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格付けの旅 デュアンは浮力の宇宙を体験する 其れからデュアンは再び世界移動を果たす

 無浮力……数科学世界に於ける無重力の事。其れは本来在る無重力だから発生する真空状態に於ける沸騰はなく逆に収縮が起きる。実験では死んだ犬を宇宙空間内に漂わせるとまるで飴玉のような姿で漂う。然も他の世界と同じく重力(此処では浮力と呼ぼう)に惹かれるように引っ張られるのだからやはり悍ましさは変わりがない。
 俺とブラックレイピアは戦い続ける……「ハアハアハアハア」だが、一方的過ぎる--とても俺は奴と対等な戦闘をしている気がしない!
「此の程度か? 放ったらかしにしたら強く成ると思っていたのに……つまらんな、デュアン」
「俺の方が魔法力は遥かに上なのに」奴は俺の弱点を衝いて態と披露させるように詠唱させている。「専門家がこんな様では、如何な!」
「専門家、かあ。上みたいな水虫だけしか出来ん馬鹿が武漢肺炎を適切な方法で対処出来る筈もないだろう」
「オイオイ、此処は俺の物語だ。時事ネタは黒い方で言ってくれよ!」と俺は空気を一切読まんブラックレイピアを注意する。「お前の物語じゃないんだ、お前が勝手に俺の土俵で好き勝手するな!」
「仕方ないだろ、私には別世界を見渡せる眼が在るからな」やはり遊んでいるのか、急に自分語りを始めた。「此れが便利で……御蔭で検索に困らなくて済むさ」
 インターネットと同じく気に入った情報しか入らんだろうが、其の『銀眼』は--何故俺が其れを知っているのか……干渉を始めたな、何かが!
 銀眼……敢えて奴に解説を頼む。
 --デュアン・マイッダー……神才として奴と此れ以上私闘するのは控えなさい!
 誰かは知らんが、其れは出来ない。今の俺は確かめたいんだよ、俺の強さが此処では遺憾なく発揮される事をな!
「やはりあの尼が貴様に干渉したな。まあ良い」解説を始めたブラックレイピア。「御覧の通り私の銀眼はインターネットと呼ばれる新聞やテレビ如きガラクタとは比べて優秀なツールに近い。其の為、情報を検索するのは楽だが不要な情報或は興味のない情報は中々流れて来ない。ヨウツベと呼ばれるどっかの粗大塵のせいで言論弾圧或は広告剥がしに在っている動画共有配信サービスと同じく関連情報も確かに在るには在る……だが、所詮は金魚の踏んの如し物だな。貴様の言う通り興味在る情報しか引き出せないのは残念だな」
 あのなあ、ブラックレイピア……知らん単語を幾つも並び立てるなよ、耳が痛くなるだけだぞ--『頭悪い奴が然も良いフリをする為に専門用語を並べ立てて文章を作る』のは聞いているこっちが滑稽に思える程だ。
 頭悪い奴が然も良いフリをする為に専門用語を並び立てて文章を作る……ざっと言えば「此のアルベンはファンガしてコパイオンス。其の為にはゲルフィーをヴィブリン」と言えば如何に滑稽かわかるだろう?
「さて、そろそろ『マザーシステム』の尼に私達の力を存分に披露する時だ!」
 何時の間に、前蹴りが鳩尾を貫くか……胴体貫通は避けられても、腹膜痛で気を失いそうだ!
「おっと、狙いは外した!」ロックオンを上手く逸らして下級魔法の速度に対応したな。「今の私は遊びを知らん、其の侭頭部を……バッファロースマッシュを寸前で回避したな!」
「--へん」『ブレインスルー』は何度も出来るもんじゃないがな。「サンダークラッシュ!」
「軽いなあ、後ろに流す事なら私にでも出来る」だが、レイピアで脳味噌を掻き回す事が出来なかったな。「為らば蜂の巣にして脳を風穴だらけにすれば良い!」
 其処を敢えてデュアンロールを飛ばす事で俺のデータを其処に移送させて即死を回避。其れから俺は素早く下級拡散魔法で奴を粉々にすべく放つ。当然、奴はロックオンを避ける事も出来ずにエーテルの為すが侭にホーミングの嵐を受ける……「--俺も専門用語だらけにしている場合じゃない……ディバインドライブウウウ!」
 確かにホーミングは完璧だった……「無駄だ、私には外の世界を見る他に従来固有の銀眼すら持つ。此の通り貴様の背後に転移する事は容易い!」心臓を外して受けなければ確実に--其れでも口から出る血の量は半端じゃないな……先程の無浮力も関係して内側に堪りそうだ!
「転移、俺だって出来る!」デュアンロールを飛ばして掻き回しを阻止した俺は再度ディバインドライブを放つ。「--ハアア、今度は逃がさん!」
「チイ」奴め、あのチートバリアで直撃を避けたな。「危ないぞ、デュアン・マイッダー」
「大体わかって来た、其のバリアの本質が。防御している時しか発動しないのだろう?」
「正解だ」嘘が吐けんから直ぐに告白する奴だ。「だが、貴様に私を倒す事が出来ない。攻略本読んで粋がる奴と一緒にするなよ!」
 知っているよ、そんな事は--胴体に風穴を開けられた以上はデュアンロールのバックアップに頼って居たら負けてしまう……かと言って此の侭の状態も維持出来ない!
「わかるぞ、デュアン。貴様が心の中でも敗北に喫している事も」悪は時として人誑したらしめる。「私も敗北者としている頃は如何ゆう訳か心が敗北し続ける気分で支配されていたのだからな」
「へん、サイコパスの化身が俺の心を理解したつもりか? 如何せ俺を部下にして自分の満足度を高めたいんだろ?」
 バレては仕方ないな--溜めを入れるだろ、答える前に……此れだから此奴はやり辛いんだ!
 とはいえ、嘘吐きに成れなくとも話を逸らす事だけは嘘吐きと変わらん。俺も話を逸らすには逸らすが此奴程ではない。だから其処に付け入れば勝機は在る……「……と考えるだろ? 良いだろう、私に付け入る隙を認める」此の野郎--煽ってやがる……慢心を煽って逆に付け入る隙を作らせる気だな、上等だ!
 先ずはバックアップ魔法で俺を完全回復させる。次にローリングストーンを仕掛ける。固有魔法で尚且つボーリングオブコスモスに近い運用法を可能にした因果系の魔法。但し、其の効力が発揮する迄には少しだけ時間が掛る。然も確実性が薄いのも在って今回はダウナーバージョンで奴に仕掛ける!
「此の石は……差し詰めデュアンロールで形成した人口岩で私の今後を占うつもりか?」奴は的外れな予想を立てて此奴の謎を解明しようと態々中に入ってくれた。「虎穴に入らずんば虎子を得ずとは良く言った物だ……が、死ぬ事を恐れる必要がない私にしてみれば此れが実に効果的な解明方法なのだよ!」
「--乗ってくれて有難う……炎系拡散魔法の集中砲火だ!」
 奴には高熱を無尽蔵に与え続ける……「--いや、飽き飽きした……全てを焼き尽くせ、ギガフレアアアア!」野郎、極めていないのに大技魔法を放てるのかよ--俺に比べれば練りが足りないが、狙いは正確--かつ俺の火属性を吸収して威力を上昇させやがって!
 腹部を抉られるように受けたな……「ゲホゲホ……此の無浮力も相まって締め付けられそうだ!」
「下らん魔法だったな、運命の奴隷には未だ--」
「--外れだ、此の魔法の真価は外に出た時に起こるのだああ!」
 何、此の……グ、グワアアアアア--俺に与えた分だけ抉らせて貰う!
「へん、ザマア見ろ!」
「ダウナーバージョン迄は読んでも所詮は何も極めない私の予測では此処迄……グフう!」とはいえ、狙えば即死も可能だったのに敢えて俺達にとって致命傷にも成らん威力のギガフレアを放つのだから此奴はやり辛い。「此の感じ……やはり最高だなあ。死に瀕する程の焦りと混乱は癖に成って困るぞ!」
「拙いなあ、此れは」そう呟く程に今の状況が危ういと気付く俺。「--ローリングストーンは此処迄だ。後は俺だけで何とかするだけだ!」
「其の綴りは固有魔法ではなく、極限魔法か……芸のない奴だ、其の侭死ねええ!」
 慢心したな……此処だあ、リフレクトブレイカーダアアア--奴のバイタルドライバーが繰り出された瞬間を狙って俺は倍々にして奴に返してやった!
「グワアアアアア……為らばハリケーンにして叩き壊すぞおおお!」
 何イイいい--奴は全身が砕け散る前に俺を空間の外に放り出す程迄バイタルハリケーンを炸裂させて……俺は--
























 --デュアン、貴方は慢心で満たされたブラックレイピアを倒しただけ在りますわ!
 いや、違うな、『マザーシステム』。奴は初めから勝っていた。敢えて態と負けたんだ。だが、其の前に俺を潰す事だけは諦めなかった。やってくれるじゃないか、ブラックレイピアがあ!
 --やはりあの男には私の代弁者に相応しく在りません。其処で貴方に命じます、私の眼に成りなさい!
 情報を寄越してくれるなら成ってやる……如何せ此の傷じゃあ虎の子のデュアンロールでも治らねえ。
 --死に瀕するのですか、だったら私に協力しなさい!
 ああ、話の腰を折り過ぎたな。兎に角、お前には一部だけ協力する。但し、『因子』抹殺は引き受けん!
 --……何故なの!
 俺は其れも興味を示すんだよ。勝手に抹殺されたら俺の人生が真っ暗に成るだろうが!
 --所詮、貴方も『グランドマスター』、『マイオス』と同じなのですね。
 才能は在れば良いもんじゃない、時には代価を払わないといけない。俺の代価は知的好奇心という奴だ。数科学の世界を見て、世界の広さを思い知ったのさ。常識の違う宇宙は最高じゃないか。という訳で俺は、未だ未だ生きたいと思う。
 --わかったわ。考えが変わる迄貴方を生かしてあげるわ。
 考えが変わる迄は余計だ。欲しいのは今を生かしてくれって事。其れ以外はお断りする!
 --良いの? 其れは私が見る未来では貴方は後に相棒と成る彼と同じくして最強の全生命体の敵に敗死する事よ!
 誰が相棒を持つかよ--























 そして舞台は魔科学世界、数科学世界とも全く違う物理科学世界。定番の科学常識が支配した宇宙に俺は降り立つ。
「……生きているな。だが、苦しい……俺の故郷の宇宙と内容は同じだが、エーテルが否定されている。エーテルで満たされない世界で何が出来るんだ?」
 未だ未だ俺の前日談は続く……


 青魔法05 デュアン、格付の旅は此処から始まる END

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tag : 格付けの旅 小説 SF 冒険 ファンタジー

格付けの旅 デュアンは浮力の宇宙を体験する 再び暴君と邂逅するデュアン

 裏技……どの世界にも共通するのが法の網を掻い潜る裏技。此れはルールを定めるのが不完全な生命で在る限り避けて通れない真理。勿論、此れには神様だって冒し易い物。神様もルールは作れども其の矛盾を完全に取り払う事が出来ない。あの『ユークレッド幾何学』がそうで在るように『俺は嘘吐きです』という論理学の矛盾を解明しようとするのが無理なように神様だって其れを取り払う努力をしたって無理な話。俺みたいな存在もそうで在るように。長く成るので結論から言えば裏技は違法に成る迄やっても良い手段だ。勿論、ルール違反に成ればやらないように。但し、ルール違反に成る迄はやっても構わない。後からルール違反を問い詰めれば此方から『事後法』のアンフェアを指摘するだけで十分だしな。
 とまあ、俺はやっと数科学の世界で魔法を使う事が出来るように成った。其れだけじゃなく、全く新しい魔法体系を築き上げる事にも成功……だが、クロード・ベルフェゴールは帰らない。奴が若しも生きていたら……いや、止めよう。今は此の地獄を何とかして切り抜ける事だけを考えよう。
 取り敢えず工房を貸してくれた爺さんが居た……「クロードが死ぬ前にお前さんを迎え入れろって言ったんだよ。まあ堕天使のわしに出来る事は商売だけじゃ」爺さんの名前は『ルシナ・アンドロマリウス』って名前だ。
「最後の悪魔を苗字に持つ爺さんが如何して世の為人の為に行動しないんだ?」
「アンドロマリウスというのは偽善を司る最後の悪魔じゃ。そうゆう意味じゃあわしは誰よりも偽善者で在ると思うがのう」
「ああ、正義という名の下で『ジャイアニズム』を遂行する時点で何処がずれているっちゃあずれているがな」
 ジャイアニズム……或る国民的な漫画に出て来る餓鬼大将の事だ。俺が悲惨な少年時代に読んだ漫画の中にドライモンというのが在って其処に出て来る巨漢で少し小太りな餓鬼大将ジャイアムの有名な台詞「俺の物は俺の物、お前の物も俺の物」から来ている。一応児童向け漫画なのに良くもまあ残酷な言葉を吐かせるよな、一応十一歳時位なんだぞ……こんなのでも。まあドライモンの漫画版はみんな知らないと思うがドライモン自体も人間性を疑いたくなる台詞のオンパレードで一杯だ。其れは此処では紹介しない。兎に角、ジャイアニズムの意味とは台詞の通り。悪く言えば世界中の全ての物は俺の所有物と奴は言ってるようなもんだ。こんなの誰もが反発して当然だろうが!
「説明が長い、もっと短くせんか!」
「済まんな、頭が悪いんだ……そうゆう意味で俺はな」
 認めるなら多少はマシな頭だとわしは思うがな--天使の片割れだけ在って論理学にも精通しているようだな。
「其れにしても爺さんの御蔭でデュアンロールは更に強く成った。此れで俺は此の世界でも無敵に成れるぞ!」
「止めときな、坊主」
 何だ、、急に--爺さんは冷や汗を流し始める。
「あんたは今迄見た中では最も凶悪な強さかも知れん……或る奴を除けば、だが」
「そりゃあそうだ。俺は強いんだ、井の中の蛙は此の世界では味わえないぞ!」
「其れがのう、此の世界じゃあそうも言ってられないんじゃ。あいつと出会わなければ--」
 あいつ……此の気は、俺は知っているぞ--真っ直ぐ向かって来るだと……然も此奴は俺が嘗て住んでいた魔科学の宇宙で出会った其れに、似ている!
「ヒ、ヒイイイイイ!」達観している筈の爺さんが、樽の中に身を隠し始めるぞ。「わ、わしはし、知らんからなああ!」
「あんたは余生短いのだろう、そんなに怯える事じゃあ--」
 ルシナ、例の……おや、いやわかっていたのだがな--奴め、俺の眼前に現れるのかよ!
「フウウ……何でお前が此の世界にも居るんだよ!」
「久しいか? いや、そんなに大した時間も掛かっていない筈だがな……まあ良い、魔法使いの若僧が前に比べて少しは出来る所を見たいと思って此処迄やって来たんだがな」
「如何やって俺を知ったんだ!」
「私には天界にもコネを持っているからね。何でも羽無しが居ると聞いて少しだけ遊びに来たんだがな」
 えっと名前は……なんだ--と俺は尋ねる。
「私の名前は皇帝『ブラックレイピア』……覚えて於け、今は此の世界を支配する事に喜びを感じる身さ!」
 再会したくない奴と再会するなんて信じられない事態が起きたな。今の状態でも勝てる気がしない。上には上が居る、下には下が居る。後者は『悪口』同様簡単に出来る。出来ない道理が何処にもない。卑屈に成る事だって同じさ。だが、俺が奴にとって下に見られるのは屈辱処か寧ろ安心感を抱く!
「安心したか、私が圧倒的な格上だと知って?」
「頭に来る程、他者を見下すのが大好きな奴だ」
 当たり前だ、他者に見下される位なら殺した方が安心だしな--唐突に話を逸らしやがった……此れだから悪は腹立たしいにも程が在る。
「済まん済まん、話を逸らすのは私のいけない癖だな。今の本題は見下される事だったっけ? 其れなら今の私にとって無縁の状況。無論、其の状況が永遠に続かないのは理解する上だな。其れでも今の私は無敵だ!」
「--言ってろよ」其れでも俺は相手に見下されるのが何よりも腹を立たせる案件。「--此の俺が貴様を塵芥にしてやる!」
 ……成程、零詠唱か--奴が呪文詠唱をしている……何処で魔法を覚えたんだ!
「デュアンや、ブラックレイピア様に敵うのか!」既に調教済みのルシナは次のように警告する。「止めとけ……あの方は既に天使術と悪魔術を習得した後なんだぞ!」
「--下がっていろ、ルシナの爺さん。此の男を相手に俺は超空中戦を仕掛けるぞ!」
 詠唱は未だか、眠く成った--危ない、左前蹴りを後ろの壁が壊れるほど下がらなければ避け切れなかった!
 早速俺はボーリングオブコスモスで奴を星の外へと追い出した。奴は躱す事が出来たのに其れをせず態と俺の誘いに乗った……其れが可能なのがあの良くわからんチートバリアだな!
「凄い、ブラックレイピア様を空迄追放したぞ!」
「--未だだ、奴は一切ダメージを負っていない……其れを想定して俺は奴が態と受ける事を読んだ!」と言いつつも俺は新しく作り替えたデュアンロールで空へと飛翔する。「じゃあな、次会う時は霊魂かもな!」
 悪口……人間が神に成れない要因の一つに現状不満が在る。悪口或は愚痴或は陰口というのは上手く行かない事を他者のせいにする為に人間に備わった負の鎖。俺も此れだけは辞められない!
 『ブラックレイピア』との戦いに地獄も天国もない。宇宙空間内で……何だ此の圧迫感は!
「フフフ、ハーハハッハッハ……此れが数科学が支配する宇宙に於ける無重力の概念なのだよ、デュアン」
「圧し潰されそうだな、まるで逆だろうが!」
「嘗ては此の数科学の世界でもヒッグスで満たされていると阿呆が主張していたのだが……粒と波の関係がやはりそいつを否定するに十分な働きを齎したな。如何だ、全身の骨が罅入る感触は?」
「フン、馴れればこんな無重力も大した事がない」と俺は痩せ我慢を口にする。「ウググ……やっぱり此処も呼吸が出来ん。逆に全身が収縮するような感覚に襲われる」
「私と貴様が居た宇宙では沸騰し、空気が膨らむように成るのが法則なのだな。処が此処は大きく異なる。真空が支配するのに其の真逆で空気が収縮する方向に持っていかれる……結果、此のような圧し潰されるような感覚が襲うのだな」
「浮力は星の内部でしか作れん、か」
 さ、そろそろお喋りの時間は終わった。さっさと戦いを楽しもうぞ--奴との直接対決がこうして始まる!


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格付けの旅 デュアンは浮力の宇宙を体験する 続・クロードを襲う悲劇

 ライドマシン……其れはどっかのメガマンに出て来るメット野郎が愛用するあれじゃないぞ。悪魔用に開発された浮力下でも地上を疾走出来る準人型起動兵器。乗り方は簡単で剥き出しのコクピットに座るだけでペダルとアクセル或は用途に応じてクラッチペダルを踏みながら移動を熟せば良い。方向転換する時は左右のレバーを動かすだけで良い。まあこんな感じで操縦方法は俺の世界に在った箒や馬車とかそんな奴等と如何大差が在るのかわからんが若干の違いが在るだけで済むそうだ。
「--だが……ウワアア、クソウ。此奴に備わるAIは何とか成らんのか!」何とライドマシンには人間様と同じような動きを可能とする『MAI』が備わっていた。「クラッチで簡単変換可能でも此れはないぞ!」
「仕方ないだろ、イデデ」貫通する程の重傷を負っているのにクロードは態々隠れ家にて俺が操縦出来るように手解きをしてくれるもんな。「悪魔空手、悪魔柔術、天使ボクシング、天使レスリングを熟したい運転手が多いから市販のライドマシンには其れが機能しているんだよな」
「どの世界でも共通する武術やスポーツは存在する訳だな……だが、機動兵器に必要なのは軍隊格闘術だけだろうが!」
「いやあ最近の軍事学者の意見としてはステップ機能を配した軍隊格闘術は、イデデデ……兎に角、軍隊格闘術は咄嗟の逃走に不便だと聞くそうだ」
「逃げる時だけ付いている筈なのだがなあ?」
 一体如何ゆう『コマンド』でステップすれば良いんだ……此れだけでも軍隊格闘術じゃああらゆる戦場に対応出来ないな--とクロードは言うけど、其れで納得する俺じゃないだろうが!
 コマンド……此れは重要でゲームの操作は体を左右上下に動かす十字キーやスティックだけじゃない。ボタン入力も重要。但し、ボタン入力はあくまで手を出す足を出すと言った簡単なコマンドに過ぎない。其処に十字キー及びスティックの組み合わせを以て独自の動きを可能とする場合も在る。此れがコマンド入力。例えば波動拳コマンドの下、下斜め右、右からYボタン、Xボタン、Lボタンのどれかを押すだけで発動する特殊行動。まあ、波動拳を何故俺が知っているのかは触れないでおいてくれよ。
 ライドマシンをイマイチ理解しない俺と理解し続けるクロードとではやはり違って来るな。俺の場合は元々体術は得意じゃない方だから反射神経を活かした操作が出来ない。一方で悪魔独自の身体能力を有するクロードは其れを手足のように扱う。頭が良くて色んな理論を思い付くのに其れが肉体に活かせない俺はつくづく実感する……「なあ、クロード」訳を聞きたい程に。
「ああ、小難しい事はわからないがお前が悔しがる気持ちも良くわかるぜ。何せ昔の俺も貧弱坊やだったからな」
「そうなのか?」
「ああ、勉強は出来ないし然も子供の頃は虐められてばっかりだった」
 お前が--とてもそうは見えないクロードの過去が明かされる……其れは同時に死期が迫っている事も指す!
 そんな時に俺は気配を察知する……悪魔の其れではなく、まるで聖なる気が押し迫るように!
「お前も気付いたか、俺も気付いた」
「大丈夫か、其の怪我で動ける訳ないだろ?」
「馬鹿にするなよ、ライドマシンは其の為に在るんだ!」
 機械仕掛けで……まあ俺も言えんが--と言いつつも俺はライドマシンのデータを元に新たなデュアンロールの作成を試みている……故に物頼りを批判する権利はない。
「態々此の『浮き沈み』が激しいこんな場所に降りるなんて!」
「数学のイロハも知らん悪魔共を狩るのが趣味な俺達が何で態々無名の悪魔を狩らなきゃ駄目なんだ?」
「依頼だよ、例の……な」
 数は六人、そいつ等は俺の見立ててでは大した実力も持たない。だが、数科学の世界に慣れない俺や負傷の身のクロードを倒すには絶好の六人。こんな奴等でも白い翼をはためかせると思うと俺の知る天使像は大きく隔たりを見せる物だな。
「たった六人で俺達を狩ろうってのか……つまらんな」
「舐められていますな、俺達」
「あの羽無しも俺の事を舐めてやがるぞ」
「糞があ、地獄生活が偉いんかっつーの!」
「『ルサンチマン』を垂れ流すのかよ、天使様の癖に」
「デュアンはどんな想像をしたんだ? 天使も悪魔も関係ない、外道をする奴が悪なんだ!」
 だな--天使は善、悪魔は悪という構図が必ずしも正しいとは限らない事例は俺の常識を益々切り替えるきっかけにも成ったな……因みに戦闘は負傷の身と成れない身で在るにも拘らず僅か一分以内に沈黙!
「つ、強過ぎるぞ!」
「あの羽無し、国語を使わずに如何やって属性悪魔術を操るんだ!」
「いや、確かに国語のような表現が聞こえた。奴の詠唱速度が早過ぎて俺達の耳に、届かないんだ!」
「馬鹿な、誤詠唱する筈なのに……何で?」
「抑々、あ、あれは悪魔術、なのか!」
 零詠唱を舐めるなよ--俺が居た世界で不動の物とした俺の詠唱術は例え物理攻撃の達人だろうと付け入る隙を与えんからな!
「やるじゃないか、デュアン。お前さん、其の悪魔術……本来の名称は何だ?」
「魔法、だ」
 魔法……魔術の間違いじゃないか--そう言うな……俺の居た世界では魔法も魔術もごちゃ混ぜにしているもんだからな。
 だが、本来の意味での魔法が使えない俺じゃない。魔法だって零詠唱でやろうと思えば出来る……威力が下がるからやらんだけだ。
「お前等全く使えないな」其処へクロードを負傷の身に冒せた張本人が漆黒のライドマシンに片足を付き立てながら馳せ参じる。「よお、又会ったなあ!」
「ガットラー、やはりお前の差し金か!」
「へん、天使っつっても端金には弱い。特に不気味な相手から頂戴される使途不明金を自由に使えるなら危険な任務を引き受けても躊躇いはねえからな」
「如何ゆう事だ、ガットラーとかいう悪魔?」
「紹介しよう、『ワイズマン』様さ!」
 『ワイズマン』……だとお--と驚きの声を挙げる俺の前にガットラーの右隣に現れるフードから顔を覗かせるのがデフォルトのワイズマンが現れた!
「久しぶりだな、デュアン・マイッダー」
「ストーカーめ、弱い癖に未だ俺に歯向かうのか!」
 俺が弱いんじゃない、お前達が強いから相対的にそう映るだけだ--と情けない事を口にする当たりやはりワイズマンだった!
 ルサンチマン……此れは弱者の情けない強者妬みの事を指す。此の感情は空しいし、却って自分の為に成らんから止めるように。まあ、嘗ての俺もこうゆう僻み精神の塊だった事は素直に認めるがな。
「フン、悪はルサンチマンを欲する物だ。だが、俺は少なくともお前みたいな奴等以外なら苦戦する事を知らないからな」
 言ってて情けないフード野郎だな、其処のワイズマンって野郎は--言われているぞ、ワイズマン。
「言うじゃないか、クロード・ベルフェゴール。だが、其の傷で一人と一体掛かり……敵うと思うか?」
「デュアンが居れば--」
 知らないか、デュアンはチームワークが苦手な事を--其処を突くとはな……其ればっかりは知られたくなかったのに!
 其の瞬間、俺は気を取られて……両肩を極められる--二体のライドマシンの存在に感付けずに!
「クソウ--」
「デュアン、確かにお前の腕力、脚力、そして並外れたスタミナの数々は一般生命を大きく凌駕する。だが、お前の体術は一般生命の其れと大差なし。そうやって肩を極められたら最早身体能力で何とか出来ない……其れがお前の弱点だ!」
「デュアン、直ぐに--」
 待てや、クロード……貴様の相手は此の俺様だ--ライドマシンに乗ったガットラーを相手に負傷の身のクロードで何とか出来る訳がない……だが、今の俺は身動きも取れない!
「原初の焔よ、汝を仇名す敵を焼き尽くす為に其の昂る憎悪を膨れ上がらせろ……卑怯とは言わせない。俺の恨みを晴らす為にも此処は悪党の流儀に従って貴様を屠る」奴め、俺の両肩を極めたのは超級魔法という大技で確実に仕留める為だったか。「--此処では無理だって? あのなあ、デュアン。どんな世界だろうと『裏技』は存在するんだよ。お前だって其れを利用して此の世界でも魔法を使えるようにするのだろう? 知っているぞ、お前の企みは……だが、終わりだ。喰らえ、汝の敵を今こそ完全に焼き尽くす時……ギガフレアアアア!」
「グワアアアアア--」
「お、俺達迄えええ--」
「--ウオオオオオオオオ!」ライドマシンさえも破壊する程の大技だ、其れとは知らせずにやるかあ……「--ワイズマアアアアアン!」此れがお前の言う悪党の流儀なら俺は俺の流儀で突破して見せる。「--久々に仕掛ける……リフレクト、ブレイカアアアアア!」
「まさか……ウグオオオオ!」野郎、直前でロックオンを逸らして左腕一本に留めたな。「やはりデュアン・マイッダーか!」
「ハアハアハア」右手を地面に付ける俺が居た。「腐っても其のレベルじゃあ最高水準のワイズマンだな」
「漸く認めた序だ」ワイズマンは在る場面を俺に見せ付ける。「悲劇の味は美味いぞ!」
 俺が見たのは……クロードの死に様。寸での所で胴体を貫かれるともう、あいつは--其れ以前に俺とワイズマンの一戦中に何処迄凄い戦いをしたんだ?
 兎に角、俺はクロードが死んだ事を認めるしかない。長い付き合いでもないし、其処迄共感出来るポイントはない。だが、俺は勝負の世界が何処も同じだと痛感する。勝負は幾ら戦術が正しくても戦略の時点で相手に上回られれば引っ繰り返らない現実が在る事を。確かにクロード・ベルフェゴールは強い。ガットラー・ベリアル―の駆るライドマシンを破壊した上に奴を瀕死迄追い詰めたのは正しくて老いの獣が見せる底の知れない高みだろう。だが、結果は戦略の時点で決まっていた!
 其の後、俺はガットラーを殺す余裕もない。ガットラーもワイズマンも俺を殺す余裕がない。奴等は天使軍の侵攻を読んで其の場を後にした。無論、俺も同じだ。知り合いを殺された恨みを晴らすべきは其処じゃない。倒すべき対象を仕留める前に先ずは自分の身の安全を優先する……恐らくクロードが勝ち残ってもそう判断しただろう。こうゆう場面で戦術的な正しさは証明されるのだからな。
 今は……此の世界で生き残る事を優先しないと!


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格付けの旅 デュアンは浮力の宇宙を体験する クロードを襲う悲劇

 飛翔能力……在る奴の話に依ると滞空時間を優先し、速度を犠牲にした翼こそ天使の特徴。速度を活かすが滞空能力を逆に失ったのが悪魔の特徴。其れ等は筋肉に於ける赤色筋肉と白色筋肉の関係性に良く似ているとの事。別段、悪魔が滞空時間が全くない訳じゃない。中には滞空時間が優れた悪魔も存在するし、『滑空力』を全面に活かした天使も存在する。唯、天使と悪魔は其々持久力に優れた翼を持つのか滑空能力に優れた翼を持つのかの違いで判断出来る。見た目以上に此れは重要な指標と成るそうだ。中には滞空時間と滑空力の両方を備えた堕天使又は『獄天使』成る存在も居るには居る。とはいえ、そうゆう連中はどの陣営からも嫌われる混ざり者な為にそうそう見掛けられないな。
 とまあこんな感じで説明する。其れを教えてくれたのが俺を匿う変わり者の悪魔クロード・ベルフェゴール。奴曰く天使も悪魔も見た目と性質だけの違いが在るだけでそんな事位で争う意味がない、と語るそうだ。
「俺を変わり者というのか?」
「当たり前だろ。そんな簡単に人間が割り切れるなら種族問題は拗れないと俺は思うぞ」
「かもな、俺みたいに考えられたら争いは無く成って上層部共は困るしなあ」
「戦争したがり屋はどの世界でも存在するんだな」
「とはいえ、最近じゃあ『神罰兵器』って奴のせいで簡単に戦争が出来なく成って益々天地の少子高齢化が進行してらあ」
「……何だ、そりゃあ?」
「知らんのか? 天界のシマヒロやサキナガに打ち上げられたきのこ雲を誕生させる忌々しい兵器だぞ!」
 ……若しかして魔導弾か--此の世界では魔導弾の事をそう総称するのか!
「察しが良いようだが、何を言ってるのか俺にはわからん。だが」クロードは悪魔にしては珍しく地頭が良いのか、俺の言いたい事を瞬時に理解する。「要するにお前さんの居た世界では何とか弾と呼ぶそうだな。世界って見る側にとっては基本法則って違うのだな」
「理解が早くて助かるよ」
 俺を頭が良いと思うなら止めとけ……平均的な悪魔同様に数学のイロハがさっぱりわからねえ--龍道が支配する世界で龍道が使えないと主張するのか?
 神罰兵器……クロードから聞いた話を俺なりに纏めると此の世界の魔導弾を意味するかもな。此処では魔導弾に依る威嚇のし合いを神罰抑止力と呼称するとすれば其れがどれ程人命を奪い取り、尚且つ自然災害を起こすのか想像も付こうか。但し、実物は映像すら見た事もない。直に見る機会に至ってはきっと巡り合わせ難いだろう。今は此れ位しか説明が付かない。
「とはいえ、デュアンと言ったな」
「何だ、悪魔様から喧嘩の方法を教えてくれるのか?」
「違うな、気付かないのか? お前程に足の速い奴なら此の程度の気配に悟れないなんておかしいのだが?」
「とっくに気付いている。だが、あの羽の輝きは何だ?」
 ありゃあ、『悪魔術』だ--又新しい異世界用語が飛び出して来たな……直ぐに俺が理解出来ると思ったら大間違いだぞ!
「天使術か何かか?」
「其れとは別に……国語を使ったシンプルにやばい代物だ!」
 国語……まさか此の世界の魔法は龍道じゃないのか--純粋に詠唱を行う其れも此の世界に存在するのか……如何成って居るんだ、異世界の法則ってのは!
 此処では『悪魔術』の解説をしている暇はない。実際に体で受けて確かめよう。すると炎やら水やら風やらが飛び出して来た。俺の足で逃げられるか確かめる。すると『ホーミング』して……「グワアアアア、ハアハアハア……ソコソコ効いたぞ!」数秒と経たぬ内に追い付かれて打撃を被った!
「『ロックオン』されたんだろ? 天使術同様『ロックオン』されたら『完全飛散距離』に行き着く迄は追い掛けて行くからな!」
「全く……魔法と同じじゃないか。然も何かぶつぶつ呟いていたな」
 其れが『悪魔術』に於ける『祝詞』だ--魔法の詠唱だって『祝詞』の一種だぞ……次々と新用語を持ち出されたら新規の者達は決して追い付けないな。
 ロックオン……支援法術の一種ではなく、魔法用語の一つ。詠唱終了する迄此れから離れるのが遅れれば逃れる事が出来ない代物。要は磁石の砂を付けられたと思えばわかりやすいだろ? そんな砂を掛けられた状態で磁力に引き寄せられるナイフの先端が飛んで来たら避ける事が出来ると思うか? 出来ないのだな、此れが。此れこそがロックオンの恐ろしい点だよ。
 ホーミング……ロックオン後に襲い掛かる魔法の基本法則。一度ホーミングされたら其れは時間を追う毎に速度を増してロック御対象を貫く迄飛んで来る。被弾した時の威力に相違がないのは距離と跳ね上がった速度が反比例するからなのか? 或は……おっと蛇足だな。
 祝詞……詠唱の別用語。或る魔法学会では詠唱を祝詞にしろと五月蠅い。其の理由は魔法の詠唱に風情を持たしたいが為。風情を齎しても威力が上がる訳じゃないんだがな。とはいえ、言葉尻を綺麗にするのは賛成だ。言葉が汚いのが続くと心迄下品に成ってしまうからな。
 完全飛散距離……魔法攻撃に於ける射程問題と絡む。必ずしも威力が高いからって射程が長く成る訳じゃない。着弾すれば其れは圧縮が解放されて破壊力として算出される。だが、着弾しなければ空気中で浄化する。其の為に完全飛散距離は下級魔法も或は超級魔法も共に同じと仮定される。よくある重い者と軽い者を同時に落としたらどっちが早く落ちるか? 其れを頭に浮かべれば威力の云々で飛距離が上がるという比例は有り得ないのがわかる。
 とはいえ、俺の素人拳法で『悪魔術』を使用する奴等を片っ端からのしてやった。相手が雑魚で良かった。
「強いなあ、デュアン。魔法無しでも戦えるのではないか?」
「いや、此奴等が戦闘及び格闘の素人で良かっただけだ。若しも少しでも型に嵌って居れば俺の早いパンチやキックも見切って来るだろう」と此処で俺はクロードの格闘センスを褒めてみる。「其れにしてもクロード、お前はマジで強いなあ」
「そりゃあ腕立て腹筋は欠かさん。後は技を少しも磨く日がないなんて何処に在るか!」
「だな……」
 だが、俺達が感知した気配と一致しない。此奴等の強さは。さっきの気配は確かに俺を少しだけ驚かせていた。なのに戦うと呆気ない。こんな不等号は有り得ん。何処だ……「此処だ、間抜けがあ!」
 危ない、デュアン--俺は油断してしまい、其れを庇ったクロードは胸元を貫かれる!
「クロード……お前!」
「つくづく、俺は……悪魔らしくないよなあ?」
「ハッハッハ、致命傷を免れたな……え?」クロードにこんな事をした張本人が姿を現す。「だが、此れで目の上たん瘤だった貴様を始末出来る訳だ」
「ガットラー、何処迄腐っていやがる!」
「そんなに自分の大切な雌豚が殺されたのが不服かあ?」
「黙れ、悪魔の常識じゃあ女は死んでも替えが居れば幾らでも良いと主張出来よう。だが、俺は違う。セルシアは誰よりも大切な雌豚だ。こんな人情も欠片もない世界でたった一つの花だったんだ!」
「そんな考えが出来るのはお前だけだ、此の間抜けがあ!」
「いや、俺を忘れるな」
 異邦人はカウントしねえんだよ、バアカ--だよな、と感心していられないな。
「其れにしたって目の上たん瘤且つ実力だけは認めるあのクロード・ベルフェゴールがこんなに呆気なく殺せるのは、中々だなあ」
「ゲホゲホ……致命傷は避けたってお前が言ったじゃないのか?」
「其れでも此の戦いでは俺様は勝つ。お前みたいな奴に何時迄も後塵を拝する訳には往かない!」
「クロード、今のお前ではあいつに勝てないぞ。此処は--」
「それだけは御免だなあ、デュアン。見てろよ、俺の戦いを……お前に足りない物を全て教えてやるぜ!」
 此れは俺が最後に会ったクロードの信じられない執念と其の強さの秘訣を見せ付けられる戦いだった!
 確かにガットラー・ベリアルーは強い。俺が見た所に依るとあいつは色んな武器を使い熟して斧使いのクロードを瀕死とはいえ、追い詰めている。後は鍔迫り合いでも力の乗せ方が絶妙で何処に力が入らないのかを的確に見切っていやがる。だが……「たりゃアアア!」瀕死のクロードは底力を発動して徐々に強さを発揮している。開始から三分間は下がってばかりだったのに其れを過ぎると急に互角の剣戟を演じている。何処にそんな力が? 簡単だ、俺は何時だって其れを実行して来た……環境じゃない--そんな物は慣らせば何とか成る物さ!
「野郎、何処にそんな力が在るんだ。其処迄餓鬼を守りたいのか!」
「餓鬼? 俺に良い父親は期待出来ない。悪魔の子供は放ったらしにして成長させる物さ。クロイツも其のつもりだ」
「訳わからんな。だったら……ライドマシいイイんん!」叫んだ途端、ガットラーの背後に降り立つ『ライドマシン』と呼ばれる準人型機動兵器。「さて、俺様は楽して貴様との因縁を此処で断ち切る!」
「ハアハア、参ったな。仕方ない、逃げるが勝ちだああ!」クロードの野郎は俺に近付くなり、ガットラーの所迄放り投げた。「後は頼んだぞ……やっぱ死ぬの恐いぜ!」
「クソウ、危ねえ!」
「避けたな、右アームパンチを!」
「そんな物で……うおおおっ!」『ライドマシン』は意外と速いと来た者だ。「もう俺の逃げる方向を先回りして……おっと、回避回避!」
「動きが素人……だが、速度が明らかに光では捉え切れねえ!」
「--やろうと思えば出来るんだな……ライトクラッシュ!」
「グワアアあ……打撃技、だとおお!」
 マナの練りが悪いなあ……だが、今ので逃げるだけの距離は取った--そうして俺は光の速度で其の場を後にしていった!
「クソウ……何て野郎だ。どっちにも逃げられたんじゃあ、仕事上がったりだ」
 そうか、だったら俺に協力しろ--まさかのワイズマンが此の世界にも降り立つとは思いもしなかった!
 其処で俺はワイズマンが何者で如何して此の世界にも存在しているのかを知る事に成って行くが其れは又の機会で。兎に角、クロード・ベルフェゴールが遺す因縁の物語は徐々に徐々に構築してゆくみたいだ。俺という異物が存在しながらも、な!


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tag : 格付けの旅 小説 SF 冒険 ファンタジー

格付けの旅 デュアンは浮力の宇宙を体験する 現実に近い地獄へと降り行くデュアン

 天使術……其れは文字通り天使だけが仕える術。此れに関する情報を今の所俺は持ち合わせていない。
 と言ってみるが、パンツ一丁に成って両手を吊し上げられるとはな。其れに年中日の光が当たるなあ。肌が彼方此方痛い。硝子窓を利用して数十倍に迄光度を高めて俺を焼いているそうだな。拷問としては十分過ぎる方法だぞ。
「そろそろ吐くんだ、異邦人。お前が持つ全てを」
「吐かなければ更に光度を上げるのか?」
「其の通りだ、其処の異邦人。其の魔法とやらは此の世界ではちゃんと意味を為すのか我々は知りたいのでね」
「為さないな、実は。何度も試しては見る物の……精密射撃を可能としないんだ。ヒッグスありきであれは放つ事が出来た代物だからか?」
「ヒッグス? えっと……物に重みを与えるという重量粒子とやらか? 何方にせよ、そんな物は既に否定された後だろう。『相対性理論』を舐めるなよ」
 此の世界にも『相対性理論』は在ったか--今更だが、魔科学世界に於ける『相対性理論』が在るように数科学世界にも顕然と存在する『相対性理論』の正確さには舌を巻かざる負えない今日此の頃。
「俺を如何する気だ? 人体実験するつもりなら天使のイメージガタ落ちだぞ!」
「我々を少し誤解するようだが、戦争に勝つ為には手段を選ばん。どれだけ悪名を背負おうとも貫かねば成らない信念が在るのだ!」
「其の為なら人々の心を蝕んでも、か?」
「『政治』は何処へ行こうとも『民主主義』という物には付き合わないといけない」
 『民主主義』を天使共も口にするとはな--他人の意見を一々聞いていられない……と思えばどれだけ良い事か!
 政治……何時も誤解を受けやすいのだが、所詮は祭事を小難しく表したに過ぎない。要はどれだけ世の為人の為と謳おうとも所詮はショービジネスの一環に過ぎない。其の為に国民共は『政治屋』共の言葉に左右され、安易な判断を下しやすい。まあ其処から先は『民主主義』の項目にて詳しく説明しておこう。兎に角、祭事を難しくした政(まつりごと)。政を以って世を治める……其れが政治。なのでショービジネスが罷り通るのは当たり前の話だという事を忘れずに。
 民主主義……今迄試みて来たどの政治形態を除けば此れ程最悪の政治形態は他にない物。と在る俺の世界に居た或る高名な政治屋の言葉を借りればそうゆう物。如何ゆう意味かを俺なりに述べるならば使い方を誤れば此れは災いを齎す、と其の政治屋の爺さんは云ったそうだな。兎に角、民衆の手で政治を決めるという一聞するととても良い制度のように思うだろう。だが、馬鹿ばっかりで代表者を選んだらどれだけ災いを齎すのかを知らないといけない。政治でも述べたように安易な選択がどれだけ災いを齎すかを知らないと此の制度は亡国へと転がしてしまう。そうだな、上級魔法が素晴らしいから全部上級魔法に決めてしまえ、という意見ばかりが集中したら如何成る? そうすると確かに強力な魔法で安易に勧められるように思えるだろう。だが、上級魔法はマナの消費量が激しいだけじゃなく詠唱時間が非常に長い。おまけにそんな詠唱時間中に相手は如何するかを考えると下級或は中級を絡めて上級魔法の詠唱を妨害する事で勝利を掴んで来る。結果、上級魔法だけのパーティーは全滅。勝利したのは下級或は中級魔法だけのパーティー……強力な魔法を持つのに何故敗れたのか、という総括に成って来るのだからな。少しわかり辛いが、つまりそうゆう事だ。言葉尻が良い奴が何でも出来ると勘違いしてそいつを多数決で代表にするからって必ずしも良い政治に結びつくとは思えない。そうゆう意味で民主主義とはショービジネスを見極めない愚民が使用すると亡国へと導く代物だ。此れを忘れないように。
「長文過ぎるな、眠ってしまうだろうが」
 済まないな、俺の悪い癖だ--とはいえ、大分マナを蓄える事に成功した……後は如何やって弾かせるのか、楽しみだなあ!「貴様、何か放つ気だな?」
「--さあ?」俺は静かに全身の筋肉を収縮する魔法を唱える。「--其の手の御経が何か?」
「経を唱える事は即ち……良し、やれ!」
「拙い……ウグああああ!」全身に降り注ぐ紫外線魔法否天使術が俺の肌を益々火傷へと晒す。「呪文詠唱に失敗した。却って肉体を更なる危機に晒してしまった!」
 俺は一転して危機に立たされる。相手は只の機械じゃない。機械だと思い込んだ俺の過信が危機を招いた。何時から自分以外をパターン通りの機械だと思った?
「あの異世界人、如何やら過信が招いたミスに動揺している様子だ。如何思う?」
「推察するに自分が一番だと思い込んでいるだろう」
 私の推察ですと自分の力なら上手く行くと思い込んでいるだろう--何方も外れだ……意外と奴等が行う相手に対する推察は俺が思っている以上に当たる気配はないな。
 『他人は自分が思っている程愚かでもなければ賢い訳でもない』という全世界共通の真理に通じる諺通りだな。
 他人は自分が思っている程愚かでもなければ賢い訳でもない……別に此処迄長文でなくとも構わないが要するに相手を過少も過大もするなって意味さ。前者の場合は「何時も通りこんな事をすれば簡単だろ」という思い込みから相手からの思わぬ反撃を受けて膝を挫く。後者の場合は「いや、待て。奴等なら不可能を可能にしてしまう」と思い込んで逆に反撃の準備を与えてしまう事を指す。何方にしても如何に相手を考えて手を打つのが難しいのかを表す物で如何に予言の類とかが当てに成らないかを表す。要は何でも相手を見抜けたら面接官は今頃政権の御意見番として永遠に鎮座しているだろう。そうゆう意味だよ。
「其の表情、如何やら我々の過大評価を表しているな」
「気付かれたか。あんたらはこんなポジションは役不足じゃないか?」
 其れを決めるのは君ではない--一部の隙もない範論を出されては返せないな……確かに決めるのは天使の偉いさんがするもんだな。
「さて、楽をしているから更に痛い目を見て貰う!」
「--ウガアアアアアア!」此奴等、本当に天使族かよ。「--いい加減にしろ、リクイップウウウウ!」
「抜け出したな、馬鹿め……『イーノック』ウウ!」
「了解シマシタ、直グニ異邦人ヲ討伐シマス!」
 『イーノック』……そう呼ばれる機械人形が真下より俺を討伐する為に百もの腕を広げて襲撃して来る!
 俺はそいつを相手に慣れない格闘戦を演じる……「畜生、やっぱ格闘技を俺は出来ない!」だが、神才と呼ばれかねない俺でも格闘技の才能は無かった--なので『イーノック』の羽交い絞めに全身を搦め取られて今にも全身骨折及び内臓破裂は避けられない状況に追いやられる!
「何とか筋肉硬化術とやらで『イーノック』の関節技を耐えるようだな?」
「だが、格闘技だけが『イーノック』の十八番じゃない」
「天使術を示せ、『イーノック』」
 野郎……急降下を、始めたな--関節技でも俺を砕ける事が出来ないならいっそ奈落の底迄叩き落す程に効果を始めやがった!
「少々地獄に首を突っ込む事には成る」
「侵犯の口実を奴等に与えますよ」
「構うもんか。其の時は汚い政治手段で言い訳をすれば良い」
「悪魔共に言える口ではないな」
「例のあれを解析しなければ……な」
「あれか……果たしてあれは我々の『救世主』と成るのか? 或は世界を滅ぼす『魔神』と化すのか?」
「其れを決めるのは『天のみぞ知ります』ね」

 天のみぞ知る……実に便利な人為的な事柄では如何する事も出来ない運命用語。其の先を知る事が出来るのは天のみ。其れ以外は天の操り人形に過ぎない……真理を突き付ける実に便利な諺と言えよう。だが、此奴を俺は認めん。
 咄嗟に俺は『イーノック』を叩き付けて脱出。運命に身を委ねるよりも寧ろ運命を自ら切り開く事でしか生命は運命と向き合えない……俺はそう思っている。仮に俺の完全なる死が確定済みで在っても俺は延命する自由も自殺する自由も決める権利が在る。俺は絶対に其れを譲らない。譲る位なら俺は全てを蹴散らしてやる。
「ヘッヘッヘ、堕天したのが一人……見っけ」
「よお、地獄に叩き付けられて無事だなあ。浮力が上昇させたくて仕方ないんじゃない?」
「歓迎するぜ、但し抵抗したら死在るのみだって気付いたあ?」
「まあ逃げても良いぜ。此処には塵屑ばかりが集まる訳だしなあ、けっけけ」
「お姉さんと何発もやらない、見た感じ童貞君だし」
「大歓迎よ、お姉さん達はちゃんと卒業の手伝いもしてあ・げ・る」
 地獄のような天国から一転して俺は天国のような地獄に堕ちてしまった。だが、そん所其処等の雑魚にやられる程俺は弱くない。魔法を使わずとも素人憲法で何とか全員地面に尻餅させるだけで十分。
「速過ぎる!」
「何時、動いたんだ……羽が付いていない癖に!」
「抑々、『滑空力』を使わずに如何やってあんなに速く動けるのだ!」
 如何やら此の世界には他にも力学法則が在るそうだ。特にあいつ等の翼は『飛翔能力』という点では天使や堕天使には劣るだろう。だが、下に向かって急降下する能力。要するに地面に素早く滑らせる『滑空力』と呼ばれる技術では恐らくトップクラスだろうな。
 とはいえ、長基線は避けたい。今の俺は此の世界に於ける法則を未だ未だ理解が及ばない。理解が及ぶ迄逃げるが勝ちで往く。
「足も速いのか……クソウ、『空気抵抗』は如何成って居るんだよ!」
「撒かれた……あれだけの速度なら、如何考えても肉体に掛かる空気の塊は相当重い筈。如何成って居るんだ、あの羽根なしは!」
「いや、有り得ん。一瞬だぞ。幾ら速度が速くても目で追えない速度に成る迄は加速時間が在って然るべきだろう。直ぐにトップスピードは有り得ん!」
 奴等は科学にも詳しいようだな。下品だけで此の天国のような地獄を渡り歩けない訳だな。
「フウ、お前さん……追われているようだったな」
「誰だよ。俺みたいな得体の知れない奴を助けるなんて!」
 俺はクロード・ベルフェゴールだ……宜しくな--悪魔の中には天使に近い精神性を持つ者も中には居る。


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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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