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一兆年の夜 第百三十六話 終わりの始まり ライデンの終着点は始まる(十)

 未明。
 だが、ライデンの肉体は既に其の話をさせまいと悲鳴を上げ始める。其処から先は話すまいと運命が彼の精神と肉体を切り離しに掛かる。
「クソウ、如何して夢宇宙は俺に対してこんな運命を強いるんだ。未だ、未だ話し足りない事が……あるというのに!」
「又なのか、又僕はたった一名だけ無事で……ああ、又生命の肉体が溶けて行く!」
 ほ、本当だ……右手の指先か、ら、内、側に--ライデンは自分の役目が唐突に終わる事を望まない。
「何で何時も僕だけが一名に成ってライデンを含めた生命はみんな先を行くんだ。僕は未だ話し足りないというのか、こんな神様だらけの世界に残されて!」
「ハアハア……何となく、お前の存在が、わかって、来た。此処には、無念を、未練を、残して来た、生命が、想念の、海に旅立つ、には余り、にも、力無き、故に、更には……ハアハア、そろそろ限界が来た」
「此れで良いのか、ライデンさん。此れで貴方の未練が果たせたと言えるのですか!」
「馬族の生命が言ってた事を、ハアハア……思い、出して来、た。そう言え、ば、あいつらは、俺に、銀河連合を、銀河連合を、倒す事、其の意味、答え、全てを、ハアハア……実は--」
 ライデンさん……実は何なんだああ--謎の人族の青年が叫ぶ時、ライデンは風に吹かれるように何もかも残さずに消えて行く!

(そう、だ。思い出したぞ……最後に、思い出した事全てを、全てを--)








 双子島に到着してから二の年と一の月と二十七の日より後。巨島に到着してから二の年と一の月と十五の日より後。馬島に到着してから一の月より後。
 ライデンは馬島の中央にある最も小さな建物内で立ち続ける齢三十四にして三十日目に成るトジョナ馬族の老年と話をする。
(尚、馬島では生命は三十年も生きるのが難しいらしい。大体が二十代中盤から死に始める。其の為、彼等の青年期は俺達にとって成者の年に成る十五から始まり、二十は中年の時期。二十五から老年の時期と成る。なので表現としては五から十四迄が少年少女の時期、十五から十九迄が青年或は女性の時期、二十から二十四迄が中年或は熟女、二十五以降は老年或は老婆という区別に成る)
「何故に銀河連合と呼ばれた存在が居るかわかるかああああな?」ライデンと会話するフウイヌは問い掛ける。「あのように意味もない行為に全精力を掛ける彼等は如何しいいいいてえい存在する?」
「其れは俺達を食べる為ですよ、フウイヌ殿」
「だが、食べる物なら他にだあああってえいある。なのに何故に生命を食べようと試みるか我々には理解が及ばあああなあい」
「かも知れません。俺達を食べる事が其処迄味に成るのでしょうか?」
「栄養価だの何だのと菅原ライデン君が伝える世界では味覚は五種類ああああるんのだろう? 全ての組み合わあああせいとやらでは数の世界に数えると最早出し尽くしているような気がするがあああな?」
「甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の五種類が舌に感じ取れる基本的な味覚であるのです。更には其処に辛味や渋味、脂味、酷味、冷味と呼ばれる物もあるそうです」
「辛味は痛みと変わらなあああい。渋味は舌の水分を吸い尽くうううすん症状、脂味は舌に脂を乗せる惑いの味覚で冷味は舌を凍らああああせうる。特に酷味は幻を覚える症状に近く、我々の中では最も避けえええたい味覚だ。見ろ、銀河連合とやらの味わい足らなああああいん様子を」
 ああ、奴等はあれだけでは飽き足らない……酷味が齎す飽くなき精神が現状維持を求めないように思えて気味が良くない--ライデンは馬島で見掛ける銀河連合を観察しながら如何に今の自分達に照らし合わせるかを思い知ってゆく。
「此れが味への飽くなき精神が齎す悲しき劇と我々は呼んんんんでえいる。君達外の生命もそんな銀河連合と同じ事をして恥を感じいいいなあいのか?」
「いや、俺達は銀河連合に依って齎される悲劇を少しでも回避する為に力を付けて技術を付けて奴等に立ち向かっているのです。銀河連合みたいに差別すらも知らずに味を求めるような事はしません」
「だが、銀河連合を倒す為に飽くなき味を求める事は我々から見れば君達も同じではあああなあいのか? 銀河連合の脅威に立ち向かう為に力を付け、更には選り旨味を求めて皆への期待を理由に現状では満足しなあああい所は? 菅原ライデン君は如何しいいいてえい其処迄銀河連合を脅威と見做すうううかあ? 脅威と見做せば見做あああすん程、後戻り出来ない状態へと追い詰めらああああれいている事に気付くべきではなかろうか? そう、あの銀河連合みたいに最早何物も満足し得ない心身へと様変わああありいするかのように!」
「そうじゃない、俺達は純粋に誰かを守る為に戦うのだ。そうして上から俺達と銀河連合が同じだと断言しているようですけどねえ……其れは貴方方の所に来る銀河連合が偶々、観察出来る程度の存在だったに過ぎんのです。知恵も其処迄発達--」
「確かに其の通りいいいだあ。我々は君みたいに長く生きいいいらあれもしなければあのような銀河連合たる存在のように脅威と成る智慧も働あああくう事なく平穏に過ごせたのが奇跡とも呼べる。だがな、知恵を付けええいれば今の君達の世界の脅威と成る。そして君達はあの銀河連合同様に我々にとって此処で生存するには危険過ぎいいいうる。未だ、我々を傷付けるうううんような存在ではないかも知れない。其れでも一兆年より先……君達が今の君達である保証はあああなあい。そう成ると我々も無事では済まなあああいんだろうな。我々の島に残る神様がそう告げえええてえいるように!」
 神様が--馬島で暮らす生命の智慧は想像を絶する程に先を行く事に戦慄を覚えたライデン!

(其れは同時に俺が話の途中で其の場から逃げ出して気が付けば海に飛び込んでいた程さ。俺を見た馬族のある青年が泳いで俺を止める迄、きっと溺死していたかも知れない。そんな彼は俺の為に筏を作ってくれた。若しも泳ぎたいなら其の筏を使って海を渡れば良い……若しも馬島の生命が言うような俺達が一兆年の先に銀河連合のような存在に成ってしまうとすればきっと其れは俺達の世界が終わりを告げる事を意味するんじゃないかな?
 だが、其の日は訪れないだろう。何しろ、其の一兆年が俺が死んでから先の話過ぎる為に想像が追い付かないのだからな。今は未だ、終着点の始まりに過ぎない。俺の死も終着点の始まりに過ぎない。
 さて、俺が馬島を去ると突然眠気が襲う。そして今迄の事を忘れて俺は無事救助される。其れから先は語った通りだ。こうして漸く此れからの俺の物語は終わりを告げる。そして俺が死んでも俺達死んでいった者達の意思はレット・テンタウを始めとした次の時代を築く生命に受け継がれる。
 こうして--)

 第百三十六話 終わりの始まり ライデンの終着点は始まる 完


















 未明。
 場所は新天地
 此処は……何処だ--齢十八にして四の月と三日目に成る神武人族の少年は新天地の何処か知らない浜辺に打ち上げられていた。
「あ、そんな所で寝ていたら」其処へ齢十五にして四日目に成るヤマト人族の少女が近付く。「風邪を引きます、其処の雄の生命!」
「誰だ、君は?」
「あ、私ですか? 私は--」
 そしてレット・テンタウの物語は二の年もの間、永い眠りの中で徐々に再開へ向けて始動してゆく……

 ICイマジナリーセンチュリー三百十五年一月一日午前八時二分一秒。

 第百三十七話 新天地のレット 其れは未だ見ぬ島国 に続く……

一兆年の夜 第百三十六話 終わりの始まり ライデンの終着点は始まる(九)

 双子島に到着してから二の年と一の月にして三の日より後、巨島に到着して二の年と二十二の日より後。
 ライデンは小柄ながらにも巨島の生命の為に尽力した。既に此の時は元の世界に戻る事を諦めていたのかも知れない。そう思う位にライデンは巨島の生命の為に尽力した。何故かは此れからライデンが次のように思考する事で納得がゆく。
(此処は巨島でありながらも俺みたいな生命を寛大に受け入れてくれた。そりゃあ双子島の生命にあれだけな扱いを受けた後だと余計に堪える物かも知れない。そんな事も含めて此処には元の世界にはない捨て置いた神々の存在が溢れていたんだ。だからこそ俺は其れを観光するのも楽しみだった。勿論、アリゲランを始めとした生命が俺の功績を高く評価した事もある。俺が小さい故に其れ相応の手当てが出来るという利点も其処にはある。命懸けに見合った生活の充実というのは中々に今の生活を手放したくないって思いが募る物だよ。そうして俺は帰る事を忘れだしていた。
 おっと、どんな物かって? 先ずは巨島の北端にあるのが何とも言えない格好をした人族の体型をした何かが縫い目の模様をした球を右手に持ち、左手に革のような物で作ったような家鴨族の足みたいな手袋で包んだ格好だったな。アマテラス文字で『読売巨人軍のマスコットジャビット』だそうだ。読売巨人成る国があったとはな。其の中で俺も知らない種族が居て、中でも英傑的な存在があのマスコットジャビットだとしたら……そう思ってアリゲランにマスコットジャビットみたいな種族が居るのかを尋ねた。すると彼女から返って来た答えは『マスコットジャビットみたいな人族のように二足歩行をした上にあんな首が支えられそうにない程大きな頭の種族なんて見た事ないっがん』ってもんだ。勿論、アリゲランの両親にも同様の事を尋ねても答えは殆ど変わらない。にしても神様の中にはこんなどうゆう戦い方を想定してあんな右手に縫い目の球を持つのかもわからん。更には如何考えても手を温めるか保護する以外に使途が見えないあんな左手に嵌めた指の可動域を狭める革のような何かで出来た手袋も謎が多過ぎる。却って物を持つ事が難しいと俺は考えるがな。兎に角、読売巨人の軍者にとって右手の球と左手に嵌める革みたいな物で出来た手袋が標準装備なのだろう。其の中でもマスコットジャビットは数多の功績が認められて英傑的な存在として後に神として祭り上げられた。だとすれば神様の定義は益々理解の外にありそうだ。
 次は最南西西にある何とも恐ろしい筋繊維を剥き出しにした巨大な人族の神様だろう。恐ろしい所は巨島の生命よりも更に巨大な姿をしていて尚且つ壁を伝おうとしている様子が伺える。そして筋繊維が剥き出しでありながらも銀河連合ではない其の姿は正に巨島の生命よりも巨大な存在を示唆するような物。俺からすれば只でさえも雲を突き破らん大きさの生命よりも更に巨大な存在が居たとしたら此れ程迄に井の中の蛙族という表現が的確な事例は存在しない。そして名称は『進撃の巨人』らしい。壁に手を付けるだけでは飽き足らずに何と此処から進撃を始めようというのか、此の神様は。だとすると果たして奴が若しも実物で壁を越えたならば今迄の常識が引っ繰り返る衝撃を俺達に与えるかも知れない。
 最後が最東端にある『黒鉄の巨人』と呼ばれる恐ろしい形相をした人族なのか? 背中に零を表すような数字が見える。いや、何故其れを零と断言するのかは俺も理解出来ない時がある。けれども、其の神はまるで全てを怒りで包んでいるかの如く表情に余裕がない。全て我がものだと言わんばかりの自己主張は一歩踏み間違えると銀河連合と大して変わらないような凄味を持つ。恐ろしきか、神というのは。
 そんな神々だけじゃない。俺に興味を示すのは此の生命の飽くなき精神の数々は我々小柄な生命では一生懸けても難しい事をやってのける。大きいが故に手にした数々の技術に更には大胆さの中に俺みたいな生命を必要とする細かい気配りなんかも見え隠れする。其のお陰で俺の為に船までも用意した。何時だって彼等は俺の事を大事な客以上の気配りをしていて戻ろうという気概が徐々にではあるが俺の中で薄れて行く。こんなに滞在したのは其のせいなのかも知れない。
 だが、別れは何とも言えない所で訪れる。其れはアリゲランが俺を足提げ荷物で運んでいる時だったな。海が見たいって五月蠅いので仕方なく其処に入って付いて行った時だった)
 見て見てっがん--齢十一にして七日目に成るアリゲランは興奮してライデンの鼓膜を破けん音量に成っていた。
「少しはあああ静かに言ってくれよ。余りの音に体が思った以上に動けないんだよ!」
「あ、そうだったっざん。ライデンにも見せてあげようと思っているっがん」
「そうか、ならば……あれ?」其の時、急降下して足提げ荷物の紐を掴んだ鷲型が勢いを逃さずに急上昇。「まさか……銀河連合!」
 ライデエエエエンっざん--アリゲランの声は聞こえても其の叫びはライデンの肉体を震わせるには届かない高度迄上昇していた。
(声からしてアリゲランは無事だ。だが、俺が死んでしまえばアリゲランの身が危ない。攀じ登って奴を如何にかして倒すべきか……おおっと!
 クソウ、俺が小さい場合は却って急上昇は地上との気圧差で鼓膜が無事では済まないな。後は空気の濃度が……薄い!)
 巨大な生命にとって丘を越える事は鼓膜にとって大した影響を受けない上に呼吸する上でも窒息に繋がらない。だが、ライデンにとっては其れが余りにも急激故に呼吸するのも大変な状況に。息を止めたって襲い来る急激な冷気と血の巡りの順調程遠い様は、自らの疲れを加速させに行く。
(感覚、が。眼が赤く染まるような……充血しているな。こんな状態では、手が……あ!)
 そして、小柄故に捕まっていた筈が握力が緩んで其の侭急降下--完成制御も出来ない侭にライデンは死を覚悟する!

(其処で俺の人生は終わったかに思えた。だが、不思議かな……意識を取り戻した時には馬族だらけの種族が居る最後の不思議なる島へと辿り着く。其処の名前は馬島と呼ばれ、僅か短い中で俺に全生命の在り方について突き付けて来るもんだ。其の僅かな事というのは此れから話す。短い中ではあるが、其の島では俺にとって生命と銀河連合とは何かを突き付けるみたいに思えて不思議と逃げ出したく成る思いに駆られたな--)

一兆年の夜 第百三十六話 終わりの始まり ライデンの終着点は始まる(八)

 双子島に到着してから四の月と八の日の後。巨島に到着してから三の月と二十六の日より後。
 ライデンは齢五十八にして四の月と十日目に成るジョナサ梟族の老年オウンスとの僅か三の時の謁見を許される。謁見という言葉の意味はオウンスが巨島の実質的な指導者である証明。彼は其処で表島で培った体の表現を行使して声が届かない肉体的な条件を何とかしようと試みる。勿論、オウンスがどれだけの年齢であるかも既に理解しながら尚且つ其れを行使したのはやはり耳の問題もオウンスにはあるとライデンは考えた為である。
「--要するに俺は元の世界に戻る為の術を探しているのです」
「ふおおおおう」オウンスは側用者である齢三十二にして三の月と七日目に成るジョナサ鰐族の中年にしてアリゲランの伯父にあたるアリゲロウに何を語っているのかを尋ねる。「全てを知るには此の菅原ライデンとかいうううううん、生命の動きはあああい遠目で見えなああい!」
「わかりましたっがん。其れはですねっだが--」
「フウウウムフウウウム」十五の分掛けて理解した理解したオウンスは語り始める。「其の肉体の条件故に苦労なさる其処の小柄な生命菅原ライデン君よおおおう。良くぞ努力して見せたあああい」
「はは、はは」ライデンは体だけじゃなく言葉でも敬意を示す。「長老殿の長老殿の寛大なる寛大なる処置を処置を心より心より安堵します安堵します!」
「良く見ええええんわしでも其処迄やられたああああら何を感動するのかわかるわああい。では暫し休んで何……梟族故に喧しいわしの話を何とか堪えて見せええい」
 気遣いを気遣いを、嬉しくも嬉しくも思います事--最後以外は言葉と体で感謝の意を述べるライデン。

(巨島の歴史についてオウンスは語ってくれた。其れに依ると此の島は寸断された世界だそうだ。此処以外に島らしき存在もなく、尚且つ此処で暮らす巨大な生命は大陸という単語は存在しても実際に大陸と呼ばれる概念を見た事がない。寧ろ大陸と島は一緒に浸かっているように感じられる。というか俺は此の島を探索するのに三の月も掛けた。勿論、オウンスの側用者として働くアリゲロウが必死に成って俺の為に尽力を尽くしてくれたって言うのもある。何しろ、俺にとって島や大陸を行き来するのは其処迄苦労しない筈なのに何もかもが巨大な存在に成ると家具や食べ物でさえも俺の身を危険に晒して来るからな。此れは大変な話さ。もっと大変なのがうっかり俺がアリゲランの……いや、何でもない。兎に角、あんな所に偶然入ってしまったのは一体如何すれば出来るんだって思える位だよな。おまけに……用を足している間は何とか其処は開いて行くから良いけど、足し終えると自動的に閉じ始める。そうすると容赦なく挟んできて思わず彼女に同生命死なせを敢行させる所だった。幼少の身でも一度用を終えると此れ以上の流出を避ける為に急激に閉じ行くというのは生物の構造を知る上では勉強に成っただろうな……だが、俺が勉強しても意味がない。お陰で元の世界に戻った後に雌の乳房や乳首同様に暫くは下品な表現を聞くだけでも恐いと感じたな。
 おっと話を戻すとオウンスは巨島で何よりも悩みを持つ事を俺に語った。其れは複数あって二の時と五の分掛けて語った内容で特に注目したのが銀河連合の存在だろう。其れを説明する前に此処で戦った銀河連合についても紹介しよう。其れはやはり驚異だろうな、大きさが。雄の銀河連合ならば玉袋を強く打ち付ければ俺みたいな奴でも間違いなく悶絶の内に倒す事が可能だろう。だが、雌の銀河連合が中でも驚異の一言。銀河連合は下品な表現が大好きなのか攻撃方法の中には下品な方法で俺を巨大な子宮の世界へと歓迎して来る。いや、只下品ならば此処で紹介するのも面倒だろう。只の下品ではないんだよな、奴等の下品は。其処で繰り出すのがわざわざ俺を倒す為に性交を試みる事だよ。子宮内に隠れたのは良いけど、俺の肉体からすると暑過ぎて何度死んで楽に成ろうかって考えたかわからないな。おまけに俺と魅羅が実際にやったあの性交だけど、巨島では小柄同然の俺が直に其れを見ると暗くて見えない中でも僅かに静電気のような物が発生している様子が見れた。若しかすると銀河連合だけの話かも知れないが、お陰で暑苦しい中で生命が生命を産む作業の様子を此の眼で確認する事が出来たな。最も、銀河連合の羊族のような水の中だから溺死が先が火傷に依る死亡が先か、或は射精時に子宮内に飛来する無数の精子型銀河連合に依る追突死が先かって話だろう。何しろ、射精の速度は訓練した軍者でも肉眼で捉えるのが大変だからな。俺が小柄な事もあって其れが途轍もない速度に感じる程だ。何か地質学者である一名として俺の時代で急に宇宙論を語り出した蘇我フク兵衛が星の誕生は雌雄同士の性交同様に怒涛のぶつかり合いから生み出されるって口煩いリリザースに何度も聞かされたな。其れと同様に精子が卵子に入る様子は正に卵子の分厚い膜を精子が何個犠牲にしてでも薄くした後に運良く最後の精子が其処に入る込むような天文学の領域の話のように思った。まあ、最も途中で活動が停止すれば其の卵子は俺を包む液体を吸い尽くして栄養足らずに果てるがな。其れは構わない。俺は其処で機会かと思って脱出を図ったんだが……死ぬ時って急激に萎んでゆく事にも繋がると気付いて結構苦労をしたなあ。
 さて、話をオウンズの語る銀河連合に戻す。奴等は此の巨島では更に巧妙な手段を以って着実に其処で暮らす生命を喰らってゆく。ある時には液状型を食べ物の中に入り込んで知らず知らずの内に銀河連合を宿した生命を次々と生み出しては生命の性質を利用して死なせてゆく。此れにはオウンズも困った様子で打つ翼が無いと仰っていたな。だが、俺のお陰で其の光は見えたって語りもした。
 おっとそんな中でオウンス達の要る謁見場に銀河連合が襲撃して来たからな。何で三の時も謁見が許されておきながら語る内容が其れに満たないのかを考えたら俺の話で残りを占めるなんて話じゃない。銀河連合が烏型に依る一大特攻を仕掛けて強化窓硝子を突き破って現れやがったからな。戦いは僅か八の分足らずで終わったが、俺の仕事は此処から始まる。
 其れが液状型を全て倒す為に精を出すというもんだ。俺が此処で最も長く居たのは巨島の生命が俺の代替的な方法を編み出す迄の時間稼ぎでもあるんだよな。んでこっちも紹介しようかな、残り僅かな俺の命を懸けて!
 えっと先ずは--)

一兆年の夜 第百三十六話 終わりの始まり ライデンの終着点は始まる(七)

 双子島に到着してから一の月と十四の日より後。
 ライデンは目覚めると齢九にして十八日目に成るジョナサ鰐族の女児が巨大な右眼で覗く。
「うわあああ!」
 ギャアアアアッガン--ライデンの叫び声に反応して其の女児がライデンにとって全身を震わせる程の音量で叫び声を上げ、思わず気を失う所だった!
「め、眩暈が。何てでかい声をしているんだよ、って!」ライデンは目の前の鰐族の女児が目でさえも己の肉体を凌駕する事に驚かずにいられない。「ってか何だ此れは!」
「んっつあがん?」女児の声は依然としてライデンを震わせる。「如何したのおっざが?」
「でかいな、何て聞こえるのかわからない」ライデンは女児の声の音量の高さに如何言葉に表しているのかを聞き取れない。「俺の声だけじゃない。間違いなく此の鰐族の生命の声が全然わからない!」
 双子島では感じる事が無かった大きさ故に発生する音の判別の難しさ。ライデンは起き立てて尚且つ喉がはち切れん勢いで自らの自己紹介をする……「俺はああああ、菅原ああああライデエエエエン。君はアアアアア、何と名乗るのかああああ!」
「俺はあっざん、菅原あラインっざが?」だが、此れだけ伸ばし気味で且つ喉もはち切れん大きさで自己紹介しても肝心の女児の耳には正確な言葉は伝わり辛い。「ラインっざん? 其れ、名前っだん?」
「ライデエエエエエエエエエエエンがああああ、俺のおおおおおお下のオオオオ名前えええええだあああああああ!」
「あああああっざん、そうだあああっざん!」
 うがあああああ、何て音量ダアア--ライデンは目の前の女児が女児の年齢である事を声の大きさから判別しつつも破れんばかりの大きさに自らの喉が更に酷く使いつつも軽減して身を守るのが精一杯。
(こんなに大きい上に俺に興味津々なのが更に厄介極まるぞ。女児は決して遊びたくて俺に声を掛けていない。だが、気遣いが上手ではない年齢の時は余計に其れが良い事のように錯視して覚える迷い惑いだからな。そう考えると、双子島で俺が……小さな生命にやって来た声掛けは今考えると相当な音量だったのだろうな!)
 双子島の生命はライデンの為に喉を総動員した事を理解した時、意識は眠りに落ちていた--

(此処から先は余りにも説明の無駄遣いだし、気合の空回りとも取れるので適当に流しておく。彼女の名前はアリゲランで未だ齢十二も満たない女児。そんな女児でも俺の体よりも巨大な眼を持つ。俺の場合はそんな彼女に御気に入られる。けれどもアリゲランの両親は俺の事を銀河連合だと思って目覚めてかたら二の時以上も俺に対して口も利かない。何しろ、声が届かないからな。一方であいつらの声は通常の話でさえも俺の鼓膜が無事では済まない音量だからな。俺の体よりも大予十倍以上もあるのだから声も十倍以上あって当然。一方の俺は声が十に分けた状態だから一々低音を越えた低音。蚊族の音で例えると子供時代から青年時代迄は聞こえていた高い蚊族の飛び回る音も歳を摂る毎に徐々に聞き取り辛く成るそうだ。俺は若い内にこうして死んでしまった為にキッシェルの気持ちもシシドの気持ちも相武様の気持ちも理解する事は永遠に叶わない。其れでも俺の声は彼等にすれば女児位の年齢の若者でないと聞き取り辛い程に周波が高く尚且つ声が低い。低音の生命が少しでも聞き取りやすいように間延びさせないと例え女児の耳でも捉えるのが難しい位だからな。
 そんな俺の努力も実ってアリゲラン以外に一般生命として認められた俺。其れから俺は彼等巨大な生命が暮らす島の事も聞き出し始める。脅威なのが其の島にはあの銀河連合も存在するという訳だ。其れも--)

一兆年の夜 第百三十六話 終わりの始まり ライデンの終着点は始まる(六)

 双子島に到着してから一の月と十日目の日替わり。
 ライデンは表島の北東より泳ぐ事十三の時……漸く大樹型より成人体型十迄接近する事に成功。
(途中、足がとうとう陸に着かない事や度々襲い掛かる小型の銀河連合に苦しめられてなあ。まさか蚊族や蠅族のような一般的な大きさの銀河連合が必死に成って襲い掛かるのを思い知るとどれだけ大きくても体感的に速度が速く感じる小型の奴を相手に実際は速い俺達大柄な連中は探す事や捕捉する事に苦労する。但し、叩いて倒せる分だけ大柄な肉体は大したモノだ。最も更に小型は耗が極めて小さい隙間を利用して俺の叩きから逃れる気がする。衝撃が伝わろうとも大地全体に分散されるように俺達は巨大隕石が落ちた位では全滅しないのと同じようにな。
 だが、叩く攻撃で心苦しいのは……やはり小さな相手をまるで絶対強者とは誰かを思い知らせるようで胸が痛む。さっさと俺達とほぼ変わらない大きさの銀河連合に成って欲しいモノだよ。俺達は絶対強者に君臨したくないんだ。そうゆう銀河連合みたいな心持は俺達に必要ない。さっさと此処から居なく成りたい。彼等は俺の力を頼らずに自分達の大きさと自分達の弱さと向き合いながら一歩踏み出しに来た。其れが一過性であろうとも俺は永遠に前進する事を信じて小型の大樹型を倒し、居なく成ろう!)
 ライデンはほぼ二分の一程しかない大樹型の眼前に立って左右の拳で何度も振り下ろして攻撃。意味する所は横薙ぎの攻撃は衝撃が下迄到達しない。だが、縦からの攻撃は相手の自重も合わさって浸透しやすい。戦闘経験が豊富なライデンらしい小柄な生命ならではの工夫の一環だろう。偶々、自分が巨大な存在であるが故に上からの攻撃が妥当だという結論に至るだけ。
「銀河連合、お前達が普段からやっている高みからの攻撃は辛かろう、悔しかろう。だが、此の攻撃を何度も受け続ける事で如何に自分達がやって来た事が絶対強者である事に溺れているかを今直ぐに……何、足を絡めたな!」
 ライデンは決して地に足を付けている訳ではない。そうゆう意味では未だに小型であっても大樹型の方が高い。何よりも地面に根差して此処迄成長している以上は。ならば植物本来の戦法に従って足下が留守な部分を絡んで溺死に追い込む方が適切だと捉えよう!
(どんなにやられても決して自分達のやり方を変えるつもりはない。時には俺達が普段からやっている弱者の戦法も取り入れて位に入る訳だ。成程、絶対強者に溺れていたのは俺の方だったか……しかし、俺は溺れて死ぬつもりはない!)
 ライデンは溺れる位なら自ら海に沈んで足に絡み付く根っこの塊を革仙者の能力を行使してでも引き千切る。多少水圧で本来の力の流れに乗り辛い中でも革仙者化は水圧で抑え込まれた力を解放する。
(一瞬だ……発動時の一瞬こそが此の能力の爆発力を意味する。後は其の爆発の波動を勢いに乗せて奴の幹に裸締め或は抱き壊しと呼ばれる絶対強者が好む力業を仕掛けるだけだ!)
 そんな考えが過ぎった時、既に……ライデンは大樹型の上半身と下半身を千切り離した後だった!
(前にリリザースさんが言ってたな。良い事を考えたつもりでも其れが考える通りに上手く行かない。何故なら考える事に余分な労力を削いでしまう為に行動に移した時には既に時間切れで後手に回っている事が多々。だからこうして考える前に考えた事が行動に現せる事こそが理想郷さ。まあ、今回は偶然出来たけど次は上手く行きそうにない。
 さて、そんな事よりも大樹型は確かに引き千切った。そろそろ陸に上がって戻らないと!)
 ライデンは顔を出すと何処から泳いで来たのかを月の位置を参考に算出。其処から島に向かって泳ぎ出す。双子島に戻る為に泳ぎ出すのか? 否、双子島の生命が無事に和解しているか如何かを大きな肉体である己でありながらも遠目で確認したい為。
 だが--
(おかしいぞ、泳いでも泳いでも辿り着かねえ!)
 泳いでから十五の時より後……空腹で頭がおかしく成ったのかとライデンは考えた。睡眠が足りない事を受けて頭脳の働きが大きく低下したのが原因だとも考えた。其れは良くある話で決して逃れられる判断力低下の言い訳として十分である。
 けれども、ライデンは再度月の位置を確認する。一の時が過ぎようとする月の位置一つで距離の算出が可能。其処で導き出されたのが……さっきよりも島へと辿り着く迄の時間が千四百時間も掛かる事を算出。
(ンな事があるか。俺の泳ぐ速度が……こんな、こんな--)
 双子島から離れて三十の時を超えたあたりからライデンは意気込みが失われ、急激に意識が遠退いて行く……超巨大な海藻に包まれる事で更に巨大な船のような存在に依って引き上げられるという幸運に出会わなければ此処で命を落としていただろう!
プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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