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一兆年の夜 第一話 悪魔が落ちる夜(四)

 男は足下に注意しながら山を登っていく。
「雄として試されてるんだ! ここで退けば生命への恥さらしモノだ」
 彼の身体は小刻みにも震える。それは初めて芽生える恐怖心が心身を駆け巡っているからだ。それは山で起こったモノを目の辺りにした時、待っているのは己自身の生の終末に対する心の脅えからくるモノである。
 だが男は四の五の言わず足を動かす。
 愛を振ったブル璃の為にも。
 神を鎮める雄として。
(こんな震えが何だと言うんだ! こんなモノで俺が足を止めてたまるか!
 例え良からぬ事を目にしても足を止めたら一生モノの恥だ)
 男は心の中で言い聞かせた。そして山の頂上へ一段、また一段と登っていく。
 男が山を登り始めて四時間と十二分が経過した。
「もうすぐ、もうすぐ頂上に着くぞ! たぶん山を登り始めて四の時間くらいかな?
 お日様がもうすぐ登り始める頃だと思うんだ。それにしても眠くなった来たよ」
(ずっと寝ずに登ってきたからな。それに、お腹にある虫さんにも食べ物を与えないと餓死するかも知れない。)
「でも駄目だ! それでは神様に申し訳が立たない! 俺は雄として示さなければ神様の怒りは静まらない! だからどうか眠りの神様に空腹の虫さんよ、どうか俺自身のご無礼をもう少しだけ許して下さい」
 男は無理を押し通す。そしてついに頂上に辿り着いた。
「これが頂上… …なのか」

 男と同じ種族と思われる血だらけの白骨死体を目撃する形で。
 

一兆年の夜 第一話 悪魔が落ちる夜(三)

「耳に響くぞ! なんなんだよこの揺れは」
 流れ星が落ちた山の南出入口から出ようとしていた男は叫んだ。
 男は齢二五にして一一の月と二九日目になる。
「折角一週間分のテレスたけのことテレス栗を神様に感謝して採ってきたのに。
 まだ俺は感謝しないといけないか」
(昨日の夜にブル璃を怒らせたのが活けなかったかな?
 確かにあれは俺のせいだよな。デートを断ったせいであいつは)
 男には好意を寄せられる相手がいる。だが、種族的な理由で断った。
「人族が牛族と結婚し、子供が出来て純血が途絶えたら
 両方の神様に申し訳ないじゃないか! だから断るしか… …」
 神への礼節を守ろうとした行為で相手を傷つけた事に男は今も後悔する。
「そうか、だから神々はお怒りなんだな。
 俺が無下に断った為にあいつの心に傷を付けた事に。
 山の揺れは絶対山の神様のお怒りなんだ! いや、そうに違いない」
 男は自らそう言い聞かせて、両の足の指を山の方へ向けた。
(もう明日になる十の二分前だが、俺はまた登らねばならない!
 神様の為だとかそんな理由もあるが、俺を愛したブル璃の為にも!
 そして、そして)
「俺自身が一人前の雄となる為にも」

一兆年の夜 第一話 悪魔が落ちる夜(二)

流れ星が落ちた場所って… …
 一場のおじさんは無事だろうな」
 齢二三と二の月にして三日目になるひとりの青年が
 別の山奥で流れ星が落ちるのを目撃した。
 彼も一場と同じく一人で山奥に暮していた。
「流れ星を見たのは良かった。はずなのに落ちた場所が何だか」
 彼もまた流れ星を見るのが趣味だ。
 そしてこの夜は念願の流れ星を見る事が出来て嬉しいはずだった。
「何なんだろう?僕の心の奥底で快くないモノが芽生えるのは」
 後世では恐怖心と呼ばれるモノを芽生えつつあった。
「おじさんの所に行きたい!
 けど快くないモノのせいで足が震えるよ」
 恐怖心の中で彼はある思いを巡らせていた。
(ここで行かなかったら僕はおじさんにも山の神様にも… …それだけじゃない!
 不甲斐ないせいで僕と縁を切った史乃にも申し訳が立たない)
 彼は神への感謝と別れた女性を思い、そして
「決めた! 今すぐおじさんの元に行かね--」
 言葉を吐き出す前に骨と脳髄が強く砕ける音を出し、彼の時は止まる。



 どうやら何かに食べられた

一兆年の夜 第一話 悪魔が落ちる夜

遠すぎる過去にさかのぼる。
全ての生命が些細な争い事ですんだ平和な時代。
水の惑星にある山奥で齢三十にして五の月と一三日目になるひとりの中年が暮していた。
彼は趣味である夜空を眺めていた。
「今日はキラキラと流れるかな?」
彼は流れ星を見るのが好きみたいだ。
「昨日は夜中になる八の時から眺めても一一になるまで星は降ってこなかったからな。
今日こそは流れ星を見ないと夜も眠れない」
彼の言葉から考察するには昨日は約三の時間まで夜空を眺めていたが、
一つも流れ星が出なくて眠りにおちた。
「朝三の時まで頑張るぞっと」
三時間が経過したが、未だに流れる星が現れない。
「やっぱり罪人の前には流れ星は出ないって事なのかな?
わしは七日も前に舞茸の神様にお礼も言わずに
中指の長さもある舞茸を勝手に採ったせいだ。
だからわしは七日目になっても流れ星を眺める資格がないのだ!
神様にお礼を言わなかったせいなんだ」
舞茸の神様へのお礼をしなかった事を後悔していたが、その時だ。
彼の目の前で何かが飛来しようとしていた。
「え?」
待ち望んでいた流れ星がゆっくりと彼の方へ流れてきた。
「まさか流れ星… …
いやあれは流れ星なのか?」
彼は自分の方へ向かう流れ星に思わず見とれてしまった。
そしてそのままその流れ星に

頭からつま先までゆっくりと食べられた。

自己紹介

自己満足の塊であるdarkvernuです。
しばらく(一年以上)はホームページを休止するはずだったのですが、
何を血迷ったのかブログ小説を書く為に再開します。
題名は

一兆年の夜

テーマはシンプルな勧善懲悪です。
ただ、初めのうちから前面に押し出すつもりはありません。
最初は物書きの基本を学ぶ為に規模の小さい話を書き、バッドエンディングを出していく予定です。
主人公は各話共に違うキャラとなります。
なお、スケジュールについては次のようにする予定です。

月曜~木曜 シナリオの作成
金曜または土曜 シナリオの完成日。金曜に完成していれば、土曜は休日。
日曜 時事ネタあるいは小説の解説などを書く予定。

表現が足りないように見えるが、昔からの癖なので流し読みして良いよ。
とにもかくにもブログ名の通り三日坊主になるだろうと期待しながら頑張りたいと思います。
プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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