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一兆年の夜 第五十八話 鹿を指して馬と為す(一)

 ICイマジナリーセンチュリー百七十九年五月四十二日午前八時二分四秒。

 場所は新天神武。
(最近は古式神武も新天神武も未曽有の出家者流入で俺達は困ってる限りだよ)
 齢二十九にして十一の月と十二日目に成る武内カメレオン族の青年はその流入に乗じて早速新天神武でまだ未踏破の地を目指す。
(最後に見たのが人族だから俺は思考も会話も人族特有のそれに近い。カメレオン族は元々、相手の種族に合わせて訛りを変える種族だからな。俺は産まれた時から何も持たないこの種族を大層悔しがったよ。何で相手に影響されて訛りを変えなきゃいけないんだよ、って。でも今じゃあこの会話はあらゆる訛りの研究に活かせてとてつもなく勉強に成ったよ……が、問題はこの訛りは会話すら存在しない銀河連合に適用するとまるで機能しないんだな。さて、これは何が原因なのか?)
 口伝により伝わりしカメレオン族の特性は時として通用しないのが一つ。それが銀河連合。彼らは七百の年より前以上に流れて生命体を喰らい尽してゆく。初めに出会った最初のカメレオン族の雌は種族特有の訛りの変化が見られない事を受けて酷く己達を馬か鹿のように思った。そう、今回の話の主人公である青年は彼女が命懸けで伝えた事を大事に扱って研究する生命。元来、研究者肌の居ないカメレオン族の中では珍しく研究に熱心なカメレオン。出家する理由も又、研究の為。俗世に浸れば待ってるのは仕事に忙殺される毎日。それを省く為に出家し、自由な時間を求めて開拓されてない地へと降り立つ。
(だが、後で考えたら出家者もまた忙しいと聞く。俺は忙しいのを避けるために武内大陸から離れて新天神武へとやって来たのにそこでも又忙しい毎日が続く。好きじゃないのが続いた為に俺は前の仕事を止めて俗世から離れる事をここに誓った……は良いが、坊主はそれ以上に厳しい事を後で知って今にも逃げたくなる己が居たんだな)
 青年の名前はカメレイン……勿論、訛り研究者。滝の山へと登り、遂にそこで神々が眠る建物へと辿り着いた。だが、そこで待つのは眼が赤黒い一般生命?
「あのう、もしや先住民ですか?」そこでカメレインは気付く。「もしや銀河連合!」
 実はカメレインが対峙するのは馬族の筈? なのに己の訛りが一切変化しない事を受けて彼の全身に恐怖が走る!
(オイオイ、俺は衣食住の為の準備はしたけど自衛の準備は一切しない一般生命なんだぞ! こんな偶然にも銀河連合と遭遇するなんて予想付かねえよ!)
 そうして彼が行う行動、それは逃走。勇猛と無謀の区別を理解する研究者故の正しい判断だった!
(このまま奴が消えるまで逃げるだけだ! 木に登るなり、九さ派に己の肌を変化させるなり、そして極めつけは自然の声色にして奴らを少しでも驚かせてやればそれだけで……だが、三つ目は余りにも無謀!)
 カメレインは五の時も逃げ続ける。三つ目以外の全てを駆使する事で!

ネタにしたくない候補なのにまたネタにしなきゃならんのかよ!

 どうもあの政党に対しては一体どれだけ自分を苛立たせてくるのか、と怒り心頭のdarkvernuです。
 あの政党とは勿論、サイボーグ総理が総理に成る前の当時の三総理時代で与党だったあの政党だよ。早速だけど、こいつらがいかに下らん存在なのかを書き殴ってみた。

 昔々ある所にお遍路さんと責任さんが居ました。お遍路さんは責任さんの事が一々気に入らん為に何時も色んな批判をなさってます。例えばこんな批判を。
「昔ね、責任さんの所に居る子分の浜田さんが子分に金を回してましたよ。あれはどう思うんかね、責任君」
「ああ、あれね。浜田君はこう告白したよ。『あれはオザーリンから貰った金を配ってたんだ』ってね」
「じゃあさあローゼンにゲルショッカーに酒は年金を未納してたじゃないか! 未納三兄弟じゃないか!」
「ああ、君も未納者だったね」
「ウググ、だがあれは厚生省の不手際だったんだ」
「でも当時は君がトップじゃないか」
「ウヌウ、それならエダノン連れてお前に目に物言わせてやる!」
「エダノンさんは暴力大好きな革命マルクス派の人間だと聞くけど、大丈夫?」
「それならフクヤンに頼んでやるからな」
「そのフクヤンさんは何でも人種は新羅だと聞きますが?」
「じゃあ若手の小西とソーカン批判急先鋒の石井大老を連れて来てやる」
「まさかクイズでもするのか? それはバラエティ番組でやって下さい」
「じゃあじゃあ、大物議員のグッチを連れて来てやる」
「ああ、あの日和見の。でも彼は政権取る前に違法な通信料値下げ発言や国家転覆或は霞が関解体発言、それから下野してからのグーグルアース万能説などとても聞くに堪えない事を仰ってましたね」
「ええ、グーグルアースで艦船見れないの?」
「それは過去の艦船を見るのであってリアルタイムの艦船は見られませんからね」
「ウヌヌ、そうやって勝ち誇ってるようだけど原発の再稼働は問題だ。マサクモの暗殺などと同じくそれは嫌なニュースに等しいぞ」
「いや、原発問題は君の時代に起こったんでしょう? それから殺されたのはマサクモじゃなくてマサオな」
「あれ? そうだったっけ?」
「あのねえ、お遍路君。何でも批判すれば頭が良いなんてのは頭の悪い人間が陥りやすい思考法だよ。本当に頭の良い人は批判ばかりする暇があるなら作業を進めるもんだよ。僕だって批判したくないんだよ。でもね、君達が余りにも不甲斐無いからついつい批判したりするんだよ。わかるかね、この気持ちを!」
「で、でもモリトモは批判したくなる問題だろ!」
「まあそれは仕方ない事ではありますね。ですが、うんちの持ち帰りとか教育勅語まで批判するのは心外ではありませんか?」
「何を言うか! ウンチを持ち帰らすなんて何て事を! それから教育勅語は軍国主義の回帰だろ!」
「本当は教育勅語は人間教育に必要な要素が詰まってる良い代物なのですぞ。中身も確認せずに批判するのは馬鹿でも出来る事ですよ。それからうんちの持ち帰りですが、それが抗議内容ならばどうして松井秀喜(仮)君はあんな事を言ったんでしょうか?」
「そ、それは……それでもお前に任せる訳にはいかないからな! 俺ちょっとお遍路参りして来るね」
「はあ、君の為に言ってるのに君はどうして成長しないんだろう?」
 決して責任が無謬な訳ではない。TPPとか経済方針とかバック団体の一つに闇が孕む事といい。それでも二人の会話でましな方を選択するとどうしても責任に分があるように見える。お遍路さんみたいに批判の為に尽力するような事をせずに最低限の仕事をこなして彼なりに徐々に進んでる事を鑑みればどうやってもお遍路に傾く事は不安しかない……


 他にも一杯あるよ。けれども批判ばかりして進まないという作中の言葉の通りに自分は批判したくないんだよ。でもネオ・ブーメラン党は余りにも批判されるべき事が多過ぎてどうすりゃ良いんだって思えるのが大概だからな。先ず、隣の三ヶ国が牙を向けてる中で安保批判をしたり、共謀罪を批判したりと何がしたいんだ、ってな。後は自分達はまともに出来ないのにそれを知らんとばかりに与党をむやみに批判。こんなん、馬鹿らしいだろ? 誰がこいつらの戯言を聞くんだ? 自分なら無視して次進めるね。それからろくに審議もせずにプラカード掲げたり、審議妨害したり、挙句にはフライングボディプレス……こんな奴らに票を入れる方が馬鹿らしいだろ? そして自分達が政権を採ったら審議させる事もせずに強行採決したりするんだから本当に救いがない。だからこそネオ・ブーメラン党は因果地平の彼方に追いやらないと駄目だと自分は思うね。でないと本当の意味で確かな野党が日本で生まれないから。
 という訳で自分もネオ・ブーメラン党を反面教師(この四字熟語を作ったマオさんも含めて)にして時事ネタを解説を……お、そうだ。あの学園の問題に関しては今の所詳しい事がわからないが左よりの関係者が大声出してる時点で八割方察せられると自分は見てる。
 改めて時事ネタの解説を終えます。

 さて、第五十七話ですがこっからは短くも濃ゆい内容に出来れば良いかなあと思って書いてゆくつもりさ。諺の題名だけど、こちらの場合は変化に定評のある狐と狸を主役にして遠すぎる過去ではどんな話に成るかを膨らませながらあまり登場キャラを出さずに終わらせました。主人公のフォッカスは世捨て者として出家して第二の人生を化かし合いから始め、最後は和解してこれからを考えながら幕を閉じた。まあハッピーエンドに終わらせたのは一重にバッドエンドは中々難しいからそうしただけ。ってかバッドエンドは美味い人でないと難しいからね。ンで相棒と成る家康は豊臣秀吉と徳川家康を足して二で割った名前にした。秀吉の人間臭い所と家康の腹黒い所を遠すぎる過去に於ける善良な生命に上手く当てはまるかどうかの実験としてね。結局はそれで一回、フォックスを怒らせてしまったが最終的にはその変化でフォックスを助けることに成った。そうゆう意味じゃあ中々のキャラだったと自分では思うね。
 まあ説明不足な部分があるけど第五十七話の解説はここで終わる、と。

 さあ、赤魔法の章03の三ページ目の解説をするぞ。このままじゃあ楽しめないと考えて少しは応えのある連中を投入。それが全生命体の敵。彼らを出す事で少しは自分の筆にも余裕を持たせられるんじゃないかって考えた。まあどうせいつものようにグダりそうだがな。つーかデュアンはどうしても自分の中では扱いづらく、尚且つ理屈っぽいんだよな。強過ぎるから扱いづらいんじゃない。理屈っぽいからどうやっても制御が困難でついつい暴走しがちなんだよな。それが展開にも深く影響して中々進まないんだ。まあキャラクターメイキングに於ける問題だな。他者と違うようにキャラを製作しても時々自分では操れないとこれだけ辛い事はない。それでも格付けの旅はデュアンの物語なので最後まで奴に付き合うつもりだがな。
 因みに全生命体図鑑はまだまだ未完成な上にそもそも全生命体の敵は無制限なので幾らだって最上級のエンドラスよりも下の存在は出現するから気を付けるように。え、ネタが切れるって? 自分は既にネタが切れた後で度々新作とか新キャラ出せるのは九キャラの使い回しか或は他者をパクってかのどちらかだ。なので新キャラらしい新キャラも新作らしい新作も自分は作った事は無いから注意するように。
 という訳で赤魔法の章03の三ページ目の解説を終えたいと思います。

 さて、何時も通りの予定表をどうぞ。

 
 予定日二月二十七日~三月四日   第五十八話 鹿を指して馬と為す      作成日間
     三月六日~十一日     第五十九話 最強の矛と最強の盾      作成日間
       十三日~十八日    第六十話  犬猿の仲           作成日間
       二十日~二十五日  第六十一話 前門の虎、後門の狼       作成日間

 まだまだ他の種族でやれる事はあるからな。なのでこの調子でやってゆくぞ。

 第一期、第二期、第三期に関しては横でも縦でも斜めでもなく、変容させるという繋がりで結ばれてるからどうしても想像が付きにくい。何せ前の世界の事柄は第一期世界じゃあ神々(第一期で言う建造物や秘境の事)から読み解くしかなく、第二期では口伝、第三期に至っては記録媒体という形だからな。しかも前の世界はわかっても次の世界については超越者でもわからない。その為にアヴリル(ラヴィーンじゃなく、ヴァン・フルールの事)以上にループを強いられる。故に最大の敵達は世界の消滅を試みるという訳だ。ン、ネタバレ? 前々からそうゆう傾向だからネタバレじゃないよ。
 という訳で今日はここまで。更新遅れは申し訳ない。次からはそう成らないように……またやりそうだな、自分の場合は。

 追記
 鉄血の世界はどうしてこうも無情なんだ。死に際に外すとかそりゃあねえよ!

一兆年の夜 第五十七話 狐と狸の化かし合い(五)

 恐怖とこ戦わずしてこ出家なんてこあるかん! 出家者だってこ覚悟してんだぞん! そう思って私はこ蛇族のこ状態でこ逃げ続けるん。外へこ出ても良かったがん、それではこ蛇型のこ領域にこ変わりないん。あいつらはこ外からこ来たのならこ私はこ奴のこ得意とこする領域でこ戦うのはこ流石にこ命をこ落とすん。それがこあいつにこ喰われたでこあろう家康さんへのこ償いにこ成るん。恐怖がこ内側でこ私にこ鳴らすならばこそれ以上にこ空腹でこ私はこ銀河連合とこ向き合わねば成らないん!
 私はこ逃げ回りながらこ昨日はこ使わなかった竹槍をこ我が前足にこ入手するべく……ウウん! 絡まれてしまったん!
「苦しいん、変化がこ解かれてん、てん」
 あいつはこ蛇族がこ何なのかをこ理解しん、的確にこ口をこ抑えながら更にはこ自らのこ身体でこ紐結びして私をこ捕えたん!
「ガグン、ガフン、ブブン!」
 其れしかこ私はこ言えないん。変化しようとこ試みたけどん、この術はこ変化をこ一回解いたら次のこ変化までこ半のこ日はこ掛かるとこ亡き両親はこ何度もこ教えて下さったん。だからもう一度変化はこ無理だん。
 苦しいん! 苦し過ぎて今にもこ私はこ泡をこ吐きたい気分ん。でもこ口をこ抑え付けられてる以上はこそれもこ叶わん! このまま全身を……その時ん、表門よりこ蛇型がこもう一体入って来て竹槍をこ咥えるのをこ確認したん。その蛇型はこ震えてるのがこ私にはこ……あん、眩暈がん! そこでこ私のこ瞼はこ閉じるん。
 それから何かこ刺さるのをこ聞き取るん。それとこ同時にこ私のこ身体はこ楽にこ成って何かにこ支えられる形でこ地面にこ寝かしつけられたん。暗闇のこ中でこ何か聞こえるん。
「……きろぬき!」
 その声にこ見覚えありん。間違いなく私とこ同じ生命でこあるのはこわかるん。でも起き上がる自信がこないん。また聞こえるん。
「た意識あるだろうぬき、た呼吸してるんだろうぬき? ただから起きろぬき!」
 二度目のこ呼びかけん。そこでこ私はこ瞼をこ開けるん。そこにこ映るのはこ……ウワアアアん、銀河連合だああん!」
「た驚いたかぬき、たこの野郎ぬき!」
 変化がこ解かれて現れたのはこ家康さんだん。また家康さんはこ私をこ驚かせたなん! 私はこ怒って両前足でこ彼のこ頬をこ抓ったん!
「た昨日と合わせて三度も揶揄ったのはぬ謝るからどうかこの通りき!」
 家康さんはこ土下座するん。綺麗でこ反省のこ色がこ十分なこ謝罪姿をこ間近でこ見て私はこ許す事にこしたん。
「全く三回もこ私をこ揶揄ったなん。今度やったら……えん、三回ん?」私はこそこからこ家康さんにこ術のこ中身をこ問い合わせるん。「家康さんをこ始めとした狸族のこ変化にはこどんな特色がこあるん?」
 家康さんはこ種族特有のこ秘密だとこ言って中々口をこ割らないん。そこでこ私はこ家康さんがこやって見せた土下座をこしながら狐族のこ変化のこ術のこ中身をこ教えるん。そしたら家康さんはこ意趣返しされたのでこ口をこ割ったん。
「た実は一度使ったら二度目を出すまでぬ半の日は掛かるき。ただからこそぬ賭けだったんだき」
「という事はこ昨日変化して私をこ噛んだのはこ本当のこ蛇型でこそれ以外はこ全てん」蛇型のこ死体をこ見つめながら私はこ説明するん。「家康さんのこ変化だった訳かん」
「たまさかその時から山でぬ……でも本当だぞき、た昨日話した事はぬき! ただからこそぬ恐いと感じたき! たこうやって揶揄い合いは何れ自分達の命をぬ失うと覚えてしまう以上はき!」
「いいやん、いいん。もう済んだ事だしん、そろそろ遅い朝ご飯のこ支度だぞん」
 たもう明日を迎えたんだけどぬき--とこ家康さんはこ推測をこ述べるのこだったん。
 こうして私達のこ化かし合いはこ終わりん、遅い朝ご飯をこ摂るべく一緒にこ茸をこ取りにこ行くん。それはこそれはこ大変でこあったん。というのもこ腹のこ虫はこ突然二名にこ逆襲をこ始めたん。二名だぞん。これがこ茸採取にこどれだけこ苦痛でこあったことかん! 全く危機がこ去っても出家者にこ安らぎはこ訪れないとこ言ったもんだん。
 そう言えば家康さんもこ私にこ建物のこ外へこ逃がされてもずっとこ食べずにこ建物へのこ戻り方をこ考えていたとかん。そんな時にこ建物内でこ銀河連合がこ私をこ食べようとこ嬲ってる姿がこ映ったのでこ直ぐさま変化して私をこ助けたんだなん。
「たもう化かし合いはぬ止めようかき、たフォッカスさんぬき」
「ここでこ生きてゆく為にもこそうしようん、家康さん」
 こうして狐とこ狸のこ化かし合いはこ幕をこ閉じるのでこあった……

ICイマジナリーセンチュリー百七十九年五月二十八日午前零時二十八分四十三秒。

 第五十七話 狐と狸の化かし合い 完

 第五十八話 鹿を指して馬と為す に続く……

一兆年の夜 第五十七話 狐と狸の化かし合い(四)

「たふわあああぬき、た起きた起きた……ってぬギャアアアアあき!」
 私はこ早速家康さんにこちょっとした仕返しをこしに先程家康さんのこやって見せた蛇型にこ変化して彼をこ驚かせるん。案のこ定ん、家康さんはこ昨日のこ私とこ同じく漏らしながらここの建物内をこ逃げ回るん。挙句にはこ飛び出したん。
「た流石の俺でも銀河連合が目前にぬ居たら神様に助けを乞うてゆくのだああき!」
 いい気味ですなん。三回もこ私をこ驚かせた罪はここうしてこ償わせないとこ良くないねん。でもこまだ一回分しかこ晴らしてないねん。私のこ心臓のこ鼓動がこ早く成って寿命がこ少し縮んだのはこ全て家康さんのこせいだん。ここはこ出家者のこ修行らしく夜までこ逃げ回らせて絶対にこここへこ入れんからなん。これがこ済んだらたっぷりこごちそうしてやるからこ思う存分逃げるのだん。今までのこ罪のこ帳消しとこいう事でこたっぷりなん。
「さあん、てん。そろそろこ朝ごはんでもこ……あん、れん?」
 ここでこ私はこ気付くん。出家者はこ日にこ取れた分をこ全て食べ切るん、ってん。私はこまたしてもこ出家者をこ甘く見たん。このままではこ家康さんにこ仕返しされてしまうん。でもん、建物のこ外へこ出られないん。生命男児たる者がここんな失い態度をこやらかすとはなん。いくらニの日の目でもこれは恥ずかしい。これもこまた私にこ課された罪だん。いくら家康さんにこ三回もこやられたからって何もこ仕返ししなくてもこ良かったん。きっと家康さんはっこ朝ご飯食べてるんだよん。私とした事がこ何たる罪をん!
 私は帰りを待つ事にした。三回仕返しするとこ誓ったがん、あれはこ即時無かった事にこするん。そんなのこ子供染みているん。いい大人だったらこ一回すれば十分だとこ私はこ学んだん。だから彼がこ何もこ持って帰らなくともこ私はこ待つ事にこしたん。だがん、彼はこ帰って来るのかん? それがこ心配とこ考える私が居るん。
「遅いなあん、家康さんはん」
 昼ん、腹のこ虫はこ五月蠅いん。でも帰って来ないん。きっと意地をこ張ってるかこ或はこまだ怖くて帰られないんだろうん。
「まだこまだ……腹のこ虫はこまだこまだこ抗議するん」
 夕方ん、まだ帰って来ないん。安心出来ない思いがこ強まる私ん。それでもこ私はこ待つん。家康さんはこ強い生命だとこ信じて私はこ待つん。空腹のこ一つやこ二つくらいこ耐えなくて何がこ出家だん!
「月あかりだん」
 真夜中ん、やはり帰って来ない家康さん。それでもこ私はこ待つん。既にこ空腹のこ苦しみがこ一時的なこ時間帯にこ入ったん。生命のこ神秘のこ一つでこある苦痛のこ先にこある快楽ん。医者達はこそれをこ解明するのにこ熱心なこようだがん、そんなのこ解明してどうするんだろうん。
「まだまだ待つぞん」
 恐らく深夜にこ入ろうとこしてる中ん、ようやく目前にこ何かがこ近付いてるのがこ見えたん。ってこあれはこ蛇型ん。きっと家康さんはこ仕返ししにこ来たんだろうなん。仕方ないよなん。私はこ子供染みた事をこしてしまったんだからん。その蛇型にこ変化した家康さんらしき影はこ徐々にこ私のこ所へとこ急接近……えん、急接近ん?
「御免ん、家康さん。私はこ取り返しのこ……ってん」突然、全身を伸ばして跳んで来た家康さんらしき蛇型。「ウワアアアん、抱き付かれるのはこ流石にこ勘弁ん」
 だがん、家康さんとこ思わしき蛇型はこ何とこ強く巻き付いて私にこ向かって大きく口をこ開けた……ってこまさかん!
「ウワアアアアアん、私をこ食わないでえええん!」
 咄嗟にこ蛇族にこ変化して巻き付けをこ何とかこ脱出した私はこ建物のこ中にこある木のこ柱にこもたれて蛇型がこ跳んで来るのをこ試すん。するとん、蛇型はこ助走をこつけて跳び掛かったん!
「危ない……ってこ本当にん?」木のこ柱はこ上下のこ歯でこ抉るような跡がこ形成されたん。「やっぱり銀河連合だん!」
 私はこ漏らしてしまうん。本当に銀河連合が襲い掛かるとこわかったらどうして漏らさずにこ恐怖をこ逃せるのかん!
「だん、だとしたらこ家康さんはこん、こん、こいつにこ……喰われたん!」

一兆年の夜 第五十七話 狐と狸の化かし合い(三)

 夜……私達はこ食事をこするん。出家者はこ日々を修行にこ費やすん。そこにはこ遊びがこない……というのはこ一般生命のこ思い込みでこ実はこ纏める側がこ怠け者だった場合はこ大いにこ遊びをこやる機会がこあるん。目のこ前にこ居る家康・トヨトミさんはこ自他共にこ認める怠け者でこ普段からこ修行にこ飽きて遊びにこ夢中でこあるん。
「たキノコ料理はぬ美味いき」
「その前にこ何時にこ成れば雑巾がけやこ座禅ん、それからこ神様へのこお祈りがこ始まるん?」
「たまあまあ焦るなぬき。た人生は楽しく生きてこそだとぬいうのが俺の哲学き」
「銀河連合がこここにこやって来たんですよん。そんな楽観的だとここの先もこ生きてゆくのがこ難しいん!」
「た何ぬき、た銀河連合だとぬき! たそんなはずはぬないぞき! た銀河連合は先代の出家者がぬ全て倒したと聞くき。た卵だって心苦しむのをわかってオイオイ磨り潰したとぬ先代の出家者は言ってたき。たここに銀河連合がぬ居る訳がないき!」
 何だってん--家康さんのこ話をこ聞いて一名だけこ驚く……私だん。
「ただからそんなのはぬ有り得ないき。た何せ先代が亡くなったのはぬ二の年より前き。たその辺は南から山を下りた先にあるぬ集落で暮らす生命から聞き出したき。たそれを真実味ないと思うならぬ山を降りて聞くがいいさき。た俺の話が真実だってぬ証明されるからさき」
 いやん、明日にこするん--家康さんはこ紛れもなく本当のこ事をこ言ってるのでこわざわざ暗い夜はこ出ない事にこする私だったん。
「ただよなぬき。たいくらこの山に銀河連合が居ないからってぬ今から出るのは余りにも危険過ぎるき。たもう銀河連合の話はぬ良いんだき。た食事食事ぬき!」
 二名共急いで食事をこ済ませてゆくん。共にこ万が一のこ可能性をこ肯定しなくちゃいけないというこ心がこあるん。だから味わって食べようとこしないん。良く噛んで良く味わう行為はこ修行のこ一環だからこそれがこ抜けてるとこあればこれはこ大変なこ事だろうん。それだけにこ私とこ家康さんはこ銀河連合にはこ恐れ多くもこあるん。
「たさあぬき、た早めにぬ寝た寝たき。た早起きは三マンのぬ得というだろうき」
「でもその諺はこ最近ん、アマテラス文字にこ似つかわしくないという事でこ真古式神武はこ早速だがこ貨幣制度のこ抜本改革にこ乗り出してるってん」
「たその情報もここへ来てからはぬもう聞けなく成るだろうき、た覚悟しておけぬき」
 確かにこ出家者はこ秘境にこ住む者とこ同じく外界とのこ情報をこ断つとはこ知ってるん。まだまだ私もこ外へのこ未練はこあるみたいだなん。でもそんな心はこここへこ住み馴れれば自然にこなくなるとこ信じるん。まあ数のこ月のこ間はこその未練とのこ戦いにこ費やされるってのはこ何ともこ神々にこ対して申し訳ないなん。出家者とはこ誠にこ辛い物だとこここにこ来て痛感しようとこしてるん。いやん、早過ぎかん。
 こうして私達二名はこ共同でこ寝る部屋でこ布団もこ枕もこなしにこ転がって瞼をこ瞑ったん。
「た流石はぬ外からの生命き。た俺が銀河連合にぬ変化してる事も知らずにき。た試しにまたぬ驚かせてやるぞき!」
 何かがこ私のこ頭をこさするん。もう直ぐいい夢見ようとこしてる時にこ何だん! それでもこ瞼をこ瞑り続ける私ん。
 今度はこまだ傷がこ癒えない頭にこ噛み付いて来たん。これだけはこ瞼をこ瞑り続ける訳にはこゆかずにこ開ける私ん!
「何だよん、家康さん! 今はこ……ってん!」目の前に蛇型が舌を左右に揺らして私を見つめる。「ウワアアアアアん、銀河連合だあああん!」
 漏らしながら私はこ部屋をこ飛び出して逃げるん! 時にはこ建物のこ外にこ出て全速力でこ走るん! それでも建物が見えなくなるまで逃げることはせず、周囲を警戒しながら逃げ続けた!
「たこりゃあ面白いぬき。たやっぱここに出家して来る生命をぬ驚かすのは苦しい修行をする上で良いもんだなき。たさぬき、た驚かせ捲ったのでぬ寝るとするかき」
 ……聞いたぞん、家康さん!

一兆年の夜 第五十七話 狐と狸の化かし合い(二)

 それからこ三のこ時よりこ後にこ私はこ建物にこ近付くん。戸はこ開けっ放しでこ尚且つあの蛇型はこまだこ私のこようなこ生命をこ食べようとこ待ち構えてるん。あの剥き出した目がこ恐いん。折角近くでこちょうど良い竹やりをこ持って来てもこ恐いん。ありゃあ生命をこ食べた事のこある眼だん。しかも蛇族ってのはこ奇抜なこ動きをこすることでこ有名なこ種族だからことてもこ竹槍がこ刺さるとはこ思えないん。幾ら想像してもこ勝てそうにこないん。
 あん、蛇型がこせっかちにもこ去ってゆくん。これはこ一体ん? 機会をこ見て私はこ建物のこ中にこ潜り込んだん。初めて三角形のこ出家者専用のこ建物にこ入ったぞん。この空気はこ美味いん。でも建物のこ中はこ部屋がこ三つん。入り口でこある戸のこ近くにこ台所のこようなこ物がこあるん。それとこここにはこ床をこくり抜いて作られた何とかこだったかん? 火をこ入れる物もこあるん。神様はこ私のこ為にこここまで……ムムん、生命がこ立ち入った後がこあるん。もしや銀河連合はこ先にこ住んでいた出家者をこ食べてからこ……でも血やこ骨のこ跡がこないようなこ気がこするん。匂いをこ感じ取れる私達狐族がこ血のこ匂いにこ気付かないってこ有り得るかん?
 あん、前後左右注意緩慢だったん。振り返ればそこにはこ戸がこありん、その奥にこ頭を出す先程のこ蛇型がこ居るん! こう成ったら先祖不明のこ私のこ一族がこ代々伝えし変身のこ術をこ使う時だん。そうして私はこ先程見た蛇型にこ姿をこ変えて、尚且つ私達狐族がこ持つ尻尾だけはこ口にこ咥えてさもこ私がこ食べられたようにこ見せかけるのこだん。
 そうして蛇型がこやって来たん。やっぱり恐いん。震えがこ止まらないん。でも恐いのはこ仕方ないん。銀河連合相手にこ恐くない生命はこ中々のこ熟練者だとしかこ思えないん。ンで蛇型はこ私達生命にはこわからない鳴き声でこ私にこ何かこ呼び掛けるん。その意味はこわからないん。でも私はこわからないからここそこ同じような鳴き声をこしてみる……尻尾咥えた姿でこん。
 するとこ蛇型はこ喜ぶようにこ私のこ頭にこかぶりついた後ん、左前脚でこ叩いてからこここをこ立ち去った……痛いしこん、恐かったん! かぶりついて来た時はこ正体がこ発覚したかとこ思ったん。でもこ気付いてなかったん。あれはこきっとこん、でかしたぞ、ってこ言葉だったのこかもこしれないん。言葉のこ周期はこわからないけどこん、多分こそうだろうん。
 蛇型がこ完全にこ見えなく成ってからこ私はこ変身をこ解いて暫くこ見張るん。お腹はこ空くけどこん、今はこ堪えるん。だって銀河連合がこ戻って来るかもこ知れないじゃん。だからこそこ私はこ竹槍をこ片足にこ待ち構えるん。それからこ突く--
「た待てぬき、た狐族のぬあんちゃんき! た俺はぬ一般生命だよき!」
「喋る事がこ出来るならこ確かにこそうだろうなん! 危うく生命殺しのこ穢れをこ纏う所だったん」
「たそっちもお喋りできるという事はぬ即ち一般生命の証拠だねき。た俺は武内狸族のぬ家康・トヨトミき。た齢二十五にして五の月と十日目にぬ成る雄さき」
「狸族もこ確か勝手にこ苗字をこ使う全生命体のこ種族のこ中ではこあまり好かれない種族だったなん」
「た実は先にここにぬ住み付いていた出家者さき。た理由はまあ新天神武の在り方にぬ余り良い希望を見出せずにここまでやって来たんだき。た勿論ぬき、た籍はぬ捨ててねき」
「つまりお互いにこ世捨て者ってこ訳かん。気にこ入ったぞん」
「たンでそちらのぬ名前はき?」
「私はこ齢二十一にしてこ十一のこ月とこ十一日目にこ成るメデス狐族のこフォッカス・飛遊とこ申しますん。勿論ん、出家者のこ身でこそちらとこ同じようなこ理由でこありますぞん」
 たそうかぬき、た宜しくなぬき--私とこ家康のこ二名はこ互いのこ前片足でこ強く握足する……互いにこ化かし合う関係にこ成るともこ知らずにこん。

一兆年の夜 第五十七話 狐と狸の化かし合い(一)

 古式神武はこ新古式神武とこ成って再び全生命体をこ導くことにこ成ってからこ早一のこ年がこ経ったん。私はここうしてこ生命里居ないこの新メリッソス山にてこ出家することにこしたん。
 私ん? 私はこん、メデス狐族のこフォッカス・飛遊ん。勿論ん、ゼノン人族のこ飛遊家のこ苗字をこ勝手にこ使ってる生命ねん。でも狐族のこ一味はこみんな決まった苗字をこ持ってないのとこ全生命体がこ苗字をこ勝手にこ使われても寛容にこしてくれるせいでこ今でもこ勝手にこ苗字をこ使う狐族がこ後を絶たないん。そのせいでこ誰もがこ苗字からこ先祖をこ辿る事がこ難しくなりん、今でもこ達のこ先祖がこ何でこあったのかがこわからないのだよねん。でもん、同情してくれる生命はこ一名もこ居ないん。だってん、私達狐族はこカメレオン族のこ次にこ好かれない種族だからん。あん、他にもこ居たん。因みにこ齢二十一にしてこ十一のこ月とこ十一日目にこ成る青年だから覚えておいてね。
 さてん、私はこ遂にこここでこ出家をこ果たすん。移り行く世のこ中にこ望みをこ絶った生命はこ例え銀河連合だろうとこ肯定をこ覆す事はこ可能ではこないん。出家する以上はこ全生命体はこ生命世以上にこ修行にこ明け暮れないとこいけないん。住処はこ日毎にこ拭き掃除とこ神々へのこ感謝とこ何よりもこ一般生命以上にこ苦しい鍛錬にこ励むん。それがこ出家者のこ務めでこあるん。出家者のこ毎日はこ厳しいのだん。でも楽をしたいという気持ちに勝てそうにない私が居る。神様がこ眠る三角形のこ形をこした建物をこ前にこしてもこ楽をこしたいという欲求がこ勝るん。戸をこ前にこ前足がこ震えるん。落ち着けん、落ち着かれよこフォッカスん。何のこ為にこ古式神武のこメデス族のこ籍をこ捨てて出家したん? 新古式神武とこいう移り変わりにこ希望をこ見出せないからこそこ私はこ捨てたのだん! そしてん、自ら鍛え直す為にこここまでこ来たんだん! さあ前後両足のこ震えよん、止めるのこだん! 私はこ神々にこ祝福されて戸をこ開け放つのだん!
「神よん、私にこ祝福をこん!」
 そう叫んで私はこ前右足でこ戸をこ開けるん。するとこ……恐怖がこ私にこ襲い掛かるん!
「うわああああああん、銀河連合だあああん!」
 剥き出した蛇型がこ涎をこ垂らしながらこ待っていたん! 私はこ逃げるしかなかったん! 何もこない状態でこしかもこ出家をこ決意したその時からこ体がこ貧しい身だったん。まともにこ相手してもこ勝てる訳がこないん! 勇猛ん? それはこ屈強でこあればある程果たせるん。だがん、ここでこ挑むのはこ謀なしん! ならばこ逃げる方がこ良いにこ決まってるん! そうして雨がこ降り出したとこ同時にこ私はこ一目散にこ成人体型二百以上もこ走って逃げるのでこあったん!
「たふっふっふぬき、た引っ掛かってぬやんのき!」

格付けの旅 一般市民街にて休息 戦いの休息は彼らにとって忙殺と変わらない

 明日への栄光……それはとある架空映画。メガゾーン23やバブルガムクライシスといったオリジナルビデオアニメや振り返れば奴が居たや男女七人夏物語を始めとした古き良きドラマ達を参考にして作られた一般市民街一の人気映画。
(さて、俺はその映画を見てふと過去を思い出す。俺がまだ弱かった時でもあって新鮮な気分に成る。弱かった俺は何としても誰が見ても叶わない魔法使いに成る為にあらゆる秘法を学んだ。勿論、格付け師としてあらゆる事柄を調べる事は怠らなかったさ。でもな、でもな。でもなあ、そんな俺でもこの映画だけは心に沁みる何かがある。何だろうなあ、これは。ノスタルジックに浸ったのか? だとするなら俺は一体何者だ?)
 さて、デュアンは久方ぶりに哲学について考える。彼にとっての人生哲学は常に情報を際限なく追い求める事にある。格付け師に成ったのもその情報を追い掛ける為。その一方で知ってはいけない情報にも多々触れて来た。それがワイズマンやノイズンといった己の宿敵たちを呼び寄せる事に成ったが時既に遅し。
(欠番の正体がある程度何なのかも俺は知ってる。俺達が何の為に『マザーシステム』によって選ばれるのかも知ってる。けれども俺は……これだけはまだ破く必要がある)
 そしてデュアンは禁忌に至る紙を破り捨てた。
(今はまだその時ではない。禁呪への切符はまだ早い。俺にはこれから待っているであろう『バランスブレイカー』とやらに少しだけ参戦しないといけない。そこで俺と同じ神才共がどれだけ現状を理解してるのかも知りたい訳だ。だがまあその参戦をする前にどうしてもQクインシーや『羅刹天帝』という目の上たん瘤をどうにかしないといけないな)
 羅刹天帝……それは全生命体の敵に属するマイオスが興した修羅拳とは別の方向で仏教思想を突き詰めた存在。常に釈迦と盟友関係だったマイオスとは違い、そいつは対立関係にある。釈迦の死後はマイオス自身は彼の教義を利用して自らに都合の良い解釈をする事で弟子達と対立を起こしたのに対して奴は釈迦の教義を利用し、更には自身こそ真の仏だと主張。釈迦の忠実な弟子達からは羅刹天帝という汚名を着せられるが、奴にとっては自身を真の仏だと<名乗る。全く以って図々しいにも程があるだろう。だが、実力者としてはかなり上に位置し、実質マイオスとタメを張れる存在。まあどっちも滅んで欲しいと俺は思うがな。
「コラ、映画を見る時は静かにしなさい!」
 へいへい--とデュアンは反省の色がない返事をする。
 映画はかの冬が厳しい事で知られる国と同じような上映時間を有し、特に明日への栄光は基本労働時間よりも二時間長い十時間。それを最後まで見続けるのは拷問に等しい。それだけでなく、この映画にはサブリミナルをふんだんに使い、より退屈な映画へと変貌させる。その為、十時間見続けた物はまるで一生分を見てるような感覚に陥る。故にミサキは僅か二時間視聴しただけで退場したのである。
(サブリミナルに依る刷り込みに一種の黒魔術を仕込み、更には龍道特有の演算でまるでこちらの思考を思い通りに誘導するこの映画は最大級に……苦痛であり、細かな内容まで確認する気が失せる。そうか、これが『洗脳映像』という訳か!)
 洗脳映像……それは相手を洗脳する為に作られる映像の事。その手法は単純でサブリミナルなどという仕込みをせずとも相手を思う通りに気分悪くさせる事が可能。要はこっくりさんと呼ばれる怪奇現象を駆使するだけ。つまり一点に集中させて無理矢理脳内への干渉を働きかけて最後は傀儡にさせる。何、通常の洗脳は一般的な催眠術さえ分かれば楽に可能なのだよ。まあ上級者に成ると基本的な催眠術だけでは足らず、サブリミナルなどありとあらゆる手法を駆使して相手を下してゆくんだからな。
 デュアンは己の中にある禁呪魔法を駆使する事で洗脳映像から何とか脱した。だが、問題はここからである。映画館から出ると早速切符売りが具体的な感想を尋ねる。ここで「楽しかった」や「最高に面白かった」という安易な答えをすれば待ってるのは再度視聴させられるという地獄。それから仮に長文でも「さんま役の水野が古畑役の田村にリベンジする所は最高に盛り上がる場面だね。それからアリとキリギリスがイチローを本気で逮捕する瞬間は最高に気分良いね」などという頓珍漢極まる物なら即再視聴。感想は具体性あって制限字数程度でなければいけない。ところがデュアンは面倒臭がり屋なのか、次のような答えを出した。
「視聴僅か十分で帰りたくなった。あれは本気で駄作だ。一時間の駄作なら耐えられるけど、それが十倍の十時間程度と成れば死んだ方がマシだと思ったな。後は雲をあんな物で突き破るとか……白いのか或は黒い方でやれ」
「君、また見て来なさい」
 例え辛くてもちゃんとした論評でないと帰られないのだ。
(ふざけるなよ、この映画館! 何で途中退席した奴らは何も聞かなくて最後まで見た俺達だけこんな理不尽な目に遭うんだよ! また十時間を耐えろというのか、あんな洗脳映画に! 昔見た『賢者映画』を思い出してしまうじゃないか!)
 賢者映画……詳しくは青魔法の章で。

 何時までも映画館の話をしてる場合ではない。やっとの思いで映画館を出たデュアンの前にQクインシーは待ち構えていた。
「待ってたぞ、一週間も!」
「辛かった。俺としてはまるで三百四十年ぶりの気分だ」
「正義の味方はこうして貴様を倒す為に参上仕った!」
「そろそろ終わらせようか。青い方が待ってる」
「メタフィクションな事を口にするようだが、貴様を倒せばこれは終わる」
「それじゃあ--」
 そこに居たかあああ、二本足イイイイ--二か月ぶりにアルッパーはデュアンの前に姿を現 した!
「待て、鯨!」
 あれはシグマタイソンアリ--とデュアンはアルッパーが逃げてる対象を直ぐにそれだと気付く。
「お前がかの有名な格付け師か」
「そちらはシグマタイソンアリ……正義の邪魔をするならぶち殺す」
「どうでも良い。兎に角、手を貸せQクインシー」
「ハートキャッチムキキュアだ!」
 突然口喧嘩を始めた二体の悪。どうやらQクインシーと呼ばれる事に当の悪党は不満を漏らした様子。その喧嘩はやがて物理的な領域へと切り替わり、そして……一般市民達は一般フランス革命の如く一般バスチーユ牢獄を襲撃するかのように二体の悪等に向けて牙を剥けてきた。
 これに対してデュアンとアルッパーは早速この街から出る事を決意。
「という訳で戯れ合いはここまでにして行くぞ、アルッパー」
 俺に指図するんじゃねえ--とアルッパーは納得いかない様子だった。
「何か忘れてるけど、まあ良いわ。二体の悪を倒すには一般市民の力が必要みたいね。つまりもうここに」ミサキは遠目から一般市民達の様子を窺う。「用はねえわけだぜ!」
「そうゆう事ですね」何時の間にかミサキと行動を共にする背流須三。「セールスマンは次の獲物を求めてこのイカレた街を去りましょう」
「全く大衆とは何と無知で浅はかで尚且つ救い難い存在だと思うかわかるだろう」
「そうだね。今日の買い物の為だけにスーパーにわざわざ最後尾に並んでひたすら待ち続ける訳だからね。目当てはネギと安売りの不味い豆腐というだけで。そんでその不味い豆腐は腐らせる事も考えずに十パックも買ってしまうんだから--」
 もっと不明なのは突然現れたコムナオ君と無駄君。彼らは何の為に現れ、何の為に誕生したのかがわからない。

(えっとここだな……それ)
 とある箇所に極限魔法で穴を開けたデュアン。それからアルッパーと共に脱け出す。
「これでやっと話が進むんか」
「いや何時も通り進まんだろう。何せ作者はネタ切れだし」
 一言多いぞ、デュアン。

 こうしてデュアンとアルッパーは右村河内に飛ばされる前の宇宙へと戻る。するとそこに徘徊するマーメイドが一柱。彼女には二体も見覚えがあった。
「お前はリディア!」
「大変ですの、デュアンさんにアルッパーさん!」
「知るかよ、俺に助けを乞う気か!」
「二人……いえ二体でないとあれはどうしようもありません!」
「誰がお前ん所の大宇宙に現れたんだ?」
 それが……『破壊の宴』というの--その名前を聞いて誰よりも驚きを隠せないのは……意外な存在であった!
「ま、ま、待ってくれえええ! 俺は冗談が好きじゃないんだぞおお!」
「如何したアルッパー? 『破壊の宴』に何かトラウマでも与えられたのか?」
「だ、だ、誰があんなのと戦うかよおおおお!」
 そう言ってアルッパーはホワイトホエールで空間突破して別の大宇宙へと逃げて行った!
「アルッパーさんがあれだけ恐がるのは一体どうしてでしょうか?」
「いや、俺も正直奴に対して恐怖を抱かないってのは嘘に成る」それは本当であり、事実としてデュアンの表情は真っ青その物。「そんなのがアンデルセル大宇宙に現れたというのか!」
「私の力はまるでお手玉のように遊ばれて無理なの」
「クソウ、あいつは仕留めたって風の便りで聞いたのに……それが嘘だったのか! そもそも俺でやれるのかよ!」
「デュアンさんも顔色悪いのね。自信ないの?」
「いや、実物を確認しないだけの俺が恐れる理由はない。只まあ、俺はな」直感が大音量で告げてもデュアンは震える両手を握り拳にする。「弱気にしたい俺に言い聞かせていたんだ……良いだろう、リディア」
「あ、有難う御座います!」
 こうしてデュアンはリディアと共にアンデルセル大宇宙へと誘われてゆく。待つのは蹂躙を何よりも楽しむ『破壊の宴』だと知っても……


 赤魔法03 一般市民街にて休息 END

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カルトVSカルトだと意外と別の側面が見える

 どうも久しぶりに朝投稿するdarkvernuです。
 始める前に何時もの調子で『格付けの旅』が土曜日に更新されましたので読まれたい方はカテゴリ欄の<格付けの旅>又は<赤魔法の章>をクリック。
 さて、あの芸能人がイタコ教に入信したと聞いてこんなネタでもやってみたいと思いますな。

 ここ周波学園(シュウハガクエン)は決して頭の良い高校ではない。かと言って馬鹿が簡単に卒業出来るかと聞かれたら疑問符が残る。そのくらいに勉学を怠れば留年する危険性もある私立高校。
 そんな私立校にも問題がない訳ではない。寧ろあり過ぎて困るくらいだ。それはな、次の通りだ。
「なあ、深道よ。いい加減に『夜長アンジー教』に入信しろよ。教祖アンジー様はお前を励ます神様をお教えくださるぞ」
「止めろ、ダンロンの話をするのは。六章の内容に未だショック在り過ぎておまけモードで現実逃避してる所なんだぞ」
「お前十六歳だろ? 良くそれ買えたよな」
「兄が二十歳でスーダン2プレイした身だからさ。ンな事よりも何てもんに入らせようとするんだ」
「教祖アンジー様は言ってたよ。今ならポイント二倍だって」
「入らねえから他所に当たれ!」
「入らんと罰が当たるぞ!」
「さてはお前……是清が憑依してるな!」
「コラ、塩を用意するな! 俺は溶けたりしないから!」
「おおっと、そこまでだ。そこまでやるなら籠の子をするぞ!」
「何だってえええ!」「是清に殺されてたまるか!」「覚えてろよ、ラブアで三連続是清にしてやるからな!」と彼らもCEROの年齢指定を越えてプレイしてる事が判明--やる人はやるんだなあと感じる今日この頃。
 さて、先程勧誘を受けていたのは主人公深道義郎。彼は未だに学園内にある宗教同好会に入らずに何時も友人で宗教同好会の一つである『カトリクス教』に所属する高村康太の助けを受けて何とか勧誘から逃れてる状況。
「いい加減、宗教に入りな。各勢力はお前を狙って着実に矛先を向けだしてくるからさ」
「嫌だ。というかお前も碌な所に入ってないだろ?」
「天理教と思えば容易いだろ?」
「天理教に失礼だろ!」
「それか幸福の--」
「それ以上言わせるか!」
 天理教はまだ良いとして、それ以外は作者の命に関わるので上手く誤魔化す事とする。
「それにしてもまさか新たに設立された『夜長アンジー教』が台頭するとは。『マッキー教』や『終末ハーレム教』なんかが有力候補だと思ってたのに」
「良くそれ起ち上げられたよな」
「『マッキー教』或は『終末ハーレム教』?」
「違う、『夜長アンジー教』だ。六章は未だにショックが大きくて紅鮭やる気が起こらないんだよ」
「ええ、あの結末を認めないんかよ。結構良い結末だったろ?」
「お前はあれが良いと思ってるのか? 俺も兄貴も正直その展開は……じゃなくて話はそっちじゃないな」
「ああ、新たに台頭した宗教同好会の事だな。えっと『夜長アンジー教』は超高校級の美術部を知ってればわかる話だが、『マッキー教』は少々危なっかしい宗教でバエルの代わりに天皇家が持つと言われる三種の神器を奪えと主張する過激な所だ」
「プラモのバエルで我慢しろよ、三月発売だからさ」
「それから『終末ハーレム教』はジャンププラスという裏サンの対抗馬として有名なネットで読めるジャンプで連載中のエロ漫画で何よりもハーレム一番を掲げる性犯罪者予備軍の集団さ」
「いやな所だな。正直言って何でそんな所に入らないといけないんだ?」
「入らないと各宗教勢力がお前の獲得に全力を尽くすことに成るぞ。何せお前は最後の喫煙者ならぬ最後の無宗教者に成ろうとしてるからな」
「えっとそれは……忘れた。確か世にも奇妙な物語でやってた短編だったっけ?」
「俺も忘れた」
「兎に角、入らないからな」
「知らんぞ。俺はこうして穏便に済ませているけど、上が獲得に本腰入れ始めたら何時までも味方で居ると思うなよ……という訳で俺はファンタル・ホロラーガ様の御神託を受けに行くから後は宜しく」
 そう言って高村は去っていった。
「いっそ俺は自分で起ち上げて……でも同好会の活動に必要な人数は五人だしな。どうしよう、かな?」
 カルト宗教に追われるくらいなら自分からカルト宗教を起ち上げて防衛するべきか、と深道は考えるのでした。


 という訳で『新興宗教にようこそ』の一部エピソードをお届けしました。カルト宗教の話をやる上ではこれ程までに参考に成る掌編はこれしかない。でも気分次第じゃあないとFC2小説で連載中の短編シリーズのおまけに出さないから何時に成るやら?
 さて、これをやった理由は即ちペニスマンの作者がブレイクすることに成った東京喰種の実写版でヒロイン役をやろうとしていたあの芸能人が何とイタコ教に入信するという大ニュースを受けてこうして書き殴ってるんだよ。まさかあの宗教に入信して戒名まで貰うなんて恐るべし、宗教問題。
 でも違う側面で見ると芸能界のブラック事情が見えてくる。彼女が出す著書の一部内容に依ると……まあ読まんので一部内容を適当にここに記すから詳しくは彼女の著書で。えっと、それに依ると彼女の所属する事務所は薄給でしかも嫌な仕事を強引に進めて本人の意思が尊重されない。おまけに休みの日がほとんどなくて心身共に限界が来ていたとか何とか。まあ真実は不明だが、そうゆう話には一理あると自分は見てる。何よりもあの芸能界。バーニングナウマンダーとか頭がパーン、とか。そいつらのやり方は最早ヤクザ顔負けで一時期あのミス日本の人が海外まで逃げる程にまで黒い事情が浮き彫りに成る程だからな。つまり彼女はやや汚い泥水と汚い泥水という究極の選択の中で前者を選んで逃れるしかなかった……全く以って信じる物は救われるっていう考えは何という悲劇を生む事やら。これは自分なりの味方なので鵜呑みにしないように。
 という訳でショートストーリーの解説を終える。

 第五十六話だな。今回はぎりぎり終わらせたから正直急ぎ足君……じゃないよ。ちゃんと時間は掛けた。エピローグが短いのはまあ、あれだし。兎に角、終わる所で終わらせた。本格的にやっても良かったけど、再開して早々だからな。どうしても粗削りな部分が目立って本格的な信仰は五十六話まで持ち越すことに成った。本当に申し訳ない。
 さて、徐々に現代へと近付いていく水の惑星の歴史。今の段階で都道府県の内の府県は出来上がった。後は都道だけ。まあ都の方は既に出来てるけど、特殊な道だけは今の歴史では難しいしね。序に府が出来た以上は六影府としてそこは示される訳さ。そこでは江戸時代の大阪みたいに天下の台所にしてゆくつもりだ。いや、したいな。まあそうゆう事で。
 さて、これ以降は暫くの間は人族以外の主人公のお話が続きますのでバトル物はしばらくお預けという事で。以上で第五十六話の解説を終わります。ではでは予定表をどうぞ。

 
 
 予定日二月二十日~二十五日    第五十七話 狐と狸の化かし合い       作成日間
      二十七日~三月四日   第五十八話 鹿を指して馬と為す       作成日間
     三月六日~十一日     第五十九話 最強の矛と最強の盾       作成日間
       十三日~十八日    第六十話  犬猿の仲            作成日間

 ここからは対称の章。真逆だったり、古来より蔑視に用いられる言葉だったり、中の悪い奴らの事を指す諺だったりと様々。舞台は始まればわかりますぜ。
 さあて、今日はここまで。パパリオの死相が見える今週。果たしてボードウィン家の未来はどう成る事やら!

 追記
 どうやらマッキーには味方に成ってくれる老人は一人も居なかった模様。まあその部分だけ見ればまだまだ腐ってないと言えるのか、果たして? にしてもイオクのカリスマ性が親父の代からだとは……彼は果たして先代のように輝かしい人物に変貌するのか? もう遅いだろうけど……イオク様も鉄華団も既に遅過ぎたんだよ!

一兆年の夜 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火(終)

 こうして七弓と斬弥の長い旅はその息子であり、天同の血を色濃く受け継ぐ十五に依って幕を下ろした。彼の物語はここから大きく動き出すが、それを記すのはここではない何処か。でもそれを記すのは流石に他の生命にも申し訳が立たないだろう。
 なので今は他の生命に関する話に着目した話が中心と成って新古式神武誕生から次の危機が訪れるまでの間は左右対称の話の数々が羅列してゆく。
 さて、十五の血統はその後どうなるのか? 十五は十六歳で飛遊家の末子の飛遊柚子花と婚約。彼女との間に十五名の子を儲けた。名前が示す通り十五名もの子だくさんに恵まれた。でも男系と呼べるのはやはり最後の子である十六とむだけ。
 彼は自分の代で名前に数を入れる事を止め、代わりに片仮名を入れる事で名前に多様性を持たせた。そうだなあ、彼はヘラルド家のマリーンと婚約して五名の子を儲けた。内二名は男系。それらを混ぜ合わせて名前を例に挙げると第一子天同マーデ、第二子天同戸成とせい、第三子天同アルマ、第四子天同リーマ、そして跡を継いだのが第五子天同駆央くおう。実は雌の子だけは片仮名を使い、雄の子だけは従来のアマテラス文字の名前を付ける。こうする事で誰が受け継ぐかを区別させる事に成功する。
 とまあこんな感じで紹介したが、気付いてるかも知れないが斬弥と七弓の子供は全て仙者さ。正確にはもう仙者という区別は時代遅れの産物と成った。何故なら彼らの子供達はあちこちに飛んで行って子を儲け、既に人族の長寿命を事実上果たしてしまった。そう、人族は駆央から彼の三名の子供の内第二子である躯伝くでんの時には既にほぼ全ての人族は七十の年まで長生きが可能と成った。これは一体どうゆう事なのか?
 まあそうゆう時代の流れを紹介してこの物語に幕を引こう。さて、僕もゆかねば成らないしね……

 ICイマジナリーセンチュリー百七十九年二月十八日午前十一時一分零秒。

 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火 完

 第五十七話 狐と狸の化かし合い に続く……

一兆年の夜 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火(九)

 ICイマジナリーセンチュリー百七十八年五月二十二日午前一時四分二十九秒。

 場所は古式神武六影府中央地区六影聖堂。
 水の惑星で初めてと成る府の誕生。その誕生の裏にはある仙者の死が関わる。
「母さん、何とか言ってよ!」
 齢十三にして二の月と二日目に成る神武人族の少年天同十五とごは最愛の母の死を悲しむ。その傍らで十五の頭を撫でるのは齢二十八にして四の月と六日目に成る神武人族の女性天同弓八。彼女は只一名だけ、最後まで古式神武の為に尽力。既に古式神武最後の最高官として政務に当たる。
「生命は何れ死ぬ。母は最期までその悲しみを押し込めて突き進んできた。先に想念の海に旅立った父の為に尽力し、それから父が遺した役目を終えて旅立ったのよ、十五」
「わかってる、わかってるけど……けど、こんなの悲しい。僕はずっと誰かの死を見続ける運命なのか?」
「死を見続けるのは生きる生命にとっての通過点。死を通して先に逝った者達の為に尽力する。まあその話は後でしましょう」十五は気付く……弓八は前髪で隠しながらも涙を流す事に。「最愛の生命が死ぬってのはあたしにとって何よりも辛い事だったのよ」
 それから二名はお互いの肩に寄り添いながら号泣。一名だけでは悲しみを受け止められない大きな物であった……
(実現するよ。母さんの遺した物はまだある。それが古式神武から新たな国家神武へと移行する事。だが、今は母の死を悲しむ事が最優先だろう)

 ICイマジナリーセンチュリー百七十九年二月十八日午前九時零分一秒。

 場所は古式神武首都タイガーフェスティ県中央地区。
 そこはかつて十五の母七弓が演説を行った公園。今では観光名所と成った賑やかな人気土地。
 その中央にて大勢の生命に囲まれて齢十六にして二の月と六日目に成る神武人族の少年天同十五は台に立つ。
「どうも僕は天同十五と申します。此度国民の皆様を起こしさせたのは重大発表をする為にあります。そう、今日を持ちまして……古式神武は三百の年近い歴史に幕を閉じる事とさせます」
「何にゃって!」
「俺達が愛したア国家神武が!」
「如何して今更幕を閉じられましょうか」
「最後まで十五様の話を聞ちゅのだ!」
 ふううう--十五は深呼吸した後、次のように語り出す。
「いや、国家神武は無くなる事はありません。国家神武誕生は五百以上の年より前に行われました。当時は水の惑星で初めてと成る国を誕生させた。何故国なのか? それは我々全生命体が銀河連合と呼ばれる謎めいた存在から守る為に、そして全生命体の希望を背負うという天同生子の理想を実現させる為に建国された。しかし、建国から僅か十の年も足らずに生子の希望はあの銀河連合に依って打ち砕かれた。これが最初に起こった国家神武の大まかな歴史。
 次に誕生したのが生子の弟零の曾孫に当たる天同参花が興した新たな国家神武。それは旧国家神武が喰われて百の年より後に近い頃合に彼が興した最新の国家神武。これは三国分領宣言が行われた年まで実に百二十の年近くも繁栄し続けた。何故か? それは旧国家神武での経験と一兆年の神々の助け、そして一名一名が己一名ではどうしようもない事を理解して連続性を保ってきたからである。だが、国家神武の運命を変えた三兄弟……そう、僕の先祖に当たる星央、男系の先祖八弥、そして三国分領宣言をした七の三名は国家神武を三つの分けた。全ては一つに集約する為に。七の予言通り、真正神武は喰われたが、その種は僕の母七弓が受け継ぎ、そうして父である古式神武の斬弥と結ばれる事で七の予言を現実の物にした。その意味するのは次の通り。
 そう其れが古式神武の終焉。それは別に悲しい事ではない。何故ならこれから新たな国家神武が爆誕するからである。少し格好付けるのは僕が雄の子であるが為さ。そこは笑っていいよ」
 父の血を受け継ぐのか、少々文章校正に難がある十五。それでも彼は決める時は決める雄。
「でも僕達が考える新たな国家神武……それは真古式神武。少し長ったらしい名称なのは仕方ない。でもちゃんと多数決で再審議も繰り返して決めた名称だ。その名前の意味は次の通り。
 真正神武の魂を確かに受け継ぐ意味としての真……母の血は間違いなく天同星央から続く連続性を秘める。そこを誰にも異論を挟ませはしない。そして古式神武の魂を受け継ぐ古き格式……これは遥か先代の豪から、いやその弟君に当たる武から連続して受け継がれる純粋なる男系の証。少々回り道もしてきたが、僕の血は……僕の父方は辿れば天同武へと至る。そうした意味での古式さ。
 そしてその二つは交わる。交わる時こそ……ここに新古式神武は爆誕するのであります!」
 決して良い演説ではない。けれども新たな国家神武の国民と成った生命は拍手喝采を送った!
「良いぞオ、十五様!」
「それでこそだぶ!」
「格好付けなくても良いんですね? 十五様はそれでこそですな?」
「イィ今までで一番ですな」
 十五は涙を流す。それを拭くのは齢三十一にして四の月と十日目に成る神武人族の熟女天同弓八。彼女は新古式神武の首相として就任する予定。
「全く最高官たる君がそんなんじゃあこの先どうするんだ?」
「大丈夫だよ、姉さん」
「首相と呼びなさい」
「別に良いだろう、まだ政務活動するんじゃないから」
「全く君って生命は」
「それよりも新婚旅行はまだか?」
「五月蠅いわね、生命の勝手でしょ」
 ハハハ、姉さんらしい--実は婚約するのは弓八だけでなく、十五もまた既に婚約し、新婚旅行の計画を立てようとしていた。
(これで良いんですね、七。僕達は新たな道を進み始めた。その先に待つのは……ここと新天神武が一つに成る時。今は再誕の喜びを分かち合うので精一杯さ。でも何れは僕達はあの銀河連合の脅威を打ち破って希望を掴み取る。何れは--)
 ここに再誕までの話は幕を閉じ、後日談が始まる……

一兆年の夜 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火(八)

 六十日午前三時十一分一秒。
 拠点型銀河連合の塞翁に辿り着く一名の仙者。彼の肉体は既に限界を迎えようとしていた。
(へへへ、昨日の指揮官型との戦いで六の時以上は掛かったかな? 調子に乗って言ってもいざ刃が居られると本当に俺は死ぬかと思った。でもまあ、奴の使う刃を借りる事で何とか……何とか行けても直後に来やがった援軍には逃げるので精一杯。奴の持つ刃は所詮銀河連合だからな。仕方なく俺は折れた包丁を持って逃げ続けた。相棒であるこいつの方が銀河連合のそれよりも信用出来る。要はそんな物だ、なあ)
 直後、斬弥は拠点型が繰り出す触手型に絡め取られ、相棒である古式神武包丁を落としてしまった。
「へ、ここまで良く保った。どうやら俺も天同生子には届かんかったな。ここで俺の五体は裂かれてしまうのか? さっきから痛いんだけど」
 そう口にしながらも心の中では打開策を模索する。
(まだ死ぬ訳にはゆかん。こんな物じゃあ想念の海に旅立っても七を始めとした歴代仙者達に叱られてしまう。その為に退路を断ったんじゃない。退路を断ったのは……拠点型を倒して真正神武の同胞達の仇討ちを果たす為だよ。こんな所で、こんな……所でえええ!)
 肉体の限界なのか、それともたまたま上手く行ったのかは定かではない。斬弥の脱力は成功し、触手が漂う空中で落下の衝撃に備えて重たい五体を繰り出しながら触手型の動きを読んでわざと絡め取られながらも何とか成人体型百もある所から激突する事を避けた斬弥--代わりに利き腕だった右が機能しなくなった。
(折れてしまったな。やっぱり高さがあれば受け身で回避出来る訳じゃないな、現実は)
 成者式に高い所から跳ぶ事には成功しても実際の戦いでは高い所から落下すれば死は免れようとも何処かを損傷するのは自然の摂理。生命は未だ重力を克服出来ない。それを改めて思い知った斬弥は……立ち上がる!
「オイ、俺が右腕折られても立ち上がる事に何か満足しないのか?」
 と斬弥は挑発する程の態度を見せる。
「おっと、右腕は折れても残りで補助すれば何とかなる」
 それでも素手では何とか出来ないと知ってる斬弥は少しでも拠点型を死に至らしめる何かを探す。
(そう簡単に真正神武の国民が遺した在処ってのは……お、あれは!)
 斬弥は結局、真正神武国民が遺したありかを発見するには至らなかった。が、今残ってる物ならば……それに等しい。
「よお、待たせたな。じゃあ最後の仕事と行こうか」それを口に咥えると直ぐに跳んだ。「気合い入れるからお前も気合い入れろよおお!」
 次々と襲い掛かる触手型を蹴って登ってゆく斬弥。限界が近いのにどうしてまだ力が湧くのか? その答えは斬弥の思ってる事にあった。
(果物は別腹であるように俺の底力にも別腹は存在する。そうゆう事にしとけば世の中ってのは単純に出来てると思うだろう……マルータ!)
 ようやく蠢く心臓部を発見した斬弥はそれが閉じる前に咥えていた折れた神武包丁を左手に持って触手型の動きを読んで蹴り飛ばした--と同時に全身を潜り込ませるように突く!
 その一撃は届き、斬弥は噴き出す赤黒い液体に吹っ飛ばされ、内壁に背中を強く打った!
「アッグ……あああ、はあはあ」ずり落ちながら斬弥はこう確信する。「ようやく長い戦いは……開始点に踏み入れた」
 尻餅し、それから俯せに倒れ込んだ斬弥。彼の周りでは次々と起爆するように血を噴き出す。この世界が終わりを迎えるかのように。
(俺の戦いはここで終わる。でも俺達の戦いはまだまだ続く。真正神武奪還はまだ始まったばかりだ。だが、俺はもう駄目だ。おいぼれの時代はここで幕引きと行こうか。後はバーバリッタを始めとした若い世代に託そう。だろう、もう直ぐ生まれるだろう……俺達仙者の連続性を受け継ぐ十五……おっとこんな名前だったかな? それに振り仮名はどうするんだろう? 忘れてしまった。けれども俺がもしも生き残れたら今度産まれてくる子供の名前は必ず十五にするぞ。これだけは譲れない。これだけは……な)
 そうして両の瞳を閉じる斬弥。崩壊する拠点型が造りし奈落に落ちようとも開く事は--





















 未明。
 雫が斬弥の右頬に当たる。
(ううう、ここは想念の海、か?)
 斬弥は瞳を開ける。すると飛び込むのは--
「キルウウウウウウミイイイイ!」
「お前は……その中に俺達の--」
「お前という男はどうしてあたいを心配掛けさせれば気が済むんだ!」
 有無も言わさずに斬弥は引き揚げられた--七弓と弓八とそしてシデンドウに依って。
 どうやら俺達は死ねない分隊だね--チーチョス・バーバリッタは二の年より後の戦いにて第三十防衛網突破の際に指揮官型の攻撃を全て受け切ってこの世を去った……享年二十七歳。
「まだまだイマジナリーセンチュリーは続きまっせ、親父さん」キッザス・キシェールは最後まで生き残ったが、戦闘での後遺症が元で五の年より後に僅か二十三歳で想念の海に旅立った。「その為にも最後まで奪還を果たっさなとね」
「全くバーバリッタ分隊の死ねなさには困った物ですね?」そんな事を言った糸風サンショウ七は二の年より後の戦いで第三十五防衛網突破戦にて見事な玉砕を果たした……享年二十七歳。「きっと神様が我々を守って下さってるんだね?」
「偶然は長続きし無かろうに」と釘を刺す木戸デュー台は三の年より後に始まった大陸藤原奪還戦にて最初の犠牲者に成った……享年三十三歳。「それでも今を精一杯生きるだけだろう」
「幸せだけ考えるんだ、デュー台」幸せを問うた式部リッ堂は天寿を全うした……享年三十九歳。「そうすれば長生き出来るんかも」
「そんーな無茶苦ー茶なあ」と後ろ向きな物部フル降も又、天寿を全うした……享年四十一歳。「まーだまだ真正神武跡ーは銀河連合で溢れまーすよ」
「それにしても斬弥様の生命力よの」パタ八十はデュー台が戦死した大陸藤原奪還戦でも最後まで最前線を進み続け、彼の死と共にそれが果たされる……享年三十一歳。「凄い事ですよの。まるで神々の加護を本当に受けてるかのようですやわ」
「実際そう出あろう。だからこそ斬弥様端生き残った」ヤマビコノシデンドウは真正神武奪還を果たしたその年に波乱万丈の一生を終える……享年四十四歳。「斬弥様端運命似愛された御方だ」
「確かにそうだろうな」飛遊三浩は斬弥及び七弓亡き後も最後まで天同家の為に尽くし、寿命が尽きる前に七弥ななみと婚約して交わりの後に没する……享年四十八歳。「斬弥様だからこそこの運命に打ち勝てた」
 さて、天同家以外のこの後を紹介した。では天同家のこの後はどう成るのか? それはこの戦いの後に斬弥と七弓の最後の子である十五とごは誕生。彼の養育係は姉である弓八に任された。それから二の年の後に斬弥は最後の真正神武奪還に臨み、それを果たした後に波乱万丈の生涯に幕を閉じた……享年三十八歳。
(俺は確かに死ぬ。でも俺の跡を継ぐ者達が居る限り、俺の魂は生き続ける)
 時代は斬弥が死んで十四の年に成るICイマジナリーセンチュリー百七十八年五月二十二日午前一時四分二十九秒。

一兆年の夜 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火(七)

 五十八日午後十時四分二十一秒。
 場所は旧六影県第五南地区。
 クソウ、もう限界ダアアア--と既に一階では銀河連合を仕留められない程刃毀れを起こす四足歩行専用の雄略包丁で周りを取り囲む獅子型を相手に抗うチーチョス。
「離っち放っても、見えない場所に隠って放っても……どうしてもそっじゃあ心が痛むのか」
「全くそれじゃあ意味ないでしょ?」と齢二十五にして三の月と三日目に成るラテス山椒魚族の糸風サンショウ七は雄略鋭棒で何とか山椒魚型を倒してゆく。「罪深い心と葛藤するからこそ銀河連合は其処を突くんでしょ?」
「言うん通りだ、サンショウ七のな」齢三十三にして四の月と三日目に成るゼノン栗鼠族の中年式部リッ堂はフル降と共に望遠刀で空から降る鳩型の群れを狙撃し続ける。「でも物量の差には流石に質ではどうんしようんもないし、罪深さを気にしてるん場合でもない」
「うわあああ、来ーるな来るなー来るーな!」
「落ち着かれよう、フル降!」と齢三十にして二の月と二十八日目に成るエウク燕族の木戸デュー台はあらゆる方向より嘴による打突を仕掛ける鳩型の群れを躱しつつも距離を離そうと必死であった。「こちらも落ち着かれないと叩き落とされよう!」
「おらあやわ、そりゃああよの!」一方で素足のみで事態を難なく対応する蘇我パタ八十は余裕ある言葉を吐く。「拠点型とやらやまだまだいそうな指揮官型に比べりゃあ強くないのは何体罹ろうと強くないのだやわ!」
 全くパタ八十には困った物だよ--とパタ八十の元へと駆け付けるチーチョス。
「別に俺は問題ないよの」
 そうもいかん--と頑なにチーチョスはパタ八十の加勢をする。
「むしろ、その包丁でどうにか成るんやわ?」
 補給は尽きた後だ--と現状がどうしようもない事も告白。
 そう、バーバリッタ分隊の現状はどうしようもない。ここ第五南地区では既にバーバリッタ分隊以外の部隊は銀河連合の腹の中に収まった。他の地区でもやはりバーバリッタ分隊のように孤軍奮闘するしかない状態。遠征部隊の数は既に千を切ろうとしていた。
 まだなのですか、斬弥様あああ--チーチョスは主の帰りを待つのであった。

 五十九日午前二時一分十秒。
 中央地区で尚且つ、真正神武聖堂があった場所に斬弥は辿り着く。既に彼の衣服は限界近くまで破れ、包丁も既に鞘を無くした状態。雨は降る。それは穢れの雨。斬弥の体力を消費させる為の泥の雨。只でさえ泥塗れの斬弥に尚且つ穢れを纏った雨は容赦も知らない。
(物影と呼べる物は何処にもない。流石は銀河連合の都合が支配する首都跡。蠢く微生物種族共に似た銀河連合共も俺を倒そうと必死な訳だが)
 ただ待つだけの斬弥ではない。後ろを振り向く暇はない。何の為に第一子弓八を帰したか定かじゃない。全ては退路を視ない為……そうして斬弥は銀河連合が詰め込まれた真下に落下--と同時に四、五体を両断!
「待たせたな、銀河連合共。聖堂への観光は今日を以って俺が最終日とする!」
 既によ美がない古式神武包丁ではあったが、斬弥の剣戟は泥の雨だろうと刃毀れさせる事も許さない。銀河連合の錆びを起こす血液さえ付着させない程の剣戟! 斬弥の腕は既に頂点へと達しようとしていた。
(チイ、上手く乗っかるには後数回斬撃を要するな)
 風雷の舞と呼ばれる最新の舞は多用せずに従来の舞で機会が来るのを待つ斬弥。例え都合が支配する地であっても斬弥には機会が訪れる事を知っていた。いや、その気会を強引に抉じ開けた……そう解釈しても良い程に十一体斬った所で動きが鈍い事を確認した斬弥はすかさずそこに飛び乗る。
(後は一兆年の神々の加護を!)
 其れもまた博奕。されど博奕。不思議なのは彼の博奕はここに来て更に拍車を掛ける。それが三体目の型に乗っかると同時に風雷の舞を仕掛けて音の速度へと到達--一気に拠点型の開いた口に飛び込んだ!
(ヘヘヘ、武器とはこの時に使う物。俺の運はここで尽きた。後は命を何処で使うか……ここじゃないもっと奥に!)
 死を覚悟するのはここではない。もっと前に覚悟は決めていた。一時期生きる覚悟もしていたが、それでは後ろを振り向いてしまう。ならば……と斬弥は生きる覚悟の糧を古式神武に返す事で死の覚悟だけで向かおうと決めた。百万以上もの英霊達の魂を背負って……そして親友であるマルータの遺志を継いで!
(ようやくだ。ようやく俺は辿り着いた。後は……おっと、まだ指揮官型が居たもんだな)
 斬弥が見た指揮官型……それは百獣型の体形でありながら指揮官型に相応しい姿を維持したそれだった。
「風雷の舞はお前は知ってる筈だが、俺はそれを使う気はない。でもな、指揮官型。俺はそんな最新の舞を使わずともお前を倒せる」
 その自信は何処から来るかはわからない。けれども斬弥は確信していた--今の自分ならどの舞も使わずとも技だけで圧倒出来る事を。
(さあ、やろうか。何処からでも加勢してこい。俺は全てを弾いてやるからな)
 斬弥の肉体から青い光が放たれる……それは!

一兆年の夜 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火(六)

 十一月五十八日午前九時四分六秒。
 場所は古式神武首都タイガーフェスティ県中央地区古式神武聖堂。
 そこに臨兵キュー子が飛んで来た時、真下の様子に異変があった。直ぐさま彼女は真下に居る生命の中で齢三十二にして五日目に成るキュプロ栗鼠族のドランダル・メデリエーコフに尋ねる。
「ああ、七弓様が出撃為さった」
「ナンデスッテエエエ!」
「声が大きい。あのお方がよもや出撃為さるんとは……もしや」ドランダルは心当たり在りそうな何かを次のように口に出す。「弓八様か。それも関係するんだな。全く」
「ソウユウモンダイデスカ! サッサトツレモドサナイト--」
 ああ、それは無理でしょう--と口を挟むのは齢十九にして二の月と八日目に成るゼノン人族の少女飛遊三空。
「ソレハナゼデショウ?」
「だって七弓様は一度決めたら最早止める生命は何処にも居ませんから」
「寧ろお前は何故止めなかった?」
「そりゃあ勿論、兄貴の事も任されたからね」
「ミヒロノコトダネ」
「三浩もそうんだけど、お前達も勝手気ままな性格は遠い先祖の飛遊実兎その物だな。どうんして今も受け継がれたんだ、そこは」
「ホントウニコマリマシタ。セッカクテガミヲトドケニイノチガケデギンガレンゴウノオッテヲフリキッタノニ!」
「何々、読ませてよ」
 三空はその中でも実兎の正確に等しい飛遊家の生命。何故なら彼女は家の反対を押し切って七弓の世話係として志願したほど。だが、七弓はそんな彼女の気性を気遣って何と八名の子供の子守を担当させたのであった。なので彼女の周りには--
「ねえねえ、みそら!」
「遊ぼうよ、ミソラ」
「ママはいったんでしょ。だったら遊ぼうよ」
「ゆみはちねえさんつれもどしにねえいったんでしょ」
「おとうさんもいるよ」
「そうそう、そうだね」
「はあ、という訳でキュー子も手伝って」
「ケッコウデス。ワタシニハハイタツジカントシテノヤクワリガアリマスカラ」
「全くどいつもこいつも子供だね、まあ私も言えた義理じゃありませんがね」
 首都ではこのように七弓が腹巻して出撃した事を受けて対応に追われる始末。

 午後零時零分二十三秒。
 場所は旧真正神武前。
「ここを抜ければあの人の--」
「貴女様端……七弓様です科」
 七弓の背後には援軍五千を引き連れて指揮するヤマビコノシデンドウ。その援軍の中には穢れによって体調を崩していた弓八の姿もあった。
「七弓ちゃあああん!」
「弓八!」
 二名の親子はようやく再会を果たした。さて、どうしてシデンドウは斬弥が頼んでも居ない援軍五千を引き連れて真正神武に再度足を踏み込もうとしたのか。それは次の通りである。
「どうゆう事か、説明しろ!」
「説明しましょう。我々端斬弥様乃御命令通り似重傷者於引き連れて首都経斗戻ろう斗してました。ですが、途中で体調を戻した弓八様が突然の提案をしまして」
「この子ったら……あたいの良くない所を引き継いで何を考えてるんだか」
「少しでも体の調子が良く成る時こそ、あたしが行動する時なんだ。だからね、七弓ちゃん。キルの為にもあたしは援軍を考えたんだ。そう其れも秘密裏にね」
「援軍……その場凌ぎは実戦では通用しないって知ってる?」
「だよね。だから五千名しか居ないんだよ。大体のね」
「数だって期待出来ないでしょ?」
「七弓ちゃんは本気で言ってるの?」
「一本取られましたね、七弓様。確か似貴女様牙こんな所似居る方牙自然斗端程遠いでしょう」
 親として心配だったのよ、弓八が穢れで倒れたと聞いたからさ--と再度弓八を抱き締める七弓。
「あ、赤ちゃんを感じる」
「後五の年、もしくは十の年の後に貴女も体験するのよ。子供を産む事の辛さを」
「うん、わかった。しかも温かい」
「ええ、きっと素晴らしい子供だわ。そう、斬弥とあたいが頑張って作った子供だからきっと--」
「まあそうゆう訳だから行きましょう、お母さん」
 コラ、そうゆう時だけ正しい呼び方をするんじゃありません--親は子供に振り回される。
「はあ、こりゃあわし模命懸け出二名於お守りせねば……いや、三名だった那」
 それは余りにも自分勝手。それでも歴史の中では判断が正しい事に成る雌の身勝手な行動。その結果とは何なのか……

一兆年の夜 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火(五)

『愛する七弓と今もタイガーフェスティで健やかに育つ八名の娘達へ。
 一の月が経った。第十まで突破した。今の数は二十一万。これならば残り三十二もの
防衛網も突破出来る。あ、俺は斬弥だ。御覧の通り言葉を話す。銀河連合に書かされてる
訳じゃないからな。
 と余裕じゃないな。未だに弓八の容体は良からぬ方向に向かうばかり。とうとう、俺は
あいつを送り返す事を決めた。治る見込みが少ない場合は一刻も早く送り返さないと
司令官として面を上げきれない。奪還が果たせた暁に俺が考えたあらゆる物を実現させる
為にも俺は公よりも私を優先して重傷者ごとあいつを送り返す事を決めた。
 何、途中で心配だって? そう思ってシデンドウも同行させる。本当は老いぼれの身
だからパタ八十を返してやりたかったが、どうにも若い連中の覇気というのは今も
変わらないと気付いた今日この頃。俺もそう思ってる時点で年を摂ったと改めて
思ったさ。
 さて、俺の感想は良いとしてもこのまま真正神武を奪還出来るかはわからない。だが、
今回は必ず奪還させる。俺の命に代えても。だからこそ俺は、いや良い。次書く時は奪還
し終えた後にする。
                               愛する斬弥より』

 十一月四十六日午後八時三分八秒。
 場所は第十防衛網。第十一防衛網にもう直ぐ人族の成者の手が届く距離に仮設民家が建っており、そこで夜を過ごそうとするは遠征部隊総司令天同斬弥。彼はキュー子或はその代理が来る度に記した手紙を右足に括りつけてタイガーフェスティ目掛けて飛ばしてゆく。
「ア、イイワスレタコトガアリマス!」
「何だ、キュー子!」
「ナナユミサマガ……ゴカイニンナサイマシタ!」
「……これで俺は前に体を向けられる」
 キュー子を見届けると斬弥は前だけに体を向け、正座したまま眠りに就いた。
(七よ、そして数多もの仙者達よ。どうか俺に力を貸してください。俺は喜ばしい報を伝えられて体を硬直させるかもしれません。そうなれば遠征部隊のみんなは全滅を免れない。ここは銀河連合の都合が支配する地。弓八が穢れに耐えられなかったのも全ては銀河連合による都合の強大さ故、さ。泥の大地は徐々に浄化され、臭いも改善の見込みはあるだろう。それでももう生命の死で穢れを払うのは今回で最後にする。死は所詮、生きる者達にとっては寿命で果てる以外に道はない。死に場所くらいは己達で決めてこその生きるという物。そうだろう……母上)

 十一月五十七日午後九時七分六十一秒。
 そこは第二十防衛網。斬弥は残り一回の五本目の古式神武包丁を右手に目の前で多くの軍者達を死に追いやった指揮官型との終盤戦を迎えていた。
(はあはあ、左手の傷が思ったよりも重たい。軽傷の筈なのに重たく感じるのはやはりここが銀河連合の上位的存在によって支配された大地だからか?
 いや、そんな事よりも先ずは今度の指揮官型とやらの動きに注目する所だろう。俺の舞をちゃんと学んでいて、しかも俺よりも速く動いてると読んだ)
 斬弥の読み通り、一名と一体は疾風の舞・恵で反撃を試みるも……弾き飛ばされたのは斬弥だった!
「中断左腕に備えた隠し腕が……白羽取りでどうだ!」とわざわざわかるように叫んだ後、宣言通り白羽取りしながら左腰に掛けてある鞘を右踵で器用に飛ばして口で掴んだ斬弥。「びぶぞおお!」
 指揮官型の連撃を読んで回避すると奴が疾風の舞・弥で最速の動きを見るやそうでないやら、突然鞘を投擲。指揮官型は何と疾風の舞・弥と見せ掛けて剛胆の舞・季に切り替えて何とその動きで鞘を弾き飛ばした。
(ふう、そのお蔭で俺は……拾えた)
 何と斬弥は先程指揮官型が見せた剛胆の舞・季を使用して挑む。が、指揮官型にとってはその舞も既に読まれていた。徐々に後方に下がり、尚且つ左腕の傷が徐々に良くない状態へと変化する事もあって尻餅しそうに成る事これで十一度目。
「片腕だけで良くも俺は戦えたもんだな、なあ銀河連合」
 呼びかけに応えるならばわざわざ生命は戦いの道を選ばない。故に両方共、前に進み相手を倒すしか心にない!
「如何した指揮官型! 拠点型を防衛するお前が俺如きにここまで後れを取る事に焦りを見せてるか? 長文を叫ぶほど余裕のある俺に今まで油を断ったのか? じゃあその余裕の根本をここで思い知れ、指揮官型!」
 指揮官型は斬弥は普段馴れた疾風の舞のどれかを使って状況の打破を狙うと算段し、剛胆の舞・央で斬弥を逆に弾き飛ばし、その隙を見て最大加速して両断を試みる……が、指揮官型は瞬間に動揺! 斬弥は指揮官型が恐れる動きを披露して見せた--と同時に上空成人体型後も浮き上がらせるという信じられない動きを実現した斬弥!
「ヘ、そりゃあ誰も実現出来ないよな。でもこの動きはそれじゃない」と斬弥は畏れ多くもこの動きがあの舞の再現ではない事を告白。「これは疾風と剛胆を掛け合わせた『風雷の舞』……それからこいつはどの動きにもない俺の独自力だあああ!」
 そして指揮官型の頭部目掛けて投擲--見事命中し、指揮官型を絶命!
「ハアハア、疲れた」両膝を泥の大地に付けると既に斬弥の安否を確認しに歴戦の軍者達が駆け付ける。「何だ、お前達かよ」
 お前達とか言う物じゃありません、斬弥様--チーチョスを始めとしたバーバリッタ分隊は斬弥を保護するように取り囲む。
「それで第二十防衛網は突破出来そうか?」
「それは問題ありまっせ。只、軍者の数はもう一万を切ろっととしてます」
「後には退けん。それにまだ拠点型を突破してない。首都六影県のあった拠点型銀河連合。俺はそいつだけは必ず倒す事が大切だと思ってるからな」
「無理は良くないやわ、斬弥様よの」
「有難う。だが、今はまだ無理を言わせてくれ!」
 左腕は幸い間に合った模様。だが、遠征部隊は既に侵攻当初の一割を切った。どう足掻いても全ての奪還は果たせない。誰もが思うだろう。だが、たった一名だけ考えが異なった。
(拠点型さえ倒せば後はそこを中継にして他の防衛網を突破すれば……或は)
 斬弥は賭けに出る--第二十一防衛網を突破した先にある旧六影県である拠点型の打倒目指して!

一兆年の夜 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火(四)

『--それから一の週は弓八の奇想天外な発想の数々に依り俺達は竹を破る勢いで
第一、二、三、四と防衛網を突破した。確かに弓八の言う通りだと思った。あいつには
一兆年の神々が味方してくれてる事をな。一兆年の神々は弓八に銀河連合を破る為に
必要な何かをお教え為さってる事を。
 まだまだ墨が足りないな。あ、弓八がどうしてこんな所まで居るかって? 俺達の
育て方が良くなかった。もう少しあいつには外の世界を知らせておくんだったな。これ
は俺達があいつを子供だと思って育てるから良くなかった。子供とは大人の想像を
超えて来るもんだと常々覚えておくものだったな。そう、それだけだ。
 まあ弓八についてはこれくらいで収めよう。最初の一の週までは弓八のお蔭もあって
遠征部隊は勢い付いた。だが、八日目にして急変。弓八が体調を崩した。どうやらあの子
にはこの穢れた世界は早すぎたか。或はもっと早く経験させるべきだった。何時も新しい
者達には助けられる代わりにあいつらを死地に送る自分達が甲斐性もなくて悔しい。それ
が真正神武に乗り込んで十三日目の現状さ。未だに第六防衛網の突破も出来ずに百万
居た兵も現在は九十万を切ろうとしてる。
 今は愛する七弓とそこで自由気ままに育つ七斬、斬美、斬実、斬三、九七、七美、七弥
とそこで我々や真正神武から来た銀河連合に依って現状の暮らしに安心しきれない心持
の国民全ての平穏を願うばかりだ。後は産まれてくる赤子も。それだけを俺は待ち侘びる。
                                愛する斬弥より』

 十一月二十九日午前七時一分四秒。
 場所は真正神武第六防衛網中間地点。そこにある五千六十四もの仮設民家の中で最も巨大な仮設民家にて斬弥は毛布にくるまれ、頑丈な石枕に頭を乗せて眠る弓八を起こしてお粥を口に流し込む。
「かゆ、美味しくない」
「我儘を言ってる場合じゃない。現状では美味しい物を食べさせられる状態じゃない。これでもお前の健康を考えて食べさせてるんだぞ」
「それ、よりも……ゴホゴホ!」
「斬弥様」
 二名しか居ないとある仮設民家の外からシデンドウは声を掛ける。
「何だ、シデンドウ?」
「一旦、第五防衛網摩出退くべき科斗」
「銀河連合に背中を見せたらそれこそ終わりだ!」
「です牙、弓八様乃健康於考えて--」
「弓八は覚悟してここまで足を運んだ。そんなあいつの望みを反るなど何の為の生命だ!」
「一生命の前に一父親でしょう」
「一父親だからこそ……俺はあいつの覚悟を汲み取らないといけないんだよ!」
「そう仰る乃端余り似模我儘過ぎません科!」
「老いで臆する病に罹ったか、シデンドウ!」
「何と--」
「止めてよ、年とった大人がささいな事で喧嘩して」
 そこでは流石に大人は降参するしかない。この状況下において子供は正しい意見を述べる場合もある。大人がまともに成れない時こそ子供は大人よりも先を行く物。これには斬弥だけでなく、シデンドウも我に返った。
「どうやら我々老者乃時代端終わり於迎えそうですね」
「子供に良いようにされたら大人は終わりだ。という訳で直ぐに支度するぞ!」
「ねえ、生きて帰って来る?」
「逃げる事も出来ない弓八を置いて俺が想念の海に旅立つかよ!」
「そういうと思った。だから必ず生きて、ね」
 母さんに似て無茶を言い出す--と斬弥は微笑みを見せまいと後二回斬る事が出来る古式神武包丁の刃ごと鞘を右手で取るとそれを紐に引っ掛けるように左腰に差した。
「ああ、生きて帰ってやるからな!」
(どうやら生きる理由が見つかってしまった。有難うな、弓八)
 そうして斬弥は仮設民家の外に出る……その隙に無理して布団から出ようとする弓八の真意に気付かずに。
「ゲホゲホ……キルは相変わらず雌の心がわかってない。あたしが病で大人しくしてる訳ないじゃないの」
 子供が大人に比べて勝手な理由。それは無茶ばかりして俯瞰的に成れない……そんな所だろう。弓八は予備で取っておいた片望遠刀とそれに合わせて製造された物部刃を百本入れた籠を背負うと、病で動きの硬くなった体を動かしてゆく。
「頭が痛いし、しかもめまい、が。で、でもあたしは、頑張るぞ!」
 一兆年の神々の教えに従い、弓八は密かに戦場へと足を運んでゆく……

 三十日午後十時四分三秒。
 斬弥は圧倒的な技量と得意とする疾風の舞・弥を使用して電光石火の活躍をしてゆく。迫り来る百獣型五体を相手に実戦では不慣れと評される疾風の舞・恵を使用する事で時間差を作り、疾風の舞・理で囲った三体を一瞬で尚且つ堅実に縦、横、斜めに一刀両断して見せる。それだけじゃない。残りの二体が時間差を利用して迫り来る時、何と剛胆の舞・央の動きを見せて相手にそれを刷り込ませると一気に元の疾風の舞・弥に切り替えて二体纏めて仕留めるのであった!
「凄ーい」これには齢二十八にして五の月と五日目に成る物部犬族の物部フル降も唖然とするしかない。「これが分隊ーのパタ八十と互角と謳わーれる斬弥様ですーね」
「こらこらやわ、フル降よの!」己こそ一番強いという自信を持つ齢二十七にして五の月と四日目に成る蘇我熊猫族の蘇我パタ八十は兎型一体の首を絞めながら注意する。「俺の方が強いやわ!」
「ハハハ、バーバリッタ分隊は相変わらずだな」
 困りますよ、余所見しては--と齢二十五にして二の月と五日目に成るロディコチーター族にして一分隊の隊長を務めるチーチョス・バーバリッタは後ろが留守に成った斬弥を助けるように襲撃した梟型の襟首を鋭利な上下の歯で掴み取ると抉り取るように仕留めてゆく!
「そうゆう事だッさ、斬弥様」と齢十九に成ったばかりのメデス蠍族の新米であるキッザス・キシェールは父親譲りの解説をする。「笑い合うのは本当に安心出来っ時ですな。安心ですよ。安らぐ心と書って、でっそよ」
「確かにな……そこの病者!」既に斬弥は弓八に気付き、彼女の居る方に振り返る。「まだまだ俺達老いぼれの卒業式は早いようだな、ええ?」
 既に戦いは終わった後。斬弥は第六防衛網の突破を果たすと平手打ちに依る躾ではなく、従来の言葉に依る躾で無理矢理弓八を寝かしつけるのであった。
(はあ、俺達も弓八の事は言えん。それでも俺は大人の責務を果たさないといけないのは辛い。俺達がやったからって後の時代の奴等にもやる自由を与えるのは後進育成が進まなく成るしな)
 諦めて斬弥は何時も通り手紙の執筆にとりかかった……が、良い案が浮かばなかった為に念を断じる。

一兆年の夜 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火(三)

『--あれから三の年が経過。俺はすっかり怠け者と化した。それも理由が付く。俺には
目的がない。全てお前の目的に沿って生きてきた。
 と誰かが言ってたような気がした。実際俺はそれを引用してこの手紙を書いて君
に送る。俺がやろうとしてる事は真正神武の奪還。真正神武の仇を討ち取る。それともう
一つが新たな国家神武の建設。国家神武とは天同家の仙者が興し、天同家の血を継続
して来た尊い物。水の惑星で初めて実現した国という形。
 まあ国というのは長々と説明したら今は亡きキッズィ・キシェールみたいに眠気を
誘うしな。なので簡単に纏めるだけに留める。えっと国とは村から町に、町から市に、
ではなく生命と生命の交流と全ての生命の望む為の形として国は誕生した。国とは生命
と生命の一体感と銀河連合と呼ばれる俺達にとって、長いな。つまり銀河連合の存在が
国を誕生させたんだよ。それで良いな、もう書き直せないのは辛い。石灰で文字を記せば
消すのも大丈夫だろうけど、石灰は文字を維持させられないから俺達は墨で文字を記す
しかないしな。
 さて、長く成り過ぎた。今は如何だって? 真正神武へ後一日で到着する。取り敢えず
期待してるぞ、七弓。一昨日交わった事で今度こそ俺達の望む理想の子供が産まれる
事を。もしもまた雌だったらもう天同家を維持するのを諦めて他の生命と同じように自由
に生きてみるのもいいかもな。まあそんな泣き言は帰ってからしよう、じゃあ帰りをしっかり
待ってくれよ。
                               愛する斬弥より』

  ICイマジナリーセンチュリー百七十四年十一月十六日午後十一時三十一分四十三秒。

 場所は旧真正神武。その入り口にて齢三十六にして四の月と十八日目に成る神武人族の老年に成ったばかりの仙者にして象徴兼遠征部隊の総司令を務める天同斬弥は齢二十九にして十一日目に成るアデス九官族の女性臨兵キュー子の右足にしっかり乾かした手紙を折り畳んで括りつけると次のような言葉を送る。
「良いか、キュー子。もしも俺に万が一のことがあったらその時は次期象徴は臨時で七弓にするよう伝えてくれ」
「エエ! マルデシヌトワカッテイルヨウナコトヲイワレマストサスガニタイジニエイキョウヲオヨボシマスヨ!」
「今回は百万で行く。それと中途半端に変える訳にはゆかん。依って俺は命尽き果てるまで戦うと決めた。
「ソレハソレハ!」
「それから蛇の足を追加しておく」
「ヘビノアシ?」
「今度産まれてくる子供だ。それは俺と神々の話し合いの結果……雄だ。だから七弓の跡は自動的にそいつに継がせるよう七弓達に伝えろ!」
「エエ、マタマタソンナコトヲイワレタラコンランシマス」
 もう十分伝えたから行け--そう言ってキュー子を送る斬弥。
(行ったな。俺が死ぬつもりだと決めたのは七弓と抱き合った時だ。だが、その時に七弓には伝える事が出来なかった。伝えたらあいつは止めて腹に何重も巻いて出陣するかも知れないしな。その可能性は十分ある。それはな)
 そこから先は斬弥自身が余りにも説明が長たらしいので大雑把に纏めると次のように成る。
 子を九名も儲けながらも七弓は者前で隠れて武芸に明け暮れる。たまに赤黒く染めて帰って来る事が度々ある。たまに手合わせするとどうしても加減が出来ない。そう、七弓の包丁の腕前は母と成っても、四十過ぎても衰える気配が見えない。いや、腕前だけでなく身体能力も斬弥や老齢なのに未だに衰えを知らない齢四十二にして八の月と四日目に成る神武鬼族のヤマビコノシデンドウ、後は齢二十七にして四の月と二十一日目に成る蘇我熊猫族の蘇我パタ八十に届かないにしろ油を断って良い雌ではなかった。
 さて、斬弥は七弓ばかり気を取られて至極大事な者の一名にして七弓の性格を最も受け継いだ雌の子の存在を軽く視ていた。彼女は遠征部隊が運ぶ物資車の中に忍び込んでは油を断っていた斬弥の背後に向かって飛びついて来た!
「わわ、お前は!」
「捕まえたから、キル!」
 だからお父さんと呼べ、弓八ゆみは--齢十四にして四の月と六日目に成る神武人族の少女である弓八に訂正するよう注意する。
「やだよ、そんなの。だってそれ呼んだらあたしが子供扱いされてるみたいだからさ」
「今も子供だろ。幾ら第一子でもまだ十四の雌の子が……なあ」弓八を降ろすとすかさず右平手打ちをする斬弥。「物に隠れてここまで来るんじゃないぞ!」
「痛いよお」
 右手で右頬を抑える弓八に斬弥は左から平手打ちをする。
「二度もぶった」
「これは二回言っても聞かない子への注意だ。さて、注意は終わった」
「え、終わったって?」
「俺も母さんも良い大人じゃない。これだけ年を摂っても弓八すら碌に育てられないからな。だから今度は弓八は何の為に命を懸けるかを問う」
「ええ、認めてくれるんじゃなかったの?」
「あのなあ、弓八。大人足らずな大人でも最低限は守らなければならない事がある」と言った後、再び問う。「それで弓八、お前は命を懸けにここまで来たのか?」
「そ、それは……わからない。だってあたしはずっとタイガーフェスティの中で過ごして来たんだもん。外が如何なのかなんてわからない。でもわかる事がある。それは……あたしは知りたいんだよ、キルも七弓ちゃんも見て来たしんせいじんむだった場所を」
「だから父さんと母さんと呼べ……と言っても聞かないんだな」と言いつつ、弓八の願いに対する答えを出す。「若い命を散らす事に成っても、か?」
「大丈夫。あたしには一兆年の神々が味方してくれるから」
「そう来たか……良いだろう。だが、恐かったら全力で逃げろ。例え俺が危ないとわかっても、だ!」
 そんなこと言うな--弓八は先程ぶたれたお返しに頬の右と左にそれぞれ四発ずつ握り拳をぶつける。
「四の倍数に成ってないか?」
「七弓ちゃんは何時も言ってたよ。雌の肌は雄よりも繊細だって」
「もう注意しない……好きにしろ!」
 やったああ--その喜びの声を聞いて斬弥は疲れを感じたらしい。
 こうして斬弥は弓八というとんでもない雌を連れて真正神武奪還に臨むのだった……

一兆年の夜 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火(二)

 二月二十三日午前十時六分四秒。
 場所は真正神武第一防衛網。
 そこに合流するは齢三十三にして四の月と二十七日目に成る神武人族の中年率いる本隊。彼らの数は前よりも一分にも満たない。当然である。生命の数には限りがあるし、況してや即興で子作り出来たら苦労はしない。当然ながら少ない数しか率いないのは当然の帰結。
 兄さんの仇は何時に成りますか--そんな状況にもかかわらず、仇討ちに燃えるのは齢二十二にして二の月に成ったばかりのロディコチーター族の青年。
「今回は領土の維持の為だ、チーチェン」
 納得いきかねます、斬弥きるみ様--と青年チーチェンは小出しに満足しきれない声色で漏らす。
「バーバリッタ分隊長君は若いからそう言えるけど、戦いってのには数が必要さ。だが、その数を揃えるには待つしかないんだ。ほら、『果報は寝て待て』って諺は聞いた事あるだろう?」
 何ですか、かほうとか言う病は--チーチェンはどうやら学問に疎い模様。
「こう成ればわしから解説を進めったな」と齢三十六にして二の月と二十八日目に成るメデス蠍族の老年は分隊の頭脳係として説明を始める。「果報……つまり果っての報告だ。それっで寝て待て……これは寝てでも待てば、だっ。これら二つを合わっだ意味は即ち、果っての報告の為に寝てまで待っぢ身。要するに『良い報せが届っまで忍耐せよ』という意味だ!」
 すまん、途中で聞かなかった--どうやらチーチェンが屈して退く程に蠍族の老年の話は眠気を催す物らしい。
「キッズィ爺さんの言う事は長いから僕から説明するね?」と齢二十二にして二の月と一日目に成るラテス山椒魚族の青年は補助を担当する。「要するに我慢すれば良い事あるね?」
 成程、何となくわかった気がする--それでも理解に程遠いチーチェン。
「はあ、これだから我が分隊は馬か鹿のようんな軍者しか居ないんだよ」
「常の識とは思われても俺から言わせようとお前さんも大して変わらかろうぜ」
「そうそーう、七名しか居ないバーバリッタ分隊はみんーな問いたい題名の児童の集まーりだから」
 次々に喋り出すは齢三十にして三の月に成ったばかりのゼノン栗鼠族の中年式部リッ堂と齢二十七にして一の月と二十三日目に成るエウク燕族の青年木戸デュー台、齢二十五にして五の月に成ったばかりの物部犬族の青年物部フルふる。そして次に口を開くのは分隊一の暴れん坊を自称する齢二十四にして四の月と三十日目に成る蘇我熊猫族の青年蘇我パタ八十。
「気を付けてやわ! 下から何かが--」
「ああ、蘇我フク分隊長の言う通り……だ」
 斬弥もその気配に気付くと素早くデュー台の足下から出てこようとする何かに向けて古式神武包丁を抜いてまるで刺していないかのように見せる芸術的な突きを放った。それを浴びた泥土は盛り上がるように何かを吐き出そうとし、次の瞬間に赤黒い何かを噴き出した!
「わわわわ、浴びてしまわれた! 浴びられちまいまされた!」
「清掃係よ、早速仕事に取り掛かれ!」
 足下から土竜型の前右足が出て、掘り出してみるとそれは頭頂部に包丁のような刺し傷を受けて息絶えていた。
「刃毀れはありませんか、斬弥様」
 そう声を掛けるは齢二十歳に成ったばかりのゼノン人族の青年である飛遊三浩みひろ。彼は斬弥に気に入られて付き者に選ばれるが、同時に斬弥に無理矢理戦の場に送り出された少々運勢の宜しくない生命。それでも他者を心配する心優しい性根は斬弥の心を安らがせる。
「大丈夫だ。少し練習していた技術だが、もう心配要らない。実践しても大丈夫そうだな」
「何でも実験はいけませんよ。僕をこんな危ない所に連れて行こうとする--」
「もうお喋りする時間は終わった。これより俺達は戦線の維持を心掛ける為に第十五防衛網まで一気に駆け抜けるぞ! 駆け抜けた後は一気に抜けるんだ! 奴らに俺達は休みなしだと思わせる為だ! 良いなあああ!」
「「「「「「「「やってやろおおおおう!」」」」」」」」
 号令と共に斬弥達仮遠征部隊は駆け抜けた! だが、所詮は仮の遠征部隊。銀河連合はこれに直ぐ気付いて陣営を固める作戦に出られて開始から五の日と経たない内に犠牲者を一名も出さない為に僅か十一まで足を運んだ後に退散してゆくのだった!
『--そう、これが最初の仮遠征の末路さ。どうやら銀河連合も俺達の事は御見通しの
ようだな。全くこれでわかったのはつまり、本気の遠征を心掛けないと良くないってな。
まあそうだよな。という訳で俺達は誰一名たりとも犠牲者を出さずに首都まで帰って
ゆく訳だ。これじゃあ首脳陣もお怒りだろう。何の為に金を掛けたんだ。食料を
出したんだ、ってね。
 おっとそうだ。七弓よ。九名は元気か? どうも七美も七弥も仙者なのに余り肉体が
宜しくないって聞くんだ。まあまだ赤子だからな。無理は出来ないのはわかる。初めて
だよな、仙者切開なんて。その影響は大きいからどうしても。あ、そうか。お前も腹を
切られて痛みに耐える時間だったな。済まない。直ぐに帰って来てみんなを励ましに
行く。だからそれまで待ってくれよ
                                愛する斬弥より』

一兆年の夜 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火(一)

『俺は斬弥。勿論、お前にはわかるよな。
 もう直ぐ俺は帰って来る。それまでに弓八、七斬、斬美、斬実、斬三、九七、九六と
 後数の月より後に産まれて来る双子の為にも俺は帰って来なくてはならない。何故なら
そいつらこそ俺達天同家が求めていた世継ぎだと思ってな。だからそれまでに七弓、
しっかりと健康には気を使え。もう三十九歳だろう。十分過ぎる程の高齢出産さ。そう、
俺達生命にとって、俺達仙者にとってはな。おっと仙者で言いたい事があるがそれは
順を追って説明しないと良くなかったな。
 じゃあ先ずは真正神武の奪還状況だな。今度で三回目。数は二回目の三十万に
比べて二十万多い凡そ五十万。それから四中にもある銀河連合真正神武防衛網の内、
十五まで突破した。十五だぞ。前に比べて七多い。立派な進歩だ。まあほんの少しだけ
じゃあ今まで死んでいった三十万もの英霊達は満足しない。彼らの為にも今度こそ
全て奪還しようと試みたんだが、奴らの防衛網はそう簡単じゃあないな。それに俺の所
に居た歴戦の戦士であるチーチョスが土に還ってしまった。もうあいつ以上に素早い
チーター族はもう居ない。俺はあいつの死にざまを見てこれ以上は無理だと判断した。
 速攻戦を得意としたあいつだからこそ三回目は上手く行った。舞台の運用は全て
あいつが引っ張るからこそ果たせた。だが、あいつが死ねば迅速な戦いは考えねば
成らなくなる。全く恐ろしいぜ、今度の指揮官型は。俺は十二回も戦った。だが、何れ
も決着がつかず。そいつに依って絶体絶命と成った俺は死ぬと思ったその時、あいつ
が駆け付けて。そうだ、俺が死なせたような物だ。俺がもっと強ければチーチョスは
死なずに済んだ。俺の心が折れてしまっては兵の士気に関わる。都合への影響
にも関わる。だからこそチーチョスの死と共に引き返す事を選択したのだ。
 何、帰って来る数だって? それはわからん。銀河連合には隠密戦を得意とする
種類も居る。そいつらの奇襲にも備えないといけないからな。依って引き返す事を
選択して実行に移した時点で数はまだ三万は居た。正確に数えてはいないが、
それくらいさ。だから首都に帰還するまで銀河連合の奇襲を凌げるかが重要さ。
俺だって生き残れるかわからん。
 だが、生き残るさ。何故なら俺には生まれて来る双子だけじゃなく、
弓葉、七斬、斬美、斬実、斬三、九七、九六、それにお前も居る。帰るべき場所を守る
仙者のみんなが待ってるんだ。こんなに嬉しい事はない。俺は幸せ者だ。
 そうだ。仙者で話がある。どうやら俺達から産まれてくる子供はみんな仙者だな。
これは一体何が起こってるんだ? 君は知ってるのか? 帰ってきたら君の意見
を聞きたい。
 話はここまでだ。俺は必ず帰って来る。それまでは神武聖堂を必ず守ってくれ。
                               愛する斬弥より』

 ICイマジナリーセンチュリー百七十四年二月十四日午後十時五十八分六秒。

 場所は古式神武首都タイガーフェスティ県中央地区古式神武聖堂。
 そこは天同七弓の間。本来、夫婦は共間が普通ではある。だが、出産を控えた雌は別個の間で寝る必要がある。何故ならそこは古式神武医務班が何時でも出動しやすいようにする為。共同だと瞑想に支障をきたす。故に彼女用に用意された間にて臨戦態勢を取らなくては万が一の事があれば責任は取れない。
 さて、この間にて齢三十九にして五の月と十三日目に成る神武人族の老婆……いや、この場合はもう老婆は礼を失するかも知れない。既に彼女とその夫に依って年齢相応の呼び方の基準は変わりつつあるのだから。それでも従来の呼び名を重視するならまだまだ頑張っても五十代しか生きられない全ての生命体に適用しておこう。
 それじゃあその熟女・・こと天同七弓なゆみはお腹を膨らまして凡そ一の月以内に出産するであろう双子を待つ日々。場合に依っては仙者切開の可能性も有り得るこの膨らみ。彼女の主治医を務めるのは齢二十にして九の月と六日目に成るオゲネス鼠族の青年は若いながらも再起活発と医学の師から認められた神の童。但し、再起活発ではあるが臆した病に罹った為に産科部門でしか力を発揮出来ない医者。故に彼はそれ以外では混乱必死でまともに活躍出来ない困った生命。それでもこうゆう部門に於いては彼の助けなしにはまともに機能しない。故に七弓は彼に全幅の信頼を置いて会話する。
「いやあ、七弓様には参りまちた」
「良いのよ、チュルーダ。ロナウジーニョ家の家訓に従ってあたいの娘達を助けなさい」
「え、もう勝手に娘二名にするんでちゅか?」
「ええ何となく。だってこの子達はあたいに似て妊娠九の月経っても出ようとしないわ」
 そ、そうでちゅか--それを聞いてチュルーダは困った表情をする。
「ああ、斬弥きるみがこれを知ったらまた複雑な気持ちに成るでしょうね」
 命懸けで帰ってきても待ってるのは喜ぶべきか悲しむべきかわからない第八子及び第九子の誕生。七弓の言う通り、二の週より後に仙者切開で出て来たのは皆雌の子。名前はそれぞれ七美ななみ七弥ななみと名付けられた。

どの国に行こうともぱよぱよちーんの本質は同じなんだね

 どうも徐々にやる気が出て来たのかも知れないと斎藤佑樹みたいな事を初め書きに記すdarkvernuです。
 始める前に『格付けの旅』の赤魔法の章03の二ページ目が終わり、三ページ目に入りましたので読まれたい方はカテゴリ欄の<格付けの旅>又は<赤魔法の章>をクリック。
 早速だが、悲しい現実を文章にしてるぜ。

 そのババアの名前はスゴイ! 辛ラーメンを食べながらデモ活動を正当化する事で精一杯。早速だが、インタビューをかなり捏造してお届けしましょう。
「総理はわかってるのですか! 共謀罪なんて碌な代物は止めて貰いたい。私達は共謀罪は人間の尊厳を無くす非平和的な物であります。例えばヘリを盗んで空からビラを配るだけで犯罪行為に成るんですよ。ビラを配っただけで、ですよ! わかってるんですか?」
 あ、間違えてチンの珍発言を紹介してしまった。さて、このチンさんの発言の何がおかしいのかを皆様に考えて貰いたい。
 さて、今度こそ辛ラーメンを食べる凄いババアの発言を紹介する。
「何だって! ドナルド支持者の生徒だと! 俺は米ミンスの支持者だ。あのドナルドの支持者とあっては気分が害する。停学処分にしてやるぞ! 何、虐められたって? 自業自得だ」
 また間違えた。しかもある動画をきっかけに起こったいじめ事件じゃないか。さて、これが問題なのは一目でわかりますよね? 自由の国米なのにこれじゃああの女神さまが泣くじゃないですか。
 今度こそスゴイババアの発言を紹介しますぞ。
「今、戦車まで駆け付けてましたよ。これは流石に国レベルじゃありませんか。反乱軍はとうとう戦車まで投入して政府に反抗してますぞ。これは国レベルではありませんか。戦車ですよ。国のレベルで対処しなくちゃいけない物ですよ」
 また間違えた。さて、この発言の何がおかしいのか? 国の成り立ちを知ればわかる筈だ。
 今度こそスゴイババアの発言を紹介しますぜ。
「政府の陰謀に依って捕らえられてる活動家さんへのメッセージをお届けします。我々新聞社は社説という形で貴方に応援メッセージをお届けします。その身、病に侵されながらも活動家さんの逆境への強さに感服しております。是非とも偉大なる琉球王国を復活させ、我々支那の領土に成る事を心よりお願いします」
 さて、後半は書いてもない事を勝手な思い込みで記した。だが前半部分はほぼ書かれた事を面白おかしく取り上げた。これの何処が問題なのか? 社説……つまり新聞社自ら個人に手紙を送ってるような内容。これを問題じゃないなら何が問題なのか……考えて貰いたい。
 結局スゴイババアの発言を取り上げる事が出来ませんでしたが、皆さんはこの四例を見てどう思いますかな? 以上でアンチジャーナリストの下杉確でした。


 もう少し収集してこい……と己に言ってやったさ。全くこれだから三流物書きは駄目だな。さて、題名にも成ってる物は何か? それは二番目の発言。まあ本当にこんな事言ったのかはわからないけど、それらしいいじめ事件が発生してるのは事実だ。つーか誰を支持しようとかまわんだろう。自分はそれがアカい所だろうとナチナチした所だろうと信じた物だとして受け止めるからさ。まあその代わり、いかなる発言だろうと加減はしない……それだけだ。
 なのにあのツイッター大統領の支持者というだけでいじめたり停学処分にしたり……これは流石に自由の女神が松明を叩き付けるレベルだぞ。それはやっちゃあ駄目だろ、例えにくい相手の支持者だろうとな。というかアンチツイッター大統領陣営にまともなのは居ないのか? 良く聞かれる話はどれも犯罪行為をやったり卑劣な行為をやったりとそればっかり聞くんだが? これは一体何なんだ? こいつらは何がしたいんだ? 自分はそれが不思議でならない。そんなにツイッター大統領が嫌いであるなら支持者に八つ当たりするのは些か民主主義への横暴じゃないか? 自由の国に対する背信行為じゃないのか? 本当にねえ、まともに反ツイッター大統領を掲げる人達に迷惑を掛けてると気付かないのか? というか自分の国に居るぱよぱよちーんとどう違うんだ? 教えてくれ、五飛。
 序に残り三つについては……面倒臭いので省く。暇だったら調べてみて。自分は解説もしたくないし、本音を吐きたくもない。以上でぱよぱよちーんネタの解説を終える。

 それじゃあ第五十五話の解説をする。序盤はダイジェスト風にして始まり、戦闘が始まるまで五パートも掛ける。そして最後はダイジェストに終わる……済まん、何度謝っても謝り足りない糞展開にして。でも明日から最後の話なんだよな。どうゆう着地点にしよっかな? まあバッドエンドにはしないから。其処は約束する。兎に角、ダイジェスト風なのは否定しない。十パートで終わらすにはそれしかないし、それ以外で終わらす方法はやっぱりダイジェストだ。手紙方式もあるけど、それもなあ。
 序に斬弥と七弓の子供の数を教えると最終的には十名ほど産む。ちゃんと男系は連続させるつもりだ。何故って自分は男が強い方が良い主義者さ。西尾や虚淵、それから遅筆広江とは違うのさ……え、広江だけ呼び方が酷いって? だってあいつは何時まで経ってもブラクラを進めないからさ。そんなにロベルタ編以上の長さにしたいのか、今の話を。
 さて、今回では残念ながら真正神武の奪還は果たせなかった。其処はリアリティを持たせる形で断念させた。但し、次の話では奪還させるけどね。その場合は毎度ボスキャラとして出て来る最新の指揮官型を出して、ね。
 以上で第五十五話の解説を終わる。

 そんじゃああっちの解説もするぞ。ネタがないと必ず別作品のキャラを出すのが三流のする事。そう自分の事を指すんだね。全く背流一族についての話なのに全然背流一族が何なのかわからずじまい。というか着地点が相変わらず見えない。本当に自分は話作りが下手だな。
 と自虐はここまでにして今回のページでは新たにマスコット二体を追加。一体目は存在その物が無駄な無駄君。無駄な事ばかり話し、何しに来たのかわからない無駄っぷりを発揮する無駄にマスコットらしくない無駄なマスコット。お、無駄を七回も使ったな。続いてはコムナオ君。新羅大好きではあるが、予言的中には定評のある恐るべき爺さんをモデルにしたマスコット。台詞もそれっぽい事を言ったりするというコムナオ君。え、その爺さんを知らんって? 為に成るぞ、あの爺さんの本を買って読んだら。しかも没して今年で七年目……未だに天才と呼ばれるに相応しい論評は不詳の弟子達どころか彼に懐疑的な者達にさえ舌を巻かせる程だぞ。
 今更最新マスコットを出す意味は何? それは少しでも使い回しできるキャラを残しておきたかったから。それだけだ。
 以上で格付けの旅赤魔法の章03の二ページ目の解説を終える。

 今日はオルフェンズだ。ようやく三日月と正体不明のガリガリ仮面の対決が実現する。果たして仮面の正体は何者なのか? それじゃあ今日はここまで。第二期のマッキーが弱いのは恐らくシャアをインスパイアしてるからだよ。

 追記
 何だってええ! あの仮面の正体はガエリオだったのか! びっくりだよ……もっとびっくりなのはバエル! 何あのラスボス感は! マッキー完全にラスボスじゃん。そう思った今週の鉄血。

 もう一つ追記
 忘れていたことが一つ。それはこれだ!

 
 
 予定日二月十三日~十八日     第五十六話 再誕の火 再誕の灯火      作成日間
      二十日~二十五日    第五十七話 狐と狸の化かし合い       作成日間
      二十七日~三月四日   第五十八話 鹿を指して馬と為す       作成日間
    三月六日~十一日      第五十九話 最強の矛と最強の盾       作成日間

 これはやっとかないとなあ。まあそれだけだ。

一兆年の夜 第五十五話 再誕の火 日は火を呼び寄せる(七)

 二月十七日午前七時二分四秒。
 場所は古式神武首都タイガーフェスティ中央地区古式神武聖堂。
 そこに一通の手紙が届く。それを受け取るのは齢三十一にして五の月と十六日目に成る神武人族の熟女が齢零にして十日目に成る第二子を心配しながらも齢三にして四の月と九日目に成る赤子はひたすら七弓の髪を引っ張る。
「こら、弓八! いい加減に母さんの髪を引っ張らないの」
「こら、ななちゃん。いいかげんあたいにかまって」
「ななちゃんじゃなくておかあさん、でしょ?」
「ばぶうう」
「よおしよおし、良い子ね。えっと名前なんだったの?」
 またお忘れですか--と呆れ気味なのは齢三十六にして六日目に成るゼノン人族の飛遊美咲。
「あら、美咲ったら……それ何?」
「斬弥様からのお手紙です」
「え、あいつから?」
 子を儲けようとも幼い頃の口調の癖は直らない七弓は美咲が持つ手紙を強引に取るとそれを開いて読む。
「相変わらず斬弥は文章校正が下の手ね。何々?」
 その中身は次の通りだった。
『やあ、元気か? 俺だよ、斬弥だよ。
 単刀直入だが、俺は引き返す事にした。何故かって? 部下の為だよ。これ以上部下を
病で死なせる訳にはゆかないと判断して俺は引き返す事にした。それはだな--』
 途中で新たな手紙が齢十八にして十四日目に成るアデス九官族の少女が嘴に咥えながら駆け込んできた。
「タイヘンデス、ナユミサマアアア!」
「如何した、慌ただしく」
「コレヲ、コレヲオオオ!」
「えっとお預かりしますので封は切っておきましょうか?」
「あたいが切るから美咲は二名の相手をしてて」
「って真っ先に私を弓八様と七斬様を押し付けますか」
「だってあたいは子供の面倒は余り好きじゃないから」
「というかそうゆう仕事は本来私達が--」
「五月蠅みたいに喚かないの。だから全部読んだら助けるから待って」
 遠すぎる過去に於いても子育てが良くない親は存在する。七弓はそうゆう親の一名と数えるのも正しい。そんな七弓は一枚目の手紙の続きを読んでゆく。
『--真正神武は予想を遥かに超えるくらいに穢れが進行していた。銀河連合に依る土地
の穢しは俺達の中にある物に火を付けるのに十分なまでだ。これを書いてる俺は咳き込み
ながらも未だに怒りで我を忘れそうなくらいだ。あいつらはやっぱり全て倒さない時が
済まない。いや、気が済めない。
 だが、俺達があいつらを倒すには現行の装備ではどうにも出来ない。数を揃えたつもり
でもまだ数が足りない。武器を揃えたつもりでもまだ武器は足りない。食料を揃えた
つもりでも衛生面ではまだまだ不足がある。こんな状態でどうやってこの先も進行を進められる?
 俺がここまで弱気に成る程だ。いや、俺がこうして書いてる事自体が部下達を代弁してる
としか言いようがない。
 まあ今回の手紙はここまでだ。続きは後で送られる手紙に記しておく。それよりも
そっちは大丈夫か? 俺が居なくてずっと苦しいか? 苦しいなら俺は真っ直ぐ帰る為
に急ぐよう指示するけど良いか?
                                愛する斬弥より』
 ふう--七弓は内心、その手紙を読んで安心と安らかに成れない何かを共有する。
「次はこの手紙……無事でいて、斬弥」
 恐る恐る開こうとしたその時、先程駆け付けた九官族の少女が駆け付ける!
「コラ、キュー子! 折角生命が手紙を読んでる時に駆け込まないで! 心臓に良くないわよ!」
「ソノ、エンセイブタイノミナサンガ! エンセイブタイノミナサンガ!」
「回りくどいのは止して本題だけ告げて」
「カエッテキマシタヨ、カエッテキマシタヨ!」
 何だって--七弓はそれを読むのも忘れて外へ出ようと足を踏み入れた!
「七斬はあたいが抱えるから美咲は弓八を抱えて行こう!」
「え、手紙は--」
「そんなの後回しよ、美咲!」
 あ、ちょっと--老婆で膝の痛みを抱える美咲の右腕を引っ張って外へ出る七弓。
 そんな二名の後を追うようにキュー子は戸を閉めてそれを追った。

 午前十時二分十五秒。
 七弓は途中で空腹を訴える。故に走るのを止めて歩いて彼らを迎えに行く。その道中、彼女を警護する軍者が集まり出す。それは彼女の向かう先に生命だ仮で一杯に成るのを防止する為に。やはり古式神武で斬弥の正式な嫁に成ろうとも他者の迷い惑わす性質だけは変わらなかった。その性質はやがて第一子の弓八のみならず、第二子である右も左もわからない七斬にも受け継がれてゆく。そんな七弓が空腹で走るのを止めるのも彼女がお転婆であり続けるからだろう。
「全くどうして向かう前に朝食を抜いたんだろう、ねえ?」
「私は膝の痛みが来てますよ。そろそろどなたかに--」
「いやよ、最後まで抱えなさい」と七弓は勝手が過ぎるのであった。「乳母である以上はあたいの子の面倒を見るのが大事よ」
「フウ、どうして私は七弓様の従者に成ったんだろう?」
「何か言った?」
「いえいえ」
 全くお前という奴は飛遊家の婆さんにまで無茶を要求するなあ、七弓--とそこに七弓が頬擦りしたい相手が目の前に立つではないか。
「無事だったのね、斬弥!」
「第五防衛網で断念した--」
「良いのよ、斬弥。君が……あ、そうだ。抱えて良いの?」
「気付いたか。読んだな、二通目も」
「いいえ、遠征部隊が到着したと聞いて急いできたのよ……朝食も摂らずに」
 全くお前という奴は--斬弥は泥塗れで我が子を抱く事も出来ない己の言いたい事を素早く呑み込む七弓に涙を流した。
(これはまだ終わりじゃないよな? まだ終わりは早いよな? 真正神武を取り戻す戦いはまだまだ始まったばかりだよな? だったら俺達はまだ戦えるよな? そうだろう……死んでいったみんな)
 尚、帰還したのは斬弥含めて僅か二十六名。その二十六名が後に次の遠征の時に真正神武を救う銀河連合を震わせてゆくだろう。それは次回であるICイマジナリーセンチュリー百七十四年二月十四日まで待たなくてはならない。
 そう、それは天同斬弥の齢が三十三、その妻七弓が三十九の時である。

 ICイマジナリーセンチュリー百七十二年二月十七日午前十時十分十秒。

 第五十五話 再誕の火 日は火を呼び寄せる 完

 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火に続く……

一兆年の夜 第五十五話 再誕の火 日は火を呼び寄せる(六)

 午後八時零分二秒。
 第一防衛網にて凡そ一万もの仮設民家が建てられる。これが意味する所には第一防衛網における戦闘で少なくとも半数の五万二千六百十五名の死亡が確認。少なくとも二千四十八名の重軽傷者を出した。これについては仮設民家にて会議を開く首脳陣も危惧する所である。
「こっれは良からぬ数値でっせ」
「わかってるよ、そんな事は。まさか半数以上もこの地に還る事に成ろうとは」
「後端……ゴホゴホ、故乃穢れた大地斗それ於加速させる穢れた空気だ那」
「確かお前と同じ種族だった真正神武の……えっとダッジャールの者も患ったと七弓から聞いた」
「本当っす。ゲホゲッホ、はあはっあ。たった数の時戦っただけでこんなに苦しくなるって」
「俺はまだ実感出来てないが、只……泥に浸かっただけで服が黄ばんでる」
 本当ですね--とチーチョスは新品なのに既に破けが見られる理由に気付いた。
「これは流石に笑えまっさ」
「兄さんはこの泥もあって……悔やんでも戻らないス」
「兎に角、これだけは言える。真正神武への遠征は途中で引き返す時が来るぞ。今のままでは--」
「何を弱気な事を言いますかス、斬弥様ス!」
「いいっや、斬弥様の言っ通りだって」
「禾野よ、貴様端遺伝子摩出腰砕け科!」
「だって……ゲホゲッホ、幾ら生き残れても帰ってきてこの様じゃあ奪還した意味ないっす」
「だからって引き下がれる訳が……ゴホゴホス、何て息苦しいんだス!」
 まだ第一防衛網を突破したばかりだろうが--と会議に集まった猛者達も深刻な咳き込むをする程に弱まっていた。
「空気の正常化には十の年では済ませない程の期間を要する。それにこれだ……泥を元の土に還すにも更に期間を要する。だからこそ俺は……ここでも迷いが生じる」
「斬弥様、貴方斗いう御方端」
「言ってくれまっしたね。じゃあ--」
「だが、今は奴等に一泡吹かせる程防衛網を突破していない! ここで引き下がると思うなよ、コケ都留!」
「ウウウ、全然わかってくれってない」
 どうやら斬弥は七弓の影響を強く受け過ぎたせいで既に無理難題を押し通すつもりで居た。其処でどれだけの犠牲が出るのかにも把握しきれない状態であろうとも。
「やはりそう出なくて端、ね」
「最後までついていきまス、斬弥様ス」
 足りない補給は根性で補うだけ--と一聞すると無理難題そうな根性論を主張するチーチョス。
「みんな……それじゃあ寝ようか」
 そうして会議は短時間で終了し、それぞれの仮設民家に戻って就寝するのである--見張りの者達以外は。
(こうゆう時に限って奴らは俺達を起こしに来るだろう。そうに決まってる。だからこそ俺は……寝られない)
 戦う者に休息はない。仮に真夜中に襲う銀河連合が居ないとわかっていても簡単に寝付ける生命は極僅か。名を挙げるなら臆した病を持ち、尚且つ楽しんで天国を味わうような禾野コケ都留。他の者達はそうもいかない。だが、悲しみに観察する軍者の思考はこういった長期的な活動では却って足枷又は羽枷にも繋がる。そう、寝不足。それが齎す深刻な病にまだ誰も気が付かない。だからって安易に休息するのは命取りにも繋がろう。
(眠れ、眠るんだ。こう成ったら一兆年の神々にお願いしよう)
 目を開けた斬弥は泥の浸食が深刻な地面に藁で覆い、そこに胡坐をする。
(これで少しは泥の心配は要らないだろうよ。さあやろう、絶対やろう。天同家の代々の仙者はこれをずっとして来たと俺は信じてる。まあどんなやり方なのかを教わる事もなく、母は死んでしまったのは少し悲しいな。だからこれは七弓から教わったやり方で試してみるぜ)
 斬弥はそれを敢えて口に出して唱えてみせる。
「水の、大地の、山の、火の、風の、空の、重力の、それから宇宙に生きる一兆年の神々よ! 何を思い、何を為し、何を視るんだ! 俺達全生命体に神々の意志を教えくれ! 約束としてこの大地を再び豊穣にしてみせると誓いますので、どうかどうかどうか……」
 その時、斬弥の瞳に映るのは黒と灰という色から、赤く青い色、そして桃を越えた色に変化。それらは次の通り。
(これは……これが母や七弓が何時も見る神々が見せる明日? というかどう成ってるんだ?
 何……何だと! 赤黒い何かが……だとしても俺は!)
 斬弥はそこで自らの迷いの正体に気付く……そして--

一兆年の夜 第五十五話 再誕の火 日は火を呼び寄せる(五)

 午後一時十五分二秒。
 場所は旧真正神武。そこには四十二もの防衛網がある。
 その中でマルータ達が最も脱出するのに苦労した第一防衛網。
 正午前に始まった戦闘は真正神武に入る事で本格化する。遠征部隊の数は以って十万。フッドルがやられ、重傷者を送り返してもまだ十万はある。だが、十万という数は喰われてしまった真正神武という広大な土地に於いては余りにも少な過ぎる。
「うおおおおお!」斬弥は得意とする疾風の舞・弥を駆使して現在三本目の古式神武包丁を使用して撃墜数を十五に伸ばす。「都合に怯むかああ!」
 クソ、また包丁を無用に使ってしまった--チーチョスは現在十二本目に成る猫科又は犬科専用の雄略包丁を使って撃墜数を三十に到達させるも十三本目に突入する形と成った。
「百本用意しっでのに残り一本に迫ってええ!」
「良くないっす。補給が間に合わなっさ」
「また金棒牙曲がった」シデンドウは他者を圧倒する五十九を稼ぐも二本目の金棒はとうとうくの字に折れ曲がってこれ以上の撃墜は期待出来ない。「残り一本科、鬼族似産まれて恵まれた体格模案外役似立たない日牙来るとは那」
「どうだ、カーモネーの……えっと--」
「カモダルと申しますね」と齢二十二にして二の月と十二日目に成る既に一族全員帰化したばかりのテレス鴨族のカモダル・カーモネーは逆に尋ねる。「それで何を頼みますかね?」
「至急ゴンデルゾに連絡を。未だ泥の荒野を突破出来ずに苦戦してる、と」
「了解したね」
 こうしてカモダルは首都タイガーフェスティに向けて羽ばたく……筈だった--突然、カモダルの胸部に銀河連合鴨型が放った望遠刀によく似たそれらで放った何かが突き刺さる!
「役、目、果たせず、ね」
 カモダルはそのまま頭部を下に向けて落下。間違いなく死亡した。
「ああ、カモダルが」
 斬弥は後一回使える古式神武包丁を右手にしたまま両膝の力を抜く。意気消沈する斬弥の背後まで迫った梟型が奇襲。開く口は斬弥の首元目掛ける!
 やらせるかあああス--その雄叫びの主は齢二十七にして十の月と十日目に成るメデス蟷螂族の青年が蟷螂式雄略包丁を投げて見事に梟型の首元に命中させ、斬弥を救った。
「あ」斬弥は梟型が絶命する瞬間を目撃。「俺はまた助けられたのか?」
「全く貴方は七弓様とは別の所で心配に成る御方ス。それでは先に想念の海に旅立った兄が悲しみまス」
「御免、ジンデレスの兄さんはどの兄さんなのかわからん」
 尚、蟷螂族も多産型の種族の為にそれに精通する生命でないと誰が兄弟なのか判別が難しい。それでもジンデレスの兄と思われるとしたら真正神武で果てたジンデントの事だろう。
「まあ良いでしょうス。生命には誰しも……じゃなくて」投げた蟷螂式雄略包丁を抜くと直ぐ様ジンデレス・ムシャリーニは己を中心にして正面、後ろ斜めに方向から迫り来る犬、猿、雉の銀河連合に対処するべく蟷螂の構えを採る。「何時までもやられる蟷螂族ではないス」
 蟷螂の構えは対銀河連合用にジンデレスが発明した蟷螂族専用の構え。一聞すると現代の世にもありそうなあの構えのように聞こえる。だが、異なる。現代の世の構えはあくまで人族が蟷螂族の真似をして開発した一種の踊り。こちらの場合は蟷螂族にしか使えないように作り込まれる。その為に力で抑えられれば両刃で後方に投げ、高速で迫るのなら片方の刃で軌道を固定させながら間を合わせて交差斬撃を加え、技で迫るのならば歩法で巧みに決まらせないように誘導する。正に蟷螂族だけの構え。
 この構えを繰り出す事でジンデレスは三体の銀河連合を一カ所に集めて串刺しにして見せた!
「フウス、これで右の包丁は使い物に成らなくなりましたス」
「助かった、ジンデレス」
「しっかりして下さいス。演説ではあんなに勇ましい貴方様がまだ拠点型銀河連合にも到達してないという状況で何をしておりますかス」
 そうだったな--と斬弥は道半ばである事を自覚した。
(何の為に剛胆の三つを会得して疾風の舞を学び直したんだ。七弓の分まで取り戻す為にここまで来たんだろうが! 全く俺とした事が)
「下を向いていたら一兆年の神々は呆れて物が言えなくなってしまう。だったら俺は」斬弥は深呼吸した後、両眼を限界まで開いてこう絶叫。「上を向いて無意味に叫んで落ち着かせるぞおおおおお!」
 その叫びで動きを止めるモノは……銀河連合--彼らは律儀に動くのを待つ遠征部隊の面々を前に恐怖を覚える。
 その恐怖で前に進む意欲を無くしてると気付いた遠征部隊の面々は心の劣勢を覆し、一気に畳み掛けるのであった!
「さーっきは良くーも仲間達をおおおお!」
「いんこぞくのそこぢからをみせるわよ!」
「新天神武までやって来たわしの力を思い知っだあああ!」
「そっれはあたしも同じっしょ」
「兎族はああ忙ああしいけええど、亀族はああそおおれに付いてええゆくのおおで精一杯いい」
 と各種族が入り乱れて後ろに下がった銀河連合の隙を見逃さない。それは生命にはやらない銀河連合が使う恐るべき戦略を掛ける余地さえ与えない程だった。
「退いてるぞ、これだ。ここで畳み掛けずして何が奪還だあああ!」
 斬弥は尚も叫ぶ--第一防衛線を突破する為ならば例え喉が枯れてもやるしか道はなかった!
 そして午後五時五十八分五十一秒……ようやく第一防衛網の突破を果たした!

一兆年の夜 第五十五話 再誕の火 日は火を呼び寄せる(四)

 二月十三日午前十一時五十八分二十八秒。
 斬弥率いる遠征部隊に向かって何かが飛来--それがある軍者の頭部を命中!
「フ、ゥ、ン……」
 飛来した物の直径は団子虫寸法にして凡そ二……それをでこの中心に受けたのはあろう事か筋肉鍛錬したばかりのフッドル。彼は後ろに弾き飛ばされながら想念の海に旅立った。
「フッドルウウウウウウ!」
「銀河連合端既似--」
「うッわあああ、フッドルの遺体が勝手に!」
「飛来した何かも生きているのかねええ!」
「落ち着っけ! これは銀河連合の戦法だと落っち着け!」
 遠征部隊の誰もが誤った算出を弾き出した。そう、戦いは陣地の外で唐突に始まる。それに誰もが想定しなかったが故に真面目に結構の二の分より前まで緊張を高め合ってしまった。
(何て事だ。俺とした事が肝心な事を忘れていた。マルータは生前、俺に言ってた事を……おのれ!)
 だが、悔やんでも始まらない。戦いはこうして始まった。彼らが為すべきなのは何としても銀河連合に変わったフッドルを倒す事。それは自分達にとって胸の痛む話ではある。
「はあはっあ、倒しましった」
「倒しました……じゃなかろう。こんなの苦しかろうよ」
 それでも俺達はやるしかなかったんだぞ--因みに銀河連合化したフッドルに襲われて五名が重軽傷を負った。
「斬弥様。重傷を負った者達は--」
「当然、帰せ。彼らが居ては余計な犠牲者を招くからな」
「まさっかあの演説から舌の乾かっぬ内に--」
「一言多いんだよ、コケ都留。今は後ろを向いてる場合じゃないからな。死んだフッドルや先に送り返した奴らの為にも俺達は進むんだよ」
「そっすね。そ、そっしま--」
 危ない、コケ都留のおっさん--そう叫ぶチーチョスはコケ都留を左に突き飛ばした!
 その時、何かがチーチョスの口元目掛けて飛来。速度はチーター族の全速力を凌駕。それを躱す余裕のない彼は受けて--
「いいや、チーチョスは掴み取った!」
 御名答--上と下の鋭い歯で器用に掴み取ったチーチョスは噛み砕いてから外に吐き出した後、同じチーター族の少年から受け取った水筒を口一杯まで飲むと一気に吐き出した!
 はあはあ、心配はない筈--と若干弱気なチーチョスはそう口にする。
「無茶於し居る牙、助かったぞ」
「それはわいの台詞っで」
 フッドルには申し訳ないが、あいつが水から死んだ事で俺は当たる瞬間を読む事が出来た……あいつには申し訳ないが--と早口訛りなチーター族らしからぬ流れの良くない口振りのチーチョス。
「だっが、気を付けっさ。もしも体に異変が起きたら直ぐに誰かを呼っぶだ。良っな?」
 俺を誰だと思ってるんだ、キシェールの末裔--とキッズィに強がりを見せるチーチョスだった。
(気を付けるのは寧ろ俺の方だ。今度のはたまたま対応出来たから良かった。対応の早い事で名を挙げるチーチョスだから良かった。でも俺だったらあれを何とか出来たか? いや、俺には自信がない)
「また迷い於起こされてますね、斬弥様?」
「良くないか、迷ってばかりで」
 いえ、迷い端あって当然出あります--と変わらず迷う事は良いと口にするシデンドウ。
(だが、ここで迷ってる場合じゃない。フッドルの為にも進むんだ)
 一名たりとも犠牲者を出さずに完遂する……それはフッドルの死とそれに続く五名もの重軽傷者を出した事で断念。さて、暗雲立ち込めるこの大事業は果たして多大なる犠牲を払わずに済むのか? それとも--

一兆年の夜 第五十五話 再誕の火 日は火を呼び寄せる(三)

 二月十三日午前四時一分十一秒。
 場所は古式神武と真正神武が正式な形で通行が認められた道路跡。四の年より前に真正神武が喰われるまではここを通行する者は少なくはなかった。だが、喰われた後ではむしろ行き場を無くした真正神武国民の生き残りだけが殺到。当時は大混乱の状況であった。おまけにここには外郭を通り抜ける為の通路穴が建てられる予定だったが、真正神武の一件でそれは中止された。
 さて、そんな道路跡に十三も築かれてある仮設民家。そこには先遣隊凡そ二十三名が共同で見張りをする。見張りとはいえ、本隊が来るまで真正神武後で何が起こってるかを見張る為である。そんな仮設民家を築く事を指揮したのがよりにも依って情けない雄ばかりが連綿と続くタゴラス鶏族の禾野コケ都留とは。
 急いでやって来たのに……あいつを先遣隊長に選んだ俺が馬か鹿だった--と寝る間も惜しまずにしかも息が少々荒い斬弥はコケ都留の鼾を聞いて余計に疲れが回ったような口振りに成る。
「あやつめ、任務乃重要性於知らんようだな」
「まだ叱るのは早い。先ずは先遣隊が全部で二十六名かどうかを確認する」
 斬弥はコケ都留を叩き起こすと直ぐに点呼させた。すると--
「成程……居眠りしたお前も含めて全員揃ってる訳だな」
「といっかみんな監視すっのが恐くて徐々に下がっております」
「いや、それで良い。こうして後ろ向きに考えるのは何も良くないと断言するのは早計さ」
 俺なら前に出るがな--と齢二十一にして二の月と十一日目に成るロディコチーター族の青年は生意気にも私語を口にする。
「こっら、チーチョス! 何時斬弥様が私語をしっろと言ったかあ」
 お前に注意される筋合いないんじゃ--とチーチョス・バーバリッタはコケ都留に対して例の失した態度を取る。
「何だっと--」
「どっちも大人げなかろう」とそこに齢二十三にして二の月と三日目に成るラテス燕族のフッドル・メッサーシュミットは既に屈伸を始めていた。「今は万全の状態で臨まれようぞ! フン!」
「フッドルも何を言ってるっか」と齢二十八にして二の月と十八日目に成るメデス蠍族のキッズィ・キシェールは紙を十枚も束ねた物を読みながらフッドルを注意する。「ってか筋肉鍛錬するのは余り良い事じゃなっだ」
「キッズィ模何先祖牙記した暦乃神於読み返してる乃科」
「良いじゃないでっが、こっぐらい。ICイマジナリーセンチュリーの研究を進めなっが何処で計算が変わっかわからっで」
ICイマジナリーセンチュリー……未想世紀乃事科」
 それについてはヤマビコノシデンドウだけでなく、斬弥も興味がある模様。
ICイマジナリーセンチュリーかあ。あれに直せば先祖達の人生はあっという間だからな。一年を四の年経過と捉えれば一般生命の寿命は十年。頑張っても十三年が限度。俺と七弓は十八年。頑張っても二十年行くか行かないかのどちらかさ。こんなにも余生が短いとどんな生命体だって焦りを覚える物。俺だっていつかは焦る日は来るだろう……さて)
 とそこで考えを切り替えて斬弥は先遣隊を含めた全員を仮設民家より成人体型十離れた所に集める。それから彼は用意された台に乗り、演説を始める。
「良いか、お前達。これは古式神武が戦いを望んで進めた奪還ではない。新たな国へと変わりつつある我が古式神武の初陣を飾る為の奪還だ! そこでは銀河連合に依る真正面を臆した戦法が待ち構える。それに依ってどれ程の犠牲が出るかも定かではない。だが、俺達は一名も犠牲者を出さずに果たさねば成らない! これは都合の良過ぎる理想だと誰もが思うだろう! 無論、俺もそう思う! そんなの実現出来る筈もない理想だ。何を根拠に一名の犠牲者も出さず……だ、と!
 だがなあ、向こうだって都合が良いんだよ! 寧ろ都合が良過ぎるんだ! 銀河連合の戦法の中には従来の戦略そして戦術だけでなく、その都合さえ支配して我々を阻みに掛かる! その都合たるや……あのアリスティッポスの悲劇が示しているではないか! 誰もが勝てないと認めた猛者達はその都合に依ってどれ程想念の海へと旅立ったか君達は記憶すると思う? 思わない者は大体を把握しておくのだ! それは斬撃の軌道通りの筈なのに気が付けば軌道が少しずれていたり、もっと良くない時には躱した筈なのに距離を大きく縮めて致命傷を負う程……そう、それが奴らの使うもう一つの戦法の正体なのだ。これはまだほんの一部でしかない。もう一度繰り返す。これは銀河連合に依る都合を使った戦法のほんの一面に過ぎん。その一面だけでも力や技、速さではどうしよもない壁だと理解するんだ。でないと帰りを待つ家族の元に帰還前にその地で果てる事に成るぞ!
 ではそれはどうしようもないと諦めるのか? いや、諦めるのはまだ早い。ここには旧真鍋傭兵団古式神武各地にある支部で活躍した猛者や先に偵察部隊として喰われてしまった真正神武の様子を調べに強行突入して運よく生還を果たした猛者達も居る。彼らならば才能では埋められない経験則を以って対処が可能。そしてもう一つ重要なのがある。それが俺だ。俺が要れば真正神武は奪還が果たせる。何、歴戦の勇士たちに比べて安心出来ないって? 大丈夫だ。俺は強い。疾風の舞どころか剛胆の舞だって極めた。何れ仙者の舞を其処で披露して見せる……約束だ。故に諦めるのはまだ早い……わかっただろう?
 わかったならお前達は気合を入れろ! 気合は胸に残るしこりを外へと流す物! 気合は銀河連合を退ける手の一つ! そして気合は……神々への感謝を示す印イイイイ!
 我々は真正神武を取り戻すぞおおお!」
「「「「「「「「オオオオオオオオオ!」」」」」」」」
 それは真正神武に巣食う銀河連合との戦いがどれだけ熾烈かを大いに逸らす為の演説。斬弥は心の何処かで己に自信を持てなかった。持てないが故に彼は真っ直ぐ仲間の死を見つめる事も己のした罪深さにも目を逸らさなくてはいけない。それでも斬弥率いる遠征部隊に後退という二文字はない。いいや、それが読めない状態であった。
(俺は……俺は)
 斬弥の気持ちを知るシデンドウは声を掛ける。
「遅かれ早かれ前似進むしか道端ありません、斬弥様」
「それでも俺は--」
「その時端意地出模逃げて下さい。それ端誰より模七弓様牙望んでおられます」
 わかった--心に僅かな迷いが有れども斬弥は前に進む事を決意した。
(果たして俺は逃げる事が出来るかな?)
 逃げる選択肢を……いや、僅かな迷いを残した斬弥はそれに依って後々命拾いする事に成るだろう。

一兆年の夜 第五十五話 再誕の火 日は火を呼び寄せる(二)

 二月十日午前六時零分十一秒。
 場所は古式神武首都タイガーフェスティ第二北北西地区。
(俺の為に兵の出立が遅れるのを避けねば成らない。故に先遣隊は先に真正神武へと向かったが、危うく銀河連合の都合が支配する地に一歩でも足或は羽を踏み込んでるんじゃないかって思ってしまったら大変だ)
 斬弥は先遣隊の一名でも銀河連合の領空に踏み入れてるかどうかを心配する。何故心配するのか? それはかつて新国家神武の時代に星央の遺志を継いでアリスティッポス大陸奪還へと向かった八弥やつみなな率いる遠征隊は八弥を始めとした多大なる犠牲を払いながら遂に奪還を果たした。その過程で銀河連合に支配されたアリスティッポスの地で常識では考えられないような現象が起こった。躱した筈の攻撃が何故か当たったり、当たったと確信した筈の攻撃が何故か躱されたり……挙げればキリがない程の。そんな数々の現象に対して八弥を始めとした凄腕の猛者達は為す術もなかった。
(だからこそ俺がそこへ辿り着くまであいつらには完全な待機命令を出したんだ。少しでも踏み込めば銀河連合の思う壺だという先者達の教えに従ってな。いや、俺しか居ないというのもそれは少し都合が良過ぎる。都合が良過ぎるのは認める。それでも真正神武の地を取り戻す為には俺が向かわないと少しでも銀河連合の都合を打破する術はない。幾ら歴戦の猛者達を何名集めたとしても大き過ぎる条件の前では何名たりとも無力に等しい)
 そう、斬弥の考える通りアリスティッポス大陸を奪還出来たのは七が居たからである。但し、七が決して凄い猛者であるという証明には成らない。七は歴代の仙者の中でも下から数えた方が良い程に実力者には程遠かった。それでも奪還出来た要因なのは彼の持つ仙者という特殊な条件のお蔭だという事を。
(だからといって俺を入れたくらいで簡単に奪還出来るとは限らない。七だってそれくらい知ってるからこそ周りの者達に支えられて最後まで引っ張る事が出来たんだ。そうだ、俺だって完全じゃない)
「何於入れ切った状態出居ます科那?」そう声を掛けるのは齢三十一にして八の月に成ったばかりの神武鬼族の中年は励ます。「そんな乃出端七弓様だけ出なく、弓八様也七斬なきり様だって困りますぞ」
「弓八は兎も角、七斬はまだわからんだろ。まあ連続して仙者なのは良いけど」
「です牙、連続してる乃端雌出ある事実模です那」
 そうなんだよなあ--と斬弥は連続して雌が産まれた事に将来を憂う。
(確かに雌は生命を産み落とす神聖なる性別ではある。けれどもそれは雄が居て初めて成立する。雌単体で子を儲けるなんぞ御器被ごきぶり族のような奇妙な生殖を可能とした種族や我々にとって最大の存在である銀河連合くらいしか思いつかん。もしも雌だけで何とかやれたら……はないか)
「心配です科?」
「ああ、七弓は直ぐ無茶をしてこちらまで駆け付けるだろうが……子供を産んで数の日しか経たないあいつならそこまではやらない。やらないとは思うけど」
「そっち乃話出端ありません、斬弥様」
「ああ、今後の憂いか?」
「ええ、このまま雄乃子牙産まれず似天同端途絶える事似成った斗したらこれほど悲しい事実端ありません。一体何牙天同乃代わり於務まりましょうか!」
 そうだな--そう言ったが最後、斬弥は私語を閉じて先遣隊の居る陣地へと陣頭指揮を務める。
(凡そ七百の年も連続させてきた天同家の未来か。俺にはそれはわからない。わかるのは一兆年の神々のみ。彼らは時の流れではなく、時の全体像を見て先を……そうだ)
 そこで斬弥はある過去の証言を思い出した。それはちょうど十六の年より前の話。
(そう言えばある山椒魚族の青年……今では多分老年に成ったかな? 彼が遥か明日の年よりやって来た天使族という聞きなれない種族の話をしていたな。実在を示す証拠は見つからないが、その雄に依ると何でも……だとすればまだまだ希望を諦める訳にはゆかんのだな)
 明日の事が本当だとしてもそれを今を生きる者達に聞かせても納得いくかは定かではない。それは遠すぎる過去に於いても常識として全生命体の遺伝子に刻み込まれる。
 それでも生命はそうゆう空想に等しい話を信じたくなるものであると……斬弥はそれと同じような事を考えながら先遣隊が待ちくたびれる戦場へと向かう。

一兆年の夜 第五十五話 再誕の火 日は火を呼び寄せる(一)

 ICイマジナリーセンチュリー百七十二年二月六日午前十一時五十五分五十八秒。

 場所は古式神武首都タイガーフェスティ県旧真鍋傭兵団首都支部。
 古式神武軍と真鍋傭兵団古式神武連合は一つに成った。同じく新天神武も真鍋傭兵団新天神武連合は一つに成った。
 ここでは主に古式神武の事柄だけを紹介する。一つに成る事で旧真鍋傭兵団首都支部は元の中央官邸へと戻った。会議を開くのは四の年より前に当時の支部長である故藤原クマ玄と話し合った五階支部長室。そこは会社の社長室程度でしかない部屋で会議をする物だから十一名を入れるのには余りにも狭い間取り。体格の小さい者達なら問題はないだろう。逆の場合だと苦労する。特に故・藤原クマ玄を始めとした熊族は体格の大きさ故に何度も滑り戸式を頼み込むほど。だが、それは構造上の問題により断念。それだけに支部長で尚且つ体格の大きい者達にとっては死に活動的な問題である。と初っ端から新中央官邸の一部を紹介した。
 それじゃあ会議の話に移る。とはいえ、会議は九時ちょうどに始まり、正午前に無事終了。遠すぎる過去であろうともそこは公務員。会議に時間をかけるほど暇ではない。特に遠すぎる過去の生命体は皆、机上の空論よりも実際に立ち合って知識を得る事の方がより重要だと考える生命が多い。故に会議ではどのように攻めてゆくかを皆で議論し合い、集合知を築いた後は直ぐに行動に移して実地調査と侵攻の両方を遂行する事で奪還してゆくしかない。なので会議に三の時も四の時も掛けては先に想念の海に旅立った多くの生命に対して申し訳がない。神々にだって同頭を上げきっていれば良いかもわからない。
 さて、会議室から出る青年に注目しよう。齢二十五にして四の月と十日目に成る神武人族の青年は溜息を吐く。
(はあ、長かった。マルータの死は無駄に成らなかった。ようやく俺とお前が果たそうとしていた真正神武の奪還が始まる。七弓なゆみは第二子の出産を控えてる。今度こそ雄の子であって欲しいが、今は彼女の心配をしてる暇は--)
 どうしたんダアイ、斬弥きるみ様--声を掛けるのは同じく会議室から出るのは齢三十五にして九の月と八日目に成る藤原熊族の老年藤原クマ彦。
「あんたは確か--」
「さっき議論を戦わせた相手の名前を忘れましタカア? クマ彦ですヨオ。クマ玄兄サアンの年の離れた弟の」
「ああ、クマ彦だったか。期待してるぞ、君の活躍を」
「それは良いデエスが、気を付けて下サアイ」
「また議論か、もうしただろ」
「異なりマアス。忠告ですナア、幾ら情報を聞いてみてもいざ其処に足を踏み入れレエバ銀河連合の都合が支配する極限の大地。我々はそこで油を断ち切る訳にはゆきまセエン」
 だろうな--と斬弥も机上の空論と実際の状況に大きな隔たりがある事を理解するつもりで居た。
(マルータもそれを経験したからこそ死ぬまでそれに魘されていたと従兄弟のマルミは言ってたんだな)
 因みにマルミはマルータの後を継いで斬弥の付き者に成った物の両親の方針に従って二の日より前に良家に嫁いだ。その為、彼女の後を継いで付き者に成ったのは--
「ここに居っましたか、斬弥様あっち」齢二十六にして一の月と十二日目に成るタゴラス鶏族の禾野コケ都留。「七弓様の容体っがあああ!」
 何だって--まだまだ遠征まで時間は掛かる模様。

一兆年の夜 第五十五話 再誕の火 日は火を呼び寄せる(序)

 斬弥きるみ七弓なゆみはお互いに繋がる。その結果、七弓に微かな生命の息吹が現れ出す。それは僕へと繋がる光。
 さて、僕の事は無視して良いだろう。今は古式神武がやるべき事だろうね。えっとICイマジナリーセンチュリー百七十一年までに片付く問題ではなかったね。今回の舞台はまあICイマジナリーセンチュリー百七十二年二月六日までに遡る。それまでどうなったかを説明不足ながら僕の口から説明しよう。
 斬弥と七弓の説得により、古式神武は真正神武奪還の為に重い腰を上げる。最初の二の年は正に真鍋傭兵団の方針を大きく変える一大事業だった。幾ら首都支部で長を務める藤原クマ玄でも古式神武中にある支部の傭兵達を説得させるのには苦労する。彼が三の年より後に亡くなったのが寧ろ奇跡的だと断言して良い程に大変な事業。斬弥のひたむきさと七弓の雌ながらの感情のままに行動する体力の前ではクマ玄も老齢ながら命の炎を燃やすしかない程に。そんなクマ玄のお蔭で古式神武どころか、新天神武にもある真鍋傭兵団は真正神武奪還の為に一丸と成る。予想以上の成果により、真鍋傭兵団は自然解体。新たに結成された古式神武遠征部隊に組み込まれた。
 さて、残りの一の年より後はどう成るか? そこでは斬弥を始めとした古式神武首脳陣が新天神武との連携強化の為の話し合いに主眼を置く。だが、四の年も費やす程の大事業な上に古式神武は日に日に銀河連合に依る猛攻撃の前に精神を磨り減らしてゆく。けれども銀河連合の攻撃は言い方自体は余り好きじゃないが、古式神武の結束をより高める。新天神武の世論も徐々に本当の平和へと繋げる手段として再び戦わないといけないという風潮に繋がる。それは当然ながらに新天神武の政権を古式神武との連携強化が最も大事な国益に成るという事へと繋げる。そして、二つの句には連携強化の為にお互い手を、足を、鋏を……繋いだ。
 それじゃあ冒頭の最後に斬弥と七弓は四の年の間、何をしていたかについて語ろう。斬弥の場合は最初の一の年は七弓と共に各地で出没する銀河連合の討伐に明け暮れた。肉体関係に成って一の週より後に正式に婚約を発表。晴れて星央の代と八弥の代は一つに繋がる。更には婚約して一の月より後に七弓は懐妊。それから九の月より後に第一子が産まれた。念が残るのか、産まれたのは女児。名前は七弓の名前を採って弓八ゆうや。その子も又、仙者。しかもその子は後に古式神武最後の最高官と成って第十子十五とごを支える事と成る。まあそれは別の話に成るけどね。まだまだ斬弥の話は続く。彼は真正神武奪還作戦を実現する為に時間を掛ける。上手じゃないようにそこへ攻め入るにはそこを知らないといけない。故に彼は付き者であり、親友でもあるマルータを隊長とした偵察部隊を結成。彼らに命懸けの任務を与える。そうする事で計画の成功率を引き揚げる事に尽力させる。その努力が実り、偵察部隊は結成当初よりも半分以下に成りながらも約半分程の情報を持って帰る事に成功する。だが、そのせいでマルータは帰還して一の週より後に想念の海へと旅立った。
 当然、悲しみに暮れる斬弥を支えたのが第二子をお腹に宿す七弓。彼女は幾ら乳母達に養育を任せても弓八の事に精一杯。それでも斬弥の為に尽くす。余裕があれば会議に参加しては意見を出す。だが、会議に出席する機会が少なく成ると自ら口を出す事が徐々になくなり、やがては子育てに尽力してゆく。そうして弓八を産んで三の年より後に第二子を懐妊。益々、斬弥は子作りに焦り出す。益々、真正神武奪還に向けて焦りを見せ始める。そんな焦りを抑える為に七弓は彼を最大限励ました。
 そうしてICイマジナリーセンチュリー百七十二年二月六日……

格付けの旅 一般市民街にて休息 全生命体の敵図鑑も忘れずに

 リヒテン・ド・ゲムドボーグ……それは自ら起源説を主張するパクリスト。そのパクりっぷりはポール・バニヤンから始まったのではない。主武装のエレクトハンマーもパクれば必殺技である二虎流奥義さえまだ実態が明かされてないのにパクる。酷い時にはピコ太郎のギャグをした挙句に自分が起源だと主張して……おっと黒い方や白い方の話題じゃないな。兎に角、奴はパクる。パクり過ぎて原点すら存在しない。
「言いたい事言いやがって、デュアン。貴様はわしを怒らせた……だが断る」
「用法を考えて名台詞を引用しろ、ゲムドボーグ!」
「何なの、このムキムキのおっさんは?」
「さっき説明した通り、こいつはゲムドボーグ家の一員にしてパクリスト」
「向こうがわしの許可なくパクったんだ。ユーキャン死ね!」
 オイ、それは黒い方で言え--とデュアンが呆けられない程の支離滅裂ぶりを発揮。
 さて、このゲムドボーグは何しに来たのか? それは一般市民街の起源説を流布する為に来たらしい。
「何か他人事のように言ってるけど、このナレーション」
「気にするな。俺と同じようにせっかちで面倒臭がり屋なんだ」
「勝手に進めてんじゃねえ、ゲムドボーグは伊達じゃない」
「だから用法考えて引用しろ! 所々用法間違えてるだろうが」
「あのデュアンがツッコミを入れるとは、中々の狂人だな」
「突っ込むのは本来アルッパーの務めだが」とまるで自分はボケ或は解説担当だと思ってるらしいこの男は更に話を続ける。「えっとそれは兎も角として格付けの旅は間違いなく作者由来の作品だぞ」
「違う、この壁画に依ると」
「途中で作者が投げたのでその壁画が公開される事はもうない」
「おのれ、あの忌々しいジャス--」
 止めろ、ゲムドボーグ--黒い方にも白い方にも受け取れる何かを何とか阻止するデュアン。
「グダグダね、それよりも何しに来たのよ」
「この壁画に依ると一般市民街は元々私の物だ。わかるか、一般市民街は私の物。私の物も私の物」
「どっかの国の諺を使うな。というかお前の場合はあのガキ大将の台詞をパクったんだろう」
「五月蠅い、逃げるなハゲ!」
「字まで似せるな、パクリスト!」
「全くグダグダね、それで」とミサキは唐突に男に変わって目的を尋ねる。「貴様は一般市民街の起源を主張するだけじゃねえなあ」
「その通りであります。私はゲムドボーグ家の一員としてデュアン・マイッダー……貴様とお見合いをしに来たのだ!」
「何て事を! デュアンったら、何時あたし以外の女を作ったのよおお」
「いや、鵜呑みにするな。こいつが言いたいのは決闘の申し込みだ」
「良くわかってるじゃねえか、デュアン。依頼は果たす、死んでは成らない、両方やらなくちゃいけないのが--」
「だから用法を正しく守って使え! てめえは台詞パクっときながら全然用法要領を守ってない!」
「という訳でこれが跡部キングダムだ!」
 もう突っ込まん、アルッパーに投げる--デュアンはとうとう投げた。
 要約するとゲムドボーグは前に散々な目に遭わされたのでその復讐を果たす為にネクロノミコンを身体に埋め込んで筋肉隆々の姿に変わった。
「素晴らしい。これが鬼の背中か」
「オイ、ツッコミを任せるぞ」
「俺様にそんな事を投げさせるな、デュアン」
「さああ、秒速でケリを付ける! 喰らえ、ハスタキック!」
 とゲムドボーグは叫ぶが、正しくは百裂張り手。その単純明快な技故にデュアンは欠伸しながら光系拡散下級魔法でゲムドボーグの全身を粉々に砕いた。
「一生出てくんな、馬鹿野郎」
「やるわね、デュアン」
「あの程度にやられるほど俺は甘くない」
「居たぞ、デュアンだ」
「あれは我々一般市民の敵、デュアン・マイッダー」
「あいつを倒せば一生遊んで暮らせる金が手に入るんだってな」
 だが、ゲムドボーグの死体から発せられる粉に依って一般市民は更に狂暴化し、本来有り得ない懸賞金さえ欲しがるほどに制御が利かなく成って襲い掛かった。
「あのイカレ野郎は死んでも人様に迷惑を掛けるようだな」
「まさか粉塵を吸って狂暴化を?」
「お前と俺が患わないのは単純に独自の抗体を持ってるからだ。兎に角逃げるぞ」
「普通に倒せば--」
「馬鹿野郎。倒したらゲムドボーグが生き返るんだよ!」
「え、どうしてそれが--」
「ウヘヘヘ、捕まえまちたああ」
「俺ってこう見えて守備範囲広いんだよねえ。いやあん」
「どうゆう事だ、説明しろ成歩堂!」
 どうやら台詞をパクって意味不明な用法まで掛かる模様。恐るべし『ゲムドボーグ粒子』。
 ゲムドボーグ粒子……それはリヒテン・ド・ゲムドボーグが開発した粒子。免疫を持たない者は罹るとハスタって更にはルーピーみたいに意味不明と化す。挙句にはパクリストに成って他者の物を勝手にパクってしまう愚か者にも成る恐るべき粒子。勿論、病院にある完全防護マスクで防げると思ったら大間違い。毒ガスみたいに爪の先から感染したり、耳穴から感染する場合もある。依ってメルトダウンした原発を訪れるみたいにフルアーマー化して対処する事を進める。
 その説明を受けて一体と一人は一目散に逃走。だが、事情を知らないアルッパーが擦れ違いでやって来て図らずも粒子に感染した一般市民を虐殺してしまった。
「どうだ、これが俺の力だ」
「いけませんね、アルッパーさん」
 事情を知る背流須三は後出しじゃんけんのように説明し始める。それを聞いたアルッパーは勿論……「だったら早く言え!」と突っ込むしかない。
「いえいえ、お客様が光の速度を超えて進みましたので」実は速球投手のストレートよりも遅いのにさりげなく嘘を吐く背流。「説明するのが遅れました」
「てめえ、やっぱり食べてやる!」
 誰だああ、このあらいを作ったのはああ--だが、アルッパーの前にリヒカル・ド・ゲムドボーグが復活。
「てめえがあのゲムドボーグか、この一般市民街で食べてやる!」
「このリヒカル・ド・ゲムドボーグが粛清するのだよ、鯨あああ!」
「お前は何を言ってる?」
「親父にだってぶたれた事がないのに……勝ったぞおおお!」
「オイ、そこの二本足?」
「いやあ、噂通りの支離滅裂でしょう?」
「わしがお--」
 その先は喋らせないぞ、ホワイトホエエエエル--とアルッパーは開幕ホワイトホエールでゲムドボーグを消し炭にした!
「瞬殺ですね、お見事」
「だが」アルッパーはこのせいでまた一般市民達がゲムドボーグ粒子に感染して意味不明な事を喋り出したぞ」
 アルッパーの言う通り、ゲムドボーグ粒子感染者の数は既に二百五十五人と三百六十五羽と六十五頭と千三百五十一匹にまで膨らんだ。
 そこまで求めてない--全くクレームの多い鯨外生物であろうか。

 斯くしてゲムドボーグ粒子感染者から逃れたアルッパーと背流須三は突然声を掛けられる。
「ウフフフ、流石は『神殺しの九十九』の一体……宇宙のアルッパー」
 その声はアルッパーの背後で聞こえる。振り向く一体と一人。
「おやおや、顧客情報に依ると……ノイズン・リオートメインさんですね?」
「あら、貴方にしてやられてから百五十六年目だからてっきり子孫の方かと思いましたわ」
「忘れましたか? 私にはタイムマシンがある事を」
「知ってるのか、この二本足の事を!」
「そりゃあ大事なお客様の一人ですので」
「ウフフフ、嬉しいわね。それじゃあこの『全生命体の敵一覧』を受け取ってくれるよね?」
「成程」背流の表情は不気味な笑みを浮かべる。「私に対してセールストークで勝負するのですか、宜しい」
「あら、やだ。そんなの貴方を殺せば--」
「それだけは御勘弁を。代々の背流は虚弱体質な物でして……繰り返しますが、勘弁願いたく御座います」
「そう、それは仕方ないわね。じゃあ受け取るわね?」
「ええ、それで代価は?」
黒い方出演券をくれない?」
 いいですよ--こうして契約成立。
「まさかこのセールスマンは黒い方に出演しようとしてたな」
「これで私も晴れて黒い方への出演が出来るわ」そして姿を消してゆくノイズン。「じゃあね、黒い方でまた会いましょう」
 誰が願うか--アルッパーらしい返答だった。
「それじゃあみましょうか、この一覧表を」
 背流は中身を確認してゆくのだった。
『[全生命体の敵危険度ランキング]

 第A位 ワイズマン 100000マゼーラモア
 第B位 ギルディーバ 2000X乗マゼーラモア
 第C位 オメガソロモン 500 * 200X乗マゼーラモア
 第D位 破壊の宴ことDマ 1200立法センチマゼーラモア
 第E位 ハートキャッチムキキュアことQクインシー 26000平方Xを六十進法にしたマゼーラモア
 第F位 シグマタイソンアリ 平均573.589にπ乗を加えたマゼーラモア
 第G位 続く泪 48000節子 * 14000平方トトロマゼーラモア
 第H位--』
 わかるかあああああ--アルッパーのツッコミは冴える。
「成程、これだけの強さで納得の順位ですね」
「いや、数学齧った奴でも数値に直すのは無理だぞ。何なんだよ、途中から乗せたり、二次関数或は三次関数に成ったり、挙句にはジブリアニメ齧ってる奴でも算出するのが難しい単位が出てきたりして」
「まあまあ良いじゃありませんか。お茶目に計算できるもんですので。これは中々参考に成るんじゃないでしょうか?」
 絶対ならないし、何の事かさっぱりわからねえぞ--とアルッパーは当たり前のように語るのであった。
 そんなアルッパーと背流の前に突如として一般ボクサーと思われる黒人が現れた。
「その図鑑……シャワルンごと貴様らをこの世界から葬ってやる」
「てめえは誰だ! 一般市民じゃねえなあ」
「え、一般ボクサーじゃないんですか?」
 問答無用--そのボクサーの右腕は何とマルコム・ゲドーのズルと同じように伸びてゆく!
「そんな遅い拳なんて食ってやる--」
「いいや、食わせて見せるさシグマの一撃」何イイイ、と驚かざる負えないΣ軌道で百メートルのアルッパーを持ち上げた。「これぞ『シグマタイソンアリ』が誇るΣストレートである!」
 シグマタイソンアリ……それはマイク・タイソンとモハメド・アリに憧れる八百長大好きな無名のボクサーが亀田……もとい八百長でチャンピオンを決める昨今のボクシング業界に絶望してゾロアスターの秘儀とラヴクラフトの裏クトゥルフに染まる事で己自身をネクロノミコンと化して暗黒面に落ちた暗黒ボクサー。その右ストレートの威力は力石に匹敵し、マルチネスの精密性と鷹村の野生力と一歩のどランカー気味ながら爆発力溢れる物からジョーの粘り強さ、そしてマホメド・アライジュニアの噛ませ犬っぷりを全て合わせて尚且つ進化した全生命体の敵の中で上位に位置する噛ませ犬ボクサー。故に勝てる噛ませ犬は中々居ない模様。
「オイ、俺の評価が散々だぞ!」
「五月蠅い、てめえはこの俺様の放射能熱線で焼かれろおおおお!」
 アルッパーの放つファイナルウォーズ仕込みの大気圏離脱が可能な放射能熱線だったが、何とシグマタイソンアリはタイの闘神の如くアルッパーをボクシング以外封じる事に成功--アルッパーは放射能熱線が放ちたいのにエラでタッチボクシングする羽目に陥った!
「どうだ、ボクシング以外をやらされる感想は!」
「貴様ああ! ここは赤い方だぞおおお!」
 アルッパーとシグマタイソンアリの戦いは一ヶ月続く事に……

 一方のデュアンとミサキはとんでもない相手と鉢合わせする。その相手とは『Qクインシー』。
「正義のムキキュア! デュアン・マイッダー……貴様の魔法はあらゆる世界の楔を撃ち砕く禁忌成る代物! 正義を守る為にここで死ね!」
「ウガ……この俺様が何も出来ずに、やられたか」ミサキは手も足も出せずに『Qクインシー』のフレディボディプレスを受けて敗れ去った。「まだ死んでねえええ!」
「あのミサキが一撃で敗れるなんて……噂通りの行き過ぎた正義の体現者!」
 Qクインシー……それはプリキュアに憧れる家がボディビル一家の長男として産まれたが為に家督を受け継ぐ事に成った悲劇の美少女戦士。え、男なのに美少女戦士って? それはツッコんではいけない。問題なのはこの存在。ようやく両親が亡くなり、落ち着いた所で既にプリキュアはアラモードに成っており、もはや何が何だかわからない事に絶望した長男は自らプリキュア目指して男なのに勝手にプリキュアを名乗った。それだけでなく、アンパンマン製造過程の真理と機関車トーマスのトムハット卿の裏の顔の研究、そしてクイーンのフレディ・マーキュリーの遺体を食べる事で遂に憧れのプリキュアに成ったつもりと成った。その行き過ぎたプリキュア愛に依って全生命体の敵と認定。今宵も又、行き過ぎた正義を振り翳して俺達の前に立ち塞がる。
「行き過ぎた……悪に逃げるなど命の尊厳を粗末にする野蛮だとわからんか!」
「お前がそう思うならそれで良い。でもな、Qクインシー、正義ってのは何処かで止めないと悪と大して変わらんもんだぜ」
「貴様……私を悪と断罪するか! その意味はデュアンよ……貴様はプリキュアを悪と断罪するに相応しい!」
「いや、話聞けよ! プリキュアの話題は白い方でやれ。俺が言いたいのは即ちお前の正義を否定すると言ってんだよ」
「何故プリキュアを正義だと認めない!」
 お前とプリキュアを一緒にしてたまるか--とデュアンは会話を止めて先制攻撃のギガフレアを放つ。
「ウグオオオオオ、この私がこんな所でええええええ!」
 これは断末魔ではない。第二形態の合図--そう肩パーツが変わり、そこに生首が浮き出る。
「これが正義のショルダーネック!」
「生首を出すんじゃねえ。慣れない奴が見たら吐くぞ!」
「どうかな」わざわざ右肩の首に指鳴らしに近い音を鳴らす。「一般市民街の皆さまは私の正義を支持する!」
 デュアンの周りには一般市民が大挙。彼らは一斉にQクインシーを応援。大衆を味方にするほど正義の味方は強く成れる。デュアンにとってどれだけ形態を重ねようともQクインシーを破るのは簡単。しかし、一般大衆が味方に付いた場合は別だと理解するデュアン。
(世の中は民主主義が一番だ。ポンコツロボットが視聴者代表ならそれがどれだけ協力かは俺がよおく知ってる。幾らスタンドプレーを得意とする俺達でも一般大衆を敵に回して生き残れる保証は一切ない)
 そうしてデュアンは美咲を肩車してテレポートを掛ける!
「逃がすか、悪の手先イイ!」

 テレポート先でデュアンはノイズンと出会う。
「お前が商店街で何をしている?」
「あら、グダグダなのは変わらないわね。それで良く生き残れたわね」
「知ってるの?」
「ああ、こいつと出会うと碌な目に遭わん」
「あら、私って随分嫌われてるわね。まあ良いわ」そうしてノイズンは本題に入った。「それよりも取引しない? このまま赤い方では君はQクインシーとの因縁を重ねることに成るわ」
「だからどうした?」
「そこで私から提案よ。Qクインシーとの因縁を作りたくなかったら……『エンドラス』、に挑戦しない?」
 『エンドラス』だと--デュアンにとってそれを操る術をどうしてノイズンが持ってるのかが気に成る所。
「あら、臆病風?」
「わかってないだろ! 『エンドラス』はを除けば全生命体の敵の中で頂点に位置する究極にして至高の敵だぞ! 俺にそれを選択しろと!」
 まあ選択するかは君次第だけど--ノイズンは紫の紙を流した。
「これは……禁呪の切符」
「最後の物語は君の選択次第だから」
 そうしてノイズンは陽炎のように消えた……残ったのはシャワルン・マゼーラモアの全生命体の敵の一覧表が記された魔法の紙だけ。
(あの女め。そこまで俺を引き摺りたいか。何の狙いかわからねえが、俺はそんな正義なんて興味ないと言ってるのに……まあどっちにしろ、この紙は拾っておかなくちゃ)
 デュアンの進む茨の道はやはり歩けば傷が増える痛みの道路だった……



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ツインバードストライクなどが良くてガルベルスがいけない訳は何?

 どうもやる気の無いdarkvernuです。
 始める前に『格付けの旅』が土曜日に更新されましたので読まれたい方はカテゴリ欄の<格付けの旅>又は<赤魔法の章>をクリック。
 今更なネタをどうぞ。

 どうもアンチジャーナリストの辛ラーメンです。自分は珍しくペンネームで出演しますね。元ネタは辛いだけで大して売れないあの国の国産ラーメン。実際には被災地では他の商品が売れたのにこいつだけは売れ残ってる画像が出回るほど酷い売り上げですぜ。
 とあの国のあの会社の商品の悪口はここまでにして早速ですが、ここで質問。
「彼のツインバードストライクはテレビ番組で取り上げる筈だった坂本弁護士一家があるカルト団体に批判するインタビュー映像を放送前に何とある団体の幹部連中に見せていたという報道機関としてあるまじき行為をした問題。これについて皆さんはどう思われますかな?」
 この答えは不問。厳重注意は為されても放送免許の取り消しは去れなかった。
 では次の質問はこれだ。
「彼のカンテレは古畑任三郎第一期の二話の犯人が司会のあるある番組で事実とは誤解の情報をさも健康的であるように放送した事を受けた問題。当然、ニセ科学の元と成る問題だ。これについてはどう思われますかな?」
 先程の質問と同じように厳重注意で済まされるのか? 答えは放送免許の一時取り消し……あれ?
 では次の質問。
「かのウジテレビは既に消滅した言いともを始めとした番組でさも日本人があの国のどう考えても売れる筈も魅力的でもない筈のスターに熱狂してるような報道が為された事。しかもランキングでさえあの国特産の辛い物で一杯であり、さもそれが好まれるかのように報道された件。酷い時には原作漫画のドラマでごついおっさんが原子爆弾ファットマンのシャツを着て出てきたりとまるでソフトバンク戦法を仕掛けて来た事だ。まあ、パッチギの主演男優であるTが少し不満を呟いただけで事務所を解雇された事でデモにまで発展した社会問題。さて、これはどう思うかな?」
 因みにこれの答えはお咎めなし。うーん、制作のカンテレは一時期放送免許停止処分受けたのにこれは?
 時間がないので最後の質問。
「とあるマツコで有名なマグネイト・テン或はモデルエックス、又は東京ガルベルスはニュース女の子で沖縄の基地反対デモに参加する人達は金を貰ってるとか外から来た人間とかありのままに報道した。なのに辛いスゴイおばさんらに訴えられた。これについてどう思う?」
 因みに答えはガルベルス内で色々責任取ってるらしい。本当の事を伝えただけなのにこれは一体?
 他にもあるんだが、時間がないので後は勝手に調べてくれ。以上、辛ラーメンこと土岐永智宏でした……
 
 済まんなあ、今更な時事ネタを紹介して。補足するならマグネイト・テンに食らいついたのは辛いスゴイクソババアだけじゃない。KY新聞も頭狂新聞もその他ぱよぱよちーんな一味が反応してましたね。黒軽部や保守活動のシュウヘイのデモなんかは小さく取り上げる癖にこうゆう所に関しては奴等は誇大表示で取り上げるんだから救いようがない。おまけに放送機関として故意兵に事実を取り上げろとか偉そうにほざく奴らも居たとか……いや、お前らは鏡見てそれ発言しろよ。ホントねえ、ふざけるな……と。あれを大きく報道するんだったらお前らの悪行をより大きく取り上げないと意味ないだろ? 何でそうゆうのは問題ないつもりで居る訳? 本当に日本の報道機関は一旦灰燼に帰してやらないと正常化しないんじゃないかって思うんだよな。そのせいで暫くはローカルニュースしか流れなく成っても自分はそれで良いと思うんだ。だって自分は日本を始めとした世界各国のグレートリセットは反対でもこうゆう時代遅れのマスゴミ機関の完全なグレートリセットは賛成してる訳だし。まあ鬱が極限まで進行したらいっそ地球のグレートリセット……さて世界中の核を使って出来るかな? まあアインシュタインもノイマンもオッペンハイマーもそれを想定していたかどうかは怪しいが。
 と意味不明な呟きをして時事ネタの解説を終える。
 
 第五十四話の解説でも行くか。自分は少しずつ勘を取り戻してゆくつもりだ。まあ当初よりも大きくそれても覚えて居る箇所だけは何とか変えないつもりさ。何とか……な。序に主人公の斬弥と七弓の寝所の場面を入れたのは一重に保険。いざという時、自分は主人公すら殺しに掛かるからさ。そしたら連続性とやらが危うくなるしな。後は次回に合わせて色々と準備をしてる描写を入れたかったが、それを思い付いたのは今日この頃。駄目だな、自分は。さて、鯨体型とは本編でも記される通り新天神武のある学者が考案した尺度。要はヘクタールを表す物だと覚えておけばいい。但し、ヘクタールと違って狭い土地しかはっきり示す事が出来ないので後で新たな尺度に交代する模様。そう、ミリバールからヘクトパスカルに尺度が変わるように。さあ、この後斬弥と七弓はどう成るか? それは五十五話でお楽しみ。
 という訳で何時も通りなんかすっきりしない位で第五十四話の解説を終えまーす。
 
 さあ、恒例の次回予告と行きますぞ。

 
 
 予定日二月六日~十一日      第五十五話 再誕の火 火は日を呼び寄せる  作成日間
      十三日~十八日     第五十六話 再誕の火 再誕の灯火      作成日間
      二十日~二十五日    第五十七話 狐と狸の化かし合い       作成日間
      二十七日~三月四日   第五十八話 鹿を指して馬と為す       作成日間

 中篇物が終わったら軽い短編物で行く予定。だって人族ばっかり焦点を当てていたら書けるもんも書けないからね。まあ人間中心の話が最もやりやすいけど、それじゃあ下ネタが多くなるから嫌なんだよな。
 さて、今回はここまで。いやあケツアゴの末路見てすっきりする自分は悪の心で染まってるかな? どっちみちケツアゴは馬鹿様だけを頼りにした戦略を立てる時点で既に敗北は決まったようなもん。やるんだったら自分の所を思う存分有利にした状態でやらんといかんのに……それで命乞いとは情けない。
プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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