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一兆年の夜 第七十一話 優央の記憶 躯央からの提示(四)

 五月四十七日午前九時零分十一秒。
 場所は真古式神武東藤原海洋。
 五隻の船が扇の陣形にて大陸藤原へと進む。船の動力は水車。機動力は従来の水車型船よりも高い。軽量化も進み、従来に比べて目的地に辿り着く時間は二割も速くなる。
(問題があるとするならこの水車型船は少しでも歯車の調子が狂うと瞬く間に速度が大きく落ちて運航再開まで最短でも一の日も要するとの話だ。実際に僕とマンメリーは体感したからな。監視員が二名以上ならば一名が少し目を離しても他の監視員がその代わりを似合う或は注意する事が出来る。でも一名だけだと最早無理がある。そう、僕達が四の年より前に雄略大陸まで渡った時の船は要員が足らない事もあってその一名が銀河連合の襲来で死亡した時は大変だった。何よりも誰も監視員が居ないから少しの不調も気付かずに航行してしまい、大きく速度が落ちた。調べてみるとそこには空回りをし続ける第三水車と何時まで経っても回らない後続の水車達……そこで船を止め、修理する羽目に陥った。修理の時間は予想以上に長く、何と三の日と四の時と十九の分も掛けたな。それまでどうゆう風に暇を持て余したのかわからない程に)
「昔の大事態を思い出したのか?」マンメリーと二名で甲板にて第三帆を眺める優央の前に齢三十六にして五の月と二十一日目に成る神武人族の老年(まだ三十六以降の生命はそう呼称する)天同躯央が立つ。「全く僕は今でも船に乗るのは慣れない」
「ずっと伯母さんや父さん、それに母さんが乗り続けてたんだよね」
「まあそうだな。姉さん、兄さん、それに優希さんが前線を駆けて行ったな……気が付けば僕は三名よりも十六も年上に成ってしまった」
「叔父さん」
「世の中ナンテソンナ物ですよ、躯央様」
「そうだろうか? 僕はそうは思わない。姉さんや兄さんはずっと僕よりも年上であるべきだった。ずっと僕よりも年長者であるべきだった。だが、年長者に成ったのは僕なのか。だとすれば長生きとは果たして良い事なのだろうか?」
「叔父さん……余り深く考えないでくれ」
「優央様ノ言ウ通リです、躯央様。深く考エレバ待つのは--」
「既に自らの運命を受け入れる心構えははっきりする。だが、全生命体の希望に成らずにこの一生を尽くすのは姉さんや兄さん、それに優希さんに対してどう申し訳が付くか!」
「叔父さん、それでも当時父さんと一緒に藤原大陸を遠征した者達は誰もが父さんを生かそうと助言し続けたんですよ。僕が父さんの付き者だったら真っ先に父さんを生かそうと--」
「言いたい事は十分わかる。お前は僕を生かそうとしてる事は既に存知てある……が、優央」躯央は優央が忘れられるようにこんな事を口にした。「晩御飯は何にしよう?」
「え、いきなり何を言い出すんだ?」
「これは僕にとって今の頭脳を左右する問題であろう。晩御飯一つで調子は変化し、巧みな発想が思い付かない。それくらいに大問題なのだよ」
「別に気にする事では--」
「優央、生命にとって大事なのは何だ?」
「それはみんなの希望に成る為の力--」
 いや、食事だ……食事の前に万物は平等--と躯央は当たり前にして不変の正論を述べる。
「確かに虫が鳴き出すと自然に僕達は食べ物を求めますね」
「そう、銀河連合だってお腹は空く。それと同時に我々生命だってお腹は空く。お腹が空けばどんなに高邁な知識を並べようとも最後に必ず食事の話が頭に浮かび、今までの知識は隅に置かれるのだよ。だからこそ晩御飯は何なのかを知らないと今みたいに頭脳が働かない。食事で美味いと思ったらそこに感動が浮かぶ。食事の素晴らしさ。神様から戴いた物は何よりも有難い。何よりも尊いからこそ全生命は食事の前に神様に向かって--戴きます--と手を足を翼を合わせるのだ。そして食事が終わったら必ず神様に向かって--ご馳走様--と簡単且つ素晴らしい御礼を述べるのだよ。それがこの世に生を受けた僕達全生命体の務めだよ」
「躯央様……久方振リニ話ガ長いです」
 そうだよ……もっと短く纏めてくれよ--と躯央元来の話の長さに辟易する優央。
「そうだったな。姉さんや兄さん達にもそんな事を注意されたな……まあこの作戦が無事成功した後に直す練習でもしてやるから気長に待とうか」
『--確か死ぬ間際に生命は元気を取り戻すと聞いた事がある。それと同じように突然、
始めなかった事を始め出すのも死の前兆と死生観を研究する学者でアリスト闘牛族の
石塚バッファ五郎は言ってたな。
 彼に依るとそれは死に際に神様が最後の機会を与えると一般論化されてるみたいだけど
そうではない。本来、緩やかに死のうとしていた生命が己の意思とは関係なしにいきなり
ある時期に死ぬ事を決める。余命が決まるとそれまでに生きる為に蓄えられた気力は
一気に解放される。全てはその日に向かって。すると如何成るか。それまで無理だった
回復がここに来て加速する。記憶力が徐々に失われた生命は死の寸前であらゆる事を
思い出すのもその為。身体機能が回復し、今まで飛べなかった生命は徐々に飛び出す。
だが、余りにも気力を使う為に余命が来ると一気に萎み出して一生を終える。何とも
悲しい話じゃないか。
 それと同じように戦場で死ぬ事を知る生命はその直前で今までやらなかった事を口に
し始める。寡黙な者は急に饒舌と成り、更には呑気な者は旧に真面目な話をする。
それと同じように叔父さんは死ぬ一の週より前に急に自らの良くない点を直すと宣言し
出す。しかも全ての仕事が終わった後と決め出したらそれは危うい状態だ。僕
じゃなくても察知するのは容易。実際にマンメリー以外のある生命はそれを隠し聞き
する。
 その軍者は--』

 午後十一時二十三分十四秒。
 場所は機関準備室。
 その中で優央は齢二十九にして三日目に成るルケラオス蜊蛄ざりがに族の青年ザッセン・ガニーダは相談を持ち掛ける。
「--やはり聞かれたんだね」
「ああざ、あんなことをん口にりしていたらざ誰だってに躯央様はざ生き急いでるってに思うぜに」
「それで僕に叔父さんを救うよう嘆願する訳か」
「いやざ、優央様でにはざ躯央様をん助ける事はざ出来ないり」何気に傷付く一言の後、ザッセンは次のような一言も忘れない。「けれどもん優央様はざ天同家をん受け継ぐが御方なのでに運命をん覆す力をん持っている筈さざ」
「はあ」優央は少しだけ下向きに頭を向ける。「そう思ってるんだ、ザッセンは」
「まあまあざ、気にりするなざ。でもん、優央様のんそのん優しさこそんがざ誰にりもんない強いり励ましとん成るが」
 有難う、お世辞でも嬉しい--優央はゆっくりと頭を上げ、ザッセンを見つめる。
「兎に角が、躯央様はざ絶対止めて下さいり。あの方はざきっとんメラリマ様とん烈闘様のん所へに行こうとんしてますが。ああざ見えてに心はざ硝子のんようなざ物ですのんでに」
 気付いていたんだ、ザッセンは--意外にも躯央の内面が硝子細工なのは知らない生命は少ない模様。
(だからこそ僕は叔父さんの選択を変更する事が出来ない。叔父さんは言ってしまったんだ--全生命体の希望--という言葉を!)

一兆年の夜 第七十一話 優央の記憶 躯央からの提示(三)

『--望遠砲の小型化は念を残すようだけど、後五十の年以上も掛かると誰かが
言った。それはもう思い出せない。けれども視察したお蔭で多少なりとも僕は僕の世界を
広げた。
 さて、それから四の年より後。ICイマジナリーセンチュリーに表せば一年が経過。僕は二十二歳。今が
本格的な年齢に入る。僕は叔父さんやマンメリー達に教わった数々の事柄を有効活用
し、新古式神武の希望として尽力する時だ。
 とはいう物のどうすれば良いかに悩む。それもまたこの時期の僕がしてしまう行動。さて、
何処から話せば良いかな? つまらない事そうだ、
 先ずはこの話から始めよう--』

 ICイマジナリーセンチュリー二百十年五月四十日午後六時七分十一秒。

 場所は真古式神武首都六影府中央地区新真正神武聖堂。その中で天同優央の間。
 部屋の中央で座禅を組むのは齢二十二にして一の月と七日目に成る神武人族の少年天同優央。彼は一兆年の神々から今後の事について尋ねる。
(--そうか……そう来てしまうのか)
 そのお告げに顔中汗で濡らす。焦りや隠し事を抑える為ではない。変え難い未来が直ぐ傍まで迫る事にどうしても己にとって都合の良い解釈をしようと必死の表情。
(神々に依ると大陸藤原にある大中臣地方のある場所で僕と叔父さん達は銀河連合を食い止める為の防護提建造中に予想外
の奇襲を受けて……嫌だ、そんなの!
 僕はそんな事実を認める訳にはゆかない。絶対に叔父さんを連れてゆく訳にはいかない。そうすれば--)
 再度瞑想に入る優央。一兆年の神々は<気まぐれ故に再度呼び出すには予想外の時間を要する。無理矢理ならば己の精神が巻き込まれかねない。故に優央は再度呼び出しを行おうとして僅か一の分手前で「ウワアアアアアアア!」と叫び、瞼を開きながら畳を見つめる事に。運動はそれほどしてないのに再度呼び出そうとした影響で心拍数は急上昇、成人体型一万を走り切った生命のように息が荒い!
 ど、ドウサレタンデスカアア……優央様--心配で駆け付けるのは齢二十三にして十八日目に成るルギアスカンガルー族の青年マンメリー・レヴィルビー。
「ゼハアゼハアア……ハアハア」余りの過呼吸に普段のように言葉を出せない。「ハアアアア、フアアアアア」
「まさか再度神々ヲ呼ビ出シタトカ……いけませんよ、優央様」楽な姿勢にさせるマンメリー。「躯央様が仰られたように代々の天同家では一度呼ビ出シタ一兆年の神々ハ気紛レ故ニ再度呼び出そうとすれば憑依者の人生の半分を差し出すつもりで迫るのです!」
「ああ、実際に僕、は心臓を、、を、鷲掴みさ、れる気分に、成っ、た、た!」
「やはりソウデスカ。なので優央様ハ無理シテ再度呼び出すのはお止め下さい。神々だってお忙シイ身であります!」
 そ、そうするよ--とようやく喋るには苦しくない段階まで回復する優央。
「まだ喋ルノハ苦しいのでしょうか?」
「いや、ゆっくりと喋ったら、大丈夫」
「ソウデスカ。ではお訊ネシマス」
「一応、何を知りたい?」
「俺がここまで飛び出シタノハヤハリ優央様ノ身を案じて、であります。どうして再度呼ビ出シテマデ確認為さいますか?」
「それはまだ言えない。言った所で多分、誰も止まらない。運命とは筋書き通りに示されなければいけない。そうでなければ--」
「待って下サイ。そこまで答エテ下サイトハ俺は言ってません」
 あ、御免--と自分の世界に入った事に少しだけ反省する優央。
 それから優央は自らを励ます為にマンメリーに協力させる。それは特別な事をするのではなく、他愛のない会話で夕食の時間に成るまで落ち着かせる事。優央がそれを始めるのは次の通り。
(運命の日まで忘れたいんだ。忘れなければ僕は、僕は立ち向かう事が出来はしない。叔父さんが如何ゆう末路を辿るかを知る僕だからこそ今は忘れたい。そう、忘れてしまった方がそれまでに……けれども僕達に残された時間は以って二十二の年……僕が四十四の時に奴らは総攻撃を掛け始める。総攻撃が始まると最早助かる見込みはない。今の時代の僕達の技術では空から降って来る銀河連合を迎撃する事は出来ない。悔しいがその現実は受け止めないと前に進めない。そうだ……良く考えたらまだ長くて二十二の年も猶予が残されるじゃないか。それまでに僕は……史烈と交わりを果たさないといけないな。だけども四の年より前に彼女がやってしまったから最早家から外に出る事も出来なくなってしまった。これが俗にいう……忘れた)
 そう、史烈は父親の許可を貰うまで家より外に出る事も出来ない。仮に出来てもカゲヤマノ家の鬼族生命が、チーター族の生命が、そして真鍋家の熊族生命等が彼女の付き者として傍に居る。眼を離した隙に逃げ切ろうとするのは困難を極める。
 その事実を知ってるが故に優央は彼女を恋しく感じる。出来れば自ら彼女を迎えに行きたい物の、それは果たせない。何故なら史天のあが何としても優央を近付かせない為……そうではない。優央自身が夕食後、忙殺される日々が続く。就寝に就くまで躯央から様々な事を学ばされる。明日の早朝四時には早めの朝食が摂られ、朝食後直ぐに様々な識者との会合が行われ、昼零時までに昼食が入るか入らないかの瀬戸際まで追い込まれる。昼食後もあらゆる事柄が待っており、とてもではないが史烈と再会する日程を決められる筈がない。
『--彼女との再会はそれから八の年まで待たされる事に。史天が死んだからか?
いや、そうではない。史天はこの時代より三の年より後に老衰の為に亡くなる。
だからって史烈と簡単に再会する訳でもない。彼女は父の遺志を受け継ぎ、様々な試みを
してゆく。それは彼女の父が求めた懐古主義と彼女自身の信念である革新主義の融合。
いや、それは彼女を深く読んでいない証拠だな。カノジョがそれから八の年もん僕と再会
しない主な理由はずばり天同の雌に相応しく成る為まだ明かさないでおこう。
 さて、少し蛇足だけど夕食後に新たな望遠砲の視察に僕は向かった。まあ中央官邸表門
にある。それは--』

 午後十時零分十四秒。
 場所は中央官邸第一棟前。中央官邸には三つの塔が並ぶ。それぞれ三角形に配置され、一つ一つが七階建てで一階当たりの高さはキリン族の生命が首を伸ばしても天井にぶつからない程。その噂を聞き付けてキリン族の生命は採用試験の望み、三棟合わせて四名ほど勤務する。
 そんな巨大な三棟の建築物の内の中央の塔の真ん前の広場に煙突の付いた望遠砲がある。その左手側に立つのは齢三十四にして十一の月に成ったばかりのタゴラスキリン族の中年が首を伸ばして優央とマンメリーを待つ。
「やっと来られましーたーか、優央様にマンメリーの生意気ー坊ー主!」
「その訛リハ本当ニキリン族の特徴か?」
 んだとーお--と小商短気なキリン族の中年。
「まあまあ、キリッラ。マンメリー達代々のレヴィルビー家はタゴラスから離れて百以上も経過してるんだ。疑問に思うのも無理はないしね」
「だとしても誇りが傷ー付ーく」
「それよりもキリッラ・モンジャネーラ」
「キリッラと呼ばんーか、坊ー主!」
「この望遠砲ノ特徴ハ何だ?」
 良くぞ聞いてくれーた、この望遠砲はーな--キリッラは最新鋭の望遠砲について一の時も解説し、二名に疲労感を与える事に!
『--以来、僕はキリッラに長話させないように心掛けた。彼は話し出すと幾ら割り込んでも
止まらないからな。本当に困った。それで内容はと言えば--』

一兆年の夜 第七十一話 優央の記憶 躯央からの提示(二)

 午後四時二十九分五十九秒。
 優央と史烈が抱き合う所に突如としてやって来るキュー姫。彼女は来客をお招きした。その来客の名前はキンデヅ・キシェール。父キンキッズに反抗する少々安定しない精神を持つ少年。彼を見て優央の第一印象は次の通り。
(顔つきは険しい。代々の蠍族の雄は雌に比べて穏やかだって聞くんだけどね。何時も体内の毒は雌が回し、雄は何時も雌の尻に敷かれるような者達ばかり……それ真実じゃありませんね、叔父さん。キンデヅは雌みたいに顔が険しいな。今の時代は厭戦気分で懐古主義の到来かと思ったら……ここにも雌みたいな事をしそうな生命が居たんだ)
 何か付着してまど--キンデヅからしたらやや長い時間自分の素顔を見るのだから変な物が付着してるかと優央に尋ねる。
「いや、今時珍しい考えをするんだなあ……そう思ったんだ」
「ああ、親父は古い考えに凝り固まる生命でからな。言っておくが、あんな古いどけのICイマジナリーセンチュリー研究なんどするキシェールは親父の代で終わりだ。これからは暦の尻ばっかり追い掛けない新時代の到来ぢ」
「へえ、本当にそうなの?」
「ああ、俺はこんな物を考案してえだ」
 キンデヅは吊るされた三枚の石板の内、ど真ん中を引っ張り出してそれを優央達の前まで滑らせる。
(何々、キンデヅはICイマジナリーセンチュリーから簡易的な暦であるA・Dを?)
「今更ICイマジナリーセンチュリー以外の暦なんて意味あるの?」
「君は何ぜ?」
「君とは礼を失するよ、年下の癖に」史烈は代々の春風家の雌らしく少しの事にも突っかかる。「春風家の雌に対してもう少し言葉を選んで」
「俺が話をしてるのは優央様ぜ。何で天同の雌でもない春風家のお嬢さんがのうのうと優央様の傍に居で?」
「言ったわね。それは--」
 まあまあ、二名共落ち着いて--と優央は高まるのを何とか抑える。
(けれどもキンデヅの言う事も最もだ。史烈は少々急ぎ過ぎだと僕は思うが)
 思ってても口に出来ない所に優央の弱さが垣間見る。そこについてキンデヅはこう指摘する。
「優央様は恐がる必要はありまぞ」
「何の話?」
「気付きませど。ならば別の話でもしましょうぞ」
 キンデヅは語り出す。その語りの途中で賢い史烈は何かと言いたい事を口にするだろう。そう成らない為に「あ、史烈は話が終わるまで考えを纏めて貰えるかな?」と助言する。
 そう言ってくれると助かります、優央様--と己の意見をはっきり述べた優央を褒める史烈。
 さて、キンデヅが語ったのは次の通り。
 彼は暦に関する歴史が浅い事を指摘。誰もがICイマジナリーセンチュリーに座を譲って少しも別の道を探ろうとしない。結果としてICイマジナリーセンチュリーを中心とした物の考えが根付き、暦研究は殻に閉じ籠る。そう成ると柳の木のような柔らかく、しなやかな議論が形成されずに暦は滅びる事だろう……キンデヅはそう主張する。
「言われてみれば確かね。少し反対の論理をするのを留めてしまう程に納得されるわ」
「俺はキシェールが何時まどもICイマジナリーセンチュリーに拘る事に疑念を感じた。だからこそ蘇我フク兵衛を一生懸けて探し出しど地学を併せた暦の完成を急がせっぜ。俺が考案したA・Dアウター・センチュリーが次の時代を築き上げる時ぞ」
「アウター?」
「それぞ次の通り」<
 キンデヅ曰く補完世紀と呼称。ICイマジナリーセンチュリーを補完しつつ何れはICイマジナリーセンチュリーその物を過去の暦にする全く新しい暦。こちらの場合は何れ来る統一神武を元年として生命が一歳年を摂る毎に年月を経る制度。それだけではなく、春夏秋冬を明確にさせる。そう、ICイマジナリーセンチュリーには問題点があって一年過ぎる時とこちらの四の年毎のずれがどうしても引っ掛かりを覚える。それ故に活用が難しく、余計に体内時計を曖昧にさせる。A・Dアウター・センチュリーが採用されれば最早ICイマジナリーセンチュリーは過去の物と化するだろう。キンデヅはそう主張する。
(僕達の一の年が一年として計算されるんだったら歓迎しない訳にはゆかないな。けれども問題点は誰かが気付くとして僕が気に成るのは--)
 ところでキンデヅよ、統一神武とは何時頃だ--キュー姫と入れ替わるように入るのは齢三十二にして五の月と七日目に成る神武人族の中年天同躯央くおうが入る。
「これはこれは摂政を務める躯央様ですぞ」
「また来たな、史烈。史天が何を言うか--」
「パパは関係ないから」父親の話をされると割り込んでまで己の主張を展開しながら妨げる史烈。「僕は僕の赴くままに進むの、親は何れ子供を何時までも見続けられないのだからね」
「ああ、わかったわかった。はあ」史烈の主張を一々崩すのは骨が折れると考える躯央は彼女に何か言うのを諦める。「史天の事は後にするか」
「叔父さんは何の用でこちらに?」
「実は優央に伝えなければいけない事があってここへ赴いた」
 その顔は真剣その物。刃の様に本気の表情の前には優央は史烈を抱く手が緩む。そして転がる史烈。
「力が抜けたよ、優央様?」
「もしかして叔父さんの死期が近いのか?」
「いや、僕の死期はまだ遠い。これを言っただけで僕が死ぬなんて有り得ないな。何、提示をしにここに来たんだ」
「で、では俺は退出--」
「いや、キンデヅも残ってくれるか」
 つまり僕も--と史烈は尋ねる。
「ああ、勿論だとも」
 本当は優央の身に伝える筈だった。だが、史烈が侵入した事。更にはキンデヅの話が予想よりも長く成った事を受けて二名にも伝えざる負えなくなった。
『--内容はそれほど目新しい物じゃない。何時もの叔父さんの些細な提案。提示にして
はそれ程、深刻に成らなくて済んだ。普通に望遠砲の小型化に乗り出したと雄略大陸に
住むある鍛冶師は報告したそうだ。それが実用化すれば望遠砲の小型化が実現されて誰
にでも扱えるように成る。そう、えっとそれでも望遠砲が小型化して更には費用対効果の
観点からして大量生産が可能な場合にね。それが本当に出来るかどうかを確認させる為
に雄略大陸を渡るよう提案するんだ。何でも遠方まで飛んで少しでも己の地図を広げる
為だってさ。
 でもその提案のお蔭で僕は叔父さんの死後、様々な作戦を立案する事が出来た。良い
経験だよさ。因みに望遠砲の小型化はあ念が残るようだけど二十の年も早いってそこの
職者は主張したな。
 まだまだだったなんてね。あ、僕が遠方まで行く前に史烈とキンデヅはどう成ったかに
ついて記すよ。確か--』
 雄略大陸まで遥々往く事が決定したのか、史烈は頑なに同行を嘆願。だが、躯央は史天との関係を重視する。
「それは無理な話だ。済まないが、大人しく家に帰りたまえ」
「それは--」
 俺も同じ意見でえぜ--とキンデヅも同調。
「蠍の雄は大人しく暦研究でも明け暮れて--」
「そうじゃなくて一緒に蘇我フク兵衛の所へ行こぜど……誘ってだあ!」
 蘇我フク兵衛の所に--意外な提案に思わず口を開いたまま反対の論理を出せない史烈。
「一本取られたね、史烈」
「もう、優央様ったら!」
「一つの道を行くのではなく、それぞれがそれぞれの道を進むのは良い話だ。僕や兄さん、それに姉さんがそれぞれ異なる道を進んだように……それはもう止まらない」
(だろうね。まあそれでも外で様子を見るマンメリーは僕と同じ道を進まざる負えないだろうが)
 と齢十九にして十一日目に成るルギアスカンガルー族の少年マンメリー・レヴィルビーは複雑な心持で中の様子を見届ける。

一兆年の夜 第七十一話 優央の記憶 躯央からの提示(一)

『--もしもICイマジナリーセンチュリーが全ての解を持つのなら果たして全生命は本当に全てを知る事
が可能なのか? 僕にはわからない。けれども僕は彼と出会い、その事について話し
合った。
 そうだなあ、あれはタイガーフェスティが喰われてから首都を六影府に移してから四の
年より後だったな。ICイマジナリーセンチュリーならちょうど一年が経過する年月。僕達生命にとっては
まだまだICイマジナリーセンチュリーの一年は長い。そうだなあ、その話は誰とやったのか。中々思い
出せない。でも思い出さないと具体的な内容に辿り着かない。その内容に近付けるには
先ずは、何にしよう?
 何時も墨で字を記すと下手な言葉が出ないな。書き違えたら綺麗に消す事が可能な
物があれば多少は便利に成る。だが、それは神様がお叱りを始めるであろう我儘と言う物。
せめて後の時代に便利なき部分が解消されれば良い話。
 さて、思い出すには先ずは彼女について話を合わせよう。それは--』

 ICイマジナリーセンチュリー二百九年五月三十三日午後四時七分十八秒。

 場所は真古式神武新首都六影府中央地区新真正神武聖堂。首都移転に伴って三の年より前に改築工事が始まり、僅か一の年より後に完成。現在は天同家の者達は全てここに暮らす。
 全ては誇張ではない。既に天同の血を引く物は摂政の躯央くおうと象徴を務める優央やさおしか居ない。他の者達は婿或は嫁に嫁いだのか或は既に他界したかのどちらか。特に今の時代では新天神武を含めて捜索しても二名以外の天同家を他の生命は知る由もない。
 さて、たったの二名しか居ない天同家で象徴を務めるは齢十八にして一の月に成ったばかりの神武人族の少年天同優央。この物語の主人公を務める気が強くない少年。彼は自分の名前と同じ間にて座禅を組んで来客が来るのを待つ。
(今日は僕が余り好きじゃない学者肌の生命が来るそうだ。何でも--)
『--書いてる途中で思い出した。思い出したぞ。メデス蠍族のキンデヅ・キシェール
だ。僕は彼と会って様々な話をするんだったな。だが、その前にこの話を終わらせに
掛からないと。
 えっと--』
(--そうだ。何でもICイマジナリーセンチュリー研究の第一名社を自称するキシェール家の跡取り、キンデヅ・キシェールだったな。本名は父キンキッズの後を継ぐのが好ましくないのか蘇我フク兵衛の弟子に成ろうとしてるんだった。全く僕には理解に能わない。どうして親の後を継ぐのがそんなに--)
 あ、居た--勢い良く襖を開けて優央の瞼を開けさせたのは齢二十歳にして十一日目に成るプラトー人族の女性。
「な、史烈のれあ!」
「何が『な、のれあ』よ」史烈と呼ばれた女性は助走も付けずに飛んで一回で優央を抱き締めてみせる。「会いたかったよ、優央様!」
「また親に内緒で僕の所まで来たの?」
「だってパパは懐古主義を信奉していて全然僕達の関係を認めてくれないのよ」
「それも仕方ない話だよ、史烈。父さんが大陸藤原を我が物にしていたら今頃は真古式神武並びに新天神武国内に懐古主義又は原点主義が広まる事もなかったんだ。全ては僕達が至らないせいだ。幾らここを守ったとしても何時までも足止めしていられる事もあるまい」
「どうして先祖の罪を自分で背負い込むの? 僕達今の時代の生命はそんなの背負っても意味ないでしょう?」
「それは良くない。何時だって神様は見ておられるんですよ。先祖の罪を見て見ぬふりしているのは同時に歴史から学ぶ事を忘れ、現実逃避へと繋げてしまうんだよ」
「それは少し違うよ、優央様」
 何か反対の論理でもあるの、史烈--と訊く優央。
 それに対して史烈は次のような論理展開を披露する。
『--それについて後述する。史烈は僕と違って文武に長けた雌だった。あらゆる事柄を
呑み込む才は能い、それを応用する事にも迷いはない。故に僕は羨ましがる。
 けれども叔父さんに比べたらそれ程でもない事だけは付け加える。最もそれは叔父さん
の優れた知識、知能の事であって身体能力では叔父さんを遥かに話して見せるけどね。
 さて、話だったね--』
 史烈の大胆な論理展開に言葉を喪失する優央。どんなに言っても彼女の前では反対の論理として相応しくない。何事にも秀でる事も優れる事もない優央ならではの結論だった。
「ご、御免なさい。優央様の顔に泥を塗るような真似をしまして!」
「いや、謝罪するのは僕の方だ。こんなにも頼りなくて--」
 だから自信を持ちなさい、優央様--と両親指と人差し指で優央の両頬を抓みながら端正で兎族のような素顔を近付ける史烈。
「恥ずかしいよ、そんなに近寄られるのは」
「そりゃあ相思相愛同士なんだからね、僕達って」
「だろうね……けど」と優央は前々から良く指摘する事を口にする。「雌らしく一名称はしっかりしないと!」
 またそれ……懲りない優央様--と一名称を指摘する優央に溜息をつく史烈。
『--この後、十四の分まで他愛のない話ばかり。僕はすっかり史烈に帰宅するよう
勧めるのを忘れた。正確には史烈に離れたくない思いが強かった。それが後々長い別離を
齎すとは当時の僕達は想像も付かない。
 けれどもこれも史烈の大胆な論理と同じく後述する。今はようやく思い出したあの話に
入る。それは史烈との子供の数に関する話の最中だった--』
 アノウ、ヤサオウサマ--齢三十七にして十八日目に成るアデス九官族の老婆臨兵キューが半の分掛けて優央が見て左の戸をゆっくり動かしながら用事の為に全身を現す。
「お、思い出したぞ。やっと来られたんだね」
「ハイ、コヨミガクシャキンキッズ・キシェールノダイイッシキンデヅ・キシェールガコラレマシタ」
 はざ、誰がICイマジナリーセンチュリー何かで来げよ--と齢十九にして二十三日目に成るメデス蠍族の少年キンデヅ・キシェールは何か石板を三枚尻尾に吊るしながらやって来た。
「石板資料?」
「きっとキンデヅは噂通りにICイマジナリーセンチュリーの事については話したがらないだろうね」
 そう口にしながらも心の何処かでは語り出すだろうと期待する優央。
(とは考えてもきっと地学の話で持ち時間を全て潰しそうだなあ)

雑文特別編 迷探偵市子ちゃんのデビュー 飽きたらカルピスに薄めるように短くする試作品 (3/5)

 どうも正直まだ悩んでいるdarkvernuです。
 正直宣伝するべきかどうかについて……まあ悩んでも仕方ないので静かに書き進めときますか。

 第三の事件 180センチ強盗事件

 それは帰宅途中のバーロー本屋にて起こった。そこで『恩』の覆面をした強盗が押し寄せて今週号のジャンプが一部盗まれたという事件。犯人が逃げたと思われる時間は午後三時。市子ちゃん達が駆け付けた時はその五分後。そして犯人は市子ちゃん達が駆け付けた事に依って慌てて群衆の前に姿を現した様子。
「--と言う訳なんだ。一応、部下に犯人を追わせて怪しいと思われる人間を五人ほど捕まえて来たんだ」
「きっと犯人は九十九も蹴られた路傍の石なんだよ!」
「違うよ、市子ちゃん。そもそも漢字が違う。本当の漢字は環境設定の問題で記録出来ない漢字だよ」
「ああ言えばこう言うんだから」
「あ、それで犯人の背格好はどれくらいですか?」
「ああ、背格好は木村沙織ちゃんと同じ身長」
「やったわ、私達は犯人じゃないわ!」
「当り前だよ。僕達の年でそんなに大きい子が居たら恐いよ!」
 そうして発見したのは次の五人。
 それであんたはやるのかい--たまたま五十台中盤のサラリーマンと一緒に居た筋肉隆々の男で名前は石動さん。
 お、俺は犯人じゃねえよ--たまたま近くの女子トイレに隠れていた宇宙飛行士訓練生のダリルさん。
 私は忙しいのだよ、早急に済ませたまえ--たまたま高級車に乗っていたとあるスラム街に拠点を置くビジネスマンの日本名生瀬さん。
 何で俺が連行されるんだ--如何にも不良そうな金髪の高校生中村さん。
 チイ、漫画読んでる時に連れて行かれて--風船ガムを味わいながら左手に持つ週刊誌のページを捲るのは最近己の身長の半分近く低いテニスプレイヤーの弟子に成った喧嘩屋言峰さん。
「今回は犯人がまるわかりだね……犯人は言峰さん、貴方よ!」
「俺が犯人だって? 証拠は……ああ、これか」
「そう、風船ガムで『恩』のマスクを被って本屋に押し掛けて盗んだ事は丸わかりよ!」
「はあ、風船ガム? 『恩』? 何の事だ?」
「市子ちゃん、風船ガムで覆面は出来ないよ」
「そんなの全国一億二千万人の風船ガムマニアを敵に回す発言よ、山田君!」
「マニアだって出来ないから」
「ね、だから白状しなさい」
「ああ、白状するよ。実はあの金髪から貰ったんだ」
 こうして事件は解決した。何と犯人は中村さんだった。何故強盗したのかを尋ねると彼は次のような証言をした。
「実はジャンプを読みたかったんだ。ところがこの本屋は立ち読み禁止令を出して来たんだ。だから仕方なく『恩』のマスクを被って押し入り、盗んできた。そしたら店員が走ってきて人混みに紛れながらあの言峰って奴にジャンプを渡してからマスクを脱いで何食わぬ顔で逃れようとしたんだよ……許すマジ、立ち読み禁止令!」
 近年は出版業界の不振もあって中々立ち読みが許される店舗が少ない。バーロー本屋も例外ではない。故に立ち読み共にとっての冬はまだまだ続く。
「やっぱ私って探偵に向いてるね」
「向いてないし、思いっ切り犯人間違ってたよ」


 まだまだ事件は続く。興奮さめ已まない中でもう一つの事件は幕を開ける。

 第四の事件 植草一秀事件

 それは本屋の事件が解決して猥褻容疑の疑いがあったダリルさんに対して警察が実況見分に乗り出そうとしてる中で起こった。
「ど、どうしたんですか?」
「だ、誰かが私のスカートの中を手鏡で覗いていたのよ!」
 それは被害者が座っていた公園のベンチの真下に転がる手鏡。事件が起こったのは午後四時。たまたま警察官が居たお陰で犯人は公園から逃げる事も出来ずにその場に留まる。現在公園に居るのは十人。被害者の女性と警察官、実況見分の為に公園を訪れたダリルさん。それから野次馬の如く首を突っ込む市子ちゃんと連れ回される山田君を除けば容疑者は五人。
 私は今からカケイボ学園の証言の為に市議会に赴こうとしてるのに--何故かスマホを弄り、何かを隠そうとする元文科省官僚の近鉄正さん。
 手鏡に写されたのはミニ、それとタコ--何故かプレイスタンドβでFF7のラスボス戦をプレイ中の元俳優セフィロスもさしさん。
 許すマジ、犯人め--どさくさに紛れて被害者女性の尻を狙い、警察に取り押さえられるのは真言宗の元僧侶辻谷弥勒さん。
 それにしても手鏡とはね--と手にしたカメラで被害者女性のスカートを狙い、前述の被害者と同じく取り押さえられたのはとある道場に居候する支那人の拳法家鹿拳星さん。
 全くけしからんなあ、わしみたいに堂々としておれば良いのに--被害者女性の胸を鷲掴みしようとして警察官に睨まれたために諦めるのは自称仙人のハワイ系アメリカ人のカメハメ・セニンさん。
「ううむ、わからない」
「多分、犯人は二人に絞れるかも」
「え、どうやって絞るの?」
「市子ちゃん、探偵なんだから一々僕に説明を求めないでよね……えっと絞る方法は一つ。先ずは五人の行動を確認する事。五人共どんな行動してた?」
「そりゃあ勿論風俗行こうとしてたし、薬飲もうとしてたし、奈落倒そうとしてたし、兄弟喧嘩を始めようとしてたし、挙句に力のトーナメントに参加しようとしてたんでしょ?」
「いや、何を前提にそんな考えが浮かぶんだよ」
「え、だってみんなそんな感じじゃないの?」
「違うよ、市子ちゃん。そうゆう前提は他所に仕舞おうよ。例え似たような人でもその前提は推理するのに邪魔だからさ」
「うーん、でもみんな同じような行動だし」
「全然行動様式が違うよ。それにお巡りさんの本格的な操作をする前に僕らで大体は絞れるよ。だから市子ちゃん……少し黙ってて」
「ええ、山田君の意地悪」
 これじゃあどっちが探偵かわからない。
「オホン……最初に紹介された二人以外のみんなは明らかに犯行の仕方が今回の事件と繋がらない。いや、あの三人は犯人じゃない」
「え、どうして?」
「それはね、辻谷さんは直接被害者のお尻を触ろうとした。仮に犯人だったら手鏡を使う意味がないよ。彼は堂々と犯行に及んでいる。依って犯人じゃない」
「ああ、そうか。すると他の二人はきっとそれと似たような物だね」
「わかってくれたね。その通り--」
「あの拳法家はきっと動画編集の一環だったんだね。それとあの仙人さんはきっと修行の為にあのお姉さんのお尻を克服しようとしてたんだよ!」
「うう、ま、まあそうゆう事にしておくよ」
 別の意味で正しいけど市子ちゃんの余りにも筋違いな推理に突っ込むのも野暮だと感じた山田君。
「うーん、だったらあの二人ね」
「僕はセフィロスさんが怪しいと思うんだ」
「え、何で?」
「それはセフィロスさんに尋問するとわかるよ」
 ちょうど警察官がセフィロスもさしの尋問に取り掛かる。
「尋問する前に先ずは持ち物を全て披露したまえ」
「はいさ」
 セフィロスは服の中にある物全てを出した。それらはカメラ用のメモリースティックだらけ。財布もあるが、別に怪しい物は一つもない。
「持ち物はこれと言って--」
「コラ、君は何をしてるんだ!」
「某探偵はパンツの中に手を突っ込む事くらい躊躇いないって」
「駄目だよ、市子ちゃん!」
 だが、市子ちゃんの意外な行動に依ってセフィロスのボクサーパンツの中から手のひらサイズのメモ帳が発見された。そこに記されるのは様々な女性のパンツの概要。それはここに記すのは余りにも卑猥で子供向けとは言えない。
「こ、これは」
 警察官は最大ニ十ページのメモ帳の今記されてある十五ページ分の中の最後のページに被害者女性と思われるパンツの概要を見つける。
「ウヌヌ……少し確認してくれませんか?」
「子供達も居るのよ、絶対に秘密にしてよね」
「いや、女性警官を応援に回して--」
「畜生め、餓鬼に手を突っ込まれなければ完全犯罪だったのに!」
 セフィロスは自供した。彼は芸能界を追われたセクハラ事件から払拭する事も出来ずに隠れて手鏡で被害者を始めとした女性のスカートの中を覗いてそれを忘れないように例の掌サイズのメモ帳に記していた。そう、今回も手鏡で犯行に及ぶも警察が実況見分の為にやって来た為に慌ててそれを落とし、更にはそれを被害者に見られた為に……こうして真犯人セフィロスは手錠を掛けられて署に連行されてゆく。
「いやあ、私の巧みな推理のお蔭で植草教授のお仲間をまた一人刑務所に送り込めたのよ!」
「いや、まあ……い、一応は市子ちゃんの、お陰で、うーん」
 こうして彼女が探偵に成って一日目の事件の数々は解決され、物語は二日目を迎える……


 と言う訳で『迷探偵市子ちゃんのデビュー』の試作品をお届けしました。何度も記しますが、市子ちゃんは迷推理をテーマに様々な難事件を斜め下の推理をしては助手の山田君がツッコむという形式。但し、迷推理を活かす為に事件は全て洒落が通じる物とする。殺人事件等は洒落に成らないのでこの作品ではそれは扱わない。
 さあ試作品の披露はここまで。時間を置いてから一兆年の夜に当たる。

慣れない事はする物ではない

 どうも取り敢えず何処までルールとして正しいかどうかも理解しないdarkvernuであります。
 さて、取り敢えず物でも書いて終わりにしておくか。

 版籍奉還、廃藩置県、そして刀狩りと武士のアイデンティティは崩壊。彼らは武士としての誇りを守るべくある者は武力蜂起し、ある者は慣れない事に挑戦する。
 慣れない事と言えばやはり商売。とある元武士の又右エ門は自伝を出版する。それは自分の先祖自慢を綴った書物。初版で百部を刷るもその中身は次の通り。
「いらっしゃい、あんさんは大工のもんかい?」
「オイ、侍さんよお」
「何でしょうか? お買い求めですか?」
「そうじゃねえ。客に対する言葉遣いは学んだ方が良いぜ」
「いやあ初めてなもんでして」
「初めてもクソもない。俺あ大工だが、大工の常識をお侍さんに押し付けるのは気が引けるがね……でも、これだけは言えるぜ。お侍さんは商いを始める時、誰かにでも習ったかな?」
「いやあ、他人のフリを真似てですねえ」
「自己流は勧められんぜ、お侍さん。自己流は途方もくれる道でねえ……大成する物なんざ精々三合炊いて二、三粒しか美味しくなりやせんぜえ」
「ま、まあ大工のおやっさんの言う事は何となくわかりやすぜ……要するに何処かの商人の弟子に成ってでも技を学べと仰るんすねえ」
「良くわかってるじゃねえか……何て言うか、お侍さんよお。当り前の事を口にするようじゃあまだまだ本質を理解してねえなあ。つーか弟子に成ったぐらいで直ぐに大成する商人だって精々三合炊いて一合にも満たすか満たさないか……そんくらい厳しい道ですぜ」
「ああ言えばこう言うんかいな」
「ああ言えばこう言うんだよ。何が言いたいか……そんな慣れない事をやるよりも何処かに就職して黙って金を稼いで一生を過ごすのを進めんぜ」
「よりにも依って弟子ではなく、手下に就けと。そんなの志士としてちゃああきませんぜ!」
「ほう、今まで見下していた人を見上げる事がそんなに嫌かえ? それじゃあ何時まで経っても大成しやせんぜ!」
「言わせておけば好き放題……こっちだって頑張ってるんだぞ!」
「それは俺も同じですがな。頑張りなんざ遠目で見ればみんな同じ。お侍さんのその特別意識を数点限りはあ、何時まで経っても大成しませんなあ」
「無礼が、ここで真っ二つに斬ってらああ!」
「おお、やんのか!」
「この大根でもお前の頭蓋徒割る事は造作もないんじゃ!」
「ああ、こっちは長年鍛えた逞しいコブに依って繰り出される拳骨じゃあ!」
「貴方、止めてえええ!」
 このようにつまらん誇りを捨てずに商いを始めたばかりに顧客のちょっとした指摘にも堪忍出来ずに怒りを任せて失敗する士族が後を絶たない。彼らの中にも勿論、成功した者は居るだろう。だが、それは先程の大工が口にしたように三合炊いても美味しいと思われる二、三粒程度でしかない。残りの米粒は不味いか或は特徴がない。故に放り投げ、その中で辛抱出来ない者はやがて西南戦争までの武力蜂起、そして自由民権運動の参加に胡坐を掻いて無用な時間を過ごしてゆく。
 別にこれは明治だけの話ではない。戦後日本でも同様の事例は起こり、彼らは俗にいう学生運動に胡坐を掻いて無用な時間を潰してゆく。そしてつまらない誇りだけを胸に老人と成ってその特権を貪る。
 全く以って人間はどうして過去から何かを学ぼうとしないのだろうか……


 と言う訳で士族の商法を例えに出しながらそれが一昔前の学生運動及び盾ズの無用なデモにも当て嵌まる事を紹介した。今、自分は己が自覚しない所で士族の商法を実践。実践しては必ず失敗して痛い目を見るだろう。そう、今自分は痛い目を見ようとしている。アマゾンレビュー? ンなもんは見ない。例え評価を下してある中学生が出した小説みたいに前半誉めたふりをして後半は非情に辛辣な言葉を記す。値段が千円近くを高いと評してもっと安くしろだのなんだのと。それと同じように自分が出した奴は最早金払うのさえ文句言われるだろうな。つまりそれくらい馬鹿にされると……いや、考え過ぎだな。そこまで名の通った人間じゃないから余りにも過大評価するのは止めよう(自分は過大評価する悪い癖があるからな……そこまで出来た人間じゃないのに)。
 さて、批判されるのが嫌なら見ないに越した事はない。それは正しい……だが、アンチコメントごとコメント欄を潰すのは正気の沙汰じゃない。コメントとはあくまで表裏一体。好きの反対に嫌いがあるように批判の反対は誉め言葉。それを理解しないとコメントと向き合うなんて出来はしない。最初の内は批判コメントは目を逸らして好意的なコメントに目を通すのが良いだろう。但し、アンチコメントは消さないように。消すとしてもアンチよりも下劣な勧誘や露骨な何か等。自分はそうゆうのだけは消すようにしている。陰謀論とかアダルトサイトへの勧誘とかそうゆうのははっきり言って場違いも良い所だ。そうゆう迷惑なコメントなどは消す事をお勧めする。でないと無関係な人が被害に遭うからな。さて、問題は自分がアンチコメントと向き合えるかどうかだろうな。今の所はこう宣言しておく……向き合えない、と。けれども消すか消さないかと聞かれたら敢えて消さずに残しておく。まあこれは今の様に平常心が保ってる場合だけに限るがな。平常心が大きく揺れてると消す可能性も否定出来ない。可能性がある内に宣言しておかないと嘘吐きと同じに成るからな(かの金髪デブはとうとう発狂して過去のツイートを忘れたかのようなツイートをしてるからな)。
 因みに今回著者市丸代として出したのが『お金様 前篇』だ。まあリンクは今一ルールを把握しない自分だからこそ張るかどうか悩むがこちらはブログで出した内容とは違って自分の修正と更には修正依頼出してるから多分、違いが出てると思う。まあまだ目を通してないので違いが何処なのかはわからんが。
 と言う訳でdarkvernu版士族の商法の解説を終える。

 さあ、話題と成るか成らないかは自分の宣伝次第。話題に成るという事は自分の予想を超えた事を意味する。だが、話題の定義なんて物はあくまで近年稀にみるあれやそれ。つまりその定義に当て嵌まらなければ話題にだって成りはしない。まあ話題に成らないなら成らないでそれで自分は実力何かこれっぽちもなかったと諦めて次に移る。成れば……目を逸らして次に移る。どちらにせよ、自分の中には目立ちたいという感情が七割、目立つのは嫌だという感情が三割。
 では、『お金様』が話題に成るかどうか……恐らく確率で表すなら話題に成る確率は一毛。理由はどんな作品であろうとも探せば類似する物は多い。後、とあるサイトのQ&Aを読んだけど創作物が売れる確率は低い。依って話題に成らない確率は九割九分九厘九毛。故に自分は『お金様』は話題には……成らないと予想する。
 以上で今回はここまで。話題に成る物が売れるとも好評を得るとも限らないが、話題に成るという事はそれだけ注目が集まる事を意味する。それに値段はジャンプコミックスの凡そ半分の値段(税抜き)。まあこれでも金を払わせるんだからあんまり良い物じゃないな。

良くわかる工作員チェック

 どうもとある動画やあの皇族、それから富井飲みはあらゆる意味で奴らの傾向を一発で理解するのに便利だと最近考えるように成ったdarkvernuで御座います。
 それじゃあレッツ工作員チェック。

 日本には様々な工作員が犇めき合う。大昔なら靖国問題に火を点けさせた加藤工作員や人民解放軍野戦司令官だと発言したオザーリンなど。
 どうもアンチジャーナリストのカーリーナウマン山岡と申します。反日漫画で有名な美味しんぼの登場人物及び原作者とは何ら関係ないですよ。
 さて、実際の工作員チェックは非常に機密事項である為に一般人には公開するのは困難。だってCIAもそう簡単に工作員チェックを公開するなんて他国に付け入る隙を与えるじゃないか。例に挙げると居ますか、企業秘密を公表する企業が。居たら会社を潰す事に繋がりかねませんね。
 ところがある連中に関しては一発で見抜く方法があります。そう、既にネット上で出回っている事なのでそこに精通する者達にとっては目新しい発見なんてありません。でも覚えておいて下さいね。これを知れば貴方も相手が民団及び総連の工作員を一発で見抜く事が可能ですので。
 それじゃあ最初は富井飲みで有名なあの飲み方から。普通は如何ゆう風に飲みます? 片手でコップを取ってそのまま口に運ぶように飲みますよね? ところが富井飲みと命名される飲み方は何と『両手で口元を隠すよう』に飲むんだよ。『両手で口元』を……口が卑しいんでしょうか? 更に付け加えると『人前だとわざわざ飲んでる所を見せないようにも飲む』んですよ。何か卑しいんでしょうか? しつこいくらい付け加えると仮に背を向けなくとも何故か『横顔見せながら口元隠すよう』に飲むんですよ。相手を真っ直ぐ見れないんでしょうか?
 え、そんな奴が居る訳ないって? いやあ、原田左之助(仮)や宇宙人鳩にお遍路、それから上島竜平(仮)や野々村エシディシ、禿げ添、社何とか党のほぼ全議員と頭がパーン党のほぼ全議員がそのような飲み方してるのよ。日本の議員なのに。日本の政治屋なのに。そんな飲み方をしろと誰が言いました? 余りにも「自分は卑しいです」と主張するその様は不気味としか表現出来ないでしょう。
 続きましては佐村河内聞きでお馴染みのあの聞き方。普通聞く時に耳元に手を添えないだろう。ところが工作員たる者はまるで難聴であるかのように『耳元に手を添える』のさ。そう、佐村河内聞きをしてる人間は必ず難聴者であるかのように『耳元に手を添える』。フランケン、野々村エシディシ、ハゲ添、そして話題の風俗川も。
 そして戦う皇族さんが問題にしている肘を突き出したお辞儀。あれはコンスと呼ばれ、日本のお辞儀の様に真っすぐ伸ばしたお辞儀ではない。だが、お辞儀を教える人間がエラを張ってる場合は例え日本人でもコンスをする習慣が出来てしまう。気を付けた方が良いだろう。因みに美智子妃のお辞儀は一見するとコンスに見えるが、そうではない。美智子妃は扇子のような物を持つ為に自然とああゆうお辞儀をする。実際に扇子か或は扇子の代わりでも良いからそれを両手に持ちながらお辞儀すると良い。きっと美智子妃のようなお辞儀に成る。なので仮に美智子妃の名前を出す輩が居た場合はちゃんとこれを知っておくと良い。美智子妃を始めとして皇室の名前を出したがる奴はきっと工作員か何かかも知れない。皇室を貶める連中は絶対に信用してはいけない。
 それから少しわかり辛い傾向として唇も挙げられる。その手の工作員たる者は妙に『唇の横幅が狭い』……いや正確には丸唇の様にまるで『人と会ったら執拗にキスを迫りそうな唇』と表現しておこう。この唇の形はかのポリノーク・サマーンで話題と成った籠の子とかミズポ、それにバイブがお馴染みだ。奴らの唇は『吸い込むのに便利で更には人を不愉快にさせ、しつこく説明するとキスを迫らせるかのような形相』とそんな奴らと会話なんかしたら心の何処かに愉快出来ない何かを感じるだろう。それくらいに気持ちを不愉快にさせる唇。
 更にわかり辛い特徴としてエラ、耳朶、それと狐目、火病……数えたらキリがない。その辺に関してはやや高度な総連及び民団の手先の見分け方だろう。これが民団及び総連の手先の簡単な見分け方。皆さんもこの傾向を目にしたら先程のようなパターンを覚えておくと便利。


 と言う訳で工作員の簡単な見分け方を紹介した。どうしてこれを書き殴ったか? それは風俗通いの阿呆が変な聴き方をしていたので取り敢えず書いておこうかと思ったまでだ。補足すると次の通りだ。
 先ず、有名な富井飲みはあの国に於ける伝統的な飲み方さ。何しろ、あの国は何処までも属国精神が根付く事で有名。その一つとして目上の人間の前でのみものを喉に通す時は必ず口元を隠すか或は飲んでる姿を出来るだけ晒さないように横に向いたり、或は上島竜平(仮)政権の官房長官だったフジムンが示したように背中を向けて飲んでる姿を晒さない。これがあちらの飲み方。ああしないとあっちの国では不快に思うそうだ……そう、あっちの国ではそれで良い。だが、日本や他の国でそんな飲み方すると気を悪くするからやるな……つーか日本国内の議会や記者会見場その他諸々でやるな。普通に片手でコップを持って唇を晒しながら飲め。或は海老蔵みたいにコップの底をもう片方の手で押さえながら飲むという綺麗な飲み方でも良いからそれでやれ、と!
 続いてはあの聞き方。別名佐村河内聞き耳。あれについては正直不明ではあるが、どうゆう訳か民団及び総連の工作員共はああゆう聴き方をするんだよな。昔はよく聞き取れないと思ったけど、今じゃあそれが如何に不自然なのかを知ったね。成程、あいつらの中ではあれが儀礼だったのか。だとすればあれほど挑発的で人を不愉快にさせる聴き方はないな……実際ああゆう聴かれ方をされて良い気分に成った事は多分、ないだろう。読者の皆さんも気を付けるように。あの聞き方は例え聴力の云々以前に人を不愉快にさせる効果がある。ジョナサンが勇にやって見せた怒らせ方以上に人を怒らせるのに参考と成るだろう。
 それから肘を突き出したお辞儀。あれ自体はあの国の民族衣装を知れば何となく理解出来る。実際あれを着た後にお辞儀しようとすると自然と肘を突き出したお辞儀に成る。マアアの衣装を着ていた場合は仕方ない……が、あの衣装以外であんなお辞儀をされると何となく心にしこりを残す。というかやるな。例えお辞儀を教える奴があの連中と繋がり在りそうな奴であろうとも絶対にやるんじゃない。あのお辞儀は気を悪くするからな。やるんなら肘はしっかり伸ばせ。大体両手は両膝の上か或は手を添えてしっかり伸ばすように綺麗に体を曲げる。そうすると綺麗な日本式お辞儀と成る……うーん、絵以外で表現するのは非常に難しい(困)。
 最後がまあ身体的な特徴に近い唇、エラ、狐目、朶がない耳、火病……こちらに関しては遺伝子レベルの話に成る。それでもあっち出身かこっち出身かを何となく理解するのに便利な判断材料だろう。
 兎に角、こうゆう癖や特徴が出たら絶対に心を許さないように。そいつはきっと工作員に違いない……まあ例外も居るだろうが、大体は参考に成るしな。
 以上で時事ネタの解説を終える。

 第七十話の解説と行こうか。今回は真古式神武落城二部作の第二部。その序章を紹介した。序章はあくまで首都規模の銀河連合の襲来に備える形で代々の真古式神武指導者が秘密裏に作っておいた地下通路が活かされ、更には新兵器のお披露目回と成った。それでも血は流れ、先行きは不透明。何時までも同じ手が通じるなんて甘い。主人公優央の悲しみはまだ始まったばかり。彼がこれから見る悲劇はこんな物では済まない。
 因みに望遠砲とはいわば現代で言えば大砲のような物。というか今まで良くそんな物作ろうとしなかったよな。作っていたらある程度は戦いが楽に成ったのに……と言うツッコミが来たら改めて謝罪します。本当に無知な作者で申し訳ない。
 という訳で第七十話の解説を終わらせる。

 さあ、何時もの予定表でも行きましょうか。

 予定日五月二十九日~六月三日  第七十一話 優央の記憶 躯央からの提示       作成日間
     六月五日~十日     第七十二話 優央の記憶 銀河連合に依る恐るべき展開 作成日間
      十二日~十七日    第七十三話 優央の記憶 悲劇の再現         作成日間
      十九日~二十四日   第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉      作成日間

 七月第二週(或は第一週?)からは休載。暫くFC2小説でやってる『ブラムヘイム』の巻の五に集中する予定。それが終わり次第、再会する予定。まあ執筆速度がどれだけ速いかにも依るけどね。
 さあ今回はここまで。ゲルショッカーは落ちる所まで落ちたな。対抗心がああまで拗れるともう無理でしょうな。

雑文特別編 迷探偵市子ちゃんのデビュー 飽きたらカルピスに薄めるように短くする試作品 (2/5)

 どうもdarkvernuです。始める前に何時も通り『格付けの旅』の青魔法の章03の五ページ目が終わり、六ページ目に入りました。読まれたい方はカテゴリ欄の<格付けの旅>又は<青魔法の章>をクリック。
 さあ、青魔法の章03の五ページ目の解説もここでやるがその前に迷探偵市子ちゃんをどうぞ。

 第二の事件 校長先生のかつら盗難事件

 放課後、突如として校長がスーパー校長ブルーと成って全校生徒及び先生を運動場に集合させた!
「貴様らは髪の毛一本覚悟しておけよ。良くもわしのかつらを盗んだな!」
「校長先生が青く成ってる!」
「今日は月曜日なのに」
「きっと昨日アメゾンで購入した鋼拳6に登場する江田島の血を引くキャラアングリフのかつらなんだよ、きっと」
 と校長の身辺を知る教諭達は噂する。その声を逃さない校長はギャリック砲の構えで不届き者達を一掃--但し、殺してはいない事を明記しておく!
「わしが話してる時は静かにしろ、中学生かお前達は!」
 さて、怒り心頭の校長に堂々と向かってゆく小学生が一人……いや、二人か。それはこの二人以外に存在しない。
「お呼びでしょうか、校長先生」
「何じゃ、宮塚さんかね? それに山田君まで何の用じゃ……わしは気分が悪い!」
「またまた照れちゃって」
「何処が照れてるというんだ、そこまでわしを怒らせたいか……塵も残さんぞ!」
「チリを残さないと国交断絶されちゃうわよ」
「いや、国じゃなくて宮塚さんと山田君の肉体の事を指しとるぞ」
「そんな事よりも--」
「市子ちゃんが言うには校長先生のかつらを盗んだ犯人を捕まえてやるってお願いしてるよ」
 話が収集しないと感じて山田君自ら説明した。
「馬鹿を言え、子供の分際で」
「酷いわ。ポッポだって一応はもう七十歳に成るのに--」
「政治屋の話じゃなく、君達の事じゃ……全く怒る気も失せるわ」
「と、兎に角市子ちゃんが言うには自分に任せればスピード解決するって」
「もう一度言うが子供が解決出来る話じゃ--」
「良くぞ言ったわ。そう、名探偵市子ちゃんとは私の事よ!」
 マイペースな市子ちゃんは人の話を素直に聞かない。
「全く困った子供じゃ。良いだろう、お手並み拝見と行こうか」
「やっぱ事件と言えばアリバイよね。じゃあ山田君、至急かつらが盗まれたと思われる時間帯でアリバイがない人集めて」
「校長先生。かつらが盗まれた時間帯はわかりますか?」
「何、それはきっと二時前後だから」
 二時前後……優秀な山田君は十分前後に絞る。それからその間、校長室付近をうろうろしてると思われる人物を五人に絞った。それは全て用務員。
 やだねえ、どうして校長室に入るのよ--保健室の桜井智子先生。
 打倒、萌える兄貴--と大昔の話なのに何故か対抗心を燃やすのは清掃係を務める伊頭陣八さん。
 全くどうして校長のかつら探しに精を出さなきゃならんのだよ--普段は円形脱毛なのに何故か今日に限ってかつらを着用するのは飼育員を務める槇原龍一さん。
 わしはね、幸子の弔いをしていたというのに--とチェーンソーを右手にやって来るのは校内にある池に生息する鯉やザリガニなどを飼育するベテラン用務員大貫性さん。
 何よ、折角帰ろうと思ってたのに--普段は空き教室を占拠してオンラインゲームばかりする経理担当の彩京楓。
「犯人はわかったわ」
「そりゃあわかるでしょうね、容疑者リストの中で如何にも怪しい--」
「そう、チェーンソーを持った大貫さん!」目の付け所がおかしい市子ちゃん。「そのチェーンソーで誰を襲う気ですか!」
「ちょっと待ってよ、市子ちゃん!」
「何よ、山田君。推理を披露しようと思ったのに!」
「話はかつら盗難事件なんだよ。なのにどうして大貫さんの話に切り替わってるのよ!」
「だって大貫さんは如何にもチェーンソーで誰かを殺害しようと--」
「だから大貫さんが誰かを襲撃しようとしてる話は後回しにして今はかつら盗難事件について集中しようよ、市子ちゃん!」
「全くああ言ったらこう言うんだからさあ」
「それでかつら盗難事件だけど、一発で犯人わかるじゃないか」
「え、そうなの? 誰々?」
「先ずは尋問だよ、市子ちゃん。事件発生時に五人共アリバイが正確なのかどうかだよ」
「確かに校長室の前で……私は見たわ。何だか槇原さんが出て来たわね」
「え、本当ですか……桜井先生」
「ええ、確か一時五十六分に槇原さんが今のようなかつらを被ってね」
 これが桜井先生の証言。
「用務員を馬鹿にした漫画を訴える為に校長室を訪れているとちょうど桜井先生と鉢合わせたね。時間は確か二時前だったね」
「その時、桜井先生以外に目撃者は居ませんでしたか?」
「ああ、そう言えば朝は頭に何も付けていない筈だったのに何故か桜井先生を目撃するのと同時に槇原のおっさんが変なかつらを被ったまま慌てて校長室から出て来たのを目撃してるね」
 これがタオルで汗を拭く用務員伊頭さんの証言。
「その時はケダモノジュース飲んでいたんだ。その証拠に何だか異様に若い女性を襲いたい欲求に駆られるんだ!」
「それは何時頃ですか?」
「朝の十時だ」
「そっちじゃなくて事件が起こった二時前後の話ですよ」
「そ、その時はポーン学校の化学教師とエッチしてたんだ」
「それで名前は?」
「それは」子供には毒なのでその名前は紹介しません。「だぞ」
「では後でその学校を調べていきますね。本当にそんな名前の科学教師が居るかどうかを!」
 これが最も有力な鶏及び兎を飼育する用務員槇原さんの証言。
「わしはその時、隣の私立賀藤フルメタ高校の相良君と椿君を仕留める為に一暴れシテおったなあ……一時間も」
「やっぱり殺人を犯そうとしてたじゃないか!」
「その話よりも先に裏取りだよ、市子ちゃん」と山田君は尋問を続ける。「それはどんな理由で?」
「カトレシアという十五年間育てた鯉の仇じゃ……無念を晴らす為にわしは相良君と椿君を--」
「わ、わかりました」これ以上の理由は何か恐ろしい事が想像されると感じた山田君は証言の裏だけを伝えて尋問を終わらせる。「では後でその相良さんと椿さんに尋ねてみます」
 これが池に生息する甲殻類等を飼育する用務員大貫さんの証言。
「そうですねえ、その時はロンパーズV3のおまけモードやってましたね」
「証明する人は?」
「私です」
「いや、それじゃあアリバイらしいアリバイに成りませんよ……彩京さん」
 これが経理の彩京さんの証言。
「さて、五人全員のアリバイが証明されたんだね。うーん、犯人がわからない」
「いや、わかるよ。だってこの中で最もアリバイが証明されないのは……ですよね、槇原さん」
「何を言うか。私には完璧なアリバイがある!」
「じゃあその被ってる物は何でしょう?」
「言おうとして我慢しておったぞ!」
「こ、校長先生。こ、これは同じくアメゾンオークションで購入した--」
「馬鹿物が!」校長先生は槇原さんが偽証してる事を簡潔に説明。「それは限定一名様でしかも値は三千万も掛かった。お前は何円かけて購入したああ!」
「ウググ……そ、そうでした」その証言を持ち出されては自白するしかない槇原さん。「校長に嫌がらせしたくて盗みました。そしたら大騒ぎに成って慌てて被ってしまい……ウウウ!」
「これで事件は解決した。流石は私!」
「市子ちゃん、普通にやれば解決する事件だったよ。全く僕に要らない心配させないでよ」
 市子ちゃんの斜め下を行く推理は山田君を大いに困らせてゆく……これからも!


 と言う訳で迷探偵市子ちゃんをお送りしました。この作品のテーマはズバリ迷推理。市子ちゃんはこれからも我々も総ツッコミしたく成るような推理を披露してゆく。但し、殺人事件と言った洒落に成らない事件以外だよ。

 さて、青魔法の章03の五ページ目の解説をするぞ。とうとうデュアンのターニングポイントと成る話が始まった。最初は軽く決勝戦のダイジェストをお送りした。それからマリックとの最後の会話(また会話シーンあるだろうが、学生時代ではこれが最後)とクライツェが語った驚きの真実の公表。こうしてデュアンは後に引けなく成ってゆくんだよな。さあ六ページ目から一体どう成るか……それはそれだぞ。
 以上で青魔法の章03の五ページ目の解説を終える。

 さあ、試作品の披露はここまで。市子ちゃんの続きは来週以降と成るぞ。

格付けの旅 青年デュアンの死闘 さよなら魔導学園

 さよなら……それは決別を意味する言葉。何事にも決別は訪れる。そこに良い事と悪い事は存在する。良い事とはまた会えるという意味。悪い事とはもう会えないという意味。俺の場合は……もう会えない。
 俺とアイスマンの戦いは始まる。そのエネルギーのぶつかり合いは正に死闘と呼ぶに相応しい!
 本当の意味でルール無用の戦いではこの戦いは早々に決まると思っていた。だが、甘かった。流石は大魔道士様。俺のサンダークラッシュを受け止めやがった。しかもカウンターでリフレクションを掛けておいて完全な防御戦法に縺れ込ませやがったな!
「--フォッフォッフォ、若いのう。わしがそう簡単に引っ掛かる程ならば伊達に魔導学園を長年支配していないわい」
「--だろうな……ファイアークラッシュ!」またしても受け止められ、カウンターのエクスプロージョンが放たれた。「クウ、物理攻撃に対して魔法攻撃に依る返し技かよ!」
「--確かにお前さんの圧倒的な魔力、それに零詠唱に耐えられる異常な身体能力は若くして大魔道士に相応しい能力じゃろう。このわしが……ファントムブレイク」陣形交叉魔法だな、老獪にも。「--頭で工夫しなくちゃいけない程なんじゃから」
「--あらゆる魔法を使えるアイスマンさんが俺相手に……ディヴァインウェイブ!」陰系交叉魔法ならば陽系交叉魔法で掻き消しながら……「--オラア……エレメンタルクラッシュ!」九属性を攻撃に回す俺オリジナルの打撃魔法で叩き込む。「……な!」
 俺は驚愕--俺の右打撃をアイスマンは右掌で止めただと……その老いぼれの何処に受け止める力があるんだ!
「--フォッフォッフォ、教えて進ぜよう……これが脱力合気魔法」体内に流れる魔力が……支配される。「--ドラゴンロード・マップスじゃあ!」
 全身から血を噴き出しながら魔力の光が外へと出てゆく--それはまるで一体のドラゴンを描くが如く!
 俺は両膝から付き、そして顔面を床に強打させる。
「如何じゃい、魔力も身体能力も全てが君の方が勝るのに君はわしを見上げるしかない気持ちは?」
「--爺さんよお……ブラックハーケン!」
 不意打ちの闇系超級魔法は既に読まれ、俺の攻撃ではちっともダメージを受けた事には成らない!
「あくどいのう、デュアンや。一流の魔法使いは武術家と同じじゃ。常にハイキックがやってきたらその対策として首から上を守るように防御を展開する。それと同じように陽属性系が来たらどれでも良いから陽属性態勢を固め、陰属性が来たら陰属性を……更に踏み込めば」アイスマンはお喋りしながら詠唱を開始。「--系統有れどどれか一つでもわかる事即ちアマテラスに伝わる『百人一首』が如く!」
 百人一首……それはアマテラスに伝わる百人の代表的な短歌を絵札と字札に分けて字札を並べて絵札を読み上げながら絵札に合わせた和歌を発見するとそれを素早く取るという古来のカードゲーム。間違った札を取るとお手付きとして次の読み上げまでゲームに参加出来ないという仕組み。
「--説明する程の余裕があるなあ……これぞスターゲイト!」
 馬鹿な……スターゲイトの詠唱時間が短過ぎる--それ以上に驚くのはその破壊力が尋常じゃない事……辺り一帯を吹っ飛ばすなんてこのジジイはとんでもない傑物だな!
「フォッフォッフォ、君の敗因は若さ故に老いぼれの経験に届かなかった事よ……さて、ゆっくりと『ディー』の復活に乗り出し、この星を真に救済する為の計画『エデン』の推進じゃ……おや?」
「--ハアハアハア、デュアンロールはもっと改良しないといけないな」
「わしは加減などしておらんがな。まさかお前さんのその経典は--」
「--気付くのが遅いよ、アイスマン……意趣返しのスターゲイト!」
 俺が繰り出すスターゲイトを受けて右半身を吹っ飛ばされたアイスマン。だが、その表情は瀕死の老人のそれではない。恐怖の形相すら浮かべない。寧ろ笑みが零れるような気がして気分が悪い。
「--わしの計算違いだったな。これは寧ろ『ディー』様にとっては喜ばしい話でありましょう!」
「--何が『ディー』様だ。奴はクラリッサを殺した外道だ」
「--好きだったのか、彼女を?」
「--違うな、アイスマン……ブラッディハウリング!」尋常じゃないマナを消費してでもこの魔法を使うしかないと踏んだ俺。「ハアアアアハアアアアア、お前がして来た事は人の尊厳を踏み躙る行為だよ……だからこそ俺は、俺は!」
 フハハハアハハハハ、アハハハハアハハハ……素晴らしい素質よ、デュアン君--しまった……俺がそう思ってしまうくらいにブラッディハウリングを放った事を悪手だと思った!
「ハアアハアア、まさかアイスマン。お前は『マスティーマ』に身を委ねたというのかああ!」
 --そうだとも。そうだとも。わしは憎悪に全てを譲り受けてこの世の悪として星を破壊と殺戮へと陥れ、更には『ディー』様の為にわしは討たれ果てて晴れて救済は果たされるのだああ!--
 マスティーマ……それはユミルに伝わりし悪魔の一つ。奴は憎悪を司り、神の為に必要悪として偽悪を推進する有難迷惑な悪魔。私利私欲はなく、全ては神の救済を促す為に存在する。
 --さあ、滅ぶが良いイイイイ!--
 マスティーマの固有魔法ブラッディハウリングは炸裂--俺は更なるダメージを受け続ける!
 俺は……死ぬのか? このまま俺は死ぬ、のか? 俺は意識が途切れようとする己に向けて呼び続ける。俺自身に呼び続ける。このまま黒く、そして手足頭が単純にしか描かれない偽悪の悪魔マスティーマに依って憎悪の一部と成り果てるのか? だとするならば俺のして来た事は? 俺がここに来た理由とは? 正義の為、人の為? 俺がそんな事の為に生きて来た訳じゃない。俺は俺の興味本位の為にここまで来たんだ。いや、違うな。俺がここに来たのは……思い出したぞ!
 俺はあの月が真っ二つに成った日から神を凌駕する力を手に入れようと誓い、そしてクラリッサごと俺は真っ二つに成った月の半分を俺自身の力で粉砕して堂々と神に宣戦布告を誓い、そしてここに至る。
 俺はこんな所で死ぬ訳にはゆかない。けれども神の力を有するマスティーマを半端な魔法で倒すのは難しい。下手すると禁呪魔法に依って単純な力だけでは打ち破れないのかも知れない。きっとそうだろう。ならばどうすれば良いんだ? 如何すれば良いんだ? 俺に何か秘策を、秘策を、秘策を秘策を秘策を……いや、秘策など必要ない--そこで俺は発想の転換を図った!
 攻撃が聞かないのならそのまま包み込んでしまえば良い--こうして俺はデュアンロールの残骸でマスティーマを包み込む!
 --こ、これは……こんな物! ウウウ、跳ね返るダト! ダト、ダトダトダト!--
「--そう言えば体力を使い果たした時、一度だけ貯蔵していた体力が使われるんだったな。まあ僅か一分間しか使えない。だが、その一分間をこうして新魔法に使えば……お前はもう何も出来はしない」
 --まさかここに来てボーリングオブコスモスまでマスターしたというのかあああ!--
「--俺を誰だと思ってる? 俺は」その時、俺の頭髪は只でさえデイズ人の血を引く故に緑であったのが青白く光ったな……緑故に。「--俺はデュアン・マイッダー……お前達が嫌ったデイズ人最強の魔法使いだ……地獄の果てまで転がるが良い、ボーリングオブコスモス!」
 その魔法の球体は残った半月に向かって転がり始める。
 --止めろ、デュアン。わ、わしが悪かった! わしがお前さんをもっと大切に扱うべきだった。なあ、許せ。わしは命など惜しくもない。けれどもわしはこんな所で死ねない! 『エデン』の為にもお前さんと一致団結して一致団結してえええ!--
「俺が爺さんと……却下するね」俺は背を向けて奴の末路を見ずに『ディー』が眠ると思われる方角に向かって歩き出す。「俺は誰かと組むのが好きじゃないんだよ」
 --デュアン・マイッダアアアアアアアアアアアア……--
 やがて背中越しにも光が俺の両瞼に侵入しようとしてるのを感じる。けれども俺は意に介さず、先へと急いでゆく……じゃあな、ガガープ・アイスマン。お前は中々有難い信念を持ってたぜ。だが、その信念は他人にとっては有難迷惑でしかなかったがな。

 それから俺は初めて生の『ディー』と対面を果たした。
 --久しいな、デュアン・マイッダー--
「あんたが本当の『ディー』か?」
 --御覧の通り、私は魂の光として長年ガガープ・アイスマンを含めた魔導学園の歴代支配者達に依って保護されて来た。時にはクラリッサ・ロロリアーナのように--
「クラリッサの名前を出すな、それに」体力とマナの消耗が激しく、五感が上手く働かない気もする俺。「ハアアハアア、俺は無性に眠い」
 --成程、そう言っておきながらも徐々に内部からエネルギーを貯蔵するのが目に見える。やはり貴様も踏み越えてしまったか……『神殺しの九十九』に--
 『神殺しの九十九』……何だ、それ--突然、俺でさえも意味を理解しかねる事を言い出す赤緑の魂だけの『ディー』。
 --大昔に『シャワルン・マゼーラモア』から教わった話だ。何れ天文学単位以下の確率で最高神を軽く超える九十九の神才が目を覚ます。彼らその者は宇宙のそれであり、既に人の領域を最初から軽く超え、そして--
「長い。今の俺にそんな話を聞かされても全然聞く気に成りはしないな」
 --既にシャワルンに依ると把握出来る範囲では三体も覚醒が確認された。一体目はとある剣士であり、そして圧倒的な身体能力を以って当初最高級の最高神だったあの男を打ち破って見せた!
 二体目は従来の歴史すら支配下に置く程の悪意と野望を有し、言葉通りにそれを実現して見せた黒きレイピアを有する悪魔。
 三体目は臆病故に--
「話が長い。そろそろ俺は寝るわな」
 宣言通り俺はその場に眠ってしまった。
 --当初の予定ではグルービィ・マクスウェルの身体を乗っ取り、現世に再び参上するのが通説だったが……ウグオオオオ、時間が時間が……アイスマンの肉体すら乗っ取る事も出来ずに、そして、この男の肉体……乗っ取ろうとすれば逆にやられてしまう。斯くなる、上、は、は、は……--

 ガガープ・アイスマンの後を継いだのは彼の子息であるスローター・アイスマン。彼は『エデン』計画の全てを告白。それは惑星ディー全ての人間の意識を統一化させるという悍ましい計画。三度の魔導大戦もそしてユミル人の掲げた聖地計画も全ては『エデン』の為。奇しくも『エデン』を誰よりも推進したガガープは誰よりも人道を優先する息子スローターに依って全て否定された。勿論、『ディー』の魂が詰まったフラスコは粉々に破壊される事で『ディー』の全てをここに潰えた。
 だが、俺はまだどこか引っ掛かる事がある。『マギ五大魔法』とは何か? それに関しては結局、何も手掛かりを得られず。もしかすると俺は気付いているのかも知れない。それは直ぐ傍にある事を。だが、まだ俺は気付かない。

 それから俺は魔導学園を正式に追放された。どんな理由であれ、支配者殺しの魔術師は学園に居てはならない。スローターを初めとした首脳陣は全会一致を以ってこれを可決。それだけじゃない。俺は後一週間の内に惑星ディーからも追放されなくちゃいけない。何故か? それは惑星ディーの夜に浮かぶ月を全て粉砕した事。これは宇宙刑法に照らし合わせれば極刑に処される程の重罪。だが、惑星ディーの人間はそこまで支配下に治めておらず。故に俺を星外追放する事で手を打つしかなかった。何、宇宙空間に出たら死ぬって? 心配ない……判決が下される前に完成したんだ、デュアンロールをな!

 そして二人は俺が神を越える事を誓ったある丘に座りながら会話をする。
「デュアン、別れの言葉を言いたかった」
「何でまだあいつの事を気にするんだ?」
「酷いわ、マリック。貴方はデュアンに命を助けられたんだよ。感謝するべきでしょ?」
「誰がするか。俺は許せないんだよ。勝手に出て行ったあいつを、デュアン・マイッダーを!」
「どうして許せないの? 嫉妬?」
「わかる者か。ラキは許せないだろう、お前を置いて勝手に魔導学園を去るなんて!」
「いえ、デュアンは私に頼んだのよ」
「わかってる。わかってるけど……けど、どうして俺はあいつにラキを宜しく頼まれなくちゃいけないんだよ!」
「……」
「あいつはそれでも男か。男なら惚れた女の為に何処までも女と共に荒野を進む物だろうが。それが夫婦の営みを形成し、共に苦しみを、共に楽しみを、そして共に愛情を育んで進んでゆく物だろうが!」
「でもデュアンは……デュアンは強く成り過ぎた。だからあの人は……いえ、もう彼は人じゃあない」
「デュアン……馬鹿な野郎だ。人間の方が遥かに幸せに生きていけるというのに……なのにどうして神を踏み越えてしまったんだ!」
 俺はラキとマリックに後の事を託し、果て無き道を旅する……


 青魔法03 青年デュアンの死闘 END

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雑文特別編 迷探偵市子ちゃんのデビュー 飽きたらカルピスに薄めるように短くする試作品 (1/5)

 どうも本当は市子ちゃん自体はお詫びでも何でもない。只、お金様だけで金稼ぎ出来る筈がないという現実思考の下で六月(下手すると七月に成りそうだが)までにある所に応募する予定だったんだよな。しかもタイトル通りカルピスに薄めたかのように短く、バイト数が少ない状態でな。
 さあ、と言う訳でFC2小説用なら『迷探偵市子ちゃんの事件簿』というタイトル。だが、商業用だと諸々の事情もあるので『迷探偵市子ちゃんのデビュー』という比較的子供向けを目指してウサミちゃん風に血みどろな事件ではなく、何処にでもある些細な探偵物で勝負していくぜ。しかも探偵物では珍しい迷探偵を売りにした物語として!

 昔々ある所にお祖父さんとお祖母さんが山奥の集落で暮らしていました。ある時、お祖父さんは山で芝刈りに、お祖母さんは川で水死体ごっこしてました。
 ある時、お祖母さんはスケキヨの水死体ごっこしてる時に川上より「メイタンテイ、メイタンテイ」とホームズに良く似た人がモリアーティに良く似た人と一緒に流されてる所をお祖母さんは発見しました。
 家に帰って来たお祖父さんはその二人を尋ねると--
「待って、市子ちゃん」
「何、今から良い所なのに」
「市子ちゃんが探偵を目指している理由と桃太郎の話は如何関係するの?」
「ここからが面白い所なのに。つまり私のお祖父さんとお祖母さんが話してくれた桃太郎に憧れて私は世界一の迷探偵を目指す事にしたの」
「いや、わからないよ。それに面白い所話す前に感想言ってるよ、市子ちゃん」
「まあ兎に角、名探偵宮塚市子はデビューしたのよ。さあさあ、山田君。最初の事件を探しに休み時間を利用して走り回るわよ!」
「結局市子ちゃんがどうして探偵を目指してるのかわからないよ」
 彼女の名前は宮塚市子(みやつか いちこ)……元気溢れる小学一年生。
 何時も彼女の隣に居るのは幼馴染で助手の山田菊太郎(やまだ きくたろう)……市子に想いを寄せるやや引っ込み思案な小学一年生。
 彼らは事件の匂いを嗅ぎに教室を歩き回るのだった!

 第一の事件 1-2担任ブラジャー盗難事件

「キャアアアアア!」
 叫び声を聞いた市子ちゃんは瞳を輝かせて女子職員更衣室へと山田君の右手を引っ張りながら走ってゆく!
「どうしたのおお、彩峰先生!」
「コラ、ここは先生専用の更衣室なのよ!」
「大丈夫、私は名探偵市子ちゃん。事件なら何でも解決すると有名な小学生私立探偵なのよ!」
「コラ、子供には関係ないから」
「えっと彩峰先生。市子ちゃんは一度言ったら絶対に止まらないから素直に聞いた方が身の為だよ」
「だから子供には関係ないから……さあさあ、出てって!」
 と彩峰先生は山田君ごと市子ちゃんを廊下に放り出して更衣室の扉を閉めて鍵を掛けていった!
「こう成るのは予想--」
「こんな事もあろうかとこっそりスペアキーを作って貰ったの」
 そう、山田君の言うとおり市子ちゃんは一度言い出したら止まらない--何とこっそり学校中の全ての鍵のスペアを作っていたのだった!
「まさか又、青野さんの所に行って来たの?」
「駆能ちゃんに頼んでみたら断られたから仕方なく駆能ちゃんのお祖父さんに頼んで作って貰ったよ」
 山田君は青褪めた表情で「恐ろしいよ、君が」と呟く。
 さて、勝手に作ったスペアキーで同様の表現の如く開けた市子ちゃんは再度事件について尋ねる!
「え、どうやって開けたの?」
「フフフ、名探偵は時として鍵を用意するのよ!」
「完全に泥棒の手口だよ、市子ちゃん」
「わかったわ。そこまでやられたら白状するわよ!」
 そこで判明するのは彩峰先生の大事な柳生十兵衛ちゃん柄のブラジャーが盗難された。破廉恥学園で人気を博した十兵衛ちゃんが左右にあり、それ以外は白の生地で構成されるシンプル且つマニアックな大人用ブラジャー。因みにサイズはAからBカップまで。AAカップ以下又はCカップ以上は着用出来ない。
「そこまで説明する必要あるでしょうか、彩峰先生」
「いや記す必要あるわ。犯人はきっとブラジャーを着用したい変態か或はオタク趣味な女職員の誰かよ」
「じゃあ早速……ところで今何時?」
「十三時十一分だよ」
「私がここに駆け付けた時は十三時よ。つまり犯人はその十分前後でアリバイがない生徒及び教職員よ!」
「じゃあ今直ぐその付近の人達を集めて来ます……行くよ、市子ちゃん!」
「ええー面倒臭い」
「あのねえ。探偵はこうして頑張ってるんだよ」
 彩峰先生は二人を見て本当に事件が解決するか悩む。それもその筈、実は市子ちゃんは飽きっぽい性格。才能こそ十分なのだが、相撲をしようとも水泳しようともサッカーしようとも僅か三日位以内に飽きる。当然、今回の探偵だって三日以内に飽きるだろうと誰もが考えるのである。
 さて、容疑者は次の通り。
 わしがどうして美奈子ちゃんのブラジャーを盗まなくちゃいけない--早速服の上から十兵衛ちゃんのブラジャーを着用する1-3組担任の栗林洋三郎先生……因みに彩峰先生の下の名前は美奈子。
 きっと犯人はハガクレタロスケだべ--こっそり十七歳未満は購入出来ないあるアドベンチャーゲームをして、すっかり嵌ってしまった2-6の生徒十神蘭太郎君。
 ああ、どう見ても栗林先生が怪しいよ--と別件で盗んだ大人用の黒の紐パンを左手に匂いながら右人差し指で栗林先生を指すのは3-5組担任植草滋明先生。
 コラ、ちゃっかり逃げようとしてるんじゃないわね--と右手で植草先生の首を掴むのは黒の紐パンの持ち主である3-4組担任の音原良子先生。
 言っておくけど、僕は犯人じゃないから--とこっそり持ってきたジャムパン二個を頬張る1-4組生徒の山田元太君。
「犯人が一発でわかったよ、市子ちゃん」
「うん、そうだね。犯人は元太君……君だよ!」早速間違った市子ちゃん。「まさか口の中にブラジャーを頬張るなんて大胆な隠し方をしてるわね」
「いや、市子ちゃん」
「何よ、推理の邪魔をしないでよ」
「犯人は絶対に栗林先生だって」
「そんなの嘘だよ。栗林先生はきっとアメゾンオークションで買って来たブラジャーを着用してるから」
「いや、アメゾンオークションの話は忘れてよ」
「じゃあ山田君はどんな推理を披露するの?」
「普通に尋問すれば良いだけだよ……えっと先ずは栗林先生。事件発生当日、何処に居たの?」
「その当日は隣のロッカーに有った美緒ちゃんのブラジャーを着用していたんだ」
「何て不潔な先生なんだ!」
「コラ、更衣室に忍び込んで逃げようとしないの」
「だ、大体これはその時にたまたま風で飛んで来たんだ。それを美奈子ちゃんに返そうと思ってたんだよ」
 こうして栗林先生は自供した。
「やっぱり栗林先生だったのね!」
「ど、どうして盗んだ挙句に今まで着用してたの?」
「だ、だって美奈子ちゃんのバストサイズを知りたかったんだよ……うわああああん!」
 何という悲しい事件。こうして栗林先生と植草先生は校長に呼び出され、減俸半年と一ヶ月の謹慎処分を受けた。
「流石は私ね。たった一回で二つの難事件を解決したのよ!」
「いやいや、市子ちゃん。栗林先生がわかりやすい犯行と供述をしたお陰だし、それから植草先生は音原先生が捕まえたんだからさ」
 こうして市子ちゃんは迷探偵としてデビューを飾った!


 と言う訳でプロローグまで書き殴ったぜ。この物語のテーマはズバリ『迷推理』。市子ちゃんの推理はあの毛利小五郎や剣持勇でさえやらないだろうというような迷推理を披露。余りにも迷推理過ぎて山田君が何度もツッコミを入れるという構図で攻めてゆく。
 題材としては珍しいが、この題材で注意しないといけないのは一つ……それが殺人事件など洒落に成らない類の事件は絶対にやらない事。基本的に殺人事件とは人が死んでるのでそんな大事な場面で迷推理なんかされたら洒落に成らない。なので迷推理が冴えるのはまだ洒落が通じる事件のみ。それがこの作品の方針。最もハルヒみたいなタイトルだけど、パクってないよ。パクってるとしたらウサミちゃんシリーズだろう。あっちもあっちでクマ吉君は殺人までは犯さないので洒落は通じる……筈。
 と言う訳で市子ちゃんはここまで。来週の同じ曜日にこれをやるかはわからないよ。だって金稼ぎの為に書くんだからあんまり思い入れとかしないぜ。基本、自分は金稼ぎってのが好きじゃない性分だしな……とは言っても金を稼がないと明日を生きられないのも事実だしな。悩ましい限りだよ。

一兆年の夜 第七十話 優央の記憶 終わりの序章(五)

『--この戦いは薄氷の勝利に終わった。確かに勝利である事は大きい。しかし、勝利
とは最終的に銀河連合を全て倒してこそ完全なる勝利を意味する。だが、幾ら勝利する術
を持とうとも銀河連合を全て倒すという術を僕達は知らない。知らないという事は絶対に
銀河連合を全て倒せない事
を表す。なので今の時代に生きる僕達が果たすべきなのは
現時点である最良の倒し方を続けるしかない。
 その方法の一つが望遠砲と望遠刀、翼持刀に依る射撃武器の一斉斉射。どちらも組み
合わせれば現時点での銀河連合の掃討に向く。それでも穴を見つけて奴らは懐まで
近付く。そうゆう時にこそ近接戦を得意とするシレンデン達の出番が回る。
 唯、この戦いはまだ終わりの始まりでしかない。空からの攻撃はまだ終わってない。
猶予は後三十の年より後。それまでに僕達は空への迎撃の方法を模索しないといけない。
もっと望遠砲の飛距離を伸ばすべきなのか?
 いや、終わってしまった話を幾ら探っても意味がない。これは僕が死の間際に記録する
代物なのだから。今は防衛線を何とか勝利に収めた後に最愛の史烈と抱擁を交わす時の
事を綴らないといけない。そう、それは--』

 五月二十六日午前九時十四分二十三秒。
 場所は真古式神武六影府第四南地区出入り口前。
 あ、優央様だあ--史烈は真っ直ぐ優央の所まで走って来る!
 彼女の勢いを追仕留める足腰も踏ん張りも持たない優央はそのまま、後ろのめりに倒れてマンメリー達に依る支えがなければ硬い地面に後頭部をぶつける所だった。
「危ないな、史烈」
「良かったあ。優央様が前線で戦っていると聞いていても経っても居られなかったんだよ!」
「別に後方で叔父さんと一緒に眺めていただけだよ」
「僕はちゃんと指揮を執った。もしや見て学習してなかったな?」
 御免--落ち込むような表情で謝罪する優央。
「コラ、優央様。何でもかんでも謝るのは雄らしくありません。もう直ぐ成者なんですから一名前の雄として顔を上げなさい!」
「でも僕にはみんなみたいに優れた所は--」
 名前の通り優しい所が優れた所ですよ、優央様--と史烈は本者の気付かない長所を言った。
(優しい所? 僕が?)
 優央は初めて聞かれた事ではない。実は産まれた時にもある者にそう言われた事があった。次に叔父である躯央に。三番目に史烈に、四番目にマンメリーに、そして五つ目は同じく史烈に。つまりこれで五度目である。だが、優央はある事を考える。
(あれ、最初は誰に言われたんだ? もしかすると余りにも幼い頃に言われたから僕自身も覚えていないのかも知れないな)
 如何したんだ、優央--と何か考える躯央は尋ねる。
「いや、何でもない。それよりも」優央は思い出せない事柄を後にして熾烈を抱擁しながら立ち上がる。「さっさと臨時首都だったかな?」
「ああ、タイガーフェスティはもう銀河連合の住処と化してしまった。しかも今の戦力では取り返す事も出来はしない。なので僕達はここで雌伏の時を待ち、準備を進めて行かないといけない!」
「そう成リマスネ、躯央様」
「雌伏……まだ戦うの? どうしてまだ戦おうとするの?」
「こ、恐いのか?」
「うん、恐いなんて物じゃないから」史烈はどうしてなのかを短く語る。「何時か優央様と離れ離れに成る気がして!」
 史烈……まさか--優央は雌の勘である事を遠い記憶より思い出す。
 それは次の通り。優央が思い出したのは死ぬ間際に母天同優希が何度も何度も幼い優央に語った言葉。それは--私は雌として産まれて良かった。何故なら私は愛を通して明日を見据えられるの--と。それを己が死ぬ間際に七度も、そう七度も優央に聞かせた。
「その予言は強く受け止めよう」これらを理由に優央は史烈が口にした事を忘れないよう促す。「でも忘れてしまう……もう一度言ってくれないか?」
 うん、優央様と離れ離れに成る気がする--優央に応えるように史烈は同様の言葉を口にする。
「有難う、史烈」
「そろそろ中ヘ入りましょう、優央様。それに史烈モ」
「マンメリーの言う通りさ、優央に史烈よ。何時までも立ち話してると後続の更にはもんで必死に立つ彼らの気が休まりはしない」
 あ、そうだったね--と優央は俯く。
「もう、優央様に言ったのに直ぐ忘れちゃって」
「御免、反省するさ」
 それから躯央、優央達防衛軍は六影府へと入ってゆく……
(やっぱり僕には無理だよ。僕にはみんなを引っ張る勇気がない。何一つ秀でた部分もない僕に何が出来るっていうんだよ!)
『--こうして上向きに生きようと考えるまでに僕は何一つ自信もない。だが、仕方の
ない話さ。成者に成るまでの僕は実際には何もしなかった。只、真古式神武の跡取り
として最低限、国民を安心させ、癒しを与え、そして彼らに生きる希望を提供する
しかない。僕が何か出来るとしたらそれしかない。史烈や母さんみたいに雌ではないから
一生懸けても雌の勘を持つ事もない。叔父さんみたいに頭が優れていて肉体面で何も
出来ないけど頭脳面で様々な事を考案し、それを実行に移すだけの能力も持たない。
父さんみたいに前線で戦い続けられるだけの身体能力も備わってない。マンメリーみたい
に体を張れる程許された立場でもない。でもこれは今を思えば笑って過ごせる話だよな。
僕は何も持たないからこそ持たないという優れた部分を発揮出来たんだよ。でもまだ僕
はこの長所にまだ気付かない。いや、気付かなくて当たり前だな。
 さて、今回の話はここまで。けれどもこれはまだ準備段階及び終りに向けた動向で
しかない。叔父さんが望遠砲を用意して真正神武の領地に食い込まないように銀河連合を
追い払う準備をしたようにこの物語はこれから来る様々な提示、展開、再現、そして終焉
へと至るまでの動向と準備でしかないんだ。当時の僕は更に物わかりの知らない年齢
だった事もあって叔父さんがどうしてあんな提示をしたのかも気付かない。そして提示
通りに銀河連合は恐るべき展開を仕掛け、更には取り返しの付かない悲劇が目の前で
再現
され、最後に僕の代で真古式神武が終焉へと至った。
 さて、今回は終わりへと至る序章について短く纏めた。次回からは叔父さんが死ぬ間際
に出した提示
について紹介しよう。
                               終わりの序章 完』

 ICイマジナリーセンチュリー二百八年五月二十六日午前九時三十分三十秒。

 第七十話 優央の記憶 終わりの序章 完

 第七十一話 優央の記憶 躯央からの提示 に続く……

一兆年の夜 第七十話 優央の記憶 終わりの序章(四)

 午後七時十分八秒。
 場所は第五避難区。真正神武の領域より南南西から成人体型六十七の所に位置する。そこは躯央及びタイガードライバーの命じるがままに一大決戦所と化した。
 ここで真古式神武真正軍はたったの一万でその十の倍以上も向って来る銀河連合の大群を迎え撃つ。だが--
(幾ら何でもこんなの防戦一方で援軍頼りの戦略なんて勝ち目ないじゃないか)
「優央様」
「あ、マンメリーか。何か言いたそうだね。思った事を尋ねてくれ」
「イエ、俺も優央様ト同ジ考えです」
「いや質問してくれ、マンメリー」
「済ミマセン。優央様ガ考エル事はこうですよね? 確かに倍の数ニ対シテ防戦一方で勝てる訳がない。仰ル通りです。俺も同ジ考エデス」
 やっぱ考えは御見通しか--とマンメリーに読まれて若干苦い笑いを浮かべる優央。
「そりゃあソウですよ。だって俺は優央様が産まれた時カラズット遊び相手として付き従ってきましたよ。古式神武の恵弥めぐみ様の時代からレヴィルビー家ハ代々ノ象徴に仕えて来ましたので」
 だから斗手俺様たちより模古式神武乃天同於知ってる斗自慢するんじゃない--といきなり優央とマンメリーの横に立つのは齢十九にして二十八日目に成る神武鬼族の少年ヤマビコノシレンデン。
「またお前カ、シレンデン」
「俺様乃方牙年上だぞ、マンメリー。いい加減似敬意於示せよ」
 それはお断リダネ--と生意気坊主のマンメリーはやや丁寧に断りの言葉を送る。
「まあまあ、二名共。今はその喧嘩に対する意気込みを銀河連合にぶつける方が良いよ」
「全く優央様端甘い考え於持ってます那亜」
「どうゆう意味か教えてくれ、シレンデン」
「それ端自分出見つける事だね」
 また何時もの放り投げね--どうやらシレンデンは何時も何か意味の深い事を口にしながらも尋ねられると放り投げる癖がある模様。
「ここで何を油売りの真似をしてまああああうすか」とやって来るのは齢三十三にして三の月と二十九日目に成るエウク馬族の中年真島ポニー郎。「そろそろ銀河連合が攻めて来ますぜええい!」
 そうだった、持ち場に付かないと--ポニー郎に注意されるように優央を始めとした三名は自らの持ち場へと戻ってゆく。
(僕の持ち場は重要な生命故に叔父さんの所だよ。叔父さんの所まで急いで--)
「足に力ガ入リ過ぎておりますよ、優央様」
 あ、うわ……イデデ--マンメリーが言った傍から前のめりするように転ぶ優央。
「大丈夫デスカ?」
「ヘ、平気だよ」血が出る程の擦り傷じゃないと主張し、マンメリーの差し伸べた右前足を焦らず自らの右手で穏やかに掴みながらそれに助けられるように立ち上がる優央。「イデデデ、僕は情けない生命だよ」
「また始マリマシタネ、優央様ノ良クナイ所。確かに誰モガ前向キニ考える事は出来ません。それでも」そう言いながら優央の両肩を強く握るマンメリー。「少しは楽観的ニ考エテ下さい!」
「そんなの現実を見ない考えだよ!」
「楽観的な考エトハ意志を持った者が果たせる前進。悲観的な生命ハ何時だって気分がそうします。楽観的ノ何ガ良くない……寧ろ悲観的ニ考エル方ガ良くないのです。だから--」 わかったからもう掴んだ足を離してくれ--と強く握り過ぎるマンメリーについ、骨にひびの入りそうな音が響き出す優央。
「あ、済ミマセン。つい熱ク成りました」
「はあはあ、わかったからそろそろ僕達の持ち場に戻ろうよ。お前の気持ちは十分伝わったからさ」
 やっとの事で集合時間の僅か三の秒以内に到着した優央とマンメリー。余りにも絶妙な歩調に躯央は然るべきなのか或は褒めるべきなのかを一瞬だけ迷った模様。
(意外にも叔父さんが叱らなかったよ。本来だったら警鐘から僅か数の秒遅れただけで説教が始まるのにね)

 午後八時三十六分四十二秒。
 倍の数でありながらも真正軍は有利に事を運ばせる。どうして有利なのか? その訳は次の通り。
(凄い。これが叔父さん達が言ってた切り札なのか。僕の知らない所で既に望遠砲ぼうえんほうを完成させていたなんて)
 望遠砲とはいわば望遠刀、翼持刀に変わる対銀河連合用の射撃武器。丸い穴に円弾と呼ばれる鉄製の巨大な弾を装填して最大射程成人体型六十七から百三十四までの銀河連合に命中させる事が可能。全長は大体熊族に比肩する大きさ。その上で足が二つある。その足は水車の技術を応用した歯車式の代物。つまり、力がない生命でも押せば運んで行ける。更には歯車式故に一発射出する毎に後ろに転がりやすい問題を解決する為に望遠砲を固定する為の足が用意。その足は二本あり、それを柔らかい地面に突き刺す事で固定を可能にする。但し、連射した場合に於ける徐々にずれていって最終的には突き刺した足が外れて転がるという問題点は解決済み。それは躯央が次のように説明する。
「--つまり固定足二本には副固定足が付いてある。一本につき八つ。しかも突き刺した際にその反動で八本とも開いてくれる。これのお蔭で一発一発放つ毎に足がずれていくのを少しはマシにしてくれる」
「良くわかるようで良くわからない」
「まあな。この兵器のお蔭で少しは食い下がれる。まあ少しだけな」
「父さん達の頑張りは別に意味のない事じゃないんだね」
「でもこの望遠砲も問題があるんだな」
「え、問題?」
 それについては躯央自ら優央に聞かせる。それは巨大故に製造費用が高い事。それから連射性が望遠刀及び翼持刀に比べて遅い。再装填時間が掛かる。どれくらい掛かるかと説明すれば次のように成る。
 それは一発撃つ毎に一々中を点検しないといけない。点検もせず二連射すれば暴発事故の原因にも成る。実際、事故が発生して軍者が五名ほど命を落としたという事例まである。故に再装填する前に点検をしっかりしてからやらないといけない。それだけに手間足間及び翼間の掛かる代物。
 その再装填時間は何と最速で二の分と五の秒掛かるとの事--これではその隙を突いて銀河連合に攻め入られてあっという間に制圧されてしまう!
「じゃあ結局は何の解決にも成らないじゃないか!」
「ああ、解決策にも成らない……だが、その穴を埋める為に望遠刀及び翼持刀部隊は用意してある」
 それは少数の十五から三十名の十四部隊。だが、再装填までの橋渡し役として最適。物部刃が尽きる頃には再装填が完了し、陣地に逃げると共に脱出--と同時に円弾の嵐が銀河連合の群れに押し寄せる!
「凄いよ。流石は叔父さんだ!」
「だが、これも一時的に過ぎないのだ。こうゆう戦法はやがて銀河連合に依って真似られ、対策も採られ、我々は制圧される。メラリマ姉ちゃんも烈闘兄ちゃんも同じ考えだろう」
「伯母さんと父さんがそんな事を!」
 いや、考え過ぎだな--と躯央は思い込みを撤回する。
 さて、撤回する頃合にポニー郎が報告しに駆け付ける!
「躯央様……銀河連合の群れは数の千も余力を残したまま古式神武方面に撤退していきまあああうす!」
「そうか……まずまずの勝利だ!」
 勝利……薄氷の上であろうともこんなに嬉しい事はない。これは躯央だけでなく優央も次のように喜びを示してゆく。
(やったよ、タイガードライバー、ジンディー、チーテル、それにクマ豪にゴンヅルオ……そして逃げ遅れたタイガーフェスティを始めとした古式神武各地で静かに暮らして居た国民よ。お前達の無念は少しではあるけど、晴らせたぞ。こんなに嬉しい事は何処にあるんだよ!)

一兆年の夜 第七十話 優央の記憶 終わりの序章(三)

 五月二十四日午前十時零分二秒。
 場所は真古式神武地下通路第二休憩所。
 突如として轟音が鳴り響く。とうとう空より銀河連合が降り注がれた!
(とうとうここまで来たか。そろそろ僕達は黙ってここで眠る訳にはゆかないな)
 優央、躯央、それからマンメリーは仮眠と他にもやってくる避難民の為に第二休憩所に足を止めていた。既に春風史天、史烈親子ら一般生命達は避難は完了した後だった。残るは優央達三名と真鍋ベア豪、それから齢三十四にして八の月と九日目に成る神武猿族の中年ミチナカノゴンヅルオのみ。ベア豪は者一倍生きる事に執着する物のゴンヅルオはその反対だった。
「どうせおらが生きたって何の意味もない」
「どうしたんダア、ゴンヅルオ。生きる事は楽しみを見つける事でもあるゾオ」
「これからも死者っの度、喪に服っしていくんだろう? そんなの耐えっられないよ!」
「甘ったれた事言うんじゃナアイ。生きてる限りは--」
 止セ、それしか道がないという考エヲドウシテ変える暇があるか--とマンメリーはベア豪の左肩に右前足を乗せて諭す。
「クゥ、どいつもこいつも原初の考えに回帰しおっテエ!」
「史天もそうだが、保守的な考えが広まったのは--」
「おっとそれ以上は後で聞くから今は死にたがり屋はここに残してそろそろ避難してゆくのが先決ですゼェ」
「済まっない、済っまないんだ。おらはミチナカノ家を絶えさせたとして想念の海にて叱られるだろうって」
「ルケラオス虎族の佐々木家もそして貴重な神武にある猿族のミチナカノ家、後は--」
「用のない話ヲ為サル場合ではありません、躯央様。行キマショウ」
「本当に残るの、ゴンヅルオ?」
「心配っしないで下さい、優央様。只では銀河連合達の腹の中に入っりませんぞ」
 それなら良いけど--とゴンヅルオに背を向ける前の優央は何処か寂しそうな顔だった。
 こうして優央達四名はゴンヅルオを残して第八通路へと足を運んでゆく……
(御免、御免、御免、御免)

 午前十一時十一分二十三秒。
 場所は第八通路。そこは平均的な人族の雄なら三名ほど通れる幅。故に四名は後三の分に第十通路へと足を運ぶだろう。
 だが、銀河連合の流れ星の中には頑丈で尚且つ深く潜り込む個体が一つ--それが四名の前に立ちはだかる!
「早く避難シナイト生キ埋メニ成るってのに!」
 ここはわしに任せロオ--クマ豪は三名を強引に全長成人体型一とコンマ二もあるアルマジロ型の上を器用に飛び越えるように遠投!
「イデ……クマ豪!」
「ウオオオオ、わしはこいつを倒してから行クゥ!」
「で、でも--」
「大丈夫デスヨ、優央様。クマ豪ハタッタ一体ニヤラレルヨウナ軟な生命じゃあありませんよ!」
「それでも心配だ--」
「如何しタア、如何しタア……その程度でわしを食べる気カア?」クマ豪は何度もアルマジロ型を投げ飛ばして余裕を見せる。「これが八百もの年以上もわしら全生命を苦しめた銀河連合とは……片腹痛いワア!」
「行こうか、優央。クマ豪は誰よりも生への執着が高い雄。死ぬなど万が一にも有り得ないよ」
 躯央に諭されるように優央は背を向け、走ってゆく!
(僕は予感する。クマ豪は……クマ豪は!)

 午後二時四十一分三十七秒。
 場所は第十一通路。そこは第五通路と同様に狭い。だが、地面の方は柔らかい。故に掘り起こせば熊族でも通れる可能性はある。最も掘り進めたとしても距離は成人体型五十八。とてもではないが、時間が掛かり過ぎる。
「ねえ、叔父さん!」
「どの道、クマ豪は通れないって? 何を言ってるんだ。第十通路の分岐点に第十三通路があっただろう」
「あ、そう言えばそれを知らなかった」
「全く優央様ハ記憶力ニ難がありますね」
「まああそこはあくまで未完成の通路だし、どっち道クマ豪のような巨大な種族達は第十三通路の奥にある高さ成人体型百もある井戸から上って脱出しないといけない……がこれは流石に銀河連合に依る集中砲火を受ける羽目に成るからな!」
 ウウウ、クマ豪--地下通路に入って三度目の号泣をする優央!
「思う存分泣いておけ、優央。僕はもう泣く気力もない。古式神武の象徴だった真緒みたいに泣けたらどれだけ良い事か!」
 涙も時には必要……デスネ、躯央様--とマンメリーは埋め合わせをする。

 午後五時五十七分五十七秒。
 場所は地下通路真正神武側出入り口。そこは旧第二北西外郭地区跡。
 優央、躯央、そしてマンメリーは一の日ぶりに沈むお日様を見つめる。いや、同時にタイガーフェスティに降り注ぐ銀河連合の群れも目撃する!
(御免よ、逃げ遅れた真古式神武の国民。そして遥々タイガーフェスティまでやって来た新天神武の者達よ。僕にもっと力があったら--)
「何を考えるかは皆までわからずとも大体は見当が付く」優央の左肩に優しく静かに右手を乗せてこう助言する。「力なんて幾ら個者が身に付けようとも救えない者は救えない……それが現実だ」
「で、でも--」
「でも何もない。僕達は死んでいった者達が居るからこそ……己が無力であると理解するからこそ前に向かって進んでいけるんだよ。お前はかつての僕と同じように何もかも抱え過ぎるんだよ。抱え過ぎた所で何も救えない。お前の父烈闘や母優希は何の為にお前を産んで育てたのか? 無力である事を後悔する為に産んだのか?」
「そ、そうだよね。僕は無力だと後悔する為に産まれてそれから両親に後悔させる為に育てられたんじゃない。僕は何て事を考えていたんだ!」
 そう、それで良いんだ--と少しだけ優し気に微笑む躯央。
 だが、優央が賢い行動をするよう考えが及ぶ前に地下通路があった大地が次々と崩壊。そこから頭を出すは……銀河連合達!
「出て来ましたぜ?」
「数ガ多過ぎる」マンメリーは大体の数を次のように説明する。「大体千、いや……小型個体ヲ目視シタダケデ万は上る!」
「圧倒的に利がない。直ぐ様、第五避難区まで下がるぞおおお!」
 果たして生き残った優央達は一名も欠ける事なく万にも上る銀河連合の襲撃から逃れる事が出来るのか!

一兆年の夜 第七十話 優央の記憶 終わりの序章(二)

 午後三時十五分四十三秒。
 場所は地下空洞。第五通路。そこは非常に狭く、平均的な成者人族の雄一名しか通れない幅で熊族や鹿族等は身体的な特徴や大柄故に苦労する。
「一列に並んで進むなんて銀河連合にしてみれば絶好の機会じゃないか」
「叔父さん、これはどうしてそう成ってるんですか?」
「地盤沈下の恐れがあるんだ、僕達人族が二名ほど通れる幅にすると……とそれについては休憩所まで進んでから簡潔に説明するから待て」
「簡潔ねえ」優央は蒸し暑い事を気にする。「只でさえ夏の時期なのに更には熱が籠りやすいこの洞窟を急いで通る苦痛は耐えられるかな?」
 耐エルシカアリマセン、優央様--とマンメリーは優しめな音量で励ます。
(確かにこの熱も叔父さんの言う通り銀河連合にとっては絶好の機会かもしれないね)

 午後五時二十四分十一秒。
 場所は第一休憩所。そこは縦成人体型十、横成人体型八、高さは成人体型五という極めて狭い場所。縦成人体型三、横成人体型コンマ五の長椅子は二つしかない。大変苦痛が伴う。
 おまけに酸素の濃度が薄いせいなのか、全員が倦怠感に襲われる。
「済まないス。こんな御持て成しでしかみんなの役に立てないス」そう語るのは齢二十九にして八の月と八日目に成るメデス蟷螂族の青年ジンディー・ムシャリーニ。「俺は何て情けない軍者ス。口だけで武の才能は先祖達のそれ以下ス」
「クヨクヨするな、ジンディー。お前は良くやってる。確かにお前の十五名の兄達に比べたら確かに……だが--」
 やっぱり俺は情けないんス--と直ぐ早とちりするのがジンディーの良くない部分。
「話を最後まで、聞いてくれ」若干、熱くなり過ぎて調子を変に上げてしまった躯央。「ハアハア、兎に角お前は良い嫁さんを貰って今では九十七名の親父じゃないか」
「えへへス、照れますなあス」
 ジンディー、黙ってろ--と更に早とちりなのは齢三十にして三の月と十日目に成るロディコチーター族の中年チーテル・バーバリッタ。
「何だとス、ハアハア……チーターの癖にス」
 おうおう……はあはあ--共に三の日以上も地下通路で作業していた為に若干息が荒い模様。
「兎ニ角、お前達ハ落チ着け」
「全くだよ。休憩が休憩に成らない」
「今、時間はわかるか……チーテル?」
 宣告時間まで凡そ十八の時が切ろうとしてる--と時計を確認して報告するチーテル。
「ジンディーもチーテルも急いで真正神武の所まで避難してよ」
「それは出来ない相談ス」
 俺達はここで一名でも多くの生命を通さないといけないんだ--とタイガードライバーと同じ事を口にするチーテル。
「摂政である僕の命令でも、か?」
 残念ですが--とジンディーよりも先に意志を通すチーテル。
「カミさんに言って下さいス。俺は俺なりに任務を全うしたス、とス!」
「全くお前達ラシイナ」
 生意気坊主に言われたくないな--と十五も年下で尚且つタメ口のマンメリーに苦言するチーテル。
「で、でも必ず生きてくれ。僕は生命が死ぬのは悲しいんだよ!」
 出来れば、ですが--と敢えて諦観するような口振りのチーテル。
 その声の高低を確認した躯央は何も口にしない。反対に優央は何度も説得を試みる。だが、地下通路の酸素濃度の薄さの前に僅か十の分で根尽き果てた。
(僕は結局誰も助けられないんだね)

 午後十時三十一分三十七秒。
 場所は第六通路。その道は長く、そして天井が低い。その高さは何と成人体型一。つまり、人族ならば屈んで進まなければいけない高さ。
「ここも地盤沈下の恐れがあってあんまり高く作る事が出来なかった」
「あ、そう言えば休憩所で叔父さんは説明してくれるんじゃありませんでしたか?」
 細かい事を思い出さないで貰おうか、優央--とすっかり忘れていた躯央。
(銀河連合が空より一斉に押し寄せるまで恐らく後十四の時? それにしても個々の狭さと言ったら。それに一々土をこすりながら進むと……うわ、えっと右肘の先、尋ねよう)
「何だ、優央?」
「右肘から手までのこいつは何て言うんだっけ?」
「それは上腕……成程、お前も擦り傷が増えて来たな」
「有難う、叔父さん」
「カンガルー族の場合ハ尻尾マデ擦り傷が増えて……イデデ」
「確かにカンガルーも屈める体勢じゃないから僕達と同じく匍匐前進するから辛いなあ」
「その際に尻尾が上向キニシカモ天井を擦ってしまいます」
「我慢するのだ、二名共。後少しで少しマシ第七通路に入る」
 と躯央はまるで地下通路の地図を頭に叩き込んでるかのような口振りで二名に語る。
(確か地下通路は合計十五の通路で構成されるんだったね。それから第七通路は確か--)

 二十四日午前一時一分四秒。
 場所は第七通路。真正神武行きは凡そ二の時も時間を掛けて下へと降りてゆく。古式神武行きなら凡そ一の時と四十二の分掛けて上に登ってゆく。その中間地点は実に狭く、馬族の生命はどうやっても通れない模様。
 優央、躯央、それからマンメリーはその中間地点を通ろうと苦労する。
「イデデデ、服も破ケテ更ニハ余計に傷が増す!」
「頑張れ、マンメリー。後少しで尻尾が通る!」
 ウググ……ヨッシ--ようやく体の大きいマンメリーは通り切った。
「だが、次は会談だ。後十の時経てば否が応でも銀河連合に依る質量攻撃が襲来する。そう成ればこの通路は地盤沈下を起こしてしまうだろう」
「その為にもジンディー達の意志ヲ背負ッテ我々は進まなければいけないんですね」
 じゃあ行こう、二名共--と優央は熱さや酸素濃度の低さと格闘しながらも大声を出して鼓舞した!
(眩暈が、気分が、色々あってそろそろ眠りたい。でも、まだこの階段がある。どうして階段を上らないといけないんだろうか?)
 道の険しさに思わず眠る所だった優央。そんな彼の眠気を覚ますのは付き者の役目。マンメリーは自らも限界に近いと感じながらも使命を果たしてゆく。

 午前四時五十七分四十二秒。
 場所は第二休憩所。そこは第一休憩所よりも平均して二倍も広い。おまけに形こそ同じでも長椅子は四つもある。休憩するには十分過ぎる。
 三名は疲労と格闘しながらようやく辿り着いた。
(それにここはまだ空気が良い。四隅に置かれてある活性炭のお蔭かな?)
 あ、やっぱり優央様だあ--優央の向かって走って来るのは齢十六にして二日目に成るプラトー人族の少女。
「うわっと!」少女に飛び付かれて思わず、尻餅する優央。「良い匂い……じゃなくてその声は史烈?」
「そうそう、プラトー人族の春風史烈とは僕の事だから」
 だから一名称を私かあたしにしてくれよ--と雌なのに雄の一名称を使う史烈に何時も通り注意する優央。
「それじゃあ僕の個性が消えるでしょ。優央様は相変わらず上から目線なんだからさあ」
「個性云々じゃなくて君は雌の子でしょ?」
「それ僕を馬か鹿かと見てるの?」
「そ、それは--」
 コラ、何時まで肌を触れ合っているかああ--怒鳴り散らすように二名の所まで近付くのは齢四十二にして五の月と十四日目に成るプラトー人族の髪の毛にやや白みが掛かった老年。
「これは史天」
「離れなさい、史烈!」
 いや、離さないから--と史天と呼ばれる雄に抵抗する史烈。
「まあまあ、史天。お前の気持ちも理解は出来ますが、今は落ち着いて下さい」
「落ち着けるか。天同だか何だか知らないが、人族が全部お前達の血で満たされてたまる物か!」
「だからって一名娘デアル史烈ノ気持チヲ踏みにじるのは少し勝手過ぎませんか?」
 黙れ、カンガルーの癖に--と人族絶対主義者の史天は人族以外にも厳しい模様。
「まあまあ、落ち着きましょうか?」間に入るのは齢二十七にして九の月と九日目に成るラエルティオ山椒魚族の青年山一サンショウ二十にと。「春風の旦那の気持ちはあっしは十分わかりますぜ?」
 疑問文で終わらせる訛りの山椒魚族の若造にわかってたまるか--と背を向けて五名の前から離れた頑固な春風史天。
「ようやく眠ろうとかと思ったらまた件の史天の老者ですか」
「たまに存在するんだよナア」と入れ替わるようにやって来たのは齢二十四にして二十四日目に成るテレス熊族の青年真鍋ベア豪。「所謂新天神武の新語で喩えると保守主義者トオ」
 そんな訳わからない言葉を僕達に聞かせるな、ベア豪--と新語に対して余り好まない躯央は止めるよう勧める。
『--と言う訳で第二休憩所でようやく叔父さんは地下通路の問題点を語ってくれた。
理由は次の通り。
 先ずは地下水脈にぶつかってより地盤が脆くなる危険性。常に物音を確認しながら掘り
進めないといけない。次に天井を支える事。これが幾ら梁を通しても難しい点だろう。
もう少し技術の革新があれば僕達はより高い天井が出来るのに。最後がやはり地震が
発生して一気に崩落する恐れ。自然災害一つで生命が作り上げた代物は簡単に崩れ
去ってしまう。故に地下通路の出来はあのような結果に成った。
 空の歪みさえなければ僕達は更に優れた地下通路を作れたのかも知れない。だが、
それは終わった話。終わった話を幾ら掘り返しても遅い。遅過ぎるんだよ--』

一兆年の夜 第七十話 優央の記憶 終わりの序章(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百八年五月二十三日午前七時十一分四十三秒。

 場所は真古式神武首都タイガーフェスティ府中央地区斬弥きるみ聖堂駆央くおうの間。
 齢十四にして二十一日目に成る神武人族の少年天同優央やさおは座禅を組む。
(今、僕がみんなを支えなければいけないんだ。今、僕がみんなを支えていかなければ--)
 そこで何をしてますか、優央--そこへ齢二十八にして四の月と二十八日目に成る神武人族の青年天同躯央くおうが深刻な表情でやって来た。
「躯央叔父さんだね。来るという事はやはり銀河連合に依る宣告の日が来たんですね」
「ああ、予報士に依ると後二十一の時にここタイガーフェスティ府と更には真正神武と古式神武の境界線まで銀河連合は一斉攻撃を仕掛ける。本来ならば僕達がここに居る事自体が助かる見込みのない話。だが、この時を想定して祖父の十六とむの代より地下空洞は建設された。ならばそこから行けば少しは助かる見込みはある……が、そう成ると問題は空洞の耐久性だな」
「また叔父さんの良くない癖が始まった」優央だけじゃなく、語りたがりな癖はメラリマや烈闘だけじゃなく既に誰もが周知する話。「そこから先は現地で思う存分語って下さい」
 ここからが面白い所なのに--と躯央は言うが、そんな事はない。
 というのも躯央は話が長い割には山場も谷間もわからない困った生命。頭は学者並みに切れる物の肝心な面白さを引き出す才能が意外にもない。故に面白くなる話の骨という点では学者ではない芸者に十歩どころか百歩以上も遅れを取る。
(あ、そろそろマンメリーも史烈のれあも来る頃かな--)
 ここに居ラレマシタカ--優央の予想通り齢十五にして一日目に成るルギアスカンガルー族の少年が駆け付ける。
「マンメリーだけ?」
「申し訳アリマセン。春風史天のあ様が頑ナニ天同家ニ嫁がせる事を面白く感じておられなくて」
「余程好まないのですな。全くあのお方の頭の堅牢さには呆れて物が言えないな」
「でも仕方ない話だよ。僕達天同家はずっと他の人族とは違う点としては古くからの考えを固守する史天さんの気持ちもわからなくありませんから」
 それでも……もう良いか--躯央は何時までも足を止める場合ではないと考えた。
(そろそろ地下空洞に向かわないと。こうしてる間にも多くの生命の命が懸ってるんだ。僕達がやらなければ一体誰が全生命を助けられるというんだ!)

 午前十時零分九秒。
 場所は真古式神武地下空洞。そこは既に優央達が向かう前から最高官タイガードライバー・佐々木に依って一の週より前から既に避難は開始されていた。そしてその場所とは第四南地区にある三番目に大きな建物の地下にだけ着々と建設されていた。
「オオス、来ましたかアアス」齢四十一にして九の月と六日目に成るルケラオス虎族の老年タイガードライバー・佐々木とはこの白髭の濃い生命。「既に百七十六万の生命の避難は完了しておりまアアス」
「まだ足りんな、タイガードライバー。全国民の凡そ一分に満たないしか避難が完了出来ないなんて」
「それは仕方ノナイ事です、躯央様。何しろ真古式神武の全国民が全てここタイガーフェスティ府ニ暮ラス訳ではありません。遠方で暮らしたいと思う生命や今や活気溢レル六影府ニ暮ラシタイト考える生命だって居られます。生命の意志が簡単に統一サレテハソレコソ銀河連合ト何ら変わりはありません。一つじゃないからこそ我々生命ハ苦悩ヲ分かち合える物です」
 それでも納得がいかない--と躯央は表情を険しくする。
「まあまあ、叔父さん。確かに摂政として叔父さんは父さんや母さんみたいに成りたい気持ちはわからなくないさ。だからってそこまで頑張っては想念の海に旅立った二名が叱りつけますから」
「優央様の言う通りですなアアス。少しは肩に力を入れずに何事も鈍い方が生きる上で大切ですなアアス」
「だとしても……まあ、良い。そろそろ僕達も避難しましょうか」
「いやアアス、わしはまだまだここに残って作業を続けまアアス」
 タイガードライバーは最後まで作業を続行する覚悟でいた。それに対して躯央は次のように説得を始める。
「まさかお前は身代わりに成る気か!」
「叔父さん、落ち着いて--」
「止めないでくれ、優央。僕はタイガードライバーの無茶なお願いを止めに来た」
「わしももう十分長生きしたんだアアス、そろそろ息子の所に行かせてくれぬかアアス」
「それは良くない!」
「どうしてだアアス?」
「お前は最後の佐々木家の虎だ。なのに勝手に想念の海に旅立つ事を僕は許可致さない。僕が命じる……この場は僕が残るからお前は避難してゆけ!」
「それは……最高官としてその提案を退かせて頂きまアアス!」
 これは梃子デモ動キマセンネ--と諦観するマンメリー・レヴィルビー。
「そう言えばマンメリー」
「何デショウカ、優央様」
「マンメロは?」
「マンメロは一足早く六影県ヘ向カイマシタ」
 そうか、それなら良いや--と優し気な表情を浮かべる優央。
「いや、気を付けた方が良い」
「え、どうしてですか叔父さん?」
「前にも説明しただろう。ここを通っても何時銀河連合が襲撃するか定かではない。奴らはあらゆる方法で我々生命を苦しめる事に特化する。自分達の欲望の為なら如何なる事をしても許されると--」
「待て待てエエス。躯央様は何時も話が長いからそこで止めマアス」
 はあ、やっぱりお前が居ないと僕は--とタイガードライバーの自己犠牲精神にまだ納得がいかない躯央だった。
(そろそろ行こう。僕達はタイガードライバーの為にも、そして死んでいった生命に報いる為にも……でも、でも僕に出来るかな?)
 優央は何一つ自信を持てない生命。身体能力は烈闘や優希の物を一切受け継がず、頭脳面ではある程度は高い物の……躯央に比べると天と地の差が浮かばれる。そして話を面白くする才能も持たない。故にあらゆる面で秀でる所が一つもない為に優央は自分に胸を張れない。晴れないという事は前向きに考える事も自信を持つ事もまま成らない。
 そんな優央の苦悩と悲しみと喜び、そして怒りの物語はこうして始まる。
『--これは僕がやっと胸を張れるように成る物語。そしてその物語は余りにも悲劇の
上で成り立つ。まだほんの序章にしか過ぎないが、そのほんの序章でも僕は自分自身を
責める。
 地下空洞の問題点は叔父さんが指摘した通り。幾ら準備が為されていようとも梁の数や
仕掛けが甘いと脆く崩れやすい。そう、今回の物語ではそんな安定しない空洞にて
起こった数々の悲劇。これから新しく紹介される様々な個性豊かなる生命の出会いと別れ。
それから、彼らがどれだけ個性的なのかも存分に紹介出来れば良いけど。
 僕は昔から何一つ秀でた部分がない生命だからね。無理矢理な個性付で無理矢理
<ここが悲しみ所だぞ>なんて神様に叱られそうな表現をしてしまうかも知れない。
それだけは予め記しておくよ。
 それじゃあ--』

一兆年の夜 第七十話 優央の記憶 終わりの序章(序)

『--さて、僕の死期は徐々に迫る。後二の週の内に僕は父さんや母さん、それに仲間達
の所へと向かうだろう。その前に僕は記さなければいけない事がある。この悲しい結末
だけは僕の記憶が、僕の命が保つ間に記さないといけない。
 始まりは僕が十四歳の時、それは唐突に始まった。その終りの嵐は僕達真古式神武の
生命に更なる追い打ちを掛けてゆく。銀河連合に依る予報は父さんや母さんが大陸藤原
奪還を始める頃に告げられた。その予報は二度確認された。一度目は後三十の年以内に
起こる真古式神武を覆い尽くす代物。二度目は先程説明されたモノ。それはかつての
旧国家神武を喰らった代物。だが、真古式神武を覆うには勢力も範囲も今一つ。故に
まだまだ僕達の真古式神武はこの銀河連合の襲撃を耐え抜く。耐え抜くのは良いけど、
その間に僕達の仲間達が想念の海に旅立って行く。僕にはそれがどうしても
耐えられない。
 それが僕達の逃れられない死の運命だったとしてもそれは悲しい。僕は父さんや
母さん、それに名の知らない弟だけでなく僕を支えてくれたみんなまで命を落とす現実に
耐えられない。その度にこの胸の痛みは僕を苦しめる。胸の痛みは悲しみや怒りの度に
僕を苦しめるのか。僕に死んでいった生命の数の重みを背負えと口煩いか!
 いや、そんな話をここでするんじゃないな。僕がやるべきなのは始まりの銀河連合に
依る襲来と叔父の躯央くおうや僕の付き者だったマンメリー、それに最愛の雌である史烈史烈のれあ
に最高官として僕を支えてくれたタイガードライバー、それに最高に強いシレンデンが
どれだけ全生命体の希望として真古式神武の為に尽力してくれたのか。
 この僕、天同優央やさおがしてやれる供養はそれしかない。今じゃあ最愛の子さえも僕の
情けない姿を、いや。いや、あの子なら僕の望んでいた事を理解してくれる。でも今は
あの子の話よりも死んでいった彼らの話を中心に終わりの始まりを綴ろうではないか。
 これは決して気持ちの良くない幕引きの始まりではない。次へと繋げる気持ちの良い
幕引きさ。僕はそうやってあの時と同じように前向きに行こうと思う。あの時とは何か?
 それはまだ早い。今回紹介するのはまだ僕が後ろ向きな頃のお話。それはまだ前に
向かえない僕の、僕の--』

雑文特別編 忖度の国

 どうも市丸代に修正不足の実験作を押し付け、とうとう……なdarkvernuで御座います。
 それじゃあこちらの実験作もどうぞ。

 僕の名前は時時雨博仁(ときしぐれ ひろひと)……小学校の頃から忖度の現状を見せ付けられた可哀想な少年。失礼、自分で可哀想と言うのは些か恥ずかしいね。
 さて、僕の小学時代を一部紹介するよ。人気者のゆき君はどんなに悪い事してもゆき君を怒らせたら怖いと言うだけで誰もゆき君に逆らえない。陰口は叩けるが、それだけ。
「なあ、しぐれちゃん」
「何、藤島君」
「ゆきの奴、南を虐めてる」
「え、でも南君はゆき君の前で表情を強張らせるからいけないんでしょ?」
「オイ、しぐれちゃん。元はと言えばゆきの奴が南を虐めるのがいけない。なのにどうして南に非があるような言い方をするんだ」
「非?」
「正確には悪い事してるのはゆきの方だ。なのに南が一方的に責められるなんてどう考えてもおかしいだろ」
「でもゆき君はクラスの人気者で」
「人気者だったら何をしても良いだなんて間違ってる。逆に南の奴は女子に嫌われてるとか、しかも力が弱いだけでゆきの野郎に虐められてるんだぞ。俺は即刻、ゆきをぶん殴ってくる」
「あ、待ってよ。ゆき君喧嘩強いよ」
 結果は散々だった。藤島君はゆき君に挑んで五人掛かりで集中砲火を受けた。藤島君は南君虐めを止める為にゆき君に向かって行ったのにみんな南君を庇った藤島君を一方的に責める。しかもゆき君は事もあろうに見せしめるように藤島君をパンツ一丁にして更には体中に『僕は悪い子です』、『僕はヘイトスピーチャーです』、『右翼の息子です』と散々な事を落書きされた。直ぐに藤島君は先生に言い付けた。ところが、先生達はこうゆう時に限ってゆき君達を注意しない。それどころか藤島君を一方的に怒った。裸で学校中を歩くなとか変な落書きを見せびらかすなとかまるでゆき君を庇うように。
 余りのショックの為に藤島君はとうとう不登校と成り、それから二日後に首を吊った……
「おい、藤島の奴自殺したぜ」
「マジマジ、まああんな事したら誰だって首吊りたくなるよな……ケヘヘ」
「いやあ、あの時のゆき君は恐かったな。まさか藤島に向かってあそこまでやるなんて」
「おい、しぐれちゃん。お前も気を付けるんだな。確か藤島と仲良かったよな?」
「ああ、そ、そういえばそうだったかな?」
「あ、そうだよなあ。しぐれちゃんは良い奴だから流石に藤島のカスと仲良くねえもんなあ……ハハハ」
 僕は無力だ。僕にも藤島君みたいな勇気があったら彼を苦しめる事はなかった。彼を自殺に追い込む事もなかった。だが、この事件はこれで終わらない。
 それは藤島君の自殺から三日後の朝……僕は少し熱を出して学校を休もうかとその地区の班長に連絡したんだ。でも結局は連続登校記録に目が眩んで午前九時と遅い時間帯に一人で通学する事にした。高熱と格闘しながらもようやく校舎表門に着いた頃に何か異常な雰囲気を醸し出す事に気付く僕。熱で近付くまで気付かなかった僕でもそれが異常な光景だと思ったのは何故か?
 それはパトカーと救急車が同時に来てる事。校舎の中から南君らしき靴を履いた人が手錠を掛けられたまま更には素顔も見えないようジャンパーを被せられて二人の青制服を両手に侍らせるようにパトカーの中に乗ろうとしてる現場を目撃。
 僕は熱を出す中で保健室に入り、更にはそこの五十代前半の先生に事情を尋ねる。するととんでもない返答が飛び出した。
「いやあねえ、事件よ事件」
「事件? でも保健室には僕しか駆け込んでないよ」
「保健室で済ませられる話じゃないわよ。あの出血量じゃあ私じゃなくとも119番を呼ぶわ」
「え、どうゆう事?」
「君のクラスにゆき君って居たじゃないの」
「ゆき君が如何したの?」
「刺されたのよ、南君に」
 己の体調さえ忘れる程の衝撃が僕の中に走った。南君が……刺した?
「だ、大丈夫なの? ゆき君は大丈夫だった!」
「あら、気持ち悪いわね。君も南君よりもゆき君を第一優先にするの?」
「そうゆう事じゃないよ!」僕は必死に最悪の結果を避けようと言い繕った。「万が一の事が起こったらゆき君……殺人犯に成るよ!」
「そう、時時雨君らしいわね。ええ、でも……あの出血じゃあ、ゆき君は。ゆき君はもう今頃は閻魔大王にこっぴどく罰を受けてるわね」
 保健室の先生の言葉は現実と成った--クラスの人気者だったゆき君は死んだ……南君の放った凶刃に倒れて!
 それからという物はまるで掌を返したかのようにゆき君の悪事が報道されるように成った。何故か? 南君がゆき君を殺した動機は藤島君の仇を取る為。彼は藤島君が自分の為にゆき君の酷い仕打ちを受け、自殺した。南君はその無念を晴らす為にゆき君を殺した。容疑者の彼に呼応するかのようにクラスの中でゆき君降ろしが始まった。勿論、ゆき君を庇った先生達もそうだ。全員が全員、責任逃れを始めた。誰もが虐めの加担者であるにも拘らず、誰もがゆき君全てに責任を押し付けるかのように!
 僕はそんな流れが嫌で嫌で仕方なかった。全てゆき君に押し付けるみんなが嫌で……嫌でつい、あるジャーナリストに事の真相を漏らしてしまった!
 そして僕が漏らした事実は……僕の周りには虐めに加担しなかった者以外を消してしまう程の破壊力を見せた!

 それから時は中学時代に入る。僕は中学一年生……誰もが僕を怖い目で見つめる。


 と言う訳でホラー青春物語『忖度の国(仮)』をお届けしました。この物語はある種の爆弾であり、あらゆる闇に対して応じるが如く……止めよう、そうゆうポエム調の語りは(恥)。
 今回紹介した話はまあプロローグ或は前日談のお話。まあ前日談の定義はこの際、置いといて如何にして我々は贔屓してるのか? 或は言葉を優しめにしても如何にして松井秀喜(仮)大阪府知事の言葉を借りれば忖度してるか? 忖度の結果、一体どれだけの悲劇を生んでいるのかを我々は自覚しないといけない。というか自分は良く酷い話を思い付くよな。余程、人並みの青春を謳歌してないのかがこの物語を齧ってみてもわかってしまう。
 話を戻すぞ。普段はその悪人を忖度する癖にいざ、その悪人が凋落すると溺れた犬を棒で叩く様に弱い者虐めを始める……これ程までに胸糞の悪い話はない。無論、自分は今でもそうゆう奴らを一切許したりしない。そうゆう奴らは罰を受けてしかるべきだと今でも思う程にな……だから自分は人並みの青春を送れないんだよ、全く。そうゆう訳でこの物語を本格的に始める時は恐らく自分が世の中に売り出す事だけを集中し出す時だろうな。
 取り敢えず、端を折り始めたので明確なテーマを上げるとするなら正に『忖度の胸糞悪さ』だろうな。あるバイブババアを忖度。更には家計簿学園の話を持ち出したタマキンとKY新聞が共同で勝手に問題視して更には捏造報道バンキシャアアが元アナウンサーがタマキンの嫁だからという理由でタマキンを忖度。忖度をした結果、一体どれほどの悲劇が待つのかを綴ったお話。しかも結末には必ず主人公が止めを刺すというシナリオ構成……これほど胸糞の悪い物語を自分は知らない。
 あ、一応こいつ以外で胸糞悪い物語を書き殴った事は何回でもあるけどタイトル名を挙げればブラムヘイムもロストメモリーも前者はパクリ元である1984年的なモノ、後者はSF染みた胸糞悪さを表現。だが、こちらの場合は村八分的な胸糞の悪さを表現。比較するのも困難という物。
 と言う訳で実験作の解説を終えるぞ。

 それじゃあ雑文特別編はここまで。第七十話は時間を大分置いてから始めるので待て。

えっと別名の思い付かない人の事前予告でプラカード出来ないブーメラン党

 どうもdarkvernuです。
 今回は共謀罪強行採決(全員起立)記念に時事ネタと行きましょうか。

 共謀罪に於ける戦いは正に試合のルールと同じ。採決の時が来たら必ず野党はプラカードを持って更にはベアクロー及びフライングボディプレス、ゴッドプレスで応戦して来るだろう。予定調和の強行採決は迫る。その時、共謀罪における質問に参加していた同じ野党の癖に同族を批判する与党擦り寄りの党から選出の名前の知らん奴が突然こんな事を言ってきおった。
「ええ、と採決の際は必ずプラカードを掲げないように。後は二人掛かりでベアクローを仕掛ける事や更には委員長に背後から飛び込む事やもしも飛び込んでも集団的自衛拳の行使も、それからルガール・バーンシュタインが使用していたゴッドプレスの使用も禁止して貰おうか。というかやるな、議員風情が。それで宜しいですね」
「確かにわしが飛び込まれて怪我でもしたら大変じゃしな」
 何という事だ。じゃあ彼らはプラカード以外で何をすれば良いのか。そうして始まったのが盗賊行為。正しく共謀罪を後押しする野党に依る抵抗手段……またしてもツンデレ行動に移るとは!


 済まない、全く以って出来は今一つだった。まあいい、時事ネタをそこまで本気にしてる場合じゃないからな。まあ兎に角、おめでとうコニシキ君。君の亡命は確実に成ったよ……実行するんだろう、議員バッジを外して共謀罪の無い国へと亡命するのを。
 いやあ、仇名が思い付かないあの野党の議員さんは中々のアシストだったよ。お蔭でプラカードポイ捨てと言う人にあるまじき行為を国会内で阻止する事が出来た。
 だが、それとは別に盗難行為が発生するとは。全くあいつらはそれしか思いつかないんかよ。流石は犯罪を平気で主張する奴らが一カ所に集まった野党所属の連中ばっかだな。全くもういい加減に滅んでくれよ、こいつらは。滅んでくれたら少しは日本の正常化が促されるんだけどね。
 と言う訳で時事ネタの解説を終わらせておこうか。

 第六十九話の解説と行きましょう。前中後三部作は正に第五十二話から張られていたテンタウと言う伏線の回収にあった訳だよ。そうして彼はある境の時代まで飛ばされてまあ水の惑星篇第二部開始前から後まで引き継いでくれる訳だ。
 さてさて、菅原族とは何か? まあそれはあの国の話に成って更にはある程度話が進んでから登場するのでそれまで待て。
 因みに第六十七話から第六十九話までの????は今回の雑文を書き終えてからは正式に『テンタウ 前篇』、『テンタウ 中篇』、そして『テンタウ 後篇』に変更しますので宜しく。
 蛇足だが、一応自分は水の惑星篇と他の惑星の物語もあるような匂わしを示しましたが実際その通りで現時点では水の惑星篇は二部構成で今の所、第一部の中篇の終わりに差し掛かってる所だね。因みに第五十二話までは前篇。随分長い前篇だな(汗)。さて、水の惑星篇が終わったら次始まるのが風の惑星篇、それは多分これも二部構成だけど水の惑星篇程長くはないぞ。あんまり長い物語も好きじゃないしな。風の惑星篇の後は空の惑星篇。こちらは一部構成と短く収まる形だよ。空の惑星篇でようやく一兆年の夜は十年目に入る頃合いかな。一応、ある程度休載期間を除けばの話だが。それ以降の物語については未定だ。その頃に成るとある程度日本の情勢もきな臭く成るし、それから自分は枯渇の年代である四十代に入ってるだろうしね。そしたらもう若い世代を羨んで毒を撒き散らすだけ撒き散らして大したアイデアも思い付かないと自分は考えるなあ。
 と言う訳で今回も解説らしい解説をせずに第六十九話の解説を終わらせましょうか。

 さあさあ予定表でも行きましょうか。

 予定日五月二十二日~二十七日  第七十話  優央の記憶 終わりの序章        作成日間
      二十九日~六月三日  第七十一話 優央の記憶 躯央からの提示       作成日間
     六月五日~十日     第七十二話 優央の記憶 銀河連合に依る恐るべき展開 作成日間
      十二日~十七日    第七十三話 優央の記憶 悲劇の再現         作成日間

 取り敢えず、七月に入る頃にはブラムヘイムの為に一旦休載に入る。再開は八月くらいだな。それまでは真古式神武の最後を記して見せるか。
 と言う訳で今回はここまで。さあっさあ十五パート分もタイトルを変更しないとな。

更にいまさら目次 ハヤトは死なずなどここで簡単に飛ぶように

 

一兆年の夜外伝 ブログ版

 シーズン1

 零話  (全三パート)

 乙話  (全三パート)

 甲話 ニ前 ニ後 (全四パート)

 丙話 一後 ニ前 二後 (全五パート)

 シーズン2

 起話   後一 後二 (全六パート)

 承話    五前 五後(全六パート)

 転話 二前 二中 二後 三前 三中 三後(全七パート)

 結話   四前 四中 四後 四完 五前 五後(全九パート)

 序話   (全四パート)

 破話 一前 一後 一完 二前 二中 二後(全七パート)

 急話 一前 一中 一後 二前 二後 (全七パート)

 異話    五前 五中 五後(全七パート)

 シーズン3(未定)

 風話(全?パート)

 林話(全?パート)

 火話(全?パート)

 山話(全?パート)

ハヤトは死なず

 第一部

 一話 ニ話 三話 四話 五話 六話 

 第二部

 七話 八話 九話 十話 十一話 十二話 十三話 十四話 十五話 十六話 十七話 十八話 十九話 二十話

 最大トーナメント篇

 開幕式 開話 壱話 弐話 参話 勇話 伍話 陸話 漆話 捌話
 窮話 拾話 拾壱話 拾弐話 拾参話 拾勇話 拾伍話 拾陸話 補話前篇 後篇
 拾漆話 拾捌話 拾窮話 弐拾話 弐拾壱話 弐拾弐話 弐拾参話 弐拾勇話
 弐拾伍話 弐拾陸話 弐拾漆話 弐拾捌話前篇 後篇 弐拾窮話前篇 後篇 参拾話 最終話

 第三部

 糾弾話 二十一話 二十二話 二十三話 二十四話 二十五話 二十六話 二十七話 二十八話 二十九話
 三十話 三十一話 三十二話 三十三話 三十四話 三十五話 三十六話 三十七話 三十八話 三十九話
 四十話 四十一話 四十二話 四十三話 四十四話 四十五話

実験作

 我こそは復讐される

 未来の教科書

 神様の超推理

 忖度の国

 Fに捧げるスコシフシギ

人間工場

真実村

マクロの世界とミクロの世界

賭博抹殺法 

知らない一員

幻の村

土台で変わる世界

死・生活保護と地震雷火事教師

ガムとサブリミナル

究極の体罰と至高の教育

楽しいワイドショー

テロリスト黙示録とタイムトラベラー将門

プロレス戦争

貧困調査

お笑い政党政治

ヴェロノパピニコ賞

引き延ばし法

誰が望んだ流行語大賞

老人学校 

ショックドクトリンの実践 

消費ばかりの馬鹿共のオタク会話 2 3 4 5 6 7 8

殺人報道

笑ってはいけないツクール自作RPG制作

若しも死刑制度がなかったら?

スピンオフ 自称怪獣王アルッパー 2 3

ブラックレイピア アイン 後篇

世にも厄介な屁理屈

新・源平合戦

キツツキ病

強化人間 後篇

大人と子供

企画会議の様子

謎のスポーツ

全部あいつが悪い

スーパー無駄話Z

正義の為ならDVしても構わないのか

負の期待値

検事は判決を下す

御詫び

 ザ・ネゴシエーター 2 3 4 5

 新興宗教にようこそ 2 3 4 5 6



 御詫びの奴はR2/01/10以降の奴ばかりしか載せませんので宜しく。

tag : 試作品 小説

雑文特別編 神様の超推理

 どうもやはり公の予定表に縛って自らを律する方がやる気が芽生えると考え始めたdarkvernuです。
 さて、今回は少しだけ頭にこびりついてるのでこんな物でも書こうかと踏み込んだまでさ。

 この世に神が居るとしたらそれは誰にも気付いてくれない人間の事だろう。
 さて、川見猿間(かわみ さるま)は本物の神様。伸びたヘアーで身長173の体重62の中肉中背。格好の良い顔付かと思えば全国のイケメンを合成して出来た特徴のない顔付きと言う余り面白みのない顔付。そんな彼はある時、あるネットテレビ局のボクシング規格のアルバイトをしてる時に偶然にも『亀梨浩二に勝ったら千万円』の企画が始まる直前ににて殺人事件に出くわす。
 被害者は最初の挑戦者にして喧嘩最強を自称するホストペンネーム蟷螂パカン(27)。午後三時十五分……専用の控室にて仰向けに倒れてる所をアナウンサーと彼の助手三人が突撃取材してる所にて発見。直ぐに医療スタッフが駆け付けるも既に死亡が確認された。死因は毒殺。口から泡を出して倒れている事から医療スタッフ達はそう判断。彼らの検死は確実で実際に駆け付けた警察の鑑識もそう判断した事から裏付けは十分。だが、死亡推定時刻は午後一時から二時の間。死亡する前の午後零時五十六分に蟷螂と面識のあった通い客の戸羽佐滑瑠奈(とわさ なめるな)さん二十二歳の証言から明白。彼女自身のアリバイは十分であり、被害者と別れたのも同時刻。更にはそれ以降は観客席に居たお笑いコンビロンドンマーチのビリー管(28)と死体発見時間までお喋りしていた事から発覚。もう一つ付け加えるなら彼女の持ち物には一つも毒薬又はスポーツドリンク類は発見されておらず、それから途中で買い物等の退出もない。依って彼女は容疑者リストから除外される。
 では容疑者は誰なのか? 全部で八人居る模様。一人目はたまたま観客として応募して当選した大阪府H市出身の現役女子高生市丹香美(しに かみ)さん十七歳。彼女は死亡推定時刻の一時間前から死体発見時間までのアリバイがない。ずっと関係者以外の立ち入りが禁止している現場以外の散歩をしていたと証言するが、彼女を目撃した人間は一人もいない事から偽証の可能性が高い。
 二人目は本物の神様である川見猿間(自称30)。彼はアルバイトスタッフとして死亡推定時刻の二時間前から死体発見時間の三十分前までトイレに籠って仕事を放棄していた模様。だが、彼は和式便座の中に居た上に誰も彼の姿を目撃した事を確認されていない。故に誰かと入れ替わって被害者を殺害した可能性が高く、アリバイらしいアリバイに繋がらない。
 三人目はこの企画の中心人物の一人である亀梨浩二(かめなし こうじ)三十一歳。元プロボクシング世界チャンピオン。亀梨三兄弟の長男。様々な疑惑の対戦をし、そして勝利の数々も疑惑が多い。そんな彼が引退して二年後に企画したのが今回の番組の企画。さて、それは後程説明するとして彼のアリバイについて説明すると次の通り。死亡推定時刻よりニ十分前から被害者と接触してる模様。何かを手渡す所を三人以上に目撃。その現場は彼の個室前。しかもある目撃者の証言ではスポーツドリンクであった模様。被害者の死因はラベルなしのペットボトルドリンクを口にしての毒死。しかも亀梨が渡したのは正しくそのラベルなしのペットボトルドリンク。疑われても仕方のない話。
 四人目は亀梨に挑戦する現役ヨウツバーのペンネームジューブログ(28)。高校時代にボクシング部に所属する元アマチュアボクサー。その経験を買って企画に応募し、見事合格。二番目の対戦相手として予定される模様。さて、彼のアリバイは死亡推定時刻の十分前に害者の控室前を歩き回るのを四名以上に目撃され、内一人から左手にラベルなしのペットボトルを持っていた事が目撃される。故に彼も又、疑われても仕方がない。
 五人目は亀梨に挑戦する現役高校教師の稲葉亮(いなば りょう)三十三歳。三重県A市出身の高校に所属する体育教諭。しかも競輪部の顧問を務める経験から企画に応募して合格。三番目の対戦相手として予定される模様。アリバイは死亡推定時刻の三十二分前に被害者と口論に成ってる所を十名以上に目撃。特にある目撃者の証言に依ると右手で害者の胸座を掴んでる上に左手にラベルなしの薬瓶を持っていた事が確認された。故に疑いは十分。
 六人目は亀梨に挑戦する元暴走族でアマチュア裏格闘技に所属するリングネーム海賊狩りの中川(30)。裏格闘技の戦績は五勝五敗。その経験を活かして企画に応募して合格。最後の対戦相手として予定される模様。アリバイは死亡推定時刻の一時間前にラベルなしのペットボトルを二つ、右手に持ちながら被害者と睨み合ってる所を三名以上に目撃。故に疑わしい模様。
 七人目は実況を務める元テレビツインバードのアナウンサー淀川長安(よどがわ ながやす)四十一歳。常に亀梨兄弟の試合の実況を請け負い、彼ら寄りの実況が目立つ曰くつきの実況者。今回も四戦とも実況を務める模様。さて、アリバイとしては証言は次の通り。死体発見まで一度も被害者と会ってない。死亡推定時間のニ十分前から死体発見される時間まで八人目の容疑者と共に打ち合わせをしていたと証言。互いがアリバイ証言者である上に二人を目撃した人間は十人以上である故にアリバイは十分だと思われるが、それ以前のアリバイが共にない為に容疑者リストから外すのは難しい。しかも持ち物は会場にある局に入ってからの持ち物検査では薬瓶と思わしき物が三つ。ところが死体発見以降の検査ではそれが一つしかない為に疑いの目が強い。
 最後はゲストの一人である元プロボクシング世界チャンピオンの幕ノ内徹(まくのうち てつ)五十歳。実績あるプロボクサーであるが故に今回のゲストとしては十分。さて、七人目のアリバイ証言と同じくそれ以前のアリバイがない。しかも持ち物の中にラベルなしのペットボトルが四つ以上。しかも事件後ではそれが一つしかない事から疑うに十分。
「とこのように名探偵川見君にそれぞれのアリバイについて話したのだよ」
「ですから吾輩は名探偵ではなく、神様ですぞ」
「何を言ってますか、川見君。君のお蔭で様々な事件は解決してるじゃないか、其方の香美ちゃんと一緒に」
「あのですね、警部。どうして僕が容疑者リストに入るの?」
「だって君が訪れる場所は何時も死体が発見されるじゃないか。もしかしたら本当に殺人を犯したんじゃないかって疑うじゃないか」
「ううう、また死神扱いを!」
「それにしてもみんな怪しい連中ばっかりだな、鎗間(やりま)君」
「だから警部と呼べって、川見君」
「だから吾輩は神様だ。何度言えばわかるんだ!」
「それよりも誰が犯人なの?」
「それを調べるのが吾輩達の務めだろうが、死神君」
「だから市丹香美だって!」
「有無有無……ところで警部」
「何だ、あの犯行予告か?」
「ああ、何だろうな……この犯行予告とは?」
 神様が気に成る犯行予告とは即ち警部鎗間小四郎(やりま こしろう)が出した一枚の『殺人予告』。そこに記されるのは次の通り。
『偽善者共に告げる。

 この企画を起ち上げたのは亀梨を祭り上げる為じゃない。お前達四人を血祭りに上げる為だ。沖山、金、稲葉、そして根津。お前達全員にはあいつが受けた悲しみを全て浴びせてやる。覚悟しておけよ。

 殺人ボクサー 蘭丸より』

「集英社の青年誌に昔連載してた漫画あったな」
「漫画、知らんな?」
「川見さんは知らないんですか?」
「神様と呼べ。知らないならいいや」
 神様は嫌な考えを浮かべる。それは--この事件はまだ続く--と。
 だが、その考えは的中した。神様と市丹が鎗間から許可を貰って死体発見現場を調べてる途中で第二の事件が発生。二人は現場に直行する羽目と成った……


 と言う訳で実験作『神様の超推理(仮)』をお届けしました。こちらは現在進行形シリーズでも未来形シリーズでもなく、普通に独立した世界観でお届けします。なので出て来るのはただものとおかもとしか出ませんね。ジョニーマンもピーポン君も東京番長も出ませんのでお気を付けを。
 さて、別に八百長三兄弟やらパチンカスの偽物八百長やらへと当てこすりではないよ。単純に舞台設定をたまたまつい最近の茶番に合わせただけ。彼らを馬鹿にする為ではなく、普通の殺人事件物として設定してるだけなので深く考える必要はないぞ。因みにこの場合は『ボクシング企画殺人事件』という題名に成るのかな?
 ではこの物語の趣旨はいわば主人公が現役の神様で最近の神の安っぽさに激怒して現実世界に現れ、自分こそ本物の神だと売り込んで様々な場所で痛い事をしてる所を偶然にも死を呼び寄せる高校生市丹香美と出会う事で様々な殺人事件に出くわし、神様独自の超推理で事件を解説するお話。なので越神探偵達美と同じく本格的なミステリー物を期待してる読者には申し訳ないが、諦めて下さい。超推理を展開するので金田一やコナンみたいな比較的論理且つ矛盾の少ないトリックや推理は自分はやりませんのでマイペースに超トリックを展開し、マイペースに超推理を展開していきますので気を付けるように。
 それじゃあ何故こんな物を書くのか。冒頭にも書き殴ったように頭に残ってる内に記しとこうと思って披露したまでだよ。因みにこの事件の犯人は実況。被害者は三人。四人目は寸前で止められますのでネタバレ嫌いな皆様には申し訳ありませんが、予め結末を記しておきます。
 以上で解説は終わり、今回の雑文特別編を終わらせたいと思います。第六十九話の解説は雑文で行いますので六十九話の解説を期待した皆様には申し訳ありません。ここは実験作を披露する場であって各話の解説を行う所ではありません。

一兆年の夜 第六十九話 テンタウ 後篇(終)

 午後八時二十七分三十秒。
 周囲を黄金で埋め尽くされた部屋。そこである部分だけ黄金ではない事に気付いたのは--
「信じられないが、あの赤ん坊は誰よりも観察力が優れているぞ」
「各生命のだ目のだ構造だは微妙にだ違いあれどだ、少しのだ変化をだ見逃さないだという点だではだ隔たりはだなかった筈だがだ」
 何が黄金ではないのか。実は上に乗っても沈む事がない黄金の池。しかも普通なら見逃さない中央にほんの少しだけ穴が開いていた。わかりやすい箇所故に玄者は見逃しやすい。バッ戸もラディルもその穴に気付かなかった。だが、赤ん坊はそれに気付いていた。理由は恐らくバッ戸が乗った時に何かおかしな物が目に付いたのだろう。そして成者二名の目を盗んでそれを確認し、確証を得た。
(そしてだこの穴をだ今ではだ刃毀れがだ始まる鋭棒だで突き刺すとだ……開いただ下側の扉だ。まるで同じだ。迷宮の洞窟だと同じ個所にだ設置されてるだのはだ)
 そしてバッ戸は道具の入った若干糸毛が気に成る鞄を持って一番乗りで調査を始める。
「お、おい。ちょっと待ってくれよ」
「なだ、何だ?」
 その下を調査しようとするバッ戸を引き止めるのはラディル。彼は何か言いたい様子。
「早くしてくれだ。俺はだこの下にだ俺とだその方がだ元にだ戻れるだ何かがだある気がだするんだ」
「その赤ん坊は預かっておく」
「なだ、何をだ言い出すんだ。もしもの事がだあったらだその方はだ其方の時代にだ時間をだ合わせる事にだ成るんだぞだ!」
「それでもその先に銀河連合が奇襲を掛けたらどうするんだ? そうゆう訳で俺に任せろ……こいつはもしかしたら俺が面倒見れるかもしれないぞ」
「口をだ慎んでだ下さいだ、ラディルさんだ。その方はだ天同家のだ大事なだ跡取りのだ一名ですぞだ!」
「その証拠は何処にある?」
 うぬぬだ--片仮名でグー……その音も出ない一言にどうする事も出来ないバッ戸。
「わかりましただ。もしもだ俺だが俺だの時代にだ戻れる事をだ証明したらだ必ずだその方にだ対するだ口のだ利き方をだ少しだは考えて下さいだ!」
 わかったぞ、小僧--と右手だけで赤ん坊を抱えながらそれを期待して笑みを浮かべるラディルであった。
(見てろよだ。俺だがここでだ大発見してやったらだ絶対だにあの方へのだ口のだ利き方をだ是正してやるだ!)
 若さ故に少々熱く成ったバッ戸。彼はそのまま黄金の部屋とは対照的に銀が支配する階段の下へと潜ってゆく……二度と二名とは再会しない事もわからずに!

 下に潜って半の時が経とうとする中、三度の内の一つがバッ戸に襲い掛かった!
(何だ、頭がだ……耳がだ、それにだ眩暈やだ吐き気がだ!)
 まだ意識が保つ中でバッ戸は銀色に輝く階段の下より銀の波が押し寄せるのを目の当たりにする!
(この波だは、何としてもだ逃げて--)

 意識がはっきりした頃にバッ戸は気付く。階段の下を降りてゆくのはわかるが、背中越しに死の気配を感じる事を。
 うわあああだ--振り返るとそこに血の混ざった涎を垂らして見つめる兎型の姿を!
(ま、さかだ、その血はだ……うわああああだ!)
 ラディルとその赤子を食べた際に付着した物だと思考したバッ戸は階段を何弾も飛ばして降り逃げする。悔しい思い、悲しい思い、恐怖から逃れる思い、そして死んでいった者達の分まで生きる思いを混ぜ合わせながらバッ戸は何弾も飛ばしながら降りる。けれども飛ばし降りに関しては兎型の方に軍配が上がる。やがて一段崎まで距離を縮められたバッ戸はとうとう死を直感!
(このままだ……じゃあだ、あれ、あ、まだ、ただ、眩暈だ、にだ、吐き気だ、が--)
 二つ目がバッ戸に襲い掛かる--そして意識は深淵へと追いやられた!

 現実に引き戻されたバッ戸の意識は次に兎型の存在しないしかも熱が徐々に星全体を包み始めるような場所まで運んでゆく!
「アづづづづだ、死んでしまいそうだあああああだ!」
 その熱はバッ戸の体内さえ焼き尽くさんと星の力を最大限まで高め始める。
(もはやだ言葉にもだ、いやだ、この熱はだ、熱はだ、熱はだ、熱ハアアアアア--)
 やがて一瞬にして真っ白に燃え尽きる……そこでバッ戸は見た!
(何だ? 俺がだ見るだおかしな光景はだ!)
 奇しくもその光景はかつてザブリス・クロレットが見たという遥か明日の姿!

 七月九十六日午前五時七分四十三秒。
 場所は黄金で包まれた部屋。
(あれだ、ここはだ?)
 意識を取り戻したバッ戸は最初にある事に気付く。それは階段を下りていた筈の己は気付いたら隠し階段出入り口前に眠っていた事。
(そだ、そうだ。あの光景だが本当かだどうかをだ確かめる為にだラディルさんとだあの方にだ呼び掛けないとだ!)
 大声を張って呼んだ。只管に呼んだ。喉を痛めるかも知れないとわかっていても呼んだ。だが、二名は呼びかけに応えない……いや、二名はこの時代に居なかった。
(そんなだ。折角俺だがクマントだ、コケ造だ、フク五郎だ、そしてだレイデルだの命をだ使ってまでだ救出したのにだあの方だは、あの方はだ!)
 そして号泣。幾ら眠る間に水分を多く消費しようともその涙は止まらない。あらゆる悲しみがそこに詰まる。いや、それだけではない事はバッ戸に依る次の心の叫びで示される。
(あの銀河連合がだ口元にだ付着していたのはだ紛れもなくだあの方やだラディルさんのだ食べ粕だったんだ。どうして俺だは四名の命をだ使ってでもだ任務をだ果たす事さえだ出来なかったんだ。俺はだ、俺はだ!)
 悔しさ、憤り、あらゆる物が詰まった号泣。それだけに若いバッ戸は自らの熟さない部分を悔やんでも悔やみ切れない様子。
 だが、何時までも後ろ向きで居られない。帰らねば、帰って結果を報告せねば。そんな思いが次第にバットの胸中に溢れ出す。
(そうだ。もう一度だあの方がだ見つけた穴をだ……穴をだ、穴をだ。あれだ、おかしいぞだ。何処にもだその跡がだないだ!)
 一の時も確かめた。お腹の虫が叫んでも探した。だが、何処にもその穴は存在しない。
(もしやだ。ここはだ。そうだ。確かめようだ)
 バッ戸は一度来た道を辿って迷宮の洞窟の出入り口を目指してゆく。そしてここでバッ戸は気付いた。ここは紛れもない自分が居た時代。その証拠に雄略包丁による道案内は何処にも存在しない。故に一度は進む道が正しいかどうか自信を失いかける。だが、彼は諦めない。死んでいった者達の思いを背負って何処までも恐怖が迫る暗闇道を進み、一の時と四十四の分より後に出入り口へと至る階段を発見。銀河連合に食べられる覚悟の下で上ってゆき、見事にお日様が迎え入れる外へと出た!
(何て眩しいんだ。この眩しさがだ悔しいだ。この時代のだ自然豊かさがだ悔しいだ。俺だは何もだ出来ないだ俺がだ悔しいだ。この後だ、俺はだ何をだ誇りにだ学術研究にだ励んでいけばだ良いんだよだ。みんなだ死んだんだ。俺だけだ勝手にだ生きる事はだ罪深いだ。俺だけだ--)
 おおい、ここに飛蝗族の小僧が居るぞおおおう--何時までも戻って来ない救出隊を心配して送り込まれた別動隊が彼を発見した。

『--こうして俺の物語は幕を閉じた。別動隊も又、俺達と同じようにあの方を救出する
為に少数変声されたそうだ。数は俺達よりも二名多い七名。幸い、活動して三日目にして
ここまで辿り着いたらしい。
 だが、彼らの任務はそこで幕を閉じた。何故なら俺があの方の死を知らせた為。何度も
引っ叩かれたよ。それでも合理性を貫く学者らしく俺は己の意見を撤回しなかった。
それで彼らは納得したさ。
 俺は悔しかった。クマント、コケ造、フク五郎、そしてレイデルが命を懸けたのに結局
あの方を助ける事も出来なかった。もしも助ける事が出来たら俺達はあの方が本来何と
名付けられたのかを知る事が出来た。何故ならあの方は既に自分で話す事が出来る。
いや、俺の気のせいだとは思うさ。実際この耳で聞いたような気がする。あの方が
喋ってる所を。幻想話だって。じゃあ何故あの方は日記の中で信じられないような
運動神経を披露したのか理由が付くか?
 いや、止めておこう。取り返せない事を何時までも気にしていては死んでいった者達の
思いを背負う生命としては情けない。今はこの日記を読んでくれた方々に感謝の気持ちを
籠めて幕を引きたいんだ。この事実が広く知れ渡ればあの方や死んでいった仲間達の死が
少しでも報われると思ってるんだ。
 そうゆう訳で有難う、みんな。有難う、それだけしか言葉を述べられない。
 真古式神武の未来よ、永劫に!
                                  藤原バッ戸』

 ICイマジナリーセンチュリー二百六年七月九十六日午後十一時二十三分四十一秒。
















 さて、一体どれだけ明日なのか。誰にもわからない時代。
 場所は藤原大陸大中臣地方迷宮の洞窟付近。
 そこに齢十五にして七日目に成る謎の人族の少年が背中を向けて立つ。そんな彼に齢二十一にして六の月と八日目に成る菅原人族の青年は声を掛ける。
「よお、相変わらずそんな所で佇むなあ」
「気にするな、ライデン。俺様は楽しみにしてるんだ。今度こそ迷宮の謎を解いて俺様の居た時代に戻る為に」
「まだそんなこと言ってるのか? そんなにこの時代が受け入れんのか?」
「そりゃあそうだろう。だって俺様は確かに天同家の生命の筈なんだ。だが、本当に俺様はそうゆう名前だったのか?」
「死んだ爺ちゃんがそうゆう風に言ったらしいぞ。だからこそ今でもお前はそれを受け入れてるんだろう」
「そうだなあ、ライデン。俺様は受け入れてるんだな。じゃあ改めて自己紹介しようか……聞き飽きたか?」
「いや、お願いするぜ」
「ふ、そうだな。俺様の名前はレット・--」








 第六十九話 テンタウ 後篇 完

 第七十話 優央の記憶 終りの序章 に続く……

一兆年の夜 第六十九話 テンタウ 後篇(四)

 午後四時三十分十八秒。
 場所は迷宮の洞窟出入り口前。地面にある隠し扉の先に迷宮の洞窟はある。
 そこには順序を覚えて進まないと必ず遭難する。
(やっぱりだここだは明日のだ時代だ。だがだ、一体だどれ程のだ時代かだわからないだ。周囲をだ見渡せばだ時代がだ遡ってるだというのがだわかるだ。何故ならだ今にだ比べてだ森林のだ数がだ少ないだ。雑草だの数がだ少ないだ。まるでだ生命だが管理してるようにだここはだ自然だが作り物だのようにだ見えるだ。言葉だに表せば--)
 何を考えてる、さっさと付いて来いよ--とラディルは考え事をするバッ戸を最寄りの宿泊施設まで迎え入れようとする。
「いえだ、申し訳だありませんがだここでだお別れさせてだ頂きますだ」
「何をいきなり? 全身臭いの良くない泥で濡れてるじゃないか。服装だってほぼ裸のそれに近いし。それなのに俺の好意を素直に受け入れない理由は何だ? 小僧の強がりか?」
「そうゆう訳だではありませんだ。実はだ俺だもこの方だも--」
 ところでどうしてその人族の赤ん坊の事を恭しい態度で接する--ラディルにとってバッ戸のそれが気に成って仕方のない部分だった。
「あだ、実はだこの方だは天同烈闘様だの第二子だであらせられますだ」
「はあ、何を言い出す?」
「信じられないだのもだ無理はだありませんだ。実はだ優央様だには只一名だの弟君だが居られましただ」
「天同家の歴史は詳しくはないがな。でも今、この国を治める御方は確か--」
「いえだ、そこまでだ語るだ必要はだありませんだ。兎に角だ、俺だもこの御方だもこの時代だの生命だではありませんだ。なのでだ俺達だは元のだ時代にだ帰る為にだもう一度だ迷宮の洞窟だを探索しにだ行かないとだいけませんだ」
「危険だ、小僧。迷宮の洞窟の本当の恐ろしさを全然理解してないようだな」
「理解はだしておりますだ。一度だ潜ればだ二度とだ戻ってだ来れるだ保証がだないんですよねだ」
 ああ、実際にここへ潜ったある生命は二度と俺達の所に戻って来なくなった--とラディルは己が産まれる前の話をバッ戸に知らせた。
(随分とだ盛った話もだ含まれるだ。それでもだ俺はだ--)
「その目つきはきっとこう考えてるだろう? 仕方ないな。付き合ってやるよ、小僧の望みを果たす為に!」
「いえいえだ、そこまでだ--」
「いや、生命の好意は素直に受け取れ……それに」ラディルは足りない何かを埋めるような一言も口にする。「少しくらい肉体のみでしか行動しない生命ってのを頼って行け、小僧」
「ラディルさんだ……有難う御座いますだ」
 どう致しまして--礼に始まり、礼に終わる……ラディルは当たり前の事をしたまでだった。
 その様子をあどけない表情で見守る生命が一名。彼はこう口にする。
「ボクは……ボクは……」

 午後五時五十二分三十一秒。
 場所は金色で染め上げた雄略包丁を頼りに現在で三本目に到達したばかり。
「本当にだこの道でだ合ってるんだですかだ?」
「親の代からずっと俺は雄略包丁を交換して来たんだ。一名でも生命が遭難しないように慎重に、それから警戒心を弱めないように」
「確かにだこの暗闇だの中だでは何時だ銀河連合がだ襲ってだ来るかだわかりませんねだ」
 さっきの指揮官型だけじゃない--何かとんでもない種類の存在をほのめかすような口振り。
「もしかしてだ参謀型だか医者型だも居るんですかだ?」
「知らないようだな。やっぱり大分昨日の時代から来たってのは本当そうだな」
 いえだ、止めておこうだ--運命を変える事が危険だと考えるバッ戸はそれ以上尋ねる事を諦めた。
(銀河連合だは一体だどれ程だ種類をだ広げる気だ? 全くだ新しいだ種類だを俺はだ知らないだ)

 午後七時四十一分十二秒。
 場所は黄金の雄略包丁が七本目に入った地点。そこは正に雄略包丁が金箔で包むよりももっと輝きを見せる空間。
「これはだ有り得ないだ!」
「ここもまた、神様だ!」
「神様はだ何時からだ派手なだ装飾をだ好まれましたかあだ!
 だが、これらの金は剥がす事も出来ない代物だ--と改めてこの空間が神様である事とラディルは主張!
「信じられないだ。黄金のだ木造建物だはどれもだ木造だの形をだしてるのにだまるでだ作り物にだ見えるだ。中だに入ろうとだするとだ見えないだ壁にだ遮られるかのだようにだ中がだあるようなだ錯覚にだ陥るだ。本当だに神様だ!」
「だろう。あの黄金の池も神様らしくどんな生物が乗っても沈む事がない。あの机型の仕掛けは突起物一つとっても固すぎて推す事が不可能よ。それからあの黄金の本棚何て正に神様に相応しい読み物一つ取り出せない代物だよ」
「本当だ。これはだ素晴らしいだ。是非ともだじっくりだ調べて--」
「と言いたい所だけど、そうもいかないそうだ」
 ラディルの声の張りが変化した。その意味する所を知るべく周囲を見渡すとラディルが視線を送る先に百獣型がバッ戸目掛けて……いや、バッ戸が背負う赤子目掛けて睨み付けるのが確認される。バッ戸はそれに気付かない。
「いけない、避けろおお……ウグウ!」
「ラディルさああんだ!」
 大丈夫だ、肉を切らせて……骨を断つ--ラディルは左肩を噛まれつつも右手に持つその時代の蘇我鋭棒に依り、百獣型の脳天を突き刺した!
 百獣型の抗菌力は急激に衰え、ラディルから離れたまま絶命。
「ハアハア、左腕の感覚がない」ラディルの言葉通り、彼の左腕は神経系を寸断されて幾ら命令を送っても動かす事も出来なくなった。「小僧、これくらい軽傷だ」
「何処がだ軽傷だ。俺のだ為だなんかにだ--」
「違う。その赤ん坊の為だ!」
「赤ん坊だの--」
 また来やがったか、今度は二体同時に--百獣型が現れた方角より犬型と猫型が出現する。
「その鋭棒だは後一回だでしょうだ?」
「気付いたな、その通り。だが、その一回で纏めて--」
 お喋りしてるだ場合だじゃないだでしょうだ--バッ戸の言う通り、二体の銀河連合はラディルが話してる時に襲い掛かる!
 だが、バッ戸の心配は杞憂に終わる。何故ならラディルは独特な足運びに依って一直線に誘導。そして二手に分かれる暇さえ与えない内に頭部と頭部を結ぶように串刺し。宣言通り一回で済ませた!
「凄いだの一言だでしかだ表現だ出来ないだ」
 だが、一転して危機に立たされたな--これはラディルにとって次来られたらもう一撃で仕留めるのは難しく成ったという意味である。
『--ラディルの左腕が如何成ったのかを俺は記さない。今、記すべきなのはこの空間は
確かに神様だ。神様というのは全生命体にとって祭り上げる以外に活用法がなく、更には
神々しい存在感を発揮する建物群の事を指す。まあこれは当時の俺の少し勉強不足な
定義ではある。それでもこの定義には自信がある。何しろ、俺はようやくクマントさん達
の下へ行けるかもしれないと感じて来た。何となくではあるが、俺はもう死の運命を
受け入れ始めたのかも知れない。この日記がもう俺の居た時代に送り届ける事が
出来ないかも知れない。仮にで来ても俺と言う存在は向こうの世界でしか生きられない
かも知れないと。
 いや、それ以前にどうやって明日の時代から過去の時代に進めるのか。その方法が
わからない以上はもう元の時代に戻る事が出来ない気がする。だから俺はこうして日記に
明日以降の生命の為に書き綴ろうかと考え始めた。
 訂正。一旦、記すのを止めて神様の調査をしたら一つだけ神様ではない個所を発見
した。その先を調査する為に俺はこの日記とラディルさんから渡された約一の日の分ある
食糧を持参して調査を開始した。ちょうど良く成るまであの方はラディルさんに預ける事
に決めた。きっとあの方は片手でも何とかあの方をお守りしてくれる筈さ』

一兆年の夜 第六十九話 テンタウ 後篇(三)

 午前十時一分十二秒。
 場所は未定。ラディルに依ると大中臣地方にある迷宮の洞穴と呼ばれる場所から四の時掛けてここまで来たとの事。
「--要するに俺達はこの迷宮に彷徨ってる訳だよ。若造も気苦労多いね」
「そうだねだ。とだ、ところでだ」
「何だ、若造よ?」
「なけなしのだ食糧だを分け与えられてだ本当にだ感謝しておりますだ」
「気にするな。全生命体はどんな時でも助ける時に助ける。例え無理してでもな!」
 感謝だで一杯だですだ--と涙を浮かべるバッ戸。
「ふわああ、そろそろ寝て良いか?」
「いえだ、そうゆうだ……わわだ、まただこの方がだ泣かれてしまいましたかだ」バッ戸はラディルの自分調子に構う余裕がない程に赤子の大泣きに一苦労させられる。「全てのだ生命のだ赤子だはみんなだこんな感じなのだでしょうかだ!」
 ラディルが眠りに就いた頃、約一の時を掛けてバッ戸は赤子をあやす作業に入った……

 午後一時十六分二十四秒。
 ラディルをバッ戸が無理矢理起こす。その訳はやはり今のまま時間を潰してる場合ではない事。考えは次の通り。
(ラディルさんだが明日のだ時代のだ生命だったらだ時間をだ掛け過ぎるとだ昨日だに留まってしまうだ。それをだ防ぐ為にだ俺達はださっさとだそれぞれのだ出入り口だを見つけてだそれぞれだの時代にだ帰らなくちゃいけないだ。だがだ、ラディルさんだの命名するだ迷宮の洞窟だはだある目印をだ当時のだ軍関係者がだ置いてだ行ってるだらしいだ……そうだがだ、果たしてだそれはだ俺だの時代にだ残り続けるだのかなだ?)
 バッ戸の疑問は最もらしい。そもそもバッ戸が発見したこの地下空洞こと迷宮の洞窟は最近発見された場所。そんな場所に目印代わりの物がある筈がない。
 ところがバッ戸の疑問は一の時ほど進んでゆくと吹っ飛ぶ。そう、分岐点を示す雄略包丁らしき日本が地面に突き刺さるのが見える。
「あれは目印。目に付きやすいように俺達生命は訪れる度に標本用の雄略包丁を半の年に一回、或は緊急時には半の年が来る前に訪れてこいつを差し替えて行くんだがな」
「一見するとだこれらのだ包丁はだ皆だ、配色がだ異なりますねだ。右がだ緑掛かりだ、左がだ黒清むだ。これはだどうゆう意味だろうかだ?」
「気付いたか。右は出入り口へ通じる道。左が遠ざかる事を意味する」
「全部でだ何色だあるのだでしょうかだ?」
「複雑にしないように全部で三色。先程の緑、黒は説明したがある重要な場所を示す意味で金塗装した雄略包丁もある。俺はその作業を終えて家路に向かおうと思っていたんだがな。そしたらお前さんと出会ってしまった」
「状況がだ今一だわかりかねますねだ。進んでだ行きましょうかだ」
 赤子を抱えたバッ戸は出入り口の指す方角を目指して緑の雄略包丁を探し続ける。それを目印に一旦、出入り口を目指してゆく。
(俺だの懸念としてはだ仮にだ出入り口だに出てもだ俺はだ二度とだ自分のだ時代にはだ戻れない可能性だろうだ。それでもだ一旦はだ出入り口だを目指してだゆかないとだいけないだ。今はだ戻るべき時代よりもだ安全だに出られるかどうかだを確かめてゆかないとだいけないだ)

 午後四時十八分四十三秒。
 場所は迷宮の洞窟。只一つしかない出入り口に赤子を含める三名がようやく外に出た。
 夕のお日様とはいえ、その光は久方ぶりの二名にとっては眩い光。思わず、赤子が泣き出す騒ぎにまで発展。
「オイ、又その子が泣き出したぞ!」
「あやして下さいだ、ラディルさんだ!」
 赤子をあやす作業はやはり時間を要する。それでもラディルは子持ちなのか、はたまた同じ人族の生命なのか素晴らしい対応をして僅か十八の分以内に見事にあやして見せた。
「慣れてますねだ」
「そりゃあ、俺は最近孫を持つ三十八の中年様なんだから」
「三十八とはだ随分だ歳をだ摂りますねだ」
 そりゃあ人族はみんな七十まで平気で長生きできるように成ったんだから--ラディルの一言はバッ戸にある考えを浮かばせる。
(そうかだ。真古式神武建国だのきっかけをだ作っただ斬弥きるみ様だと七弓様だは共にだ仙者だ。しかもだ二名がだ儲けただ十名だの子供達はだみんなだ七十の年までだ生きる事がだ保障されるだくらいにだ長生きだ。そんなだ彼らのだ系譜がだあちこちにだ嫁いだりすればだどう成るかだ? 殆どのだ人族はだ七十の年までだ長生きだ出来るのはだ当たり前にだ成ってゆくだ。そう成るとだ余計にだ人族以外のだ種族だとの差だが開くだばかりだなだ)
「何一名で塞ぎ込んでる?」
「あ、申し訳だありませんだ。少し考え事をだしていましてねだ」
 無理するなよ--そう慰めるラディル。
『--さて、これから俺はラディルが暮らすと言われる道真県まで向かうのか? それは
少し違うぞ。ここから先は俺自身が帰還する事を目的に迷宮の洞窟と呼ばれるように
成ったこの洞窟の調査を始めてゆくんだよ。このまま明日の時代について調べても
良かったが、それでは明日を生きる俺達の子供世代に申し訳がない。運命を変える事は
どうしても避けたかった。ラディルさんにしてもここで次の明日の世代の為に生き
続けるんだ。彼らの為にも俺は調査を継続しようと思った。全ては俺が元の時代に戻る為
にな。
 でもそれが可能だったかどうかはわからない。何しろ、俺はある生命から聞かされた話
がある。それは時間の流れの話。時間は昨日から今日、今日から明日、そして明日から
昨日へと進むそうだ。正直、二つまでは納得する。けれども三つ目がふに落ちない。
というのも何だが、明日から昨日に進むだなんて誰も証明した事がない。そもそも明日
から昨日だぞ。昨日の事はわかっても明日の事を少しもわからない俺達がどうやって
それを証明しろと言えるのか。そこにこそ明日から昨日に進む事について腑に落ちない
点だ。
 話を戻して俺が言いたいのは何か。それは俺が居る世界は明日の世界。だとすれば
どうやって俺の居た世界に戻る事が可能なのか? それが俺自身が難しいと考える
明日から昨日に進むという理論と繋がる。その理論が実現出来るとしたら一体何が
関係するのか? 俺はそれが知りたい。
 その為に俺は調査を継続する。元の時代に戻って烈闘れっとう様と優希ゆき様の第二子を無事に
躯央くおう様及び兄君であられる優央やさお様に無事届ける為に』

一兆年の夜 第六十九話 テンタウ 後篇(二)

 午前五時四十一分十四秒。
 そこはまるで雲の上。そして物に重さを伝えるある要素が認定されない代わりに情報を繋げるある要素と光を伝える媒質である要素が認められた特殊な世界。
(何でだ俺のだ身体はだ浮かぶんだ。羽が原因か。片方がだ極端にだ短いせいでだ……いやだ、それだけにしてはだ浮かび過ぎだろだ。余りにもだ理解がだ追い付かないだ。ここはだ一体何なんだあああだ!)
 バッ戸が叫ぶのも無理はない。それだけでなく、バッ戸の均衡の宜しくない羽の広がりは余計に浮力を強める。彼は己の立つ雲の上から徐々に上昇してゆく。その速さは極めて緩い。だが、重力の世界で暮らして来たバッ戸にとっては脅威以外の何物でもない。何とかして長さの異なる羽で雲の上に立とうと高度を下げる試みをするも予想以上に強力な浮力の前に徐々に高まってゆく上昇速度。バッ戸は己の力ではどうする事も出来ない現状に憂いを感じる。
(夢ならだ醒めてくれだ。俺だはもうこんな--)

 午前六時一分十五秒。
 今度は重力が認めらる世界にバッ戸は居た。
(ここだは何処だ? 重みを感じる。けれどもだ何だかだ周りのだ雰囲気もだ吸うだ空気もだ何かだ異なるだ)
 この世界では重力が認めらると説明したのは訂正。正確には物に重さを与える要素が認められた世界。それから情報を繋げる要素が認められない世界。故にバッ戸が感じた雰囲気と吸う空気が微妙に異なるという考えは一片も誤りがない。そう、ここは光を媒介する要素が認められた世界。そして念じれば奇跡を起こす力が存在する世界。
(何だろうかだ。体内でだ何かだ凄い事がだ出来そうな気がだするだ。何となくだがだ、全身にだ何かだ変な筋がだ浮かんでくるようなだ……ひょっとするとだここはだ俺達のだ知らない何かのだ法則がだあるかも知れないだ)
 己の感じるままにバッ戸は全身を光り輝かせ、そして--

 午前七時二分十六秒。
 場所は未定。そこはバッ戸の居た世界。
 バッ戸は目を開け、現実に戻った。
「さっきまでのだ夢はだ何だ? 俺はだ一体どんな夢をだ見てたんだ?」
 余りにも実感のある二つの夢。その出来栄えは思わずバッ戸が独り言を口にする程。
 最初の夢は物に重みを与える要素が認められない世界。そこでは物は浮力に依って上に向かって浮かび、下へ向かう為には翼がないと難しい。しかも墜落すれば死ぬ条件は逆に成り、上昇で死ぬ条件に様変わりする重力の常識が存在しない世界。訂正、重力は浮力と言う名称に代わっただけ。世界の法則が違う以上はどうしても重力は一般的な下向きに掛かる力から上向きに掛かる力に変わっただけ。
 次の夢は重みを与える要素は認められる物の、今度はバッ戸達の世界では常識である情報を繋ぐ要素が認められない世界。バッ戸の世界では認められない光を媒介する要素は認められる為に奇跡と呼ばれる力を放つ事が可能。まるで体内で力が宿るその法則はどうして為せるのか? バッ戸はそれを考える事をしない。いや、考える頃には夢の内容は既に忘却の先へと跳ばされると気付くから。
(不可思議な力だなんぞだ科学的根拠をだ述べる上ではだ全くだ意味がだないだ。なのでだ今はだ光溢れるだこの場所のだ様子をだ確認する方がだあの方のだ捜索だも含めてだ何かだ実りがだあるだろうだ)
 周囲を確認して一の分も掛からない内に発見。直ぐ様、気付かれないように助走を付けて一気に飛んでみせる!
「捕まえましただ、さあだ大人しくして下さいだ!」
 捕まえたのは良いが、そこでバッ戸の目に飛び込んだのは……依りにも依って銀河連合指揮官型。喜びの表情から一転して恐怖で膠着した青く褪めた表情。後一歩と言う所で世の中の条理の無さを悔やみ始める!
(どうしてだ。どうしてだ俺はだこんな目にだ遭うんだ。別だに何だも落ち度がだあった訳だじゃないだ。ちゃんとだ任務をだ果たしてきただ。なのにだどうしてだ俺はだこんな目にだ遭うだ。神様にだちゃんとだ礼儀をだ尽くして来た筈だ。己のだ若さをだ自覚しながらもだ俺はだちゃんとだ熟してだ来た筈だ……やっぱり--)
 その時、指揮官型は何かに気付いてバットに背中を向けた。バッ戸は指揮官型が背中を向けた事に気付くのが数瞬遅かった。それがまさか気付いた時、既に背中まで槍が貫いて自分の触覚より手前まで仰向けに倒れるとは思わない事。
「なだ、なだ、なだ、なだ--」
 何だ、ここにはもう一名尋ねる生命が居たんかい--バッ戸の前に現れたのは齢三十八にして六の月と八日目に成る……人族の老年?
「えっとだ、お前はだ誰ですかだ?」
「お前とは礼を失する若造よ。まあ自己紹介するぞ。俺の名前は菅原ラデイルと言う。齢は三十八にして六の月と八日目……に成る菅原人族の生命だ」
菅原だ?」
 ああ、御存知ない顔だね--それはバッ戸にとっては聞いた事もない種族なのだからラディルという雄の話す事柄を理解する筈もない。
 いや、ラディルの話す事は菅原族だけじゃない。何とその話は本来有り得ない事だらけであった!
『--その話は何とも不可思議で一体全体が作り話の数々ではないかと疑いもした。
だが、俺があった菅原人族を自称する菅原ラディルと言う雄は空想話を口にするような
夢想家ではない。語る事全てが真実のそれに近い。真実のそれに近いからこそこれから
記す事柄は事実と食い繋がらない。
 何しろ、菅原人族と聞いて俺は彼の事を新天地で暮らす生命かと尋ねた。すると彼は
そうじゃないと返答。何と彼は藤原大陸にある天神峰にある道真県と呼ばれる場所で
暮らしてるそうな。そう、菅原族というのはそこから来てるそうだ。とてもじゃないが、
そんな土地は藤原大陸の何処にも存在しない。これは地理調査隊が自信を以って主張
出来る事だ。
 それだけじゃない。彼は自分達の土地を支配する国についてとんでもない事を
口走った。それは、な。止めよう。俺が日記に記した為に従来通りの歴史が変わって
しまったのならこれほど神々に申し訳のない事はない。依ってここから先はその
菅原ラディルとの短い付き合いの中で自分がやってしまった事についてこれから
語ろうか。それはな--』

一兆年の夜 第六十九話 テンタウ 後篇(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百五年七月九十四日午後八時零分二秒。

 場所は真古式神武藤原大陸大中臣地方。そこは暗闇。
 そこでようやく名もなき瞳の赤い赤子を捕まえるある生命。彼の名前は藤原バッ戸……齢十八にして二の月と二十三日目に成る藤原飛蝗族の少年。彼は真古式神武の依頼に依り、この名もなき赤子の救出する任務を請け負う。その任務では彼を含めて合計五名という少数精鋭で構成。その為に今では彼だけに成った。それでも彼は任務を果たそうと命を使う。
(クマント・ベアーダだも死んだ。藤原コケ造だも死んだ。蘇我フク五郎だも死んだ。レイデル・バルケミンだも死んだ。後はだ俺だけでだこの方をだ六影府だまでだお運びしだ、使命にだ終わりをだ告げないとだいけないだ。だがだ、どうしてだこの方はだ勝手にだこんな所までだ動いただ? それ以前にだこの方はだ……いやだ、その前にだ行った道はだどの方角だったのかだ)
 バッ戸は自らの経験の足りなさを悔やみ出す。彼は今まで己よりも年上で尚且つ、一定量の知識と肝心な時に閃きが働く者達に助けられて来た事を思い知る。ところがそんな彼らが相次いで想念の海に旅立ってしまった為に自らの力だけで事態の収拾に当たらないといけない。これ程、バッ戸にとって試練らしい試練はない。その事についてバッ戸はこのようにも考える。
(生命はだ一名だけにだ成ってだ初めてだ正念場をだ迎えるってだ親父がだ言ってただ。だとしたらだ俺はだそこでだ……今はだ考えるよりもだ行動あるのみだ)
 暗闇の中で今すべき事は余計な事を考えるよりも先に来た道を辿って仙道に従って生還する事。それしか道はない。だが--
(跳ねどもだ跳ねどもだこの道でだ正しいのかだについてだ全くだ自信がだ持てないだ)
 赤子を探して凡そ三の時も掛けた。空腹に苦しむ場面もあれど大分時間を掛けて探し、この時間に見つけた。故にそれまでの道筋を感覚で記憶するなど難しい話。ならばバッ戸が摂るべき行動は一つ。
(茨なき道だに覚えだないならだ敢えてだ茨花のだ多い道だを進むだけだ)
 結局、それ以外に帰るべき道は見つからない……

 午後九時十分四十八秒。
 場所は未定。
 そこでバッ戸はまたしても赤子を見失う。
(あの方だはどうやらだ先祖のだ七弓なゆみ様に似て禄でもない考えでだこちらをだ苦労させてきますねだ)
 バッ戸は来た道を戻って赤子を探そうと考えもしたが……敢えて先に進む事を決意。その理由は次の通り。
(ここはだ学者のだ論理的にだ導き出した答えだよりもだ己のだ若さをだ信じてだ直観だで進むだ!)
 正に野生本来の感覚に頼ってバッ戸は進んだ道を引き返さず、真っ直ぐ行けば必ずその赤子の下へ辿り着けると信じて!

 午後十一時一分五十八秒。
 バッ戸が進む道は段々光が照らし始める。正確には薄っすらとバッ戸を導く光が見え始める。
(足元はだ、大丈夫だなだ? ひょっとしたらだ飛べない事をだ知っててだ突然だ、落とし穴のだある個所にだ俺をだ誘い出すかもだ知れないだ)
 この地下通路は銀河連合の最新型の体内と疑うバッ戸らしい考え。これはバッ戸が後ろ向きな考えだからなのか? そうゆう意味ではない。バッ戸は学者でもある以上はあらゆる可能性を信じてそうゆう考えも浮かばせる。もしもその考えは杞憂であるとわかればそれを直ぐに撤き回しする。真実ならば予想通りだとして覚悟も採れる。どの道、バッ戸は安易な考えに陥らないよう注意を払っている。
(徐々にだ光はだ大きく成るだ。その度にだ恐怖がだ俺にだ押し寄せるだ。今度のだ恐怖だも俺だを震えさせるだ。だがだ、今のだ俺はだ死をだ恐れないだ……撤回するだ)
 自信過剰な事を考えるのは却って神様に申し訳ないと言う考えなのか、直後に撤回するバッ戸。それだけに死ぬ寸前で死を恐れる可能性を潰したくない模様。まだまだ青さが抜けない。それについては次のように自覚する。
(徐々にだ光がだ大きくだ成り出すだ。赤色巨星はだきっとだこんな風にだ大きくだ成るんだろうだ。恐怖だに対してだまだまだ俺はだクマント達だに熟したりない者だと言われるなあだ)
 そうして光がバッ戸の肉体を包み、消し去らんほどの量で迎えると……

 七月九十五日午前五時四十一分十三秒。
 場所は未定。
(なだ、何だこりゃあアアアアだ!)
 バッ戸が思わず叫びたく成る光景……それは--

雑文特別編 未来の教科書

 どうも一兆年の夜を始める前にやりたかった事を書き殴っておこうかと。
 まあ反対意見が出たら引っ込めるとかそんなんじゃなくて自分なりの当てつけだったり何でこんな競技が授業に取り入れられてるんだよ、と言う恨み辛みも兼ねた実験作ですぞ。さあ、喰らいやがれ!

 僕は体育教師の向井薫(むかい かおり)、二十六歳。ある学校の教師に成って五年目を迎える若手。常に熱血教師に憧れて粋がるも現実の厳しさに不貞腐れる毎日を送っております。
 特にPTAからの苦情には胃腸薬を飲まない日を探せと言う方が難しい程……トホホ。僕、教師辞めてユーチューバーに成ろうかな? 何でも五十再生一円くらいにも成る楽な職業だし、僕みたいなヘタレにはちょうど良い機会かもって。
 と何時もの通学路を歩いてると突然、眩暈が起こる。その眩暈は世界全体を大きく変容し、気が付けば……あれ、同じ場所? まあいっか。僕はその通学路を歩いて朝八時までに職員室に着いた。早速、今日の一限目の二年三組及び四組の体育の授業のカリキュラムは何にするか隣の席に座る同じく体育教師の落合先生と相談する事に……あれ、女の先生?
「あら、向井君じゃないの。珍しいわね、体育の授業にサッカーをするなんて」
「え、普通でしょ。えっとお名前は?」
「あら、ド忘れしちゃったの? 私は二年四組の副担任にして一限目の二年三組及び四組の女子に体育Aの授業を教える島本澄乃(しまもと すみの)と申しますわ」
「あ、島本先生ですね。宜しくお願いします……じゃなくてサッカーがどうして珍しいんですか?」
「いえ、大変勇敢な人だと思ってるわ。だって体育の授業に遊びをしようだなんて」
「え、遊び? でも普通じゃないですか?」
「普通じゃないわよ。昔から体育の授業は腕立て十回、腹筋十回、背筋十回、ヒンズースクワット十回、ランニング一周はカリキュラム前の準備運動として授業で習うのは柔軟体操、遠投、マラソン、100メートル走、相撲、柔道、剣道、水泳、そして山登りよ」
「え、ええ!」
「何驚いてるの?」
「サッカーやバスケや、バレー、それから卓球にラグビーはやらないのですか?」
「それ全部遊びでしょ?」
「ええ、でも相撲や柔道、剣道、水泳は習うんでしょ? じゃあサッカーやバスケやバレーを習わないのはどうしてですか?」
「文部科学省に依るとサッカー、バスケ、それにバレーは子供を教育する上で何の役にも立たないと発表したのよ。なので体育の授業で習うのは全て子供の発育及び身の安全を守る術としての相撲、柔道、剣道、水泳、遠投、マラソン、100メートル走、山登りと成ったのよ」
「で、でもじゃあ子供達は体育以外でスポーツを学ぶ方法はどうするんだ!」
「全てクラブ活動で興味を凭れれば良いそう……あ、そろそろ時間が迫るわ。どんなカリキュラムをするのかは考えて来てるよね?」
「あ、ああ」
 僕は知らない時代に飛ばされたのか? いや、未来の世界ではない。ここは僕達の時代で正しい。間違ってるとしたらここは僕の常識が違う世界だという事。そう、僕は並行世界に飛ばされてしまった。それがきっかけと成り、僕は子供達にとって本当に必要な体育の授業を知ってゆく……


 とまあこんな感じで『未来の教科書(仮)』をお届けしました。これはあくまで自分が憤りを覚えた体育の授業の余りにも理不尽な点に切り込んだお話。何が理不尽だと思ったのか……それが遊びを堂々と体育の授業に取り入れてる事。昔から自分はスポーツマンが大嫌いでスポーツなんてこの世から消滅して欲しいと心の底から願っていた根暗少年。実際出来ないからそう願っていたという指摘は否定しない。否定はしないが、正しい部分は逃さないのが自分の嫌な一面だと思い知る今日この頃。さて、スポーツマン嫌いなのは一重に本当にスポーツマンシップを理解してるスポーツマンが存在してない点にスポーツマンを心の底から嫌ってる所だろうな。そこだけを好きなだけ言ってからやや冷静に今の体育の授業のおかしい点を指摘しておこうかと。
 先ず、運動神経の鈍い奴を馬鹿にする。次に弱い者虐めが大好き。次に大声で喚き散らす。次に勉強できる人間を平気でがり勉だとレッテルを貼る。次に最低限努力もせずにやたらと勉強できない言い訳を思い付く。次に……止めよう。数えたらキリがない。要するに自分はレッテル貼りするとエセスポーツマンはこの世から消滅して欲しいと願ってるんだよ!
 さて、冷静な指摘をするとこのように成る。授業でポーカーやる学校があるの? 授業でマリオメーカーやる学校あるか? 授業でモンスターハンターやる学校あるか? 授業で格ゲーやる学校あるか?
 そう考えるとおかしいだろ? サッカーやバレーを体育でやるのは明らかにおかしいんだよ。体が育成されるだとかスポーツを学ぶとか言う反論……じゃあクラブ活動や腕立て腹筋背筋、後はランニングやマラソンは如何なんだよ。他のスポーツ学ぶんならクラブ活動を通じれば良いじゃないか。高校や大学の授業でもやるスポーツの授業とかそれで十分だろうが。どうして体育でサッカーやバスケ、それからラグビーや卓球をやらされなくちゃいけないんだよ。ボール遊びは休憩時間にやってれば学べるだろうが……そこがおかしいからこそ昔から自分は体育の授業は苛々するんだよ。確かにサッカーをすれば緩急の付け方を学んだりコミュニケーションが取れたり、チームワークの大切さを学べるだろう……けれどもそれはクラブ活動や休み時間の遊びであって体育の授業はあくまで体を育成する事にあるんだよ。だったらそれは命を守る上で重要な柔道や水泳、後は武器術を始めとしたものの持ち方を学ぶ剣道をやらせた方が遥かに実りがある。
 とこれは自分が冷静に成って導き出した答えだ。自分勝手と罵られる事は百も承知だ。それでも実験作で示してでも自分の主張を出したかったんだよ。体育の授業の頭の傾げる疑問としてあげないといけないってな。みんながどう思うかは知らん。何しろ、サッカー好きやバレー好きにしてみればたまった話じゃないからな。
 因みに相撲や遠投を入れる理由は相撲ってのは柔軟体操も兼ねて健康的な協議の一つ。別にちゃんこ食べる訳でも固い地面に叩き付ける事を教える訳でもない。四股を踏むだけでも結構体を育成するに十分だからな。遠投を入れた理由としてはサッカーやバレー、ラグビーやバスケが不要と思える根拠作りの為。遠投一つでサッカーやドッジを始めとした遊びは不要に成るからな。つーかこいつらを必修にすれば良いんだよ。自分はそう思う。
 以上でショートストーリーと言う名の愚痴の解説を終える。

 そうか、ガレッジのゴリエがほぼ干された状態か。別に好きじゃないお笑い芸人の一人ではあったが、俯瞰的に取り上げてくれって言っただけでテレビに出さないとか……ふざけるなよ、マズゴミ共。あいつは別にこっちはとかあっちはとか主張せずに何々して欲しいなあとコメントだけだぞ。高岡の件もそうだけど、何処まであいつらは特亜に媚びへつらえば気が済むんだよ……いや、今更か。
 それじゃあ雑文はここまで。時間をおいて第六十九話の執筆を開始する。

女系がどれほど脆いかは古事記を読めば直ぐにわかる話

 どうもdarkvernuです。
 始める前に『格付けの旅』の青魔法の章03の四ページ目が土曜日に終わり、五ページ目に入りました。読まれたい方はカテゴリ欄の<格付けの旅>又は<青魔法の章>をクリック。因みに解説は昨日の雑文特別編の内に済ませましたので今日は『一兆年の夜』第六十八話の解説のみと行きます。
 さあ、やろうか。小林よしのりとか言う売国漫画家でさえ全然わかってない皇室の問題を何となくわかるよう解説していこうか。

 この物語は比較的短く終わる予定。正確には長い文章をかなり噛み砕いて短く纏めた物。なので詳しい話は原発反対派の旧宮家の人の話でも聞いて貰えればわかりやすいかと。
「隊長。ツイッター徹に依る大阪都構想の実現と轟盲牌を始めとした女系支持派に依る女性天皇及び女性宮家の誕生に依って日本は東西二つに分かたれました!」
「だからあれほど言ったのに。大阪都構想は大阪の為に成らん所か女系擁立派の浩宮家と男系遵守派の秋篠宮家の対立を加速化させる事を。そして大阪都構想実現した事に依って国会では女性宮家創設の加速化とI天皇の擁立か決定的と成った。これに伴い、この決議に反対だった秋篠宮家を中心とした男系遵守派は関西へと拠点を移し、まるで南北戦争時のアメリカの如くH天皇擁立を勝手に進めてしまわれた!」
「ど、どうしてこのような事が起こったのですか? 幾ら大阪都構想実現に依って日本が分断するとわかってもどうして皇室まで分断する事に成られたのですか?」
「そもそも都が二つある方が異常な事態だろう。元々明治維新実現の時に京都以外の都として東の京と書いて東京が江戸の地に建てられた時点でおかしな話だよ。その頃より皇室典範の問題は顕在化しつつあったんだ。だが、井上毅を始めとした皇室を貴ぶ者達の尽力に依り東西分断は何とか避けられたんだ。いや、西南戦争の時点でも危うい所ではあった。大久保が西郷を危険視していたのは西郷の力が恐いのではなくて西郷が九州に公家を集めて新たな天皇家の擁立をするのではないかという考えが何処かに遭ったんだよ」
「それは少し考え過ぎでしょう。幾ら西郷隆盛でもそこまで考えるとは思えません。でもその頃から皇室の問題があったのですね」
「そうだ。そもそも安易に都を付ける事がどれだけ危険かをツイッター徹もコスプレ侍もわかっていない。大阪都やら中京都やらは却って皇室を分断して下さいと言ってるような物だろうが」
「そして自分達の時代で日本は二手に分断してしまいましたね」
「有無、小林よしのりや田原は腹を切って死ねばいい……あ、田原はもうこの時代には居ないな。呆けジジイ鳥の後を追うように死んだな」
「田原はテレビや新聞の外だとまともな事言う爺さんだと俺は思いますけど」
「それでも巨大なマイナスを掻き消すには足りない」
「それでこれからの皇室はどう成ります?」
「早速だが、I天皇の二度目の妊娠で突然お腹の子は自分だと主張する奴が現れおった。そいつは何でも頭がパーンと呼ばれる宗教団体の一員でしかも勝手に次の天皇は自分の子供だと主張して上皇又は法皇の位を要求して来たぞ」
「ここに来て平成天皇退位の悪影響が出て来ましたね。そもそも上皇や法皇は藤原家のせいでもありますけどね。勝手気ままに自分の娘を当時の天皇に嫁がせるような事を繰り返したせいで白河天皇は院政をやるしかなかったんですね」
「だがこの制度を悪用して足利義満は自ら上皇に成る野望を目指したが……深い闇に呑まれてしまった。まあざまあみろって事だ!」
「ざまあみろって……でも義満が死んだせいで室町幕府はより混迷に成ったんですよ。義教が強権政治をしなくちゃいけなくなるほどの混迷に!」
「幕府の話はこのくらいにしよう……いや、義満の話の前に南北朝問題も少しだけ語ろうか。そもそも南北朝問題は鎌倉時代に北条氏が要らん事したせいなんだよ。まあ後鳥羽上皇が幕府を潰そうと企まなければ六波羅探題が設置される事態や南北朝問題の遠因だって起きなかった。まあそれだけで済めば良かった物の鎌倉北条幕府を滅ぼした後醍醐天皇が政治音痴過ぎたせいで尊氏の台頭を許し、皇室の危機とも言える南北朝問題だって起こらなかったんだぞ。功績は武士だろう。なのに何、あのおっさんは報酬を何公家ばかりに回すんだよ……頭に蛆湧いてるんじゃないか?」
「おっさん言うな、一応当時の陛下ですぞ」
「まあ更に皇室の危機が起こったのはかの有名な道鏡事件さ。こちらの場合は蘇我氏が初の女性天皇なんかを言わなければこのような事態にも陥らなかった。全く女とは感情に流されやすい生物だよな。神の化身を任せるに相応しい精神じゃない」
「女性差別ですよ」
「いや、事実を言う事は女性差別に当たらん。それを理解しない女が女性を迫害してる事をどうして気付かないか」
「は、話を戻しましょう」
「有無、後はマイナー方面だが織田信長が明智に頼んで京の都を襲撃しようとした事実もある」
「え、信長ってそんな事企んでいたんですか?」
「幕府を滅ぼした信長だぞ。奴は大き過ぎる野望の為に光秀に打ち滅ぼされた男よ。まあその事実の隠蔽も兼ねて秀吉は信長の後継者を自称し、更には自分には天皇家に刃向かう気はない事を示す為に位は関白までに留めて信長の名誉を守ったんだよ。ここも重要だぞ。秀吉が引き継ぎをしなければ家康だって皇室を守ろうと考えないだろう。それくらいに彼の功績は大きい」
「でも朝鮮出兵する間抜けっすよ。更には養子とはいえ、秀次を殺すようなぼけ老人ですよ」
「いや、朝鮮出兵は当時の戦いしか知らない武士達の雇用対策の一つとしてやらざる負えなかったんだよ。それから秀次は秀吉でさえ制御不能な問題児。どの道切り捨てる運命にあった」
「そろそろ皇室の問題に戻りましょう」
「有無、そうだな。さて、一気に時代を現代付近まで進めるぞ。皇室の問題の一つに統帥権干犯もある。これは大日本帝国憲法最大の不備であり、プロイセンの憲法を参考にして作った事が仇に成った一例でもある」
「それが不思議だよな。どうしてブリテンの憲法やアメリカの憲法を参考にしなかったんだ?」
「幾ら保守寄りの国家形態と言っても英国の場合は憲法と呼ばれる憲法は存在しない。判例を元に形成されてゆくような憲法形態を果たして憲法と呼べるのか? それからアメリカは大統領の国だぞ。王様が居ない国ではどうすれば日本に合った憲法作りが出来るというんだ。そう成ると自然にプロイセン憲法を参考にして作り込まなければいけないんだ。当時の伊藤博文達の努力は想像を絶する物だったろうて」
「はっきりしないけど」
「そこはユーチューバー三島一八の著作である憲法本を読むと更に深くのめる事が可能だぞ」
「ああ、あれの事だね。でも話を戻しますけど、どうして統帥権干犯問題が皇室の危機と繋がるの?」
「最高指導者の問題は皇室にとって一大事でもある。それにこれがきっかけで日本赤軍のような馬鹿共が各地で政府幹部達を暗殺する事件が発生したんだ。当時の昭和天皇が行動を起こさなかったらこの事件は更に酷い物だっただろう。只でさえアジア情勢が厳しい中でさあ」
「ああ、2.26事件の事ですね。そのせいで戦前最悪の総理大臣が誕生した訳ですな」
「今でも近衛と宇宙人鳩のルーピー論争は格好の的だよ……笑える話じゃないけど」
「話を戻しますが、敗戦後だって大変だったじゃありませんか?」
「ああ、ソ連の馬鹿野郎がどさくさに北方領土の不法占拠すると同時にあいつらは昭和天皇の処刑を企んでいたんだぞ。パール判事と言う神懸った憲法学者や一部の良心的な判事が居なければ本当に昭和天皇陛下が処刑されていたかも知れない。そのくらいにあの当時は今の日本があるかないかという大変な状況でもあった」
「恐い話ですね。只でさえGHQという本国から左遷されて来たロクデナシ連中に依って日本が無茶苦茶にされてる中で皇室まで無茶苦茶にされる所でしたね」
「実際華族の廃止に依って今のような危機に立たされたんだがな。全くこれだからアメリカ民主党は駄目なんだよ」
「アメリカの話は止しましょう。それにしたってO家の奴らは酷いですね。わざわざ出来の悪い娘さんを浩宮殿下に嫁がせたんですよ。しかも彼女には悪いですが、I親王殿下を天皇にしようと浩宮殿下を見事に洗脳して見せたんですね。何という話でしょうか!」
「皇室内の話はそこまでにしておけ。俺達みたいな素人が偉そうに皇室内の話に口出しするのは却って宜しくはない。だが、無謀も承知で皇室内に口出しするべきだったかな。でなければ今のようにこんな危機は訪れなかったんだろう」
「大阪都構想に依って皇室の分断が加速化し、更には浩宮家と秋篠宮家の対立の加速化ですね。ここに来て現代の南北朝時代の始まりですか……先祖代々にどう顔向けすれば良いんでしょうか!」
「子供世代以降に大変な遺産を残してしまった。彼らには大変酷い事をしてしまったぞ、俺達は!」
 このように隊長と部下の話は我々の時代では想像も出来ない程に日本の未来は暗い。彼らのように苦労する世代が出ないよう我々は日本の未来が明るい方向に転がるよう努めていかないといけない。
 果たして……


 と言う訳だよ。少々自分の思い込みも入ってるぜ。果たして西郷はそんな事を考えていたのかについては彼の脳内を聞き取れる人物でないとわからないしわかる筈もない。但し、それ以外の自分の考えにはほぼ裏付けは出来てる。特に大阪都構想の実現が皇室の分断を加速するというのは間違っていない。何故なら日本で言う都ってのは元々天皇が住処とする場所の事を指す。決して諸外国で言う都ではない。なのにこれを全く理解しないツイッター徹を始めとした緒方一神斎の連中や名古屋市長コスプレ侍と愛知県知事タコの罪は重い。仮に大阪都実現したら今度は皇室の拠点の事で文句を付けるに決まってる。つーかあいつらはそうして日本の国体を破壊してゆくんだよ。だからこそ大阪都構想は皇室を分断するので駄目なんだよ。それなら普通に大阪府で十分だよ。
 後はまあ、女性天皇が子供を産む場合で注意しないといけないのは側用人は絶対に女性でないといけなくなる。男性にすると却って自分の子だと主張する輩が後を絶たない。そうして父親を自称する連中が増えると皇室を敬う精神は徐々に薄れ、やがては天皇家は断絶……天皇家の断絶は事実上日本を地上から消滅させる事に繋がり、マルコ・ポーロが記した黄金の国ジパングは地上から消えてなくなる訳だ。これは嫌だろ? 自分だって嫌だ、そうゆう話に成るのは。仮に女性で通しても問題と成るのは女性の側用人も女性本来の気質で大変な失態を冒す可能性がある。故に天皇家の断絶に繋がる可能性は否定出来ない訳だよな。というか天皇自身が妊娠したら駄目だろ。その間、誰が公務をやるんだよ。天皇の妻が妊娠するからこそ天皇は責任を果たせるのに……小林よしのりのぼけ老人はそこに気付かんからこそ駄目なんだよ。
 摂政とか付けたら女性天皇でも大丈夫だろ……と言う意見は却下な。摂政がロクデナシだった場合はどうする? かつての藤原家の問題は其処だろうが。そのせいで白河天皇は院政をする羽目に成ったんだろうが。依って摂政も最終的には問題解決に繋がらん。
 と話が長く成った。詳しくは本当に原発反対派の旧宮家のあの方が詳しく話してくれるぞ。そっちの方が実りはあるから聞け。因みに小林よしのりに何か恨みでもあるかのような事を言われたらこう返答する。奴は戦争論の頃から大嫌いな漫画家の一人。思想の変遷を経ても奴は大嫌いなんだよ、自分は。つーか奴がああなる事は初めから何となくわかってたんだよ。だが、そこに気付かん阿呆なネットチャンネルが一つ……皆まで名前は記すまい。タモさんも見抜けない癖して勝手に怒ってるあのチャンネルだよ。全くあそこは何処まで間抜けなんだよ。少し調べりゃあ奴を入れちゃあいかんってわかるだろうが。それで安易に居れて問題が発覚したらポイ……どんだけ見る目は海のリハクだよ(呆)。
 さて、愚痴はこのくらいにしてショートストーリーの解説を終える。

 第六十八話の解説をしようか。今回は仲間達が次々と死んでゆくお話でした。そこは容赦しないぞ、自分は。何しろたったの五名だけで救出するよう要請した真古式神武の采配がいけない。出来ればもっと数を出してでもやるべきだった。仮に少数でも四名だけ学者上がりでどうしろと……そんなの現代で言うなら八百長長男相手にユーチューバー五人でしかも内枠が明日のジョー以外は政治学の三島一八、軍事学のクンカクンカエネル、マリメー学の召喚獣アスカ、不倫学のファーストプレジデントでどうやって勝てと。仮にマシな連中でも明日のジョー以外の四人はプロレス学のパチンカスレスラー、ドキュン親子のハンマーパパ、後は……思い付かん。兎に角、犠牲者が出ない方が難しい話だよ。故に四名は犠牲に成ったんだ。
 さて、名もなき赤子が突然おかしな行動に出たのはてこ入れじゃない。元々、主人公を務める藤原バッ戸が助かったのはあの赤子のお蔭なんだよ。だが、バッ戸はそれには気付かない。気付き出すのは……明日から出す第六十九話からと成る。さあ、タイトルはどう成るか? 既に決めてるんだけどね。但し、五パート目で明かすからお楽しみ。
 以上で第六十八話の解説を終えますな。

 全くネオブーメラン党はマジで消えて欲しい。何度も思ってる事だが、あいつらのせいで陛下の表記を消されたんだぞ。許せる筈がないだろう。しかも九条改正の議論に参加する条件として女性宮家の話などを持ち出すんだぞ。ふざけるのも大概にしろよ、あの寄生虫共は。つーかベアクローとちんとレン4は国外追放の刑に処してやらないといけないぞ。いやそのくらいせんと駄目だろうが、非日本人の国会議員を追い出す為には。
 と言う訳で今回はここまで。そうか、禿げ添えだけじゃなくツイッター徹も非日本人なのか。だとしたら参政権を推進する理由は在日だった親父の遺言かも知れんなあ。

 追記
 予定表を忘れていた。この通りに成る。

 予定日五月十五日~二十日    第六十九話 ???? 後篇              作成日間
      二十二日~二十七日  第七十話 優央の記憶 終わりの序章          作成日間
      二十九日~六月三日  第七十一話 優央の記憶 躯央からの提示        作成日間
    六月五日~十日      第七十二話 優央の記憶 銀河連合に依る恐るべき展開  作成日間

 毎週の雑文で必ずやらないといけないのがこれ。忘れないよう心がけよう。因みに八百長長男の試合の感想(茶番)は……まさかホストがあそこまでネタに成るなんて思わなかった。蟷螂スタイルのパッカーンアッパーは一年経とうともスレ住人の心に残るだろう。後はまあ暴走族上がりは意外に強かった……と言うよりも八百長長男だせーな。あんだけスリムなグローブで安全安心なヘッドギア着用してる癖してTKOさえ出来ないなんてどんだけ元ボクサーとして技量が低いんだよ!

雑文特別編 我こそは復讐される

 どうも少しだけ実験作をしときますな。あ、青魔法の章03の四ページ目の解説も今の内にやっときますね。
 では始めますか。

 世の中には家族の仇を討つ為にターゲットに復讐する物語は山程ある。誰だって復讐を果たしたい。誰だって痛快復讐劇を楽しむさ。復讐ってのは憎しみの連鎖という側面だけじゃない。死刑制度だってその為にあるじゃないか。でも遺族自身が鬼畜外道の死刑囚を殺すのが死刑制度の特徴ではない。遺族のどうしようもない感情の代弁を果たす為に死刑制度と言う存在がある。日弁連の連中はそれがわからんからこそ……おっと政治の話は其処までにしておこうか。つまりそうゆう事である。
 ところがその逆ははっきり言って探しても見つかるかどうかすらわからない。仮にあっても復讐される側に感情移入出来る代物が本当にあるのかどうかだろう。大体、復讐劇ってのは復讐する側が主役じゃないと意味ないだろ? ガンXソードだって主人公は復讐する側じゃないか。ダイモンズだってその前身である鉄の旋律だって復讐する側が主人公だろ。なのにこの物語は復讐する側が主人公ではない。復讐される方が主人公なのさ。
 そう俺が主人公。でも俺の紹介は後にして最初は俺に復讐しようとする五人の美少女を紹介するとしようか。五人は高校生。彼女達はある日、生徒会室に集合する。そこでとんでもない話を打ち出した。
「ええ、そんなああ。あんな奴にお姉様が?」
「事実よ。何処までも彼は私達を苦しめれば気が済むのよ!」
「許せないわ。あんなもやし野郎があたしよりも凄いなんて絶対有り得ない!」
「マジムカツクー。どうしてあいつがそんなにイケてる訳ー?」
「成績では私の方が誰よりも優れているのよ……いるのに……いるのにいいい!」
 彼女達はそれぞれの分野で俺に復讐しようと打ち合わせをする。一人は百合、一人は体力、一人はつまらん理由で、一人は成績、一人は……はあ、取り敢えず五人は俺に復讐する為に打ち合わせをする。その打ち合わせとは即ち、誰が最初に復讐を果たすのか?
「そんなのあたしに決まってるでしょ。この中で最も運動神経良いのはあたししか居ないじゃん!」
「それは駄目よ。彼については誰よりも私が詳しいのよ!」
「それはいけない。お姉様の心は僕が一番よく知ってるのに……知ってるのにあの憎き男はお姉様の心を盗みました。万死に値しますよ!」
「いえ、殺したら駄目でしょ。復讐と言ってもあの男をもっとも苦しめる方法でやらないと意味がないわ」
「またまた勉強で? マジ面倒臭いって」
「面倒臭いのはそっちでしょ? 頭が空っぽで頭の悪そうな軽々しい男とばっかり付き合ってる貴女では荷が重いわよ」
「何ホザいてる訳、ガリ勉の分際でー」
「止めなさい、みっともない!」
「これも全てあの男の陰謀よ。そうやって僕達を争わせて自分はお姉様とあんなことやこんな事を!」
「コラ、そうゆう事口にしないのよ!」
「でも有り得るでしょ、そうでしょ。きっと今頃はお姉様は淫らな姿を晒してるのよ。ハアハア、淫らなお姉様もきっと素敵よ!」
「妄想しておいて何自分の世界に溺れてる訳? ハア、全くあんなもやし野郎の何処が惚れるのよ……あ、御免御免。きっとイケメンな部分……イケメンだったのかな? どっちみち良くわからない……わからないのにどうしてあたしがあんなのに負けたのよ!」
「フウウウウ、オホン」
 さて、ここから自己紹介に入る。
「じゃあ先頭バッターはこの体育委員長を務める焔真奈美(ほむら まなみ)が行くわよ!」
「真奈美さんは引っ込んで下さい。あの忌々しい男の抹殺は保険委員長を務める浜百合(むらさき ゆり)が果たしますのよ!」
「引っ込んでって、ユリユリ。ここは文化委員長のこのあたい、貴織利奈(きおり りな)がやるっしょ」
「貴織君のような頭空っぽな人に彼に勝てるとは思えないわ。ここは風紀委員長を務めます自分が立候補します。名前は水鳥堅乃(みどり かたの)と申します」
「そして、生徒会副会長を務める私の名前は黒波揚羽(くろば あげは)で御座います」
 それぞれがどんな恨みがあって俺に襲い掛かるのか? 正直俺には身に覚えがないに等しい。え、俺だって? 今の俺は関係者以外立ち入りが禁止されている空き教室にて庶務の台田やそれから学園のアイドルにして生徒会長であられる蛍火さんと一緒にポーカーをするんだよ。
「また大貧民かよ!」
「また蛍火さんに負けた。どれだけ強いんだよ」
「でも秀ちゃんとは接戦だったよ。まさか同じフォーカードだったなんて」
「でもお前は1のフォーカードで対して俺は5のフォーカード……どう考えても勝てる筈がない」
「それでも秀ちゃんは凄いよ。私でも五枚もチェンジするなんて出来ないよ」
「チェンジしても結局フォーカードだもんな。蛍火さんはどれだけ強いんだよ」
「オイ、何イチャイチャしてんだよ。青野、オイ!」
「メンゴメンゴ、台田」
「八十年代の言葉は古いだろ、何処のノヴォセリック王国王女だ!」
「そうゆうお前も何マニアックな事言ってるんだよ。どのネタだよ、それ!」
「ダンガンロンパも知らんのか!」
「俺は逆転裁判派だ!」
「二人共大人げないから止めなさい」
「はい」
「学園のアイドル様には逆らえないぜ」
 えっと紹介しよう。先ずは俺の悪友にして存在自体が不細工な野郎が庶務の台田夷(だいだ い)。一部からは橙と呼ばれる不細工家出身ではないかと思われても不思議じゃない不細工野郎だ。果たして見合いも成立するのだろうか?
 次は俺の憧れにして学園のアイドル様でもある生徒会長の白粒蛍火(しろつぶ ほたるび)さん。完璧過ぎるスペックは女子に嫉妬されるかと思いきや逆に惚れさせる程。勿論、性格も抜群に良い。だが欠点はあるんだな。それが恋愛に関してだよ。彼女は俺しか知らない程に恋愛に関しては恐ろしくポンコツスペック。えっと恋愛とは誰の恋愛かと聞かれたら……俺は説明しないがな。
「じゃあそろそろキスでもしましょう、秀君」
「ちょっと待て、蛍火さん!」
「え、何を待つの? トランプならもう片付け終わったでしょ?」
「そっちじゃなくてここには台田が居るんだぞ」
「台田君は居るけど、それが如何したの?」
「どうしたもこうしたもないだろ。あいつの嫉妬の炎が蛍火さんの背中越しを越えて伝わって来るぞ!」
「あ、本当だ。じゃあ台田君を慰めてあげよう」
 嫉妬の炎を燃やす台田は蛍火さんに撫でられただけでまるで飼い猫のように大人しく成った。観てるこっちが恥ずかしく成る程の表情……敢えてそう表現するが、その表情はビジュアルで示そうものならグロ映画も真っ青。
 あ、俺の自己紹介だったな。俺は生徒会では初期に抜擢させられた青野秀一(アオノ シュウイチ)。この物語の主人公様。ふとしたきっかけで俺は蛍火さんに一目惚れされる。それだけならまだ良い。ところが--
「やっぱりここに居たなああ、もやし野郎!」
「出た、大の男顔負けの怪力女焔!」
「あ、真奈美ちゃん。お早う」
「お早う……じゃなくて今度こそそこのもやし野郎に積年の恨みを晴らしにやって来たぞ!」
「またお前かよ、焔」
「五月蠅い。青野のもやし野郎。お前にドッチボールで敗れて以来、あたしはずっと憎しみを抱えて生きて来たんだ。いつか必ずお前をぎったんぎったんにする為に!」
「ドッチボールで負けたのは小学六年の頃だろ? それまでお前に連戦連敗だったぞ。何故まだ復讐しようと企むんだよ」
「企むに決まってるだろ!」
「コラ、真奈美ちゃん。秀君が困ってるじゃないの」
「う、五月蠅いな。い、幾ら生徒会長の権限でも、でも、あの」
 尚、生徒会では蛍火さんに逆らえる人間は極一部。焔は蛍火さんに注意されると引っ込みやすい。俺はそれを利用して彼女の後ろに隠れる。
「ク、卑怯な。白粒の後ろに隠れて……そ、それでも男か!」
「だってお前の相手するの疲れるし」
「ウググ、あたしは女に手を挙げる程しゃばい女じゃない」
「それは男の台詞だろ。お前は別に守らなくて結構だろう」
「関係ない。女が女を攻撃する理由があるか!」
「じゃあさあ、俺様を殴っても--」
「お前は別の意味で殴りたくない!」
 どうやら極度の不細工には手を挙げられない模様。まあ確かに俺だって台田には手を挙げられないよな。
「やっぱりここに居ましたね……ってウガアアアアアア!」
「出たな、百合女!」
 現れたのは女子の中で最も蛍火さんに惚れ込む百合女にして保険委員長の浜。因みに読み方は--むらさき--。
「お姉様が、お姉様が……許せないわ、青野秀一!」
「別に密着は--」
「忘れる所だったわ、はい……チュッ」
 すっかり忘れていたが、蛍火さんは恋愛に関しては他社を圧倒させる程のポンコツスペックである事を!
「ええええええええええ、今からやるの!」
「あああああ、お姉様が、お姉様がああ……ガクッシ!」
 浜は気絶。倒れそうに成る浜を抱えるのはギャルで読者モデルも務める文化委員長の貴織。
「全くマナもユリユリも大した事ないっしょ」
「出たな。何の用だ?」
「決まってるでしょ。復讐なんだから」
 何時の間にか背後に回り込んで抱き付く貴織。そう言えばこいつは見た目に反して忍者の里のくの一である事を忘れていた。しかも抱き付いて直ぐに俺を寝かしつける。それから恐るべき臭いで俺の理性を吹っ飛ばしに掛かる!
「これで積年の恨みを晴らせるっしょ」
「コラ、何をする!」
「はい、両腕は閉じといて」
 苦無でしっかり両腕は固定された。貴織の復讐……それは裸--だが、服の着脱が出来る俺に両腕の裾を苦無で固定しただけで縛り付けられる筈がない!
「また脱皮の術。逃がさないっしょ!」
 また鎖鎌……だが、それを阻止する影が一人--蛍火さんが右手一つで文堂を握りしめた!
「良くも秀ちゃんを」
「またホタルが……ウワアアアアア!」
 信じられない怪力で貴織を持ち上げ、綺麗に入った場所から投げ飛ばした--相変わらず凄まじいスペックだよ!
「全く騒がしいわね。何かしら……ウウウ!」
 第四の刺客……その名も風紀委員長である眼鏡女水鳥。俺の上半身裸を見て鼻血を出してそのままノックダウン--男の裸に耐性がないんだよ、あいつは。
「ウウウ、覚えておきなさい……青野秀一……ガクッシ!」
 などと捨て台詞を吐いた事も追記しておく--因みに彼女は俺にある科目だけ負けてる事に恨みを持つそうだ……たったのそれだけで俺に復讐しようと思うとは!
「全く四人共だらしがないわね。特に秀一!」
「出たな、副会長!」
「だからその呼び方は止めてって言ってるでしょ!」
 最後はやっぱり生徒会ナンバー2にして蛍火さんに対抗意識を燃やすもう一人の完璧超人である黒波揚羽。どうゆう訳か、俺にも恨みを持つ。俺はあいつに何かしたか? さっぱり身に覚えがないんだが。
「あ、揚羽ちゃんだ」
「また秀一の近くに!」
「良いでしょ、秀ちゃんと一緒に居て」
「駄目に決まってるでしょ。その男は女を誑かす色欲魔よ」
「俺様もそう思ったんだよ。こいつは利奈ちゃんとイチャイチャしようと--」
「台田は黙ってて……と言うよりも永遠に口を閉じてなさい!」
「イエス、マイクイーン!」
 因みに台田は揚羽の下僕同然。惚れ込みようは俺でさえドン引きしてしまう程。
「フウ、兎に角その男は何度も私の心を裏切った。絶対に許せないわ」
「秀ちゃんはそんな人じゃありません。揚羽ちゃんはムキに成り過ぎです」
「蛍火はわからないかも知れないけど、その男は普段は普通そうにしてるけど裏ではエロ本を読み……いえ、エロサイトでニヤニヤしてるのよ。それだけじゃないわ。寝る時は枕と気持ち悪くキスを交わし、更には毛布で全身を包んで一切を見せないように変な奇行に走ってるのよ!」
 それはどの男もやってるだろ……と口には出来ない俺達野郎が居た。兎に角、揚羽の野郎は俺の悪口を言ってるようで内容は完全にストーカーのそれ。奴の最も大きな欠点は人の悪口がストーカーの話す台詞にしか聞こえん事だ!
「と言う訳で……ハアハアハア、その男はにやにやしながらエロ動画を見てるのよ!」
「それが如何したと言うんですか。秀君だって立派な男の子です。エッチな事に興味津々なのは当たり前です!」
「お黙り、蛍火!」
「黙りません、揚羽ちゃん。どうしてもというならここで秀君の身の潔白を--」
「止めろ、収拾が着かなく成っても知らんぞ!」
「そ、そ、そうだよ。青野の言う通り、ここで落ち着こう。ねえ、白粒に黒波!」
「引っ込んでて、焔!」
「真奈美ちゃんは黙ってて!」
「う、ううう!」
「お前はこうゆう時に役に立たんな、焔……グバア!」
 五月蠅いな、青野の癖して--焔にぶん殴られる俺!
「あ、秀君が……良くも秀君を!」
「え、え、えっと」
「焔……貴女、覚悟は宜しくて?」
「副会長も何怒ってるの? えっと……ここは逃げるしかない!」
 焔は全速力で逃げる。それを追う二人の獣--チャイムが鳴るまでグラウンドで競争は繰り広げられた。
 結果は流石焔……あの完璧超人である二人から逃げ切るなんてどれだけ運動能力高いんだよ!
 ああ、忘れてる方も多いと思うがこれは俺が復讐を受ける物語。どうゆう訳か、五人の女に様々な復讐を仕掛けられる物語。決してラブコメだと判断してはいけませんぞ。
「俺様に取っちゃあお前なんか爆発しちまえば良いんだよ!」
「五月蠅いな。俺だって辛いんだよ!」


 と言う訳で『我こそは復讐される(仮)』をお送りしました。これは復讐され劇では何が良いかを考えた結果、軽めの復讐され劇に成りました。一見するとラブコメに映る内容。中身を見るとちゃんと復讐劇が繰り広げられる。だが、そこまでハードではない。学園物らしくライトな乗りで展開される。なのでハードなのは他所で楽しむように。
 因みに主人公は青野秀一で若干普通とは程遠い主人公。メインヒロインは恋愛だけはポンコツな白粒蛍火。復讐を果たそうとする五人の復讐する目的はそれぞれ嫉妬、学力、桃色、百合、そして体力と成る。たまたま主人公は五人のある部分で勝利を収めてしまった為に付け狙われる羽目に。果たして無事、ゴールインを果たせるだろうか?
 と言う訳で実験作の解説を終えます。

 青魔法の章03四ページ目の解説をすると次の通り。先ずは順調な試合運び。ナロウもモリスンも何とか勝利を収める。だが、その間にクライツェの死が起こり、更にはマリックも後一歩の所で殺されかける訳だ。そしてクライツェが死に際に伝えた事……それに関しては五ページ目で明かされる。さあ、いよいよ運命の日が迫って来たね。デュアンが神を超える日ももう目の前だ。果たしてどうなるのか……因みにマリック死んだんじゃないのかって話? 一応奴は生きてるよ。詳細は五ページ目で少しだけ明かされるよ。それから別に唐突じゃないけど、デュアンはちゃんと仕込みを入れた。なのでマリックは生きてる。
 と言う訳で青魔法の章03の四ページ目の解説を終わらせるぜ。

 それじゃあ今回はここまで。確かに復讐する側のお話は結構あるけど、復讐される側のお話はそんなにないし、しかも感情移入出来るって物はそうそうないんだよな。仮にあっても大体が敵側の逆恨みに近いからな。

格付けの旅 青年デュアンの死闘 反逆のデュアン

 反逆者……それは組織を内部から崩壊させる異物。
 さて、解説する前に先ずは決勝戦のダイジェストでも語るとしよう。
 俺とグローバリィの激しい戦いを少しだけ紹介すると次の通り。
 ゴアの挙げた右手はやがて試合台に振り下ろされるとそのまま打ち合いは始まる。互いに大技合戦かと予想された戦いは意外にも簡素で尚且つ俺達は下級魔法及び中級魔法に依る出方を探るばかり。互いに属性防御に依る手の見せあい。下手に上級魔法以上の術を使用するのはリスクが大きいと考える。勿論、俺はそう思っていたから中級・下級魔法のみで序盤は相手の出方を探る。
「--どうした、臆病者」
「--そんな安っぽい挑発で俺がホイホイ乗っかると思うなよ……ファイアーボールワイドレンジブラスター!」俺はファイアーボールの雨を放ち、そこにアイスソードの嵐を仕込む。「--受けよ……ダークリッパーチャージ!」
「--ウグ、貴様は……何てなあ、フルブラスト・マキシマムシュート!」
 グローバリィの繰り出す禁呪魔法は少々格好付けた名称で放たれ、俺が繰り出したダークリッパーチャージを乗っ取る。それから正式名称『レイド・ベル・ファング』で俺の右腕を抉るように攻撃。幸い、そこに仕込みの魔法障壁を仕掛けておいた俺は腕を保つ事が出来た--が、その代わり左腕一本に依る発射を余儀なくされた!
「--何時仕込んだか知らないが、ゴアの目を盗んだか」
「--いや、試合が始まってから直ぐに掛けておいた……が、これは」どうやら『レイド・ベル・ファング』に毒が仕込まれてるとは夢にも思わなかった。「--邪道め、魔法の中に大会で禁止された毒物混入をするとはな」
「--今はルール無用……ダークライズベル!」それも禁呪魔法の一つである直接鼓膜を破壊する代物。「____」
 かなりきついなあ。鼓膜が破られたから得意の聴覚で詠唱してる事さえ俺にはわからない。『五感』でこれはどうやって制すれば良い? それよりも目が霞む、倦怠感が押し寄せる。後は……等々毒は進行中。
 五感……それは全ての生物が持つ基本的な感覚。映像化を促す視力は失うと文字を描く事もテレビジョンで視覚的な物を楽しむ事も出来ない最も重要とされる器官。こいつは失ったら最後……絶望感は尋常ではない。次に聴覚。こちらは言葉を認識する或は物音を認識する危機感知の器官。失えば世界は一転してサイレントワールドと化す……巧い表現を俺は知らん。次に嗅覚。こいつは悪臭を確認する為に必要な反応の感覚。しかもこいつを極めたら攻撃予測も可能に成る。四つ目が触覚。こちらは微修正の感覚でどんなに目で見た物や耳で聞いた物、更には匂って確認した物でも不完全。なので触覚で微修正を行う事で完全に近付かせる。最後は食べ物を口に放り込む際に必要な味覚。戦闘に於いては何の役にも立たそうな器官だが、実は空気の味を覚えればこれ程使い物になる代物もない。それでも戦闘に於いては最も目立たない感覚だがな。さて、これらを一つに合わせる感覚がある。まあ『共感覚』については後程学ぼうか。
 俺は様々な禁呪魔法を身体に浴びる。その毒はやがて嗅覚を使い物にしなくした。残り三感で何が出来るというんだ!
「___________」もはや俺の詠唱する声さえ聞こえない。「__________」
 だが、俺は舌なめずりして大いに味覚を活用してみる事にした。成程、戦闘に於いて味覚がこうゆう時に活かされると考えると徐々に他の感覚との距離を縮めてゆき、共感覚の領域で……ウググ--これだから暗闇の中でダメージを受けるのは嫌なんだよ。
 兎に角、俺は共感覚で視力と聴覚、その他の感覚を補い合って詠唱を続行……奴がどの属性を纏って今何をしようとしているのかを嗅覚で研ぎ澄ませ、それを補うように試合台を何度も踏み鳴らして確認。それから何度も舌なめずりして味を確認……このペース配分だな。じゃあ超級魔法ブラックハーケンよ、切り裂けええ!
 それからゴアのような何かが試合終了の合図を送るような気がした。







 五感は一時間後に元の状態に戻る。その時、俺は『優勝旗』を両手に担いでいた。
 優勝旗……それは優勝した事を表す称号のような物。つまり旗を持つ程に高いくらいに就いたぞと--
「オイ、デュアン。ごちゃごちゃ考えてる場合じゃない。さっさとインタビューをしやがれ!」
「わかった」
 俺は他愛もないインタビューを熟した。そこには新しい発見もなければ歴史に残る演説にも成らない。
 俺にとって歴史とはドラマであり、物語であり、そして真実の確認。歴史とはドラマである以上は脚色と捏造が氾濫し、物語である以上はどんなに汚らしく残虐な行いも美談として語り継がれ、真実の確認として検証される。
 さて、ここまでが決勝戦までのダイジェスト。今、隠された医務室を発見した俺は全身包帯で巻かれて更に特殊な鎖で縛られるグローバリィことグルービィ・マクスウェルJr(以降小マクスウェルと呼ぶ)と対面する。奴に色々と聞きたい事があって俺は尋ねに来た。
「何故、私を生かした?」
「これから殺す……口封じにな」
「これから……つまり、情報を引き出させて父大マクスウェルの情報を引き出すつもりのようだが--」
 やはり本物のマクスウェルは既に他界していたか--と察した俺。
「そうか、妹から聞いたな」
「お前の師は多分……『ドランドゥ・アーウェル』の関係者だろう?」
 ドランドゥ・アーウェル……それは惑星ディーの中で最大の禁呪魔法使い。そして--
「アーウェルこそ父を亡き者にし、師アイスマンと共にこの星の支配者ディーの計画を推進する黒幕の一人だ」
「やはりそうか。あの時の声は五つ。最初に喋ったのがワイズマン、次がアーウェル。三番目がナロウ・スペース。そしてお前、最後がガガープ・アイスマン。特にワイズマンとナロウは全生命体の敵にして黒幕の一味……どちらも滅ぼして構わない存在だ」
 知っていたか--と小マクスウェルは驚くのか、やや音量が高い。
「俺は奴らを許せない。お前もそうだ。お前の父グルービィ・マクスウェルは本当の意味で惑星ディーを救う為に尽力してきた。魔導学園を追い出された時もそうだが、奴は本当の意味で魔導学園に依る一強体制を崩し、健全なる星にするべく尽力してきた。その為ならば禁呪魔法に染まってでも『マギ五大魔法』を打ち崩し、真にあるべきエーテルの体系に戻そうと必死だった……なのにお前はアーウェルとアイスマンに自分を売って、更には大マクスウェルを謀殺した。それに気付いたのがお前の腹違いの妹達であるクラリッサとクライツェ。だが、お前はそいつらを口封じする為にクラリッサの情報をアイスマンに売った。クラリッサはそうしてディーに体を乗っ取られ、魔道に堕ちた!」
「仕方がないだろう。貴様は知らないようだが、アイスマン様は真理を説かれたのだ。『マギ五大魔法』を打ち崩せば今まで築き上げた魔科学文明は水泡と帰し、我々からマナは失われる……と!」
「その為にお前はクラリッサを実験台にし、クライツェを……話に成らん!」
 ウグ……デュアン、マイ、ダ、ぁ--小マクスウェルの肉体を骨ごと焼く俺……奴は髪の毛一本も残さず消し去る。
 それから俺はこの場から消え去る--既に出来上がった『デュアンロール』を使ってな!
「警報が鳴ったが……な、グローバリィが!」「まさか侵入者が!」「拙いぞ、このままでは……今直ぐにでもアイスマン様に報告せねば!」現場に駆け付けた奴らが騒ぐのもそう時間の経つ長さではあるまい。

 それから俺はマリックが寝てる病室まで尋ねる。
「出たな、デュアン。しかも変な経典を担いで」
「『デュアンロール』と呼べ……と言ってもこいつは試作品だ」
 デュアンロール……説明すると俺の持つ畜魔機と言う奴さ。魔法使う度にマナを消費する。しかもマナが枯渇すると倦怠感など色々な症状が発生するじゃないか。そうゆうのを少しでも抑える為に俺は開発した。しかもこいつを作ったお蔭で俺は更なる魔法を身に付けた……それはまあ『企業秘密』という事で。
 企業秘密……それは企業だけの独自製法の事。独自製法とは知られたら他者がこぞって真似るじゃないか。特にコスト削減で大量生産でもされたら自社へのダメージは計り知れない。その為に独自製法だけは秘密にしなくちゃいけない。そう、幾ら形だけ真似ようとも最後の一押しだけを秘密にすればどんなに真似ても奥底までは真似られない。その結果、自社のブランドは守られるって寸法さ。
「わかったわかった……要するにお前は掌を見せない訳だな。何処までも憎たらしい奴だ。だが、助かったぞ。お前が変な真似をしたお陰で俺はこうして日の下で活動出来、俺が魔導学園の頂点に立つ御膳立ても出来る訳だ」
「まあな……その恩についてだが」
 何……恩着せがましい事を--俺はマリックにある事を頼ませた!
「それじゃあな。もう二度と魔導学園に戻る事はない。後はラキやモリスン達と一緒に魔導学園の事を任せるぞ、マリック」
「オイ、無茶苦茶な事を俺に頼むなああああ!」
 マリックの叫びを背に受けて俺は……真の『ディー』を倒すべく魔導学園に忍び込む!















「デュアン……父上に刃向かうとは!」
「済まないなあ、スローター。俺はどうしても許せない事がある。その為なら俺は神だって倒してやる!」
「馬鹿な事を考えるんじゃない……私はこの身が朽ち果てようとも--」
 お前は生かしてやる、スローター……俺は無駄な人殺しはしたくない--と言って俺はデュアンロールによるテレポーテーションで奴の背後まで瞬間移動!
「な、私が道を譲らされただとお!」
 そして俺はアイスマンが居ると思われる『アビス研究所』へと足を運んでゆく!
「デュアン……どうしてお前なんだ。どうしてお前が神の反逆者として選ばれたんだ。選ばれなければ……選ばれなければお前は普通の生き方が出来たのに。お前が選ばれるからこそ仮にこの先に待つしの絶望を突破しようとも……待ち受けるのは無限にも続く地獄よりも更に地獄染み、一生懸けても天国に到達しない道なき道の始まりなんだぞ!」














 ……何て夥しい数の魔物をここで製造していたんだ。これが惑星ディーの深淵にして全ての真実が内包される『アビス研究所』の正体なのか!
 アビス研究所……それは魔導学園中央棟の地下百階に位置する星の核まで続く研究所。そこは研究所とは名ばかりの魔物の巣窟。ケルベロスやミノタウロスは生温い。ア・バオア・クーやスキュラ、それからルシフェルでさえ裸足で逃げ出す程の魔物達で溢れる。研究所は全部で地下千階まである。地下1千階目にこそ--
「そう、わしが存在する」出て来たな、ガガープ・アイスマン。「とうとう禁忌に触れたな、デュアン君」
「俺は神に従うのは死んでも御免だからな」
「全くクライツェ君は死に際にとんでもない事を遺したね。全くこの老体に鞭打たせるような事を……いや、違うねえ。既にこの身は死者と同じかえ?」
「恍けるなよ、アイスマン。貴様のやって来た事は風聞とは真逆の好意だ。第三次魔導大戦もそれからグルービィ・マクスウェルの真実も全てはお前が仕組んだ事だろう!」
「まあなあ。そしてわしはアーウェル様の理想の実現の為に『全生命体の敵』と通じて『ディー』の復活を計画して来たのじゃ」
「『マギ五大魔法』の正体も初めて知ったぞ……クライツェ・ロロリアーナはこう言った!」
 さて、そろそろクライツェの遺言でも公開しようか。それは次の通り。
 --グルービィ・マクスウェルは第三次魔導大戦を起こした張本人として惑星ディーではデイズ人と共に忌み嫌われた存在。だけど、それは事実とは異なるわ。本当はグルービィ・マクスウェルは第三次魔導大戦を止める為にありとあらゆる真理に到達したのよ。その心理の一つが『マギ五大魔法』……私達の先祖である古代ユミル人が興した古代国家サウル。その太祖サウルは初めてユミル人だけの国家を築いた。それからダビデは惑星ディーに奇跡が溢れるようにするべく『マギ五大魔法』に着手。そして最大にして最悪と謳われた王ソロモンの時代では『七十二柱の悪魔』と契約し、それを完成へと導かせた。それが私達が魔法と呼ばれる奇跡の力を使役出来る理由。こうして魔法の元素であるマギは完成された。だが、歴史が示す通り『マギ五大魔法』は争いの火種。争いが起こる原因は人間の愚かな一面だけではない。ソロモン王が完成せし『マギ五大魔法』が根本的な原因。様々な宗教預言者達はそれに着手しようとする度に私達ユミル人が裏から始末して来た。そう、クリストもムハンメドもブッタもツァラトゥストラも……そして父大マクスウェルも。そう、私達の父はグルービィ・マクスウェルその人。大マクスウェルは第三次魔導戦争を引き起こし、あらゆる陰謀を仕掛けた張本人ではない……寧ろ逆なのよ。父は本気でディーを救おうとしたのよ。全ては争いの火種である『マギ五大魔法』を打ち崩し、あるべき姿に戻す為に。なのに兄は……そんな父を殺し、口封じの為にクラリッサを大魔導士『ディー』に憑依させたのよ。そして兄はアイスマン、それから禁忌魔法を作り上げた魔人『ドランドゥ・アーウェル』と共に最後の計画である『エデン』を推進するべくこの魔術大会を開いたの。魔術大会は『エデン』を推進する為にアイスマンを含めて歴代の魔導学園の指導者が開催するのよ。そして貴方や貴方の幼馴染であるラキが暮らしていたあの孤児院だってそうよ。実はあそここそ身寄りのない子供達を実験台にして魔導学園にとって都合の良い人材を集める為に作られて来たのよ。後は非人道的な行いの告発だって全てはスケープゴート、そしてアリバイ作り……ここまで聞いて陰謀論染みた話のように聞こえていたら御免ね。でも本当なのよ。アイスマンの真実を話せば全てがはっきりするのよ。彼は経歴こそ立派で努力の数も半端がない大魔導士であり、誰もが認める存在なのは事実。でもそれと同時に彼は三つの内、二つの魔導大戦を起こした元凶なのよ。二つ目の魔導大戦で彼はオインゲトウェイン、ナエモン、そしてアッピンホエモーと共に魔導砲を開発。アマテラスの二地域に二種類を落として三十万人もの犠牲者を産み出した殺戮者の一人でもあるのよ。全ては『エデン』を推進する為。アイスマンにとって貴方は希望の星ではない。神に反逆した存在として貴方は恐れられてるのよ。恐れるように成ったきっかけはきっと貴方が迷いを吹っ切り、急激な上達を始めた頃。そこで妹クラリッサを寄越して管理下に置こうとした。けれどもクラリッサの僅かな意思が結果として貴方を成長させるまで至った。そこで今度はマリックたちをたきつけて貴方に魔術大会に参加させるよう仕向けた。マリック達は貴方を魔術大会に参加させる為の餌。本来、兄さんや各全生命体の敵、そしてアーウェルの弟子達は参加する予定ではなかったわ。でもアイスマンは参加を促すしかなかったの。貴方を打ち破って『エデン』を推進させる為に。そう、そうなのよ。私が兄さん達に協力したのはその為。全ては貴方にこの事を話す為。でも兄さん達は私が漏らす事も想定し……こうして私は死んだの。ならば私は最後の力を振り絞って貴方にこんなメッセージ魔法を送ったのよ。全ては--
 と言う訳だ--とアイスマンにクライツェの遺言を伝える俺。
「『エデン』の邪魔をするか。『ディー』復活の邪魔をするか。若造よ、引き返すのじゃ。『エデン』はを倒す為の切り札なのじゃ!」
? なぞなぞか?」
「違う。『全生命体の敵』最大の存在じゃ。若造が幾らわしよりもそして『ディー』や『ドランドゥ・アーウェル』様よりも遥かに強くてもには勝てない!」
「そいつが神の正体なのか!」
「違うぞ、デュアン・マイッダー。神は人類いや生物にとっては代えがたい存在として何時も君臨しておられる。だが、そんな神……いや、神々でも認めがたい存在が二つ。それがお前さんのような神殺しと『全生命体の敵』の総本山であるじゃ!」
「だから何がそこまで恐ろしいのかがはっきりしない!」
「お前さんは何れその存在がどれほど恐ろしいのかを気付かされるじゃろう……だが、それはそれ。これはこれじゃ。お前さんはこれ以上強く成るな。お前さんは神の一歩手前まで来ておる。己の為にもここで引き返せ、デュアン・マイッダー!」
 お断りだね--ここで交渉決裂を宣言する!
「そうか……そこまで身の程を知らんようじゃな。ではわしも命を賭して止めねば成るまい。覚悟しておけよ、若造よ!」
 こうして俺は魔導学園最大の長ガガープ・アイスマンと一大決戦を仕掛ける!


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一兆年の夜 第六十八話 テンタウ 中篇(五)

 午前十一時零分二十三秒。
 場所は未定。
 赤子を抱えたバッ戸とレイデルは行動開始。先ず始めるのが何処に通ずるかを叩いて確認する。
「近いな。ハアハア、なあバッ戸?」
「今はだ有効活用するのがだ先だろだ?」
「お前は五月蠅いな。ハアハア、だが間違いない」
 そこから先はほぼバッ戸の発言だけで占められる。二名は目と目を合わせる会話法を駆使して意思表示を伝えてゆく。但し、瞬きが発生する事を事前に知らせる事で誤った意思表示を出さないよう細心の注意も払った。
(レイデルはだここままだ進めばだ拠点型からだ大分離れるとだ計測しただ。どれくらいだ離れるかをだ明白にだしないのはだ自己完結ばかりするだバルケミン家のだ良くない所だがだ。それでもだ代々のだバルケミンのだ生命はだ言った事のだ根拠はだ示さないけどだ、何かとだ説得されやすいだ。そこもだ又だ、藤原マス太だの一族やだ蘇我フク兵衛だの一族とだ並んでだ知能派とだ謳われる所だ)
 レイデルの言葉を信じてバッ戸は赤子を抱えて進む。後ろ足が一本ない状態でも進む事に関しては問題はない。少々重心がそれやすい状態でも飛蝗族由来の持ち前の体幹力を以て突き進む。

 午後三時七分四十四秒。
 その時刻を以って外に出る事に成功するバッ戸とレイデル。彼らを温かく迎えるお日様の日差し。その日差しを以て二名は確信する。ここは間違いなく鳳凰堂山の外。場所は地方にして大中臣。方角はまだ定かではないが、間違いなく拠点型の腹の外。
「はあああ、はあああ……まだ保てよ、俺の命!」
「だから喋るなだ、レイデルだ!」
 レイデルは限界が近い肉体を駆使してお日様の方角と風の吹く向きを測定。そこから彼はここが新乙奈子平野にして清麻呂の森と純友洞窟東北側出入り口の中間点である事を計測した。
「そうかだ、信じられない話だ」
「ハアハアア……むむ?」レイデルは足元の土の柔らかさから右手だけで何かを探り始める。「地盤が緩い……今まで誰もこれを」
「だからだ無理するなだ、レイデルだ」
 ムム……バッ戸、お前の身体三個分前に隠し出入り口を発見した--レイデルはこんな時でも好奇心の為すがままに進んでゆく。
「何をだ……何だ!」レイデルの言葉を半信半疑で後ろ足以外の足で確かめたバッ戸はそこで自動的にせり上がる野原に声を荒げて驚いた。「ウワアアアアアだ……まだこんな物がだ藤原大陸にだ在ったのかだ!」
 はは、そう、らし、ぃ、な--そろそろ辞世の句を考え始めたレイデル……彼は既に仰向けに転がって後は遺言を残すだけの身と成った!
「レ、レイデルだ!」
「単刀直入……だ。必ず、任務、を、果た、せ、よ、ぉ……」
 最後まで合理主義を貫いたレイデル。
(ああだ。この方をだ必ずやだ六影府にだ送り届けるだ。だからだ、レイデルだ……クマントだ、コケ造だ、それからだフク五郎だの所にだ向かってくれよだ)
 レイデルの亡骸は一の時を掛けて埋葬された。バッ戸は己一名だけと成った事に涙しか流せない。黙祷しても彼は溢れる涙を制御出来ない。心は悲しみで満たされた。
(俺だは必ずだお前達のだ分までだこの方をだ……まただ泣いてらっしゃるだ。悲しいだ、張り裂けそうだ。両方のだ意味でだ俺はだ辛いだ!)

 午後五時零分十一秒。
 何とか落ち着かせたバッ戸。彼は純友洞窟の方角に向けてゆっくり進み始める。すると--
(何だ……レイデルがだ見つけただ不思議なだ開くだ野原のだ先にだ光がだ漏れ出してるだ!)
 バッ戸は既に気付いていた。興味本位で任務とは無関係な事柄に足を突っ込むのは任務の成功率を下げる行動だと。それだけではない。四名の命を懸けて達成された救出劇を頭脳労働者の勝手な行動で無かった事にするのは在っては成らない。故にバッ戸は純友洞窟目指して赤子を抱えて--
「何だってだ!」バッ戸にとって信じられない事が起こった。「なだ、潜り抜けただってだ!」
 潜り抜けたのは生後一の月ほどしか経たない名も知らない烈闘と優希の第二子。その赤子は生後一の月にも拘らず四足歩行で光が漏れ出す穴を目指して猛進。バッ戸は成者として生後一の月ほどしか経たない赤子に簡単に潜り抜けられた己を恥じる。だが、恥じた所で何も取り返せないと考える為に直ぐ様、その赤子より先回りして掬い上げようと試みたが--
「何だってだ!」その赤子は何とバッ戸の上を跳躍し、しかも信じられない何かを彼に見せ付ける。「両眼がだ……赤くだ光っただってだ!」
 赤子はそのまま穴の中へと姿を消した。バッ戸もまた、そこへ突き進んでゆく……

『--これが俺にとって最も驚いた事実だよ。こうして俺は後少しと言う時にその方の
赤ん坊とは思えない身体能力と行動力に一杯食わされました。それでも俺の手際の
良くなさが招いた結果さ。どんな弁解だって通用しないのは重々承知だ。俺は辛いさ。俺
がもっとあの方を縛り付けていたらあの方は。
 そうそう、ここで中篇は終わる。この続きは最後と成る後篇で詳細に記す。あの方に
ついてはみんなが知ってる結末通り。だが、俺の見解は大きく異なる。それだけを俺は
語りたいんだ。
 だからもう少しだけこの物語に付き合ってくれ、頼む』

 ICイマジナリーセンチュリー二百五年七月九十四日午後五時二分二秒。

 第六十八話 テンタウ 中篇 完

 第六十九話 テンタウ 後篇 に続く……
プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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