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一兆年の夜 第五話 恐怖心と怒り(六)

 西地区で二番目に大きな建物。特徴となる部分は天辺が半円体であること。左右に隣接するは対称的な三角錐。
 ストルムはこの建物を眺める度にこう思う。
(いつか俺達もこんな建物を造ろうか? 無理であろう!
 何せ俺達がいくつもの先祖を遡ろうと既に先祖達の前にあろうから。
 その様はまるで神様そのようだ!
 って何訳分かるまい考えるか! 恥ずべきだろうて!)
 彼は今思ったことを誤魔化すように建物の中に入っていった。

 午後七時零分二秒秒。
 1階の左館にある中央室。その部屋には合計四百八十名分の椅子がある。
 そして中断の席に立つ者が点呼を開始した。
「ほほうん、これより今年度百七十四の回、上空配達夜の会を開会するうん!」
 齢三十九にして五の月と十日目になるエウクふくろう族の老年による貫禄ある点呼であった。
 そこで話し合われた内容は今日の夜における天気情報。後は空難事故に対する注意の呼びかけ。延着、届け間違い、手紙紛失、破損零目標の徹底は当たり前だ。
 ただし、最近空難事故を騒がせるとあるモノの話になると部屋中の空気は一変。辺りは恐怖と案じない空気で充満する。勿論この話を聞いたストルムも例外ではなかった。
(あれらの件になると俺は居ても立ってもおられん! それだけは駄目だろう!
 俺は今日ラテス島配達を任し始まりしばかりだ! こんなことではたちまち空難事故どころの騒ぎではなかろう! 俺には六名の雛鳥たちがいよう! あいつらには一人前の鳥にならなくて死んでいきし者達に申し訳が着かなかろう!
 俺は絶対あいつらが鳥になれないまま死んでたまろうか!)
 彼は自分の中にある赤いモノを押さえつけるために毎日ずっとこんな考えを巡らして過ごしてきた。
 彼がそうこう思う内に点呼は終わった。
(では行こうな。と言っても出発まで三の時はあろう。今の内に届けるべき手紙はどれだけあるか調ぶるか。ついでにラテス島まで何の時かかろうかも、それからラテス島に関する地図もよく見ずして延着しようものなら神様どころかお客様に面を上げきったままの状態になろうから。
 俺に関する心配はある程度出来よう。問題は雛鳥達の方!
 頭がでかすぎるスラ貴は口だけになりがちだ。かと言うるが筋トレばかりのフッケンでも迷い道に嵌りかねん。それに遅刻癖のデュー雄はちゃんと時間通り間に合うか? お喋りな孫諾は口をよく滑るから心配になるが、さすがに口数の少なすぎたあいつ……えっとシュラッテーではかえってお客様が気付いてくれないという可哀想なことになろう。後は大陸藤原出身のカエ彦だな。まああれは真面目すぎるのが難点であろう。俺とよく似る。けれども俺に似るべきじゃないよ。)
 こんな事を思う内に彼は自分が部下を心底可愛がっていることに気付いた。
(愛着を持とうものは何も親子だけの関係ではないな。俺は部下を--雛鳥たちを心の底から愛そう!
 だからこそ俺はあいつらを鳥にしなければならん!)
 ストルムはこの時、気付かなかった。その想いがやがて自らの運命を決定づけることになろうとは。
 運命とは過去も現在も未来も真っ暗でしかない。光へと向かう時も、闇へ向かう時も

一兆年の夜 第五話 恐怖心と怒り(五)

 ICイマジナリーセンチュリー十四年二月二十八日午前七時一分四十五秒。

 場所はエウク村西地区大通り。
 ストルムは公共の郵便入れにある百通近くある手紙の回収に当たっていた。
(中にはゴミ箱と間違えて入れてしまわれたものまで。それをわざわざゴミ箱に捨てていくのも配達業の辛きとこだな)
 そこへ齢五にして十の月と十日目になる子供が声をかけた。
「おじさん辛そうだけえどお、おらが手伝おおっかあ?」
「気遣いありがと! でもおじさんは手が必要なほど忙しかろう。
 だから君が手伝えどおじさんお仕事が亡くなり困っちゃうね。いいかい?」
 どうやら馬族の子供への答え方から察するに彼はこの仕事に満足していた。
「でも無理だと思ったらあおらに助けてえ貰ってねえ。お母さんの話じゃあ配達さんの仕事ってえすんんごおい夜でもおするうってえ言ってたあからあ」
「当たってさえいるね。だけど、そうでもしなきゃ届けたい者に思いは伝うるまい?
 暖かくはないことだろうが、おじさん達が眠る時間を割くことでだれかに早く思いを伝うるものだ。伝わらないのは申し訳着かないじゃない! おじさんは生命と生命の繋がりを確実にするるなら多少の睡眠など削る気だ! それが仕事だとおじさんは思う!」
 それは自分で自分に言い聞かせるものであった。子供はまだ幼い。言葉の意味を正面から伝える方が正しい。
「よく分からあないけどお、よく分かったあよ! おじさんは配達さんのお仕事があ大好きなんんだねえ」
 どうやらストルムの情熱は理解された。
「おっと、こんな所で油売りの真似事をしうる場合じゃないな。
 おじさんはそろそろ本社に戻らないとな! じゃあな、馬族の少年!
 おじさんみたいになれとは言うまい。けれども良い雄になれ!」
「お話ありがとおうう! 大きくなあったあらおじさんのようなあ配達員になるよお!
 おじさん達があ眠るのお削らなくうて良いくらあい便利なあ配達をおらがあするうんだからあね!」
「期待する、少年!」
 子供と別れたストルムは荷物を持って西地区で二番目に大きい建物へと全速力をかけて向かった!

一兆年の夜 第五話 恐怖心と怒り(四)

(全くいつも通り手紙の基本作法がなりきれないな!)
『我こっそはキッシャ・キッシェール。ゼノン村で歴史学を専攻する者なっり。早速だがストルム・ササーキーだったか?ゼノン村は良いところだっからいい加減に家を持ったらどうって?まあいいっか!そんなことよりと我らの長、飛遊家では実通之みつの様のご子息である兎通実うつみ様が今年で十八になったと。そういや前の手紙でも書いったか?そういや思い出したけど、実通之様の二つ年上の姉に当たる羽通実うつみ様は名前を大層満足しない様子らっしだ。まあ言葉にしたらややっこいし。ってそれも前に言ったっど?(略)』
「あの、覗き見すれど申し訳ありませぬが、キッシャ様は何族でありましょうか?」
「彼はメデス蠍族だ!」
「ならばお手紙に訛りありに伝うるは宜しくなかろうかと」
「何度も伝えはすれど、結局直すは困難。それで良いと俺は思いしが」
「そ、そうでありえますか」
「それよりも手紙の続きは読んでいよう……」
『(略)何よりも羽通実様は困った方でありまっし。今は亡き実兎様の勝手な性格が似てしもうってのか、我に対する注文が大変多くって困っとりまっし!万物の神々を考古学的に調べるのは神さまに申し訳つけってないのに。あの御方は全て入念に調べろと口が大きいんでっすだ。おっと思い出しとったが、ストルム君から丸投げされた例の暦について思い出してそれを書きっつもがあることをすっと忘れしまってた!実は手紙のやりとりの度にそれについて書くつもりだったのにゼノン村の毎日が楽しすぎていっつも忘れおっとるだ!えっと少し忘れっとうしもうたっと!こんなときだ、えいって!ここは一つ良くない報せを書き記して思い出そう!(略)』
(良からぬ報せとは!)
 ストルムはそこに書かれた内容に恐怖を感じた!
(キッシャが暮らすゼノン村に彼らが迫りくるなぞ!)
 ストルムの二つの故郷を食らったモノが近い将来ゼノン村をも食らうという内容だった!
(プラトー村で俺は両親や村の皆を失われとう。メデス村ではヒュット様や村の皆を!
 だ、駄目だ! こんな感情は呼び起こしモノであるまい! こんなのは罪深きものだ!)
「ス、ストルム隊長! ど、どうしたのでしょう! よからぬならば自分に変わりても--」
「平気で良い! 続きは責任持って読む!」
 ストルムは続きを読んだ!
『(略)とにもかくにも今は知恵者一族のバルケミンが得体の知れっねモノがいつ来るかを計算してっところだよ!現在はリーベルダスの一人娘のベリエールがいるんだが、この雌はものすごく綺麗すぎる上に叔父のユーリディスに勝るとも劣らねえ頭の回転の良さなんだって!ああ、それも前書いとったことだってな!ああ、我はこんな調子では神さまに申し訳がないよ。この手紙を書き終えたら一日中村全体の神さまにおじきしないっとうて!ただし食事は無理をしない程度で許してくれっかな?そうこうしているうちにやっと思い出したってと!実はストルム君から貰ったというIC。つまりイマジナリーセンチュリーについて何だって。あれは今我の弟子達と共に研究した結果、一の年を太陽暦にするっていう案はストルム君と同じだっが、そこへ太陽暦の四の倍で調整すれば宇宙に追えっとう暦に繋がるのではないかと分かった!ただし、これだけでは今の年代がどれくらいなのかも、膨張する宇宙の全てを必ず終えるわけとも限らんのはあの時と全く変わらないって!何せ今はICイマジナリーセンチュリー十二年なのか?二十一年なのか?いずれにしってその間だってこと分かっていだ!これだけでも伝えられっとらストルム君と親友という誇りに少し自信が持てるかもっと!じゃあまたな、その時は家族をもっとや!我は今でも独身だ、悔しい!』
 手紙を読み終えた。何だかんだとは言えストルムにとって親友との手紙のやりとりは心のどこかで安らぎを感じるものであった。
(俺は一人であるまい。今まで死にいく者達の命を俺は背負い続ける。
 いや、彼らだけではあるまい! 俺には今を生きし親友の存在。
 ストルム隊という六名の仲間がおりよう! 俺は決して孤独であるまい!)
 手紙を通じることで心の支えを得た。
 ただし、ある一点にはどうしても納得いかなかったところ彼にも意地はあるみたいだ。
(キッシャめ! あれほど耳が腫れ上げるだけ言うるのに暦の名称を間違えるとは!)
 イリュージョンセンチュリー--幻想世紀。
 親友の聞き間違えにより正式名称は決まる。


 ここにIC--イマジナリーセンチュリー--未想世紀。
 以後も遠すぎる過去を追う暦として語り継がれていく。

一兆年の夜 第五話 恐怖心と怒り(三)

 ICイマジナリーセンチュリー十四年二月二十七日午前六時五二分二十秒。

 場所は西物部大陸ユークリッド地方エウク村。
 幾何学川岸辺。そこに齢三一にして九の月と十一日になる中年が座っていた。
(俺にもう暦が造りえず。俺は左眼と共に学者といわれる誇りを失われし。
 あれ以来俺はイリュージョンセンチュリー制作を親友のキッシャ・キッシェールに丸投げよう!
 恐かった! 命の恩人であるヒュット・ヒッスイを思い出すのが!
 そして逃げきるつもりだった! 自らに芽生える赤いモノから!
 俺はそれ以来学者になる夢を捨てきり、宅配業に従事するることになった。
 俺は何もかも逃げきる! 家族を造るるというのも! 将来の夢を果てることも!
 赤いモノが何なのかを追求すべることも! 赤いモノを吐き出でしことも!
 残りしはただ恐怖心に怯える毎日を過ごす俺だけ。
 ササーキーの第一子としての誇るべきはもうどこにもありはしない!
 今ここにただのストルム・ササーキーの器だけ残さない。
 こんなのはもはや神々のみなのか、一族一の名折れ同然)
 そう後悔しているところに齢二二にして八の月と二二になる一名の青年がやってきた。
「ストルム隊長! 自分はプトレ燕族の沖田スラ貴と申されます!
 ゼノン村に暮らすメデス蠍族の学者キッシャ・キッシェールからの手紙を持ち参りあがった!」
「スラ貴君か! わざわざゼノン村からご苦労であろう!
 どれ、読みて貰うか」
 ストルムはスラ機から渡された分厚い手紙を読み始めた。

一兆年の夜 第五話 恐怖心と怒り(二)

 報告しに来た燕族の青年を食らったモノはストルム達が恐怖で身動きがとれないのをいい事にゆっくり食事をした。
(僕はなんて罪深きを! アガッサが死にいく姿を黙り見るるなど)
 ストルム達が同じようなことを思う内にアガッサの死体は骨だけとなった。
「悔いるるも始まらん、二名よ。恐怖心でしどろもどろとなりしは共通じゃ。
 けど翼を動かさな。しっぽを動かさな。
 死にゆきたアガッサ達や今まで食われとう生命に申し訳がつかろう!
 お前達はまだ若い! ここで命を捨てるるものでない! さあ面を上げきっても逃げるるぞ!」
 そう言ってヒュットは雀型に飛び込んだ!
(だ、駄目だ! それはただ、あれらに食わるるだけじゃ--)
 雀型は好機と思い、嘴からヒュットを食らおうとした--だが、ヒュットは果物包丁の鋭利な刃先ぐらいぎりぎりでかわした!
「な、なんっと! ヒュット様はやってくれたよ! まさかぎりぎりの範囲で燕型の特性を活かすなんてか!」
「身崩しな事言うる場合なのか! さっさとお前達は逃げんかあああ!」
 ヒュットは怒鳴り声を上げてでも二名が逃げる時間を作ろうとした--雀型からの攻撃をぎりぎりでかわしながら!
「そ、そ、そうだ! い、行くぞキッシャ! さ、さ、さっとにげにげ、え、えと」
「わ我も、もう恐怖心が少し溶けてっから分かるが我は飛べないぞっと!」
「がああああああ!」
「ヒュット様ああああ!」
 ストルムは叫んだ! とうとうヒュットは雀型の攻撃を受けた! 右足はもはや見ることは敵わなくなり、その部分から赤い物がゆっくりと流れていく。
(そ、そんな……僕がバタバタなことしたせいで! けど--)
「キッシャ、僕の背中に乗りな! 今から全速力でここから出ろさ!」 
 ストルムは決心した! 嘴でキッシャのしっぽを掴むと扉の反対側にある窓に向かって突っ込む!
「グウルウウ!」
 硝子が割れ、彼の左眼を直撃! それでも彼は飛ぶ!
「わ、我は良いっけど、ストルム君は平気どころじゃないって! 左眼に破片が--」
「これはヒュット様の言うるを素直に聞き流すからこうなる! たかが左眼がな--」
 ヒュットは背後から追ってくる雀型に気付いた!
「あぎゃ、あぎ、ぎ、やばってじゃ!」
「ここであのモノに食わるるにはゆきたくない! もっと速度があれば僕達は--」
「何を悔やむるあああ! 後ろを振り向からずお前達は進めえええ!」
 ヒュットは更に左の翼を食われてもなお、雀型への追撃を諦めなかった!
「も、もうやめろってヒュット様ああ! そ、それ以上はもっもう--」
「頓珍漢な言葉を吐けるか! 私のことを心配するもより自分のことを。大切な者達の心配しるべし! まだお前達は……お前達は希望の種なんだぞ! ここで死ねば神々のみならず--」
 ヒュットは雀型の首筋に嘴で噛みつく! 雀型はたちまち痛がった--その影響からか、追撃する速度が落ちた!
(その間に逃げる! ここで僕達は死んで行こうか! 死んだら両親や村の人々の死に申し訳が着かない! 面を上げきっても逃げ生きないとお!)
 ストルム達が豆粒まで小さくなるくらい遠くへ逃げるのを確認したヒュットは最後の力を振り絞り、雀型を振り落とそうとした!
「があああああ! 私がどうして恐怖心の中で動きしか分かるかああ! それはなああ!」
 だが、途中で嘴を振り払った雀型は遠心力を応用してヒュットめがけて突撃した!
「お前達への--」
 彼が最後に言おうとした言葉--それは……


 怒り!

一兆年の夜 第五話 恐怖心と怒り

 ICイマジナリーセンチュリー十年二月二十五日午前六時四五分五一秒。

 場所は西物部もののべ大陸アリストテレス地方メデス村。
 中央地区で最大のビル三階にある第二授け部屋。そこに二名が会話していた。
 一名は齢四五にして三の月と三十一日になる一人の老年。
 もう一名は齢十五にして九の月と九日になる少年。
 ある時、少年の意見に老年は困惑していた。
「何? 太陰暦よ太陽暦な変われ新しう暦が欲しうだと?」
「はい! 近う将来、我々生命体は深遠なり宇宙に出ろうと思いめし。ですのだ今の暦では宇宙の全きを覆えことは困難になれかと」
「我々の寿命は五十年にどぞ! 近い将来という百の年より後か? それとも千の年より後のことのか? いずれにしろ水の惑星くる出れなど神々への礼に欠くる行為だと思いないのか!」
 少年は分かっていた。宇宙へ出ることは神様への一方的なお別れに繋がることに。それでも少年はどうしても生命体はいずれ宇宙に出るという確信があった。
「母なる星を捨つることは僕自身としても内側なりし痛むくものありえます。ですが現実とは捨ててしか我々生命体に生ける術はありえませ! いずれあのモノ達はこの星全きを食らいつくしかも知るないってのに!」
「恐怖心を抱いておりようだな。五の年より前にプラトー村を食るったあのモノ達に!」
「ええ、彼らはそれより二十三の年より前にテレス村を食るった。唯一の生存者はその日を境に生命不信に陥て、翌年お亡きなりになった。最後の言葉は正に勢い迫りしものでし」
『得体の知れないモノは必ず生かすんな! 必ず生かすんな! あいつらはおいらの全とを奪ったう! 生かすばおいら達は全て食う尽くせるてしまう……んだう!』
「ストルムや、お前はまだ産まるとういな当時を調べてるものはないぞ! 当時十七の年でのこの私だからこそよく分かりし件なのに」
「ですが、プラトー村を失っとうからこそ僕はあの件を調べるる決心が付きまし! そして何より僕は恐怖心から逃げとうございりませ! プラトー燕族にして長の家系、ササーキー家の第一子としの誇りでもありまする!」
「家系が通常ならばなここまでで思い詰めるることもなかろう……
 雄ヒュット・ヒッスイに止めるる権利無しな。
 いいだろ! 新たなるる暦を使えん!
 ただ分かっていりし思うが、新たなる暦とは今までの暦とは違うるような何かを備えるるようしろ!」
 ヒュットは年長者らしいアドバイスをした。
「太陽暦の四の倍数に閏日を足するものでどうでありえるか?」
「それは何か欠けるる……いずれにその暦では宇宙全てに追いつけざる気が」
 ストルムは悔しい気持ちになった。せっかく開発した暦は完璧じゃないということに。
 するとどこからともなく二名の会話に割り込む者が現れた。
 その者はストルムより三つ年上の少年にして普段から礼を欠く者なり。
「これこれヒュット様じゃありませんか! 礼に欠けるとは思ってが、我メデス蠍族のキッシャ・キシェールによって意見を挟みしよ」
「お前かよ! 帰ろよ、キッシャ!」
「ストルム君は相変わらず冷たいってね! 考えの同じでない意見があって完璧性を追求できるということ!」
「いや、意見を許可すべし!」
「ありがとうございますって、ヒュット様。では、数年を境に暦の長さを変えてどうでしたか?」
「それ! キッシャよう、あっがとな! 少し見直したよ」
 ヒュットより先にストルムは賛同した。
「これ、ストルムよ! お前まで礼を欠くる行為はよせか!」
「す、すみませるる、ヒュット様!」
「全くこれだっからストルム君って奴はよっと! あんまり悔やむなってよ! 神さまには我から直々に頭を下げとき差し上げまっせらストルム君はいつもの調子で言いよっと!」
「ありがとな、キッシャ! お前のお陰で僕が考案し暦の欠点と利点が見つけられしや!」
「ほう、利点と何ゆえで?」
 ヒュットはストルムに質問した。
「ええ、利点となるるべきは宇宙を支配する何かを僕の暦で予測可能であるべきだ! その為にはキッシャの案である数年を境に暦の長さを更新。それによりて宇宙への対応を機能的に活きとし暦が出来上げると!」
「待てって! 暦一つで宇宙の全ては分かるかって! 第一どのくらいの年月で更新するっとだ?」
「一ある万の年でどう? そこから太陽暦四の倍数と閏日計算から太陰暦八の倍数と二の閏日なら宇宙への対応が出来るるありしよ?」
「いや、それはますます宇宙への対応は厳かであり! 余計に欠点が目立ちしとの!」
 またストルムは悔しい気持ちになった。
「まあ悔やんでちゃ前に進めないって! いつの時代でも公式には必ず目に見し欠点あるってのよ。でもそれが魅力的だと我は思ってけど!」
「キッシャに慰められるなんてまだまだ僕は罪深いよ。自分に溺れているなんて神さまに申し訳が立たないよ。所詮イリュージョンセンチュリーは公式化しは--」
 突然、村中で悲鳴のような者が聞こえた!
「な、何で! そ、外で何があってじゃ!」
 暴風の如く扉を開ける音がした!
「た、大変でする! 村に突ぜ--」
 内容を話す前に何かに食われた!
「あ、あ、あ、あれははは、は、うわああああ!」
「ス、トルムムム、大声だ、だ、出すんじゃだじっでええええ!」
「来たか……私達生命体にとっては切りも切れる。
 く、縁とはよくいうるじゃな! 生命を食らうモノより!」
 その姿は雀族によく似ているが、剥き出しの周りを何かが螺旋状に駆け巡る得体の知れなさ。全ての生命に恐怖心を芽生えるには十分であった。

今年一番の偏向模様でございます。

 どうも今年一番の自己陶酔を記録してますdarkvernuでございます。
 では時事ネタではないが、ショートストーリーをどうぞ!

 ある天気予報士は迷っていた。
(まずいわね! 今日この言葉を使うべきかしら?)
 彼女の予報的中率は抜群だ。百発百中というわけではないが抜群だ。だが--
(前にこれを言ったら明日になって苦情を受けたんですもの。下手に使いたくないわ……でも今日こそはそれ以上気温は下がらないわけだし)
 自分の予報は正確だ! それだけは自信があった。
 しかし、これだけは自信がなかった。何しろ自然というモノは人間の知恵ではどうしようもないからだ!
(よし、決めたわ! じゃあ行くよ!)
「今日の天気は○○は晴れのち曇り。所によりにわか雨となります。最高気温は8度と少し暖かい模様。最低気温は2度と今年一番の寒さとなります!」
 明日の最低気温は1度だった……


 天気予報で一番信用ならないことは「今年一番~」という言い回しでしょう。そもそも今年一番が当たった試しがあまりに少なすぎるからだよ! これと同じようにアニメ映画でよく聞く「~の前に史上最強の敵が立ちはだかる!」というのも当てになりません! だって次の映画ではまたこの言葉が使われてますから。まあ今更ですが。

 では第四話の解説に入りたいと思います。
 三話まで山間部が舞台でありましたが、今回は村を舞台にしました。
 更には世界観を広げるために零パートを追加。相変わらずわかりにくい年表を持ってきては偉人ならぬ偉生命が新しい発見をすると言う現代の我々には想像も付かぬ世界を堪能できなかったと思います(悲) だって藤原マス太なんだぜ! 鮭なんだぜ! とまあ自己嫌悪はこのくらいにしましょう。
 主人公はソウスブ・ブルホル。牛です! Kの奴らの名前のように感じるかも知れないが、牛です!
 四話からは人以外のキャラがよく出ます。人が話す言葉も人以外が話すと動物特有の訛りが出ます。なので会話を正せと言われましても一切受け付けません! まあ現在もコメント一つ無いブログでこんな事言っても不毛だけどね(悲) それから登場キャラは人間みたいに二足歩行してるんだろという考えは捨てましょう! 動物農場やイソップ童話ではありませんので自らの種族の誇りを捨てるなんてことが出来るはずもありません! ですので牛ならいつも通り四足歩行します。蹄もあります。手がない分器用さに欠けます。それが人以外の動物が未だに高度な文明を築けない原因なんですよ。とまあここまでにしよう。
 第四話を最後まで読んでくれた方なら分かると思いますが、第三話と同じく主人公は生き残ります。ただし、一兆年の夜名物のバッドエンディングで。
 とにかく読んでくれた方々は二話以来の胸くそ悪さを感じたかも知れません。勿論作者に対して得体の知れないモノ達に対して。まあ現代の我々なら奴等に対する手段は知ってますがこの世界は過去の世界です。ですので彼らがその手段に転じるのはまだまだ先になると思います。
 過去の者達はそうやって奴等との協調を図ろうと必死だったことは何となくではありますが、感じて頂けたら幸いですがまあ都合良くは行かないよな。けれども奴等はあざ笑うかの如く……とまあ最後まで読んでくれた方々以外に内容を言うわけには参りませんのでこの辺で。
 ちなみに第三話で説明するのを忘れましたが、成人体型についての説明をしたいと思います。
 成人体型とは一言で表すなら長さの尺度です。現実の世界ではメートル法や尺貫法と言ったもので長さを測れます。けれどもその方法が確立する前は「拳十個分の剣」だったり、「中指二百本分の距離」だったりと人によっては長さが違う単位で図らなければならなかった。この物語もまだメートル法も碌に確立されてません。なので長さを測る単位として成人体型という人族の成人の平均身長をベースにしたもので図ってました。ちなみにこの世界における人族の成人の平均は150㎝となります。なので一とコンマになら180㎝と表せます。そう考えると人型の奴の全長ってでかいもんだなあ(驚)
 以上で第四話の解説を終えたいと思います。
 
 
 なお、スケジュールは御覧の通りです。

 月曜~木曜 シナリオの作成
 金曜または土曜 シナリオの完成日。金曜に完成していれば、土曜は休日。
 日曜 時事ネタあるいは小説の解説などを書く予定。

 正しくは「シナリオの作成」というのをを「第一パート~第四パート以上の作成」に訂正。後は「シナリオ完成日」を正しくは「最終パート完成日」に訂正。
 まあ一ヶ月経った今頃になってやるのもどうかと思いますが(苦)
 さてこのスケジュールにした理由を説明します。

 第一に自分自身が物書きとして三流どころか未熟の域に達してないこと。
 第二に誰よりも遅筆であること。
 第三に必要最小限の上で無理をしないこと。
 第四に自分自身が目立ちたがり屋の癖して人前に出たがらない性質であること。
 以上である。
 
 書いた後に気付いたが、自分自身が三日坊主であるというのも理由だったよ。とまあこんな感じで小説及び小説の練習ブログとしての方向性を示したんじゃないかなと思います。まあ、未熟と言われるまではまだまだ練度は低いわけだし、筆を進めるスピードをいきなり「とある~」の作者並みにしろなど無理な話だし、かといって田中芳樹御大や佐藤大輔御大みたいにあちこちで仕事を持ちすぎて筆のスピードが遅くなるのもはっきり言ってやってはいけないしね。後は自分のペースで出来る限り無理をしないことですね。
 今まで読んでくれた方なら分かりますが、最後尾に小さく「~は今日中に完成予定。」という文字が入ってるじゃないですか。あれは今日はどれくらい時間に余裕があるかを自分なりに感じて書いてます。今日書くと言って明日書いたらそれこそ嘘つきです。なのでフィクションで嘘つきであっても現実で嘘つきになりたくないために最後尾にあれを書きます。
 それから木曜か金曜に更新した話の最後尾によく「~明日中に完成予定。」ってのをよく見かけますね。あれは家でアイロンかけるのが忙しいから余裕が無くなる可能性を考慮して書きます。後は土曜日にずれ込む可能性も考慮します。
 最後に私darkvernuはホームページを立ち上げた頃から一貫していることは自分自身が目立ちたがり屋で傲岸不遜の臆病者という点です。今でも今年一番を記録してます。ではこの辺で。

一兆年の夜 第四話 どうしておいらなんだ(七)

 チュウ備を探した! 家中の布団から台所まで。でも見つからなかった。
「夜は雌うのお尻を追うかけ回すんチュウ備さんだう!
 でも今日は何かが違うん!」
 今度は雄色家の脚蓋を探した! 勿論同じように。でも見つからなかった。
「好こない者だっけど、探す役割は本来脚蓋が一方的のんだけどう」
 次にベアッ九を! 次にコキータおばさんを! 次に猿族のウキキを!
 次にダッギの姉ダグンを! ソウスブは次々と顔見知りの者だけを探した!
 だが、結局見つからなかった……
「ブル璃様! 親善大使ソウスブ・ブルホル!
 自らの名誉を傷つけのがらも面を上げきっとままここへ戻るました!
 謁見する資格はもう何もありめせん!
 ですが、最後にあなた様のうお言葉を聞くにここへ参ろうした!
 どうかほんの数ある秒でもあなた様のう有る難きお言葉を!」
 だが、門の先から反応はない……
(認めるうかう!
 ブル璃様ならこんな事言っとら村中に響くう怒鳴り声を上げるうに!
 認めるかううん!)
 ソウスブはわずかな希望を胸に門を強引に開けた!
 だが北条ブル里どころ顔つきのテレス人族にして双子の姉妹である葉月見恩みおん璃恩りおんさえ見つからなかった。
 この村に共通してあるのは本人の体型と一致する骨だけ
「こんなこと……こんなこと認めるかううううう!」
 ソウスブは最後の希望として、北条ウル子を探した!
 村中くまなく探した! 四本足の蹄が血だらけになっても! そして……
「み、見つかっとう!」
 幼い頃から一緒にテレスプリの木に登ってテレスプリを採っていた。その場所に見覚えのある後ろ姿が見えた!
「ウ、ウル子おおおおう!」
 ソウスブは駆けつけた……が既に遅かった!
「ウル子どけは皆と違うん! それだけはおいらの中どは一番よくう分かっとた! でもこんな処どけ違うんなんておいらが認めるうかああああ!」
 ウル子の亡骸は左後ろ足の部分が見事に欠けていた。死因は見るより明らかだ!
「うう、うう、うおおおおおおう!」
 彼は悲しみに暮れた。一の時、いや、二の時をかけても悲しみに暮れた。
 けれども同時に心の奥底に眠っていた彼らに対する赤いモノが芽生えた!
「これんだけはいつも起こすことだう! これは怒りだう! もうおいらの堪忍袋の緒は絶たれてしまうたあああ! どうして……どうして!


 第四話 どうしておいらなんだ

 ICイマジナリーセンチュリー四年五月三十四日午前零時十二分三十四秒。 完

 第五話 恐怖心と怒り に続く……

一兆年の夜 第四話 どうしておいらなんだ(六)

 ソウスブは快い夢を見ていた。
 それは憧れのウル子との結婚式。その後の身の崩れた騒ぎ。いつも通りソウスブのおっちょこちょいで大惨事。結婚した後も子育て、夫婦ゲンカ、ご近所騒動……何もかも過去、現在、未来と変わらない些細な毎日。熱い毎日。悲しみの毎日。喜びの毎日。そして幸せの毎日。そんな夢を見ることで現在起こった悲劇を紛らわす--はずだったが。
「--きろ!」
(どこんからともんなく声すうるが?)
「--起ーきろ!」
(この間延びえる訛りは……?)
「ソウスブのおーっちょこちょーい! 起ーきろ!」
 ソウスブはやっと声の主に気付いた。同時に目をゆっくりと開けた。
「いでう……やっぱりんラシーだっとか」
 普段は無口なラシーも土壇場になると喋り出す。ソウスブは存在すら忘れていたラシーがどんな者かを思い出した。
「へーへ、無事ーじゃねーの? 拙はとてーも嬉しいーぜ!」
「ラ、ラシー! お、おまんはその後ろ左足をど、ど、どうしとうたんだ!」
 ソウスブはラシーの後ろ左足が欠けていて、そこから赤い物が吹き出ていることに唖然とした。
「こ、こーれが精一杯ーだったよ……あの方々ーはお前じーゃなく、それ以外--つまり拙達ーが目当てだーった、グウグ」
「も、もう喋っっと駄目だう! 今からおいらが向こうからそこを動くないでくんれ!」
 ソウスブは痛みを我慢しながらラシーを手当てするために坂を勢いよく登った--がラシーは登ってきたソウスブの右足を噛みついた!
「いだあ!」
「心ーの痛みがー何だ! 拙の後ろをよく見やがれ!
 見えるはずだ! 得体の知れないモノが!」
 ソウスブには確かに見えた! ソウスブの顔面に右手を振り抜いた人型が今にもラシーを食らおうとしているのを。だが、それでもソウスブは--
「皆を守るんのが親善大使の務むどあああ!」
 ソウスブはかまれた右足を強く踏みつけ、坂を登ろうとした--が彼のおっちょこちょいぶりがここで発揮!
「土壇場でおいらはのんて格好の良くうないんことをおう!」
「いーや、それーでいい! 場ーの雰囲ー気が明ーるくてーソウスブらし--」
 ソウスブは彼の最後を見ることなく、坂道を転げ落ち、自然井戸に落ちた。彼の意識も同時に。
 一回目の意識不明から一の時が過ぎ、二回目では二倍の時が加算され、計三の時が過ぎた。
 日は沈もうとしている時に、自らの腹の虫によってソウスブ・ブルホルは起こされた。
「ここ、は? ああ、おいらのおっちょこちょいは結局誰も守れのかったんだねん」
 ラシーの子は目撃していない。だが、目撃しなくてもソウスブには分かった。彼もブヒンやコケータの処へ旅立った事実は。
「諦めるんわけにんはいっかないん。彼らの死を無駄にすない為にも……でも腹が減ったう。一旦村に、うう、どの面を上げきっとままで帰るうんっだろう、おいらは」
 親善大使として相応しくない。その事実をソウスブの心を傷つけた。だがソウスブは--
「開き直るんっのも手だう! おいらはまだ生きとるう。ここまで生きていて罪造るなおいらだう。帰らずうに行くるなら更に神様への礼を欠こうだけど! 例え皆がおいらの見るう目がきつうくてもおいらがウル子に好これなくなってもおいらは彼らの為にんも生くて償わなっければならないん! うう、おいらは、おいらは三名の命を分こう与えられとうんだよ! ここで諦みたら、うう顔見すできなくううなるうう」
 ソウスブはそう決意した! そして彼は一の時をかけて井戸から抜け出るとそのまま真っ直ぐ村へ向かった!
(お腹の虫さんが今も食べ物を欲すがってるう。でも今は我慢するうんだ。おいらが意地でもあごるから)
 そうして一の時と三十の分。ようやく村に到着した--が。
「な、な、何々なんだ! こ、こ、これはどいうなるんどう!」

一兆年の夜 第四話 どうしておいらなんだ(五)

 大きさは成人体型一とコンマ二か二続き三まである体型は人族の特徴である腕は細く、足は太い。二足歩行に適した形だ。だが、外見はこの世のモノとは思えない剥き出しの--いや、何かを覆うモノが周りを螺旋状に移動。言葉が示すとおり得体の知れないモノだ。
 親善大使一行は得体の知れないモノと出会って一の時が過ぎた。未だに恐怖心ゆえ行動に移せる者はいない。
(行動しなくくんてどすするんだう! ここでおいらがうごかなけけれればば皆ががが……皆が死ぬん!)
 誰よりも先にソウスブの足が動き出した。
「い、行くのが! あんちゃんはつよ--」
 それが藤原ブヒン最後の言葉だった。得体の知れないモノに頭を食われた。
 もちろん前にいるモノとは別の種類によって。
「あ、あ、あ! ブ、ブッヒイイイイン!」
 コケッターは叫んだ! ラシーは歯を食いしばって慟哭した! コケッターの叫びに気付いたソウスブは振り返った。
「な、な、な、なんぜんにブヒンが食われなければなっねんだあああ!」
 ソウスブは現在もブヒンの死体を食らうモノを見た。
 人族型とは違う二本足で両側に翼が生えているが飛ぶのに適さない鶏型だ。
 共通するのはやはり外見が剥き出しで隠すように何かが螺旋状を移動。文字通りという点では同じだ。
「何故おいらを襲うない! おいらは皆の為にあなた方に食われることをの--」
 ソウスブが喋る途中で三体目を目撃。それは真っ直ぐコケッターの方へ向かう! しかも百獣族に勝るとも劣らない速さで。
「コ、コケッター! に、逃げろうう!」
「ど、どうしった、ソウス--」
 コケッターは鶏族独特の小柄な体型ゆえ、丸呑みされた。
「コ、コケッタアアアアア!」
 食い終えた三体目のモノは骨だけ出してゲップを吐いた。一方二体目のモノはようやくブヒンの死体を食い終えた。骨だけを綺麗に残して。
「お、お、お、おううう!」
 ソウスブとラシーは二名の死を悲しむ。特にソウスブは自分より先に死んだことで親善大使としての誇りを折られた。
(守んれなかあった! ブヒン! コケッター! も、もうこう以上は……)
 ソウスブは振り返り、ラシーを守るために--いや自分自身の残りの誇りの為に足を激しく動かした!
「自己紹介すんる! おいらの名前はソウスブ! 名字はブルホル! 
 テレス牛族とすて! テレス村を代表とすて! 神々を代表とすて!
 親善大使とすてあなた方に食われることを願う! それは生命ある者の為に!」
 鳥形は右翼を瞬時にあげ、人型に合図をした。ソウスブはその音を聞いたがそのまま振り返らず、人型の方へ走った!
「ぐうん!」
 人型が握った右手で振るったものを顔面に受け、ソウスブは入口付近の坂に転がり落ちた!
 ソウスブの意識は黒く塗り潰されていく。

一兆年の夜 第四話 どうしておいらなんだ(四)

 午前十の時に近づいた。ソウスブら親善大使一行は村の南門から出発しようとしていた。そこには親しい者のみならず、老若男女のお年寄り夫婦、産まれたばかりの赤子を抱える主婦、一人母、主夫。卵を抱える主夫や代わりに暖める子供。ソウスブを慕う多くの子供達まで。親善大使とは何なのか分かっていない者が数多い。けれども分かる者にとっても反応はそれぞれだ。それでも--
(おいらは行かんならう。これはおいらにしかできんことであるう。皆を守る為の精一杯のことじゃっと!)
「何に考えとっけん! そろそろ行くってー親善大使どの!」
 ソウスブはコケッターの言葉に口を歪めるが、言葉を返さず見送る者達に一礼した。
 数分の後、一同は門の向こうへ振り返り、足を進めた。
(父さん、母さん……おいらは二人の処へ向かんます。おいらは今までんの人生、後悔するうことばかんりでしたう)
 ソウスブはストテレス山への道中、思い出を振り返っていた。それは自分の中にある恐怖心と呼ばれるモノを振り払おうと懸命だった。
「恐怖心……覚えておきなぶ! 五年前、プラトー山から生還じた飛遊実兎ひゆうみうが造っだ言葉だぶ。これはな--」
「怖い怖いよおってっでろ?」
「違ぶ! 意味は心の中にあぶ冷えた恐さ。そじて前進が凍り付くような怖れ。得体の知れないモノと出会った感じをそどばまに飛遊実兎という雌が編み出した言葉だぶ。実はわてはこれから初体験するかもしれないぶ」
 途中で話しかけられたせいで思い出を振り返る作業を妨害された。
 だが、ソウスブにとってかえって良かった。
 実は親善大使の目的はストテレス山を登り、得体の知れないモノに身を差し出すこと。
 何故なら得体の知れないモノは村の各地、特にテレス山、ストテレス山、それにプラトー山といった山に登る者達を次々と食らった。テレス村関係者だけでも一場雄吉、葉月御幸、常陸雄一を筆頭に十七の年月で少なくとも千名以上の生命が死亡した。
『得体の知れないモノは生命を食らうことに躊躇いはない。彼らと出会う者達は必ず恐怖心が芽生える。彼らは空から降ってきたモノ達だ。恐怖心という贈り物と共に
(この言葉を言ったのうは今は亡き海洋藤原鮭族の天体研究家、藤原マス太先生だう)
 話を親善大使関連に戻す。テレス村が親善大使制度を始めたのは四の年より前である。当時村一番の美雄子と言われたテレス蟻族である故ダッギ・ジニン。彼は得体の知れないモノの情報を調べていく内にある結論を導き出した。
 それは--
『彼らも我らと同じ生命。ならば我の身を差し出して空腹を抑えて進ぜよう!』
 当然この言葉を聞いた一同は猛反発した。
 けれども彼の気迫に押されたのか、一同は涙を流しながら彼を送った。
「そうだう! それ以降はしばらく彼らも食らうんことなくなったよねん!
 それはダッギさんの命がっきゃの行動が示したん結果だよう! まあさすんがに親善大使が毎年続くなんて思わなかったけどんね! うう……いつまで続くうだろうんこんなの」
 ダッギさんの後も次々と志願する者が現れた。選ばれるのは老い先短い者ばかりかとおもえばソウスブと同年代の者もいて、更には雌まで。
 そのたびに身を捧げた者達を悲しむことを強いられてきた。それを今度こそ終わらせる為にソウスブは--
「おいらの人生を持っとこうな悲しみのん泉は終わらせんと次の世代がまた悲しむを受け継ぐんど!」
「長年の付き合いだからわからっけど、今にしっと思っと……うう」
「泣くのコケッター! おいらと別れん時まで泣くうの堪忍!」
「どぶやら振り切れたみたいだぶ!」
 別れる時は笑顔で別れる--ソウスブは心で誓った。
 そして一行はストテレス山の北入口に到着した。すると--
「ど、ど、ど、どぶやま出迎えがいるみたいだぶ」
「ブ、ヒ、ヒ、ヒン! こ、こ、これってききききうふっしん?」
 一同は得体の知れないモノと初対面した。恐怖心と呼ばれるモノを芽生えることによって。
(感じんとら凍り付くう! 村の皆との思い出を夢ををを、胸にんいいっしなとう)

一兆年の夜 第四話 どうしておいらなんだ(三)

 ソウスブは覚悟を決めた。
 今日という日は人生の総決算である。自分自身の最後を決める日。
(おいらはその為にんもこんな所でおっちょこちょいでいてんたまるか!)
 ただし、今の今までがおっちょこちょいだったことには後悔していた。
「で行こうんか、コケータ、ラシー、ブヒン!」
 彼のお供は全部で三名。そのうちの一名は既に紹介済みだ。
 一匹はテレス犬族の犬丸ラシー。ソウスブの二つの年上で無口だ。
 一頭は大陸藤原豚族の藤原ブヒン。移民出身にして三十の年。一行の中では年長者に当たる。
「後悔すぶなソウスブのあんちゃん。おめぶさんはまだまだ若いぶじゃ」
「ありがんと、ブヒン!
 では……親善大使ソウスブ・ブルホル!
 テレス牛族代表として! テレス村代表として!
 そして神々の代表として長老北条ブル璃に謁見に参る!」
 ブヒンの言葉で肩の力を抜くことが出来たソウスブはゆっくりとした足運びで寺に入った。
 戸をゆっくり開けた--奥の方から齢四十二にして二の月と三日目になる老婆が腰を上げて待ち構えていた。
「よくんぞ来やしいたなソウスブやう」
 老婆はテレス牛族の北条ブル璃。北条ウル子の叔母にあたる。
 ブル璃の人生はソウスブに勝るとも劣らず破天荒である。
「うう、偉大なるんブル璃様とお話が出来るうことを光栄に思いますう。今まんで自分自身のおっちょこちょいなせいでう幾年もブル璃様や神々のうみならんず、村の者達にどれだうけ迷惑をかけたか分からんないものでしてう。こんな自分がブル璃様と謁見できるん資格があるうのかと今日まで思うましたことでございますう」
 それを聞いたブル璃は首を横に振った。そして--
「そなんたがそこうまで思い詰めているうとはのうん。
 けれんどもそれくうらいならんばわしとて同じことよう。十七の年より前にわしは人族の雄と禁断の恋だけではなうわい。その後も初恋の雄が死んだこうとも認めっちゃ、遺族の前で口論になったうこと。
 更には家を飛び出しんて村より南に成人体型十万離れたゼノン村へ行きう、お酒浸りの毎日を送ったこと。三の年まで保護してっちゃ飛遊家から何の通達もせずう失踪したこうと。その後ゼノン村よりん北西に成人体型九万離れたメデス村に行きっちゃまた酒に溺れて周囲と口論の日々。また五の年まで保護してくうた--」
 突然右横に座るお供が口を挟んだ。
「礼を良く思わなくて申し訳ございませんが、そろそろ本題に移るべきかと……」
「おお、そうだっちゃ! ではソウスブやう。本当に自らの人生を投げ打つ気なのかう?」
「はい! そうのつもんりでございまうす!」
「こう言うんのも何じゃうが、今から撤回すっのも手じゃぞう! そなんたは若い!
 むしろ老い先短くうて恥さらしんな人生をう送り続けったわしがゆうくべきもんのじゃが--」
「礼を失うん覚悟で口を挟みとっございますん!
 自分の人生もう恥さらしでござんますう! 自分は度々ブル璃様や他の者のうみならずん、神々にもん迷惑をかけうた所存でありまうす! けがれをう払うんにはもはや人生を投んげ打っち村を救うん以外にないかうと自分は思うます! なのでどうんか自分に行かうせて下さいん!」
 それは皆の前で自ら親善大使になる為に言ったことそのままだ。その言葉を再度聞いたブル璃は本人の意志を尊重して--
「よかろうん、そなんたの覚悟……しかと受け取ったんぞう!
 ただん、これだけは言わせてもらうんぞ!」
「な、なんでしょう・・・・・・かう?」
 突然のことでソウスブは少し困った。
「そなんたは決して穢れてうなど居らんぬ! 外の様子をほんの少うし聞いていたんが、そなんたは皆に担がっらてここにやってきたんじゃろうん?」
 それを聞いてソウスブは焦った。
「あ、あのそれにうはろいろろいろと--」
「惑うことの物でもなうわい! それんは皆に慕われうとる証拠っじゃ!」
「えっ!」
「驚くんでもないわう! 担がれるんことは本来自分をう溺れさせとすまうもんじゃよい。わしが酒を担うで溺れとみたいにのう。
 だが、そなんたは溺れてなどいいない! それは即ちそなんたは自分自身の撒うと種に溺れるんことなくう真っ直ぐん進めるうだけの強い何かを持っということっじゃ。それは皆に癒しんになっとるう事よ!
 なのんで自分に自信を持と! わしが言うといのはそれだけじゃう! おっと少し言う過とて良くなかったのう」
「いえいえ! 有り難きお言葉を頂戴致しました!」
「ではゆくんのだテレス牛族の雄、ソウスブ・ブルホルやう!」
 ソウスブはゆっくりと頭を下げ、戸の前に下がった。また頭を下げて戸をゆっくりと閉めた。

一兆年の夜 第四話 どうしておいらなんだ(二)

 ソウスブは腹の虫を抑えられなかった。
「お腹の虫さんに食わせんの忘れたう。口に出すほどんだう」
 そこへ羽をばたつかせてやってくる男が声をかけてきた。
「よう親善大使さんや! 相変わらずのオッチョコちょいっぷりだっち」
「うるうさいぞ、コケッター! 昔からおまんは好かん雄だう!」
 彼はテレスにわとり族のコケッター・コケラッタである。ソウスブの幼馴染にして劣友になる。
「まっまっ、親友同士だからこそおらは親善大使一行になっちゃ!」
「劣友の間違いだう! 一行に選ばれたのがおまんじゃなくてウル子だったらよかっとべ……」
 そうこうしているうちに四本足でゆったりさせるように歩く女性が話に割り込んできた。
「相変わらずうね、ソウちゃん!」
「おお、ウル子! おまんにあえてよか--うう」
 思い出したようにお腹の虫が鳴った。
「張り切り過ぎんて朝ご飯食べ忘れんみたうね、ソウちゃん!」
「そうみたうだ、お腹の虫さんに何か食べさせないと……」
「なっさっけねってーの、親善大使さんや!」
「おまんは口を閉じんかう!」
「そう思うて、これあげるうね!」
 女性は服の腹ポケットから殻と皮を剥いだばかりのテレスプリを取り出した。
「これんおいらの大好物テレスプリだう! ありがとうウル子!」
「どういたんしましてねん!」
 ソウスブは早速渡されたテレスプリを豪快に口に運んだ。
 ちなみに女性はテレス牛族の北条ウル子である。ソウスブの幼馴染にして初恋の雌。そして、テレス村の牛族で一番の美雌である。
「うぐ、うまうだ! テレスお売りはさくさく感が良いんだう」
「よかあた……いつものソウちゃんで」
「どしたうんか? どうしてウル子はおいらの方を見て心配なぬんか?」
 ソウスブはウル子の様子がおかしいと感じた。理由は親善大使という役目であることに当の本人は気付いてない。
「心配して当然っけ! 何せ……いやそれはいかっち!」
「何がういたいんだう! コケッターの癖においらを遊んでるの--」
「待ってうソウスブ! コケッター君が言うんには親善大使になるんと言うことんはもう私達は一緒にいらんれなくなるうと思うてかなしんどるとことだけど……ごめんなさいソウスブ」
 ソウスブはようやくウル子の気持ちに気付いた。ソウスブに待ち受ける運命というものを知ってのことなのかそれが心配で仕方がない心持ちと分かった。
(そうか、ウル子はそこまでおいらん事を思って……いや考え過ぎんか)
「まあ大丈夫だう! ウル子やコケッターだけ心配してるわけじゃないんだぞう!
 村中のみんな、それに万物の神々だっておいらの運命を心配しとうんだう!
 こんなことで挫けんたら駄目だう、もっと顔を上げんと見送るのが一番だう!」
 これはソウスブなりに精一杯の励ましだった。
「誰が心配だっち! それにおらは一行だっけ! 送る側だっと」
「やっぱうコケッターはお供にするべきじゃなかうべ!」
「ふふふう、二者共微笑ましいわ」
 三者仲良く会話している所を野次者が集まって会話に割り込んできた。
「オイオイ、ソウスブの旦那じゃないッスか?」
「あなたさはプラトーから来た鼠族のチュウ備さんかう!」
「アラアアン、あたしいいのっこと忘れてなああいかしいいらあん愛おおしのソウスブちゃあん」
「良かったけ、親善大使! 猫族の脚蓋きゃぶたと会えてっと」
「ぎゃあうん! さっさと逃げんなうんどおおお--」
 ソウスブはキャブ宝にっげようと力一杯前右足を踏みつけて旋回するよう逃げた--しかし前方の大きい者にぶつかり横転。
「逃げるとは良いドオきょうだぜ、ソウスブのおねしょ野郎がア!」
「よかなういいい! 前門のベアッ九に後門の脚蓋なんて駄目だうぞう!」
「鶏族のコキータおばちゃんがやってきったー頃には何とクマ族のベアッ九君まっで来るなんてすっごい集まりになったっちね、ソウスブちゃん」
「カカアが来るんじゃないっち、恥ずかしいっち!」
「離せう離せう! おいらはみんなに遊ばんれる為んに親善大使になったんじゃないうぞい!」
 彼は御輿担ぎされるが如く運ばれ、目的地である長老ブル璃が住む寺に運ばれた。
「こんな事されんで参ったわけじゃないうんのに……」

一兆年の夜 第四話 どうしておいらなんだ

ふわあ、やっぱり朝起きるのは大変だう!」
 青年はうつぶせの状態から毛布を上方へ飛ばした--毛布はそのまま落下し、青年の背中に塊の状態で乗っかる。
「ふうう、おいらがこんなんだから毛布の神様は怒ってるんだう!」
 青年は寝起きの良くなさを悔やんだ。
(こんなんでは駄目う。これではテレス牛族の恥さらしものだ!
 神様どころかブル璃様やウル子にまで呆れられてしまう!)
「ってそんなこと思うとうん場合かっちゃ!
 牛訛りをたくさん出してでも思い出さないかんもんあっべかっちゅ! おいらは村を代表してやれねばなるんことあるべ!
 快雄児かいゆうじソウスブ・ブルホルは世間を賑わすもっと村を代表しんて対話しなければなるまう!」
 青年の名前はテレス牛族の青年にして村一番の問題児ソウスブ・ブルホルである。彼は幼い頃からおっちょこちょいな雄の子である。そのおっちょこちょいは五の年から始まる。
 彼は五の年に神の儀式日に寝坊をした。
 七の年になると火の神様を鎮める儀式時で薪に火をおこす作業でうっかり寺を焼く。
 十の年では温泉の仕切りを壊してしまい、同世代からスケベの称号を。
 十三の年ではまたしても神の儀式日に寝坊。それだけならまだしも何とおねしょまでするというリンゴ色の恥をかく。
 十四の年では初恋の雌に渡すべきラブレターを誤ってテレス猫族の雄色家である雄に渡してしまい、大変なことになった。
 十九の年では覗き行為を止めるつもりがそのまま現場に直行してしまい、自分自身が覗き魔と誤解された。
 これはまだ彼のおっちょこちょいのほんの一部分でしかない。これから彼は出発の準備においてもおっちょこちょいぶりを発揮してしまうことになる。
「さあ、元気になんだうべ! もはやおいらを止めるもんはおるんべ!」

一兆年の夜 第四話 どうしておいらなんだ(零)

 遠すぎる過去にさかのぼる。
 全ての生命が些細な争い事で済んだ平和な時代。

 BICバックイマジナリーセンチュリー一年九月百八日午前四時二分六秒。

 歪みは起きた!
 それはあらゆる銀河を飲み込み、やがては一つの集合体となり……
 宇宙空間と同化した!

 BICバックイマジナリーセンチュリー一年十月四十二日午後十時四十二分九秒。

 アマテラス銀河スサノヲ太陽系水の惑星において住民は空が歪むのを観測。
 その時間帯を観測していた東藤原海洋不比等ふひと村に住む海洋藤原鮭族の天体研究家である藤原マス太は十の日より後に村を代表して、この現象を空の歪みと命名。

 BICバックイマジナリーセンチュリー一年十一月二日午前四時十六分三十二秒。

 再び歪みは起きた!
 歪みから二の二乗ずつ何かが放出された。

 BICバックイマジナリーセンチュリー一年十二月一日午前一時一分一秒。

 何かがアマテラス銀河スサノヲ太陽系に到達。

 BICバックイマジナリーセンチュリー一年十二月百二十四日午後二十三時五十九分五十九秒。

 最初の何かの一団は木の惑星を通過。

 ICイマジナリーセンチュリー零年一月二十一日午後七時三十一分十四秒。

 何かが大気圏突入。

 ICイマジナリーセンチュリー一年四月四日午前四時四分四秒。

 水の惑星は今年一番の流れ星を記録した! 何かが多く混じることによって……

 ICイマジナリーセンチュリー二年八月二十日午後十一時十一分二十二秒。

 今日まで最初の何かの一団、水の惑星に全て大気圏突入した。
 そして……

 ICイマジナリーセンチュリー四年五月三十二日午前六時零分二十九秒。

 テレス村の東に位置する三番目に小さい民家で齢二十にして二の月と二十五日目になる一人の青年が目を覚ます。

「この頃はやり~」はいつまで言い続ける?

 どうも最近の若い者darkvernuと申します。
 今回はアジア各国(笑)についての時事ネタをやります。

「レスリング、除外してくれない?」
「でも長年オリンピックの競技として人気を集めたスポーツですよ。さすがに除外したら--」
「あってもつまんないじゃーん。特に女子レスリングはいっつも日ざ……いやウリの国優勝できないし!」
「かといってパプアくん拳法を残すってのもどうかと思いますけど、それに優勝できないのはそっちが--」
「饅頭やるから我慢してね!」
「おお、これはとても美味しそうな饅頭ではありませんか! 良いでしょう、か……いや饅頭にかけてレスリング除外しヤスぜ!」
「ありがとね、ついでにウリ発祥の拳法の残留とは言いませんがこのバレンタインチョコもどうぞ!」
「これもなかなかの良いチョコレートじゃありませんか! ではホワイトデーのお返しとは言いませんが、残留を了承しましょう!」
 かくしてレスリングは除外された。


 書き終えた後にこんな事を言うのはどうかと思いますけど、実際にこんな裏事情になってるとは限りませんがレスリング除外のニュースを聞いて驚いた方は多い反面、テコンドー残留のニュースはさすがに全世界のスポーツファンの多くが怒りを覚えたと思います。もちろん自分自身も怒りを覚えます!
 特にこんな事をやる国は世界中どこを探してもアジア各国(笑)の内のあそこ以外ありません! 本当にあそこは白村江の戦いの頃から法則通りデメリットしかもたらさないから腹立たしい! とこれ以上書いても主事から外れまくるので時事ネタはこの辺で終わりたいと思います。

 第三話の解説に行きたいと思います。
 今回の主人公は第二話の主人公である春風子音の叔母に当たる春風実兎です。
 彼女は全話で登場した春風智の九つ年が若い妹です。とにかく読後の皆さんなら分かると思いますが勝手気ままな雌の子ですよ。まあそうゆうキャラに仕上げた自分が100%悪いんですけど。
 ただ彼女は彼女なりに伝統と向き合い、最終的には伝統を受け入れます。まあ、描き方云々はともかくこの話は彼女の成長物語になってます。今回の登場人物は一名除いて皆生存します。前二話までの話が暗すぎたんだ、きっと。
 では二人の登場人物についても説明すます。一人は実兎の憧れの雄であるユーリディス・バルケミン。
 彼は二話で名前だけ登場したオッツールの第二子に当たります。第二子ってとっても後付けだな~。彼はオッツールが野菜研究家であるので自動的に何かの研究家になります。これは親が野菜研究に携わるなら彼もまた何かを研究分野に持ってます。それは明らかにするのはdarkvernu次第ですけど、決して現場検証は研究分野じゃありませんので御注意を!
 もう一人の登場人物は飛遊羽通之。実兎の婚約者に当たりますが、彼は実兎のことを愛してます。
 ただ残念なのは彼自身の出番が第一パートと第七パートしかないと言うことなのであんまり書くことがないのよ。まあ強いて上げるなら彼がゼノン人族出身であることくらいか?
 第三話まで読んでくれた方々ならおわかりと思いますが、「~人族」、「~山」の元ネタが何だかお分かりでしょう。実は全員歴史上の登場人物の名前が元ネタです。例えばテレス山、ストテレス山なら哲学者アリストテレスから。プラトー山ならプラトン。それからゼノン人族と飛遊家なら哲学者ゼノンと彼が提示した「矢は飛ばない」のパラドックスです。以上で登場人物の説明は終わりたいと思います。
 では第二パートで「今時流行りの雌の子~」について。実はあれは「最近の若い者は~」と同じように中年以上のおじさんおばさんがよく若い者達に対して口にする台詞です。そもそもあの台詞は一体いつまで口にすれば飽きないのか聞きたい所です。言ってた本人達だって一世代も二世代も前の人達に言われたことを口にしてる自分を考えようと思わないのかな(思ってる人は確かにいます)? まあ自分もいつかこの言葉を口にする日が来ますから今の内に好きなだけここに書いて第三話の解説を終わらせたいと思います。
 ブログを続ける内にいつの間にかFC2ブログがリニューアルされててビックリしたぜ。まあ、機能が増えるのはいい事だけど、うまく使いこなせる自身は永遠に来ないな。

 なお、スケジュールは御覧の通りです。

 月曜~木曜 シナリオの作成
 金曜または土曜 シナリオの完成日。金曜に完成していれば、土曜は休日。
 日曜 時事ネタあるいは小説の解説などを書く予定。

 なおこのコピペは来週まで張る予定。来週はどうしてこのスケジュールなのかについて説明したいと思います。
 ではさらば!

一兆年の夜 第三話 あたいは生きる(七)

 あたいが目を覚ました時、そこは大きな家の中だった。
 お日様が斜めのほうに照らしてくれてるからたぶん、昼近くだと思う。
「ようやく起きてくれたか、実兎! 良かった……無事で」
 その声と共にあたいは目の前にいるのが誰なのか分かったわ。
「羽通之? ってことはここは飛遊の屋敷……なの?」
 羽通之は礼をするように頷いた。と言うことは--
「あたいは食べられてないってことなの?」
「物騒なことは口にするな! とにかく俺は君が無事ならそれで良いんだ!」
 何が君が無事なら、よ! でも嬉しいわ、生きてるのって嬉しいわ。でも--
「ユーリについては残念ながら--」
「わかってるわ! あたいはこの目で見たんだから誰よりもユーリディスの死は知ってる! だから彼のことは何も言わないで!」
 あたいにとっては死ぬまで忘れることはないよ!
 あたいが最も愛した彼の死! だからこそ--
「あたい決めたよ! あたいは伝統に従って生きていくって決めたよ!」
「えっ! でも君はその伝統を最も好かなかったはずじゃ--」
「ウルサイ! 実は好きでしたってオチで良くない? 良いわよ、ご都合的で!」
「相変わらずどこまでも勝手な雌だな…・・・ってあいつなら言いそうだよ」
「勝手にユーリディスの言いたいことを決めつけにでよ! あんたに彼の代わりなんて務まるわけ無いんだから!」 そうよ、誰にも代理なんて出来ない--それはあたいだけじゃない! 死んでいった生命の代わりを今生きてる生命が務まらないように。
 でも、だからこそあたいは--
「だからこそあたいはあんたに一生着いていくって決めるよ!
 どう? 断るなら今の内よ!」
「断る理由があるものか! 俺は君が嫁ぐ前から君と共に生きていくって決めたんだよ! それは神々の為でもあり、自分の為でもあり、両親兄弟の為でもあり、一族の為でもあり、何より……君の為だよ、実兎!」
 あたいは勝手な雌であるのよ! それはこの先もこれからも変わらない!
 この先あたいは伝統という神様の贈り物を担いで生きていくわ--生涯かけて!
 それは自分自身の罪の重さでもあり、自分自身しか得をしない重さかも知れない。あの得体の知れないモノともこれからだって出会うかも知れない。
 けれでもあたいには死んでいった者達がちゃんと見守ってるんだから--兄貴や史乃さん、それに子音ちゃんやユーリディス……。
 それだけじゃないわ! 今を生きる人達だって神々だって見持ってるわ! 特に--
「羽通之。あたいは一生あんたに見守られる覚悟があるんだから! 何故ならあたいは彼の最後の言葉を胸にこれからもこの先もずっと……



 第三話 あたいは生きる

 ICイマジナリーセンチュリー三年二月九十七日午前十時十一分十二秒。 完

 第四話 どうしておいらなんだ に続く……

一兆年の夜 第三話 あたいは生きる(六)

 あたいは必死であれから逃げたわ!
 服がボロボロになるのも気にせず、足が傷だらけになっても気にせず。
 でも、あれはあたいの逃げる方逃げる方にすぐ回り込んではあたいが逃げるのをただ見ては割り込んでまた見て……
「何がしたのよ! はっきり言いなさいよ! あたいを食べたいならさっさと食べればいいじゃない!」
 ちゃんと大きな声で伝えた--これで五回目。でもアレはうんともすんとも言わない。
「言葉を……話せないの?」
 あれはもはやあたいら命ある者達とは別の存在のように感じました。当然といえば当然かも。何しろあれは--
「兄貴や史乃さん、それに子音ちゃんや……ユーリディスを死なせてもまだ足りないの?」
 これ以上何を言っても時間の浪費だと感じました。
 あたいは例えあれに逃げられないと分かりながらも必死で逃げました。必死で逃げ--
「行き止ま、り?」
 確か今日の朝に羽通之に言ったことを今頃になって思い出したような。雪が積もると発射台のような物になる崖の近くにあたいはいた。
「あたいってなんて間抜けなんだろうね。伝統というモノから必死で逃げようとしたらいつの間にか伝統という物を追い求めていたなんて……」
 何言ってるんだろう? あたいがユーリディスや羽通之みたいに理知的に考えられないのはあたい自身が一番よく分かってるはずなのに。何で理知的みたいなことを?
「そうか! あたいが一番良くなかったんだね。伝統という物に憧れているのを知らずに伝統から逃げたふりなんてするからあたいは大切な物を死なせたんだよ」
 ユーリディスはあれに食われて死んだのではない。ユーリディスはあたいのせいで--
「あたいがユーリディスを死なせたんだよ!」
 なんて独り言を言ってるとあれはゆっくりと近づいてるよ。あたいをゆっくり食べるんだろうね。
「でもあたいはあんたに食われるのはお断りします」
 身も心も得体の知れないモノが駆け巡ってるね。これってなんて言う感情だろう?
「でもそんな感情よりもあたいはユーリディスの最後の言葉を優先する!」
 あたい自身でもわからないけどまさか崖から飛び降りるなんて--もちろんあれ自身はそんな行動をするなんて思わなかっただろうね?
 でも不思議だわ。こんなことしているのになんだか体中を駆け巡っていたモノが消えていく感じは。まるでそう--
「死ぬってことなの?」
 いや、これはそうは体には思えない何だか--


 心地よい感情なのかも知れない

一兆年の夜 第三話 あたいは生きる(五)

 何なの? 何なの? 何なんなの? 理解不明。
「理解しようとするな! この感情は理知的であればあるほど自らを見失う!」
 理解出来ないけど、ユーリディスの言葉のお陰で--ってな、なになになに?
「こっちに来い! 玄関はがら空きだ!」
「腕を引っ張らないでよお! 痛いんだからあ!」
 来いと言ってるけど、無理矢理来られた感じね!
 そのお陰で何とかあんなモノから逃げ--きれてない!
 上から来るなんて聞いてないよ! あれは大きな口を開けてあたいを飲み--
「実兎を死なせてたまるかああ!」
 ユーリディスはあれを右手の甲で殴った!
「吹き飛んだわ! で、でも大丈夫? ユーリ--」
「やってしまった……自分は生まれて初めて力を相手に振るってしまった」
 ユーリディスが辛いのは見られない。目を背けたい。
 そうか、ユーリディスも同じなんだね。あたいと。
「ユーリディス……今度はあたいが無理矢理引っ張るよ!」
 あたいはユーリディスに助けられたように今度はあたいが--えっ!
「ど、どうし--」
 アレの口からもう逃げ--いたっ!
 あたいはまたユーリディスに吹き飛ばされた! 今度は反対の方角にね。
「があああああああ!」
「ユ、ユーリディイイイイス! 左腕が、左腕が」
 無くなって、付け根から大量の赤い物が吹き出したわ!
「左の感覚が、ぐうううう!」
 ユーリディスの気持ち程じゃなくても見てるあたいの心に痛くのしかかったわ!
 このままじゃユーリディスがあんな物に食べられてしまう! 助けな--
「来るなあああ、言ったはずだ実兎! お前は生きろと!」
 あたいに叫んだユーリディスは右手の甲で強く殴--
 いや、それより先にあれはユーリディスの右手を食べた!
「があああああ! やっぱりこいつは自分達と同じく学習している!」
「ユーリディスウウウ! 今からあたいが--」
「来るなと言ってる! お前は生きろ! 犠牲になった自分達の分までえええ!」
 ユーリディスはアレの口から何とか避けられた! でもあの体じゃもう--
「何をしている実兎! ここでお前が死んだら羽通之が悲しむだろ! 羽通都だけじゃない! 万物の神々や死んでいった両親、先祖、それに智や史乃や子音だって悲しむ! もちろん自分も含めてだ! 自分は父を守れなかった! だが、今度こそ守らなければならないんだあああ!」
 ユーリディスは手を失った右腕であれに--でも間に合わなかった。ユーリディスは頭を……
「ユーリディイイイイイイス!」


 食べられてしまった

一兆年の夜 第三話 あたいは生きる(四)

「その話はまことに信じがたいモノだ! 何しろ命ある者が命ある者を手にかけるなど……
 我々命ある者も確かにそのようなことをしているかも知れない。何しろ生きる為に雑草や水といった物を口にするのだから。
 いや、やめよう! 今は流れ星に関する話の続きをする」
 それ以降も流れ星が落ちた場所で様々な白骨死体が発見された。その中にはあたいがよく知っている者達もいた。
「それが兄貴と史乃さん、それに甥の子音ちゃんだよね?」
「そうだ……そして、子音こそ違えどこれらの死体にはある共通点がある!」
「それが、食べられた痕……なんだよね?」
「その通りだ! 何より信じられないのは命ある者達をこんな目に遭わすモノ達には自分達のように躊躇いはない!
 まるで楽しんでるみたいだった!」
 ちょっと待ってよ! 今の話はおかしいでしょ! まるで--
「現場を見てきたみたい? そう思って当然だ!
 実際に自分は目撃した! 彼らが仲間を食する姿をな!」
「じゃ、じゃあまさか今日に朝までにここに戻ったのって--」
「ああ、逃げてここに戻ってきた。
 いや、違う! お前を守る為にここに戻ってきたんだ!
 もしもストテレス山で考えたことが本当なら彼らは確実に自分達を食らうつもりでいる!」
 どうゆう意味なの? どうしてそんな結論になるの? さっぱりわかんないからあたいにわかりやすく説明してよ!
「ストテレス山にある春風親子の家を調べて分かったことは二の年より前に起きた自分の父オッツールの死についてだ!」
「そう言えばユーリディスは言ってたよね? 原因不明の病気で死んだなんて」
「その病気の正体がわかったよ……
 いや、あれは明確な故意だよ! 自分で言うのも罪深いほどのな!」
「はっきり言いなさいよ!」
「父は二の年より前に落ちた流れ星に……食べられた」
 やっぱり理解出来ない。どうしてそんな結論になるの?
「わかりやすく説明する方が無理な話だ! それに--」
 ユーリディスは途中で言葉を遮った! というよりもあたいを左に思いっきり突き飛ばしたわ!
「いた! な、何す--」
 昨期まで経っていた場所の近くにあった木の壁が突然壊れた!
「グウ……やっぱりいたか!
 だが怖いなあ。またこの感覚に襲われるなんて理解不能だよ」
 あれ? な、何なの? 外見は二本足に翼をはためかせてる、けど。
 い、いや、あ、あんな剥き出しなの? ち、ちが--
「いやああああ! か、隠すならちゃ、ちゃんとか、隠ししして--」
 剥き出しの部分が変な具合に、うごうご、君がわる--そ、それ以前に……
 あたいは生まれて初めてものに身も心も動けない、わ、わ!

一兆年の夜 第三話 あたいは生きる(三)

 あたいは納得出来ないわ。兄貴が死んだという事実に!
「そんなの信じないわ! 兄貴は今も史乃さんや子音ちゃんと一緒に幸せに暮らしているはずよ!」
「自分は昨日、一の週より前に登った二名と共にストテレス山を調査した!」
「それでどうだったのよ!」
「間違いなく死んだ……ストテレス山葉の採取場でな。
 十二の年より前に起きたテレス山において二名のテレス人族の死体と同じようにな!」
 そんな事実……絶対に信じない! 本当でも信じたくは--
「それだけじゃない、白骨死体は他にも二名見つかった!
 一名は民家より成人体型三百より離れた所にあるテレスプリが生える木より成人体型五十の処で発見された。自分達が調べた所、テレス人族の雌で体型から考えて三十過ぎと思われる」
 三十過ぎって--史乃さんじゃないの? じゃあもう一名ってまさか!
「もう一名は民家の台所で発見された。体型から考えてじゅうに満たない雄だ。
 つまり……」
「そんなの絶対信じないんだから!」
「信じられないのは自分も同じだ!
 いや、決定的に違うのは民家で発見された白骨死体には果物包丁で刺されたような痕が見つかった!」
 おかしいでしょ? 包丁は命ある者に向ける物じゃないでしょ?
 そんなことあたいらには出来ないわ! 信じられない信じられない!
「自分がこんなことを話すべきかどうか迷っていたが、智達の件で傷を付けたのは良くないとも思う!
 けれども、これはお前を守る為に言ったことだ!
 これからお前の為にも十二の年より前に起きたテレス山白骨死体事件以降の様々な件について話す! 有無を言わさずにな!」
 あたいはそれらの件を聞きましたわ。
 事の発端は十三の年より前に起きた空の歪み……悲劇はここから始まった。
 その翌年、二の月分かけて流れ星が落ちた。
 一つ目がストテレス山、そのせいでそこにいたテレス人族の常陸ひたち雄一が白骨死体となった。
 もう一つはテレス山に落ちた。そこでは二名の白骨死体が発見された。一人は常陸雄一の叔父に当たる一場雄吉。もう一人はテレス人族の長、葉月家の第三子御幸みゆき。幸いテレス山の事件は第一発見者である春風智により事件の全貌が明らかとなる。
 それによると、二人をあんな風にしたモノの外見は四本足であり、体中がむき出しのような何かであった。それでどうゆう風にあんな風にしたかと聞かれると春風智は信じられないようなことを口にする。



 自らの口で食べるように!

一兆年の夜 第三話 あたいは生きる(二)

 あたいの名前は春風実兎。二十五の年になる今時流行りな雌の子よ。
「えっと確か今時流行りという言葉は一体どれくらい言われ続ける気だ?」
 ウルサイわね! いつだって良いじゃないの?
 彼ってこうゆうところには繊細なのよ。ちなみにあたいはテレス人族出身よ。
「自分はプラトー人族のユーリディス・バルケミンだ。
 齢は二十八と九の月にして三十日目になる。」
 月と日数まで言わないの! ちなみに好きな食べ物はソクラさくらんぼよ。
「自分はプラトー松茸しか好きな食べ物はないな」
 ユーリディスって好き好きじゃないが多いから困るのよね。
 えっと、あたいが好きじゃない食べ物はアルキバウムクーヘンよ。あの感触は好めないわ。
「ところでどうしてお前は独り言のように頭の中で自己紹介する?」
 そ、そうだったわ! すっかり忘れていたのよ。
 今あたいは大好きな彼の家にある台所で春風家伝統の料理を作っている所だったわ。
「でも材料がこの山でしか採れない物ってのは辛いわ」
「泣き言を吐くな。今ある材料で極めし者を作ってこそ料理家という者だろ!」
 あたいは料理家じゃないっつーの! こうなったらあたいのユーリディスへの愛の力で奇跡を起こしてやるわよ!
「愛だけじゃ駄目だ。他には神々への感謝の気持ちを忘れるなよ!」
 また大事なことを忘れてしまったわ! ああ、ごめんなさい神様達。
「全く世話の焼ける雌だよ」
 ハイ、返す言葉もありません。
 料理を作り始めて一の時を経て、完成。
「水加減もばっちりなプラトー松茸ご飯と塩加減ばっちりなプラトー椎茸尽くしの山菜味噌汁よ!」
 これは超自信作! 必ずユーリディスはお--
「美味しくない。それ以上語るまい」
「えっ! どうしてなの?」
「食べてみろ! そしたらいかに美味しくないかが分かる……」
 試しにって--あれ? おかしいわね、こんな味になるの?
「うん、失敗しました……ごめんなさい!」
 せっかく愛と神様への思いを込めて作ったのに! あたいはなんて罪深いんだろう。
「だからといって残すのは食の神々に失礼だ!
 最後まで付き合ってやるから残さず食べるぞ、いいな?」
 ええ、どんなに美味しくなくともあたいは食べないと。
 食べ始めて四十五の分。ようやく全て食べました。
「「ごちそうさま」」
 我慢するのは辛いことだと改めて知ったわ。
「昨日の夜もそう思っていただろ? 何回そんなこと考えれば気が済む!」
「ウルサイわね! 人の思ってることをいちいち読まないでくれる?」
「食後のついでに申し訳ないけど、いつまで自分の処に居候するつもりだ?」
「決まってるわよ! 一生ここで--」
「それだけはやめろ! お前はとっとと山から降りろ!」
「断るわ! あたいは一生ユーリディ--」
「そうゆうことじゃないぞ! ここに残ればお前は兄である智のように死んでしまうぞ!」
 えっ? どうゆうことなの?
 あたいの兄が……兄が死んだって?
「頭が整理出来ないんだ……けど」

一兆年の夜 第三話 あたいは生きる

 今日は朝の恐らく六の時かな?
 まだお日様が昇っているのかどうかわからないけど、季節は確か秋頃だったような。だからはっきりとお日様も昇りづらいのよね。
 ってそんなことは今いいっつーの! あたいは現在気分が良くないのよね。その原因を作った男が目の前であたしを口説いてるって言うべきなの?
「俺の話を聞いてたのか、実兎みう? いつまでも反抗ばっかりしてると父さんが婚約解消に踏み切るよ! そうなるとさすがの俺でも--」
「だーかーらー、あたいはあんたと結婚しないわ! あたいにはここで好きな人と一緒に暮らすって決めたのよ! 兄貴の都合であたしの人生が左右されるなんて御免なのよ!」
「我儘を言うな!
 これは昔から親同士で決められたことなんだよ! 伝統を守っていく為決められたことなんだぞ! それは君だって同じはずだぞ! なのにどうしてその伝統から逃げようとす--」
「ウルサイウルサイ! もうあたしのことをほっといてよ!」
 あたいは逃げたかった……伝統という神様からの贈り物に。
「そうか……でもほっとくわけにもゆかないよ!」
「はっきり言いなさいよ! 構いたいのか構いたくないのかを」
「単刀直入に言うよ。ここは危険だから今すぐこの山から下りよう!」
 危険? あの崖の事ね。冬になると雪が積もって発射台のような滑り台になるあの崖ね。
「大丈夫よ、羽通之うつの。今は秋だから雪は降って--」
「違う! 俺が言いたいのは十の年より前から頻発している不吉なる流れ星の件だ!」
 流れ星? 確か前にユーリディスから聞いた相容れぬモノに関する噂話かしら?
「まさかと思うけど、テレス山に落ちた流れ星が原因でテレス人族出身である二名の雄が白骨死体になったって話なの?」
「知っていたのか……ユーリの奴め。俺に罪深い感情を抱かせるようなことを!」
「あら? 誰もユーリディスの話はして--」
「別にユーリのことは君の中で済ましてくれ! それよりも実は二の年ほど前にこのプラトー山にも流れ星は落ちた」
 二の年ほど前? あたいが羽通之の家に嫁いだ年だわ。
「そ、それがどうしたって言うの? それが件の話とどう絡むのよ!」
「流れ星が落ちた場所はかならず白骨死体が出るんだよ!
 だからこのままここにいたら君まで--」
「そんな噂なんて信じないわよ! そうやってあたいを飛遊ひゆうの家に連れ戻す気ね!」
「そ、そうじゃない! 俺は実兎の為と思って--」
「帰って! あたいはここで一生暮らすって決めたんだからもう二度とここに来ないで!」
 二度とここから出てってよ! あたいはもう伝統なんてたくさんなのよ!
「……それが君の答えなのか。
 だが、やはりここは危険だ! だから出来るならユーリにも山を下りるように伝えてくれ! 流れ星のせいで二人共があの世に召されるのなんて俺は御免だからな!」
 何がユーリも山を下りろだっつーの! 対抗意識があるならはっきりとあたいに伝えるように言いなさいよ!
「君も少しは俺にはっきりと好かれぬ言葉を言うべきだよ。お互いの相性が良い点と言えばはっきりしない所だと俺は思うのだけど、どうかな?」
 羽通之はそんな事を言っちゃって私の前から気まずい感じで山を下りた、のかしら?
「あーあ、ひどいことを言っちゃったわ。後でプラトー山の神様達にお説教を受けないと駄目だわ」
 落ち着いて話をすれば羽通之にはっきり別れを告げられるのにこんな事を言うのはあたいが伝統からいつまでも--なんて思ってる側からあたいの憧れの彼が山を登ってきたわ。
「お帰り、ユーリディス!」

グーグルの科学は世界一いいいい!

 どうも厨二病どころか症五病に未だ罹り続けるdarkvernuです。
 タイトル名は某スタントバトル漫画風です。
 なので今回はネットで情報を求めていたら笑えるが笑えないネタに嵌ったのでそちらを小説風に紹介しますね。

 ツイッター戦士は論破した!
「C国の艦船なんてグーグルの科学力を持ってすればすぐに分かりますよ」
 これに対してネット界の神々は一斉に反論した!
「いやいやいくらグーグル様でもさすがに無理だろ」
「アレって一、二年前の映像を撮影してるだけであって偵察衛星の役割は出来ないって」
「すげーな! グーグルってそこまでの科学力を秘めていたなんて……
 しかもそれを無料で提供してるなんてよ」
 ツイッター戦士は後日釈明してない釈明をした。

 続かない


 自分もビックリしましたよ。しかも比例復活したゾンビさんの口から馬鹿な発言が出るなんてよ。
 詳しくはgoogle検索の「グーグルアース」と文字に入れたらでるかも?
 
 それじゃあ第二話の解説にいきたいと思います。
 今回は九歳の子供を主人公にしてます。名前は春風子音君ね。
 なので彼の目線で物語は進行します。んで結末は第一話の登場人物達と同じ末路でございます。そろそろこの路線も変えなきゃな。
 話を解説に戻しますね。
 第一話から見てきた読者は登場人物達の言葉に違和感を感じるかも知れません。
 実は一兆年の夜という物語の舞台は第一話の一の冒頭に出た「遠すぎる過去~」から分かりますように過去のお話です。なので登場人物達全員はかならず「好き」の反対は「嫌い」ではなく「好きじゃない」と言います。
 同じように「良い」の反対は「悪い」ではなく「良くない」となります。
 ではテレスプリとはどんな食べものかといえば、二話を読めば分かるように木から生える物という連想から果物です。
 そしてその果物はどんな大きさと形かと説明すると、マンゴー並みの大きさで檸檬のような形です。
 その周りは二話の六を読めば分かるように殻状になってます。その殻の固さはメロン並みです。
 中を開けると蜜柑のように朱肉は皮で覆われてます。肝心の朱肉の色はスイカに似てます。
 味と歯ごたえを説明すると、マスカットに近い味でリンゴの歯ごたえになります。
 まるでキマイラみたいな果物ですね。以上でテレスプリの説明は終わります。
 しっかし小説を書いていて思ったけど、まだまだ小さいなあと感じました。もちろん自分のことです。
 話の練り込みも甘いし、表現もまだまだ乏しい。仕方ありません。
 マッカーサーの名言ではないのですが、自分自身はまだまだ赤子のような存在でありますし、これからまだまだ伸びなければなりません。最初からいきなり滝川馬琴クラスに成れません。それに太宰治並みでもジュール・ヴェルヌ並みでも田中芳樹並みでも成れません。彼らは彼らで下積みを苦労して一%以下の低すぎる確率で栄光を掴んできた者達です。何故か?
 それは彼らが真の天才だからですよ。だからこそ下積みを重ねに重ねつつ産まれ持った才能を発揮して栄光を掴めたのですよ(ただ、太宰治については晩年は悲惨ですが)。
 一方で自分はまだまだ小さい上に全ての分野においての才能などありません。ですので、彼らの真似が出来るとしたらそれは長い下積みを重ねる以外に方法がないと言えるでしょう。
 長くなりましたがこの辺で終わりたいと思います。

 なお、スケジュールは御覧の通りです。

 月曜~木曜 シナリオの作成
 金曜または土曜 シナリオの完成日。金曜に完成していれば、土曜は休日。
 日曜 時事ネタあるいは小説の解説などを書く予定。

 例の如くコピペで済ましました。

一兆年の夜 第二話 ボクが最後に見た悪夢(六)

「お母さん! どこにいるのよ!」
 ボクは必死にお母さんを探しました。でも見つかりません。
「はあはあ、家じゅう探してもいないなんて……
 おかあさあああん!」
 そ、そうだ! お父さんならお母さんがどこにいるかわかるかも。
 ボクはお父さんも探しました。けれど--
「うう、どこだよ! おとうさああん!
 返事してよ、ボクを一人にしないでよううう」
 お父さんの仕事場にいます。
 なのにどうしてテレスたけのこがたくさんはえたところに--


 骨があるんだよお!

 それからボクは手からも足からもたくさん血を出しながら探しました。
 でもお父さんもお母さんも見つかりません。
 気がつくとテレスプリをとってました。あわててボクは神さまにおじきしました。
 勝手にとったんだから神様が怒ってるよ。そのしょうこに虫さんが鳴ってるし。
「うう、おなかの虫さんに物をあげないと。
 グウグウとなってるよう」
 でもテレスプリのむきかたを知ってるのってお父さんとお母さんだけなんだよ。
 どうやってむいてたんだろう?
「もうお日様が沈む」
 つめでむこうとすれば固くてむけないし。
「そうだ! 家の中にむくために使えるのがあるはずだよ。
 確かどんくらい前だったかお母さんがテレスプリをむいてるところ見たことあるよ」
 それがわかったらダッシュで家に帰ろう。
「お父さんやお母さんを探すのはおなかの虫さんに食べものをあげた後にしよう」
 そしてまた家に帰りました。今度はむける物を探しに。
「いつもお母さんがいるところにあるはずなんだけど--あれ?」
 物音がしました。だれかいるのか後ろをふりかえ--った?
「あれ? い、いぎが……」
 おなかにさわると、あついものが。そ、そうじゃなくてこれって--
「お、おかあさ、んの、つが--」
 もうしゃべることも。い、いたいよお。だ、だれなの?
「ぁ……れは?」
 がんばってみあげて……みばじだ。
 ナニナノ? ガラダガ、グォングェント。
 ヨグミズトビドゾグジビエ--



ICイマジナリーセンチュリー二年八月二十一日午後六時六分六秒。

第二話 ボクが最後に見た悪夢 完

第三話 あたいは生きる に続く……

一兆年の夜 第二話 ボクが最後に見た悪夢(五)

 朝になりました。
 今日の朝ご飯はテレスたけのこの混ぜご飯と三とうぶんしたテレスプリです。
「テレスたけのこといっしょにご飯食べるのいやだなあ」
「食べ残しはいけませんわ! お父さんみたいに大きくなれないわよ」
「そうだぞ子音! 好きでない物でも食べなきゃ食の神様からのお叱りを受けるぞ」
「そ、それだけはやめてよ」
「だったらちゃんと食べなさい子音!」
 大きくなるのって辛いなあとボクはつくづく思いました。
 朝ご飯がおわった後、お父さんは朝の仕事をしに行きます。
「それじゃあ僕は今日の昼夜と明日の朝の分までの食料を取りに行くよ」
「気を付けてね、智」
「二人共愛してるよ!」
「うん、ボクもお父さんのことあいしてるう!」
「ええ、いってらっしゃい」
「いってきます」
 お父さんを見おくった後、お母さんは家事をしました。
 ボクのほうはテレスプリの木まで全力しっそうしました。理由はありません。ただ走りたかっただけです。
 そして、家まで全力しっそうして帰りました。つかれたよ。
「あらお帰り、子音」
「た、ただいまあ、はあはあ」
「疲れて帰ってる所で良くないけど、そろそろお勉強をしましょう」
「ええ、おべんきょうはボク無理だよ!」
「大丈夫! 分からないことあったらお母さんが教えるから」
 そこから先はたいへんつらいおべんきょうで頭がいたいです。
 だってリアス式何とかやアシモフ系統の、ぞくは全部でなん種族やら、海洋ふじわら系三大種族を全部答えよとかボクらが住む太陽系は現在判明している惑星を全部答えろなんかもちんぷんかんぷん。
「かわらって字はこう書くんだったっけ?」
「中の点が抜けてるわ、減点ね」
「ぶー」
 ようやくおべんきょうの時間は終わりました。
「つかれたあ」
「頑張ったわね! じゃあ子音の大好物であるテレスプリを採りに行きましょうね」
「わーい、テレスプリ大好きい!」
 ボクは全力しっそうでテレスプリの木に向かっては知りました。
「コラ、待ちなさい子音!」
 お母さんも当然ボクを追いかけにいき--あれ?
 ボクは確かにテレスプリの木にたどりつきました。でもおかしいです。
 本当だったらボクよりも早く走れるはずのお母さんが近くにいるのに--
「おかあ……さん?」
 振り返ると--


 なんで骨があるの?
 

一兆年の夜 第二話 ボクが最後に見た悪夢(四)

 目をつぶってます。つぶってるのになんだかねむれないよ。
 夜はあれだけお星様を見てねむくなったのにごろんとねむるとなんだかねむれないのはなんでだろう?
「なんだかおしっこしたくなってきたよ」
 そうか! きっとおしっこしたくてねむれないんだ。
「夜にかわやに行くとかならずお父さんやお母さんにしかられるよ。
 でも行かずにがまんするとおねしょするかも。そしたら朝にもっとしかられるよ」
 どうしよう。行くのがいいのか? 行かないのがいいのか?
 うーん、どっちもえらべないよ。
「じゃあここは一つ。お星様に聞こう!」
 そう言ってボクはまどを開けてふたたびお星様を見ました。
「もし流れ星が出たらお星様がきょかを出してくれた印だ!
 だけども、もしボクがその前に眠っちゃうなら、それはお星様がきょかを出してくれなかったときめる」
 そんなボクだけにつごうのいい事を言ってると本当に流れ星を見ることができました。
「やったー! ということはお星様はきょかを出してくれたんだね」
 何だかボクって罪深いんだなあ。そうこうかいしながらもかわやに行きました。
「あーあ、すっきりした」
 そう言ってボクは早くねようとかわやを後にするはずだったのに……
「この声はお母さんのはずかしいさけび声だ!」
 お母さんによく聞かされたことがあったよ。何であんなはずかしいことをするのとボクが聞いたらお母さんがこんなことを言ってたよ。
「あれは子供を作る儀式なのよ。
 でも子音にはまだ早いから忘れなさい!」
 わすれたくてもわすれられないよ、お母さん。
 儀式って一体どんなことをしてるんだろう?
「きになるからお父さんとお母さんのねてる部屋に行ってみよう」
 のぞいてみるとなにやらお父さんとお母さんがからだをくっつけあってるよ。
 しかもはずかしいことをさけびながらくっつけあってるよ。
 そんな光景を目にするとまた夜もねむれなくなりました。
 そして、ずっと見てるとそんなはずかしいこともようやく終わりました。
 あれが子供を作るぎしきなんだなあと。お母さんの言うことをすなおに聞くべきだったよ。
 あんなはずかしいことボクにはとても出来ないです。でもいつかすることになるんだなあ、きっと。
「疲れたわ、智」
「疲れて当然さ、史乃」
「これだけやってもまだ子音の弟や妹が出来ないって辛いわ」
「いいや、いつか出来るさ!
 でなきゃあいつは僕に気持ちをいつまでも理解出来ないなんて辛い」
「そこまで子音をお兄ちゃんにしたいのね!」
「当然さ! 出来れば僕と同じように妹の一人でもいたら幸せだろうな」
実兎みうちゃんの事ね!」
「あいつは今頃ゼノン人族の長である飛遊ひゆう家に嫁いでうまくやってるのだろうか?」
「きっとそうに、違いないかなあ……」
「何だ? 史乃まで心配になる必要はないんだぞ!
 あいつの心配は血の繋がってる僕がするべきや--」
「そうじゃないわ、智!
 私が心配してるのは私達はこのままうまく生活出来るのかどうかなのよ!」
「昼のことをまだ気にしてるのか。
 もういいだろ! あんな信じることが未だ出来ないモノを気にするのは止めにしよう」
「でも、あなたが見たって言うアレのせいで一場さんや葉月さんは--」
「だからといってここまで来るとは限らないだろう? 
 だってここには雄一が眠ってるんだ! 
 史乃を愛してくれた雄一が山の神様方といっしょに僕ら家族を守ってるんだ!
 だから今度は僕ら家族は何としても子音と次に生まれてくる子供の為にも頑張らないと駄目だろ!」
「雄一が私を……そうね、分かったわ智!
 今度こそ子音の弟か妹が産まれることを信じるわ!」
「それでいい、史乃!
 明日は早いんだし、さっさと寝よう」
 ボクのおとうと? ボクのいもうと?
 でもなんだか不安だよ。なんだかだれかに見られているきがするんだけど?
 お父さんやお母さんいがいにもだれかいるのかな?
 いないよ、きっと。

一兆年の夜 第二話 ボクが最後に見た悪夢(三)

 夜になりました。
 今日の晩ご飯はテレスまいたけをまぜたごはんとストテレスのやまばです。
「いっただきまーす!
 あーあ、ボクってストテレスのやまばもあんまり--」
「子音! 好きじゃない物でもちゃんと食べなさい!
 ストテレス山葉は鉄分が豊富だってオッツール様が言ってたわよ」
「ブー! ところでオッツール様ってだれなのお母さん」
「オッツール様はここより見えるテレス山より反対の方角にあるプラトー山に住む現在では齢四九という高齢になられるプラトー人族の野菜研究者よ」
「へー。でも気になるけど、どうして四九でこうれいなの?」
「えーと、そこはちょっと……」
「そこは僕から話そうか、子音。
 実は僕ら生命体の寿命は長く生きても五十までが限界なんだよ。
 どうしてかは生態系の問題もある。
 けれども、これは神様達が僕らに次の世代へのバトンを渡す為にそのようにお創りになられた為なんだ!」
「でも五十の年って短くないの?」
「短いね。そりゃあ僕らの中には意地でも長生きしたい者もいるさ!
 でも長生きして困るのは一体誰か分かるかい?」
「うーん……」
「それは子音だよ!」
「えっ! どうして?」
「それは私から話すわ。
 もしも子音が三十の年になっていまでも私達がいたら子音は神様に向かって一人前だって言える?」
「うーん、よくわからないけど言えない気がするなあ」
「それが正解よ。だから長生きは良くないわ。
 だって私達が生きてるといつまでも子音に向かってあーだこーだって言っちゃうかも知れないわ。
 それにいまでもわがままな子音が心配でならないもの。」
「ははは、まーそうだろうな! でも別に長生きも全てが良くない物でも違うさ!
 僕らの中には子供も作らず、たった一人で六十近くも長く生きてる者もいるしな」
「へー。だれなの?」
「どこかにあると言われる秘境神武じんむに今もしぶとく生きてるって話だからな。
 さすがにそれ以上はお父さんも分からないよ」
「よくわかったよ。ありがとねお父さんにお母さん」
「例に及ばないわよ、子音」
「そうそう。ところで史乃。」
「何? 智」
「子音が寝てる所で良いんだが……」
「わかったわ、あれね」
 お父さんとお母さんは何だかボクにはさっぱり分からない話をしています。
 でもボクはそんなことどうでもいいよ。だって、テレスまいたけご飯がおいしかったらどうでもいいんだからね。
 とにかくボクは好きじゃないストテレスのやまばもがんばって食べました。
「ごっちそうさまー!」
 晩ご飯を食べたあとはまどからお星様をねむくなるまで見ました。

一兆年の夜 第二話 ボクが最後に見た悪夢(二)

 ダッシュでお家まえまで帰ったのでつかれたよ。お家からテレスプリの木まで遠いよ。お父さんやお母さんは何で木より遠い所にお家を作ったんだよ。
 そう思っていたらお家の中で喧嘩しているような声が聞こえました。
「いい加減にしろ、史乃! 十の年より前は逃げる以外に--」
「だからっていつまでも葉月さんのことで後悔しないでよ、さとし
 私だって同じ年に雄一さんを振ったせいで。
 あの人はこの山で帰らぬ人になったのよ! 私だっていまでも引きづ--」
「それとこれと同じだと言いたいのか! 僕が言いたいのはそうじゃないだろ!
 ボクがあの時御幸みゆきに声をかけとけばあいつはあんな分かりかねないモノに……
 分かりかねないモノに、ううう」
「も、もういいわ! 子音に聞こえたらどうするの?
 あなたはいつまでも過去に引き摺ってるような臆病者ってことはよく分かったわ!
 それでいいでしょ! じゃあこの話はもう終わりよ」
 とっくに聞いちゃったよ。気分によくないよ、喧嘩をするのは。
 そんなこと思っているとお母さんに--
「し、子音! えっと、まさかとは思うけど。
 あの時はお母さんも子音にきつく言って罪を感じたなあ……
 と思ったからごめんね」
「えっとお母さん? 何のことなの?」
「あら忘れたの? 反省のない子ね。
 今頃ストテレス山の神様達は子音に怒り心頭にな--」
「わあああああ! ごめん、それだけはやめてえええ!
 ボクがよくなかったよ。
 これからはテレス筍、ちゃんと食べるから」
「わかったわよ! 子音はよく反省してるってお父さんや神様達にちゃんと報告するわ」
 やっぱりテレス筍を残すんじゃなかったよ。
 ところでどうして喧嘩したんだろうって、言いそびれたよ。
 でも言ったらお母さんとお父さんが傷つくし、それでまた喧嘩したらどうしよう。
 ボクは怖くてそのまま言えなかった。

一兆年の夜 第二話 ボクが最後に見た悪夢

 ボクの名前は春風子音はるかぜしおんだよ。ピッカピカの九の年になる元気な男の子。
 しゅぞくはえっとテレスひとぞくだったよね。
 好きなものはお父さんとお母さん。それに森をさんぽすること。神さまにお礼をすること。
 好きじゃないものはけんか。
 好きな食べ物はテレスプリ。好きじゃない食べ物はテレスたけのこだよ。
 えっと、とくいなことは走ること。木にのぼること。お星さまを見ること。
 とくいでないことはおねしょしないこと。おべんきょうすること。
 えっと、ゆめは森の神さまになること。あ、ちがった。お父さんになること。
 いまどこにいるかって?
 それはボクらがすんでるストテレス山のテレスプリの木の下にいるよ。
「今ボクはお母さんとけんかしてプンプンだからね!」
 何でテレスたけのこをひとつ残したくらいで怒られなきゃいけないの!
 そう思ってお母さんのせいにしたいのに木の下にいると何だかよくないことしたとおもってくやしいよ。
「きっとテレスプリの木の神様がボクをえっと、おこってるんだ」
 そうにきまってるんだ。ボクはなんてひどいことをお母さんにしたんだろう。
 好きじゃない食べ物を残すなんていまおもえば神さまにしつれいなことしたよ。
「今からお母さんに謝らないと! きっとずっとゆるしてくれなくなるよ。
 いまから帰っていっしょうけんめいあやまらないと」
 ボクはダッシュで家に帰ることにしました。

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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