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一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(終)

 ICイマジナリーセンチュリー二百十五年十月一日午後九時零分零秒。

 場所は国境。天道星央道。そのほぼ中央にて優央は史烈の亡骸を抱いたまま正座を止めない。それを好機と見た周囲に展開する銀河連合は一斉に物部刃のような何かを発車しようとした時、突如として新天神武側より各仮設民家に狙撃を受ける。
「親父、それにお袋……う、そんな!」新天神武が狙撃を始めた理由の一つとしてちょうど二名の所に駆け付けた全身切り傷だらけjの躯伝が救出された事も関係する。「お袋なのか、それは!」
「ああ、泣いて良いんだぞ。史烈はお前については何も言わなかったが……泣いても良いんだぞ!」既に涙を流す優央は促す。「泣く事は心の中の苦しみや辛い事を洗い流す為にあるんだ!」
「死に目も遺言に立ち会う事も出来なかった僕に」背中を見せて泣く姿を見せまいとする躯伝。「そんな死角はないんだよ、絶対に僕は泣いたりする物か!」
 いいえ、泣いても良インダヨ……躯伝様--既に父や史烈の事で胸が張り裂けそうな己を我慢出来ずに号泣するメランコリーナは促す!
「僕は、僕は、僕は……なあ、親父。僕が進むべき道は何処なんだ? 真古式神武はもう何処にもないんだよ」背中越しに優央に尋ねる躯伝。「お袋が愛した新古式神武はもう何処にもない。親父の愛した真古式神武ももうない。じゃあ僕はこれから何を指標に生きて行けば良いんだよ!」
「指標ならあるじゃないか、今だけ僕の刺す方角を見よ」優央は徐々に近付く新天神武救出隊に向けて指差す。「僕の物語はこの後終わるだろう……だが、天同躯伝の物語はまだ始まってすらないんだから!」
「親父の物語は終わり、これからは僕の、僕の物語?」
 ここから先は優央自身の後書きで詳細に説明されよう。それは次のように記されてゆく。
『--こうして真古式神武は終焉を迎えた。けれどもそれは納得のいかない終わりだとは
限らない。このように僕が残り寿命に掛けてこれまでの記憶を辿って記してゆくのだから
な。この後についても少しだけ記述しよう。
 先に脱出を図った真古式神武首脳陣の内の最後の最高官を務めたストラ戸はその後、
一の週もまるで魂が抜けたように過ごした後に想念の海に旅立った。享年四十一歳。
 副最高官のドレイズは今も生きており、たまに新天神武の政治状況を報告しに来る
ものだから困るよ。僕はもう隠居の身なのにね。
 カモ八郎はその後、剛力党の党員と成って近々立候補するとの事。まだまだ現役の身
だな、カモ八郎は。
 チュウ十五朗は出家して残りの余生は山で過ごすらしいな。僕とほぼ同じ考え
なんだろうな。
 ハヤブルスは無事生き残り、新天神武でも配達員として空を飛び回るとの事。たまに彼
がここへ来る場合もある。それだけに彼に対しては親近感が湧く。
 序に鳩山ポッしょうについても紹介すると彼は後にハヤブルスの上司と成ったそうな。故に
ハヤブルスは日毎に彼の頼りなさに困ってるとの事だ。
 そう言えば忘れていたが記し忘れていたが、キューかるは如何成ったかだろう。今も僕の
連絡係として勤める。時々、彼には躯伝の元へ行くよう再三に亘って勧めるも首を横に
振るだけで言う事を聞いてくれないな。僕は後少しの寿命なのに彼は最後まで見届ける
つもりだな。困った坊やだ。
 他の者達についても記したいが、既に日記は後少しの頁だ。なので必要な分だけ記して
幕を下りるとしようか。真古式神武は確かに銀河連合に喰われて広大だった領地は一瞬
にして奴らの支配地と成った。けれども生命の国は真古式神武だけじゃない。新天神武は
早速借款を全て取り返す為に進軍を開始。僕達の関係者の知恵もあって少しずつでは
あるが、担保確保しつつある。それが僕と最高官との取り決めだ。借りた物を返す方法
として契約した事を果たすのが大人達のする事だ。後は左右されやすい民意を何処まで
納得させるかだ。ここが新天神武の硬直性。
 もう良いか、隠居した僕が記す事じゃないな。後は躯伝自身が描く物語の為にも僕は
緞帳を下ろそうじゃないか。ここまで読んでくれて感謝する。天同優央の軌跡を記した
真実と幻想を織り交ぜた物語は幕を閉じよう。この先は君達に任せる。おいぼれの、いや
僕達老者は黙って次の世代に席を譲らないとな
                              真古式神武の終焉 完

 まだ頁を残すようだな。ちょうど躯伝が帰宅した頃だな。確か--』

 未明。
 とある民家に齢十八に成る天同躯伝がある老者の所に尋ねて来た。
「何じゃ、ゴホゴホ……手短に済ませろよ」
「別れの言葉を告げに来た」
「そうか……とうとう始まるのか」
「いや、まだ俺の物語は始まらんさ……親父」
「じゃあ何しにここまで来た?」
「それは二の年より前かな? 紹介するよ」
 躯伝は建物の内側に入り、それから横に移動。すると躯伝が立っていた方角に躯伝よりも二の年も若い金色の髪を持つ少女がお腹を少しふくらましながら挨拶をする……「初めまして、私は雄略人族のソーラ六代と申します」
「ソーラ……と言ったら滅多に一般生命の前に姿を現さないという少数部族の者か?」
「御存知でしたね、流石は躯伝さんのお父上ですね」
「別に僕はそこまで褒められる生命ではない。それにしても豪い綺麗な雌に何て事をしてくれたんだ、躯伝!」
「ちゃんと婚約の上で……すまん、秘密にしてたよ」
「別に構わない。もう僕は……ウググ!」
「や、優央様!」躯伝及びソーラの付き者とを務める齢十七に成るメランコリーナは二名に続いて駆け付ける。「至急薬ヲ……薬を、薬ガ!」
「まさか親父……注文しなかったな」
「フ、間隔が短くなる病だぞ。い、今更、苦しんでまで、長生き、して、やら、ないな」
「命を、命を高潔にするおつもりですの!」
 優央と呼ばれる物の周りに生命は複数集まる。中でも医者を務めるテネス鬼族で齢三十九にも成るギロウドロウト・ダッジャールは賢明な治療をして何とか優央は一命を取り留めるも……「どうやら後一乃日乃余命だな」と宣告--優央は納得の微笑みを見せる。
「親父……俺達は結局お袋を失った時の胸の痛みを一生抱えないといけないのか!」躯伝は再度、尋ねる。「如何して生きてる内に悲しみは亡くならないんだよ、教えろよ!」
「それが命の輝きだよ。それが他者を思う心さ。躯伝よ、お前は素晴らしい力を秘める。その力を正直僕やお前の祖父は羨ましがってる。そこへ至ったのは全てお前が他者を思う心を持ち続け、そして僕達天同が培ってきた連続性のお蔭だ。それを誇りにお前はお前の物語を紡げ!」
「ああ、紡いでやるよ。俺はその為にここへ来た。その為にソーラを連れて来た。その為にここに居るみんなという宝を持つんだ!」
 そうして優央は自らの席を躯伝に譲り渡した。
「親父たちの無念、いや願いは俺の代で全て完遂する。例え孫の代にまで掛かろうとも俺は……天同躯伝は全生命体の希望として次の世代の遺産を残さない事をここに誓うぞおおおう!」
 そして天同躯伝の物語は始まる……その前に日記の後書きを紹介しよう。
『--天同優央は日記を記した後、僅かな世話者だけに看取られながら四十八年の人生
に幕を閉じた。

                               優央の記憶 完』

 ICイマジナリーセンチュリー二百十七年一月一日午後一時零分零秒。

 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉 完

 第七十五話 最高官のお仕事 に続く……

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(八)

 ICイマジナリーセンチュリー二百七年十月一日午後二時十五分四十八秒。

 場所は真古式神武旧都タイガーフェスティ中央地区。
 齢十二にして七の月と三十日目に成る神武人族の少年は密かに公務を抜け出してとある建物の中に隠れる。彼が何故真ん中より五番目に小さな建物の二階第三空き部屋にある寝具の下に隠れるのか?
(叔父さんは何時もそうだ。僕に出来ない事を押し付けて困るよ。叔父さんに出来る事が僕も同じように出来るか。勉強なんてこりごりだよ。特に図形の勉強なんて一々解き方を覚える程容量ないし)
 子供は遊ぶのが好きであって勉強が好きではない。その為に少年は人生で初めて責務から逃げ出した。そう、彼は一般生命とは異なる。自らの役割が一般の生命と異なり、重たい。重たいが故に何時も己を強く持てない。己が強くないとこうして逃げ出す可能性だってある……いや、既にこうして逃げ出すのだから彼にはその役割は荷が重すぎると見て相違はない。
(どうせ僕が居なくとも叔父さんが居れば国は持つんだ。そうとも新古式神武は何も僕が居なくとも動く。使命だとか勉強だとかそうゆうのをどうして僕がしなくちゃいけないんだよ。僕が好きに生きて何が良くないんだ。僕は僕のままに生きれば良いんだ。そしたら父さんや母さんだって納得する筈……筈だよ)
 だが、心根が優しい故に途中で抜け出した事を罪深く感じ始める。今にもここから逃げ出そうと考え始める少年。そんな少年が隠れる空き部屋に誰かが扉を開ける。
「そこに居るのは何方様かな?」齢十四にして七の月と五日目に成るプラトー人族の少女は寝具の下に誰か居る事を察知。「寝具の下は隠れる所じゃないのよ」
(あれは人族? でも知らない雌の生命だ。誰だろうか?)
 少年は体を晒した。その顔を見て少女は突然、抱き締めて口付けをする!
 わわ、あにをしるんだ--突然の事に少年の下は呂律が回らない!
「何って……そりゃあ僕達は愛の誓いをしたんだよ」
「初対面だよ。僕達は……って僕?」
「うん、僕だよ」
「胸が少し膨らんでるよ」
「それが僕が僕を示す一名称だよ」
「一名称?」
「君は少し頭が良くないんだね--」
 君は何が言いたいんだよ--幼い少年に取って己の気にする所を言われて怒らない筈がない!
「まだまだ青い。君は自分の本質を言われる事に我慢出来ないんだねえ、そうだねえ」
「それが愛とか言った君の態度か、僕を誰だと思ってるんだ!」
 今度は隠していた己の役割を口にしちゃってえ……面白いんだね、君は--と少女は少年を翻弄。
「ウググ、言わせておけば!」少年は思わず少女に右拳を振るうが。「わわ、わあああ!」
 あらら--体勢の良くない拳打を繰り出した為に右足を滑らせて前のめりに倒れる少年……それを見て呆れる少女。
「ウウウ、雌に格好良くない所を見せてしまったよ!」
「どうやら僕の読み通りに君は頭だけじゃなく、体もまだまだみたいだね」
「君は本当に成んなんだよ、僕をそんなに揶揄って楽しいか!」
「うん、楽しいよ」正直に答える少女。「君は飽きないって」
「生命は見世物じゃないよ」
「わかってるよ……だからこそ僕は信じてるんだ」
「いきなり何両手広げるんだよ!」
「うん、君のような生命だったら僕は幾らでも可能性を見出せる……そんな気がする!」
 それから少女は少年を抱き締める……「だから僕と結婚して、君」突然の求婚宣言--それには口付けされる以上に頬を赤らめる少年!
「君は僕が誰なのかわかってるのか!」
「天同優央。そんなの顔見た事ない僕でも直ぐに理解したよ!」
「僕がどうしてそうだと理解したんだ!」
「何となく君の中に壮大なる系譜を見たからよ!」
「言ってる意味わかってるの?」
「そうゆうのが説明出来ない事柄なの。何でも説明出来たらそれこそ面白くないでしょ。説明出来ない事にこそ僕は可能性を信じるの」
「君は言う事が危ない!」
「へえ、君は古きしきたりを信じるんだ……だったら余計に君は僕と結婚するべきだと」
「意見がぶつかるような生命と釣り合わないだろう」
「それは安直だよ、優央様。意見が同じ場合だと結局上手く行かない物。生命が生命足り得るのはそして雌雄が愛し合う条件は互いにない所を埋め合わせてこそ……優央様には僕にない部分が合わさるの」
「君みたいな何でも出来そうな雌が僕みたいな何も出来ない天同家の落ちぶれに!」
「優央様の良くない所はそうして誰かと比較して自らの評価を上げようとしない所なの。優央様は別に他社と比較しなくて良いんだよ。優央様には僕にはないその心根があれば良いんだからね!」
「僕の心根? そんな物でみんなを引っ張れる筈がないよ!」
「そう、たったのそれだけで十分なの。何も強い力を持つ必要もないの。何も優れた頭脳を持つ必要はないの。たったそれだけで周りは君の為に、君の為に真っ直ぐ進めるの!」
「それだけで……さっきから言おうと思ったけど」
「そこも優央様の良くない所よ。先ずは目の前の事を終わらせてから次の事に移りなさい。君の良い所を聞かれたらどうこたえるの、次の話に移る場合はそこを済ませてからでしょ!」
「僕の強さ……でも結局強い指導者こそ国を動かすんだよ。僕みたいな何も持たない生命に真古式神武を動かせないよ!」
「今はまだそう答えるんだ。でもね、この答えは合ってないよ。待ってるわね、優央様。君が正しい答えを僕に伝えるのを」
「そうか、君はそうやって話を逸らすんだ。もう良いだろう、君の名前は何だ?」
「僕? 僕は春風史烈。史実の史に烈風の烈と記して史烈のれあと呼ぶの」
「の、れ、あ、な。そう呼ぶのに史烈と記すんだね。君も大概変わってるね」
 優央様、ここに居る事はわかりましたよ--空き部屋の外から尻尾で自身の体を止めるのは齢十三にして七の月と八日目に成るルギアスカンガルー族の少年が優央を連れ戻しにやって来た!
「そろそろ行くよ、史烈」
「うん、また会いましょう」
 そうして優央と史烈は約束を交わし、空いた時間があれば内緒で会うように成ってゆく……

 それから三十一の年より後のあの日にて二名はあの時の質問の答えを精神世界の中で語り合う!
『ねえ、優央。そろそろ答え合わせしましょう』
『答え合わせ? 何の事だ?』
『思い出してよ、初めて会った時の事を』
『始めて……ああ、突然口付けしたり求婚宣言した時の事だね。当時の僕は勉強が好きじゃなく、更には重責に押し潰されかけていたね』
『僕も当時はパパに反発したもんね。お互い様だよ』
『それで質問の答えだろ……決めたよ、確かに史烈の言う通りだ。僕はこの心根があったからこそみんなを導く事が出来た。何も持たないからこそ僕は誰よりも誰かに頼り、そして頼り切る事で自らを覆っていた迷いの羽衣を振り払ってきた……だが、迷ったからこそ僕はこうして答えを見つける事が出来た。何も迷わない事が全てじゃない。僕は弱いんじゃない。僕は僕だけの強さがあるからマンメリーもシレンデンもビーダもサルタビトもイタトロウもギャスー太も雄三もキンヅロウもサーバもエリフィルズも叔父さんもタイガードライバーも……他にも数え切れない生命は僕にここへ至るまでの答え合わせを示してくれたんだ!』
『やっとですね。やっとよね。全く優央は回り道ばっかりね』
『その回り道があるから僕は幾らでも選択出来、幾らでも迷い、そして幾らでも悩み抜く事が出来たんだ。今思えば新古式神武の象徴としての僕の使命とはこのためにあるんだな。これから僕はどう生きて行けば良いんだ?』
『初めて会った時に注意しなかった? 現在進行形の話が終わるまで次の話をしちゃいけないって』
『そうだね。結局僕はここに至るまでそれを直す事無く、君とのお別れを告げるんだね』
『泣くなとは言わない。泣いても良いんだよ、優央。だって君の強さはあの天同真緒まおと同じく君の涙は他者だけの為にないのだからね』
『情けは生命の為にあらず、己の為にも……わかった、だからもう現実に還ろう!』
 それから優央の精神は現実へと戻ってゆく……

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(七)

 午後八時三十二分零秒。
 ちょうど月がマンメリーと液状鬼型を照らす時、大地を蹴り割る音が周囲半径成人体型八十まで響き渡る!
 ん、アレ--メランコリーナは余りの轟音に再び目を覚ます。
(戦いは始まった。やはり力の勝負ではマンメリーはあらゆる型で猛攻を食い止める以外の手は、いや足はない。何故ならシレンデン自体の身体能力は死して尚も指揮官型を葬る程の執念を見せる。その執念に応える以上は自然と死後硬直と同じような動きを披露して見せる。それを想定して銀河連合は、或は予想外の事態であっても結局は銀河連合はシレンデンの肉体を乗っ取って更なる戦闘力を身に付けるに至ったか。最早圧倒的過ぎる力の前では小足先の技なんて意味がない。だからこそああゆう風にマンメリーは防戦一方だよ。本当にあそこから勝機があるのか、マンメリー?)
 優央の思う通りマンメリーも戦う前から既に力の差を理解する。実際にそれを両前足で感じ取り、そして全身にその痺れが伝ってゆくのを感じ取る。それだけじゃない、マンメリーにとって苦戦する理由とは--そう、体のあちこちから液体のような何かが飛び出すのを誰の眼にも飛び込む。
「ああ、パパあああ!」メランコリーナはマンメリーを思って尻尾を道路に突き刺し、無理矢理上体を起こす。「ウウウ、待ッテテ。今から私ガパパヲ--」
 ウグ……思わず尻尾を突き刺して踏ん張ってしまったじゃねえか--マンメリーはとうとう顔面に右拳打を浴びる!
 花、両眼、そして口から赤い液体を噴き出しながらマンメリーが採るのはカンガルー拳法一の絶対反撃の型である三点立ち。それは尻尾を突き刺し、更に両後ろ足を道路に根を張るようしっかり踏みしめながら胴体を晒し、両前足は膝を曲げて脛を見せるように構え、最後に首を絶対に見せないよう顎で覆い隠す。
 それを見たメランコリーナは足を止め、父の勇姿を見届ける。
「やっと理解……ブフウウ!」それでも液状鬼型の打撃は一撃一撃は通常の生命にとっては気絶してしまいたい程に重たい。「ハアハア、ハグ……何テ重さだ!」
(マンメリーは打つべき所を見据えた。父としての維持もあるんだろうが、それ以上に彼が武芸者だからこそ次で全霊を懸けて打ち込むんだろう!)
 このように優央は断定。外せば待つのは死……ではなく、内部に潜む銀河連合に全身を乗っ取られる。それだけにマンメリーの心の中に雑念も浮かぶ。けれどもその雑念以上に父親としての維持が彼を突き動かす!
「済まない、済マナイ。父親らしい事ヲ四ノ年もせずに、申し訳ナイ」一発打たれるたびに流す涙が血の色であってもマンメリーは謝罪の言葉を述べ続ける。「ずっとお前ノ育児ヲエリフェレス達に譲った事を、亡きサーバ十二世ニ譲ッタ事ヲ心より謝罪するよ……メラン!」
 最後の一撃となる鋭く長い爪を延ばした右人差し指と中指がマンメリーの両瞼が大きく晴れた両眼に向けて突き出される。受ければ目潰しどころかその奥にある脳にまで達するほど鋭く長い爪……それが目を潰した瞬間、マンメリーの右前足から繰り出される正足突きが液状鬼型の緩んだ鳩尾に向けて真っ直ぐそして鋭く貫いた!
「決まった……決まったが」優央は目撃する……液状鬼型を巻き込んでマンメリーに向かう物部刃のようなモノが数百も来る事を。「最後は僕が……僕が命に代えても果たして見せるからなあああ!」
 優央は神武包丁を抜く--胸の痛みが又しても優央を襲っても彼は動きを止める事なく、今……全生命体の希望と成って突っ走り、乗っ取られそうなマンメリーごと二体の液状型を真っ二つに斬った!
 優央は斬り放つ時--アリガトウ--という言葉を耳にする!
(有難う……だと、それは僕の台詞だよ。ここまで僕を守ってくれて感謝で一杯だ。お前が居なかったら僕は、僕はずっと迷いの中に居ただろう。そして僕は、僕はこの時までずっと生き続ける事が出来た。共を切った以上はもう僕に遺された道は……その刃のような何かを代わって浴びる以外に道はな--)
 いいえ、優央は……そんな事をしなくて--だが、運命とは誠に酷い事を遺すのか!
『--済まないが、この話を紹介する前に如何して彼女がそこに居たのかを説明しない
とな。僕達は先に新天神武に避難してる筈の史烈、躯伝達が銀河連合に囚われてるの
ではないかと踏んでシドウシンを始めとしたたった五名だけの救出班を結成させて
銀河連合の眼が届かない道を見付けて彼らを先行させた。
 確かその時間帯はこの時が来るちょうど二十の分より前だったな。一応、生還した躯伝、
サルタビロウ、そしてイタトラノから聞いた話だ。だからどこまで聞いていたのかは定か
じゃない。なのでそこから先は躯伝に記させる。
 それはな--』

 ニ十分前。時間にして八時二十二分四十三秒。
 場所は仮設民家。
 最初に探る仮設民家で運良く史烈を発見したシドウシン達。そこで行われるのは最早鬼族も畜生もない所業。銀河連合の数は二体。首を鉄縄のようなモノで縛る史烈の残り時間が少ないと奴らは知ってか知らずか、既に両腕を切断した状態まで彼女を追い詰める。その所業に五名が怒りのまま突撃し、あっという間に仕留めたのは語るまでもない。シドウシン自体の身体能力もあるだろうが、数の有利が働いたのも事実。さて、銀河連合に体を地で染めた後に冷ややかな感情に戻りつつあった五名は直ぐ様史烈を縛る鉄縄のようなモノを外してそれから自らの衣服を破いて切断面を何とか止血する。
 けれども……「もう、僕は……フウウ」既に病と流れた血もあって自他共に助からない事に気付かされる--特に自分の事を知る史烈としては十分に痛感する!
 その前に、えっと鬼族、の坊、や--とシドウシンを指名する史烈。
「その体出何於するんです科、史烈様!」
「決まってるわ。優央を助けるの。それに高々このくらいの出血じゃあ簡単に死なないの、生命って。ウップ……ハアハア」既に風前の灯火の史烈は躯tから出る赤い液体を見下ろした後、見上げてこう言った。「我が子であり、新仙者である、躯伝に、見せられ、ないけど、僕だって、僕、だって、革仙者を、名乗って、も、良いの!」
「良くわかりません。何於言って--」
 連れて、行きなさい……優央の所、に--シドウシンに思わず従わせる程の圧を掛けた史烈。

 そうして今の時間帯にして優央は自らを守らんと両腕がない史烈が刃のような数百ものそれを全身に浴びて!
「の、の、れ、あ、の、れ、あ?」
「見て、や、さ、お、ぼ、く、は--」
 優央は虫の息である彼女の両眼が赤く輝くのを瞳の奥に収めてゆく……

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(六)

 午後六時五十八分三十四秒。
 場所は国境。真古式神武検問所。
 ビーダを失った事は今の新古式神武軍にとって大きな痛手として残る。実際に彼らは一部を除いて自分自身を信じるかどうかの迷いを患う。其れに拍車を掛けるようにサルタビトの死を知らせる墓を目の当たりにすれば一体如何して前を向けるのか? シレンデンが必死に鼓舞しようとも既に彼らは度重なる真古式神武の危機に依って持ち前の自己犠牲精神が失われようとしている。優央はこの時、次のように考える。
(検問所で戦いが起こったんだろう。そして墓の存在が益々自分達には辿り着くべき理想郷はないと思わせる。今は僕もあいつらの無事を祈るしか道はないからそうゆう事を考えたくはないのだが、僕は史烈と躯伝が無事でいる事を信じたい。いや、無事だろう。僕がそう思えても周りの彼らはかつての僕を見るように迷いの羽衣を纏う以上は難しい。何時までも僕が立ち上がらせるなんて事は既に……だから僕が口にするべきは他の事だ。
 それはこれを糧に……前進あるのみ!)
 優央はシレンデンの鼓舞を止め、自ら背中を見せる。一歩間違えれば潜伏する銀河連合に貫かれかねない体勢。そんな状態で優央は静かに……「もう直ぐだ、もう直ぐ僕達の向かうべき場所へ辿り着ける」と言って真っ直ぐ歩き出す。その姿には後ろ姿ではわからないように見えて実は誰もが胸の痛みを必死に堪えて進んでる事を察した。特にマンメリーには既に気付かれており、咄嗟に優央の元へ向かうとする素振りさえ見せる。だが、次の事でマンメリーは--
「何故、お前端優央様乃所把行かない?」
「銀河連合ガ襲イ掛カッタラ如何する?」
 そう科--シレンデンは其れが己自身に潜伏する何かだと察した!
(マンメリーは僕に近寄らない。そこまでして僕に……やっぱりお前は最高の親友だよ!)
 優央は背中を向けて涙を見せない--マンメリーの自己犠牲精神に改めて感謝!
『--この後二の分より後に僕は倒れた。マンメリーはやはり僕を案じてシレンデン達に
向かわせた。ずっと食糧を喉に通さなかった事もあって胸の発作が起こる感覚は短縮し
続ける。そこでシレンデンの孫であるシドウシンはなけなしのテレスプリを渡して僕に
服用出来るようにした。最も服用と言っても前飲まなかったから次飲む際は倍にして
服用するという事ではない
ちゃんと用法容量を守って更には浄化された綺麗な水を喉に
注ぎ込んでね。それで発作が直ぐに収まるという訳ではないがお陰で幾分か楽に成った
な。
 それから銀河連合の雲が一部晴れて月が姿を現す時間帯だったかな。そこで--』

 午後八時零分十一秒。
 場所は天同星央ほしお道。そう名付けられるこの道が着工し始めたのは新天神武との借款の約束が交わされた年から翌の年。ICイマジナリーセンチュリーにすれば二百十一年十二月一日。完成したのは更に翌の年のICイマジナリーセンチュリー二百十二年三月十二日。
 星央道には両国双方から計百名程が配備され、そして望遠砲が各所で設置される。その為、一層強固な道路と化す……だが、それが却って喰われた場合は二小隊しか存在しない真古式神武軍にとっては最後の障壁として立ちはだかる!
「望遠砲が厄介だ。特に銀河連合はそれを良からぬ方へ用いる!」
「ええ、優央様。如何やらイタトロウが率イル小隊ガ書き残した手紙通りでしたね。そのお蔭デ最初ノ一小隊だけで……いや、一小隊ダケデモ十分ニ痛手ではあるが!」
 言うな、それ以上の悔いはもう後でしろ--と優央はマンメリーに言った……もう直ぐ優央は迷いの衣を全て払いのける日が来た!
(望遠砲は便利な分、一度銀河連合に渡れば……だからこそ僕達は矛を手にする事を考え直さねば成らない!)
『--一旦、己の筆で蛇の足の如く書き加える。生命が戦いを望むように成ったのは
凡そ七百六十の年より前。それ以来、生命は守る為に銀河連合の命を取る事を選択。
その選択は功を奏する部分が多い。実際に僕達は救える命を多く救った。銀河連合の命
を取る選択をする事で。
 けれども、代償として銀河連合に喰う名分を与えてしまった。一方的に命を取って来た
のは奴らなのに逆さの怒りでこちらへの攻撃を強めてしまった。正直、そこにも僕達生命
の心の痛みがある。もしも戦う選択肢を選ばずに対話の道を突き進んでいたなら如何成る
だろうか、と。
 それだけでなく、戦う道で欠かせないのは手に取る武器は年々強力な物へと様変わり。
それが銀河連合に渡ればあのように僕達を守る為の矛のような盾は僕達の命を取る矛と
化す。
 全く良くない流れだな。さて、蛇の足を書き記した。次は僕が懸念する--』

 午後八時十分五十一秒。
 戦いは優勢に流れ込む。シレンデンの圧倒的な戦闘力にあった。例え望遠砲でもシレンデンにしてみれば対応がわかれば直ぐに攻略が可能だと!
「如何した如何したアアアア、こんな物出俺達似挑んで来た乃科あああ!」
 五十まで後少しというのに最新兵装すら全く意味を為さないような暴れっぷりを見せ付けるシレンデン。望遠砲から放たれる弾丸すら直接両手で掴むその様は正に鬼族を鬼族足らしめんとする!
「あいつ一名居ルダケデ大丈夫そうだな」
「いや、大丈夫じゃないぞ」当然、優央は個の力だけで全てが解決できない事を知っての言葉。「史烈、躯伝、それからメランコリーナは無事だろうな?」
「わかってるヨ、優央様。その為にシレンデンの孫のシドウシンを始メトシタ救出班ヲ向かわせたんだろう?」
 シレンデンが暴れ回ってちょうど午後八時三十分に差し掛かった時……一体の指揮官型が気絶して目を瞑るメランコリーナを前に突き出してシレンデンの所に向かって来るではないか!
「な、お嬢ちゃん端マンメリー乃娘だな」
 良くもメランヲオオオオ--親心が先走り、マンメリーは指揮官型に突進!
「止めろ、マンメリー!」周囲半径成人体型八十まで響き渡る大声でマンメリーを静止して見せたシレンデン。「巻き添えは……御免だぞ、マンメリー」
「クウ、メリーナやマリエラと同ジク助ケラレナイノカ……よ!」後ろ両足の膝を崩すマンメリー。「こんなに成ってまで俺はサーバの時ミタイニ過チヲ犯すのか!」
 全ては指揮官型の思う通り。指揮官型は六本の腕で金棒を放すよう指示。その指示に従い、シレンデンは放した--直後、シレンデンに向けて数百もの物部刃のような何かが飛んで来て内六割がその老体の全身に深々と突き刺さる!
(叫びたい……けれども僕には叫べない!)
 優央はその時、又しても胸の発作が起こったが為に叫ぶ事もまま成らなかった。代わりに……「ミチナカノシレンデエエエエエン!」マンメリーが叫んだ!
「大丈夫じゃ、大丈夫じゃ」シレンデンは頭部にまで深く刺さる物部刃のような何かを受けながらも尚、全身の機能を駆使して指揮官型に近付く。「一撃於受けたんだ……今度端お前、牙一撃、於受ける、番じゃああ!」
 そんな言葉を聞く程、銀河連合は礼儀正しい存在ではない。寧ろ、再度一斉斉射の合図を送り……シレンデンに止めを与えた!
 だが、シレンデンが前進したのは指揮官型を一発で仕留める為じゃない。マンメリーに静かな合図を送り、一斉斉射と同時に指揮官型の懐に接近して顎に一撃咥えると同時にメランコリーナを救出する事にあった!
 それが功を奏し、指揮官型はメランコリーナを掴む第一隠し腕の手を緩め、見事奪還された!
「うう、あ、あ、パパ?」
「済まない、これ以上はパパの顔を見せられない」マンメリーは我が娘を思って気絶し直した。「サヨナラダ、もう二度ト会エナイト知っても!」
 マンメリーが気絶してる間に当の指揮官型は死んだ筈のシレンデンの右正拳突きを顔面に受けて首を吹っ飛ばされた!
『--シレンデンは最後まで驚かせた。死して尚も真正なる五式最強の名を不動の物に
したまま想念の海に旅立ってまで指揮官型を打倒するなんて。あいつには最後まで
驚かされた。
 だが、そんな彼の誇りを銀河連合は次のように踏み躙るなんて。許せる訳がない。奴ら
がやった事とは--』

 午後八時三十一分十七秒。
 突如としてシレンデンの亡骸は赤黒い液体に包み込まれ、やがては液状鬼型として再誕!
「やっぱりそう成ルト思ッタカラコソ俺は……ウグググ、俺も後少シデ銀河連合ニ成ってしまうな。良イ機会だ。ここでお前を倒してミチナカノシレンデンよりも強イ事ヲ証明してやろうかああああ!」
 優央に止める術はない。マンメリーが如何頑張ろうとも真正なる五式の誰一名にも届かない事を痛感する。ならば如何してそう宣言するのか? 実は自らの命を使って液状鬼型を倒す事で優央を始めとした生命に同胞倒しをしないようにする為であった。
 こうしてマンメリー・レヴィルビー最後の戦いが幕を開ける!

一兆年の夜 第七十四話 優央の記憶 真古式神武の終焉(五)

 午後四時二分一秒。
 場所は第九地下通路。
 タイガーフェスティに今も銀河連合は降り注ぐ。その雨はより完成が遠い通路に成れば成る程に数十回の衝撃を受けただけで崩壊する。
 故に優央、マンメリーは急いで第九通路を抜け出そうと走る!
(クウウウウ、ここに来て胸の痛みが襲って来るかああ。思わず、膝が、膝が!)
 優央様ア--マンメリーは優央の両脇に右前足を通して静かに立たせる。
「有難う、ウウウウ、ハアハアハアハア」表情が今にも死と直面するような優央。「薬はまだ飲めない。食事を摂るまで薬は使わん!」
「何於してる……崩落牙急いでる時似喋ってる場合など出端ない!」
 済まないな--と優央は会話を止めてマンメリーに助けられるように走ってゆく。
『--この時は死ぬかと思った。その理由は何かって? それは余りにも急な発作と手助け
してるとはいえ、その走りが何とも硬い物でね。僕のせいでマンメリーが巻き添えに成る
かと思った。けれども助かった。どうやら僕は益々みんなに感謝するように成ったな。僕
の為に己の命さえ投げ出す彼らの意気込みとそして僕自身の無力さを。
 だが、そんな彼らにも別れは訪れる。別れが訪れる最初の生命は--』

 午後四時十二分十秒。
 場所は第十通路南南北側出入り口。
 銀河連合の雨がビーダ目掛けて降って来た--それはどれだけ動きが遅いビーダでも体感速度を以ってすれば安全圏に移動する事は容易い。
 躱す事に成功するも階段は崩れ落ち、第十通路への侵入は困難を極める。寧ろ恐ろしいのは会談に落下し、更には上下にはねながらも転がり落ちる銀河連合がそれから一の分より後に翼を広げて目の前に姿を披露するではないか!
「狙いはおらだけじゃないって?」
「ここ端俺似任せろ、ビーダ。お前端引き続き液状型牙体内似侵入する科如何科乃確認於知ろ!」
 全く爺さんは者使いが荒いのだからッテ--と文句を言いつつも部下への指示、そして己自身に厳しいビーダに抜かりはない!
「うわっつ……ビーダさん端俺っち乃所まで気於使っちゃって」齢十一にして一日目に成る神武鬼族の少年にしてシレンデンの孫シドウシンは感謝しながら祖父譲りの反応と怪力を披露。「トウ、タア……何時科俺っち端躯伝様乃付き者似成るぞおおう!」
 指導神の言葉を聞いて少し長文で考える優央。
一兆年の神々がもしも躯伝の明日を教えてくれるのならきっとシドウシンだけじゃないだろう。彼と共に新天神武を変革させようとするのは。まあ変革は史烈の望みであり、銀河連合に依って齎される望み絶たれる未来を打破する為の一つではある。まあ躯伝や何処で何をしてるかわからない名の知らぬ弟はきっと……いや、今は第十通路を潰された状況をどうやって打破するか、だな)
「危ナイ、優央様!」マンメリーは突然、優央に向けて襲い掛かった蝙蝠型の顔面を右前脚の一撃で仕留める。「フウ、今ノハ少シ危うかった」
「まさかマンメリー、お前--」
「何、心配ハ無用でありますよ」マンメリーは右前足を隠すように振り向く。「今はビーダ率イル班ノ報告が先でしょうな」
(もしや……いや、その時は僕の手であいつを楽にしてやりたい!)
 優央は自らの手でマンメリーを楽にさせようと決意。既に迷いの霧は大分晴れ、そして己の弱さが何の為にあるのかを理解し出す優央。だが、まだそれを断言するまで時間を要する。
 さて、ビーダの報告では既に液状型に依る奇襲は対処したとの事。そしてシレンデンは蝙蝠型を瞬殺。後は第十通路以外の道を進むべきか如何かである。優央の決断は……「例え階段が崩れようともどちらが依り安全にタイガーフェスティを抜け出せるか……それ以外を模索する時間は残されてない!」例え足場の問題があろうとも突き進むのみ--最早優央は以前とは違うのである!
(とはいえ、ビーダが最後まで奇襲があるかどうかを見張ってて良かった。お蔭で僕達は安全に降りる事が出来た。出来たのは良いが、ビーダはそこで自身よりも巨大な百獣型の襲撃を受けてしまった!
 僕達は階下より成人体型二十の高さがあるとはいえ、必死にビーダに呼び掛けた。だが、ビーダは利がないとわかっていながらもその小柄な体躯で百獣型に挑んだ。自分には蠍族と同じように毒を持ち、それを血液に注入すれば百獣型を倒せると信じて!
 幾ら百獣型も血液を動力にしても小柄が巨体に勝てるのは空想話だけだ。現実は……だからこそ僕達は悔しかった!)

 午後四時三十分零秒。
 場所は第十通路。
 度々、通路は揺れる。銀河連合の小雨は衝撃が大きい。雨水がもしも自分達のような質量で降り注げばそれは通常の雹とは比べ物に成らない。雨水一粒一粒の質量に改めて感謝の意を表す優央達。神々は雲に出来る限り雨で生命が押し潰さんよう計算した事を心から祈る。
 と同時に背後よりビーダが姿を現す。
「ヘヘヘッチ、遂に、倒しましたッテ」そして砂利の多い床に落下するビーダ。「アレッテ? 何か感覚が--」
 ビーダ--優央はビーダの姿を見て唖然とする……と言うのも左羽一枚だけでここまで来たなんて生命としては有り得ない光景なのだから!
 ビーダの亡骸の先に百獣型が来る。既に百獣型はビーダの毒が回って右前足が上手く動かない状態まで追い詰められる。
「ここ端--」
「俺が出ル、ビーダノ仇ハ俺が討つ」
 マンメリーが名乗り出る。そして、シレンデン以外には目にも止まらぬ速度で百獣型の顎に一撃、そして眉間に一撃浴びせて仕留めて見せた!
「フウ、マダ戦える」
「まさか……いや、今端抑えてるな」
 百獣型を倒してもビーダの魂は返らない。わかっていても仇討ちを止めないのは魂の救済がそこにあると優央なりに考える。
『--僕の場合は仇討とは死んでいった生命の魂を救済する事にある。あるにはある
けど、自分自身でそれを決断した場合は如何成るか?
 ビーダの死から二の時より後、僕達は遂にタイガーフェスティを抜けて残すは国境
を越えて新天神武へと辿り着くだけ。その道のりでは様々に困難を極める。僕も主な原因
でもある。そして--』
プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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