えを止めて黙々と始めるdarkvernuです。
 さあ、やっていきましょうか。

 カズマは悩む。身体能力は日本のあるプロジェクトに於いて支障はない。スポーツも万能であり、サッカーやラグビーの成績は飛びぬけて高いとは限らないが、好調な成績を残す。だが、こと知能に関しては平均値を下回る成績。語学の壁が原因……否、語学は平均近い。だが、それを上手く母国の言葉に変換するのに乏しい。その為にカズマは今年も帰化試験を断念する一歩手前。今の成績で挑めども日本国籍を取得する事は敵わない。幾ら努力しても優秀な成績は残せない。だが、帰化しないと睦海と並び立てない。カズマは大いに悩む。
 悩んで一週間後……睦海の居る某研究所に立ち寄る。そこは散歩して一時間でスカイツリーへ辿り着ける場所にある。彼は睦海から渡された会員専用のカードキーを示して研究所に入る。それ以降は受付の案内がないと自由に行き来出来ないという機密空間。仮に出来たとしても案内される場合は目隠しの状態で屈強な黒スーツが両手側に立ち、無理矢理連行する形を取らざる負えない。それぐらいに秘密とは少しでも漏れると国の未来を左右する概念なのだから。
 目隠しされて三十五分後……睦海が閉じ籠る研究室の中へと到着。黒スーツ二人から乱暴に入れられ、中に居る睦海の同僚である研究員に依って目隠しは解除された。そこでカズマが見た光景とは次の通り。
「出入り口が……わからない」
 乱暴に容れた本当の訳は出入り口を探られない為。後は近くの研究員に外させる事で二重の意味で中の機密を保持するという仕組み。実際にカズマは許される時間の限り出入り口に通じる何かがないかを探った。だが、何処にもそのような後はない事にこそ研究所の機密保持の高さを証明するに至る。
「ね、凄いでしょ。これが日本が誇る高い機密性を保持した研究所よ」
「素晴らしいな。全くどうやって入っていったのかを想像すら出来ない」
「それについての話よりも……君はどんな要件でここに来たの?」
「御免、睦海。今度の帰化試験も不合格に成る」
「そう、それは残念ね。そうすると滞在期間はもう直ぐ時効ね」
「母国に戻りたくない。俺は日本という土地が大好きだ!」
「だからって法律を破る事は貴方みたいな外国人が母国に誓って出来るの?」
「そ、それは!」
「出来ないでしょう。母国を捨てて日本人に成ろうとする心意気は十分だけど、だからって日本人に成る為なら手段を選ばないようじゃあ日本人として不適格よ!」
「ううむ」
 次の試験まで後二日……しかも三日間に亘って行われる。それまでに合格出来る程の学力を身に付けないと強制送還が待つ。カズマにとって日本とは日本人以上に日本人に成る事でしか住むに値しない。カズマは未だ普通の日本人に及ばない事に歯痒い思いで一杯。
 何としても帰化試験の合格を目指すしかない。そこでカズマは自分とは反対に学力が良い睦海にテストを合格する為には如何したら良いかを尋ねる。すると睦海はとんでもない物を手渡す。
 とんでもない物……それは暗号の記されたメモ用紙の切れ端。特殊な赤ボールペンで記されるのは『FOREVER』の七文字。その下には更に特殊な青ボールペンで記された『ユメノオカエシ』という七文字。つまり、とんでもない物とはカンニングの事を意味する。
 睦海はカズマにカンニングをさせようと促す。それに対してカズマは睦海の前でカンニング用紙を破り捨てる。
「如何して?」
「君はさっき言ったよね。『日本人に成る為なら手段を選ばないようじゃあ日本人として失格』だって。俺は君の言う事に従う。だから君もそのような真似をさせないでくれ」
「カズマ……貴方、自力でやるのね」
「いや、自力じゃない。だから俺は君に試験を突破する方法を教授したい」
「……わかった。カンニング以外の方法だったら今から教えるわ」
 研究室に居られる時間は僅か二時間……それまでに睦海はカズマにやれるだけの回答方法を伝授させた。

 それから二日後……帰化試験一日目は適性と面接試験。適性に依り仕事上の不都合がないかを確認。面接試験では受け答えの他に日本に対してどれだけの愛があるかを確認。しかも礼に始まり、礼に終わるが如く姿が見えなくなるまで試験官は受験生の仕種を見逃さない。仮に去る前まで好成績でも去り際に礼儀を欠けば不合格と成る。それらは全てパス。
 帰化試験二日目は体力試験。勿論、平均以上のカズマにとって朝飯前の話。合格出来ない道理等ない。
 そして問題と成るのが帰化試験三日目の筆記試験。筆記には教養試験と知能試験の二つがある。教養では主にマークシートは全て廃止され、筆記のみで答えを記す。その為、大小様々な答えが求められる為に採点は容易じゃない。代わりにカンニングの付け入る隙は一つもない。そして知能試験。こちらはマークシート式。だが、こちらの場合は書き直しが一切認められない一発勝負。故に一度間違った答えを黒塗りして違う答えに書き直す事はカンニングとして判定される。故に慎重さを求められる。だが、制限時間もある為に依り緊張感のある試験と化す。特に頭脳面では平均以下のカズマにとっては二つ共脅威である事に変わりはない。だが、やれる事はした。全ての試験が終わり、夕日が見下ろす中で帰宅してゆくカズマの表情に後悔の念はない。後は結果のみを待つだけ……どの道、そこで己の運命は決まるのだから。
 全ての試験が終わって二か月後……見事不合格。原因はやはり三日目の筆記試験。採点内容こそ機密の為に郵送される事はないが、カズマは紙一枚のみの通知で大いに泣いた模様。彼は日本を出てゆく決意を固め、早速入国管理局へ出向こうとした。
「お前がカズマか?」
 謎の人物の呼び掛けは後にカズマと睦海の運命を決定付ける一大事と成る。永遠の別れが来るまで後二年……


 という訳で気に成る所で終わらせました。『ドリーマーズアゲインよ、永遠に』が面白く成るのは自分次第なので徐々にではあるけど……止めよう、斎藤佑樹みたいな発言をするのは。
 それじゃあ今回はここまで。次回は来週以降と成りますぞ。

試作品 人間工場

 どうもこれからは試作品紹介は<試作品>カテゴリでやる事にするdarkvernuで御座います。
 さあ今回紹介するのはこれだ。

 ある学者は趣味の歴史を綴る。名前は磯島康生(いそじま こうせい)と呼ぶ。H市にある私立大学の準教授を務める傍らで講師としての己と研究者としての己との葛藤の中で趣味に関する研究の一人者を自称する。因みに彼がやる講義名は『趣味学入門』、『趣味学』、『趣味学演習』等様々。常に定員百名を下回り、生徒の誰もが彼の授業に将来性を見出せない模様。彼も又、自らの研究分野に将来性を見出せずに悩むばかり。徐々に研究費が減額され、何れは研究室から追い出されるのも時間の問題。
 そんな彼の下に熱心な生徒が研究室にやって来た。
「えっと17V117の加瀬瞳(かせ ひとみ)さんね」
「はい、加瀬と申します。実は先生にお願いがあって来ました」
「お願い?」
 磯島は如何して自分みたいな情けない准教授に尋ねるのか。理由は次の三通り。
 第一に趣味学に興味があったから。第二に定員割れで単位が取りやすそうだから。第三に……『人間工場』について尋ねる為。
「三つ目の理由は洒落かな?」
「いいえ、実はあるんですよ。人間の肉を商品として世界各国に売りつける工場の存在を」
「その顔……わざと影を付けたな」
「えへへ、バレちゃいましたね」
「その言い方は止めたまえ。面接試験で試験官は落としに来るぞ」
「心配いりません。この大学で院生として勉学に励み、何れは教授を目指しておりますので」
「教授か、大胆にも野望が大きいね。でも教授は止めとけ!」
「如何してですか?」
「その理由を応える前に先ずは……如何して私に『人間工場』の事を持ち出した?」
「それはですね……趣味学の観点からその存在の是非を確かめたいのです」
「趣味学の観点から……ねえ」磯島は若干ながらにその四字熟語に対して別の視点よりこう答える。「倫理学に照らし合わせればあっては成らないな」
「倫理学の上では……では趣味学の観点では如何でしょうか?」
「実際に見てる訳じゃない、しかし」もしもその目で体験するとしたら磯島は次のように答える。「人類は狩りのない余暇にセックスに明け暮れた挙句に子供を必要以上作り過ぎた。食糧危機に備える為に彼らが摂るのは劣悪な子供達を食糧にして乗り切る……これで良いか?」
「素晴らしい意見ですね。流石は趣味学の第一人者ですね!」
 拍手されても嬉しい気持ちに成れない磯島。質問が質問だけにカルバニズムを肯定する者として摘み出される危険も覚悟する磯島。
「心配要りません、先生。私は間者ではありません。なので先生をハニートラップに掛ける気は毛頭ありません」
「古い言葉を使うね、加瀬さん。だが、君が聞かなくともこっそり聞く人間が居たら如何するんだ?」
「それはそれ、これはこれです。それに」加瀬はようやく目的を語り始める。「私は知りたいのです。セックスにしか趣味を知らない人間は果たして生きてる価値があるのか如何か、を」
「家庭内の事情で相談を受ける気はない。それは校内に居るカウンセラーの先生にお願いする事だね、加瀬さん」
「いいえ、カウンセラーを受けに来たのではありません。私は人間工場を視察したい。その為に磯島先生……先生の協力をお願いするのです!」
「何、私にそんな非人道的な工場の視察をしろと……ん?」ここで冷静に成る磯島。「ところで『人間工場』は何処に建設されるのかね?」
「知りたいですか? 良いでしょう、実は」
 突然、加瀬の背中から黒い何かが世界を覆う。催眠術に掛けられたと考える磯島は直ぐ様その場から逃げようと試みるが……「駄目ですよ、先生。既に貴方……夢の住人であります。いい加減お気付き下さい。現実とは何か。貴方が今を生きる現実とはどんな所なのか!」
「な、何だ。手が届かない。足が動かない。いや、何かに載っ掛かるようなこの思いは……何だか椅子に座ってる筈なのにベッドの上で横に成るこの感覚は!」
 そして磯島は現実に引き戻される……


 という訳で『人間工場(仮)』をお届けしました。本当はもっと話を展開したかったけど余りにも冒頭が長過ぎる為に断念。学術的なテーマだけを語らせてプロローグを終えたまで。
 この物語の特徴は人類の趣味がセックスしかない場合、それは果たして幸せなのか不幸なのか。それだけじゃなく、もしもカルバニズムが市場原理に組み込まれるとしたらそれは果たしてどんな世界が待つのか……まあ倫理的な問題が先行して冷静な結論を出せる筈がないけどね。但し、どっかの中華思想大陸では今でも人肉文化が盛んさ。奴らは犬や猫だけじゃなく人間さえパクパクしちゃうからな……そんなのと友好なんか出来ないな、絶対。
 まあ真面目に考えるならセックス以外の趣味がない時代に人類は余暇をどう過ごしたんだろうな。やる事なく、しかも唯一やれるのはセックスだけ。しかもそれは時として子供の数に歯止めが聞かず、更には怖い怖い性病も待つんだからな。そうしてセックス以外の趣味を講じる内に当時の若者達は石ころ遊びを開発。ところが飽きればまたセックスに逆戻り。そこで次の最近の若い者はボディランゲージを応用した遊びを開発……とキリがない。そうしてセックス以外の遊びを開発する内に言葉のみならず数の学問やらを開発。そうして文化文明を築いていき、現代に至る。そう考えると最後の手段であるセックスとの葛藤は古代からあったんだなあと自分は考える。
 とまあ自分の妄想気味な自説はこのくらいにして試作品の解説を終える。

 女の盾と呼ばれるヘドロ以下の触ればセクハラ呼ばわり所かマインドクラッシュするような事しやがって。つーかてめえら面を見ろよ……誰がお前らなんか触るかよ、こっちから御免だよ! まあそんな事しか考えないような奴らを相手に何とかテロ等準備罪は参議院でも可決されました。おめでとう、コニシキさん。さあ、共謀罪がなくしかも集団的自衛権のない国だからテツヤが言うように最強の無法国家ソマリア、イスラム最大の国にしてアメリカの宿敵イラン、沢越止顔負けのレイパー大国コンゴ共和国、三つの中でマシそうな特に強烈な個性を見つけられない南スーダン。この四つの内のどれかがお勧めですぞ。運が良ければその国の影の指導者も夢じゃない……要するに二度と日本に戻って来なくて良いからさあ。
 それじゃあ試作品はここまで。明日は面白くなる可能性が薄いドリアゲを頑張って書くぞ!

一兆年の夜 第七十三話 優央の記憶 悲劇の再現(九)

 午前四時六分零秒。
 場所は真古式神武首都六影府中央地区六影病院二階天同史烈の病室。
 お日様を背景に自らを美しく魅せる史烈の命ある輝きに優央は涙を流すしかない。
「如何したの、優央?」
「ああ、史烈」優央は一歩又一歩と寝台へと近づく。「如何して君はまだ可能性を信じるんだ!」
「生命の可能性を信じずして何が伝統主義なの。そうでしょ、優央」
「それでも」優央は抱き締め、涙の一滴一滴を彼女の頬に滴らせる。「それでも君がそこまで無理をするくらいなら進化主義何か何の価値もないじゃないか!」
「パパと同じ事を……君はそんなに伝統主義が信じるに足るの?」手を離させようと抵抗する史烈。「伝統主義は結果しか見ず、昨日に縛られるだけの思想なのよ」
「昨日があるから今日がある。君は今日と明日だけを見過ぎる。そんなの昨日まで培ってきた先達の思いを汲まない勝手気ままな性格を孕む」
「そうして過去の反省ばかりするのは過去に縛られた伝統主義及び懐古主義のいけない所なの。パパはそんな考えを最後まで変えようとせずに想念の海に旅立ったの。ずっと許せなかった。パパはずっとそんなふうに昨日ばかり見つめ、ママの死を振り切ろうとしなかった!」
「それでも僕は史天のあは最後まで君と同じく自説を一切曲げずに突っ走った素晴らしい姿だと思ってる。それもまた生命賛歌の一つとして捉える!」
 優央……やっと歩き始めたのね--優央の迷いの衣が剥がれゆくのに気付くと史烈は既に優央を抱き締め、涙を流す。
 それは老者二名の愛の結晶。それを受け入れない生命が一名。
「御免、親父にお袋」
「あ、済まない。ついつい熱く成り過ぎた」
 本当よね、全く僕達はく……グボゴボォ--優央から離して両手で口を抑えながら血の唾液を吐く史烈。
「の、史烈様……コノ出血量は!」マンメリーは史烈の出血量が茶碗一杯よりも半分程である事に気付き、既に風前の灯火である事を思い知らされた。「俺達は銀河連合カラ史烈様ヲ守れても……病から守れないのか!」
「病……礼を失するわ。僕は、既に四十代、半ばの生命なの。この、場合は、ハアハア」既に呼吸も荒く、上手く喋る事も難しい。「ハアハア、老い衰えで亡くなる……そんな生命達と同じ末路よ」
「それでも……わかってても僕は君が先に逝ってしまうのが悲しい!」
 自らの両手で彼女の両手を強く握り締める優央。少し痛みがあったのか、彼女は力づくですり抜ける。
「ハアハア、躯伝ちゃんも見てるの。マンメリーやメランコリーナも見てるの。ハアアア、ハアアアアア……そろそろ面会を終わりましょう」
 いや、実は面会しに来たんじゃない--とようやく本題を語り始める優央。
「まさか」お日様の光が徐々に強く成り始める頃合なのに何だか光が弱まる事に気付いた史烈は窓の方を振り向き、こう呟く。「予言の年ってのは案外正確に図れない物ね」
 お日様の光を遮るのは……銀河連合の塊だ--そう呟く躯伝の瞳は青く輝く!
「また光った……やっぱり躯伝こそ僕の提唱する説の半分を実証する生命だったの、ウグッ!」またしても吐血する史烈。「ゲボゴボゲボ……ハアハア、少し眠るね」
 史烈の瞳は閉じようとする。これを危惧して……「イケマセン、史烈様。まだ意識ヲ保ッテ下さい!」と願を掛けるマンメリー!
「いや、まだ死なない……僕はそう信じている!」
「デモ--」
「大丈夫、パパ……躯伝様ハ信ジル」
 メランコリーナカ--メランコリーナは躯伝を心より敬愛する故に彼の信じた物は最後まで信じる模様。
「そう、では眠るね」
 史烈は眠りに就いた。
『--最近は中々に辛い物がある。只でさえ、あの場面この場面を思い出すのが難しい
上に筆が遅くそれから書き違え違いも激しい中でだえ僕はそれを書き上げなければ
いけないからな。
 さて、続きというのは--』

 午前四時十一分十五秒。
 病院の表門外に出た五名。そこで熾烈以外の四名が目にするのは次のように優央は表現。
(既にお日様は覆い尽くされ、見えるのは星々として僕達真古式神武を見下ろす銀河連合の数々。終焉は近い。そしてタイガーフェスティに訪れた悲劇は再現されてゆく。予言の年を乗り越える為の秘策を叔父さんは様々な事を提言した。だが、どれも当時としては財政状況も鑑みて誰も賛同しなかった。今じゃあそれに賛同出来る。しかし、何もかも遅かった!
 遅過ぎる話を悔いてる暇はない。これを糧に僕達は前進しなければいけない、そうだろう……なあお前達!)
 優央が真上から前に目線を併せた先には軍務大臣齢四十八にして七の月と三日目に成るシレンデン率いる真古式神武軍が並び立つ!
「ハン、俺達真古式神武軍端何時だってあんた乃為那羅死ねるぜ!」
「真島の心ある限り、この髭もこのわしも健在だあああぞ!」齢四十一にして四の月と十一日目に成るエウク馬族の老年にして一の年より前に右眼を失った真島ギャスー太は髭を自慢する。「真島隊は必ずや優央様を安全にお運びしようじゃないいいか……亡き叔父が優央様の母上である優希ゆき様をここ六影府まで運び切ったよおおおうに!」
「鎌鼬流は落下物さえ自在に操るっち」齢四十四にして三の月と四日目に成る応神鼬族の老年にして杖を突く程に身体能力の衰えが目立つタケナカノイタトロウは自らの技に絶対の自信を主張する。「なのでわしに任せるっち」
「ゲホゴホ……わしも史烈様と同じく長っくはない」既に衰えが激しく今にも死にそうな齢四十五にして四の月と十八日目に成る雄略猿族の老年サルタビト十八代は彼を支える第三子である齢二十一にして三日目に成るサルタビロウ五代にこう言った。「だからこそサルタビロウや、お前さんはわしと反対に生っき残れや」
「全力を以って父上の言い付けをお守っりします!」
「良いよな良いよなッタ」子供が一名も居なくて悔しそうなのは齢三十三にして四の月と二十三日目に成る雄略蜂族の中年ビーダ五世。「おらなんか細工がないので結局結婚出来ずにこの日を迎えてしまったッチ!」
「お前達は真正なる五式……済まない、僕達の為に余生を使い果たすような真似をして!」
「何、俺達乃時代端終わった。後端銀河連合似終り於意識した生命牙どれ程怖い物科於十二分似刻み込ませる事だよ……まあ俺端只出端死んだり端せん牙那」
 全く御祖父ちゃん端元気だね--齢十一にして一日目に成るシレンデンの孫であるミチナカノシドウシンはその年齢でありながらも既に身長成人体型一とコンマ二程ある模様。
「息子達端直ぐ似死似おってから似……妥牙、お前端生きていろ余、これ端御祖父ちゃん愛妥曾!」
「それ於言うなら孫過保護斗言います科羅」
「談話してる場合ジャナイダロウ。今、空カラ奴ラガ降り注ぎに掛かる……お前達のやるべき事ハ最後ノ日マデ移住し損ねた一般国民を安全に新天神武マデ運ブ事だろうがああ!」
「マンメリーの言う通りだ。今から僕はお前達に最後の命令を下す……と言っても命令らしい命令も下す事が出来なかった僕だからな。必ず……必ず生きてくれ!
 それが僕の最後の命令だ!」
 その言葉を聞くと共に新古式神武軍は雄叫びを上げる。それは一瞬だが、空を覆う銀河連合の落下速度を少し遅らせたのか。或は……世界観補正の為せる業なのか?
(僕は果たして……いや、何も下手な考えを起こすまい。この国の最後の時まで僕は見届けねば成るまい!
 真古式神武最後の象徴として……全生命体の希望として!)
 それから一の日より後の午後十一時五十九分五十九秒……タイガーフェスティを襲った悲劇の再現は始まる!
『--以上が取り返しのつかない悲劇の再現を綴ったお話。マンメリーは自らの怠りが
原因で代わりを務めたサーバ十二世を死なせてしまった事でその償いをする為に今以上
に僕の為に尽力するように成る。そんな彼と真正なる五式最強の軍者であるシレンデン、
それから最愛成る史烈は今の僕へと導いてゆく。それが次に紹介する真古式神武の
終焉を綴ったお話
さ。
 そこから先は発作が起こる度に筆を止めて進捗状況を描くかも知れない。少々、調子の
狂う所が散見するかも知れない。それはこの発作の激しき痛みゆえ故である事を御容赦
下さい。を。
 それから五冊目である真古式神武の終焉は少々、一名息子である躯伝も執筆代行
するかと思う。故に彼は真実と幻想を入り混じって描いてゆく事を何卒御容赦を。既に僕
は一名だけでは執筆する事も難しい状態にまで追い込まれた。そこへちょうど彼が訪れ、
自らの目的の為に僕の日記を欲してる事に気付いて親心ながらに躯伝にも協力を仰いだ
までさ。何とも恥ずかしい父親だと己も自覚する。
 ではこれにてこの話も締めくくりにしたいと思う所存。
                                悲劇の再現 完』

 ICイマジナリーセンチュリー二百十五年十月一日午前五時零分零秒。

 第七十三話 優央の記憶 悲劇の再現 完

 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉 に続く……

一兆年の夜 第七十三話 優央の記憶 悲劇の再現(八)

 九月十四日午後十一時に十分四秒。
 場所は真古式神武応神海付近仁徳島北仁徳市第一北地区。そこで一番高い塔の最上階に成人体型十の巨大な望遠鏡が建てられる。
 それを使って星々を眺めるのは齢十九にして十九日目に成る仁徳雁族の少年臥間ガン造ふすまがんぞう。彼は五百の年より前に銀河連合の命名のきっかけを作った偉大なる天文研究者である板垣ツル夫に憧れて天文研究生として眠気でどうしようもなくなるまで星々を見つめる。
「ン?」ガン造はその中で異様な何かを見つける。「銀河連合は確か歪みだっタネ。マサカこれガ?」
 それでも彼は自らの肉眼を信じて更に確かめる。方角をそのままに自分の身体を動かしてそれを眺める。すると……「角度が僅かにずれたのカナ?」ガン造は一旦、観測を止めて数値を確かめる。
 すると明らかに成ったのは……数値にコンマ四桁までずれを確認出来なかった。しかも五回も確かめて!
「マサカこれガ!」ガン造は更に確かめる。「コレがツル夫先輩が発見したという動く銀河……なのカ!」

 九月五十四日午前零時七分四秒。
 場所は仁徳島北仁徳市第一北地区。天文塔最上階。
 ガン造は観察日記を記す。それは観測が終わり、お日様が出始めた頃に一旦目覚めて室内でそれを紙の冊子の一枚一枚に記してゆく。何の為か? 何れ降り注ぐ一の月より前に新天神武に移住し、真古式神武の終焉を知らせる為。彼も又、優央と同じく日記を記してゆく。ガン造の願いは叶わないのか? それはない。だが、それを紹介する前にガン造が何を記すのかを一部抜粋するとしよう。
『--雪が降り出す冬の到来。まだ秋最後の月のはずが仁徳島ではそうもいかずに雪が
降り始めた。決して銀河連合のせいではない。ちょうど海洋藤原に近い島だからか。
正直、地学地理の成績が良くない僕があれこれどれそれ語っても仕方ない。
 さて、銀河連合と思われる歪みは徐々に近付く。最初こそそれほど進んでないように
見えてもそれは木の成長と同じく一の時や一の日観察しただけではわからない程の
速度。だが、月の単位ならどうか。するとそれは顕著に表れた。その歪みは既に
冥の惑星の軌道を越えて海の惑星の軌道に到達。この勢いだとあと一の月で到達しそう
だが、問題は木の惑星の軌道だろう。あちらはスサノヲ太陽系でお日様に次いで重い
宙域。
 何、落下物は重さに関係なく同じ速度で落下するだって? まあそうだろうけど、光の
進行を考えれば重たいモノ程、光は目的地に到達するのが遅くなる。それを踏まえれば
あの歪みの一団は一旦、土、転、海の軌道よりも重い軌道に差し掛かると一旦減速する。
原則と言ってもあくまで一時的であり、それを踏まえると後二の月かな?
 あんまりわからない話だからな。けれどもこれだけは確かだよ。光の速さは物体の速さ
に比例して速く成ったり遅く成ったりはせずに一定なんだ。では話の続きをしよう。
 先ずは--』

 九月八十四日午後十一時四十三分十五秒。
 場所は仁徳島北仁徳市第一北地区。天文塔最上階。
 ガン造にとってこれが最後の観測。己の計算が正しいかどうかを確かめる。すると次のような独り言が呟かれる。
「チョウド木の惑星軌道を越えたばかりカ。随分と太ってるからな……だからカ。イヨいよ僕は行かないト。ソシテ、コノ日記帳は必ず新天神武に住む全ての生命に届けないト!」
 ガン造はその後、名を馳せる。理由は日記が爆発的に売れたからではない。彼が後に政治の道に目覚め、ある生命と共に新天神武を変革したが為に!

『--一旦休憩を摂ろう。それがあの子を支えると思われる臥間ガン造の小話さ。
 それじゃあ続きを記そう。それは--』

 十月一日午前三時一分十一秒。
 場所は真古式神武首都六影府中央地区神武聖堂。天同優央の間にて。
 優央は早く目覚め、齢十三にして四の月と二十六日目に成る躯伝を起こした。
「何だよ、親父?」
「行くぞ、母さんの所へ」
「早いだろう、今からお袋の所に向かうのは?」
 史烈とは別々の場所で暮らす優央躯伝親子。入院する二の週より前に既に史烈は血の唾を吐くようになり、余命幾何もない模様。その為、優央は愛する彼女の為に予言の日が訪れるまで入院するよう訴え、初めて根尽きた史烈はそれを受け入れた。
 さて、優央と躯伝はそれぞれの付き者と共に行動する。優央にはマンメリーが、躯伝には齢十二にして四の月と十六日目に成るルギアスカンガルー族の少女にしてマンメリーの第二子であるメランコリーナ・レヴィルビーが付き者として行動を共にする。
 そして支度から十八の分より後……病院に到着。四名は彼女が眠ると思われる二階一番奥の病室を進む。すると突然、優央は左胸を抑える。
「大丈夫か、親父!」
「ハアハアハアハア、全く」
「無理ヲ為サラズニ……薬を」
 遠慮しとくさ--と優央は我慢する事を伝える。
(間隔が短いな、せめて最後の日までは……ン? 今は何時頃だ? もしや今日がその日? だとしたら夢の中に出て来たあの巨大な赤黒きモノ……せめて史烈だけでも病室から出さなければ!)
 焦りが優央に襲い掛かる。あの夢がもしも本当だとしたら一刻も早く大切な者達だけでも……「少シ足ヲ止めましょう、優央様」長年の勘で優央を落ち着かせる一言を伝えるマンメリー。
「……やはりお前は親友だ、マンメリー」
「お互いもう死ンデモ悔いはない」
 いや、死ヌノハ良くないよ--普段は無言のメランコリーナは初めて喋る。
「メラン……喋ったな」
「良イジャナイカ。だけど、全クモット早ク子供ヲ作っていたらなあ」
「お互い様さ。だが、僕はここで運命を共にする気はない」
「まさか優央様ハ--」
 勿論、お前達もそして史烈も同じだ--と優央は覚悟を決めたかのように真面目な表情で三名を見つめる。
(絶対に死なせてやる物か……この胸の痛みは物理的な物ではない。今まで死んでいった親しみのある生命の命を代償にしたんだ。僕はその生命に本当の償いを果たすまで死ぬ訳にはゆかない。悲しい事も楽しい事もそして嬉しい事も喜ばしい事も全ては僕と共にある。僕は……必ず生きてやる!
 優央の迷いの衣は……この時点で振り払う寸前まで来ていた!
「行キマショウ、優央様」
「史烈様ハ多分、待ッテオラレマス」
「メランの言う通り、お袋はきっと起きてるよ!」
 扉の前に立つ優央達。そして、優央は一回だけ深呼吸をした後、取っ手を回す!
『--済まない。またしても発作が僕を襲い掛かってな。このように発作はこの後も
場面々々で登場する。扉の先で待つ物は--』

 午前四時五分零秒。
 場所は重要患者用病室。かつて優央が眠っていたという清潔が行き届く病室。
「やあ、やっぱり来たのね」
 彼女はこの日の為にわざわざ窓を覆う暖簾を開けてお日様が照らせるようにした。その眩しさはまるで彼女の心その物を映し出すかのように!
(僕は既に涙を流す寸前だった。その眩しさは強がりな史烈が自分を美しくする物だとばかり思っていた。でも違った……雌心を少しでも踏まえればそれは大きな筋の違いだ。正しくは自らの死相を隠す為だった!
 史烈……そこまでして僕に死の警鐘を知らせようとさせないのか!)

一兆年の夜 第七十三話 優央の記憶 悲劇の再現(七)

 午前三時十九分零秒。
 場所は優央の間にて。
 優央は合計三枚立てで一面だけの手紙を全て読破。そこにはキンデヅの言いたかった事を簡潔に表したキンヅロウの努力の賜物も感じ取る優央。一緒に読んだ史烈もその努力には大変感謝をする。さて、内容は何なのか? それを優央は次のように心の中で示す。
(キンヅロウに依るとキンデヅは意識を失い、二の時より後に臨終を迎える前に色々な事を語ったそうだ。それは序破急で纏められる。一つ一つを題名に表すなら序論は第一子キンヅオウが一の年より前に幸せなく死んでしまった事への親の苦悩。破論は苦悩で苛まれる中で見出した閃き。急論が苦悩の先に見出した新発見。
 序論の場合はキンヅオウの死に依って最早ICイマジナリーセンチュリーとかACアウターセンチュリーへの思いなど関係なしに酒浸りの日毎を送るように成ったキンデヅ。第二子であるキンヅロウの苦い労いは中々に想像が付かないだろう。かつてのマンメリーのように父の甲斐性なき姿に四の年もそんな彼を支えるメランコリーナのように。メランコリーナはまだ何も知らない女児故にそこまでの衝撃を受けなかったが、キンヅロウにとっては大きな衝撃を受けるしかない。たったの一の年でもどれだけ苦い労いをしたのか想像に筆舌尽くし難いな。羨ましいな、そうゆう気持ちは。僕は良心こそなく成るのは早いけど、まだ幼い事もあって叔父さんのお蔭で何とか成った。そうして苦労するキンヅロウが羨ましい。
 そんなキンヅロウの労いに依ってある閃きをするキンデヅ。それは死の寸前に知ったのか或は関係なしにふとした事で閃いたのかわからない。キンデヅは突然、ずっと悲しんでいたのは親より先に死んだキンヅオウを悔やんで、ではなくキンヅオウの死を糧にして前進する為の閃きが浮かばなかったせいだと言い始めた。これにはキンヅロウも怒鳴り散らした。それは最後の親子喧嘩と成り、近所迷惑へと発展したのは語るまでもない。さて、そんな親子喧嘩も元々学者一家の喧嘩なのだから仲介しようとする者達もどうやって割り込めば良いのかわからない。何よりも喧嘩の内容が既に自分達の脳内だからこそ理解できる専門用語の羅列で満たされる。傍からすればまるで異なる世界の住者よ。と最近は恥ずかしい言い回しを覚えるように成ったか。そうゆうのは余り好きじゃないな。兎に角、その中でキンデヅはICイマジナリーセンチュリーの行き着く先を見出した。それが……だ。
 あれ? 何故僕はちゃんと心の中でその単語を出したのに言った覚えがなく成った? まさか……いや、今は序破急の急の方を説明しよう。急加速するようにキンデヅは様々に語り出す。そこにはICイマジナリーセンチュリーの計算が変わる時期も設定。それは三段階に分かれ、一段階目がICイマジナリーセンチュリー八百年から。それまでは太陽暦にして四掛けて閏日一回を足した方式。それ以降からICイマジナリーセンチュリー七十五万三千百四十二年から。それまでは計算方法は次の通り。先ず太陽暦は三百六十五。閏日は敢えて除外しよう。そこから十二掛けたら四千三百八十。太陰暦は三百五十四だが、そこに一の日を足して三百五十五にする。これは閏月を除外して太陽暦の計算と同様に十二掛けたら四千二百六十。差分は先程計算した太陽暦の答えから太陰暦の答えを引けば百二十。更に太陽暦で十二の年中閏日は三回なので三の日を足すと百二十三と成る。そこからさっきの太陰暦の答えに足せば合計四千三百八十三の日と成る。つまりICイマジナリーセンチュリー一年は太陰暦計算で十二の年を経る事に成る。中々複雑に成るなあ。それから最後の段階はICイマジナリーセンチュリー九十八億七千六百五十四万三千二百十年から。それまでは……余白がなかったみたいだな、そこからは。フウ、頭の痛くなる話だよ。
 つまり、キンデヅが主張したいのはその先以降は最早未知数であり、キンデヅもそれを閃いた為に余生を懸けてたった一名の息子キンヅロウに伝えたかったんだろうな。でも心意を語る前に彼は想念の海に旅立った。何とも悲しい話だな)
 生命体の寿命は長くて八十歳も生きられるか如何か。己は既に胸の病を患い、仙者としては短い寿命と成る。薬を服用する事で長く生きられるだろう。しかし、何時までも薬に頼れる日々は限りない。優央は左手で心臓のある個所に手をやる。その行動に……「優央、胸が痛むの?」と気遣う史烈。
「いや、大丈夫だ。胸の痛みは十の日に一回かそんくらいだよ」
「そう、じゃあ出来る限りは服用しないとね」
 そうだな--優央は笑顔でそう答える。
「キンデヅも死ぬの。生命の寿命は何と短いのでしょう」
「だからこそ長生きは良い物じゃない。短い時間しか生きられない生命にとってはそれこそ密度の低い話だと僕は思うよ」
「それは異なるわ、優央」
「如何してだ、史烈?」
「長生きってのはその分だけ楽しみを享受出来る素晴らしい事なのよ。長生きってのは半ばにしてこの世を去った生命の為に背負い、そして彼らの為に楽しみを享受するの。そこには生命の賛歌があるわ!」
 生命の賛歌か……君らしいな--四十四という何時旅立つかわからない年齢でありながらも、そして老いによりかつての美貌もまま成らない状態であっても生命の核心を忘れない史烈に優央は畏敬の念を覚える!
「ゲホゴホ……ハアハア、まだ血液の唾は出ないわね。父と同じく僕も長生きなのかも」
「無理するな、史烈。君は、君は!」
 何時か別れの日が訪れる。その重く圧し掛かるモノに心が裂けそうな優央は彼女の身体を強く抱きしめる!
(新古式神武が最後を迎えるまで君は……君は躯伝にとって強い母親であってくれ!
 そして僕にとっては何時までも見本と成る雌であってくれ!)
『--真古式神武は彼女の命と同じく予言の年を迎えるまでずっと悲観論者達にはその前
に喰われると信じられてきた。僕も実際にそう考えた。日に日に減る一方の軍者の数。
連戦連勝を続ける銀河連合。勝てなくとも維持出来る方法でしか抵抗出来ない弱り切った
真古式神武軍。寸前で訪れる新天神武からの借款。これらで何とか僕達は残りの国民の
移住を進めて来た。時には弱い腰を批判する歴戦の勇士ヤマビコノシレンデン。時には
そんな責任感のない発言に怒りをぶつける一場雄三。二名の対立は正に真古式神武が
徐々に終焉へと向かいつつあるようだ。
 とうとう我慢の限界を超えた雄三は晩節を名誉無きに飾る事を覚悟で戦う士族以外の
高級官僚を含めて移住を決意。それに判を押すのは僕。最早真古式神武は国民が住める
地ではない。今更終焉を迎えるこの愛する土地に如何して余生を懸けるのか?
 そうか、そうだな。じゃあ如何して僕はこうして愛する土地を離れる? いけない
な、最近は発作が激しい。いよいよ予言の日が近付くじゃないか。僕は何を記せば良い
のか?
 そうだ、あれは--』

 九月七日午前八時零分三秒。
 場所はタイガーフェスティ道。
 そこはもう古都タイガーフェスティではない。真古式神武と新天神武を繋ぐ道として一の年より前に開通。未だ臭いこそ気に成るが、関所として十二分に発揮される。
 そこで齢四十三にして四の月と九日目に成る優央は半の年より前に生やした髭を自慢しながら齢四十四にして三の月と十八日目に成るマンメリーに雄三について語り合う。
「雄三はそこで息を引き取った」
「全くアイツメ。喧嘩するだけして最後は新天神武の地で想念の海に旅立つ真似を……ところで?」
「オイ、雄三の話はまだ続いてるだろうが」
「いえ、ソノ髭……やっぱり優央様ニハ似合いませんね」
 傷付くな--首都に戻った優央はキュー軽に頼んで髭を剃ったとの事。
「話デシタネ。あんだけ喧嘩したシレンデンは未ダ衰エヲ知りませんね。片や我慢成ラズニ移住シタ雄三。片ヤ居残るシレンデン……何ダカ平等ジャありませんな」
「でも雄三の最後の言葉を忘れない」
「何か言イマシタ……アア、あれですね」
 雄三が別れ際に優央達に放った一言、それは--再三に亘って俺は言ったじゃありませんか。いい加減、一名当たりの保障を削ってくれと。国をここまでさせたのは正に清み良い場所にしようと試みた数々の保障。その結果、軍に回す事も財政政策に回すお金も全てが十分じゃない。新天神武にとってはこれ程参考に成る国が真古式神武でしょうね。ではさよなら。そこで運命を共にするのも構いません……けれども俺はそんなの生きた内に入らないと考えますがね--と。
「恐カッタンダロウナ、ずっと。文官として頭角を上げて来タダケニズット内部カラ喰ライニ掛カル銀河連合を恐れたんでしょうね」
「それでも羨ましいな。あいつにもああして決断する勇気があるんだから」
 優央様……ソロソロ自信ヲ付けて下さい--未だ己に自信を持てない優央に再三に亘ってそう進言するマンメリー。
(僕に力があれば……僕にもっと頭脳があれば。真古式神武をこんな風にしなかった!)
 運命の年まで後一の年……優央はまだ迷いの森で彷徨う!
『--悲劇の再現か。それは次の話にて訪れる。そこから先は暫く日記は躍動的に描く。
止めて感じた思いを述べるとしたら胸の発作が原因だろう。最近は胸の発作が激しく、
しかも間隔が短い。昔だったら先程述べたように十の日に一回の間隔だったのに今の場面
の年だと一の週に一回。こうして書いてる時は何と一の時に一回。しかも痛みが続く時間
は昔だと二の分で済んだ。二の分も十分痛いがこの場面の年では三の分程。そして、
今じゃあ十の分も続く。薬に手を出しかねない程の痛みで死んで楽に成りたいと
何千回以上思ったか。それくらいにこの胸の激痛は生きる事の苦しみを表現してくれる。
 おっとどんな話が待つのか? 別にお涙頂戴という話など僕に描くのは止めといた方が
良い。そうゆうのは好きじゃない。僕が描くのは淡々とした物。例えるなら
 ではそれを筆にせるし記記そうか--』

一兆年の夜 第七十三話 優央の記憶 悲劇の再現(六)

 午前十一時一分零秒。
 場所は六影病院二階天同優央の病室。
 そこでマンメリーは己の代わりにおよそ四の年も掛けて優央の付き者を務めたサーバ十二世が銀河連合に成った事を受けて自ら覚悟を決め、今まで後ろ向きだった己との決別を……そしておよそ四の年も自らの使命を放り投げた罪を償う為にマンメリーはカンガルー拳法鶴翼の構えで挑む。
(あれは……鶴翼!
 まさかマンメリーは死ぬ気か!)
 優央は今にでもマンメリーの為に肉体を動かそうとする。けれども、一の月も寝込んだ肉体は未だ痺れの海に沈む。そこから這い上がって来るには時間が足りない。優央は体を動かせない己を悔いる。
(どうやっても間に合わない。全然言う事を聞いちゃくれない。どうしてなんだ、僕の身体!)
 鶴翼の構えを始めてから四十の秒より後……液状サーバル型は液状カンガルー型に変化。それは事もあろうに前羽の構えでマンメリーの防ぎ御する事を捨てた鶴翼の構えを迎え撃つ事を示唆。マンメリーは額から汗を流す。何故か? それは次のように彼の口から語られる。
「酒に溺レテバッカダカラ修行ヲ怠ったツケか。俺がもう少し悲シミカラ払拭出来タラコンナ事に、こんな事ニ!」
 どれだけ修行休みしようとも過剰な休みは却って技の練度を落とす。マンメリーは自らの肉体が引退して十の年も半端な修練だけに留まる生命と同じくらい衰えてる事に悔しい想いをする。そして、自らの力だけでは相打つ事も叶わないと考えるように成る。改めて修練とは絶えず沸騰し続ける為の火である事を理解……ならば最大火力で湯を全て気化させる事を決意--要するに構えを解き、最も善なる足段を以って相打つ事に懸けた!
「有難ウ、優央様。そしてお別レデス」
「ま、待て。待ってくれえええ--」
 ウオオオオオオ、死ナバアアア--マンメリーは右足を先に踏んで加速……窓目掛けて液状カンガルー型と一緒に落ちようと踏む!
 ところが……「ウグウう、蹴リダト!」カンガルー拳法にはない後ろ足業である後ろ左足前蹴りがマンメリーの腹部に直撃--扉の奥まで吹っ飛ばされた!
「畜生……修練ヲ怠ッタ生命じゃあここまでか!」立ち上がる事も叶わないマンメリー。「ゲホゴホ……何て蹴リダ。的確に内臓ニ打撃跡ヲ残した、ぞ」
「こう成ったら僕が--」
 その時、液状カンガルー型の首にしっかり絞められた--何と躯伝が小さな両腕を回して頸動脈が絞まるようにしてるではないか!
「ク、躯伝?」
「躯伝ちゃんが……それよりも!」
 ぜったいにたおす、ぜったいにたおす、ぜったいに--念仏の如くそう呟く躯伝の両眼は青く輝く!
「まさか躯伝様ハ……デモ!」
 ウワアア--マンメリーの言う通り、小さい体では余りにも液状カンガルー型の動きを止めるに至らず、それは急遽液状サーバル型に戻り、躯伝をマンメリーの所まで吹っ飛ばした!
「ウグ……躯伝様」
「イデイ、僕、じゃあ、いけないの?」
「ぼ、僕達の方に振り向いた!」
「優央をやらせは--」
 その時、四名の耳に声が響く!
 --イマ、ジブンガ、オサエ、マシタ--
 サーバの声だ。その声の通りに液状サーバル型の動きは震えるような機動をする。まるで一回の動作に十回以上も一時停止するかのように。そして、液状サーバル型の向かう先は--
 --デハ、オサキニ、ソウ、ネ、ン、ノ、ウ、ィ、ィ、ェ、ァ、ゥ--
 声が届かなくなった時、液状サーバル型の力は一気に解放--余りに勢いに窓を突き破り、一階外に植えてあった花壇へと向かってゆき、何とおでこを煉瓦の角にぶつけて……大量の血を噴き出しながら息絶える!
 肉体が動き始めたマンメリーは優央を抱えながら液状サーバル型が落ちた場所を覗く。そして次のように叫ぶ!
 お前は最高に格好良カッタゾオオオオオウ--と!
『--サーバ十二世が全精力を挙げて銀河連合を動かさなければ僕はこうして日記を
記す事もなかっただろう。彼のお蔭でこうして、こうして。済まないな、胸の発作を
訴えた。医者から貰い受けた薬を服用する事で抑えてはいるが、日に日にその発作は
強まるばかり。何れ、この日記全て書き終えたら薬の服用を止めてこの痛みを受け
入れねば成らない。これ以上、苦しんでまで生き抜くのは難しい。死ぬ間際に体調が良く
なる頃合を図るのも良いが、その見極めを僕自身で計算するのは無理だ。決めるのは
体全体だろうな。
 さて、退院は目覚めてから犯の年より後に成った。どうにも再適化まで時間を要する。
事実、歩くまで二の日も掛かった。更には走り出す走るまで一の週も掛かった。本格的な
徒歩まで二の週、本格的な走行まで一の月も。それから休み過ぎた肉体を従来の状態に
戻すまで三の月より後、そして退院とはもうこれ以上最適化の必要がないと秒者を一の秒
より長く留めたい碌でもない医者が居ない全生命体だからこそ可能にした。まあそんな
医者はこの世に存在しないだろうな。書く記すべきではないが、銀河連合はそうゆう医者
だろうな。一応、痛み止め薬を大量に渡されたな。
 退院の後は何時も以上に痛み止め薬を一の日の朝昼夕に何錠服用するかを考えながら
僕は退院の後も神経を擦り減らしたな。全くそこまでして僕の再入院を心待ちにするのか、
当時の院長は。これには僕も困ったな。
 そして退院の後は如何したかって? 退院の後は何時も以上に健康を気遣い、そして
新古式神武の為に尽力。それから入院から四の年より後--』

 ICイマジナリーセンチュリー二百十五年六月十日午前三時十二分三十七秒。

 場所は真古式神武首都六影府中央地区神武聖堂天同優央の間。
 そこへ齢二十一にして二十一日目に成るアリスト鳩族の少年が齢十八にして二日目に成るアデス九官族の少年にして係りの者である臨兵キューかるに先導される間に羽提げ鞄から一枚を取り出してそれを渡す。何故そうしたか、理由は次の通り。
「実はまだ仕事がありますのーで」
「ナントセキニンカンヲオシツケテ!」
「最近は新天神武も発展してて忙しいんだーよ」
 彼は新天神武にある配達本部に配属。今日も忙しく手紙を渡し続ける。因みに名前は鳩山ポっしょう
 そんな手紙を一方的に任されたキュー草の遠い従弟であるキュー軽は齢四十二にして四の月と九日目に成る優央と齢四十四にして三の月と十八日目に成る史烈と齢十一にして一の月と一日目に成る躯伝を起こすよう呼び掛ける。
「ふわああ、お早う。豪く早過ぎる用事だね、キュー軽」
「ハイ、ヤサオウサマ。ジツハ」キュー軽は静かに戸を開けて更には両手羽先を延ばして渡された手紙を差し出す。「キンデヅ・キシェールノダイニシアテノテガミデス」
「ふうああああ、お早う……躯伝を起こさないでくれる?」
「如何したんだ、親父やお袋まで起きたてなのに表情が険しいのは--」
 寝て為さい--と史烈は躯伝の頭頂部を右拳で強く叩いて寝かせた!
「オイオイ、そんな寝かせ方じゃあ却って頭の良くない生命に成るぞ」
「大丈夫だって、躯伝はそんな軟な生命じゃないから」
 全くもう--呆れて何も言えない優央は渡された手紙に体ごと近付き、利き手でそれを手にする。
 それから彼はキュー軽からの気遣いを遠慮して自ら封を開け、それを読んだ。すると--
「やっぱり……宛先が変な記し方をしてるから良くない事を考えたけど……キンデヅは想念の海に旅立ったか」
『--実はその手紙には続きがある。第二子キンヅロウは父キンデヅがとんでもない
銀河連合に関する発見をした事まで記した。そこにはキンデヅ自身がもっと語りたかった事
まで記したかったが、念を残すようだがそれは永遠に叶わない。
 その代わり--』

一兆年の夜 第七十三話 優央の記憶 悲劇の再現(五)

 六月十日午前七時四十八分十一秒。
 場所は真古式神武首都六影中央地区。
 その中で真ん中に三番目に大きな建物。そこは六影総合病院と呼ばれる施設。水の惑星で初めてと成る病院。全長成人体型は縦に五十、横幅三十、高さ二十にも成る。初めてである為に施設としては他に比べてやや小さい。だが、通常の診察所に比べて遥かに大きい為に要職に就く者を入院させるのに問題はない。
 その病院と呼ばれた建物の二階で最も広く、そして一番奥の病室に優央は入れられる。遠すぎる過去もそうだが、より清潔感を出す為に日毎に掃除を欠かせない。故にこの病室は病院の中で最も清潔に整えられる。
 その四脚でしかも寒くなる時期に備えて三枚もの白い布団で敷き詰められた寝台。そこで優央は眠る。彼は一の月も眠り続ける。それからやっと目が覚めた時、彼は何を思うのか?
(何だ? ここは何処だ? さっきまで桃色の空間にて遥か明日まで跳んで行った気がする。それは躯伝の輝かしくも険しい明日も描かれ、更には躯伝が興した……あれ?)
 目覚め始めると一の月もの間見続けた未来は徐々に記憶から消えてゆき、残るのは--ここは何処なのか--それに尽きる。
「ようやく目が覚めたね、優央」彼を見つめるのは齢四十にして三の月と十八日目に成る史烈と齢七にして一の月と一日目に成る躯伝。「良かったわ……このまま一生寝台で過ごすんかと思ったわ!」
「よかった、親父」躯伝は優央に抱き付く。「いちじはどうなるかと思った」
「イデデ……それに手足が、痺れ、いや、上手く」一の月もずっと寝台でしかも分厚い毛布を三枚も被せられているのだから全身に血液と電気信号を流すのは容易じゃない。「いけない、このまま、動かない、方、が、良いかな、あ?」
「そーその方が良いでしょうバアル」サーバ十二世は助言をした後、こう挨拶する。「おーお早う御座いますバアル、やー優央様バアアル」
「あ、史烈に躯伝にそれからサーバ十二世か……それよりも状況は如何成ってる?」
「ぜー全国民の約一割はもう新天神武への移住は完了しましたバアル。そーそれと内部の銀河連合の巣とやらをほぼ全て特定する事に成功しましたバアル。こーこれで来る年までには国内に潜伏する銀河連合の掃討は完了するでしょうバアル」
 それを聞いて素直に笑みを浮かべないのが優央。それは次の通り。
(国内をここまで荒らされたんだから既に奴らの戦略はほぼ達成した。後六の年も猶予があるというのに……このままじゃあ国を維持出来ない。これだけやられて更なる対策が採れるのは叔父さんだけ……いや、おじさんにばっかり考えても意味がないな)
 ふう--優央は一旦溜息を吐く。
「どー如何かされましたかバアル?」
「サーバ十二世……多分、優央は考えてるの」
「え、そうなの?」
「あ、サーバ十二世……躯伝と一緒に遊んで来て?」
「えええ、親父は?」
 良いからさっさと遊んで来なさいって--史烈は躯伝をサーバの背中に放り投げると目で合図を送る--二名だけで話したいから--と!
 サーバも史烈の言葉にこう--わかりました。では躯伝様にイロハを教えて来ますので--と返事をして躯伝を背負って病室から急いで去った!
「さて……僕もわかるわ。既に銀河連合に依る布石は完了するのは」
「だよね。銀河連合に依る予言の日より先に攻め込む手筈ってのは……大間違いね」
「如何してだ、史烈?」
「そもそも銀河連合はこの国を喰らう為なら徹底的にやるのよ。その為の残り六の年と今まで繰り出して来た戦略。予言の日が来る前に喰らうならそれで良い。もしも僕達はその年まで生き延びたら今までの布石を併せて一名残らず腹の中に収めに掛かる……それだけだから」
「相変わらずのキレだな、史烈。そう言えば何十の年より前かな?」
 ちょうど二十の年より前の話よ、優央--と史烈は突然、ICイマジナリーセンチュリーにして五年前に展開した反論を語り出した。
 その反論は史烈の遅い朝食の時でも食べ物一つで止まるような事はなく、寧ろ食べ終わってから更に加速。実に三の時と十一の分も掛けて展開。そう、ICイマジナリーセンチュリーにして五年前に展開した反論に肉付けをし、より広大にして確固たる思想へと強調された。
 中身は次の通り。
(史烈は今でも変わらない。彼女は進化主義の名の下に懐古主義及び原点主義に真っ向からぶつかる。彼女は何を思ってそこまで生命の可能性を信じるのか? 彼女はどうしてそこまで明日にそこまでの可能性を信じるのか? 彼女は従来通りからの脱却を図ろうとしてる。キンデヅが前にICイマジナリーセンチュリーの脱却を図る為にACアウターセンチュリー)を作ったように彼女も又、従来では遠回りな事を危惧して生命の次なる段階を起こして可能性の翼を広げようと試みる。しかもその思想は決して机上の空論ではない。
 彼女自身は先に伝統主義に基づく僕達万世一系に依る男系継続の先にある一段階上の天同について既に歴史の表舞台に出てると主張。その証拠に彼女は真古式神武初代象徴である天同十五と彼の十四名の姉と彼の子供達は皆、仙者ではないのに仙者並みに寿命が延びた事を指摘。彼らは史烈からすればその前段階であり、やがて男系を維持し続ければ何れは新仙者が産まれる事を主張。それは何時に成るのかを彼女は示さない。けれどももしかすると出現してるかも知れないと彼女は主張するが……次行くか。
 次は彼女自身が信じて已まない進化主義。それは万世一系という名の男系維持を経ずに突然変異で一段階上へと至った革仙者の事を表す。この存在は決して天道の生命と交わり、産まれて来る子供達に限らない。熾烈な銀河連合との戦いで適応化し続け、やがて自力で仙者化し、しかも従来の仙者よりも高い能力を有した生命の事を指す。それは人族以外でも可能であり、その芽は徐々に出始めると史烈は主張。
 そして革仙者新仙者よりも高い能力を有し、たった一名だけで指揮官型数体が相手でも戦いに成らない程……と。全く史烈はさっきまで納得のゆく論理展開だったのに肝心の最後だけは夢物語だよな)
「--フウウウ、少し水を……あ、空っぽ」
「そろそろサーバが帰って来る頃だ」
 なー何か呼びましたかバアル--遊び疲れて居眠りする躯伝を背中に抱えてサーバは病室に入った。
「有難う、サーバ」優央はようやく上体を起こせるまで回復。「躯伝も満足してる顔だよ」
「はーハハハ、あー有難き幸せですバアル。まーマンメリーさんがあのような状態になりバアル、かー代わりに優央様の月ものと成っては矢四の年が過ぎようとしておりますバアル。じー自分は」サーバは突然、自分語りを始める。「じー自分は産まれた時に親の顔も知らずに各地を転々として生きて来ましたバアル」
「そうだな。それを拾ったのが僕とマンメリーだ。だからこそお前は--」
「はーはい、だーだからこそ」突然、優央の両手に躯伝を転がすサーバ。「だーだからこそ自分はマンメリーさんの為にも、マンメリーさんの為にも、マン、マン、メリーさ、ン--」
 ど、如何したの……サーバ十二世--席から立ち上がる史烈。
「ウグむぐむ、ぐ、ふ、うう、あ、あ、お、おに、逃げええええバアアアアアアル--」
 ど、如何シタンダアアア--病室に駆け込む者は優央にとって忘れられない雄!
『--四の年ぶりにあいつとの再会は僕達にとってはそれまで世話に成った物とのお別れ
も兼ねてで、あった。サーバは気が付かぬ内に銀河連合に依って体を乗っ取られていた
なんて。どうして僕は気付けなかった。気付いていたら、気付いていたら--』
「サ、サーバ?」
「優央に躯伝んんん!」史烈は咄嗟に寝台の裏側で液状サーバル型の攻撃を受け止める。「クウ、貫通は、少し、だったね」
 --イマ、スグ、ニ、デ、モ、ジ、ブ、ン、ノイノ、チ、デ--
「サーバガ……サーバヲ返セエエエエ!」齢三十九にして三の月と十八日目に成るマンメリーは液状サーバル型の懐まで踏み込む。「それはあいつの身体ダア、銀河連合ウウウウ!」
プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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