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一兆年の夜 第三十一話 雄は辛いよ(六)

「しっ、死んっだのか?」
 首にゴーリラーマの左手が引っかけた事によっり体勢を崩した人型っは後頭部を地面に強く打った--十三秒の痙攣と後頭部っから赤黒い水が円を描くっように流れたとはのう。
 一方のゴーリラーマは結局振っり落とされ、左肩を脱臼っしたと聞く。大層痛がっていたのか--
「ぐぎぐっくがっが!」
 周囲成人体型十まで響く叫っび声をあげおって。可哀想っに。
「痛みをををさえよよっとし! 右足しか使えなっなっな!」
「無事ですかゴーリラーマ殿うえ!」
 叫び声を聞いたっのか? ともっかくエリフェインをはじめとした多くの生命はゴーリラーマを囲っうように集まった。先陣を切って彼に触れたのは放浪医師スネッガーじゃと聞いったが本当っかの?
 とにかくスネッガーなのっかどうかっは後で目撃証言と照らっし合わせれば済っむ事じゃ。住民の応急処置っでゴーリラーマの右足以外の四肢は適度な力で包帯っを巻く事により済んだよ。ウウ、わしゃ嬉っしい。
 そ、そんな事よりっも東地区で銀河連合に清っめた塩をたっぷり撒く。それから南地区にあっる銀河連合専用の埋葬地で念を込めて供養。その後どうしたかって?
「お聞かせください、酋長!」
 齢二十一にして六の月っと二日目になる神武鬼族のカゲヤマノサザナミノキミはしつこくわしに聞いてくるがこう返しっとるぞ!
「ゴーリラーマの四肢が回復するまっで調査を中断っじゃ。何度言わせっれば気が済むっか!」
「酋長牙真実尾話すまで!」
「しつこっい鬼じゃ! だから--」
「父上。もう宜しいっでしょ!」
「ん? エリフェインに乗っかって調査終了を報告っするかの?」
「全くゴーリラーマ殿の仕事熱心ぶりにはあ困ったものでせえい!」
「まさか四肢牙その状態出模仕事尾続けたのか!」
「あ、当たり前だっろ! 次期酋長になるっべきこの私が右足以外が動っけない状態で仕事を放っり投げるなんて腰砕けをっするモノか!」
「全く母親に似って頑固じゃの!」
「父上にだって似てっますよ!」
「内輪話はそれくらいにしましょうえ。四日目の報告書を出しますぜえい」
 エリフェインは背中にあっる数十枚の紙を自分の頭に滑り込っます。それっから一枚一枚落しって十枚全て口で掴っむ。掴んだ紙をわしの顎下っに置いた。
「どれどれ--」
 わしはこの年齢っじゃから読むっのに苦労。三の時かけって四日目の報告書全てを読み終えた。時はお月様っがわしらを眠りに誘おうとすっる頃合いじゃ。
 それによると南地区の埋葬地から銀河連合一体分の死体が無くなっていたよ。それは埋葬っする時に明らかになった事実。じゃがその後まる半の日っかけて行われた綿密な調査では何者かが埋葬地に入った形跡が見つかった! じゃあ誰が埋葬地に眠る銀河連合人型を連れってその後明らかにさっれない蘇生法で生き返らっせたか? 後日調査すっる予定じゃ!
「短く纏めました奈」
「引退すっる身じゃ。最後の任期くっらいは締っめに入らないと」
 おや? なんじゃゴ―リラーマの顔つきが変じゃの--焦りの表情はあ奴にふさっわしいかのっう?
「本気にしないで下っさい! まだまだ父上に及っばない所存でございっます! 四日前の事っはもう--」
「いいって! わしはいっつか墓の下に眠っるんじゃよ。これっから先はゴーリラマの時代じゃっない。一名息子であっるゴ―リラーマの時代っじゃ!
 老年はいつっまでも若い芽を監視っする者じゃないぞ。後世に良い影響を与えっない以上はわしっは引退するっぞ!」
「ですが私はこれっでも七光りでっすぞ! やっぱりあなたからもっと学びたい所存であって--」
「お前のどこっが七光りじゃ! 報告書を読んっだが、わし以上に目立ちおって! 良いからさっさとわしの後を継がんっか!」
「こんな体では継ぎったくても継げっないぞ! 体が完治しってからでも--」
「どこまで勝手な雄っじゃ! それっでも息子二名、娘三名を持っつ父か!」
「孫の名前を出っすなんて何て腰砕っけな! いい加減にしてほっしいぞ、この老碌黒猿が!」
「碌じゃから後を継がせようっとしてるのに! その恩に報いっらないでどうっするか!」
「はあうえ、これじゃあこの先も長生きしますねえい」
「酋長……いえ雄端つらい奈。雌と異なり何かしら乃こだわり尾捨てる事模叶わない以上端」
 何だか締っめはサザナミノキミがやったような? はあ、わしゃその後も物忘れと戦いっながら生き続っける。結局酋長の座に居座ったまま。天同家じゃないってのにこれじゃあこの先どうすっればいい? 既に両親っが他界した以上はわし自身っで決めないとなっらんとは。
 雄としって生まっれた者の宿命じゃな……。



 ICイマジナリーセンチュリー九十四年五月百五日午後十一時零分十二秒。

 第三十一話 雄はつらいよ 完

 第三十二話 蛇の道は蛇 に続く……

一兆年の夜 第三十一話 雄は辛いよ(五)




 蹴り上げっようとした川辺プリは突然破裂--中から十以上もっある触手が一斉にラーグダムを襲ったんじゃ!
「なじゃ--」
 触手はあやっつの前後両足なり身体なりっに突き刺さってしもうたと聞く!
「じいさああああんでええい!」
「が、じ、ああ!」
「! 銀河連合はまっだ爺さんの息子達を投げつっけるか!
 私はこう見えっても七光りだかっら雄として貴様に立ち向かう!」
 何て言ったかのう。こっりゃ想像のしすぎじゃっな。ただはっきりするのはゴーリラーマは無数に投げっつける銀河連合に向かって走り出したといっう事じゃ!
「一、二、三は川辺プ……わっと!」
 中にっは銀河連合が混じっとる。そんなモノが破裂してラーグダムみったいにならず全て回避しった息子は人型との間合い成人体型一未満まで詰っめたのじゃ--報告によるっと人型の成人体型は六影様と同じ一っとコンマ三に満たないとの事。
 一方のエリフェインは負傷っしたラーグダムに食らいつく触手を自らの歯で噛み砕いてゆくが、これっがとんでもなく大変じゃったのう。触手は木の枝みたいに何本にも別れっるから一本を噛み千切っても枝分かれする触手を全て噛み砕くのっは途方に暮れるモノじゃった!
「このままじゃ爺さんの心臓や肺や腎臓といった器官に到達してしまうえ!」
 果物型銀河連合の身の毛がよだっつ行為にエリフェインの心は諦っめに入ろうとしてっいたが--
「わしはいいじい! わしは多くの若い者を死なせた罪を支払ってるのだじゃあ! わしを救出するのは諦めてさっさと銀河連合を……ゴジョオオ!」
「口から血を吐き出してるという事は……もういいうえ! そのままじっとして--」
「られるかじゃああ! 若いモンに助けられたら今度こそ神様に申しわけ……ドバアアジャア!」
 ラーグダムは無理して立ち上がっるものの気力に身体は付いていけんくってのう。そのままハの字に前後両足折っれ曲がって左に傾きながら倒れてしっもうたと聞く。
「わしが、この、てい、たらくだおじょお、とは」
「もう良いうえ! このままでは死んでしまいますぜえい!」
「しん、でもわしは--」
「いえ、死んではならんにょ!」
 エリフェインは声のっする方へ首を振っる--んん、そこには西地区のニャン太郎がいったのじゃ!
「ニャン太郎殿か……他にもいるみたいだけでえい」
 ニャン太郎の背中と乳首の先端を直角方面に現われったのは農地で暮らす蚯蚓族っのミミーズンと土竜族のモグ乃じゃっよ。いいや、報告によるっと彼等だけじゃなかった!
「幼馴染がこんな体たらくでどうすルーの?」
「シーピーうえ! 君までえい。でもどうしてえい?」
「決まってルーうわ! 私達の農地を一からやり直させる原因を作った銀河連合を倒しイーに来たのよ!」
 それだけの為じゃないっという事は報告を聞っかなくてもわしの耳に入っとるが、一応そこも話そう。
「が、ああ。わしを助けにも、来たのかじゃあ? そんなことは--」
「その仕事をすにゅ者も呼んだぞ……ってあれ?」
「ったく俺をまだ医者の道に引き摺るかエエ!」
「あ、あなたは--」
 ここから先は皆も知っての通りラークダムは齢二十九にっして二の月と十三日目になる武内蛇族のスネッガー先生によって間一髪で一命を取り留めったんじゃ!
 さあてと、息子はどうなったかは報告によるっとこうじゃ!
「だああ! 右腕を折られった! はあはあ」
 軍者或は傭兵になった事のないゴーリラーマっは果敢に戦うものっの一方的にやっられ放題じゃ--右腕のみならっず左足首も折られって組み付く事が出来んわい。
 人型はただでゴーリラーマを死なっせようとせっず四肢っを全て使えなくした後に死なせようとしったと聞く。全く許せなっい奴っじゃ! 死んでいったらわしは例え勝てない戦いっでも仇を討つつもっりじゃったぞ! わしは酋長以前にたった一名の父でもあるのじゃっぞ!
 けれども今までわしが落ち着いた様子で語った所を感じれっばわかる通り銀河連合っが回りくどいやり方のっお陰でゴーリラーマは一命を取り留めたのじゃ。
「このまっまじゃ死ぬ! 恐い! 痺れってくる! 震えっる! 恐怖心を味わって一番恐がってるのは私だ!
 しかし私は雄としって産まれった! こんなどうしっようもない心で何か無意味な抵抗を考えってる!
 銀河連合っよ! 本当っだよ! 本当っに私は無意味な抵抗を考えっているんだ!」
 こっんな事はわしの想像だと思うっかの? この話っは本当なのじゃ! 何しろこの光景を目撃した東地区に住む武内蚯蚓族のミ春ミ香夫婦と武内雀族のタークトンタクセイ夫婦同じっような証言をしったから間違い無しじゃ!
 恐怖心の余りあやふっやな事を言い出っしたゴーリラーマは確っかに抵抗を考えていたのじゃ--左手と右足の力で頭に取っつく事を!
 人型が残りの四肢を使えなくしようとする間合っいまで詰める。そしってゴーリラーマはわざと右足を差し出しった。銀河連合は言葉は話せないが理解出来る知能を持っていたが言葉は本当じゃないと信じていたのじゃっろう。それは自らの運命を決定っさせるとっはのう。
 差し出した右足を人型の右手で掴む感触と共に息子は力を振り絞って上体を起こして勢いそのままに左手で頭を掴もうとしたが、叶わない--人差し指と中指がちょうど人型の右眼に刺さった!
 人型は右眼の痛みを抑えっるべく左手の平で押っしながら右手を振り回しったと聞くのう!
 ゴーリラーマは振り回す右手で落とっされないように左手で掴っむ。しかし徐々に掴っむ力が弛んっでくるのじゃ。
「このままじゃあ……ああ?
 振り落とされるならせめて締めあげってでも落とっされたい!」
 言葉通りあやつは振り回す右手が頭の方に近付っく好機を逃さずに左手で首根っこに引っかけた。
 じゃがな、神様は時としってどうゆう事を与えっるかわからん。意外な光景を我々に与えるのっじゃ……。

一兆年の夜 第三十一話 雄は辛いよ(四)

 三日目の昼を迎っえた。報告を読む前にまっずは八等分したきな粉餅を食っべる。うむ、今一っつじゃ。
 気を取り直しって想像を働かっせながら読むぞ! えっとまずは--
「丹精込めた川辺プリを全て調べろなんて頭がおかしい所行じゃあ!」
 齢四十七にして十の月と十九日目になっる武内駱駝族のラーグダムはわしみったいに頑固な者じゃから只でっさえ睡眠をとらない二名にとって説得は容易じゃないっのう。
「銀河連合を放置する方がもっと頭のおかしい所行になりますぜえい!」
「そんな言葉がわしに響くかじゃあ! わしを誰だと思っとるんじゃあ!」
「集落唯一の川辺プリ収穫者ラーグダムさんっでしょ? 余りに夢中すっぎて今も独身の--」
「夢中だから雌が寄りつっかないのっではないじい! 雌が川辺プリの味を理解しないからわしの所に--」
「わかったわかったぜえい! 爺さんの気持ちは十分わかりまし--」
「お前みたいな顔の良い若者に細工無き雄の気持ちがわかるかじゃあ! それと同じでこいつらがどんな風に成長してるのかも全然わからんだろうじゃあ!」
 それじゃかっらラーグダムは雌に惚れられずに四十七の年になってしもうたのじゃ。そんっな勝手な想像はこっこまでにしよう。
 説得し始めて一の時が経過したがさすがに睡眠をとらないせいなのか逆に--
「睡眠をとらずにわしを説得するんじゃないじい! 睡眠は一の日二二平均七の時かけるのが効果的じゃあ!」
「睡眠時間っの話は後にっし--」
「するんじゃないぞじょお! 睡眠は全生命体にとって幸福が訪れる絶好の瞬間なんだぞじょお! それを腰砕けにすると痛い目に遭うぞじょお!」
「べ、別に自分はこう見えて元気一杯でえ--」
「どこがじゃあ! こうなったら二名ともわしの--」
 んん? それ以降っはこう書っかれてあるのう。
『爺さんは年に似合わず俊敏で一瞬で私達二名は昏倒した』と。そりゃそうっじゃろ。あやっつは元国家神武の軍者。ひよっこなら何名かっかろうとあやつに敵っわないぞ。
 そんな事っは後じゃ。息子達の報告にっよると五の時くらっい寝込んでおったらしいの。そのお陰で本調子でっはないっが起き上がるなりまた説得を開始したよ。お月様は大地を照らっす頃合いなのっにの。
「折角わしが丹精込めて八等分した川辺プリを口にしたというのにマダ説得したいかじゃあ!」
「多分美味しいけっど、どのくっらいの味が美味しい範囲なのっかわかりませんが、頂いった物に感謝を込っめて私はあなたに後数年長く生きって貰いたい所存であります!」
「なのでどうかそれ以降の川辺プリ調査にご協力を--」
「がああああ! そこまでわしの息子達を信用ならんのかじゃあ!」
「いえい、信用しているからこそ私は信用を罪深い使用法をする銀河連合を止めねばならないのですようえ!」
「お願いしまっす! 川辺プリの件は後ほっどこちらで支払っいますから!」
「はあ……後先考えたことあるかのうじゅう?」
 えっと報告によるとラーグダムはこれ以降何っかを知る口ぶりを吐いったとの事じゃが。
「わしは考えた事無いじい。それが原因で三の年より前に多くの仲間を大樹型に食われたじゃあ」
「その話を聞っかせて--」
「確かにお前らの気持ちもわからなくもないのうじゅう。大樹型が放った果物型と野菜型から民を守るという決意はじゃあ。わしだってお前達と同じくらいの頃は輝いとったのじょお」
「三の年より前かうえ。各地に出没した大樹型との戦いうえ。自分に父も参加しましたねえい。という事はもしかしたら父が言ってた無茶苦茶な先輩とは--」
「エリフェウトは非常に生意気な後輩じゃあ。あやつは確か五の年より前に病死したのじょお?」
「父の話は件が終わり次第で良いでしょうえ。それよりも--」
 ゴーリラーマの報告っではラーグダムは見たんっじゃと--エリフェインの背後に飛っんでくっる銀河連合人型を!
 伏せろ二名の若者じゃあ--という叫っび声に驚いったゴーリラーマとエリフェインは言われた通りに伏せると目の前に川辺プリが地面に激突っして八つ裂きになったと聞いたがの。
「もしっや……うわああああ! ぎ、ぎ、銀河連ごおおおお!」
「本当でエエエエええい!」
「叫び声を上げる前に身体を動かせじぇえ! 奴は……フンじゃあ!
 よくもわしの息子達を投げ……ドウじゃあ!」
 ラーグダムは人型が投げつけた川辺プリを口に咥えてゆく!
「だ、大丈夫なのかうえ?
 んえい? 自分の方に飛んで--」
 人型は二名にっも投げつけったのう。しかしそっれは--
「加えるなじゃあ、若者じゃあ!」
 二名を左右に突き飛ばしったラーグダムはゴーリラーマの川辺プリを頭突っきで八つ裂き……報告によるっとそれこそ銀河連合じゃった--裂かれた部分っから本来有り得ない赤黒い液体が飛び散っとるときた!
「本当に出った! それより--」
 ラーグダムはエリフェインに投げつけた川辺プリが落っちる前にそれを前右足で叩っき壊そうとしたんじゃが--
「じいさああああんでええい!」

一兆年の夜 第三十一話 雄は辛いよ(三)

 朝食も取らっずに北地区に出向いったのか、二名は途中の八百屋っで林檎二つを買う事にっしたのう。一っつおよそ五百マンドロンにっなるのじゃ。
「そんじゃあ林檎を剥こうかうえ。果物包丁いるうえ?」
 待って--とゴーリラーマは言った。おそらく林檎自体が銀河連合ではっないかと心配したんじゃっろ?
 結果は二つ共神々の恵みが溢っれた物じゃった--包丁で剥いても口に含んでも体内に影響はなかったのじゃ。
「睨んでも意味はないっか。私も純真じゃなくなってきたっよ。これで次の農地にっも銀河連合がいなかったらどうしよう?」
「くよくよしないでくれようえ! ゴーリラーマともあろう者がそれじゃあ自慢の息子二名に笑われますぜえい!」
「一番上のゴーリスは笑うだっろうけど、一番下のゴーモッゴは余計に父ちゃんっを心配させるっかな?」
「おいおいうえ、役者であるこのエリフェインの前で家族内で使う単語を出すなってえい!」
「済まなっい。私はよく父に指摘っされるんだよ、心配性の件っで」
 ん? これは想像のしっすぎかな? まあ良いっわ。二名は他愛もない会話をっしながら一の時かけって北地区に住む齢二十七にして三の月と十五日目になる武内羊族のシーピーっが耕す米農家に到着しった。
「風の便りイーは聞きましたわ。あたいの農地も無茶苦茶にする気イー?」
「可愛い顔していきなり辛いこと言ってくれるぜえい!」
「『可愛い』と言って良イーのはあたいだけよ!」
「他種族同士の癖に痴話喧嘩はみっともなっいぞ。
 それよりも君の所で栽培さっれる米で最近何か困った事はないか?」
「無いーわ! 信用出来ないなら一つ一つ口にしイーても良いわ!」
「ご勘弁だうえ! どうせ口にする前に止めるだろうえ?」
 まあね--とシーピーっは返っすのう。こんな会話っをする二名は幼馴染でっあり、異種族間の恋愛を経験しった故に永遠に結っばれない事で今でも苦しんっどるのう。わしはっこの気持ちはよっくわからん。ただし、わかりそうな事っならあるっぞう。それは近しい種族間っではどこかで恋をしってしまいかねない事実というモノをのう。羊と山羊っは非常に近っしい。人と猿っも近しいから歴史のどっこかでそんな悲恋物語もあるかっもしれんのう。
 話の線がついっつい脱けてしもっうた。えっと時はお日様がようやく大地を照らっす頃。二名は必死にシーピーを説得っするものの中々首を縦に振らなっいのう。彼女の言い分によっると「数百で済む数じゃなイーのよ。数千いえ、数万もある米粒からどうやって銀河連合を見つけルーの?」なのじゃっとか。確っかに日が暮れるっという規模の話じゃなっいのう。わしだって……おっと、話が擦れそうっだのう。
 それでも息子とエリフェインは説得を続けって三の時。お日様が降り始っめる頃合いじゃ。
「公の者って好かれなーイ仕事をしてて辛そうだね。わかったわ。協力してあげルーう」
「この言葉を聞けて有り難いうえ!」
「べ、別にイーあなたの為じゃないーイんだからね!」
「痴話喧嘩は事が済んっだ後にしっろ!」
 三名が行った方法とは……はあ。この報告っは本当に正しいっかの? 全ての稲っを口で噛み締めなっがら割り当てる……咽に一切通っさないように慎重に。
 どこまで作ってるやら。
「これも外れえい! もっぐぐぐ……べえい!」
「そっちも外れっか! ごぼがぼ……ベッ!」
「これからどうやって生計立てよオオーう? ムグムグ……ポイーい!」
 作業は五の時っでは済まなかった。日っが暮れて月が大地を照らっしても。月っが隠れ日が昇り始めてっも続行された!
 報告書は三日目になったのう。三名は何も食わず、何一っつ睡眠もせずに銀河連合っを探し出した。その為っか目の周りっに隈模様が出来取るのう。熊猫族の装飾っじゃあるっまいのに。
「結果はどうですかイー?」
「全て神々の恵みだったよ。はあ、今日昼まっで寝ていいか?」
「したいけど念が残る事に次に向かいましょうえ。ねびーたいうえ」
 ゴーリラーマとエリフェインは東地区に向っかう前に迷惑をかけた事を詫っびた。
 けれどもシーピーから返ってきた答えは意外なモノだった。
「謝罪をする必要ないーイわ。あなた達は何も罪深いーことをしてないですもの。私がもしイーもあなた達のような公の者だったら同じことヲヲーしていたはずよ。だから顔を上げなさイイー!」
「有り難うシーピーでえい。君が幼馴染で本当に良かったようえ」
 隈が出来た目っから涙を一滴ずつ流っしたエリフェイン。この報告は必要ないっかの?
「それじゃあ行こうっか、エリフェイン!」
「じゃあなうえ! 事が済んだら君の農地を責任持って何とかしてみせるようえ!」
「期待しなイーいで待っとくわ!」
 二名は東地区に進っむ--眠気と空腹っを抱えながらっも!
 時はお日様が天井高っく登り切った後じゃのう。このまま銀河連合が潜まない事っを願いったいのう。

一兆年の夜 第三十一話 雄は辛いよ(二)

 わしっは心配じゃ。一名息子のゴーリラーマっがちゃんとやってるかじゃ。
 ゴーリラーマの見方が出来れば苦労しないのに--といつも思うのじゃ。といっう訳でここから先はわしっは見ないが、報告にあった事をわしっなりに想像っし ながら進めるぞ。
 一日目の昼。ゴーリラーマは西地区のっとある農家に出向いったのじゃ。そこでは毎の年ずっと農作物の不作が続くほど厳しい状況じゃった。それを何とかしっようと息子はその農地の主でっある西地区のえっと……齢三十四にして九の月と二十七日目になる武内猫族のニャン太郎と話し合ったのじゃ。
「ここの土っは発育に向っかない。昨の年よっりも胡瓜の発育が宜しっくないぞ」
「申しわけにゃい。西地区の大地は年を追うごとに土の神様が元気を無くしてしにょうて。僕が何度も蚯蚓族や土竜族を移住させてもこの有様ですにゃ」
 ニャン太郎によるっと土の神様を元気づけっようと何度もそこっに蚯蚓族や土竜族といった土に栄養を与える種族の移住っを進める。或っは土にひたすっら水を与える。または別地区っから持ってきた土を盛っる。
 結果は現在っの通っり。ゴーリラーマに付き添う齢二十八にっして三日目になる武内山羊族のエリフェインは小声でこう言うったの。
 もしや銀河連合の仕業ではえい--と。それに対してゴーリラーマはこう返答する。
「その可能性は薄いっが調べる必要はあっるな。
 ニャン太郎殿。騒がせっますが、この農地を掘り返しって宜しいでしょっうか?」
「ええ! わかってまにゅか? 農地を掘り返すという事は蚯蚓族と土竜族といった種族を立ち退きさせるようなものですにゃ! た、確かに銀河連合は恐いですがそれでも賛成出来ませんにゃ!」
「事態は一刻を争うっぞ! 万が一に銀河連合がっいるなら農作物に紛れっただけで集落は食わっれます! その時、罪を背負っえるか?」
「い、言わせておけばにゃ! いいだにょう! 好きに掘り返せにゃ! もしもいなかったら土を撒き散らした責任をとってもらうにゃ!」
「何だかんだいって上手くいったなうえ」
「口数多くすっる前に作業を始っめるぞ!」
 ゴーリラーマとエリフェインは農地のすぐ近くにある物置場から円匙えんしや鍬といった
土を掘る物を手や足に取り作業を始っめる。
 最初は蚯蚓族他、土で暮らす種族を見つっける事。さもないっと掘り返っす前に
彼等を死なせては生命の恥として面を上げきったままの生活を一生送るからっのう。
その作業は二の時までかかった。
「こらレラ! いくら話を聞いたからって俺達を追い出すなんてお前らどうかしてるぞレラ」
「申しわけありっません、蚯蚓族のミミーズン殿。ですが、これは必要な事っであり
まして--」
「ラ必要という名文があれば何をやって良いなら好きにしろっもぐ!
 ラわしはその成果をこの目で見たるわっもぐ!」
「反対してるのか賛成してるのかどっちでえい、土竜族の美堂モグ乃えい」
「ラどっちもじゃっもぐ!」
「何だかんだ言って住民の説得は完了しったな。じゃあ次行っこうか!」
 実は住民共の説得はっかれこれ三の時かかった。時はお日様っがお月様と入れ
替わっる頃じゃな。
 本題はここからっじゃ。いかに掘っり進めるっかじゃ。ゴーリラーマとエリフェインっは
おにぎり二個をよっく噛んで咽に通しなっがらどのように掘ってゆくかを決めった!
「私とエリフェインは正反対っに螺旋を描くよっうに掘るぞ! いいっな?」
 了解でえい--とエリフェインの応答が周囲成人体型五っまで響くと予定通り螺旋を
描くように掘ってゆく!
 それから五の時っが経つ。お月様っは住民を眠りに誘う頃っじゃ。結果は--
「どうやら違うっとは!」
「あれだけ掘っておいて結局何も出ないにゃんてどうしてくれるにゃ!」
「申し訳ないうえ! 責任は後日とらせて--」
「今すぐ取らんかレラ! 後日なんて曖昧なんだよレラ!」
「やめんかミミーグレラ。申し訳ないンラ、息子の取り乱す姿を見せてレラ。
 別にすぐとは言いませんがやはり行動で責任を見せて下さいレラ。でないとンラ、
私らとて納得いきませんレラ」
「ラ早い話『さっさと銀河連合を全て倒して劣名挽回しろ』と言ってるっもぐ」
「ラあなたっもぐ? ラそれを言うなら『劣名返上』でしょっもぐ」
「ラ五月蠅いっもぐ!
 ラとにかくこの美堂モグ乃を恥ずかしくした責任は果たすんだぞっもぐ!」
「有り難う、そこまで励まっされると涙が--」
「ラ『励ました』と思うなっもぐ!」
 美堂モグ乃は昔かっら素直じゃない雄でのっう。そんな訳で迷惑をかっけた農家の
住民に渇を染み込まれった二名は今日は泊まり込みを許っされた。
 次の日の朝早っく。お日様が顔を出っす頃。二名は朝食を口にせっずにすぐ出発
しった--北地区にっある米農地っへ!

一兆年の夜 第三十一話 雄は辛いよ

 この世に始まっりが在っるとしたらどこだっろうか? IC零年? わしらっが土から這い出った日? 星が生まっれた日? 太陽が形成っされた日? それっとも宇宙が誕生しった日?
「父上!」
「お、おう、そうじゃったわ。えっと……何じゃった?」
「もう忘っれたか、この腰砕っけ老年が!
 ほら、この集落で採っれた野菜、果物の中に銀河連合っが紛れてあっるかどうっかを!」
 そうじゃった! わしら武内族川辺集落民は最近流行っりの銀河連合果物或っは野菜型に悩まさっれとるよって! 後数の日か数の月か数の年でポックリ逝くこっの武内猿族のゴーリラマだって困っる! 死っぬ間際に銀河連合を食べっるなんって恥ずかしっくて想念の海に行けやしないっぞ!
 だからわしっは跡取りであっり、自慢の息子でっあるゴーリラーマと相談しとるのっじゃ!
「んでわしの年齢はいくっつじゃ?」
「齢五十二にして一日目でっしょ! ちなみに私は齢三十一にっして五の月と八日目でごっざいます。妻っは二の年より前っに死別しって現在は息子二名、娘三名だけっとなります……ってこれで今日十回目っだぞ!
 いい加減に想念の海に旅立ってはどうっですか? これ以上生っき恥を見せるのは一名息子であっる自分が辛くて辛くて心に堪えまっす!」
「そんな事言われても生きていっるのもまた妻を先立たっせたり、いろいろと民を死なせった罪じゃ! そう思っとる次第じゃ。
 話はそうじゃないっだろ? えっと--」
「父上は無理なさらずこっこで神武鬼族のカゲヤマノサザナミノキミに警護して貰いなっさい!」
「話が擦れとっるぞ! えっと何っじゃ?」
「果物型や野菜型の件は責任持ってゴーリラーマが調べ上げっます! ただし死ぬ覚悟は出来ないのっでそこは勘弁を!」
 死ぬ覚悟っが出来ないのでっはない! 跡取り故に生きっる覚悟を強いられったんじゃ!
 ゴーリエーよ。無理さっせたわしを許すっかのお?
「母上の事っを思い出されったのか?」
「鋭いっの。伊達に三十一と四の月くっらいの付き合いじゃなっいのう」
「父上。礼を無くす覚悟で申しっますが四の月ではなっく五の月ですよ」
 何と! わしの物忘っれはここまっで来たかいのう! こりゃ神様に申っしわけがつかぬのっう!
「話を戻しっます。母上の件はもう三十の年よっり前の出来事。そんな昔の事っを思い出すほど老いってはそろそろ引退は覚悟すべっきでは?」
 何と言ったかのう? わしに引退を……じゃっと! 頭に何か熱いモノっが込み上げてきたっぞ!
「たかが三十ちょっとの雄が何を言うっか! わしに引退を迫っるとは何という礼無っき事か!
 だがわしっも一命前の雄じゃ! 感情任せにお前を叱るのっは後々神々に申し訳が立たぬ! じゃが怒りっを抑える力はもうわしには残っされとらん! ならっばわしは当てつけに果物型と野菜型っを全て倒せ! わしにっそこまで引退させたいなっらな!
 老年を怒らすと、どっうゆう目に遭うか自ら覚悟すっるんだ、腰砕け!」
「申しわけありっません。父上の為と思って口にした事が却って父上を傷つけて! 父上の言う通っりそれら全て倒して見せまっしょう! ただっし必ず生きて帰っるという条件付きで!」
「い、いやそこまで覚悟しなっくても--」
「でっは失礼しまっす!」
 ゴーリラーマは竪穴住居かっら出たか。あの子に大変申っし訳ない事を言って辛い。これで死んっだらわしは子死なせ出もはや外も出歩けっなくなる! ああー、この年になっても一名息子が心配っだ! どうしよっう!
 わしは息子を心配しっながらも日課である書類編纂の作業をっした。時はお日様がもう少しっで頂上に到達しようっとしていた。

地震、雷、火事、親父……後あったっけ?

 どうもdarkvernuです。
 ネタが思いつかなかったので礼のショートストーリーを適当に書いときますね。
 読みたかったらどうぞ。

 格付士……それは世界中のあらゆる物事を正確に定義づける者達。
 彼等は公式に格付依頼された物事しか定義づけない者もいれば、非公式に定義づける者もいて、更には公私問わず趣味の範囲内なら何でも定義づける者もいる。そうゆう連中に共通する者は居たってシンプルにレッテル貼り。物事を勝手に定義づけるという事故に皆から嫌われ、憎まれ、蔑まれる。
 そんな格付を存在意義そのものにする者が何の為に来たのかわからない宇宙に飛び込んだ。
(宇宙は絶対零度。この定義が崩されるとしたら恐らくは絶対零度の色はもわからぬ愚か者が現われる時……俺の事だな)
 彼は自らを愚か者と蔑む……いや褒め称えながらも生身で宇宙の内部に通じる入口を探る。
(実際は生身じゃない。俺の周りで蠢いている経典を御存知か? こいつには超高性能な顕微鏡で覗かないとわからない無数の魔術二進法が記されてある。そこに書かれている一部には宇宙空間に適応する魔術公式が記されてある。つまり--)
 体温も呼吸も宇宙放射線対策も万全--と思考しながら目当ての数ミクロン以下の入口を発見するや否や経典を高速回転させる!
「言葉も話せるという事も追加しとくぜ!」
 わずか一秒足らずで詠唱を終えると入口に巨大な火球を叩きつけた--穴は衝撃で彼が入る大きさまで開く!
「あと一秒で閉じる前に--」
 その中に入る--同時に穴は塞がれた。

 ここはドーナツ型宇宙……中心部はバニシングワールドで収められた歪な宇宙。ここでは円を描くように進むしか目的の銀河及び太陽系に到達出来ない。それ以外の方法で進めば瞬く間に一周するという非常に歪な構造。狭い故に一度ブラックホールが発生すれば逃れる術は極めて低い。
(俺なら簡単に脱出出来るがな。何たって俺は……ん?
 誰かの悲鳴か? しかもかなり遠く? 何光年先だ? 百光年? ちょっと計算してみるか!)
 経典を適当な所で止めるとそこに描かれる文字をそれぞれの人差し指で触れながら指定位置を割り出す!
(大体百二十から百二十一光年と五の光月か! しかも方位は宇宙南南西ときたか! ここがちょうど宇宙南西ならそこへ行くのに反対側に回るように進むしかないって事か! どうして真っ直ぐ進めないかって? それはな--)
 ブラックホール通行止め--ドーナツ型宇宙では日常茶飯事の現象。仮にブラックホールを突破出来たと仮定したならその影響は中心部のバニシングワールドに与えかねない。そうなれば目的地に到達する前に宇宙は崩壊する。
(さすがの俺もバニシングワールドを暴走させる訳にはいかない。他の宇宙にまで飛び火したら創造主達が黙っちゃいないし!)
 彼自身はブラックホール通行止めを無視出来る。しかし、バニシングワールドを止めるだけの力を使う余裕はない。
 よって反対方向に進んでゆく--アインシュタインを困らせる速度で!
(光年? 距離? あいにくそんな尺度はこのデュアンには通用しない! 門番というレッテルを貼られた者は光年だって丸一週間にする術を知ってる!)
 彼の名前はデュアン・マイッダー。歴代最強と呼ばれるに相応しい魔力を持ちながらも神を愚弄する存在故に神々から認定されなかった魔術師。今回のお話はそんな彼が自分と同じく神々から嫌われた者との出会いを描く……。


 続きは不定期に日曜日に公開されますので宜しく。
 以上でショートストーリーの紹介を終えます。

 それでは第三十話の解説にいきたいと思います。今回は十六話以来の主人公がナレーションを務めるお話だよ。
 今回は主人公である雌カンガルーのマンマーエが六年前に別れた元旦那との復縁までを描いてます。まあ一応ね(苦)。
 ついでに他の種族にも当てはまりますが、現代における生態が過去と必ずしも一致しないように子供カンガルーが育児嚢から自力で離れていく時期も一致しません。なのでそこは自分でも真実味は全くないと断言出来ます(辛)。
 なお主人公が母親である以上は今回出てくる者達も必然的におばちゃん連中になりますが、残念ながらおばちゃんに程遠いと感じます(笑)。いっそのこと大阪の鬱陶しいおばちゃんをもう少し研究すべきだったかな(苦)。
 では解説らしくいきますよ。今回の話で出た料理は舞台が暑苦しいところもあってかエジプト料理をある程度パクッてますよ。他は知らん。それから内職については遠すぎる過去の世界でも共通しますが、あれをやっても生活の足しにはなりません。そこはとあるテレビ番組を見ればよくわかります。それじゃあ主人公は何で日々の生活を安定させたかと言いますとまあ作中に出たとある……でお願いします(笑い)。
 ついでにカンガルー拳法は現代の世界にもありますよ。名前も異なりますが足技はありますよ。とにかくカンガルーの攻撃力は全盛期のフィリオと対戦して二十回やってフィリオの勝率が五割いくかどうかですな。何せ足技は一撃食らっただけで華奢な奴は即死ですから。ただしもう一つ異なる点はいくら逆立ちしても前羽の構えや天地上下の構えといった空手の極意は出来ませんので気を付けて下さい(出来たら今頃数多の武術家が裸足で逃げるぞ)。
 なお第六パートでのシーンはその後どうなったかという答えは出しません。妻は夫を送り、死ぬまで帰りを待つ以外にない以上語ったら無粋だと判断したからです(逃)。そんなラストシーンのある作品は自分の知る作品以外ではたくさんあると思いますよ(ちなみに自分の知る限りでは井上紀良先生の殺医ドクター蘭丸です)。
 最近適当ながらも以上で第三十話の解説を打ち切ります。

 えーとタイトルと全く関係ない記事になりましたが最近何があったかはお天道様に聞いてみればわかると思います。そんじゃあ今後の予定をどうぞ!

 八月
 二十六日~三十一日  第三十一話 雄はつらいよ      作成日間
 九月
 二日~七日      第三十二話 蛇の道は蛇         作成日間
 九日~十四日     第三十三話 蛙の子は蛙         作成日間
 十六日~二十一日   第三十四話 袋の鼠           作成日間

 そろそろ暗黒面を前面に押し出す時期が来ました。そんな不安定な状態で今日はここまで!

一兆年の夜 第三十話 母はそれでも強い(六)

 お月様ガ輝きヲ増す時。
 私は……いえ私達ハ北地区ニアル出入り口ヨリ成人体型オヨソ二千くらいかな? 十数件モアル仮説民家。私トマンマミーハタゴラス村ニ比較的一番近い仮説民家デ六ノ年ブリニ再会したミハエルト口論ニなったわ--勿論私トミハエルガ口喧嘩したの。けど、さすがの私達モマンマミーノ涙ニハ弱く、僅か半ノ時モかけず終了。私達二名ハサッキマデノ行いヲ反省する代わりニ育児嚢カラ自力デ動けるヨウニなったマンマミーヲ誉めたり喜んだりトイッタことヲしたわ。
 だって自分ノ子供ガ自力デ外ヲ動き回れるのよ! ここで誉めなくてドコデ誉める機会ガあるのよ! あの時誉めることガ出来なかったノハ私自身ガ精一杯だった……何て言い訳よ!
 何腰砕けなことヲ考えてるのかって? 安じ得ない心境カラ逃れたいのよ! だって、だって--
「私は大変反省して今度コソあなたノ妻として、マンマミーの母トシテ一生ヲ尽くすツモリだったのに!」
「だが、タゴラス村ニハ依然トシテ銀河連合ガ潜む! 僕ハ君達ノ帰る場所ヲ取り戻す為ニモ村ヘト向かわなければならない! その為ニ一ノ日ヨリ早く村ニ来た!
 これは僕自身ガ国家神武ノ軍者ダケじゃない! 愛するマンマーエトマンマミー、それに全生命体ノ為ニ進むノだ! 止めたッテ僕ハ歩ヲ進める!」
 何ガ『歩を進める』ってのよ! マンマミーヲミヒーリニ預からせて夫ト妻ノ二名ダケデ話し合うト聞いて話し合ったノニコレジャアマタ喧嘩ニなるわ……いえマタ別れてしまうわ!
 今度ハ生死ニ関わるお別れが!
「何ヲ考え込んでいるノカハ察することハ困難ダガ僕ハ生きて帰る!」
「それは絶対真実じゃないわ! もしも私ガ神様ナラあなたヲ行かせない!」
「いいや、神様ナラ僕ヲ行かせる!」
「恥ずかしいことヲ聞きニ来たんジャないわよ!
 『僕ハ強い』なんて格好付けハ聞きたくない!」
 それでもコノカンガルーハ言うわ!
「何故ナラ僕ハ家族ヲ残して死ぬことヲ神様カラ許可ヲ貰ってないンだよ!
「予想ト異なる! でもヌケヌケトソンナ恥ずかしいこと言えるあなたハマンマミーニスンゴイ似てるわ! これは誉めてないわよ!」
 誉めてない! だからこそ私ハソンナことヲ言ったの! 愛する夫ヲ引き留める為に--両眼カラ溢れる涙ニ気付かなくても!
「有り難うマンマーエ。お陰デ僕ハ安心して歩ヲ進められるよ。君ガ妻デ本当ニ良かった! 君ナラコノ先ヲ通して一生良い母親ヲ務められる! 断言するよ!」
 結局私ハミハエルニ帰る場所ヲ提供してしまったわ! 私ガ腰砕けな妻或いハ母親ダッタラミハエルハ引き返せたのに!
 日と日の境くらい時。そんな時間デモ起きていたマンマミーハミハエルニ甘えたわ! ミハエルハ返すヨウニマンマミーヲ愛情込めて甘やかした。いつ死んでもいいように……なんてノハ本当ノ甘えだわ!
「では出発する!」
「格好良く帰ってくるノよ、ミハエル!」
 無理難題トモ思える言葉デ愛する夫ヲ送る私だった……。




 ICイマジナリーセンチュリー九十四年二月九十日午後十一時三十分一秒。

 第三十話 母はそれでも強い 完

 第三十一話 雄は辛いよ に続く……

一兆年の夜 第三十話 母はそれでも強い(五)

「おかあさん、さっきノおじさんモそうダケドあのおじさんハドウシテいとミタイナものトしろくてかたそうなものヲだしてるの?」
「それはね、あなたガ知るニハマダ早いわ。目ヲ瞑って顔ヲ伏せなさい!」
「で、でも--」
 私ハ強引ニマンマミーヲ育児嚢ノ中ニ引っ込ませたわ! 幼いマンマミーニハコンナ衝撃的ナ事ハ早すぎる!
「ど、どうするぶ? 私達で戦えぶ者は--」
「私の夫よッシ。だから私自身で決着を--」
「良くうないわ。一名でえ戦えば力あの強い雄があ勝つうって相場は決まあってる。だから私があ手を貸すわあ!」
「私の家庭問題よット! 部外者に出て貰うのは--」
「死んでーは元も子もないーでしょ? だからあちしも手伝ってーあげるー。ジャネットさんが死なないーように支援するーから!」
「みんな有り難うッタ」
 ジャネットさんノ体格ハ非常ニ小さい為、涙を流す姿ハハッキリしない。それでも彼女ハ私達ノ心遣いニ感動しているわ。
 彼女ハベーブミさんトキリッレモガ後方デ支援する体制ヲ確認するトスグニ突撃したわ!
 あ! 危ないわね! 銀河連合ハマウコウさんその者カモ知れないカラ動きトシテハ彼女ヨリモ良いわ! というか……くわ! ふう、心臓ニ良くないよ! それにしても二名ハドウヤッテ彼女ヲ支援するノかな? ってそんな風ニ考えてイル間に……ああ--
「キリッレモ行きまーすー!」
 キリッレモガジャネットさんノ間一髪ニ首ヲ挟んだ--身体ノ大きいキリッレモハ食べられることハないケド代わりニ針攻撃ヲ受けた!
「今よ、ジャネットさん!」
「首根っこをかみ砕くック!」
 宣言通り彼女ハ首筋ニ食らいつく! 力ノママニ噛み砕いた!
「見て見てぞう! マイコウさんが落ちてゆくわおう!」
「やったぶ、ジャネットさん!」
「はあはあッタ、さよならあなた……ッタ」
 ジャネットさんハ多分涙ヲ流してるでしょう--愛する夫ヲ自分ノ歯デ死なせた衝撃ト愛する夫ヲ解放したことから。
「はは、これでよか……あ?」
 え? あれ? キリッレモ? どうしたの?
「キリッレモガ突然倒れたわ! え? まさかマイコウさんガ与えた針攻撃は!」
「ミヒーリ! まさか銀河連合は……みんな気ヲ付けて! キリッレモノ首カラ大量の--」
「ああああッガ!」
 近くニいたジャネットさんヲ呑み込むヨウニ大量発生した銀河連合ノよくわからない黒いモノハキリッレモノ死体ヲ一瞬ニシテ痩せこけたモノニシタノミならず、ジャネットさんまで!
「わあああああッツ! こっちに来たわッツ! 逃げるわよッツ!」
 私達九名ヲ食らいニ黒い何かハ襲いかかる! 逃げる! 逃げる! でも--
「早すぎるぞう! 私の足では簡単に--」
 ママルネン・マダラオトさんヤ足ノ太い馬族ノ鉢観堂さんデハあの黒いノニ食われてしまう!
「おかあさん--」
「顔ヲ出さないで! あの黒いノニく--」
「きこえない? なんかガちかづくおとガするけど」
「あの黒いのでしょ!」
「ううん、そうじゃない。まえノほうから……あ、あのしかノおじさんだよ!」
 本当だわ! ど、どうし--
「あなたッツ! どうしてこっちに--」
「済まないトガ恵ッツ! 俺は結局罪を作って想念の海に帰るよッツ!」
 え? トガ頼さんノ右肋カラ出る血ガ尋常じゃない量ニ見えるけど……何て思考する間ニトガ頼さんガ黒いノニ突撃する!
「私達を置いて先に行かないでッツ、あなたああッツ!」
「子供達を宜しく頼むうううううッツ!」
 彼はそのまま黒いモノに包まれた--彼ハ先程呑み込まれたジャネットさんノヨウニ痩せこけた状態ニ果てた!
「ああ、おじさんが!」
 いけない! 私トシタことガマンマミーニ見せてハならないモノヲ見せるなんて!
「見たモノハ仕方ないわ、マンマーエ。でも見て御覧、あの黒いモノを!」
 ミヒーリニ言われた通り見るトあの黒いノハ形ヲ成してキリン? いえ蜂? 鹿ニモ見える。あれは何なの?
「おかあさん? あれってマサカきりん?」
「キリンニモ見えるケド違うわ!」
「そうじゃないノきりんだよ、きりん!」
「ですから何なのさ! どう見たッテきりんじゃ……あれ?」
 何カ思いつきそうダケド何なの? 何て考える間ニアノ混合型ハトガ恵さんニ襲いかかるわ!
「きゃッツ!」
 このままじゃトガ恵さんが! ダケド私ノ育児嚢ニハマンマミーが! どうすれば--
「マンマーエ? 袋に入ってたマンマミーちゃんはう?」
「何言ってるの? ちゃんと私のお腹に……!」
 居ない! どこにい--
「やいぎんがれんごう! おじさんノかたきヲとってやる!」
「マンマミーちゃんガマンマーエノ育児嚢カラ出てる! 誰か早く--」
 このままじゃマンマミーが! そうハさせない!
「ぼくノかんがるーけんぽうヲうけろ!」
「マンマミーハやらせない!」
 私ハ昨日ミヒーリトノ組み手デやった超低姿勢ノ構えカラ一気ニマンマミーノ前方ニ入るとすかさず……きゃあ! 角ニヨル攻撃デハナク前右足ニヨル蹴りデ良かった!
「おかあさん!」
「マンマミーハミヒーリノ所ニ行って!」
「ぼくダッテけんぽうハでき--」
「きゃああ! 銀河連合ハ私ガ相手するの! この攻撃ヲ受けてマンマミーハ受けきれるの?」
「そんなこうげきガなんだ……わわ!」
 ミヒーリガマンマミーヲ無理矢理持ち上げて逃げ……混合型ハ私ヲ無視してミヒーリノ所に!
「マンマミー達ヲやらせない!」
「すごぶ! 飛んできぶ銀河連合の踏みつけを流し受けなんど!」
「有り難うマンマーエ! でも加勢しなくテ良い?」
「私ヲ誰ダト思うの?」
「一名母あカンガルーのマンマーエちゃあんでしょお?」
「そうじゃない! 私は!」
 マンマミーノタッタ一名ノ母親トシテ絶対的ナ強さヲ持つマンマーエ・レヴィルビーなのよ!
 そんな恥ずかしいことヲ考えナガラ私ハ天同生子ノ構えヲする。それから円ヲ描くヨウニ動作シテ隙ヲ与えない連打ヲ浴びせてゆくわ! でも銀河連合ハ連打ガ続けば続くほど痛みヲ流していってる気が。
「何て考えていたら雌として……というヨリモ子供ガ見ている中デ母親トシテ恥ずかしいわ!」
 独り言を呟いた後、私ハキリ梨さんトキリッレモヲ思い出すノモ考えずニキリンノ構えデ動作ヲ大きくするわ! そのまま大振りニ右拳をはな--ググッツ!
「おかあさあん!」
「ガバア!」
 息ガ出来ない! 少し息ガ出来るように……そんなことヨリモさすが銀河連合だわ!
 隙ガ出来たらすぐ……って今度ハ私ガ防戦!
「このままじゃマンマーエが死んでしまおう!」
「来ないで! 私ハ母親ノ意地デ戦ってるのよ! ここで勝たなきゃあの者に!
 ミハエルト顔合わせ出来ないでしょおお!」
 たかが味ガ美味しくない理由デ喧嘩別れしたミハエルヘノ贖罪--そんな思いデ銀河連合ガ見よう見まねデ天同生子ノ構えヲしながら円ヲ描いて繰り出す連打ヲ受け続ける私!
 こんなことデ生子様ノ強さマデ似出来るト思ったら--
「的外れなのよおおお!」
 一瞬ノ隙ヲ見つけるト私ハ鶴翼ノ構えヲし、そこカラ尻尾デ支えナガラ左蹴りニヨッテ相手ノ体勢ヲ崩す! 体勢を整える間に私はもう一度天同生子の構えをする! 今度は直線に飛ぶ!
「無闇に突撃なんっど意味あるうの!」
「いえ、ちゃんと前羽ノ構えヲしながら飛んでるわ!」
 と私ハ前羽ノ構えガ最も……ってあの体格デ何回蹴りガ来るのよ--二回以上受け流し出来なかったわ!
 蹴りガ少し止まる隙ニ私ハ前羽ノ構えヲ解いた……いえ尻尾ヲスカサズ地面ニ立てるトドッチノ足ヲ使ったノカわからない蹴りヲ混合型ノ首筋ニ当てた!
「きまった! おかあさんじきでんノみかづきげりだ!」
 ちなみに教わったノハ今ハ亡き父カラだけど。やっとたお……れない?
「もうこれ以上はマンマーエでも危険だわッツ!」
「おばちゃん豚の底力をみせたぶ!」
「おかあさんはハぼくガたすける!」
 余りノ痛みデ今マデ軽快ニ動けたノニ今度ハ何故か! ああ、折角マンマミーガ袋カラ出て喜べるトイウノニそれスラ誉めることガ叶わずに……。
 みんなこっちニ来てるケド間ニあわ--
「僕ノ妻ヲやらせるかよ!」
 前方? やや上ヲ見るトそこには……ミハエル!
「脳天蹴りヲ食らえ!」
 そのカンガルーハ混合型ノ延髄ニ左足蹴りヲ食らわせた--口カラ内臓ガ出る勢いデ血ヲ吐いた混合型ハ前屈みニ倒れ込み、痙攣ヲ起こすわ。
 はあ、あんな恥ずかしげナことヲ吐くのは--
「大丈夫か、マンマーエ?」
「これくらい平気よ、ミハエル!
 再会して何だけど、どうすればいいの?」
「素直ニ喜べばいいさ!」
「あれだあれ?」
「この子は……僕ノマンマミー?」
 六ノ年ブリニ私ハ夫……いえ元ハ夫ダッタ者ト再会した。

一兆年の夜 第三十話 母はそれでも強い(四)

 八百屋デ採れた果物ヲ食べて銀河連合ニなる。そんな予想ガあり得る?
「その話ハ真実なの? 腰砕けたことナラ赦しヲ容れないわ」
「マンマミーさん……真実でぶ! おらはこの目で見ぶましどから!」
「ベーブタン。一名の証言ぶは真実味は--」
 また誰かノ入る音! 今度ハ何!
「何やってるかッツ! 今すぐこの村から避難しろッツ!」
「あなたッツ! どうゆう--」
「話は後だッツ! 俺達ソフィス地方支部は銀河連合の牙から君達雌子供の命を守らなくてはならないッツ!
 さあ俺の後に続けッツ!」
 何ダカ知らないケド私達親子ハ真鍋傭兵団所属ニシテおば様軍団の藤原トガ恵ノ夫デアルトガ頼誘導されるヨウニ避難したわ。一階ダカラスグニ出られたケド二階ダッタラ飛び降りてたかも?
「おかあさん。どうしてみんなしかノおじさんノあとニつづくの?」
「これは避難訓練なの」
 本当じゃないことだけど--
「そうか! ところデひなんくんれんッテなあに?」
「避難訓練ッテいうノハね。地震ヤ台風トいった自然ノ怒りカラ身ヲ守る為ニ定期的デ無い日ニ行われる行事よ」
 そこ、口を閉じんかッツ--と注意された! 私ハカンガルーよ! 子供ニ避難訓練ヲ教えて何ガ良くない?
「もう少し小声デ話すベキだったわね」
 反省。ああ、私ッテドコマデ母親トシテノ自覚ガないんだろう。ミヒーリノ慰めハ心ニ堪えるわ。
「きゃああ!」
 この声ハ一番後ろニいるキリ梨さん? え? そんな? 何? どうして銀河連合ガキリ梨さんノ真後ろニいるの? しかも食べながら……。
「キリン型が来ぶなんて信じ……ってよく見ぶらキリ梨さんの夫に似どない?」
「本当だぞう! まさかキリ彦さんは果物型を食べたんじょう?」
 は、早く先頭ニいるトガ頼さんニ知らせないと!
「後頭部を拳で叩くなッツ!」
「大変なのよ! 真後ろニ銀河連合が!」
「ほ、本当だッツ! 俺とした事がああッツ!」
 真っ直ぐ北地区から出て行くのだッツ--という言葉ヲ残して彼ハキリ彦さんノ成れノ果てデアル銀河連合ニ単身挑んだわ!
「マンマーエ! その間ニ指定されたところマデ駆け足デ行きましょう!」
 みんなそっつもりう--ソネイラ・ブルホルさんノ掛け声ヲ合図ニ私達十一名ハ北出入口目指して走ってゆく……が!
「えッテ? 塞ぐように私の夫が居るッシ?」
 ジャネット・ジャパダさんノ夫マイコウガ北出入口ヲ塞いだ--全身剥き出しノ状態で!
「マイコオオウッス!」
 叫び声モ空しく銀河連合ニ成り果てたマイコウさんハ私達ヲ食らう為ニ襲いかかる!

一兆年の夜 第三十話 母はそれでも強い(三)

 朝ハ早い。日ノ出ト共ニ起きる。起きたらスグニ洗濯物ヲ取り込む。取り込んだら畳む。畳み終えたらマンマミーヲ起こすトイウ作業よ。
「起きなさい!」
「ふわ? おはようお母さん」
 起こしたら朝食ヲ作る作業ニ入り……あら?
「おはようマンマーエ。今日モ良い天気だねえ」
「おはようミヒーリ。いつから起きてたの?」
「あなたが洗濯物ヲ取り込んでる間ニ起きたわ。老者ハ朝ガ早いのよ」
 そういえばミヒーリハもう老年だったわね。それにしたってミヒーリニハ昨日カラお世話ニなってるわ。
「いいっていいって! お互いニ助け合わないと」
「ありがとうおばさん!」
「マンマミーちゃんニ礼ヲ言われるトおばさんモット頑張るわ!」
 頑張る作業ハサスガニ私ノ方ヘ集中させないと!
「じゃあ一緒ニ朝ご飯ヲ作るわよ!」
 私達二名ハ一ノ時ヲかけてソフィスメラトソフィスプリヲかき混ぜた料理ルギプリアヲ完成。意外ト火加減及び塩加減ガ難しい料理ダカラ形ハ綺麗トハいえないケドお味ハ--
「お母さん、これ美味しくないよ」
「塩ガきつすぎるわね」
「他ニハ水ニつけて早く沸騰させすぎたニガいけないわね」
 我慢して私ハルギプリアヲ完食。お口直しニ仁徳島ノ大地デ育った茶葉ヲ使用したお茶ヲ飲んでゆったりしたわ。その後ハ後片付けト部屋中ノ掃除、それに今日出す生ゴミヲ集めて外ニ出る。えっと村ノ中央ニゴミ出し場ガあるね。そこに袋ニ詰めた生ゴミヲ出すの。ただし何デモかんデモ袋ニ詰めるト後デ生ゴミヲ返却されるカラ気ヲ付けて!
 それら面倒ナ作業ヲ終えたら私ハカンガルー族伝統ノ拳法修行ヲ東地区ニアル誰モ居ない広場デやるのよ。今日ハミヒーリト組み手出来るカラ修行内容ガ濃くなるわ!
「毎日どれクライやるの?」
「ほんの一ノ時クライよ。それ以上ハ毎日やるノニ適さないわ」
 私ハアクマデ一般村民。軍者ヤ傭兵、旅者ノヨウニいつ何時デモ銀河連合ト戦うヨウナ死ぬ気デやるツモリはないんだからね。
「少し長いわね。筋肉痛ニナッテモ知らないわ」
「まあまあ。じゃあ始めるよ!」
 初め十ノ分ハ拳法独自ノ体操ヲシテ身体ヲ解す。次ノ十ノ分ハ腕立て、足筋ヲ行う。ただし腕立てハカンガルー族ニトッテ特殊ナ方法。尻尾デ立つト片手ノ平ヲ付けて尻尾ヲ離しナガラ肘ノ曲げ伸ばしヲするの! この動作ハ最初五回出来たら後ハ目標ノ十回マデ早く出来るヨウニなるけど、とてもきつい。だって片方十回済ませタラモウ片方モ十回済ませないトいけないわ。それニ比べて足筋ハ楽。ただし楽といっても二十回マデだわ。
「体力あるわね。若いッテノハ羨ましいわ」
「じゃあソロソロ組み手ヲ始めましょう!」
 組み手ハ昨日行われた寸止めト同じ。異なるトシタラ様々ナ型ヲ見せ合いナガラ相手を下すトイウ変化系統。主ナ型ハ昨日見せた鶴翼ノ構えヤ超低姿勢ノ構えダケじゃないわ。他ニハ天同生子ノ構えヤ鰐回しノ構えヤキリンノ構えトいった想像ガ難いものもある。ちなみに寸止めナノハ怪我ヲされたら拳法ノ練習ヲ怠る恐れガ高いのよ。
「はあはあ、十回中私ガ勝てたノハ八回。年長者ノ意地ヲ見せたわよ!」
「おかあさんよわいよ!」
「はあはあ、まだまだ修行ガ足らないわ」
 ちょうど一ノ時ガ経過したノデコレニテ拳法修行ヲ終了する。
 拳法修行ノ後ハ西地区ノ八百屋デ今日昼ト夜ノ食事分ヲ買うわ。えっとマンドロンハドノヨウニ稼いでるカハ秘密。
「たくさんかってるケドどこニソンナおかねガあるの?」
「内緒。マンマミーハ雄ダカラお母さんノ秘密ハわからなくていいのよ」
「ぶー!」
 農作業ガ本格的ニ開始される時間帯。私ハ活版印刷用ノ判子制作ヲ開始。
「もしかしてこれで--」
「外れ! これは内職ナノデお金ニならないわよ」
 内職ハ甘く見ないで。応神木デ出来た判子ヲ丁寧ニ彫る作業ハトテモ辛いわ。少しデモ彫る場所ガ異なるト最初カラやり直し。彫り異なった判子ハ廃品回収ニ出すシカないわ。
「やっと出来た……後ハ業者ガ来るノヲ待つだけ」
 待つ間ハマンマミーニ勉強ヲ教えるケドこの子ッタラ勉強ニなるトスグニ寝るフリヲしたり本当ニ寝るカラ困るわ。まあ私モ若い時勉強ニ困った経験があるカラお互い様だけど。
「一名デ勉強ヲ教えてるの? よかったら私モ勉強ヲ教えてあげるけど」
「え? いいの? 助かります!」
「ええー! べんきょうやめようよ! たのしくないし!」
「腰砕けナ事ヲ言わないの! 本来勉強ハ楽しくやるものです!
 だったらおばさんガ勉強ノ楽しさヲキッチリ教えますわよ!」
「ぶー!」
 ミヒーリガ私ノ代わりニ教え始める。初めハ勉強ニ熱心じゃないマンマミーモ何時ノ間ニカ勉強する楽しみヲ感じてる! 寧ろ私ノ方ガ勉強されてる気ガするわ!
「今日ハここまで!」
「ええー! ぼくモットべんきょうしたかったな」
「ありがとう、ミヒーリ!」
「どう致しまして!」
 あーあ、私モミヒーリミタイニ勉強させるやり方ガ出来ればなあ。

 昼食ヲ済ませて二ノ時ガ経過。昨日ト同じく十名ノおば様軍団ガ私ノ家ニ駆けつけたわ。話題ハ銀河連合果物型ニ関する暗い話ね。
「マンマーエ・レヴィルビーさんも気を付けてーね! 無闇に果樹園から果物を採るーと良くーないわ」
「果樹園カラ果物ハ採りーません! 八百屋デ果物ハ買いーますよ、キリン族ノ高橋キリ梨さん!」
「その八百屋に仕入れた果物に万が一銀河連合が入っていたらどうするッス?」
「そこまで安心出来ないー心情にならないーの、蜂族のジャネット・ジャパダさん。第一仕入業者もその辺は考えて--」
 キリッレモノ言葉ガ途切れるヨウニ誰かガ慌てて--
「た、た、大変だぶベーブミ!」
「ベーブタン! 何がた--」
「南地区に住ぶラクダ族のコブ平が……剥き出しに成っどしぶった!
「はい? もう一度言っぶ」
「コブ平が西地区の八百屋で買っどソフィスプリを摘みで食っぶ。そしたら銀河連合みたいに全身が剥き出しに成っどみんなに襲いかかったんぶ!」
 私ハ予想ヲ遙かニ超えた事実ニ頭ガ上手く作動しなかった……。

一兆年の夜 第三十話 母はそれでも強い(二)

 二ノ時ガ過ぎたわ。日ハ今ニモお月様ト交代しそうな勢いトなるわ。代わりトシテ徐々ニ寒くなってる。ここハプロタゴラス大陸。お日様ガ昇る場合ハ暑くなり、お月様ガ昇る場合ハ寒くなる。寒暖ガ激しい大陸なの。マンマミーガ心配。
「--そうそう主人は毎日寝言が五月蠅いわー。『きりった』とか『きりきりっと』とか」
 日ガ交代しそうな時デモマダ近所ノおば様方ハお喋ヲ止めないわ。大富豪ヲしながら。
「夫の満足しない事を言ぶものじゃないですぶ。キリン族ぶ高橋キリ梨さん」
「言ったわーね。そっちこそどうーなの、豚族のベーブミ・クロレットさん?」
「私だっど不満だぶ! キュプロ支部の真鍋傭兵団に居っぱなしど連絡一つ寄こさぶ二名の子供を心配させぶあの体たらくにぶ!」
「いいじゃないですかぞう。私はルケラオスからはるばるここに移住してきた者ですが実家に住む兄弟には度々迷惑を--」
「あのー? そろそろお帰りノ時間デハないでしょうか? お月様ガ昇り始めた頃ですから」
 私ガソノヨウナ事ヲ言うト十名トモ慌てる様子モなく--
「良いってえ良いってえ! どうせえあたいのお主人んは農作業とお筋トレでえ夜中までかかある事だあし!」
「馬族ノ鉢観堂さん? それデモ帰るベキだよ。話ヲ聞いた所ジャア十一名家族って聞くわけだし」
「一番上のお子供がああたいに似ずしいっかりしてるのおで大丈夫う!」
 ミヒーリノ説得ガ効果ヲ発揮しないわ。
「ゥゥボクは帰りたくないよ。ァァだってボクの子供達はもう二の年より前に死んで一名暮らしだもの」
「蟻族ノアッサラ・ビーダムハ雌蟻ナノニ子供が。気持ちヲ知りたいケドやっぱりそんなのは--」
「ゥグいいよ。ェナ慣れてるから」
 マンマミーガ寝てて良かったわ。アッサラノ子供達ハ南ノ方角ニ住み着いた大樹型トノ戦いデ全員命ヲ落としてるものね。
「キリン族のキリッレモ・モンジャネーラですー。主婦一年目ですー」
「知ってわよう。んで何う?」
「冷たいーねえ牛族のブルホルさんは。まああちしができちゃったー結婚なんかした罪作りーな母親だからってのもあるーみたいだけど。
 まあそれはもう三回目だよ。えっと私が帰らないーのはまあその……大樹型銀河連合から生えたー果物が怖くーて」
 大樹型カラ生えた果物? それは後々私達家族ノ絆ヲ取り戻す切っ掛けニなるトハこの時知らないわ……。

 それから一ノ時ガ過ぎてヨウヤクおば様方十名ガ帰ったね。
 はあ、疲れたわ。これから夕飯ノ支度ト掃除、それに洗濯トイッタ重労働ノ定番ガ待ってるわ。
「今日ハ私モ手伝うわ」
「え? 今日泊まるの?」
「ここに来て宿代ヲ支払う主婦ガ居るの?」
 図々しい! これだから身内ノ相手は……多分私ガ言えるコトじゃないわ! 私ダッテ昔ハミヒーリニ迷惑かけたし!
「迷惑かけるノハお互い様。それに私ガ居れば寝る時間ハ早くテ済むでしょ?」
「ええ、そうよ。と、とにかく掃除ヤ洗濯ハ後ニシテ夕飯ノ支度ヲ済ませないと!」
「食糧は……ここね! お日様ガ頂上ニ登る前ニ買っておいたのね?」
「そうよ! と、とにかく--」
 とにかく私達二名ハソフィス地方デ採れるトマトトタマネギ、ソフィスメラヲ炒めてルギアススープヲかけた料理ルギアンヲ作ったわ。お味ノ方ハ美味しく、マンマミーガおかわりヲ頼むほどよ。
 その後私ハ半ノ時かける内ニ歯磨きトマンマミーヲ寝かしつけることニ専念。後片付けト掃除、洗濯ハミヒーリガしてくれたわ。ミヒーリニ助けられることガ一杯だわ。どうしたのかな?
 それから半ノ時ガ過ぎて洗濯物ヲ一緒ニ洗うノヲ手伝いナガラ私ハ彼女トお喋り。
「いろいろ助かるわ。有り難う、ミヒーリ!」
「どう致しまして! マンマーエニ迷惑ヲかけているもの。これクライしないと」
「まさか例ノカンガルー拳法ニ負けた悔しさガ原因?」
「そんなノハ関係ないでしょ? マンマミーちゃんがマダ袋デ過ごしているカライロイロ苦労してるト思ってね」
「これくらい平気です!」
 本当じゃないわ! 後二ノ月カあるいハソレヨリモ早く大きくなれたらマンマミーモ出られるケドそうハいかないもの。どんどん大きくなるカラ身体ガ重くテ大変だわ!
「そうは言っても身体ノ重荷ハどうなの?」
「気付かれたのね」
「私ハ子供ガ三名モいるのよ! それクライわかりますわ!」
 そうだよね。ミヒーリニハ三名。真ん中ハ雌ニシテ真鍋傭兵団アリスティッポス奪還支部ニ配属だったね。
「そんな調子デハ明後日来るミハエルト面ト向かえないわよ!」
 え? 今なんて--
「『何デミハエルガ来る』って顔してるわね。本当は私が来たのは--」
「帰って!」
「御免なさい。私ガ差し出がましい事を--」
「そんな弁解ハいいわ! あの者ノ名前ガ出るト私ハ居ても立っても居られないカラミヒーリハ帰って! 宿ヲ探すナラ知り合いヲ紹介するけど!」
 感情ノ赴くママニ私ハミヒーリヲ追い出した……はあ。
「ごめん、やっぱりやめる」
「べ、別ニマンマーエちゃんの--」
「折角来てくれたミヒーリヲ感情ノママニ追い出すナンテただノ雌ノすること!
 私ハドコマデモ母親ノ資格ガないわ」
「資格ハある!」
「腰砕けないで! どこに私が--」
「そうやって自らヲ制止出来たノナラ資格ハあります! なので自信ヲ持ちなさい!」
 制止……そうかな? ただ私ハ臆病ナダケだよ。
「臆病デモ構いません。あなたはキット良い母親トシテ成長するから。私ガ保証します!」
 保証。ミヒーリガ保証するナラ少し自信ガ沸いてきたわ。
「ありがとう」
「気持ちニ整理ガついたらすぐニ洗濯再開!」
 それから二ノ時かけて洗濯ヲ終えたわ。途中デマンマミーガ起きて泣き出したノヲ宥める場面モあったけど!
 お月様ガトテモ綺麗ナ夜。おそらく十ノ時ト半くらい? 二階ニアル寝室エ毛布ヲくるまず、左横ニなってるね。うつ伏せナンテカンガルー族ハやらないの。子供ガ窒息する恐れあるから。
「マンマミー。後二ノ日ニお父さんト会えるわ。正直私ハ安心出来ない気持ちよ。
 だってお父さんト喧嘩別れシテ六ノ年なのよ! 面ヲ上げきった状態デ何ヲ話せば……いえどう向き合える? マンマミーはソウ考えたら幸せよ。だって私みたいに--」
 眠気ガ襲い、私ハ夢ノ世界ニ誘われるの……。

一兆年の夜 第三十話 母はそれでも強い

 今日ハお昼。昼食ヲ済ませた私達ニトッテ辛い辛いお昼。お日様ガ熱くて今ニモ死にそうだわ。夏ハドウシテ暑いのかしら? お日様ガ高く高く現われるから? 暖かい風ガ来るから? 学者じゃない私ガ何ヲ考えても意味はないわ。
 あーあ、今ハ南ノ大陸プロタゴラスデマンマミート共ニ生き抜かないといけないって時ニコンナ辛い辛い……あら?
「あなたハタゴラス村ノマンマーエ! まあマンマミーちゃんハ随分大きくなって!」
「そちらハルギアス村ノミヒーリ。齢三十八ニシテ今デ何日目?」
 いけない! いくら私が雌とはいえ年を--
「三日目ニなったわ。あなたハ確か齢二十四ニシテ五ノ月ト十七日目でしょ?」
 良かったわ。ミヒーリノ袋ガ大きくて……あれ? 懐だったかな?
「ねえねえおかあさん?」
 あら? マンマミーが私に話しかけてるけど?
「このおばさんトしりあい?」
 そういえば私ガルギアス村ヲ離れてハヤ六ノ年ニなるわね。夫ト激しい喧嘩ヲシタノガ原因だったわ。
「ええ、あなたノお父さんノ姉だわ」
「おとうさん? だれ?」
 仕方ないよね。この子ハ現在齢六ニシテ十ノ月ト二十七日目になる。生まれガルギアス村デアル事モ知らずニ現在タゴラス村デノンビリ暮らす。私ハナンテ罪深いの! たかが好みノ問題デ夫ト別居生活なんて!
「そ、そんな二暗い顔しないの! そ、そうだわ! ここハおばさんお手製ノ絵描き歌デ和ませないと!」
「またただもの絵描き歌ヲするの?」
「ただものえかきうた?」
「そうよ。えっとこんな歌だったわ。
 まある描いててー! みーぎニ鈍角三角形ヲ描いてちょん! ひーダリ二逆鈍角三角形ヲ描いてちょん! 最後ハ丁ヲかーいて、はい! ただものガ出来あっがりー!」
「かわいくないよ」
「じゃ、じゃあ次ハおかもと絵描き歌ヲするよ」
 私ノ名前ハマンマーエ・レヴィルビー。みんなカラマンマーエト呼ばれる。
「四角描いてー! 頭ニ草ヲ一杯ちょんちょんちょんちょん! しつこいくーらーいちょんちょんちょんちょん! 四角のなーかニせーんヲいっかいにーかい! たーて線ヲちょんちょん! くーノ字ヲーちょん! 逆正三角形ヲかーいて、はい! おかもとガ出来あーがりー!」
 現在ルギアス村ヨリ北東ニ位置するタゴラス村デ一者息子マンマミート暮らす一者母。
「まえヨリいいけどつまんない」
「じゃ、じゃあ北川絵描き歌デ--」
「やめましょう。そんな遊びヨリ折角再会シタ記念ダシ三名揃って大富豪しない?」
「だいふごう? するする!」
「私ハ無表情札遊びヲしたいわ!」
 現在私達ハ昼食ヲ済ませて六ノ年振りニ再会したミヒーリト家デ腰砕けている所。
「さて、一番目ハ誰ニするの? 私はもう年ダカラ最後ニして」
「そうハいきません。マンマミーノ為ニモココハ私が!」
「ねえおかあさん? じゃんけんするの?」
 出来るト思う? 私達カンガルー族ニトッテ最終手段は--
「カンガルー拳法デ決めましょう。私ニ勝てたら最後ノ順番デ良いわ。でも子連れノあなたニ勝てるかしら?」
「腰砕けね! 私ハ雌じゃなくて母なの! 勝ってやろうデハないか!」
 ちなみニカンガルー拳法トハカンガルー族ガ身ニつける格闘技。銀河連合ヲ自らノ足マタハ手デ死なせて以降、全生命体ハ様々ナ力ヲ付けたわ。
 ある者ハ果物包丁ヲ鋭利ナ雄略包丁に。ある者ハ望遠鏡ノ技術ヲ用いて遠くマデ飛ばす望遠刀を。ある者は素足マタハ素手デ倒す技術を。
 私達カンガルー族ハ独自ノ拳法ヲ身につけたわ。カンガルーノ特性ヲ生かした機動デ銀河連合ノ懐ニ入るトスカサズ素手ニヨル連打ヲ浴びせて倒す拳の法。
 ただし、今回使う拳ノ法ハ相手ニ当てる為ノモノじゃないわ。
「どう! 私ノ方ガ強そうでしょ!」
「うわあ、おばさんハいまニモおかあさんヲたべちゃいそうだよ!」
 鶴翼ノ構えデイツデモ私ヲ倒せるヨウニしてるなんて! 私ハこうするわ!
「何タル構え! 尻尾ヲ立たせるなんて! マンマミーちゃんノ身ヲ危険ニさらす気?」
「え? おかあさんハドンナかまえしてる?」
 もう少し低く、そして低く、更ニ低く……今ね!
「わわ……あだ! わ、私ノ負けだわ!」
「やったわ……そうだ!
 マンマミー大丈夫?」
「おかあさんすごーい! まるでちーたーぞくミタイだったよ!」
「負けハ認める。けどコレダケハ言わせて!
 マンマミーちゃんガ振り落とされテモ知りませんよ!」
「御免なさい、マンマミー。怪我ハなかった?」
「だいじょうぶ! ぼくハへいき!」
 良かったわ。はあ、私ハ母親トシテマダマダ勉強しなくチャいけないわ。
 こうして順番ヲ決めた私達ハ無表情札遊びマタハ仙者抜きヲ二ノ時ガ過ぎるマデしたわね。
 そうしたら近所ノおば様方ガ十名モ私ノ家ニ来たわね。大きすぎてはみ出した者ガ二名ホド居るけど。

規制を掲げる連中ほど作品を壊す

 どうも今回もweb拍手を貰って少し嬉しいdarkvernuです。
 では物書きとしての意地なのかこんなショートストーリーを書きました。

 時は21世紀末……。
 最新技術が導入され続け、国家の意義が明確に示され、国際連合が名実共に廃れた世界。
 未だに争いをやめられない愚かな人間だらけの世においてもたばこを巡る争いはついに{たばこ戦争}という殺し合いに発展してはや数十年……。
 たばこをこよなく愛する日本人お富さんとお駿さんはF兵器ガンダムとラピュタで迫り来る禁煙合衆国と戦い続ける。
 彼等の所属する国家……それはたばこ連邦。たばこ愛好者による国家群。初代大統領お養老。
 彼は九十になっても未だにたばこ愛好者のたばこ愛好者によるたばこ愛好者の為の国家を目指して迫り来る禁煙合衆国の武力行使に集団的自衛権を駆使して徹底抗戦する。そんな生気溢れる大統領の演説。
「たばこを目の仇にする禁煙合衆国に告げる! 今すぐたばこの規制とたばこへのネガティブキャンペーン及びたばこ愛吸者の弾圧及び虐殺を停止せよ! たばこの害を大仰に宣伝するのを停止せよ! たばこの害を捏造するのを停止せよ! そしてたばこに触れただけで逮捕またはその場で銃殺するという超法規的措置を今すぐ停止せよ!
 我々は別にたばこを吸う事を強制しない! たばこが健康に良いと宣伝する意志もない! たばこを密売する事も歓迎しない!
 ただ、たばこを愛する者の権利及びそれによって冤罪を受けた者、殺された者達の権利を守る為に我々はたばこ連邦を樹立した! たばこによる差別撤廃及びたばこ愛吸者の権利の保障、たばこ健康法の確立。それらはたばこをこよなく愛する者達及びたばこ依存症で苦しむ者達、そのどちらでもない者達がお互いに仲睦まじく歩道を渡れる社会を築く為に--」
 その演説をジャブロー神隠し地方で聴くお富さんとお駿さんは--
「聞いたかお駿よ!」
「ああ、大統領はいつまでもお元気でいらっしゃる! それもこれもわしが考案したポニョ流たばこ健康法のお陰じゃ!」
「何がポニョだ! あんな健康法なんかよりもわしが考えたオーガニズムたばこ健康法がよっぽど--」
「わしの方法にケチを付けるか、この皆殺しのお富さんが!」
「何だとこの素人丸出し声優大好きジジイが!」
「素人じゃないわ! 既存の声優は古すぎてわしの肌に合わんのじゃ!」
「何が合わん--だ! 魔女宅ではコナンの声優を使った癖に!」
「あれはドロンジョの声優だ!」
「違う、そっちじゃない! めいた--」
 彼等は21世紀末になってもいがみ合う。同姓同名の別人であっても……。


 たばこに関する話のつもりが途中から老害二人の喧嘩話になってしまった(笑)。
 話をたばこ関連に戻します。自分ははっきり言って禁煙協会には憤慨してます。といいますか、たかがたばこを吸うシーンをアニメに挿入しただけでいちゃついた文句を言ったり、内容のネタバレを言ったりする事に何の罪悪感も感じないという点に(怒)。はっきり言ってこいつらみたいなのが文句をつける理由は単にたばこが嫌いとかそうゆう話じゃありません。嫌いなら無視をするものだよ。そうじゃない。こいつらが文句を付ける本当の訳は日本の素晴らしいサブカルチャーを潰す事にあります。アグネスと同じように!
 たばことかエロとか暴力出血、グロなんかは彼等にとっては別に二か三か四の次なんですよ。真の目的は自分達の宗教が根底から崩されるのを阻止する為に規制したり文句を付けたりします。宗教は主に道徳的理由だとか何々はいけないとか結構曖昧に伝えます。別に自分は神道及び日本に根付いた仏教やキリスト教とかは許容しますよ。
 ただし、ビギニング(?)学会やT教会をはじめとした宗教の皮を被ったテロ組織や本場キリスト教や本場イスラム教、それに本場ユダヤ教といった古今東西の一神教または多神教は受け付けません。歴史を学べばすぐにわかるくらいおぞましいのですから(恐)。それに規制をかける連中のほぼ九割はこんなおぞましい宗教やテロ組織に配属してます。何故ならアニメや漫画、それにライトノベル小説やSF及びファンタジー小説は宗教の根底を大きく崩してくれますから。
 とにかくそういった連中が規制したり文句を付けるのがアニメや漫画だったりする場合は気を付けて下さい。それは単純に嫌いだからじゃなくて認めると土台を崩されるのを恐れるからやるのです。
 ただしパチンコを規制する事に関しては自分はオーケーです! あそこで流れる金の八割以上は将軍様の財布に入りますから。
 んでちなみに自分はお富さんという老害は大好きですがお駿さんという老害は受け付けません。つーか『いつまでも過去の栄光に拘ってる暇があるなら黙って作品造りに没頭しやがれ』と言いたいがこんな無礼な若造の言葉なんてどんな形であれ『じゃあお前はわしよりも売れる作品を作ってからわしに文句言え、タコが!』と言われるのが落ちです(悲)。
 ついでにたばこは嫌いでたばこの匂いも同時に嫌いなので廃止して欲しいと思う。しかし、それは酒が嫌いだから酒をなくせと言ってるようなもので実際にやったら日本版アルカポネを何人も出しますのでお薦め出来ません。なのでたばこは減税しろとは言わないが増税せずにこのまま販売するべきでしょう。まあたばこがどんな味なのかを知らない自分が言える事はこのくらいしかありません。
 以上でショートストーリーの解説を終えます。

 では二十九話の解説に入る。今回は二部構成の為登場キャラの紹介で解説を終えますね。
 まずは主人公のヤマビコノアリゲルダ。彼は三年前に起きた大地震で三名の幼馴染を失うという過去を持ち、二度とそんな思いをさせまいと大樹型の討伐に参加。三年前と同じく仲間を失うものの見事に大樹型の討伐を果たす。なお彼は三年前から筋肉鍛錬をしており、その為なのか頭は良いとはいえない構造となる。それが三年後に大樹型討伐に果たした役割は大きい。
 次にオタマン・ジャクソン。会計担当だが、その描写は見た人ならわかります(辛)。アリゲルダの幼馴染にして親友。彼がいないとアリゲルダが生きない(?)。物語ではシ紋と同様解説役に回された。
 ヒロイン(?)であり、居る必要があるか疑わしい糸井サク巳。三年前にカバンナに救助された美少女。主にアリゲルダ達の服を作るが、今一存在が小さい気が(苦)。
 組長キキミミノカマキュロス。二十九話の第四パートまで名前を間違えて申しわけありません。真島傭兵団応神支部キキミミノ組の長。ヤ○○の組とは無関係ですよ(笑)。描写されてないと思いますが彼もまた三年前の地震で大切な者達を失った悲しみを背負う雄。なのでアリゲルダ同様、そんな思いを繰り返さない為に大樹型討伐を引き受ける。
 副長正岡シ紋。副長といっても作戦立案と驚く描写(あったっけ?)しかない。オタマン以上に影が薄い。
 組員山一サンショウ五。鴨族と同じくらい三枚目に成りそうな山椒魚族の青年。まああんな訛りでは仕方ない。鴨族並びに山椒魚愛好者一同には申しわけありません。話を戻します。彼も一応腕の立つ傭兵ですが、そんな描写を余り描かない為、今一強さが引き立たない。なおラストでは余り明言しなかったのですが、彼はちゃんと生還します。そこだけは協調するね!
 元国家神武軍者カメレーオ。二十九話であんな事になるなんて(悲)。ただし自分は無駄死には出さないつもりでいます。そこはまあ考えて(苦)。
 操舵士吉良ホエ人。ホエ人は『ほえひと』って読みます。なお名前のネタは吉良の付くキャラを並べたらわかります。今回のMVP。彼がいないと大樹型を倒す事は叶わなかった。ちなみに『世界観補正』の内容は余りにネタバレしすぎて彼が墓場の下まで持っていきました(笑)。
 医師ギッガーン・ダッジャール。『正直戦闘に参加した方が死者が少なくて済んだんじゃない』という意見はやめましょう。それ以外で影が薄い事は申しわけありません。
 医学生チャアダ・ロナウジーニョ。ギッガーンの生徒。驚き役として大活躍(笑)。
 幼馴染カバンナ・ジョンソン。過去編で活躍しましたが今一彼の死が反映されなかったのは申しわけありません。
 幼馴染カニシカ・ジッダマラと山岡イタ造。二名そろって死が反映されなかったことを改めて申し訳なく思います。
 最後に地震研究家ヒトデナシナマズノカミ。藤原マス太と同じく名前は世襲されます。ついでにナマズニュウトとは地震知ってる方ならご存知のあれですよ。
 以上で登場キャラの説明は終わります。銀河連合は銀河連合なので登場キャラの紹介から除外する方向で。他に出てきたキャラは面倒なので紹介を省きました。今回はハッピーエンドです。なので悪い方向に想像するのは良いけどバッドエンドで考えないでください(苦)。
 自分ながら適当ですが二十九話の解説を終えます。

 最近は筆が遅いと自分でも感じる。引き出しが少ないからだとかそうゆものじゃない。少なくとも第一話の頃に比べて勢いが落ちてるな。まだ二十九話を終えたばかりなのに(笑)。まあ勢いなんてもので作品の質が落ちようなら自分はそんな言い訳をするほど底が浅いという事を認めるようなものですよ。
 作品の質は一話からずっと変化はありません! 自分はそう信じます。
 さあそんな無駄な事を書き終えたらほれ、と!

 八月
 十九日~二十四日   第三十話  母はそれでも強い    作成日間
 二十六日~三十一日  第三十一話 雄はつらいよ      作成日間
 九月
 二日~七日      第三十二話 蛇の道は蛇         作成日間
 九日~十四日     第三十三話 蛙の子は蛙         作成日間

 これ以降はパート数が少ない話が連続します。しばらくは中編物は出ない予定です。
 え? 長編物? これについてはもう少し根気が証明されない限りやらないつもりです。
 ではこの辺で。どこでもいいから気晴らしに水泳はするといいよ! ただし法律はちゃんと守ってね。

一兆年の夜 第二十九話 大樹の銀河連合 後篇(六)

 午前七時十分十秒。
 場所はラテス島海底火山南南西付近深部一。大樹型銀河連合のちょうど南側。
 根による攻撃が始まったのは午前六時から。それから一の時以上もホエ人は戦う。
 ホエ人は大樹型による複数の根攻撃を全てかみ砕く--真下、真正面、斜め下などあらゆる方角から一斉攻撃を躱さずひたすら受け続けながらも!
 しかし、彼の肉体は限界に近付く。最初は複数の掠り傷で済んだ。その掠り傷は新たに受けた傷と合わさり、徐々に血の出る度合いを増してゆく。
 そして現時刻午前七時十二分二秒。血は大きな赤い羽を伸すように身体の外へと出て行く! このまま羽が広がれば体内から三分の一が流れて死に至る。ホエ人の脳裏に死がよぎる! 死と共に恐怖が体中に広がり、動きが鈍くなる。大樹型は機会を得たかのように恐怖が広がるホエ人に対してより苛烈な根攻撃を仕掛ける!
 ところが--
「恐怖が体内に増シタナラ僕はそれで良イト感じた!
 何故ならモウ世界観補正を想念ノ海まで持ッテユク準備が整ったカラダアア!」
 独り言を吐いていない--それはここから深部零十六段上にいる二名に届く叫び声であった!
 叫び声と共にホエ人は一切の防御をかなぐり捨て、根の発生源に向かって突撃--加速した時に津波を発生させるくらい大きい力を出して! 体中に無数の根が刺さり、傷口は更に開いてもホエ人の動きに『止まる』という三文字は存在しない。猪型の如く止まる事を知らない速度で発生源の間合いに入ると一気に口を限界まで開き、力強く噛みついた!
 根は一斉に動きを止める。大樹型はこれ以上大きくならなくなった。
 発生源を倒したホエ人は上を向いて--
「今助ケル……」
 深部零まで一気に上るとそのまま十六段上まで力の限り飛ぶ!

 午前七時十三分五十一秒。
 場所は大樹型銀河連合。十六段目。
 アリゲルダとサンショウ五は既に全身傷だらけの状態であった。
 アリゲルダの方は自慢の鱗がもはや防御壁になら無いくらい捲れる。
 一方のサンショウ五は熊型との戦いで受けた傷が予想以上に響く--機動力は衰え、枝攻撃を受け続ける!
 それでも二名は傭兵の意地を懸けて戦い、全てへし折った!
(もうすぐだがん。もうすぐ真正細菌族の出番だがん。後少しっがあ、もう少しっだがあ)
 アリゲルダはカマキュロスに託された袋を背負い、一歩ずつ中枢に近付く。
 だが、大樹型は黙る事を知らずか再び無数の枝攻撃を仕掛ける!
(もう限界だがん。後はたの--)
「恐怖が体内に増シタナラ僕はそれで良イト感じた!
 何故ならモウ世界観補正を想念ノ海まで持ッテユク準備が整ったカラダアア!」
 後は頼んだ--そう思考する前に吉良ホエ人の叫びを聞く!
「アリゲルダ? 聞こえたよね? ホエ人さんの声が?」
「まだ生きてやるっぞ!」
 ホエ人の叫びは二名にほんの少しではあるが大きな前進を与えた--通常よりも速い動きで回避をかなぐり捨てた突進をする!
「痛みがどうだっていう? ホエ人さんはもっと痛いんだ?」
「わしらは中枢に向かうんだがああああん!」
 サンショウ五は途中で無数の枝に絡まれて立ち止まる。残ったアリゲルダは傷が増えながらもなお駆け抜ける!
(あちこちが痛いっで! もう限界だがん!)
 悲観的に思考しながらもなお速度は落とさない。寧ろ更に増してゆく!
「見つけたっぞお! わしの役割はここまでっだ! 後はあんた達に任せたあああっが!」
 中枢の巨大な壁は穴という穴をアリゲルダに見せつける。それは即ち--
(入り込む余地がないっぞお! ここまで来てわしは--)
「水先案内は吉良ホエ人が務メル!」
 その叫びと共にホエ人が信じられない力で現われ、中枢に風穴を開ける突進をした!
「ホエ人さんっが!」
 直後に無数の枝がホエ人を串刺しにした!
 彼の人生はそこで止まる。永遠に……。
「あああああっざ、わしはっがあ、わしはっだがん!」
 傭兵の意地が彼を動かす--ホエ人が命に代えてでも切り開いた門にヤマビコノアリゲルダは最後の力を振り絞って袋の中に入れた!
「が、ああ……」
 そこでアリゲルダの意識は暗い洞窟をかけてゆく……。

 午前七時二十分二秒。
 場所は応神諸島北西応神小島。その中央にある小屋。
 糸を紡ぎながら糸井サク巳はラテス島が見える方角を見つめる。
「あれ? 大樹が力なく萎れる。とうとうみんなは倒した? そうか?」
 疑り深いサク巳は突然現われたもう一つの大樹型を見つめた。
「あれも萎れる。そう。連動してる。やったのアリゲルダ?」
 サク巳は直感で実行したのはアリゲルダと推測。複数の足を躍動させながらサク巳は彼等の無事を祈る。
「アリゲルダをはじめ、オタマンも無事。そうやって祈る。私は二名とそれ以外が過去を清算出来るなら必ず生きて戻る。そうやって信じる。私」
 彼女もまた過去に大きな宿題を残した。
 けれども彼女は宿題を済ませるよりも彼女の一族が代々受け継いできたモノをひたすら守り保つ。
「糸巻きは私の生き甲斐。生き甲斐は過去を背負いつつ清算出来る。私の道はそうやって開く。
 でもアリゲルダとオタマンは異なる。彼等は戦い続ける事で過去の清算をし続ける運命。道無き道。それでも二名は進む。過去と向き合いながら過去を忘れない為。
 だから私は信じる。彼等ならどんな危険でも無事生き残る」
 糸井サク巳の推測には根拠はない。だが、真実として表れる。彼女の吐く真実は現実となる。
 一の日より後に……。




 ICイマジナリーセンチュリー九十四年八月百四日午前七時三十五分五十秒。

 第二十九話 大樹の銀河連合 後篇 完

 第三十話 母はそれでも強い に続く……

一兆年の夜 第二十九話 大樹の銀河連合 後篇(五)

 午前七時二分七秒。
 場所はラテス海。海洋種族用中型船。その甲板。
 キキミミノ組副長正岡シ紋。会計オタマン・ジャクソン。医師ギッガーン・ダッジャール。ギッガーンの生徒チャアダ・ロナウジーニョ。
 四名が見つめる先はラテス島海底火山に住み着く大樹型銀河連合。大樹型は現在も異様な雰囲気を甲板まで届かせる。
 堪えきれないのかチャアダが口を開く。
「五名とも生きてるでちょうか?」
「生きてるさッケロ。特にアリゲルダは俺の親友だッケロ。あいつが死ぬようなら大樹型を倒すことなんか出来るかッケロ!」
「立案した我が言うのも何だがい、この作戦の成功率は極めて低い。十割は下回るい。それでも送り出す理由はわかるよない?」
「まさか乗り切れると信じてるのでちゅか!
 無理なことをどうしてするのでちゅか!」
「やめておけ。無理奈羅最初科羅断る。けれども君達二名尾含めて七名牙承諾した理由端藤原海洋出発生した不比等村牙食われる事件。それだけ出端ないだろう?」
 チャアダはギッガーンの言う不比等村が食われる事件について初耳だった。
「何でちょうか?
『不比等村が食われる事件』というのは」
「我が説明しようい。あの事件はちょうど三十の年より前に東藤原海洋で発生した不比等村の住民全員が近辺の島々で死体となって発見された事件い」
「死体! ど、どうゆうことでちゅか?」
「驚くのも無理はないかッケロ。俺が産まれる前の話だから馴染みは薄いけどあの事件でとある有名な種族が途絶えたッケロ」
「どんなしゅ……もしかちて伝説の藤原……えっと?」
 チャアダが頭の中で単語を探す暇もなくシ紋は--
「藤原マス太い。人族のバルケミンい、梟族の蘇我フク兵衛い、鯨族の吉良と並んで最も知能の発達した一族い。彼等の研究成果は歴代毎に違いはあれど全てが他を圧倒する論文ばかりだい!
 我みたいな知識に偏った者でも藤原マス太達の伝統芸能は真似れまい。そう思えるほどにな!」
「熱く語るよう駄奈。彼等乃功績似ついて端語る斗日牙暮れる科羅止め似入る。
 本筋端不比等村牙食われる事件乃方だ。あの事件出死体弧楚見つからなかった牙間違いなく海洋藤原乃血端途絶えた」
「それがどんなに--」
「まだわからんッケロ? あの事件で偉大なる知能の一つが永遠に現われなくなったんだぞッケロ!」
「わかりまちたよ! ってそれじゃあ僕達はこれから他三家の知能に頼らちゃるおえないの!」
「そうなるなッケロ。でも他三家はそれと言って功績が--」
「話を戻すい。その事件がどうしてキキミミノ組が無理に近い頼み事を引き受けざるおえなくなったかい? それはあの事件では不比等村以外で食われたモノがあったい!
 付近にあった海底火山い!」
「ええっ! 何か話が飛んでま--」
「実は不比等村が食われる原因は海底火山が噴火した事にあったい!」
 チャアダの疑問を無視するかのようにシ紋は説明を続ける。
「ちょっとま--」
「五月蠅い! 後で聞くから黙って我の話に耳を傾けい!」
「ということッケロ。副長は一度話し出すと止まらない蜻蛉だッケロ」
「理に尽くちゃない」
 チャアダは下を向く--質問を聞いてくれなくて少し意固地になる。
「火山噴火時はちょうど櫛灘彗星が夜空に現われる日であったい。それが不比等村が食われる事件へと繋がるい。あの噴火は本来は彗星が現われると共に火山活動が大きく活発しなければならない!
 しかし、こともあろうに銀河連合は火山を乗っ取ってしまったい! その結果が予定より遅く噴火したい」
「あ、あの。もう喋っていいでちょうか?」
「いいぞい」
「噴火した事で不比等村が食われたのはわかりまちた。
 ですけど、噴火と大樹型がどう繋がるのかわからないでちゅ」
「ああい、その事についてはオタマンがよく知ってるはずだい」
 話を振られたオタマンは目玉を左右上下に動かす--何から始めればいいか悩んでいる様子だ。
「でッケロ、でッケロ、では三つの学説を簡単に説明しますッケロ。
 まずは仁徳島に住むアデス羊族のメエメエ・メヒイストによると火山にかかる貸借対照表が生命側と銀河連合側を比較して対外火山灰が銀河連合に傾いた為に世界中に大樹型の種子がばらまかれッケロ、それが大樹型へと繋がったという説ッケロ」
「いつ聞いても無理が有り過ぎる説だよい!
 何で経営関係に必要な貸借対照表が地学関係で使用されるのか訳わからんぞい!」
「続いては同じく仁徳島に住む仁徳鬼族の鈴村きね正の説ッケロ。
 それによると海底火山を乗っ取った銀河連合は櫛灘彗星の放つ未知なる力を火山力に盛り込みッケロ、不比等村の住民を死なせると同時に世界中の至る所へと真正細菌型の大きさくらいしかない種子型を風や雨雲に乗せてばらまいたッケロ」
「利似適いそう出何科異なる。そもそもどうして大樹型似変化した乃科牙説明されてない」
「最後は武内大陸に移住したばかりの仁徳人族のフルハタ・バルケミンの怪説ッケロ。
 拠点型の発展を促す為に銀河連合は大樹型をばらまく。彼等が大樹型を造れる理由は別世界で大樹型に関する成長過程を知ったからッケロ」
「確かに怪説でちゅ。別世界なんて僕らが知る訳ないでちゅか!」
「とまあこんな感じで良いでしょうかッケロ、副長ッケロ?」
「会計のオタマンが説明出来ない以上はお手上げだい。
 ただはっきりする事は……」
 シ紋を初めとした四名は視線を大樹型に集中させた。
「……銀河連合なら木にだって成れるい。不比等村を本当の意味で解放するのならあの大樹型を倒す以外に通は無い。いつだって我等は過去に残した宿題を済ませなければならない。
 今がその時だい!」
 オタマンを除く三名の目には何かの決意が込められる--例え叶わない事であっても諦めない。どんな結末であれ最後まで戦うという決意の目であった!
「この戦いが終わったら俺はやり残した会計を全て済まさないとッケロ!
 ……格好が付かないなッケロ、俺ってそうゆう者ッケロ」
 小声でそう決意するのはオタマンであった……。

一兆年の夜 第二十九話 大樹の銀河連合 後篇(四)

「カメレーオさんがっず、カメレーオさんがん!」
 均衡が揺らぎ始めた果物の生えた枝。アリゲルダは必死でカメレーオ型銀河連合を枝に叩きつけるが、その度に舌に絡め取られ、振り落とされかける!
「もうカメレーオさんには戻らなっが! こんな現実をわかってもわかっても--」
 アリゲルダはそれでもカメレーオなら我を取り戻す事を信じる。
 だがカメレーオと呼ばれる傭兵はもうそこにはいない--アリゲルダの五体の一部を食らいつく為なら振り落としたり、締め上げたり、急所を突くなど何でも仕掛ける!
 アリゲルダはそれでも諦めずにカメレーオ型を投げ飛ばす--カメレーオがそこにいる事を信じて!
「はあはあはあっざ、強すぎるっぞん」
 糸井サク巳手作りの衣装は破け、秘部以外の全てを露出しながらもアリゲルダは説得する!
 とうとう--
「ぐっず! があっがが--」
 逆に関節を極められる--通常鰐族が使用する関節技ではあるがそれに加え、舌によるまき付けを加える事で長い口を押さえつけた!
(まずっがあ。前の両足が捻り回転でっじ、あちこちに良くない音っが! くるくるくる--)
 アリゲルダは意識を暗闇に放り込もうとしていた!
 その時だった--下から巨大な影が枝ごと食らおうと上昇する!
「こんな高さなど鯨族ノ跳躍を以テスレバ容易だ!」
 海中でアリゲルダの危機を察知したホエ人が鯨族の底力で果物の生えた枝まで跳躍--顔面で下から衝突し、そのままへし折った!
 衝撃で関節技を解かれたアリゲルダは左回転しながら尻尾攻撃をしてしまいカメレーオ型を突き飛ばす!
「ガッハあ……しまったがん! カメレーオさあああんだがあ!」
 カメレーオ型はホエ人と同じ速さで落下し、海中に叩きつけられた!
 その様子を折れた枝の内側に立ちながら眺めたアリゲルダ--瞳からは気付かぬうちに涙が濁流の如く溢れる。
「わしは救えなっがあ。カメレーオさんを救えないっじい」
 アリゲルダは死にそうになりながらも最後までカメレーオが我に返る事を信じた。
 けれどもそれは夢幻に過ぎなかった。カメレーオ型が海中に叩きつけられ、追撃するようにホエ人が正面から胴体ごと食い千切られた今となっては。

 午前五時二十八分六秒。
 戦闘は終了していた。周囲にいる銀河連合は一体残らず生命活動を停止。
 だが--
「組長?」
 キキミミノカマキュロスの五体は機能しない--両刃はもう無く、後ろ中両足はもぎ取られ、右眼は垂れ、胴体には巨大な穴が三つ。
 救援に来た山一サンショウ五が駆けつけながらもカマキュロスは組長の意地で多数を相手した為、とうとう肉体の限界を超え、それをついた熊型によって胴体に三つの大きな風穴を開けられた。
「組長? 大丈夫ですよ? 熊型は僕が何とか倒しました?」
 サンショウ五は熊型によって後ろ左足に傷を負いながらも頭を掴み、首筋に噛みつく事で倒した。
「お前、の、いち、ぞ、くのス。喋りで……があああス!」
「組長っだあ! もう喋るのは止してくださっだ!」
 黙祷を終えたアリゲルダはカマキュロスの方に駆けつけた!
「ああス? かめ、れ、お、さ、はス?」
「無事ですっず。今頃はホエ人さんが彼を心身共に支援してますっず」
 アリゲルダは本当でない事を口にした。
「……た、の、ぅぅ。しんせ、い、ぁ、ぃ、ぃ、ぃぅ。族を……」
 カマキュロスは想念の海に旅立つ。カメレーオと共に。
「組長ウウうううう? 組長うううう? 腰砕けはやめてくださああああい? 返事してくださあああい? 何とか言ってくださあああい? くみちょおおおおう? クミチョオオオオオウ? クミチョオオオオオオオオウ?」
 サンショウ五は悲しみを抑えるべき叫び続ける。
 一方のアリゲルダは黙祷する--カメレーオの死を悼む時と同量の涙を流しながら。

 午前六時零分二秒。
 カマキュロスを弔った二名は切り札である袋に何かを語る。
「二名は先に海へ還ったがん。二名の死を意味ある物にする為にもわしらは運ばねばならっず」
「僕達はいつまでも組長やカメレーオさんの死を悲しめない? 悲しむ暇があるなら今の内に中枢部分までよじ登る? そうだろ? アリゲルダ?」
「そうだがん。わしらは歩を進めるのみっぞお」
 語り終えた二名は袋を背負って中枢目指してよじ登る。
 だがその前には無数の枝が行く手を遮る。
「そんなのはわかってた?」
「山椒魚族の訛りは鴨族同様に気が抜けっず。でもそれでいっぞ!」
 二名は迫り来る大樹型の一部と戦いながら中枢目指して駆け上る!

一兆年の夜 第二十九話 大樹の銀河連合 後篇(三)

 午前三時五十五分二十八秒。
 アリゲルダとカマキュラスは五段上までよじ登り、カメレーオがくれた情報が正しいかを確認。
「種類が多いぞス。舌の長いのはカメエオンだス。どうやら周囲を警戒する必要が高いなス」
「組長がん。わしが確認したところ十は上ったがん。先程のカメレオン型だけでなく蟻型っだ、蜘蛛型っだ、蠍型っじ、熊型までいるぞっど。他には猿型と蜻蛉型と百足型と鍬形型と……んっず? 短命で有名な蝉族の形態までいるっざあ」
「蝉型ス! あいつらの特性から考えて混合型が複製型も出てくるぞス!」
「やりにくいがん。特に複製型は弱いのを複製するなら良いけどっぞ、強いのを複製されたらひよっこは直ぐ倒されてしまっだ!」
「だなス。後はカメレーオがくれた情報に……あったス! 銀河連合は果物の木まで成れるのかス。これはどうしようものかス」
 アリゲルダは無言で--ここはわしに任せろ--という合図を送る。
「そろそろ行こうかス! 俺は出来る限り奴等を惹き付けるス!」
 両刃を引っかけながら鳴らす音を合図に二名は飛び出す!

 午前四時零分四十七秒。
 サンショウ五とカメレーオは--
「果物は拙者が食べないと?」
「死ぬのと同じだよ? 僕達は加勢だけすれば--」
 二名は先によじ登ったアリゲルダとカマキュラスの後を追う!
「アリゲルダと組長のどちらかが食べてもいいのか? 拙者は御免被る?」
「それも良くない? でもね? 僕は--」
「どのみち拙者らは誰かを死なせる行為に及ばなければならない? ならば拙者がその役目を果たすのだ?」
「どうしてそう考える? 軍者から傭兵になる切っ掛け?」
「別にそうじゃない? 拙者は前に指摘された事がある?
 『アリゲルダは拙者に似てる』と? 最初は認めていないものの仮眠した後になって--」
「その話は後にしよう? 僕達は必ず生きて帰らないといけないから?」
 カメレーオもまたアリゲルダと同じく救える生命を死なせた過去があった。だが、カメレーオ本者の口からどんな過去なのかを吐き出す事は永遠にない……。

 午前四時二十二分五十八秒。
 カマキュラスは苦戦する!
「数が多すぎて神武包丁を変える暇がないス!」
 熊型との直接対決を避けつつも蟷螂族独特の構えで次々と倒してゆく。
 しかし両刃に装着した包丁は既に八割以上は錆びており、カマキュラスは劣勢に追い込まれる。
「俺より早いのが何体もいるから中々一対一にならないス!」
 一方のアリゲルダは果物が生えた枝に乗るものの--
「何故果物を守るっぞ! 中々辿り着けないがん!」
 蟻型と蠍型、それに蜘蛛型が合計二十体アリゲルダに襲いかかる--果物を守るように!
(こんな考えは好きじゃないがん! 果物を守って倒された後に俺に果物を食べさせて……やっぱりそんなのは罪深いっじ! 只でさえわしらは死なせるという罪深いことをしてるのにこんなことまで考えたらもう死ぬしかなっがあ! 今は只進むしかなっぞお!)
 得意の関節技で外殻の堅い相手も内側に強い衝撃を与えて倒してゆくが、アリゲルダもまたカマキュラス同様に劣勢となる。
(さっきからこいつらの動きが良くなってっざ! 学習するって知ってるがまさかここまで思い通りに行かなくなっだあ! 万事休すなのがん?)
 その時だった--枝から枝へと赤く細長い物を駆使してアリゲルダが乗る枝に飛び移る影を!
「カメレーオさんっが!」
 カメレーオは無言で頷きながらアリゲルダの背後に立つ!
(了解しまっざ! 後ろは任せますのでわしは前方の二体に集中しよっぞ!)
 前方の二体--両方とも蟻型である。だが成人体型が一とコンマ三を超える。
「蟻族の特性を知ってるかどうかを命がけで試させてもらっがあ!」
 左側に向かって捻り回転をしながら突進! 左方は横に避けながら右方に合図を送る。それに気付かないアリゲルダではないが、それでも同じ相手に突進し続ける!
(間合いを詰めて……いやわしを海に突き落とすのっが? いやいやそうじゃないのだがん?)
 アリゲルダは突進を避けられながらも出方を予想する。
(銀河連合と心を一つには出来ながん。何せあいつらの心文字はないのが常識っざ。
 だけども予測は出来っぞ! それはわしら生命体が考えないことを--)
 アリゲルダが捻り回転を使用とした瞬間、左方の蟻型は間合いを詰めながら頭上から鰐族と同様の動きを真似ながら食らおうとした!
(これは予測出来ないがん! だがん、それがわしの狙いっだあ!)
 左方がアリゲルダの左前足を噛みつくと右方が下から首筋目掛けて噛みつく!
(首を噛まれたがん。分もかけずにわしの頸動脈は引きちぎれるっど。
 けれども分をかけないのはわしも同じっだ!)
 アリゲルダは二体に噛みつかれるのを確認すると五の秒も経ずに右螺旋回転飛びを始める--回転すればする程噛む力が重くなり、死を免れない。
 その回転数は一の秒にして十以上。すなわち--
(どんな生命だって意識を暗闇に送られることはあっだ!)
 二体は意識を遮断した形になり、着地したアリゲルダは正面から一体ずつ蟻型の首を切断して倒す。
「はあはあっざ。カメレーオさんは無事だろっが?」
 アリゲルダはカメレーオの居る方角に身体を向ける。そこは銀河連合全てが事切れ、カメレーオが舌で果物を乗せる。
「良くないっだ! それを早くわしの方に--」
 投げて下さい--咽から発する前にカメレーオは一気飲みをする!
「心配するながん。拙者はこのくらいで死な、死な?」
 カメレーオの表情はみるみるうちに変化--顔中の細胞は崩れ、前後両足の皮膚は骨を剥き出し、目ん玉は原形を留めずに枝の下方に落ちてゆく!
「カメレーオさんっざ?」
 真鍋傭兵団応神支部の知るカメレーオは永遠にいなくなる。そこに立つのはカメレーオの姿をした銀河連合だった……。
「カメレーオさああああんが!」
 カメレーオ型銀河連合はアリゲルダに襲いかかる--カメレーオの戦闘力そのままに!

一兆年の夜 第二十九話 大樹の銀河連合(二)

 午前三時十三分十四秒。
 アリゲルダとサンショウ五、そしてカマキュラスの三名は比較的安全な場所に着くと四十五の分ごとに交代しながら計一の時と三十の分程睡眠をとる。
「組長っぎ。余り眠れないっが」
「俺もだス。いくら変温体質でもここまで眠れないのは傭兵という職業上の性なのかス?」
「そう? 僕は眠れましたけど?」
「サンショウ五さんは最初だけ見張りをしていたから後は眠り放題だよっだあ」
「んス? 誰か来るス!」
 三名の頭上より成人体型一に満たない影が無数の枝を長い舌で駆使しながら降りる!
「カメレーオさんがん! まさか仮眠をとる為だがん?」
「そこでそんな考えが浮かぶとはっだ! 主も意外と頭が良いかもしれんだがん」
「仮眠をとりたい気持ちはわかるがス、その前に報告を済ませろス!」
「せっかちな雄だなス、組長はス。いいだろうス。
 実はここより五段上を確認してみたス。そしたらそこには十種類以上の銀河連合が数百待ち構えておりス、なおかつ各枝には果物のようなモノが生えてあったがス」
 果物--本来なら喜ぶべき食べ物だがここは銀河連合。大樹型に生えるモノが本当に果物であるかどうかは長年受けてきた仕打ちを考察すれば自ずと良からぬ結果が待ち受ける。
「例に食べるには僕の覚悟が足りない?」
「恐怖で筋肉が縮こまるなっど! だけどわしは傭兵として生きてきた以上はそんな恐怖だって背負うっぜん!」
「余り背負い込むなス。恐怖を背負うのは何もアリゲルダだけじゃないス。俺もまた背負ってるス」
「組長ス? 拙者はそろそろ寝るべきかなス?」
 カメレーオの両眼は瞬きを繰り返す。状況がどうあれ、カマキュロスは--
「後で起こすからおよそ四十五の分くらい寝ろス!」
 寝るのを勧めた--カメレーオは反応するように右横に倒れ込み、両眼を瞑る。
「しばらくの間ス、サンショウ五はカメレーオを死守してくれス!」
「は、はい?」
「わしはどうすれば--」
「お前は俺と共に果物が生える枝に向かうぞス!」
「二、二名では危険じゃないでしょうか?」
「心配すんなっどう、サンショウ五さん!
 わしと組長を誰だと思うのですかっぞ! 泣く子も黙る真鍋傭兵団屈指の百戦錬磨であるぞっど!」
「いやここにいないホエ人を含めて全員だろス? だが必ずしも外れでないのは事実だス!」
 アリゲルダとカマキュラスはサンショウ五に向かって右前足(右刃)を頭上に翳した!
「そ、それなら安心かな? まあ死なないように?」
「大丈夫だがん! わしらは死なんっぜえ!」
「笑顔で戻るス!」
 二名は眠るカメレーオとそれをひたすら死守するサンショウ五に背を向け、数百もの銀河連合が待ち構える五段上によじ登る!
(わしはここで気付くべきだったがん! ここに向かう事こそ悲劇の再開であるというのをっごお!)

一兆年の夜 第二十九話 大樹の銀河連合 後篇

 ICイマジナリーセンチュリー九十四年八月百四日午前零時二十五分一秒。

 場所はラテス島海底火山。そこに巣くう大樹型銀河連合入口。
 アリゲルダが現在に切り替わる時、眼前には無数の枝が蝸牛族の速度で接近!
(はっどぞ! これはっが?
 わしはさっきまで夢を……って今はそうする訳には--)
 アリゲルダの思考が現在に戻った瞬間--枝は速度を上げて串刺しにしようとする!
「筋肉鍛錬した鰐を甘く見るながん!」
 アリゲルダは鰐族独特の捻り回転で串刺しを避けると、勢いよく枝の一本を掴み
ながら避けた時とは逆方向に捻り回転を行い、引き千切った!
「やるじゃないかス、アリゲルダス!」
 声をかけたのはキキミミノカマキュラス--彼もまたアリゲルダと同様に過去へ
記憶が遡った後、現在に戻ると無数の枝を両刃で捌きながら隙の出来た枝を交差
するように切断!
「さすが組長ですね?」
 疑問するような訛りが特徴の雄は山一サンショウ五--アリゲルダとカマキュラス
と同じような体験をした後、無数の枝の一つを掴む事で他全てを避け、そのまま噛み
千切った!
「危ない雄だよ?」
 前に喋った者の真似をする訛りが印象的なカメレーオ--同様の体験をする事
なく普通に避けるとカメレオン族の十八番である背景と同化するように体中の色を
変化させ、無数の枝の追撃を躱す!
「せこいやり方ダナ、カメレーオ!」
 特殊な周波で相手に耳に伝える者は吉良ホエ人--枝の攻撃を受けるが、血が
流れる場所に届く寸前で全てを力尽くで食らい尽くした!
「後で吐き出して下さいっぞお、ホエ人さんっがい!」
 大樹型の初撃をそれぞれのやり方で凌いだ五名は残った二十を上る枝を一つ
ずつ丁寧に倒してゆく!
「組長がん! 包丁の方は大丈夫でしょうっがし!」
「今のところ刃毀れは少ないス!」
 カマキュラスが装着するのは蟷螂式神武包丁--現在は中条獏の婿養子に
なった武内人族のバルダンが雄略の集落で技術者集団に弟子入りし、そこで十の
年まで技術を磨いて国家神武に来ると新たなモノ斬り包丁の開発計画を始動。
その計画で誕生した刃毀れが少なく、切れ味が良い武器。
(ただしっが、耐久性を削ったから使い手が上手くないとすぐに折れてしまうがん)
「ところでここからドウスル?」
「そうダナ。拙者は偵察ノ方が向クシ、このまま身体ヲ動かしたいが」
「僕達三名は戦えばいいけど他二名は異なるよね?」
「ここは組長である俺が決めるぞス!
 まず俺とアリゲルダとサンショウ五は例の者を死守しながら中枢に潜るス!
 カメレーオは地上から大樹型を偵察せよス!
 ホエ人は海から大樹型とその周りを偵察せよス!
 もう一度言うかス?」
「いや結構ダヨ!」
「わしらはいつも通り銀河連合を倒してゆくぞっどお!」
「拙者は先に命令された事を実行するがん!」
 カメレーオは身体の色を変化させながら飛び跳ねてゆく!
「じゃあ僕達も行くね? ホエ人さんは気を付けて行ってらっしゃい?」
「サンショウ五が言ウト気が抜けてシマウヨ」
 ホエ人は狭い中、大樹型の周囲を偵察しに海へ潜った!
「じゃあ行こうかス! 銀河連合は待たしてはくれないス!」
 そして三名は中枢に向かって枝の上を跳ねながらよじ登る!
(わしは今度こそやるんだがん!
 もうカバンナを救助出来ないわしとはおさらばしなければ意味がないっぞん!)

一兆年の夜 第二十九話 大樹の銀河連合 後篇(零)

 ICイマジナリーセンチュリー九十三年十一月百日午後八時六分。

 場所は応神諸島南東応神小島東地区二番地。その中で一番大きな建物。
 齢十九にして三日目になる応神鰐族の少年が十二組目の腹筋を始めていた。
「百二十八っが、百二十九っど……」
 そこに齢十八にして六の月と十二日目になる応神河馬族の少年が呆れた顔で
現われた。
「また筋肉鍛錬グバア? いい加減に飽きたらどうグバア」
「口が大きいっど! 全くカバンナはどこまで面白い顔付きだっざ。百八十七っじ……」
「口が大きいのは河馬族の伝統グバア! 噛む力ならアリゲルダに負けないグバア!」
 齢十九にして二の月と三日目になるエピクロ蛙族の少年と齢十六にして六の月と
三日目になるエウク蜘蛛族の少女が飛び込むように現われた。
「どうしたグバア? そんなに急いでグバア?」
「じッケロ、実は地震速報を伝えに来たんだッケロ!」
「南南東小島近海で暮らすヒトデナシナマズノカミが明日中に必ず地震が発生」
 それを聞いたアリゲルダとカバンナは慌てて双方とも口が交差するように
ぶつかる!
「いでっでえ! カバンナは口が大きいから好きじゃないがん!」
「お前が言える口グバア! お前の場合は口が長くて世を遮る事ばかりす--」
「おいおいっち、喧嘩は止めとけっち」
 何時の間にか齢二十にして六の月と二十三日目になる仁徳鼬族の青年が齢十七
にして十二日目になるルケラオス蟹族の少年と共に部屋の中に入り込んでいた。
「いつの間に来てたんだッケロ、イタ造先輩とカニシカッケロ!」
「はアリゲルダとカバンナがさ抱き合う時にはこっそりとみ。はあれはさ良い見物み」
「生意気な後輩だっぞ! 真鍋傭兵団で最も好かん雄だなっぞ!」
「ところで本当に来るのかグバア? そうなるとまた津波の被害が--」
「神様の怒りっち、あるいは神様の生理と呼ぶだろうっち?
 わてがいくら学者でも地震の予測だけは無理だっち」
「だから応神鯰族の地震研究家であるナマズノカミさんが深部五以下の所で暮らし、
事あるごとに素早く私たちに伝える」
「たまに外れる場合もあるから油を断てないんだよなッケロ」
「外れたっていいさっぞ! それも良い方向に外れてくれたらわしはそれでも
構わないがん」
 アリゲルダは十三式目の腹筋を始めながら仲間との温かみを考える。
「アリゲルダ? 別れは突然起こる。それは覚悟する?」
「はサク巳ささんみ。は吉でないことはさあまり言うものじゃないですよみ」
「御免なさい。私はいつも悲観的に思考する」
「まあ悲観的になる気持ちもわからないわけじゃないっち。わてだってそうゆう時期は
あったっち!」
「イタ造先輩がそんな時期があったなんてっが!
 生命は見た目で判断できないっがん!」
「お前もそんな感じだろグバア!」
「筋肉鍛練中だっぞ! 数を間違えたら噛むっぞお!」
「やってみろグバア! この応神河馬族のカバンナ・ジョンソンをなめるなグバア!」
「喧嘩すんなッケロ!」
「ははさはみ、は二名は相変わらずでさ安心できるよみ」
(これは走馬灯っが? どうして今更こんな--)

 十一月百日午後十一時五十三分二秒。
 応神諸島全域で震度六弱の地震が発生。範囲はナマズニュウト七とコンマ五。
 大半の建物は瞬く間に崩れ、形状を保つ建物の多くも応神諸島に降りかかる津波
により力尽くで流される。
 半壊した建物から無事に脱出した応神鰐族の少年ヤマビコノアリゲルダは追い
打ちをかけるように崩れかかる建物群に止めを刺すように津波が流すのを目撃。
(ああっず! わしはなんて無力だっぞ! 筋肉鍛錬に夢中で多くの生命を死なせて
しまうなっぞ!)
 後悔しながらもアリゲルダの肉体は自然と生命救助の為に動く--十五の年から
真鍋傭兵団に所属し、数百に上ろうとしていた活動経験が無意識下で反応する。
「わしは真鍋傭兵団応神支部のヤマビコノアリゲルダがん!
 聞こえていたら返事しろっぞ! 今すぐに救助すっぞ!」
「……げるだみ」
 アリゲルダが脱出した建物より北東方向から声が発した。
(この声はっが? あっちだがん!)
 アリゲルダは叫び声が聞こえた北東へと成人体型六十六を九の秒台で駆け抜ける
速度で匍匐前進しながら探索!
「どこにいるっぞ! その訛りは蟹族だなっぞ!
 わしにわかるように何か……ああがあ? 何だっぞ?」
 彼は見てしまった--木の瓦礫が針鼠族のように地面に倒立しながら崩壊した
建物からアリゲルダの後輩にして十四の若さで真鍋傭兵団に入団したルケラオス
蟹族カニシカ・ジッダマラの右鋏がひび割れた状態で助けを乞おうとする姿を!
「カニシカがん? 聞こえるかっが?」
 肝心のカニシカに反応はない。アリゲルダが長い口で挟んでも。
「カニシカは死んだっち。あきら……グブ!」
 アリゲルダの背後にやっとの思いで立つのは一つ年上の先輩傭兵にして
仁徳鼬族の山岡イタ造。彼は津波に流された影響で右肺が潰れ、今にも死にそうで
あった。
「先輩っぞ! 今は間に合うからすぐに--」
「がぶああ! はあはあっち、どんく、ら、っち、はい、たかな……」
 イタ造は樽一杯分の血を吐いた後、仰向けに倒れた。
「先輩っがあ! 腰砕けは止してくださ--」
「諦めようッケロ。先輩を楽にさせてくれッケロ」
 アリゲルダの右横からオタマンとカバンナが現われた。
「オタマンとカバンナは無事かっど!
 あれっが、サク巳さんはっず?」
「俺達は散々探したけどグバア、見つからず……んグバア?」
 助け--止めるような訛り遣いを三名は聞いた!
 先に反応したのは--
「応神諸島一の美雌を死なせてたまるグバア!」
「待てカバンナっが! 先に二名を弔う方から--」
 その先を言おうとするがアリゲルダは津波が迫る音を北北西の方向より聞く!
「無茶だッケロ! そこはサク巳ちゃんの声が聞こえた方角ッケロ!」
 二名の体はそれでも生命救助の為に働く--傭兵としての本能がそうさせるよう
に!
 一方のカバンナは大きな口で木の残骸を次々と砕く! 糸井サク巳を発見すると
すかさず口で挟みながらさっきまでいた方角に投げ飛ばす!
「カバンナさん!」
「美しい子を死なせる雄は良い雄じゃないグバア!」
 飛ばされたサク巳の踏み台になるようにオタマンは滑り込んだ!
「助かったッケロ!」
「ありがとう。でも早くカバンナさんを助け--」
「カバンナああああがあん!」
「俺はこんな所で死ねるグバア!」
 カバンナは成人体型百三十三を十の秒台で押し抜く津波から逃れようと足に力を
込めて走るが--
「わしに掴まれっがん! そうすれば津波の威力を少しでも--」
「俺達は津波の影響が少ない場所に逃げるッケロ!」
 オタマンは救助したサク巳を連れて左端の散乱した木々に隠れた!
 一方のアリゲルダはカバンナの大きな口を長い口で挟もうとするが--
「カバン--」
 時既に遅かった--津波はカバンナ・ジョンソンの五体全てを紙破りの如く呑み
込んだ!
(カバンナの口からっが、御前右足からっぞ、目からっぞ……)
 アリゲルダは鍛え上げた肉体と津波の当たる方角が幸いしたのか呑まれながらも
軽傷で済む。
(カニシカっがあ、イタ造がん、そしてカバンナっどお。
 もうあんな思いはさせな……)
 アリゲルダの見る光景は過去から現在へと移る……。

六名目あるいは鯨を除く九名目は一体?

 どうも今回もweb拍手を貰いまた嬉しいdarkvernuです。
 今回は試作品をどうぞ。

 格付士……それは世界中のあらゆる物事を正確に定義づける者達。
 彼等は公式に格付依頼された物事しか定義づけない者もいれば、非公式に定義づける者もいて、更には公私問わず趣味の範囲内なら何でも定義づける者もいる。そうゆう連中に共通する者は居たってシンプルにレッテル貼り。物事を勝手に定義づけるという事故に皆から嫌われ、憎まれ、蔑まれる。
 そんな格付を存在意義そのものにする者がどことも知れぬ宇宙を鯨と共に漂う。宇宙空間でも字を起こせる筆で宇宙空間でも凍り付かないノートに何かを書き込みながら。
「99にチルドシステム。マザーシステムも勝手な奴だ。分身を門番に当てるなんて。えっとこいつの能力も書き記さないと。確か俺達の中で最も弱い……と」
 彼は宇宙空間でも回転し続ける無数の文字が書き連ねた経典を寝食時でも身につける。
「これで今日の格付は終わろうか、アルッパー?」
 アルッパーとは彼が乗ってる知能が極めて高い巨大な鯨。
「俺が知ると思うか、二本足の分際で!」
「デュアンだ。俺の名前はデュアン・マイッダー。マザーシステムからは格付のデュアンって呼ばれるぞ」
「二本足の名前なんか知らん。それよりも膨らみの大きい雌の二本足を食わせろ! 何ならお前でも--」
「落ち着けよ! 俺を食らえばお前は無事では済まんぞ!」
「そ、そうだな。二本足どころかこの宇宙が壊されてしまう」
 一応デュアンの方が実力では上だ。それでもデュアンは滅多な事ではアルッパーと喧嘩しない。何故なら彼等が強すぎるからだ。
「全く困った存在だよ、門番ってのは。俺とアルッパーも大概常識を知らないとはいえだ」
「それで達観したつもりか二本足! そんな事よりさっさと雌の二本足を食わせろ! でないと隕石を食っちまうぞ!」
「何でも食う奴だ。アルッパーも10のゲドルも」
「フラックを忘れてるぞ! あの膨らみの大きい二本足の雌を!」
「ノーサンキュー! あれは青少年に宜しくない女だ。名前に出すなよ」
「お前が言うか! どれか知らんノートにオゲレツな物も書くお前が!」
「格付は人生だから仕方ないでしょ」
「勝手に格付するのはいいからさっさと二本足を食わせろ!」
「あんまり騒ぐな。この宇宙にはよりにもよって1のブラックレイピアがいるぞ! 聞こえたら無事で済むと思うか?」
「そ、そうだな。あいつに乗っ取られるのは気分が悪い。
 じゃ、じゃあ別の宇宙に飛ぶか?」
 アルッパーは口から光線を出す。照射された空間が歪み、ワームホールを形成する。そこへ向かって光以上の速さで突っ込む!

 別の宇宙に飛んだデュアンとアルッパーは適当に迫り来る宇宙戦艦10艦隊分を僅か一秒足らずで沈めた後、何もする事がないのか漂っていた。
「暇だな、アルッパー。何か芸をしろよ」
「俺が寝たい時に限ってお前は声をかけるんだから!」
「だってやりたい事は今日中に済ませたし、しょうがねえだろ?」
「お前は嫌いだ。いつか必ず食って--」
「その時は本気で鯨肉にすんぞ、アルッパー!」
「出来るもんならやってみろ! 俺すら倒せない癖に!」
「倒せるけど何年単位まで戦うかわかんないからやらんだけだ。俺達門番は84のゴールドから1番弱い99のチルドシステムまで実力がほぼ五十歩百歩に等しいし、面倒だよ」
「一番強いのは欠番だろ? どうして名前を出さない!」
「初めからない欠番に最大悪が取り憑いたヴァルゼルオンに悪逆非道のブラックレイピアに臆病者のサダスは論外だ。俺だってあいつらとタイマンしたら確実に負ける」
「俺も結構だ。サダスには一度コテンパンにやられて全ての種子を取り除くのに苦労したもんな」
「だろ? あーあ、そんな事よりも暇だよ。何か芸をしろよ、アルッパー」
「一つ気に入らない事があるんだが」
「会話がなって--」
「どうして門番は二本足ばっかなんだよ!」
「知るか! 俺の届かない法則がそうさせたんだろ?」
 彼等は旅をし続ける。ある者は食べる以外の事を探しに。ある者は格付に己の存在意義を見出す為に。彼等の旅に終りは来ない。
 人と鯨の枠を超えてしまった今となっては……


 タイトル名は

 格付けの旅

 主人公は格付士デュアン。彼は格付に己の存在をかける変わった男だ。
 彼と共にいやいやながらついて行くのが巨大鯨アルッパー。大好物は人間。特に胸の大きい女を食べるのが好きな変態。いや動物が変態でない方がおかしい話だね(笑)。
 話は変わりまして今回こんな話を出したのは一重に時事ネタが思いつかなかった事とこれからやるショートストーリーをどうするかを決めたかった。
 というわけでこの試作品をこれからちょくちょく話を載せていきますのでどうかデュアンとアルッパーの応援を宜しくお願いします。
 ちなみに前出した二本の試作品は自分の技術がプロ並みになったという実感が湧くまでブログに載せないのと別の形でいつか出す予定だよ。ただ言える事は両方とも出版社に持ち込んでも僅か一行読んだだけで返される可能性が高いという事だよ。世の中は上手くいかないというのは誰よりもわかってしまい、出す自信が沸かないんだよ(苦)。
 そんなこんなでショートストーリーの解説を終えたいと思います。

 第二十八話の解説に入る前に第八話以来の謝罪をしたいと思います。今回はさすがに幼稚園児どころか言葉を喋りたての赤ちゃんでもわかる数字をたかだか二十六歳児である自分が第六パートに入るまで気付かないという信じられない間違いをやらかして申しわけありません。
 本来自分は前にも書きましたが誤字脱字があっても多少は押し通す人間です。ですが今回に限ってはここに載せますよ。

第一パート ~話を戻ス。ラテス島の大樹型を倒す傭兵は全部で名。~
 誤 → 正 
 六 → 五

 同パート ~大丈夫がん? 名なんていくら~
 誤 → 正 
 六 → 五

 第三パート ~サンショウ五、カメレーオの名だけで~
  誤 → 正 
  六 → 五

 第五パート ~そこには吉良ホエ人以外の名が~
  誤 → 正 
  九 → 八

 同パート ~しかし、俺達の数は結局名だス。~
  誤 → 正 
  六 → 五

 同パート ~甲板には一名また一名と増え、名全員が~
  誤 → 正 
  九 → 八

 以上です。他にもありそうですが面倒なので数字に関する誤りだけを載せました。読者の皆様方に大変ご迷惑をおかけしました。今後このような事がないように注意してゆきます。
 では解説の方に入ります。今回の主人公は敢えて脳筋にしました。何故なら成長型主人公だと二部構成上不利だと判断しました。まあ半分は嘘ですが(笑)。
 話を戻します。今回のお話は初めての二部構成もあってか中編物と短編物の間が非常に難しく感じましたね(辛)。どこで区切れまいいのかというさじ加減の難しさとどのように進めればいいのかという難しさに悩まされ、只でさえ筆が遅いのにそれに拍車をかけるように主人公を人族以外でやらかしてギリギリ金曜日までに予定パート数を書き上げたところでしたよ。いやはや日本語さえ支離滅裂になりましたよ(笑)。
 自虐な事は置いといて、今回は二十四話から名前だけ出てきた真鍋傭兵団の一部がどうゆう存在かがわかります。彼等一名当たりの戦力は現実世界よりやや近い数字で表したつもりですがそれでも無理があるかな? だいたい言える事は彼等は一名でも十分強いというのがお分かりです。
 うーん、今日はたくさん解説したいけど後篇の為なのかここまでにします。ちなみに二部構成になってます大樹の銀河連合ですが、後篇では容赦なく主人公のアリゲルダに残酷な運命が待ち構えます。それは一兆年の夜をお読みになられた人なら自ずと展開は丸わかりでしょう。
 以上で二十八話の解説を終えます。

 では今後の予定をドーンといってみよう!

 
 八月
 十二日~十七日    第二十九話 大樹の銀河連合(後篇)   作成日間
 十九日~二十四日   第三十話  母はそれでも強い      作成日間
 二十六日~三十一日  第三十一話 雄はつらいよ        作成日間
 九月
 二日~七日        第三十二話 蛇の道は蛇         作成日間

 三十話以降は少ないパートでお話を作ります。まあいろいろと余裕がないので(苦)。
 ではこの辺で。熱い時はプールか海に行って一泳ぎするのが一番ですぞ!

一兆年の夜 第二十八話 大樹の銀河連合 前篇(七)

 午後十時零分十八秒。
 ラテス島書いて火山に住み着く大樹型に向かって吉良ホエ人は顔を上げながら距離成人体型およそ六十六を七の秒で到達する速さで向かう--四名を背中に乗せながら!
(紐で捕まってるとはいどう、この速さは辛いっぞ!)
 アリゲルダだけではなかった--カマキュロスやサンショウ五、それにカメレーオも必死であった!
(これだけの速さで顔を出しながら進むんっだが! 周りの状況がどうなってるのかは検討が……一瞬だが若布型や鮎型を見かけたがん! ホエ人は無事でいられるっが!)
 真鍋傭兵団応神支部の目的はラテス島にある大樹の銀河連合を打倒。
 それから大樹型に突入する数は僅か五名。組長カマキュロスを始め、アリゲルダ、サンショウ五、カメレーオ、ホエ人だけ。彼等はいずれも通常の銀河連合十以上三十体以下まとめて相手出来る実力者。
 それだけ過大評価されても今回の目的を達成する事は極めて難い。まるで優秀な蟻族五名が象型一体に挑むようなモノである。そんな腰砕けた事を引き受けた真鍋傭兵団には勝機があった。それは--
(組長が持参する袋ダガン! あれには六名目以降の要員が潜っぞ! それを大樹型の中に入れば勝利出来っぞう! 最もわしらがそれまでに無事でいられるっだが!)
 袋の中身はまだ判明しない。ただわかる事は袋を取り出す機会が恵まれるかそうでないかで勝敗を決する。それは彼等五名以外の四名にもわかる事実。
(副長の立案した作戦によるっど、丸一の日までに達成しなければならながん。でないといずれ帰る船は沈められる確率は高まっじい。
 次にわしら四名は吉良ホエ人さんに掴まっじ、出来る限り速度を落とさず真っ直ぐ突き進どう! だが--)
 ホエ人の周りを囲い始めた水棲式銀河連合が接近し続ける。ホエ人は上から横だけでなく下の方にも銀河連合が近付くのを感じ取りながらなおも針路と速度を変更しない。
(寧ろ速度が増している感じがすっぞ! なのにまだ大樹型には届かないっとが!)
 とうとう指先まで接近を許すとホエ人は速度を落として右横に回りながら銀河連合を振り払う!
(回るだけでも振り落とされかねっぞん! 意識さえ飛びそうっでえ!)
 距離がちょうどホエ人の鰭ぐらいの長さまで空くと再び針路を大樹型に固定。そして再加速!
(間に合うっが? 一の日までに!)
 ホエ人はそろそろ潜りだす頃合いであった。

 午後十一時零分三十九秒。
 組長カマキュロスと偵察員カメレーオは泳げない。
 だが泳げない彼等にはホエ人が大樹型に直接飛び移れる距離まで接近する事を願うが--
「申しわけアリマセン! 僕は限界が近いので沈ミマス!」
「速度を落としてたのはそうゆう事なのかス!」
「ということは拙者ら二名はどうやって行こうかス?」
 ホエ人は沈んでゆく--沈みゆくホエ人に群がるように銀河連合が近付く!
「お勧めしないがカメレーオよス。水の上を渡れるかス?」
「銀河連合を踏んで渡る事なら可能ス!」
「罪深いなス、自他共にス!」
 群がる銀河連合に素早く頭を下げたカマキュロスとカメレーオは素早く頭を上げると、一気に銀河連合を踏みつけながら大樹型に近付こうと試みる!
 それを見ていた二名は--
「組長とカメレーオさんが水の上を渡ってるけど?」
「あれは踏みつけながら渡ってがん! 二名だから出来る芸当っでん!
 わしらはわしらで中に入るっぞお!」
 一方のアリゲルダとサンショウ五は両生類の特性を駆使しながら泳いで進む--迫り来る銀河連合と戦いながら!
(関節技は熊猫族に負けられなっがあ! わしはお父さんだがん! お父さんの関節技は子供とじゃれ合うようにお前達銀河連合の肉体を痛めるのだがん!)
 首から下或いは横を分断しながら迫り来る銀河連合を次々と締め死なせてゆく!
(泳ぎだってわしは亀族に引きを取らんっぞ! 寧ろあちらに引けを取らっぜん!)
 アリゲルダより下方に潜るホエ人に近付く速さで大樹型を目指す!
(次から次へと銀河連合はわしらとじゃれ合う気っげ! 今度は良くないが相手を死ないっぞん!)
 そう思考しても兵士の気質がそうさせるのか次から次へと目の前に立ち塞ぐ度に相手をし、確実に倒してゆく。

 八月百四日午前零時二十四分四秒。
 五名は合計六十四体を倒しながらも全員無傷のままラテス島海底火山を食らう大樹型銀河連合に--
「先陣を組長キキミミノカマキュロスが切るス!」
「世界観補正ハこの僕吉良ホエ人を選ブ!」
「山一サンショウ五もお忘れなく?」
「カメレーオを只のカメレオン族と思わないで?」
「いいやっど! 先陣を切るのはこの応神鰐族で最も筋肉鍛錬を重ねたヤマビコノアリゲルダだがん!」
 ほぼ同時に大樹型の根っこに触れた瞬間--無数の枝が五名に襲いかかる!
(ここからが本当の戦場っどお! 死と隣り合わせの誰が生き残るか定まらない大樹型銀河連合との一騎打ちが始まるとはっだあ……)







 ICイマジナリーセンチュリー九十四年八月百四日午前零時二十五分零秒。

 第二十八話 大樹の銀河連合 前篇 完

 第二十九話 大樹の銀河連合 後篇 に続く……

一兆年の夜 第二十八話 大樹の銀河連合 前篇(六)

 八月百三日午前十一時三十二分四十五秒。
 場所は陸上種族用区画二階ヤマビコノアリゲルダの自室。
 毛布にくるまれ、うつ伏せ状態で寝ていたアリゲルダは両眼を毛の太さくらい開ける。
(一昨日は突然出現した大樹型から逃れるべくわしらは予定した針路を大きく逸らしたっが?
 わしらはあくまでラテス島に住み着く大樹型を倒すのが目的だがん。目の前の大樹型を倒す予定はながあ。これが傭兵の辛いところっだ!)
 両眼を人族のての人差し指くらいある幅まで開けると毛布を左に飛ばす。その後は趣味の背筋を始める。
(ラテス島までどれくらいかかるっが? わしらは組長から大気を命じられたとはいえっだ、目の前の大樹型にも手を出せずっじ、大袈裟な行動にも出れないのでは筋力鍛錬以外の趣味が思いつかんっぞ!)
 背筋二百回を済ませると今度は後ろ両足を立てて、膝の曲げ伸ばしを繰り返す動作を始めた。
(暇っだあ。何もしないということほど最も辛い鍛錬はないっじ!
 だからわしは……お腹の虫が鳴いてるっど。そろそろ食事をしないっど!)
 百十四回で止めるとアリゲルダは三回にある食堂目指して自室を後にした

 午後四時七分三十八秒。
 場所は陸上種族用食堂。
 海洋種族である吉良ホエ人以外九名しかいない為、各自で料理を作らなければならない。勿論生で果物や小麦粉を食べる者も居るが大抵は国家神武専属の料理者どころか専業主婦の料理に劣る美味しくないものばかりだ。
 ヤマビコノアリゲルダは料理をしたことがない為、保管庫にある小麦粉が詰まった袋を見つけるなり、そのまま口に放り込む。それを見たオタマンは呆れた顔でこう告げる。
「野生のアリゲルダッケロ」
「真正細菌族や黴菌族と一緒にするなっぞ! わしはこう見えて利口だがん」
「もしくは銀河連合に近付きかねない雄ッケロ?」
「銀河連合みたいな穢れだらけの奴らと一緒にされるとわしの晩年は穢れが大変なことになりそっだな!」
「それにしても……はあッケロ、暇だなッケロ」
 二名は未だに船がラテス島に到着しない事で手持ち無沙汰になった。
「豚族なら手持ち無沙汰でも問題ないッケロ」
「ハハハっがん! 誰が上手いこと言えって頼んだがん!」
「ハハッケロ、そうだよな--」
「緊急速報! 緊急速報!」
 突然船体はホエ人の叫びと共に大きく揺れた!
(もしやラテス島海底火山を感じたっか!)
「前方に大樹の銀河連合ヲ捕捉! 繰り返ス! 前方に大樹の銀河連合ヲ捕捉!」
「行こうッケロ!」
 二名は食堂を後にして五の分が経たない内に甲板に出た。そこには既に組長カマキュロスと副長のシ紋、それに背景と同化しているが微かにカメレーオが先に到着していた。
「先生とチャアダはまだっか?」
「僕をお忘れ?」
 サンショウ五はギッガーンとチャアダと共に甲板に出た。
「目の見えないものでもはっきりとわかるでちゅ。あんなに大きな銀河連合は初めてでちゅよ!」
 チャアダだけではなかった。他八名もまた大樹型の巨大さに驚くばかりだ!
(一昨日見たのは只の木だったのがん? それくらい遠くから見える銀河連合の巨大さに圧倒されっぞ!
 わしらはあんなのを倒しに来てるのっか?)
「ホエ人よス。これ以上近づけば確実に船は沈められるス」
「どうしてでしょう?」
「サンショウ五もアリゲルダと同じくらい脳足りんい」
「わしの名前を出すっが!」
「一昨日は木の銀河連合を見たよねい? あれを思い出してい!」
「思い出したよ? すごく恐かった?」
「山椒魚族の訛りのせいで恐そうな口調に感じないがい。
 それはいいとしてい、あの銀河連合の成長速度を考えれば恐らく大樹型銀河連合の有効射程は成人体型五百は軽く超えるとみて正しいかない」
「よくわからんっぞお! どうして成長速度と有効射程が関係するがん?」
「彼牙言いたい事端たぶん、成長牙早ければ早いほど枝牙届く範囲端大きく拡がる? そんな感じ出いいか?」
「そうだない。あの銀河連合は世界各地で生える木と同じく枝を持つい。その枝の長さは成長速度と関係しておりい、早ければ早いほど枝の長さはどんどん長くなる。成長に追い付くようにねい!」
「よくわからない話だけどい、これだけはわかるい。あの銀河連合に近づくなら拙者達五名で向かわなければならない!」
「まあ俺は傭兵といっても組の会計を試算するしか仕事ないからッケロ」
「我は作戦立案はできるしい、陸上なら戦いだって出来るい。陸上ならない」
「僕達は医者だから戦いに参加できない」
「私端強い牙医者乃信念尾大事似する故、ここ出お前達乃無事尾祈る以外端出来ない」
「僕達だけで向カウシカないよね」
「相変わらずホエ人さんの波長は響きすぎ?」
「船は短くも長く空くが生きてかえられる地震はあるかス!」
「アリマス!」
「わしらは傭兵っだ! 参花様数十枚を稼ぐためにここまで来たっだあ! 死んだら参花様が載った札束を手放っぞん! 金の亡者の底力で生き抜こうじゃないっが!」
「アリゲルダが仕切るのはなんだか違和感があるがス、学べ傭兵団の力を見せつけるぞス、四名ス!」
 オオ--という叫び声と共に五名はそれぞれの準備を開始!
(わしの武器は徒足空拳っだが! 包丁を使うよりこの方がやりやっぞ!
 だがわしらの目的は大樹型の中枢に入ってあるモノを仕掛けることっが!
 それは現在もホエ人のところで待機中っで! 奴等も命を懸けて倒しに行くんだからわしらが命を懸けなくてどうすっだ!)
 アリゲルダは他の者と異なり、準備が出来るまで柔軟体操を徹底した--いつでもどこでも全力を出せるように!

一兆年の夜 第二十八話 大樹の銀河連合 前篇(五)

 午後十時三十五分二秒。
 場所は海洋種族用中型船。陸上種族用区画食堂。
 そこには吉良ホエ人以外の九名が集合。そこでは様々な意見が交わされる。
(ラテス島まで明くる日の夜遅くになりそうがん! それまでにわしは身体を解さなければっじ!)
 アリゲルダは脳まで筋肉が詰まってるかのように尻尾まで全て筋力鍛錬の事ばかりであった。
「アリゲルダよス! 鍛錬を怠らないのは良いことだス。
 しかし、俺達の数は結局六名だス。どんなに質を高めても量は赦しを容れちゃくれないス。それはわかるなス?」
 アリゲルダは思考を読まれて少し顔が険しくなる。それを見たオタマンは--
「気にするなッケロ。誰だって思っている事を覗かれるのは好かないことだしッケロ」
「少し気になる事があるッケロ。吉良ホエ人はどうして傭兵になったッケロ?」
 それに反応するように船体が大きく揺れた!
「学者鯨一族の僕ガ傭兵に? それは家の重みニ堪えられなかったカラダヨ!」
「相変らず響きまちゅね!」
「堪えられない? どのように堪えられないでちゅか?」
「僕の一族ハ夢中になったよ!
 『世界観補正』と呼バレル仮説に!」
「『世界観補正』! まさか君乃ような中年牙逃げるくらい進んでる乃科!」
 ギッガーンが火を噴くように驚く姿を見てサンショウ五は少し引く。
「『世界観補正』なんて迷いし信仰。拙者乃運命牙それ出決まるもの科!」
「べ、別に僕は『世界観補正』を逃ゲテナイヨ。寧ろ進みスギテ怖クナッタんだ!
 そこに導き出サレル真実に!」
「どうゆう意味がん? わしにはさっぱりだがん!」
「アリゲルダは黙ってろっが!」
 カメレーオの言葉に少し怒りを沸いたアリゲルダは突っかかろうとするもののまたもオタマンに制止された。
「オタマン君がいるならアリゲルダ君も怒りは鎮むね?
 ところでホエ人先輩はどこまで進みましたか?」
「それは……緊急事態発生!」
「ちょっと待てい! こんな時間に銀河連合かい!」
 その後に続く言葉は予想の外である!
「海上に突キ出タ枝型銀河連合が発生! 数ハ二十三体! 繰り返す! 海上に突キ出タ枝型銀河連合が発生! 数ハ……増加シテ二十七体!」
 誰よりも早くアリゲルダは甲板に出る! すると--
「どご、うなってるっが!」
 船首部分から見た光景--海上から次々と無数の枝が顔を出す!
 その光景はまるで一本の大樹が形作られようとしていた。
「どッケロ、どうした……ああああッケロ! いくら何でも早く成長しすぎッケロ!」
 甲板には一名また一名と増え、九名全員が出た時には胴回りまで姿を現す!
「いくら何でも成長が早すぎるス! どんな超常現象だス、これはス!」
 カマキュロスは強がりな口調でも顔全体には冷や汗が大量発生する。
「組長い。超常現象ですら発生させるほど銀河連合は強大になってる証拠かも知れませんい」
 シ紋は冷たく静かに話しても体中の震えまで隠し通せない。
「あわわわでちゅ!」
 チャアダは恐怖心を起こして全身を痙攣させる。
「あれだけ乃成長端体中似重荷尾背負うぞ!」
 ギッガーンは医師として震えを抑えようと必死だ。
「ああ? 今度こそ死ぬかもね?」
 サンショウ五は無表情ではあるが口で恐怖しているのを表現。
「僕ハ大丈夫だ! 船にまで枝型は入ッテナイゾ!」
 ホエ人はあくまで情報を伝える。
「まさかこれも世界観補正の産物ッケロ?」
 オタマンは先程の話をする事で恐怖心を抑えようとする。
「よくわかんないが少なくともわしらは大変な相手を倒そうとしていることはわかっぞお!」
 アリゲルダは口とは反対に--
(だからこそわしは今まで筋力鍛錬をしてきっぞ!
 確か三の年より前に起きた応神諸島のとある小島で発生した事故に決着をつける為っで!)
 己自身の疵痕を塞ぐべく怒りを溜め込む!

一兆年の夜 第二十八話 大樹の銀河連合 前篇(四)

 午前八時三分十八秒。
 迫り来るのは北西より鮭型三体、鯖型二体。南南東より鮹型一体、貝型三体、鮎型一体。船に真っ直ぐ突進!
 それを阻止すべくサンショウ五は北西を、アリゲルダは南南東から迎え撃つ!
(わしは強力な銀河連合を相手するっぞ! サンショウ五さんは--)
 アリゲルダは口の開閉でエラ会話したもののサンショウ五に上手く伝わらない--彼は南南東の銀河連合を迎え撃とうとする!
(サンショウ五さんっが! そこはわしに任せてくれっで! あんたは北西の奴等を迎え撃ってくれっぞ!)
 身体も表現する事でようやく理解したサンショウ五は北西方面へ向かう!
(わしはデカイ銀河を相手しないとっだ!)
 アリゲルダは最初に狙いを定めたのは鮹型。彼は鮹型に接近するとわざと絡まれる。
(さすがは鮹族が基の銀河連合っが。剥き出していようとも全身は筋肉の鎧がん。サンショウ五さんでは絡まれたら最後だっどう!
 だがわしはこんな事だってあろうかと鍛え抜いた筋肉はこの絡みつく八本足だって--)
 アリゲルダは鰐型特有の捻り回転と日頃から鍛え抜いた必要最低限の筋肉で鮹型の筋肉を次々と断裂させてゆく--二枚の雑巾を強引に引きちぎるかのような音を海中で発しながら!
(今度はわしが絡む番だっが!)
 断裂した八本足の一部と頭部と目の間に口から後ろ両足を絡める。そのまま右回転を駆使しながら鮎型及び三体の貝型に向かって突進!
(何て力がっず! 特に吸盤は鮹型の力の象徴だなっど!
 穢れ多い事にわしはその力を他四体まとめて倒す為に使わせてもらうっがあ!)
 貝型三体と鮎型は巻き込み、アリゲルダは船体の最も頑丈な部分に向かって正面衝突--身体への重荷を避ける形で!
 貝型三体の内二体は中に衝撃が伝達して身動きが取れなくなる。一体は衝突寸前で回避するものの軌道修正が取れなくなり、そのまま深部に生える海草に絡まる。
 一方の鮎型は頭部に激突して即死。
(鮹型にぶつけてもこいつはまだ力を残すかっづ! 身体が柔らか過ぎるぞっど! 筋肉の鎧なのに柔軟運動まで施し済みかッヅ!)
 鮹型は断裂しなかった僅かな八本足でアリゲルダを絡みつこうとするが--
(敢えて肉を切らせるっぞ! そして--)
 骨を断つように彼の大きな口は鮹型の目玉のある部分を噛む--そのまま左回転と右回転を交互に十回以上行う!
 そして抉り出すように鮹型の身体を両断--頭の千切られた部分からゆっくりと黒い液体を周囲に垂れ流す。
(危うかったっぞ! 墨を出していたらわしは死んでいたかもしれっぞ!
 どうやら銀河連合は鮹族の全てを学習していなかっぞ。それが幸いしたとはわしもまだまだ修行不足だっごう!)
 鮹型を倒したアリゲルダは貝型三体を一体ずつ丁寧に倒してゆく。
 それから十の分より後、同様に五体全て倒したサンショウ五はアリゲルダと共に船に戻ってゆく。
(サンショウ五さんは無傷かっぞ! さすがん!)
 アリゲルダもまたサンショウ五と同じく傷一つ無く帰還した。
(わしは鰐族である以上は表皮が硬くて当たり前っぞ。
 しかし、海での活動では肌に染みっぞ! 後でギッガーン先生に看てもらわないっど!)
 どうやらヤマビコノアリゲルダは見た目とは異なり、肌荒れを気にする雄であった。

一兆年の夜 第二十八話 大樹の銀河連合 前篇(三)

 午前七時零分二秒。
 場所はセネカ海。応神諸島からラテス島までの航路。北西応神小島手前。
 全長成人体型縦四十、横七十、高さ五十五にもなる海洋種族用の船。
 それに乗るのは真鍋傭兵団キキミミノ組組長キキミミノカマキュロス。齢三十にして七の月と一日目になるラテス蜻蛉族の正岡シ紋副長。会計のオタマン・ジャクソン。齢四十二にして八の月と一日目になるテネス鬼族のギッガーン・ダッジャール医師。齢十五にして九の月と一日目になるオゲネス鼠族のチャアダ・ロナウジーニョ医学生。操舵士には齢三十五にして十の月と一日目になるルケラオス鯨族の吉良ホエ人。それ以降の組員は突入要員のヤマビコノアリゲルダ、山一サンショウ五、カメレーオ。
 以上の数でラテス島海底火山を取り込む大樹型銀河連合を倒す。しかも戦闘に関わらない者を除けばカマキュロス、ホエ人、アリゲルダ、サンショウ五、カメレーオの六名だけで目的を達成しなければならない。
(シ紋副長は作戦立案と後方支援のみがん。オタマンだって同じさっだ。
 でもなあっど、それでもわしは糸井が睡眠も取らずに作ってくれた特注の服を着て任務を達成しないといけねえぞっと! それは全生命の為じゃないっぞ! わし自身の過去にも踏ん切りを付ける為だっど!)
 アリゲルダは拭いきれぬ過去を抱く。それは他の者達も同様。そんな絡み合う過去を背負って今、船はラテス島へと歩を進める。
「なあカマキュロスい」
「組長と呼べス、シ紋副長ス!」
「もしも我等が全滅したら傭兵団本部はどうするい?」
「その時は数を増やしてまた攻めるだろス?」
「それが全滅したらい?」
「これは質問と回答が無限に広がるス。ここで止めようス」
「組長ニ副長! 僕達が無事に倒ズ事が出来レバ他の者が死ヌ事もないデショウ!」
 ホエ人の声に船体は大きく揺れる。
「揺らすなス! 沈んだら神々にも歴史にも恥ずかしい一ページを刻むだろうがス!」
「ごめ--」
「声を出さなくていい。ホエ人操舵士は黙って操縦すればいいだけだい」
「鯨族は力強くて困るス」
 船の速度は遅い。だが、それでも徐々にラテス島へと近付いてゆく。
 一方のアリゲルダは自室で筋力鍛錬を使用とするが--
「ヤマビコノアリゲルダ。医師として筋力鍛錬尾勧めん! 速やか似倒立尾やめたまえ!」
「そうでちゅよ! 筋肉痛で銀河連合に食われたら元も子もないでチュ!」
「折角のわしの楽しみを取り上げる気がん!」
「あのなあッケロ、ギッガーン先生もチャアダも私情を挟んでてもお前の為にと思って言ってるんッケロ!」
「それくらいはわかるっだあ。でも雄として楽しみを貫かなくてどうすっだが!」
「世話乃焼ける鰐だ! こうなれば私模手段尾荒くするぞ!」
 ギッガーンは鬼族とは思えない俊敏な動きでアリゲルダの尻尾と顎を極めた!
「がががっがあ!」
「すごいッケロ! あのアリゲルダだッケロ! あいつを極めるなんて普通は出来ないッケロ」
「鬼族端皆強い者達だ。傭兵より強くなけれ把医師端務まらん!」
「その理屈はおかしいでチュ」
「だって医師よりも傭兵をやった方が良いかも?」
 何時の間にかサンショウ五はアリゲルダの自室に何食わぬ顔で入った。
「サンショウウオの雄は油を断てないなッケロ」
「それはカメレオン族も同じではない? だって風景と同化して天井に張り付いてる?」
 サンショウ五の言葉に素早く反応したギッガーンと極められたアリゲルダは天井に視線をやると確かにカメレーオがいた。
「気付かれたか?」
「うわあああ! カメレーオさん! 居たんなら居たと言って下ちゃい!」
 カメレーオもサンショウ五と同じく何食わぬ顔で飛び降りるなり、チャアダを見つめて--
「職業病でチュ。拙者は軍者として一流でちゅが、傭兵とちて半者前。隠れてちまうのを直したくても出来ないちゅ」
「病なら直せると思ったら大間違いでちゅ! 寧ろそれは病じゃありまちぇん!」
「チャアダ。職業病斗いう病端確か似あるぞ! この私乃よう似!」
「腰砕けをしないで下ちゃい! 笑いごとになりまちぇんよ」
「そうだなっだ。わしが医者如きにやられては笑えなっがあ!」
 六名の表情に笑顔が溢れていた。
(気持ち良いっだ! この感じはかつてを思い出すっぞ。この時は子供の頃から一緒だったあの三名とわしとオタマンとサク巳だったっがい? もう昔の事だがん。どれくらい昔だったかざ?
 やめよっど。心が萎んでしまっどう!)
 アリゲルダの様子に何かを感じたのか、オタマンはアリゲルダに話しかける。
「まさか三の年より前を引き摺るッケロ?」
「そうだったかなっだ? そんなに古いのっが!」
「二名とも何のは……何だっが?」
「緊急事態発生! 北西、南南東ヨリ合計十体の銀河連合が海カラ接近!
 繰り返ス! 北西、南南東ヨリ合計十体の銀河連合が海カラ接近!」
 ホエ人はアリゲルダの左右を大きく揺れるほどの声を出しながら緊急速報を船中に響かせた!
「海からッケロ! じゃあ組長は出撃出来ないッケロ!」
「拙者も同じッケロ。爬虫類じゃあ海は潜れないッケロ」
「じゃあ僕とアリゲルダだね?」
「これは勧められるよっだ、ギッガーン先生っで!」
 ギッガーンは首を縦に振った。
「じゃあ日頃の成果を試すぞっど!」
 アリゲルダとサンショウ五は海洋種族用通路に入るとそこから船頭方面の出入り口から出撃する!

一兆年の夜 第二十八話 大樹の銀河連合 前篇(二)

 午後十時零分十八秒。
 場所は応神諸島北西応神小島。その中央にある小屋。
「まだ筋肉鍛錬? 真面目? それとも--」
 齢十九にして六の月になったばかりのエウク蜘蛛族の少女は二式目の腹筋をするアリゲルダに聞く。
「わしは臆病なんだっぞん! こうして鍛錬でもしないと心が折れるんでっがん!」
「怖い。怖くてする。わかった」
「美貌の割には赦しを容れないとはだあ」
「糸井家は代々美しい? 正直思った事無い」
「味が好かん答えッケロ」
「居たのかオタマンっざん」
「礼を欠く雄だッケロ。どこに健全な肉体に健全な心があるんだッケロ」
「それは大きく違う。本来は何事にもよくを抱く前にまずは心身の健康を大事にしなさいという意味。別に身体を鍛えたくらいでは精神が鍛えられる訳じゃない」
「ウウうッケロ!」
 オタマンは糸井と呼ばれる少女に指摘されて後退りする。
「百五十っど! ふうがん、これで二式目終了っだ。後十三式あると先が長いっぜん!」
「やめる? それもいい」
「わからないかざん? 一度やり出すと途中で止まらないっぞ。君だってそうだろっぞ?」
「私糸井サク巳にとっての糸巻きは日課。ただし必要最低限の生活費を稼ぐまで夜は続く。暇が長い。代々そのような家系」
「日課という点ではわしも同じがん! 銀河連合を全て倒すという点も形は違えど--」
「やめる。私をあなた達みたいな穢れ大きいのと一緒にしない。現にあなた達は明日ここから成人体型一万も離れたラテス島で銀河連合を全て死なせる。それは罪深い行いだとわかる?」
「わかるっぞ! それを忘れる為にわしはこうして筋肉鍛錬に励むのっだん!
 五十二っじ、五十三……」
 サク巳はアリゲルダとオタマンの年離れた幼馴染。なので彼等が死なせる以外の心理的苦痛があるのを知っていた。けれども彼女はそれを口にせず--
「わかった。あなたの覚悟をしっかり受け止める。出来れば生きて帰ってくる!」
「うはあッケロ! サク巳ちゃんに念入りされたらたまらないッケロ。まあ恋者になれないのは念が残るッケロ」
「それ以前にサク巳ちゃんには草食系の夫を持ってるだっろ! 百四十五っど、百四十六っがん……」
 三式目を終えたアリゲルダは息抜きの為にインコ体操を一週こなして腹筋四式目に入った。
「今回彼は大丈夫?」
「一の週より前に赤ちゃんを授かったばかりだッケロ。きっと大丈夫だッケロ」
 サク巳にとってはその方が余計に生存が危ぶまれる要素だった--本来子作りとは万が一に本者が死ぬ事を想定する。仮に本者が生き残れば死を覚悟する意識は薄れる。本者が死ぬのなら生前の間に悔いを残さない行動に移る。そこから辿ると自然と雄と雌は自分の分身を作る為に交尾をして体中の苦しみと共に子供を産む。その子供こそ自分の分身。
 以上の流れから子供を作る者は生きる覚悟よりも死の覚悟を優先するようになる。サク巳にとってそれが心配だ。
 一方のアリゲルダは明日の為に万全の体勢を整える。筋力鍛錬しながら。
(待っていろ銀河連合っぞ! わしは子供に格好良いところを伝えるべく強すぎる状態でお前らの前に立ち塞がるっぞ!)
 次の日、朝目覚めるアリゲルダは筋肉鍛錬をし過ぎておよそ二の時が経過するまでカメレーオとカマキュロスに両前足を支える形で歩くしかない状態だった。

一兆年の夜 第二十八話 大樹の銀河連合 前篇

 ICイマジナリーセンチュリー九十四年八月百十日午後二時五分六秒。

 場所は応神諸島中心島応神市中央地区二番地。中央より三番目に大きな正三角
形の建物。
 そこには齢二十二になったばかりの応神鰐族の青年が筋肉鍛錬に励む。
「フウウウウウウどう! はあっぐ! だあっと!」
 成人体型一とコンマ五にもなる大きさでありながらも必要最低限の筋肉を身に
つける。
「百二十一っぎ、百二十二……」
 青年の名前はヤマビコノアリゲルダ。真鍋傭兵団に所属する実力者。
「二百っぐ! はあはあはあ……」
 倒立腕立て伏せ二百回十式を完了したアリゲルダは全身に大量の汗を出しながら
仰向けに倒れ込んだ。
「はあはあはあはあっが。また強くなって困っちゃうごう。はあはあはあはあ--」
「たかが腕立てで強くなれんのッケロ?」
 齢二十二にして二の月になったばかりのエピクロ蛙族の青年が籠を担いで建物の
中に入る。
「扉叩いてから入れよっぞ。それが礼儀だろっぜ」
「同じ傭兵同士なんだから気にすんなッケロ」
 青年の名前はオタマン・ジャクソン。真鍋傭兵団の会計担当。
「そんでわしの給料はいつ出るんっどう?」
「月末だッケロ。と言っても今日中かもしれッケロ」
「じゃあさっさと渡げん!」
「はいッケロ。およそ二万四千マンドロンッケロ。参花様二十四枚分ッケロ」
 オタマンは籠から千マンドロン札二十四枚をアリゲルダの腹に乗せた。
「へへへっげ。わしは金に弱い生命っじゃ! 安いけど参花様二十四枚は幸せ
だげん!」
「金に眼が眩む腰くだッケロ!」
「変に訛った言い方はやめっで! 聞き間違ったらどうすっごう!」
「はははッケロ!」
「楽しいじゃねえかどう、ハハハっぶ!」
 二名は親友同士。その為なのかつまらない事でも笑いあえる。
「しっかしまだ体力あるんだッケロ。笑うだけ後らが残るなんッケロ」
「へへっぜ。鰐族の雄の底力はたかが筋肉鍛錬でくたばっらあ!」
 アリゲルダは仰向けの状態から倒立し、千マンドロン札二十四枚を拾うかのように
二回宙返りをした後、直立歩行状態で着地した!
「人族じゃないんだから四本足で構えてもいいッケロ」
「参花様二十四枚を拾う為にそうなったんだから仕方ねえぜん、オタマンっだあ」
「その有り余る肉体は肉体労働に使うべきだッケロ、アリゲルダッケロ」
「その肉体労働がたった今決まったよス!」
 齢二十九にして一の月になったばかりの応神蟷螂族の青年が蟷螂式応神木製の
木丁を装着しながら入ってきた。
「カマキュロス組長かっぞ! 全くオタマンといい他所の建物に入る時は--」
「話は後だス。
 国家神武からの要請で俺達真鍋傭兵団応神支部はラテス島に住み着く
大樹型銀河連合の打倒が決まったス!」
「「何!」」
 大樹型銀河連合--その言葉に反応した二名は驚愕のあまり少し後退した。
「どうしたス? 念願の肉体労働じゃないか--」
「組長っず! いくらわしが強くてもあれの打倒はさすがぢい」
「俺も同じッケロ。大樹型は洒落じゃありませんッケロ」
「オタマンは別に戦わなくて良いぜろ! 会計担当なんだからぜえ」
「話を少し逸らすがス、大樹型銀河連合が出現したのはいつ頃かアリゲルダと
オタマンは知ってるよなス?」
 アリゲルダは脳にまでで筋肉が詰まるのかそれを聞かれて悩む。
 一方のオタマンは--
「三十の年より前ッケロ。確かその時期は櫛灘彗星が見えッケロ」
「櫛灘彗星のことは後にしろス」
「ええとッケロ、確か不比等村が食われた日だッケロ。海底火山を取り込んだ種子型
が火山灰と共に芽を大量発生させッケロ、やがて--」
「ああああっう! ややっこぜえ! ンで結局なんだよっや!」
「相変らず長い話は好かん雄だッケロ。芽は惑星中に広がりッケロ、現在は
東藤原海洋海底火山ッケロ、アリスティッポス火山ッケロ、そして--」
「僕らがゆくラテス島火山にまで及ぶって所?」
 齢二十五にして三の月になったばかりのラエルティオ山椒魚族の青年は袋二つ
抱えながら現われた。
「どいつもこいつも礼儀がなってないっぞ!」
「仕方ないね? それが僕達傭兵の性さ?」
「話を戻ス。ラテス島の大樹型を倒す傭兵は全部で六名。
 まずは自分キキミミノカマキュロスだス。次にここにいないがルケラオス鯨族の
吉良ホエ人だス。さっきやってきた山一サンショウ五だス。ヤマビコノアリゲルダ
だス。最後はもうじきここに現われる武内カメレオン族のカメレーオだス」
 カメレーオの名前を聞いて一番驚いたのはアリゲルダ--思わず倒立をしてしまう
くらいに!
(カメレーオといったら地上偵察では右に出る者がいないと言われるくらい有名な
元国家神武の軍者だっぞ!
 よく了承したなっず! あいつはわしと同じく--)
「拙者と同じだと思ってるのかっず?」
 齢三十二にして五の月になったばかりの武内カメレオン族のカメレーオが天井から
下りてきた!
「いたんだス。いるならいると声を出せス、カメレーオス!」
「オタマンが来る前からいたよス。拙者もまた鍛錬好きでありましてス」
「やっぱり同じじゃねえかっぞ! わしもカメレーオ殿もっぞ」
「一緒じゃありませんっぜえ。拙者は元軍者っぞ。あなたとは経歴が何もかも異なる
っだ」
「全くカメレーオさんはッケロ!」
(後はホエ人さんっがい。あの方は海洋種族だからここに来れんが。
 大丈夫がん? 六名なんていくら素人でも無謀と見えるっぞ!)
 若くして数十以上の戦場を駆け巡ったアリゲルダだからこそわかる。
 この戦いでは勝利よりも生還するのが難いという事実を……!

火病戦士ノムタン

 どうも久しぶりのweb拍手を貰い、少し嬉しい気分になってるdarkvernuと申します。
 早速ですがかの国をモデルにしたショートストーリーをどうぞ。

 時は世紀末。
 数十年にわたる核戦争で世界秩序が崩壊し、強者が弱者を殺すのが日常となった世界。
「ヒャッハー! K人皆殺しダアああ!」
「いやアアアア、助けてエエエ!」
 特に偉大なるK人の虐殺が絶えず、男は皆殺しにされ、女は揃って娼婦として働かされ、子供は洗脳教育で同族殺しを強要。
「死ね死ね! K人は人類の害虫だ!」
「やめろおおおおおおお!」
 そんな絶望的で高邁なるK人の味方がいた。
「お前は誰だ!」
「俺か? 俺の名前は正義の味方……ノムタンだ!」
「ノムタン? ああ確かK人だけを助ける正義さんがいたっけ? それお前だったのか?」
「どこまでも畜生な奴等だ!
 我等四十二億年の偉大なる歴史を持ち、いくら憎かろうと去った者の悪口を決して言わないK人を殺す尽くしやがって!」
「はあ? 聞いた事ねえぞ! お前らいっつも俺達J人の悪口言い続けた気が--」
「黙れエエエ!」
 ノムタンは問答無用でテコンドーパンチを放つ! 悪党は天高く吹っ飛ぶ!
「正義は勝つ! 貴様らJ人は我等の自尊心を傷つけた!」
「ありがとうノムタン! あんなツッパリを皆殺しにしてくれて!」
「それじゃあ身体を……いや報酬を頂こうか」
「ええ、私達の身体を--」
 こうして世界の平和は守られた!
 全知全能にして高邁なるK国人の味方ノムタンはノムタン王国を建国し、全世界の女を侍らせて幸せに暮らしましたよ。めでたし、めでたし。


 バッドエンドだね(笑)。ちなみにノムタンという名前は知る人ぞ知るネット界で有名なコメディアンですぞ。もう死んでしまったけど(悲)。
 話を戻すが、何でこんな話を作ったかと言いますとまあ晋遊舎の悪ふざけである雑誌で連載されてた「テコンダー朴」に影響を受けてだよ。あの漫画ではテコンドーととある国が世界最強だと主張しつつ、技名はテロリストや独立運動で活躍した人になってるよ。まああんなんで勝てるとは思わないけどね(笑)。
 しかし、残念なのはこの漫画は雑誌の廃刊と共に打ち切られたのよ。その先の展開とかをもっと見たかったな。他にも笑えるネタが出てくるはずなのにね。どこかの雑誌でいつか連載再開を望む。
 ついでに言っときますが自分は物語に出てくる悪党と同様にK国人はピーすべきでしょう。ただし女子供の扱いについては丁重にやらないと伊良部や高島弟みたいに酷い目に遭うからな。
 以上でショートストーリーの解説を終えたいと思います。

 第二十七話の解説に入ります。今回も舞台は海となっております。主人公は久しぶりに女にしました。名前は藤原マス太。度々名前だけ出てくる天体研究家だよ。ただし、短命で有名な鮭魚である為なのか内容もどことなく暗い。いや登場人物がほぼ全て死んでる時点で暗いか(苦)。
 まあともかく二十七話では主人公であるマス太が産卵するまでに何かを残そうと必死で抗います。まあ抗うと言っても研究者である以上は完成度の高い論文を作成してるんだけどね。他には次代の藤原マス太の育成とかですね。ただし内容を見たらわかりますけど……ここまでにしよう。
 今回出てきたアマテラス文字について簡単に説明しますとまあ自分が日本人である以上は日本語の仮名文字、日本漢字が基となります。他の文字が基だと日本人である自分の感覚からいきますとコツが掴めないのと、全種族それぞれの訛りが余計にややこしくなる為、出来る限りは使用しない方針です。いつか使用する日を心よりお待ち下さい(苦)。
 それから櫛灘彗星とは何なのかを説明しますと木星や火星の軌道と大きく異なるとある彗星の事ですよ。公転周期もほぼ似せてますのですぐに気付きます。ただし、重力関係については正直似せてない気がしますよ。何せ本当にそれほどの影響を出すかどうかは定かじゃありませんので。
 二十七話はバッドエンドです。これは鮭魚の性質を内容に繋げた以上は仕方在りません。しかし、希望はあります。そこは第七パートで少しだけ描かれてます。まあ出来る限りはバッドエンドは出したくないんですがな(笑)。
 以上で第二十七話の解説を終えます。

 さあ明日から前篇後篇が始まります。一つ一つは普通の長さですので安心して下さい(辛)。
 スケジュールをどうぞ。

 八月
 五日~十日       第二十八話 大樹の銀河連合(前篇)   作成日間
 十二日~十七日    第二十九話 大樹の銀河連合(後篇)   作成日間
 十九日~二十四日   第三十話  母はそれでも強い      作成日間
 二十六日~三十一日  第三十一話 雄はつらいよ        作成日間

 三十一話は別に渥美清が演じる寅さんが出る訳じゃないよ。かといって虎族でもありません。主人公は猿です。どの猿かは書くまでに決めときます。
 ではこの辺で。ファビョーン!
プロフィール

darkvernu

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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